〔3-4〕高等教育機関の個性・特色の明確化と質の向上

(1)各高等教育機関の在り方

(ア)大学

1.大学の公共性と自律性

  • 大学は、学術の中心として深く真理を探求し専門の学芸を教授研究することを本質とするものであり、その活動を十全に保障するため、伝統的に一定の自主性・自律性が承認されていることが基本的な特質である。
  • 大学は、学術研究の推進や高度な人材の養成を通じて歴史的普遍性や国際性を志向するものであるとともに、時間的場所的な諸条件を限定された一個の社会的な存在でもある。したがって、大学についてはその自主性の尊重が本質的要請であると同時に、大学には自律的に時代や社会の期待に応えていく姿勢が求められる。
  • 社会が発展していくためには、その基盤として、新しい知識を創造するとともに高度に活用する高い専門性を持った人材を育成することが不可欠である。人類の長い経験と叡智の中で、これを最も良く担う社会的な存在として確立されてきたものが大学に他ならない。大学は、社会と関連性を保ちつつも一定の距離を置いた自主的・自律的な存在として、教育と学術研究を通じて社会全体の共通基盤の形成に寄与してきたのである。
    今後の知識基盤社会において、我が国が伝統的な文化を継承しつつ国際的な競争力を持って持続的に発展するためには、社会全体の共通基盤を形成するという大学の公共的役割が極めて重要である。
  • 知識基盤社会においては、新しい知識・技術・情報を活用する専門性とともに幅広い素養を身につけて積極的に社会を支える人材も広く求められる。このような人材は、大学のみならず高等専門学校、専門学校、更には企業内教育等の社会教育においても育成することが期待される。しかし、こうした多様な機関による人材育成は、社会全体の共通基盤の形成という大学の役割を土台としてこそ最も効果的に行われるものであり、社会にとっての大学の重要性を一層高めるものと考えられる。

2.学位と課程

  • 学位は、大学教育又は大学院教育の課程の修了に係る知識・能力の証明として、学術の中心として自律的に高度の教育研究を行う大学が授与するものという原則は、国際的にも定着している。
  • このため、学位に関する検討を行うに当たっては、学位が国際的通用性のある大学教育修了者相当の能力証明として発展してきた経緯を踏まえ、課程を修了したことを表す適切な名称の在り方、他の学位との相互関係等を踏まえて審議していく必要がある。
  • 現行法令上、大学は学部・学科や研究科といった組織に着目した整理がなされている。今後は、教育の充実の観点から、学部・大学院を通じて、学士・修士・博士・専門職学位といった学位を与える課程(プログラム)中心の考え方に再整理していく必要があるのではないか。

