障害者の生涯学習の推進を担う人材育成の在り方検討会(第8回)議事録

1.日時

令和3年12月28日(火曜日)15時00分~18時00分

2.場所

文部科学省6階第1特別会議室

3.議題

  1. 障害者の生涯学習推進のための事例集作成に向けた検討
  2. 障害者の生涯学習推進を担う人材育成の在り方に関する論点整理について
  3. その他

4.配付資料

【井口係長】  障害者の生涯学習の推進を担う人材育成の在り方検討会、今回第8回目になります。まず、開会に当たりまして、清重室長より御挨拶させていただきます。

【清重室長】  どうも清重でございます。年の瀬のお忙しい中、お集まりいただきまして、恐縮でございます。
 これも前回も申し上げましたけども、やっぱり人材育成の在り方というテーマは非常に重要になっております。これから進めていく上で、非常にポイントとなることになろうかと思いますので、よろしくお願いしたいと思っております。今日また前回に引き続きまして、委員の先生方から御意見を頂戴すると、3名の委員の方々から頂戴するということになっておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 私からは以上でございます。

【井口係長】  では、早速ですけど、議事次第のほうに入ってまいりたいと思います。配付資料は資料1として、事例集、入門ガイドの台割をA3でお示しをしています。資料2-1から資料2-3までが、本日御意見を御発表いただく3名の委員の資料があります。それから、机上配布資料といたしまして、事例集・ガイドブックの原稿、それからサンプルページを1から4まで配布をさせてもらっております。
 それから机上配布資料の5として、議論のまとめ骨子案という、事務局からの案をお配りさせていただいております。もし不足等ございましたら事務局のほうに御指摘をいただければと思います。オンラインの皆様も大丈夫でしょうか。もし何かあればすぐに共有等させていただきますので、不足等の場合は連絡をお願いいたします。
 では、進行のほうを津田座長のほうにお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【津田座長】  よろしくお願いします。皆さん、こんにちは。お久しぶりです。平井さんが今日6時きっかりには退出しなくちゃいけないということで、最初に次回の話を最初にしちゃおうと思います。

【井口係長】  議事次第の一番下に記載をさせていただきました次回開催日、1月19日水曜日の3時から5時半というお時間で開催をさせていただきたいと思います。予定としましては、委員全員の意見発表をお願いするということで、最後は津田座長からのまとめに関わる御発表をお願いしたいということと、議論のまとめの審議、協議ということがメインの主題になるという予定でございます。

【津田座長】  ありがとうございます。今日は議題が3つありまして、2つ目の議題、梶野さん、志々田さん、青山さんからの御提案というのが一番メインになって長い時間取りたいのですけども、前後にで2つ議題がありまして、1つが事例集作成に向けた検討をするということなんですが、お手元に資料1と2があると思いますけども、これに沿って事務局から少し解説をしていただいて、あまりここは深入りした議論はしないでおこうと思います。ただ、気がついたこととか、ぜひここは変えたほうがいいんじゃないかという御意見などは、この場合おっしゃっていただいてもいいですが、基本的には事務局にお伝えいただくという方式でいこうかと思っております。
 それでは、この件について御説明をお願いいたします。

【井口係長】  まず机上配布資料1-1のほうから見ていただければと思います。
 前回、サンプルページを御案内させていただきましたが、もう少し見やすくということで単純に文字が細かったりして読みにくいとか、あるいはその全体を通じてその手書きのフォントなどのいろんな工夫がありましたけど、可能な限り読みやすさということを今回の冊子の性質上も重視したほうがいいんじゃないかという御意見もあり、デザイナーの方と事務局のほうで何度か調整をさせていただいて、現状の案が1-1というのと1-2で、サンプルページを作り直していただいています。特段内容は大きくは変わってないんですが、読みやすさという観点から、もし何かお気づきの点などがあれば、御指摘をいただけるとありがたいと思っています。
 それから資料1-2のほうについては、図もデザイナーのほうで作り直していただいていますので、この内容は津田さん、平井さんに御確認いただけるとありがたいと思っています。これが机上配布資料1-1と1-2でございます。
 それから、机上配布資料の2と3と4については、今回初めて皆さんに見ていただく新たな原稿案でございます。基本的にはこの後はもう入稿に至る段階になりますので、もし修正等の御意見ありましたら、ぜひこの段階で御意見いただけるとありがたいと思っています。資料2については、学びの会の取組について、青山さんが執筆をしてくださったというものです。それから机上配布資料3については、公民館の事例が国立市だけじゃなくてもう一つあったらということで、兵庫県朝来市の知的障害者オープンカレッジという、生涯学習センターの講座、事業についての紹介を事務局で執筆したものになります。
 もう一つ、机上配布資料4については、福井市の障がい者自立支援協議会の取組について、電話で担当者に取材をさせていただいて、御紹介をしているものとなります。
 せっかくなんで、一言ずつだけ執筆担当された方にコメントいただけたらと思うんですが、青山さん、いかがでしょうか、お願いできますか。

【青山委員】  すいません、私が書く担当箇所のうち最後残っていた大森さんのところの原稿が遅れに遅れてという状況です。基本的には大森さんと共作という位置づけで、夏にインタビューさせていただいたものからいろいろ情報を引き出して書いたようなところがあって、まだ大森さんのチェックをいただけていないので、この後、そこの部分についてお目通しいただいて、いろいろ直していただいた上で入稿に行き着くという感じになっております。
 それで、まとめ方、いろいろ考えたんですけれども、既にネット等にも情報がたくさんあるということも踏まえて、大森さんが自分語りをされているところがとても私は興味深かったので、そこにある運営する側の学びというか、考え方が初期と今で随分違うというお話があって、そこは本質的かなと思ったものですから、序盤に活動の概要を述べた上で、後半はそこにフォーカスをして書かせてもらっています。大森さんがこれでピンと来ないとなれば直す予定なので、それを踏まえてというところになっています。
 すいません、以上です。お願いします。

【井口係長】  ありがとうございます。この原稿に関わって1点だけちょっと確認と御相談なんですが、資料1のほうで、A3の台割をお示ししていますが、この学びの会の原稿については、青山さんと大森さんとの共作という形を、想定をもともとしていたものですけども、青山さんの原稿を読ませていただいて、後半は特にあえて青山さんが大森さんの認識の変化とかに着目をされながら、そのコーディネーターの変化ということにフォーカスをして書かれているということもあるので、基本的にはこれは青山さんから見た学びの会の記述という形にして、大森さんには、コメントを入れていただくという形でちょっと字数は少なくはなってしまうんですけど、青山さんへの応答でもいいですし、あるいは別の補足でもいいので、そのような形で最終原稿を完成させるという方向でいかがかなと思いまして、いかがでしょうか、逆に大森さんは私じゃなくてということもあれば、当初案どおり梶野さんにということも考えているんですけど、いかがでしょうか、大森さん、もしコメントがあれば。

【大森委員】  そうですね、ごめんなさい、しっかり読み込んでからコメント、できるだけしたいなと思います。

【井口係長】  了解しました。後日、青山さん、大森さん、事務局でやり取りさせていただいて、完成原稿に近づけていくという作業でよろしいですか。よろしくお願いいたします。

