1.審議検討において留意した事項

 社会環境や生活様式の変化は,子どもたちの心身の発達に様々な影響を与えている。こうした状況に適切に対応するため,保健体育審議会(平成13年1月5日まで),中央教育審議会スポーツ・青少年分科会(平成13年1月6日以降)が様々な答申等を行うとともに,その考え方は文部科学省の「スポーツ振興基本計画」にも反映されてきた。具体的には,積極的に運動する子どもたちとそうでない子どもたちの二極化への対応,子どもたちの体力低下への対応などが含まれるが,本専門部会では,これまでのこうした動きを,審議検討の前提として留意した。
 さらに,今回新たに「すべての子どもたちが身に付けるべきもの」を審議検討するに当たって,次の二つの点に特に留意することとした。

(1)空間的な広がりへの留意

 体育の分野に関する審議検討においては,学校という限られた空間的範囲のみで考えるのではなく,家庭・地域との関連を含めた「空間的な広がり」を視野に置く必要があるという認識の下,次のような点に留意した。具体的な審議検討においては,別紙「健やかな体が育まれる場」を活用し,これらの留意点に十分な注意を払うよう努めた。

家庭・地域の実態変化の把握

 体育の目的を具体的に特定していく上では,子どもたちの体が育まれていく実態の現状を把握しておくことが必要である。このため,家庭・地域における諸活動の現状や変化について,まず意見交換を行った。

学校・家庭・地域の関連性

 体育の目的は,学校内で孤立・完結したものとして考えるのではなく,家庭・地域で行われる諸活動との関連で考えるよう留意した。例えば,学校で学習したことを,家族と共に,あるいは地域において実践するといった状況にも配慮するなど,学校外における活動の展開という視点を持つよう努めた。

学校から家庭・地域への発信

 家庭・地域に関する現状や変化を受動的に受け入れるだけでなく,地域全体として子どもたちの体を健やかに育んでいくため,学校から家庭,学校から地域へ,という積極的な働き掛けや発信という観点にも,留意することとした。

(2)時間的な広がりへの留意

 体育の分野に関する審議検討においては,学校の児童生徒である期間という限られた時間的範囲のみを考えるのではなく,卒業後の生涯を通じた活動の在り方を含めた「時間的な広がり」を視野に置く必要があるという認識の下,次のような点に留意した。

生涯を通じて運動やスポーツに親しむ基礎の構築

 すべての子どもたちが生涯を通じて運動やスポーツに取り組んでいくような状況を目指す観点から,そのために必要な身体能力,知識などのうち初等中等教育の段階において身に付けておくべきものについて検討した。

生涯を通じて運動やスポーツに親しむ態度の育成

 卒業後も生涯を通じて運動やスポーツに親しんでいく状況を実現するためには,運動やスポーツに取り組もうとする意思がまず重要であることから,学校における態度育成について検討した。

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(初等中等教育局教育課程課教育課程企画室)