3.学士課程

《学士課程の多様性》
  • 社会が複雑かつ急激な変化を遂げる中で、各大学には、幅広い視野から物事を捉え、高い倫理性に裏打ちされた的確な判断を下すことができる人材の育成が一層強く期待されている。各大学には、大学における「教養教育」や「専門教育」等の在り方を総合的に見直し、再構築することが強く求められる。
  • 学士課程段階での教育には「教養教育」や「専門基礎教育」等の役割が期待される一方で、職業教育志向もかなり強い。したがって、今後の学士課程教育は、様々な個性・特色を持つものに分化していくものと考えられる。例えば、学士課程段階では「21世紀型市民」の育成を目指し、教養教育と専門基礎教育を中心として主専攻・副専攻の組み合わせを基本としつつ、専門教育は修士・博士課程や専門職学位課程の段階で完成させるもの(言わば「総合的教養教育型」)や、学問分野の特性に応じて学士課程段階で専門教育を完成させるもの(言わば「専門教育完成型」)等、多様で質の高い教育を展開することが期待される。
  • 大学(学士課程段階)への進学率の上昇や高等学校教育の多様化等に伴い、入学者の能力・適性や志向も多様化してきていること、また、伝統的学生のみならず社会人学生や外国人留学生が増加していること等を踏まえ、学士課程・短期大学の課程等の大学教育は、全体として一層の多様性を確保し、誰もがアクセスしやすい高等教育システムを構築することが求められている。
《教養教育》
  • 新たに構築されるべき「教養教育」は、学生に、グローバル化や科学技術の進展等社会の激しい変化に対応し得る統合された知の基盤を与えるものでなければならない。各大学は、理系・文系、人文・社会・自然といった、かつての一般教育のような従来型の縦割りの学問分野による知識伝達型の教育や単なる入門教育ではなく、専門分野の枠を超えて共通に求められる知識や思考法等の知的な技法の獲得や、人間としての在り方や生き方に関する深い洞察、現実を正しく理解する力の涵養に努めることが期待される。
  • このような観点から、教養教育に携わる教員には高い力量が求められる。加えて、教員は教育のプロとしての自覚を持ち、絶えず授業内容や教育方法の改善に努める必要がある。入門段階の学生にも高度な知識を分かりやすく興味深い形で提供したり、学問を追究する姿勢や生き方を語ったりするなど、学生の学ぶ意欲や目的意識を刺激することも求められる。
《専門教育》
  • 職業的素養に関わる専門教育については、専門職大学院の制度ができたことを契機として、学士課程段階を中心に完成させるものと修士課程・専門職学位課程段階を中心に完成させるものを、学問分野の特性や各種職業資格との関連に応じて具体的に仕分けして考えていく必要がある。
《カリキュラム、単位、年限》
  • 学士課程は、基本的役割として、伝統的学生の人格形成機能や生涯にわたる学習の基礎を培う機能を担っており、内容の充実した教養教育や専門教育を行うことが不可欠である。そこで、学士課程教育の充実のため、学問分野ごとにコア・カリキュラムが作成されることが望ましい。また、このコア・カリキュラムの実施状況は、機関別・分野別の大学評価と有機的に結びつけられることが期待される。
  • 単位の考え方について、基準上と実態上の違い、単位制度の実質化(単位制度の趣旨に沿った十分な学習量の確保)や学修時間の考え方と修業年限の問題等を改めて整理した上で、課程中心の制度設計をする必要がある。
  • 学士課程教育の修業年限については、国際的通用性の確保や単位制度の実質化等に十分留意しつつ、検討していく必要があるのではないか。従前通り学士課程を4年かけて卒業する経路のほか、修士・博士・専門職学位課程との関係では、学習経路が多様化するものと考えられる。この場合、特に〔3-2〕(2)(ア)で1、2の機能を重視する大学が学士課程教育を総合的教養教育型にする場合においては、学士課程3年修了による大学院進学を積極的に活用することが考えられる。
    また、専門教育完成型においては、4~6年の間で分野の特性に応じて修業年限が定められる。
《教員組織》
  • 大学における教員組織の在り方は、教育・研究の活性化や若手教員の育成を行っていく上でも極めて重要な課題であり、助教授・助手の位置づけの見直しを含めて、引き続き検討する。
《就職活動》
  • 企業採用に向けた就職活動は、大学と産業界の連携の下、学士課程教育に実質的に支障のないよう配慮が必要である。さらに、修了・卒業直後の1年間での様々な活動体験や短期在外経験等を重視することも期待される。

4.大学院(修士・博士・専門職学位課程共通)