【青山委員】  もう一点よろしいですか。

【井口係長】  お願いします。

【青山委員】  今日の机上配布資料には入っておりませんが、練馬区の会議のことを扱ったものと、国立の公民館を扱ったもののそれぞれを職員の方にチェックいただいて、井口さんにも調整いただきながら、練馬区の担当の方とは1回お話をさせていただいたりして、今、微修正をかけているところです。こちらにも進捗があったということを報告させてください。

【井口係長】  青山さん、ありがとうございます。今、状況だけ報告しますと国立市のほうはもう最終確認済みという状況です。練馬区のほうは今直していただいたものを確認していただいているところと思ってよろしいでしょうか。

【大森委員】  はい、そうです。

【井口係長】  ありがとうございます。では、最終確認が取れ次第、入稿できるという段階です。ありがとうございます。
 では、机上資料3の朝来市のことについて、鈴木さん一言お願いします。

【鈴木係員】  簡単に説明させていただきます。兵庫県の朝来市というところで年間5回の回数で「知的障害者オープンカレッジ」という取組をしています。
 今回なぜこの事例を取り上げたかという点ですが、この事業は年間予算が15万円程度で、事業の担当者がその地域の人材とか、限られた資源の中で最大限自分のネットワークを使いながら講座を組み上げています。読み手とっても、等身大な感じでどこの地域でも参考にできるかなということを思い、こちらの事例を記事にしてみました。
 私も実際、先週現地のほうに行かせていただいて取組も拝見させていただきました。内容は読んでいただければと思うんですが、第2パラグラフにある、事業担当者の持つ「頼る力」とか「ネットワーク力」、この辺りをちょっと強調して文章を書いているつもりです。こういったところがこれから必要になる人材というところにつながるかなということを感じたので、ピックアップしています。
 それから一番最後にあるんですけれども、実際にこの講座を見に行ったのは映像の撮影も兼ねて行ってまいりました。こちらの取組を一つの動画にまとめようと今動いております。ですので、このページが出来上がるときにはその動画もリンクできるような形で、QRコードを載せたり、QアンドAの記事に誘導できるような書き方にしたいなということを、デザイナーさんと、また、相談していきたいなと考えています。
 以上です。

【井口係長】  ありがとうございます。平井さん、お願いします。

【平井委員】  朝来市のとてもいいなと思いましたけれども、ちょっと細かい話なんですが、オープンカレッジという言葉のオープンの後に中黒が入りませんか、この場合には、どうでしょうか。これはオープンカレッジで続けちゃっていいところなのか、中黒が入るからだと言っていることが違いますかね。

【鈴木係員】  すいません、ちょっとそこは再確認をさせていただければと思います。

【井口係長】  ありがとうございます。このオープンカレッジは、公民館での講座がスタートだったんですが、まさに大学でオープンカレッジを実践されていた教員の方とつながって、その教員の方からオープンカレッジというアイデアをこの担当者が提案を受けて、始まったという経緯のものです。平井さん御指摘のような経緯があるということで名称確認をしておきたいと思います。ありがとうございます。

【平井委員】  細かい話ですいません。

【井口係長】  それからそのコメントを梶野さんに、お願いができないかと思っていまして。

【梶野委員】  あとちょっとすいません、この表記の問題なんですけど、今は生涯学習センターと呼んでいるんですかね。表記の中に4行目か、公民館事業とか、次の後ろのページも公民館と書いてあるんですけど、今は生涯学習センター。

【井口係長】  おっしゃるとおりです。まさに首長部局にこの間、移管をされて名称が公民館から生涯学習センターに変わったという施設になります。なので使い分けを。

【梶野委員】  表記の確認だけお願いします。

【井口係長】  確かにちょっと分かりにくいですね。ありがとうございます。
 じゃあ机上資料4のことです。こちらもごく簡単にと思いますけども、福井市の自立支援協議会が、クラブ・サークル紹介という冊子を作っております。こんな冊子なんです、ちょっと見えにくいでしょうか。自立支援協議会として「みつけよう! じぶんのやりたいこと~障がい者のためのクラブ・サークル紹介~」という冊子を作っていらっしゃるんです。自立支援協議会がなぜこれを作るようになったかという経過なんかも含めて、ここで紹介をさせてもらっているんですけど、相談支援事業などの中で、自分の生活を豊かにするために生涯学習の活動をやりたいんだけど、何かないかという問合せが大分あったそうなんです。
 それを踏まえて自立支援協議会では、社会資源、地域資源をぜひ調べてみようということでアンケート調査をやられたりしたという、そんな経緯があってこれが作られて10年ぐらいたってちょっと古くなってきたんで、もう一回改訂したというものがたまたま大臣表彰から、これが参考資料として提出されて、我々もこんな資料があるんだということで、担当のほうにお話を伺ったという経緯です。
 障がい者自立支援協議会の一つの取組としてこういう情報収集、発信という取組は行政にとっても大事な役割になるんじゃないかと考えています。ただ我々も具体的に取材に行ったりとかまではできていないので、簡単な紹介になっています。
 実は2ページを当初予定していたんですが、どうしても分量的に1ページぐらいになっちゃいます。もう1ページは津田座長に御相談をさせていただいて、リソースの紹介ということであれば、ちょっと原案を検討してみますと言ってくださっています。津田座長のほうにまた頼らせていただいて、もう1ページ、そのようなページを検討しているところということでございます。
 津田さんのほうから一言コメントをお願いいたします。。

【津田座長】  ありがとうございます。皆さんが本当に丁寧に進めていただいて、特に青山さん、とても丁寧に進めていただいているような気がします。ありがとうございます。
 最後のところの資料集というのはまだ昨日伺って、今日新幹線の中で少し案を練った程度のものですので、皆さんに御相談できるようなものではないんですけども、ウェブページだとか、それから基本的な考え方の参考になるようなものを少し気軽に参照できるものとして、一覧にしておくというのは意味のあることかなという気もいたしましたので、お受けしようと思いましたということでよろしいでしょうか。
 それでは、この件についてもし皆さん、このガイド、事例集作成についてお気づきのこととか、あるいは全体でやっぱりここでは確認しておく必要があるなと思われるようなことがあれば、ぜひ今お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。お願いします。

【大森委員】  すいません、私の担当になっているところの内容についてなんですけれども、1つ目は14ページ、15ページのところの図と表の有無というところで、赤くなっているのは写真は特に使わないということなんでしょうか。それとも用意がないからこうなっている。

【鈴木係員】  すいません、事務局の鈴木です。赤くなっているところはできれば写真や図を入れたいなと思っているところなんです。ただ、まだちょっと現状こちらのほうに手元になくて、できればこの場で今日リクエストをさせていただきたいなと思っていたところです。大森さんの部分とあと梶野さんの書いていただいた公開講座のところ、そこも何かよさそうな写真や図表などありましたら御提供いただければなというところです。

【大森委員】  ありがとうございます。すいません、あともう一点だけ、14、15と16、17のところ、コメントは両方私、大森のほうで担当という形でいいんでしょうか。

