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第2章 青少年の意欲をめぐる現状と課題

2.データが示す青少年の生活実態等の現状と課題

(4)情報メディアの急速な普及に伴う問題

[調査結果]

  •  インターネットや携帯電話等の情報メディア(注9)は青少年にも急速に普及しており,インターネット利用率は小学生で6割,中学生以上で9割を超え(図38),携帯電話の所有率は高校生で9割を超えている(図39)。
     また,コミュニケーション手法のうち,会話や説明よりもインターネットでの情報収集やパソコン等での文書作成を得意とする青少年が大半に及ぶことや(図40),小・中学生の友達への相談手段として「メールを活用」する層が相当の割合に及んでいることを示す調査もある(図41)。
     一方,インターネット等を利用した犯罪の被害に遭うなど,情報メディアを介してトラブルに巻き込まれる青少年が近年増加している(図42,43)。しかし,青少年の情報メディアの利用について保護者の実態把握や監督等が十分とは言えない(図44,45)。

[これまでに得られた知見]

  •  情報メディアが青少年へ及ぼす影響については,テレビ番組や家庭用テレビゲームにおける暴力表現が青少年の暴力傾向を促すことや,インターネットへ過度にのめり込むことと社会的不適応の間に相関性があることなど,青少年への悪影響がある程度明らかになっている事項もある。しかし,全体として科学的に明らかとなっている知見はまだ少なく,今後,より一層の研究の進展が強く期待される分野である。
     一方,情報メディアを利用したバーチャルコミュニケーション(注10)の急速な普及が,青少年の脳の発達に重大な影響を及ぼす危険性があるとの指摘もある。これに関連して,顔の特徴を持つ刺激にのみ反応する「顔ニューロン」と呼ばれる神経細胞がサルや人間の脳に存在することが明らかとなっており,人間関係能力形成の基本的方法として,直接顔と顔を突き合わせる対面コミュニケーションが脳に組み込まれているのではないかという知見も示されている。
     また,良質のテレビ番組が青少年の社会性を高めるなど,情報メディアには青少年に有益な影響があることも分かっている。青少年が情報メディアに接触しているときの保護者のかかわり方が,情報メディアの青少年への影響を左右するという研究結果もある。
インターネットや携帯電話の利用が青少年に急速に普及している。

図38 インターネット利用率
総務省
『通信利用動向調査報告書』(平成18年)

図39 携帯電話(PHSを含む)の所持率
ベネッセ教育研究開発センター
『第1回子ども生活実態基本調査』(平成17年)

コミュニケーションに情報メディアを活用する青少年が増加している。

図40 コミュニケーション手法
内閣府政策統括官
『青少年の社会的自立に関する調査報告書』(平成17年)

図41 相談したい場合の友だちへの相談方法
川村学園女子大学
『子どもたちの体験活動等に関する調査研究のまとめ』(平成16年)

青少年をねらったサイバー犯罪(情報技術を利用する犯罪)やトラブルが増加している。

図42 サイバー犯罪のうち青少年保護育成条例違反等の検挙件数
警察庁
『平成17年中のサイバー犯罪の検挙及び相談受理状況等について』(平成18年)

図43 未成年者を当事者とする消費生活相談件数(うち9割が情報メディアに係るもの)
独立行政法人 国民生活センターより
(平成18年7月25日現在)

青少年の情報メディア利用について,保護者の実態把握が十分とは言えない。

図44-1
メディア接触についての家庭内ルール「特にルールを設けていない」割合(パソコンのインターネットについて)


図44-2
メディア接触についての家庭内ルール「特にルールを設けていない」割合(携帯電話、PHSについて)
社団法人日本PTA全国協議会
『平成17度マスメディアに関するアンケート調査子どもとメディアに関する意識調査』

図45 パソコンでインターネットを利用する時の親の対応
警察庁
『少年のインターネット利用に関する調査研究報告書』(平成18年)
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