  • 大学院教育は、学士課程の教養教育に十分な裏打ちを持つ専門的素養の上に立ち、専門性の一層の向上を図るための、深い知的学識を涵養する教育を行うことが基本である。
  • 我が国の課程制大学院制度の趣旨を踏まえて、特に人材養成機能の面で、それぞれの課程の目的・役割を明確にした上で、大学院における教育の課程の組織的展開の強化(大学院教育の実質化)を検討する必要がある。
  • このため、学士課程教育との適切な役割分担、学生・教員の流動性の向上、教員の教育・研究指導能力の向上等について、学問分野別に、今後、具体的に検討を深化させる必要がある。
  • 大学院教育の実質化のための重要課題としては、以下のとおり。
    • 《基本的な課題》
      • a)人材養成の観点からの各大学院(課程)の機能の明確化
      • b)大学院教育と学士課程教育、大学院以外の専門教育との関係の明確化
      • c)大学院教育の実質化のための大学院組織の在り方
    • 《特に分野別検討が必要と考えられる課題》
      • d)課程制大学院の趣旨に沿った教育課程や研究指導の確立
        • 教員の教育・研究指導能力の向上のための方策
        • 社会のニーズと大学院教育のマッチングのための方策
        • 研究者・技術者等として必要な高度な素養の涵養の在り方
        • 教員・学生の流動性の拡大のための方策
      • e)研究者/大学教員養成機能の充実
        • 博士課程における体系的な教育課程の確立
        • 大学院の研究機能の強化(施設・設備など)
        • 学生に対する経済的支援方策
        • 大学院修了者のキャリアパスの多様化の促進方策
      • f)実効性ある大学院評価の確立
  • これらを踏まえ、世界最高水準の質を誇る大学院教育の充実を図る観点から、国は、大学院教育の実質化のための5カ年計画を設定する等、集中的な取組期間を設け、大学の自主的かつ意欲的な計画に積極的な支援を行っていくことも一案である。
  • 1.近年の学問分野の学際化・融合化や、2.幅広い知識と柔軟な思考能力を持つ人材等の、社会において求められる人材の多様な要請等に対応する手段として、主専攻・副専攻制(主専攻分野以外の分野の授業科目を体系的に履修させる組織的な取組)やジョイントディグリー(一定期間で複数の学位を取得できる履修形態)は有効な方策と考えられる。

5.修士課程

  • 修士課程は、1.研究者等養成(の第1段階)、2.高度専門職業人養成、3.我が国の知識基盤社会を支える「21世紀型市民」の高度な学習需要への対応の三つの機能を担う。各大学院においては、教育目標など課程の目的・役割を明確化し、体系的な教育課程を編成する必要がある。
  • これらの機能を担うために必要な教育としては、例えば、
    • グローバル化や科学技術の進展等社会の激しい変化に対応し得る統合された知の基盤を与える教育を基本とし、課題に対する柔軟な思考能力と深い洞察に基づく主体的な行動力を兼ね備えるための高度な素養を涵養する教育
    • 1.学生の知的好奇心などに応えた多様かつ豊富な教育プログラムにより幅広い視点を培う教育、又は、2.論文作成を基本とした教育の他に、養成すべき人材を念頭に関連する分野の知識・能力を修得する教育など、学修課題を複数の科目等を通して体系的に履修するコースワークを重視した教育
    等が重要である。

6.博士課程

  • 博士課程は、創造性豊かな優れた研究・開発能力を持ち、産学官を通じたあらゆる研究・教育機関の中核を担う研究者等/確かな教育能力と研究能力を兼ね備えた大学教員を養成する課程として、明確な役割を担うことが適当であり、体系的な教育課程を編成する必要がある。
  • これらの人材の養成に必要な教育としては、例えば、
    • 顕著な研究業績を性急に求めるような教育ではなく、自立して研究活動を行う能力の基礎を培う教育
    • 海外、企業での研究経験など、多様な研究活動の場を通じて研鑽を積む教育
    • 学生同士が切磋琢磨する環境の中で、自ら研究課題を設定し研究活動を実施すること等の学生の創造力・自律力を磨く教育
    • 高度な研究開発プロジェクトの企画・管理等のマネジメントを行える人材を養成するために、学生に一定の責任と権限を与え、プロジェクトのマネジメント能力を高める教育
    • 加えて、大学教員を目指す学生に対しては、学生に対する教育方法の在り方を学ぶ教育
    等が考えられる。
  • 今後の知識基盤社会にあっては、博士号取得者が、高度な専門的知見や分析能力を生かして、研究・教育機関ばかりでなく企業経営、ジャーナリズム、行政機関、国際機関等の多様な場で中核的人材として活躍することが期待される。大学では博士号取得者のキャリアパスの多様化に応える工夫が求められると同時に、これらの人材を受け入れる社会全体での積極的な取組が不可欠である。