【井口係長】  そこもちょっと御相談をしたかったところでして、大森さんが深く関わっているところでもあるので、やっぱり何かしら補足していただくようなことがあってもいいかなというアイデアのレベルなんです。ただもちろん、あえて別の方がという判断もあり得るかなと思って、大森さんに一旦御検討いただけるとありがたいなと思っていますが、いかがでしょうか。

【大森委員】  ちなみにこれは当事者の人たちのコメントとか駄目ですか。

【井口係長】  ありだと思います。

【大森委員】  どっちかをちょっと。

【井口係長】  そうですね、ぜひそんなアレンジをしていただけると、ありがたいです。大事な御提案いただきまして、ありがとうございます。

【大森委員】  以上です。ありがとうございました。

【津田座長】  ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

【平井委員】  今の続きなんですけど、コメントの締切りはいつになりますか。

【井口係長】  ありがとうございます。実は年内に本当は全部の原稿を仕上げなきゃいけなかったんですが、ちょっと押していまして、幾つかの原稿の確認依頼なども含めて、1月の中旬ぐらいまでに最終の原稿が整ってくるといいなという見通しになっていまして、つまり1月19日の会議のときには入稿が終わったというところに持っていきたいと思っていまして、すいません、平井さん、梶野さんには特にコメントという形でまた御相談をさせていただきたいので、1月中旬ぐらいめどに、15日ぐらいでしょうか、お願いできれば助かります。

【平井委員】  私も久しく行っていないから、前から取材に行きたいなと思っているので、1月、やっているよね、多分ね。今見たら12月から再開しているので行けると思います。行ってから書きたいと思っていますので。

【井口係長】  実は我々も1回行こうと思っているプランがあるので、また、平井さん御相談させてください。

【平井委員】  木金土なんですよ、やっているのが。

【井口係長】  そうですね、御相談させてください、メールします。

【平井委員】  教え子が書いていました。私の随分前の教え子ですけど。

【井口係長】  そうなんですね。

【津田座長】  よろしくお願いいたします。ほかいかがでしょうか。
 一つ、リソースについてのページを、1ページ設けるということでちょっと気がついたことなんですけども、それぞれの実践のホームページとか、資料の在りかみたいなことをどこかに示しますかね。福井の事例はホームページが載っているので、こういう形で参照するとして、ほかのページでもより多くの情報はこちらを見てくださいみたいにするか、あるいはリソースページにまとめるか、あるいは奥付のところにまとめるか、ちょっと何かその辺方針を決めたほうがいいかなと思いました。

【井口係長】  大事な指摘、ありがとうございます。鈴木さん、この辺りのプランはまだ調整はできてないということでしたっけ。

【鈴木係員】  そうですね、現状それぞれの記事のところでQRを載せるとかとなってしまっているので。

【井口係長】  分かりました。ちょっとデザイナーと御相談をしたいと思います。基本はページにあったほうがすぐにアクセスできるかなという気はしているんですけど、ちょっとスペースの都合とかも含めてデザイナーとちょっと御相談してみようと思いますので。津田さんのページの基本は、これ以外のリソースという観点でまず御検討いただけるとありがたいかなと。

【津田座長】  承知いたしました。それでは、ほかのことについていかがですか。よろしいでしょうか。じゃあ、ここからは、皆さんお気づきのことがあったら直接事務局の鈴木さん、井口さん宛てに御意見をいただけたらと思います。
 それでは、1つ目の議事はこれで終了とさせていただいて、2つ目、メインのパートに行こうと思います。
 人材育成の在り方に関する論点整理ということで、お三方にお話を伺うことにいたします。梶野さん、志々田さん、青山さんというプログラム順でよろしいでしょうかね。
 それでは、最初に梶野さんからよろしくお願いいたします。

