1.審議検討において留意した事項

 社会の変化に対応した子どもたちの心身の健康の基礎作りに関する施策の基本的な在り方については,これまで,保健体育審議会(平成13年1月5日まで),中央教育審議会スポーツ・青少年分科会(平成13年1月6日以降)が答申等を行ってきた。これらの答申においては,心身の健康の保持増進を図るためには,生涯を通じて自らの健康を管理し,改善していくというヘルスプロモーションの理念に基づき,運動,栄養,休養,睡眠の調和のとれた生活習慣の確立,健康の価値を自らのこととして認識し自分自身を大切にする態度の確立,ストレスが生じた場合の対処法の習得,さらには,健康の保持増進のために必要なことを実行し,健康に良くないことを絶つことのできる実践力の涵(かん)養などが重要であることが強調されている。本専門部会では,これまでのこうした動きを,審議検討の前提として留意した。
 さらに,今回,保健の分野で「すべての子どもたちが身に付けるべきもの」を審議検討するに当たって,次の四つの点に留意することとした。

(1)「自他の命を大切にする」という視点

 保健の分野ですべての子どもたちが身に付けるべきものの基盤には「自他の命を大切にしなければならない」ということがあることを念頭に置きながら審議を行った。
 加えて,生涯にわたって豊かな人生を送るために,健康の大切さを認識させるとともに,自らを価値ある存在と感じ,様々な課題を解決できるようにすることを目指すという視点も重視した。

(2)次の世代につながる教育という視点

 保健の分野で,子どもたちが健康や安全に関わる内容について理解することは重要である。子どもたちは将来親になる存在であり,親になるための準備として何が必要なのか,生涯を通じて自らの健康を管理し,改善していくために何が必要なのか,他者の健康への理解として何が必要なのかといった観点も念頭に置きつつ,審議を行った。

(3)情報を収集し正しく理解し判断する力を育成していくという視点

 保健の分野では,自他の健康を管理したり,改善するための意志決定や行動選択につなげる実践力の前提として,健康や安全に関する情報を主体的に収集・選択し,それを正しく理解し判断できる能力が不可欠であるという視点を重視した。

(4)知識を行動に結び付ける力を育成していくという視点

 保健の分野では,習得した科学的知識を行動に結び付け,自他の健康を管理したり,改善するための意志決定や行動選択につなげる実践力をすべての子どもたちに身に付けさせることが極めて重要であり,審議に当たっては,このような力を重視した。

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