7.専門職学位課程

  • 専門職学位課程は、法曹・MBA・MOT(技術経営)・公共政策・教員養成等をはじめ、国際的に通用する高度で専門的な知識・能力が必要とされる多様な分野での創設・拡充が期待される。理論と実務を架橋する実践的教育や職業的倫理の涵養が充実され、社会人等多様な学生を受け入れて各種の高度専門職業人が養成されることを通じて、社会全体の流動性の向上と活性化に大きく貢献することが期待される。
  • 専門職学位課程は、幅広い分野の学士課程の修了者や社会人を対象として、特定の高度専門職業人の養成に特化して、国際的に通用する高度で専門的な知識・能力を涵養する課程として、明確な役割を担うことが適当である。
  • 他方で、専門職大学院制度の創設により、大学院教育と専門学校教育との関係が曖昧になっているとの指摘がある。
    • 専門学校は、実際的な知識・技術等を習得するための実践的な職業教育・専門技術教育機関として定着。
    • 専門職学位課程における教育は、大学の学士課程段階の幅広い教養教育等を基礎として、特に「理論と実務の架橋」を重視し、高度の専門性が求められる特定の職業を担うための知識・能力を高い学問的水準において養うもの。
  • 専門職大学院及び専門学校は、この目的・役割の違いに十分留意しつつ、それぞれの特色を活かし、共に社会が求める人材を養成する機関として一層発展していくことが期待される。
  • 高度専門職業人の養成に必要な教育としては、例えば、
    • 「理論と実務の架橋」を目指すための、産業・経済社会等の各分野で世界の最前線に立つ実務家教員を含めてバランスの取れた教員構成の下での国際的な水準の高度で実践的・継続的な教育
    • 単位認定を前提とした長期間のインターンシップにより、学問と実践を組み合わせた教育
    • 特定の職業的専門領域における職業的倫理を涵養する教育
    • 高度専門職業人として求められる表現能力や交渉能力を磨く教育
    等が重要である。

8.短期大学の課程

  • 18歳人口の減少や女子の4年制大学志向の高まりなど、短期大学を取り巻く社会や時代の変化の中で、短期大学は他の高等教育機関と異なる個性・特色の明確化に一層努める必要がある。
  • 従来から、短期大学の課程の機能としては、1.教養教育と実務教育が結合した専門的職業教育、2.より豊かな社会生活の実現を視野に入れた教養教育、3.地域社会と密着しながら社会人や高齢者などを含む幅広い年齢層に対応した多様な生涯学習機会の提供等が挙げられてきた。昨今の各種職業資格の高度化の動向を勘案すれば、1と2の機能は事実上一体化(教養教育機能)しており、3の機能(生涯学習機能)も引き続き挙げられる状況にあると考えられる。
  • 短期大学の課程の教養教育機能は、ユニバーサル段階の身近な高等教育の一つとして、また、米国のコミュニティ・カレッジのように地域と連携協力して多様な学習機会を提供する生涯学習機能は、知識基盤社会での土台づくりとして、それぞれ新時代にふさわしい位置づけがなされるよう、積極的な短期大学の課程の教育の改革が期待される。
  • 学位取得のための教育と技能・資格取得のための教育の性格の違いを内容面から特徴づけるのは教養教育であり、短期大学における教養教育は、4年制大学における教養教育と同様に、自己の人間としての在り方・生き方に関わる教育であると考えられる。短期大学の課程の教育上の特色は、こうした「大学における教養教育」を幅広い学習需要に的確に対応したアクセスしやすい形で提供する点にあると考えられる。
  • また、短期大学を含めた大学における実務教育・職業教育は、教養教育の基礎の上に立ち、理論的背景を持った分析的・批判的見地からのものである点で、他の機関により提供される実務教育・職業教育とは異なる特徴があるものと考えられる。短期大学関係者は、4年制大学の学士課程に準ずる実質を備えた短期大学の課程の教育上のこうした特徴を一層明確化するよう、教育の充実に不断の努力を傾注する必要がある。
  • 短期大学は、今後とも、教育内容・方法や経営状態に関する積極的な情報開示や充実した事後評価の仕組みの確立等による社会的信頼・評価の確保に努める必要がある。
  • 以上の点を踏まえつつ、短期大学における教育の課程修了を制度上の学位に結びつけることについて、国際的通用性にも十分留意しつつ、検討すべきである。