【梶野委員】  梶野です。よろしくお願いいたします。
 前回はすいません、急に議会の対応が入っちゃったんで参加できなかったので、平井先生と大森さんの話は聞けなかったのが残念です。事務局のほうから与えられたお題を私なりに受け止めて考えたことということを少し挙げさせていただきました。
 タイトルは「障害者の生涯学習を担う人材育成を考える上で、検討を要すべきこと」とさせていただいております。私もそんなに他県の状況を知っているわけではないので、都内における障害者の社会教育事業を取り巻く現状というところの認識からいきたいと思います。
 東京都の場合は障害者の社会教育事業の成立というのは非常に早い。1964年でしたっけ、昭和39年のすみだ教室から始まっているとよく言われておりますが、その先駆的な取組自体が現在では停滞しているのではないかと感じております。実施運営体制の固定化、参加者及び指導者の高齢化、当時生徒と若い指導者だった方たちがそのまま年齢がスライドしていくだけで、新規メンバーの取組、取り込みといいますか、なかなかうまくいってないという部分が、ところが多いのではないかと思います。
 3点目なんですけれども、これは前もこの会議で話し合ったかもしれません。東京都手をつなぐ育成会のほうから、元東洋大学の宮﨑英憲先生から私のところに連絡があって、実際、障害者青年学級の所管がどうなっているか調べたいというお話をいただきました。それで少し情報提供しながら宮﨑先生のほうで調べられた結果を、東京手をつなぐ親たちに載っているのかな、育成会の会報に載せたということでお話しいただいたんですが、かなりの部分がもともとは社会教育の部門で、障害者青年学級として施策化したものが障害福祉部門に所管が移っているという状況が見えますと。役所にいるとありがちな話だなと思って見ているんですけれども、障害者の問題は、課題は福祉で対応すればよしという観念が強まっているのではないかという状況が見てとれるのかと思います。
 2点目なんですけれども、これは私どもが所管している都立特別支援学校における学校開放事業の停滞と挙げさせていただきました。この検討委員会と後で話しますけども、来年から、東京都としてもコンソーシアムのモデル事業のほうに取り組ませていただこうという話が出てきたので、平井先生がよく御存知の板橋特別支援学校の校長の深井先生に20年ぶりぐらいに会ったんです。私、入庁してすぐは特別支援学校の学校開放事業の対応とか、障害のある子供、児童の5日制の対応とかということを担当してたもので、その頃、平井先生もはじめとして特別支援学校の先生方に随分教えていただくことが多かったんですが、ぶっちゃけた話どうなっているんですかという話を伺ったときに、一番大きな変化というのは指導者となる教員の意識変化というのが非常に大きいんだというお話をいただきました。
 もともとは、特別支援学校においても、青年教室等始められた経緯というのは、基本的には保護者の意向を特別支援学校の教員たちが受け止めて、アフターケア的な考え方として土曜日とかに特別支援学校を開放して、生徒を受け入れて職場とか社会に出たときの悩みを聞いたりとか励ましたりとかというちょっと同窓会的な意味合いも込めてだと思うんですけれども、そういったことを自主的に教員たちが担ってくれていたと。
 そういった自主的な動きに行政として施策化、施策の網をかぶせるという形で恐らく青年教室というのは始まったと思うんですけども、やっぱり1974年に東京都の場合は特別支援学校の義務化というのを始めて、全国に先駆けて動きましたが、そのときにやっぱり、そのときの雰囲気といいますか、考え方を知る教員たちがもう大量退職の時代を迎えて、現場にほとんどいなくなったと。深井先生もあと1年半で退職だなんて話をされていましたけれども、やっぱり担い手となる教員の意識変化というのは非常に大きいですね。サラリーマン化しているという言い方もできますし、今はもう学校の働き方改革の話が出てきているので、余計そういう意識が強くて、担い手になる教員というのがいなくなっちゃっているんだよねというお話をいただきました。
 2点目は、保護者側の意識変化も非常に大きいなと思います。非常にどこの特別支援学校でも放課後デイサービスへの期待の高さというのがあって、どちらかというとデイサービスと書いてあるように、サービスの享受者という意識が保護者の側にも非常に強くあるのかなと。要はその機会や場をつくってくれさえすればいいんだというか、どちらかというとレスパイト的な意識のほうが高くなっているというのか、そういう部分でやっぱりこういった特別支援学校における学校開放事業の周りに、担い手の双方の意識というのが随分変わってきちゃったなと。
 3点目は担い手確保の難しさということなんですけども、実は20年ほど前に都立のほうも都立学校公開講座の事業見直しというのを実は行った際に、もともと障害者の社会教育という名前の事業で青年教室とかをやっていたんですが、当時その財政危機を迎えて、財政健全化計画というのがありまして、事業開始から20年以上の事業は基本的に廃止しろという方針が出された中で、一体どういうふうにこの場を持たせていくかということを考えたときに、障害者の青年教室の事業を公開講座に位置づけて、障害者本人講座とボランティア養成講座という2つの柱でやっていこうという形で、都立学校公開講座の中で整理するということのきっかけづくりみたいなところを私も担当していたんです。
 その後、私はちょっと青年の家に異動してしまったんですけども、深井先生たちがメンバーになって、障害者本人講座、ボランティア養成講座と分けて、現行実施しているんですけれども、このボランティア講座への参加者というものが全く集まらない。30名ぐらい募集しても2割とか3割とかというのがせいぜいで、なかなか人が集まってこなくなったという話が出ています。ただ、手話の盲学校で実施する手話講座だけは1倍を超えて、人気があるという状況になっています。
 このようなことを考えると、これまで障害者の社会教育を支えてきた枠組みというものを、福祉の分野のほうへ動き方も含めてそういった捉え方で今後施策展開を考えるのは少し難しいのではないかなと個人的には感じています。
 その一方で、2番のところになりますけれども、障害者の社会参加をめぐる新たな潮流というのも生まれてきたのかなと。この辺のところをどう生涯学習といいますか、教育委員会として取り入れていけるのかということを検討してみる必要があるのではないかと思っています。
 文部科学省でも「超福祉の学校」などの話を聞いていると、企業とかNPOというものが非常にその中に介在して、大きな役割を果たしてきているのかなと。東京都の場合はソーシャルファームの条例をつくって、幾つかの認定が始まったというのが今年度になりますけれども、その中にも特例子会社がソーシャルファームとしての認定を受けた例とかというのも出てきていますし、あとは農福連携とか障害者とアートとか、障害者とファッションとかといった分野の中でも、ハートネットTVとかそういうのを見ていくと幾つも紹介されている事例があると。
 だから、もうちょっと社会の中に溶け込むような形で、障害のある人たちのことを位置づけていくのという動きも一方では起きてきている。この辺のところをどうキャッチしながら施策にしていくかという視点が必要かなと思っています。
 2点目は、インターネットのコミュニケーションツールなどをはじめとした産業・技術への注目ということで、ここには国会議員の方にも重度の障害者の方が入られているということもあって、要するにICTスキルといいますか、ICTを活用しながら自分の意思が表現できるようになったというのは非常に大きな変化だと思います。あとはOriHimeという分身ロボットとかありますけれども、やっぱりこういうツールに着目しながら、事業化をしていくみたいなことは考えられないのかと思います。
 こういう1番と2番の話を挙げると、新たなこういったサービスを享受できる層と享受できない層という問題が必ず出てくると。特にそういったものへのアクセスが先ほどのグリーン車の話ではないですけど、経済的格差の問題とか障害種別、どうしても置いてきぼりがちなのがやっぱり知的障害の方への支援とかになってくるのかなということは思いながらも、やっぱりこういう(1)とか(2)の視点というものをどう生かしていけるかということから、少し事業の展望を描いていかなければいけないかなと考えています。
 3点目は、これからの障害者の生涯学習において重視すべき視点というのは、これはもう大森さんの話でも十分だと思うんですけども、当事者中心主義の視点というところをきちっと軸に据えた事業化といったものができるといいかなと。古い形の障害者青年学級とかを見るといつまでたっても先生は先生で、生徒は生徒という固定化、要するに学校教育の延長で関係性が固定化してしまっていて、なかなか外に開かれていかないという事例も見ることができます。
 これまでの状況を打破していくという意味においてはすごく大きな功績を果たしたんでしょうけども、次のフェーズに行くときにはやっぱり関係性自体を見直していくということが非常に大事で、大森さんなんかがよく御指摘されている当事者の声を聞こうというところから事業化がなされることが大事だろうと思っています。
 そういった問題意識を踏まえて裏のほうに、特に社会教育行政で取り組むべき課題は何かという話になるんですが、障害者の生涯学習を推進する展望を描くと書きましたが、まず、理念レベルでの課題整理というのはやっぱりきちっとやっておく必要があるんだろうと。そういった意味ではこの検討会とかこれまでの文部科学省の検討の報告書とかそういったものを踏まえつつ、やはり事業化していくときにきちんとその視点というものを確立させていくという必要があると。
 そこで一番大きいのは障害者イコール福祉行政なんだという固定観念を乗り越えるという視点と、これはよく大森さんからも指摘がありましたし、都議会議員の先生からも御指摘あったりするんですけども、特別支援学校の高等部を卒業したら、就労させることに学校も保護者もそのことにばかり意識が向いてしまうということですよね。
 社会でのポジショニングみたいなものをきちんと落ち着かせたいという気持ちというのは、保護者の方はお持ちだというのはすごくよく分かりつつも、やっぱり当事者性ということの視点を生涯学習の事業を考える場合には入れていく必要があるので、自由時間とか余暇とかというものの重要性というものをきちんと伝えていくという理念レベルの課題整理が必要なんだろうと。
 その上で社会参加の多様なモデルを提示するということで、東京には幸い大森さんのような先進的な取組というものがなされているので、そういうところからきちんと学び取るべきことを取っていこうと。
 2番目は、東京がオリンピック開催をしたからということもあるんですけれども、一定まだパラスポーツに関しては、行政的な部分も、政治的な部分でも非常にまだ関心が強いですね。あと何年かたったときにどういうふうになっていくのかなと思いながら見ていますけれども、そういった意味では、こういったパラスポーツの可能性みたいなものからでもいいから、少し切り口を見つけていく、新たな切り口を見いだしていくということも必要かなと。我々の知らないところで新たな実践の掘り起こしというものができないかと。先ほど言ったテクノロジーの活用という視点を重視するという形で、社会参加の多様なモデルというものを、やはり生涯学習という観点から描いていくという必要があろうと思っています。
 そういったこともつらつら考えながら、障害者の生涯学習を推進するためのプラットフォームづくりというものを今後展望していきたいと考えています。この間、清重室長などにも東京都のほうに来ていただいたりして、いろいろと話合いをした結果、コンソーシアムの事業に関して来年度東京都のほうで実施させていただこうということになりました。予算のほうも何とか間に合ったので、これで明確に事業を実施することができるんですが、ここでどのようなメンバー構成をしていくかというところが、これから今まで私が述べたことを実現の一歩を進めていく上で重要だろうということだと思っています。
 1から9まで挙げましたが、これまではどちらかというと2番とか3番の方に負うところが大きかったわけです。ただ、小・中・高等学校の教員というのはちょっと新たな切り口として考えていく必要があるかなと思っていますが、ちょっとここらあたりは今考えどころで、皆さんからも御意見いただけたらなと思っています。
 最後なんですけれども、来年度以降東京都の教育委員会として取り組みたいと、今、私の立場で考えていることを挙げます。先ほど申し上げたように障害者の生涯学習を推進するためのプラットフォームをつくっていこうと。これまで挙げた視点ということがあるのと、都教委のほうでは、教育支援プラットフォームというのは既につくってあったりするので、そこの手法でかなりたくさんの企業とかNPOというのを招き入れながら、学校教育の支援の事業化というものを高校レベルだと実現しているノウハウがあるにはあるので、そういった視点をぜひこの分野で生かしていくような形で応用していきたいと。その点においては文科省のほうの御協力というものをぜひお願いしたいと考えています。
 2点目なんですけれども、これは志々田先生に今度新しく生涯学習審議会の委員になっていただくようにお願いをして、お引き受けいただいたんですが、今度の在り方というのは生涯学習審議会のテーマというのが、地域コミュニティーに貢献する都立学校の在り方という課題で、仮の題で審議しようと思っていまして、そういった意味では、特別支援学校における学校開放事業というものを焦点に据えて、今後の在り方というものを見直していかなきゃいけないと考えています。
 そこで焦点化されるのは先ほどいいました、深井先生から聞いても本人講座はぜひ必要だから残してほしいという声が上がっていますが、ボランティア養成講座の在り方と学校施設開放の在り方というものは、少し検討を要するのかなということです。それ以外の本人講座、ボランティア講座以外の公開講座という視点ですとか、そういう場で何を伝えていくかということをどう事業化するか、施策化するかということも重要かなと思っています。
 3点目なんですけども、今私が持っている仕事の中で都立高校における不登校・中途退学対策の事業をやっているんですけれども、今年度から高校通級というのも実際に始まって、発達障害の子たちのみが限定されているんですけども、それだけではなくて今特別支援学校と高等学校のボーダーレス化という状況が起きています。
 一般就労を目指して特例子会社等への就職を目指す人たちのために、都立特別支援学校では就業技術科とか職能開発科という新たな科を設置して、それで一般就労を目指すコースをつくっています。大変そちらは人気があって、12月ぐらいに選考があるんですけれども、実はその選考に漏れた方たちが愛の手帳とかを持っていても、その後特別支援学校に入学するという道を選ばずに、都立高校にほとんど入学してくるという状況があります。
 そうなってくると、集中的に軽度知的障害をお持ちの生徒が都立高校生になってくるという状況がありまして、あとはそのボーダーラインと言われている層の発達障害の生徒たち含めて、高校レベルにおいてもインクルーシブ教育をどう考えるかということを考えていかなきゃいけない状況が不可避になってきているということで、そういったところへのアプローチというものをどう考えていくかというのも生涯学習の視点と併せてといいますか、高校生ですと学校から社会への移行という話になります、社会とか職業への移行というのが大きな課題になりますので、そんなことを含めた取組を考えていきたいなと思っています。
 与えられたお題に対する答えになっていたかどうかよく分かりませんが、以上、日頃考えていることということで、御説明させていただきました。

【津田座長】  どうもありがとうございました。短い時間でたくさん詰め込んでいただきました。
 ここから15分、20分弱、少し梶野さんの御提案をめぐって、意見交換をしたいと思います。どこからでも結構ですので、質問、御意見含めていかがでしょうか、お願いいたします。

【志々田委員】  ありがとうございました。前から私も気になっていたことのところで、梶野さんから御発言があったんですが、放課後等デイサービスが新しいメニューとして入ってきて非常に好評で、多くのお子さんたちが利用されているというのは本当によく聞きます。
 ただ一方で、そこがつまらないというか、最初は志があっていろんな企業が入ってきたんだけれども、最近どうも子供たちが預けられていて、楽しくないと言って行きたくないということを言い始めているお子さんたちもいるという話をちらほら聞き始めていて、やっぱりデイサービスの限界というか、決められたことを自分たちがお行儀よくやってちゃんといないと、お母さんたちが迎えに来るまでここで我慢して待ってなくちゃいけないと思っているということになっているのかなということを思っていて、これはデイサービスが福祉で、学童保育みたいなところとそれから放課後子供教室との問題でもあると思うんですけど、この質の問題というのは、やっぱり障害者の生涯学習を考えていく上で必要かなと思っています。
 多分それが企業の方たちが土曜日にやってくれている活動というのは、学校としては、教育活動としてやってきたんだけど、デイサービスのほうに需要がいってしまってあんまりたくさん来ないから、学校としてどうしようかなみたいなことを迷うことになるのかなということを思っていて、そういうことで正しいのか、そういう認識で正しいのか、ちょっと現状を教えてもらえればなと思いました。

【梶野委員】  やっぱり土日、土曜日にやっている活動なんですよね。そこに教員が出ることへの負担感ということが一番大きいと聞いています。
 あと、こういう言い方あれなんですけど、やっぱり障害のある子供たちを地域に開いていくというか、やっぱり理解を促進していこうというハートが昔の先生方には強くあったんですけど、今は例えば自分の仕事が増えちゃうんだとかという声とか、そういうところのほうがどうも大きいようだという話はこの間の校長先生なんかと話してもあって、そこの部分はちょっといかんともし難いよねという話が出てきていました。

【津田座長】  ありがとうございます。学校が生涯学習の一端を担うというところで言うと、かなりいろんなやっぱり働き方の問題が大きく出てくるというところがあると思います。秋田県の特別支援学校が割と生涯学習にシフトしながらやるという、何か今のお話に関わって御発言ありませんか。

【阿部係長】  すいません、秋田の事例ではないんですけれども、本年度の文部科学大臣表彰で出てきた事例を少し、東京都の旭出学園という私立の特別支援学校は、教員が中心となって生涯学習の場を確保しているという事例がありました。あと愛媛の愛媛大学附属の特別支援学校も、教員が中心となって活動しているという事例。あとは神奈川県の麻生養護学校は、在学中にバイオリンとかフルートとかのアンサンブルの活動をやっているんですけども、それを卒業しても続けようというので、保護者がそのような組織を立ち上げて、教員がそれをサポートするという取組がございました。学校で秋田ではなかなか教員が中心となってやっているというのは今のところないんですけれども、東京都のこちらの取組が進んでいるんだなと思ったところです。