(イ)高等専門学校

  • 高等専門学校は、5年一貫の実践的・創造的技術者等の養成という教育目的や、早期からの体験重視型の専門教育等の特色を、大学の学士課程教育や短期大学の課程の教育との対比で一層明確にしつつ、今後とも応用力に富んだ実践的・創造的技術者等を養成する教育機関として重要な役割を果たすことが期待される。
  • 高等専門学校卒業後に専攻科や大学へ進学・編入学する学生の増加を踏まえると、教育内容や履修指導等も含めて他の高等教育機関への円滑な接続にも配慮する必要がある。一方で、高等専門学校の役割や位置づけが相対化し、早期からの体験重視型の専門教育による実践的・創造的技術者等の養成という本来の個性・特色が不明確になることのないよう留意することも重要である。
  • 大学の1単位45時間という規定に対し、高専は30時間と規定されており、高専の4・5年生は編入学・留学先の大学に単位数の3分の2しか認められないという実態もある。高等専門学校教育の実態を踏まえつつ、例えば、高等学校教育に相応する1・2・3年と大学教育に相応する4・5年とで(又は一般科目と専門科目とで)単位の在り方を分けて考える等の方策について、検討する必要がある。
  • 国立高等専門学校の法人化など高等専門学校を取り巻く状況の変化、今後の高等専門学校の管理運営の具体的な在り方や高等専門学校の基本的方向性を踏まえ、名称を含めた社会的認識の改善の問題や専攻科の役割等については、引き続き検討する必要がある。

(ウ)専門学校

  • 職業教育をキーワードとした教育体系の中で、専門学校の中核的な役割や位置づけを明確にする必要がある。
  • 知識・技術等の高度化や専門特化した技術者養成等のため、修業年限の長期化・多様化に伴い、専門学校の高等教育機関としての性格も短期から長期まで様々なものに拡大してきている。一方で、大学の学士課程教育や短期大学の課程の教育との対比で、社会的要請に応えて実際的な知識・技術等を習得した人間性豊かな人材を育成するため、実践的な職業教育・専門技術教育機関としての専門学校の性格を明確化し、その機能を充実することが期待される。
  • 専門士の称号所持者や大学等卒業者が入学する例の増加等を踏まえ、高度な職業教育機関としての役割を担う専門学校は、今後、一層の個性化・多様化を進める必要がある。
  • 専門学校は、今後、教育内容・方法や経営状態に関する積極的な情報開示や充実した事後評価の仕組みの確立による社会的信頼・評価の確保に努める必要がある。
  • 専門学校と大学との連携・接続の更なる円滑化を図る必要がある。その一環として、以上の点を踏まえつつ、専門学校のうち一定の要件を満たすと認められたものを卒業した者に対して大学院入学資格を付与することも検討すべきである。

(2)国公私立大学の特色ある発展に関する考え方

  • 国公私立大学がそれぞれに期待される役割を発揮し特色ある教育・研究を展開していくことは、21世紀初頭における社会の多様な要請等に国公私立大学全体で適切に応えていくというだけでなく、高等教育全体の活性化の上からも重要である。
  • 国公私立大学に期待される使命や役割等の区別は必ずしも絶対的なものではなく、また、時代や社会の要請に応じて変化するものと考えられるが、既に大学審議会答申等でもなされてきた整理を踏まえつつ、国立大学の法人化等による新たな展開の中で引き続き検討する必要がある。

(3)民間教育事業等の多様な形態に関する考え方

  • 株式会社・NPO・個人等、多種多様な形態により民間の自発性・柔軟性を生かして多様で創意に富んだ学習機会を提供する民間教育事業は、今後の知識基盤社会の中での幅広い学習機会の一環として重要な役割を担っていくことが期待される。
  • 関連して、現在、構造改革特区において認められている株式会社立大学の今後の位置づけ等については、「高等教育の質」の保証や株式会社の特性といった観点を念頭に置きつつ、特区における実施状況に関し、公共性・継続性・安定性等についての検証・評価を十分に時間をかけて慎重に行った上で、改めて検討する必要がある。

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高等教育局高等教育企画課高等教育政策室

(高等教育局高等教育企画課高等教育政策室)