【津田座長】  どうもありがとうございます。旭出学園は私立です。愛媛大学附属は国立ですよね。神奈川の麻生養護学校、ここは。

【阿部係長】  県立です。

【津田座長】  県立ですか。私立とか国立大学の附属であれば、学校のその方針みたいなところに地域交流とかというのを打ち出せるので、やりやすいんだと思うんです。その公立が一番やり方としては難しいですよね。麻生養護学校でどういうふうにやっているのか、ちょっと関心、興味が湧きますね。ありがとうございます。
 ちなみに放課後等デイについては、もしかしたら生涯学習的な観点を入れるような活動が、放課後等デイの一つのモデルになるとかということもあり得るかもしれないですよね。ありがとうございます。
 いかがでしょうか、皆さん、ぜひ何なりと、平井さん、お願いいたします。

【平井委員】  放デイの問題で言うと、現在もう22万人が利用しているという、事業が始まってから10年そこらで、すごい拡大しているわけですね。問題はいろいろと今、質の問題をいろいろと言っていますけれども、学校自体はまだ放デイがあると。しかし、学校を卒業してしまうと行き場が本当に作業所に行って、B型とかA型とかそういうところに行って、あとはもう次がないという、第三の場所がないということなんです。家庭、学校、放デイという3つあったところが、家庭、会社あるいは家庭、作業所、あとは何もないということが課題になるわけで、そこにやっぱり放デイの延長というよりも、放デイをもっと成人化したというか、そういう取組のニーズというのは保護者や当事者からもっともっと出てきていいなという、そういう契機になってくるなと私は期待しているんです。それは一つの社会教育、生涯学習の発展の契機になっていく可能性があるなと思っています。
 2つ目は、梶野さんは大変リアルに現状を捉えてくれて、そのとおりだと思います。今までは、一生懸命やる先生方も学校教育の延長というか、私なんかもそうでしたけども、やっぱり教えるべきことがたくさんあって、学校ではとても教え切れなかったなと。そういう思いもあって社会に出てからもやっぱりまだまだこれもあれもという気持ちが最初は強かったです。
 これからは、でもそれが頭打ちというか、学校丸ごとということはできないわけで、これからは逆に働き方改革で、先生方がちょっと時間ができれば学校を離れて、一人の市民として、一人の人間としてというか、地域に共に生きる仲間として障害がある人たちと関わるという、そういう発想に変えていく必要があるんじゃないかと思います。
 私は学生と話をしていて、学生のほうが今の若い学生たちのほうがそういう発想を持ちつつあるなという印象を持っているんです。ですから、学校の先生方も、特別支援学校の教員の仕事の延長で、障害がある人たちの成人教育、生涯学習を担うという発想ではなくて、それはちょっと切って別の考え方でいくという、前回も私もそんな話をしましたけれども、働き方改革が決して先生方の生涯学習の取組を後退させるのではなくて、促進する方向に進めなきゃいけないと思っています。そういう方向に切り替えていく必要があるんだなと思います。そういう点では梶野さんのこの提案は大変心強く思いましたし、東京都がやるというんで、これも大変期待をしています。

【梶野委員】  すいません、ありがとうございます、平井先生。一つだけちょっと付け加えておくと、実はこの間、20年ぶりに特別支援学校の校長と話をしたという話をしましたけど、そこで出てきた若手の教員の話なんですけど、真っ二つに分かれていて、実はいいほうの層の教員もいるんだという話が出ていました。
 その先生たちは多くは特別支援学校の教員になろうとは思わずに、介護等体験で、2日間だけですけど、特別支援学校に行ったことが、自分の進路の転機になったということで、そういう教員たちも結構いるにはいるんだよという話があって、そういう機会というのか、学生時代とか高校生時代とかからやっぱり体験できているというのが、食わず嫌いじゃないけど、そういうことを体験していろんな価値観に触れるということは若い人たちにすごく重要なことなのかなと思いました。
 そういうところからやっぱり働きかけすることもちょっと視点に入れられるといいのかなと思います。

【津田座長】  ありがとうございます。そうですね、介護等体験で特別支援学校に来ると、初めての体験で目を輝かせる子はそれなりにいますね。ほか、いかがでしょうか。
 僕から一つお尋ねしたいというか、地域コンソーシアムの話です。こういうプラットフォームづくりを東京都で独自に予算化する予定だということで。

【梶野委員】  独自じゃないんです。初年度は文科省から委託を受けることを予算化したということなんですけど。

【津田座長】  なるほど、兵庫県でコンソーシアムをやっているところで感じるところなんですけども、一つやっぱりコンソーシアムが3年で終わってしまうというところで、次のことを考えなくちゃいけないというところにいるわけですね。ずっとこの間、兵庫県教育委員会と中心にしてやってきているんですけども、ようやく最近、諮問機関的な雰囲気が県の職員から抜けてきた、かなり働きかけて抜けてきたという感じはするんですよ。諮問機関であれば、コンソーシアムのよさというのはあんまり出てこないような気がするんです。
 むしろ熱量からすると県の職員よりも委員というかな、集まっている人たちのほうが高いということのほうがよくある話だと思うんです。その人たちが自立的に例えば都全体のこと、県全体のことなんかを考えていくような仕組みをつくっていかないと、3年たったら、県が旗を下ろしてそれで終わりとなっちゃう気がするんですよね。
 そこのコンソーシアムの組織のつくり方みたいなところというのは、まだかなりてこ入れをしないといけないような気がしますけども、東京都さんはどんな感じなんですか。

【梶野委員】  そうですね、大変的を射た質問だなと思いますので、やっぱり実はこの事業を委託事業として予算化していこうという話になったのは、井口さんたちのほうからお話しいただいてからなんですけど、ただやるというわけにはいかないので、一応内部のほうでも幹部職員と話しましたが、変な話ですけど、やっぱり国の事業というのはいつか終わりがあると。そうなったときにやっぱりアウトプットをどう考えるんだという議論も一応した上で、事業をお受けしようということを考えたわけです。
 具体的に今のところ持っているツールというのは、都立学校の特別支援学校を使った公開講座の事業だと60校近くありますから、そういう場を一体どういうふうに組み替えていくかという、今は先生たち中心に行われているケースが多いんです。都立学校公開講座の実は枠組み自体が教員の教育機能を地域開放するという建付けで動いているものですから、今は教員中心でやるという形になるんですけども、そこを教員中心から一体何を中心に切り替えていくかということです。そのときにやっぱりNPOとか企業とかといったようなところがうまく入っていただけるようなちょっと工夫をしたいなという話をこの間、文科省のほうに来てもしたところです。
 そういった意味ではこれまでこの事業で培ってきたネットワークなんかもうまく生かさせていただきながら、その実現する場として、都立の特別支援学校をまずは会場として活用しながら、事業展開の道を考えていこうということと、もともと教育プラットフォームをつくるための予算というのは別に独自で都は持っているので、将来的にはそういうプラットフォームの一機能としてこの事業を位置づけていくという方向で、一応見通しを持ってやっていこうと。国の助成金といいますか、補助といいますか、委託費がなくなってから、はい、事業終わりというわけにはいかないということは幹部からも口酸っぱく言われて、動き出してはいます。

【津田座長】  ありがとうございます。こういう集まりを持つと、それなりにやる気のある人たちが集まってくるので、そういう人たちをいかに駆動力にしながら推進していくということが、一つは人材育成という点でも大切かなと思いました。あと一つぐらい、お一方の御意見ぐらいで、次に移らせていただこうと思うんですけども、いかがでしょうか。
 青山さん、お願いいたします。

【青山委員】  あまり今までの現実的な話から少しそれてしまうかもしれません。ずっともやもやしているところがあって、学卒後の余暇支援というか、居場所と言うのか、何と言うのかというところを考えていくときに、それを生涯学習と呼ぶことの妥当性を考えていて、もちろん我々の文脈で言えばそれは立派な学習であるし、社会教育が大事にしてきた分野ではありつつ、福祉なのか教育なのか、何かいい呼び方があるのか、諸外国でこの分野はどの分野が担っているのか、などを考えると、教育or福祉という枠組みじゃない捉え方のほうが、認知しやすいのかもしれないとも思います。もちろんそこに学びというものが中心あるんだということは僕らも大事にしてきたところですが、それを一般に広めていくときに、福祉分野の学習観とか教育観を緩めていく必要もあるだろうし、世の中における学びとか余暇というものをどういう看板の下で政策を進めていくべきか、どういう枠組みで進めていくかというときに、障害のある人のことだから福祉だというのでは違うと思いつつ、じゃあ教育なんだというのもピンと来ない気もしていて、その辺は外国ではどういう枠でやっているのかとか、そんなことをずっと考えていたんです。すいません、ただの感想なんですけど、以上です。

【津田座長】  じゃあ平井さん、お願いいたします。

【平井委員】  私も生涯学習とずっと言ってきたけど、カテゴリーでいいのかなと、青山さんと同じように今日実はずっと考えていたんですよ。なぜかといったら、例えば一番社会教育関係者が注目しているのが、カフェだと言うわけ。つまりワイガヤ、ワイガヤっていわゆる喫茶店なんですよ。何で喫茶店が生涯学習、社会教育関係者が一番注目をしているのかというのは、面白いなと思って、結局はコミュニティーなんだよね。コミュニティーカフェ、コミュニティーの何か集える場みたいなわけですよね。そこの枠組みで考えたらもうちょっといい言い方があるなと私もずっと考えていました。青山さん、ぜひいい言葉を考えてください。

【青山委員】  「結果としての学習」と「目的として学習」を分けたほうが頭は整理しやすいけど、そこがつながっているからいろんなことが面白くなるんですよね。公民館の中に「わいがや」があることがとても面白いし、そこで起きていることに、社会教育職員が関わってきたというところがすごく面白いんです。僕はそっちの人なんですけど。

【津田座長】  ありがとうございます。熱い議論になりそうですけれども、ここで一旦水をかけます。時間的に次に移らないと。お願いいたします、梶野さん。

【梶野委員】  すいません、お二人の話聞いて、恐らく僕が言っている福祉というのは縦割り、障害とか少子とか高齢とかというターゲットを決めて、制度をつくっていくところの行政の壁の高さがある一方で、今、都の中でもすごく非常に弱くなっているんですけど、発想としては地域福祉なんですよね。社会教育も地域社会教育と言われているとしたら、本当はそこの分野あたりがうまく手を取り合っていく。平井先生で言うとコミュニティーという言葉だと思うんですけど、といいながら全社協の会議に出ても、なかなかうまく伝わっていかないというのは、実はこの2年間井口さんと関わっている感想ではあるんですが、やっぱり福祉というんだったら地域福祉というか、コミュニティーなんだろうなと思いました。ありがとうございました。

【津田座長】  そうですね、どうもありがとうございます。ごめんなさい、ここで一旦切らせていただきます。多分この話はまたおいおい出てくるんじゃないかと思いますので、続けましょう。
 それでは、次、志々田さんからのお話をいただこうと思います。よろしくお願いします。

【志々田委員】  よろしくお願いします。画面を共有させていただきます。
 人材育成の在り方についてということで、私はこの分野についてこの有識者会議に入れていただくまであまり考えたことがなかったところでもあるので、この会議にずっと参加させていただきながら、今私ができる範囲で非常に小さな提案を3つほど用意してきました。
 その前提として、私はこの会議で大事だなと思っていることが2つあって、一つは、障害者の生涯学習機会の拡充というのは、やっぱり社会教育主事や社会教育職員の職務であるという理解を徹底的に浸透させていかなくてはいけないということです。これはとても使命感を感じています。特に社会教育実践研究センターに籍もありますので、そういう意味で、長い間社会教育が見落としてきたと言っていいと思うんです。そこのことを理解させていこうということに何ができるかということをまず考えました。
 そのときに、全ての人の学習権を保障する取組としてというのはごくごく当たり前で、これは障害を持っていようと持っていまいと、女性であるとか外国人だとかいろんな全ての人のというところがあるので、そういうのを保障する取組としてというよりも、共生社会の実現のためのまちづくりには、絶対不可欠なんだと。障害者の生涯学習機会というものを抜きにして共生社会はできないし、まちづくりもできないんだということをきちんと社会教育の職員たちに知らせていく、もしくは知識をブラッシュアップさせていく、もしくは養成の段階で理解してもらうためには何ができるのかということを私なりに考えました。
 それからもう一つは、これはさっき言っていた福祉か教育かという話にもつながるかと思うんですけども、最近、社会教育、生涯学習の様々な学習機会の中で、丸々講座とかといったような、いわゆる何々教室とかといったものがだんだん減ってきているということが議論になっています。どちらかというとプロジェクトベースというか、集う形というか、活動ベースというようにして、何かを教えてもらう講座とか何かをみんなで学ぶ会というよりは、一緒に目的を共有できる仲間で社会的な活動をしていこうとか、地域貢献していこうとかといった活動ベースで、いろいろな社会教育の事業というものが考えられるようになってきているということを言われています。
 何か講座とかメニューというのはやっぱりこういうことを学んだほうがいいですという発想から、なるべく多様なメニューを満遍なく開設する。なので、障害者の生涯学習機会を拡充させようとすると、こうした○○講座とか、何々というものが増えていくということを想像するのではなくて、全ての人が学習したいことを学ぶためにはどんな機会が支援できるのかということを社会教育の職員の専門性にしないといけないなと。
 つまり、社会教育の職員が障害を持つ人たちもちゃんと指導ができるような、そういうスキルだとか技術を高めていくという発想で、この仕事はしちゃ駄目だなと思っていて、私たち、別に障害があろうとなかろうと、全ての人が学習したいといったり、みんなで活動したいといったことをちゃんと多くの人たちと意見を、目的を共有しながら活動に実現化できる力というのを社会教育の職員につけていってもらわないといけないということの前提として2つをとても大事だと、この会議の中で勉強させてもらって感じているところです。
 一番身近なところでまずできることは何かなというときに、やっぱり国研の中にいますので、社会教育調査というのが文科省で行われていて、この社会教育調査、項目だとか内容だとかということが、何とかしなくちゃいけないなと毎回思っているんです。もちろん何十年も続けてきたものなので、データの継続性というのは必要なんですが、この社会教育の内容として、学習内容別学級・講座数みたいなカテゴリーがあるんですけど、教養の向上から趣味・けいこごと、体育・レクリエーション、家庭教育・家庭生活。この項目って今見て非常に旧態依然としていて本当にこれ大丈夫かと思うのが一つと、もう一つはここにやっぱり障害者の学習機会をきちんとターゲットとしてやっているかどうかということを、全ての自治体に聞いたほうがいいんじゃないかなと思ったんです。
 一応今市民意識・社会連帯意識といったことを聞いているんですが、そこから特出し、出して、障害者の学習の交流だとか障害を持つ人たちにターゲットを、共生社会に関する学習機会をちゃんとやっているのかどうかということを聞いて、そして、やってないところは自分のところはやってないとゼロと書かせるということをすると、ゼロと書くのはやっぱり嫌だと思うので、行政の、やらなくちゃいけないジャンルの中に一つ、これがあるんだということを3年に一度の社会教育調査のときに、自分ところの自治体がゼロではまずいよねと思ってもらうようなきっかけとして、こういう調査の取り方というのを少し工夫したらどうかなと、これは文科省の中でやればできることなのでいいかなと思いました。
 もう一つは社会教育調査の中で出てきている連携とか協働とかということを言われているので、関係機関と共催をどんなふうにしていますかということが項目として挙がっています。非常に小さくて申し訳ないんですが、共催の相手がどこなのかということを調べているんです。そこにざっと見ていくと、学校とか都道府県の教育委員会とか、社会教育施設だとかといって、それぞれの公民館や図書館や博物館がどこと連携したのかということが書かれているんですが、その連携先としてその社会福祉に関わるような団体というものが挙がってないんです。
 やっぱり社会福祉の、福祉の分野と学習の分野というものが共催することによって、いろいろなメニューが広がっていくというのがこの会議の中でも言われてきたことなので、ここに社会福祉協議会みたいなところの項目が入っていると、社会福祉協議会と共催していること結構あると見つけてくれるかもしれないし、やったほうがいいんだという動機づけにもなるので、こんなことも入れたらどうかなということを思いました。これは今年終わったのかな、社会教育調査、次の年からすぐできることかなと思っていました。
 それから2つ目です。提案の2つ目は、私は社会教育主事講習をやっている機関にいるので、この中身というものをもっと変え、障害者の生涯学習の推進というところで見直していったらどんなことが言えるのかと思って、今、新しい科目として生涯学習支援論というのと社会教育経営論というものが入っています。
 障害者の生涯学習推進についての分野としては、生涯学習支援論の中に今年のB講習で、津田先生にお世話になるんですけれども、学習支援に関する教育理論の中に、(4)として、特別な支援を要する人々の学習というので1.5時間の講義が入っていて、実は障害者の生涯学習推進に関わる内容というのは、ここだけになってしまっています。
 それってどういうことかと私なりに考えると、これは多様な人たちが全くつまり社会教育主事が障害を持った、特別な支援を必要とする人たちにどんな学習を教える、学習を提供すべきなのか、どんな指導をすべきなのか、環境醸成すべきなのかという障害を持った人たちにどう対応するのかということを想定しているので、ここの津田先生の授業がそれだけではないことは重々承知なんですけど、どうしてもこのシラバスを見たときに、学習支援の方法論のところに入っているので、どうやって教育をするのか、どうやったら学習を支援できるのかという視点しか今のところないなと思って見ています。
 実は、社会教育経営論というもう一つの分野の中に、社会教育における地域人材の育成というところが挙がっていて、まさしくどういう人材育成を、人づくりをしていくのかということを、まち全体でどう考えるのかということを経営論の中で入れています。
 ここに、やっぱり地域課題解決・まちづくりに取り組む人材の育成と活動支援というテーマで今やっていただいているんですが、地域課題解決なのですが、もう少し障害者の生涯学習推進とかと考えたときに、例えば共生社会の構築に向けたとか実現に向けた人材育成のという視点もここに入れて、やっぱり科目として設定していくということが必要なのかなと思っています。
 学習、そのまちの中にある学習機会全体のバランスとか強弱、重点化するものが何なのかということを考えるのが社会教育主事の仕事なので、その中にやっぱり障害を持つ人たちの学習をまちづくりに生かしていく、そういう人たちと一緒にまちづくりをしていかないといけないということをやっぱり最初の社教主事講習で学んでもらえるように内容を変えていきたいなと思っています。
 これは、先日B講習をやっている社研と話をして、来年のB講習ぐらいからだったら、変えることができるかなと。特にここ今オンデマンド教材化をしているところですので、そうした視点から講義部分を考えていったらいいのかなということを今考えているところです。これもそんなに難しくなく、ここは実現できるかなと思っているところです。
 それから、先日町田市の障害者青年学級の担当、お話を事例発表として社研の中で聞かせていただく機会があったときに、担当者さんという方たちをどう集めているのかという話をしたときに、やっぱり大学の教育実習、それから社会教育の社会教育実習でやってきた学生さんたちに声をかけて、そして、やりませんかとかと、それをきっかけにやってくれる人たちが多いんだというお話を聞いて、それはいいアイデアだねと思ったので、ここに載せてみたんですけど、社会教育実習というのが全ての養成課程を持っている大学の中で1単位分、やることになっているんだけど、そこの中がどんななのかなといったときに、単純に公民館であるとか市民センターだとかというところだけしか行ってないかもしれないので、やっぱり障害者の生涯学習推進に関わっている学習機会だとか、そういうところも、こういうところで実習引き受けますよというのは難しいんですけど、文科省が実習先をあっせんすることはおかしいので、一つは社会教育士の会があります。社会教育士会、ああいうところで実習先としていろいろな社会教育士はどうあったらなれるかというのはホームページで書いてくださっているので、そういうところにこういう実習先として模範というか、こういうところが必要ですよねということをアピールできるような働きかけということならできるのかなと思っています。
 あとは、実習先として別に社会教育主事だけじゃなくて、教育実習もそうだと思いますし、多分保育士だとか、何かいろんな実習をそれこそ介護の関係だとか福祉の分野の人たちも実習は必ずあるので、そうしたいろんな障害者の方たちの生活を支える様々な専門職の皆さんに学習をするということとか、自分がやりたいと思うものを学べるということが幸せの一つの大事な要因、要素なんだということを見てもらえるための実習ということを考えていくということも大事かなと思いました。
 それから最後です。最後はちょうど私、先週ですけど、愛知県の瀬戸市に別の仕事で行ったんです。そこでは、愛知県の瀬戸市の生涯学習課がやっている「ボッチャ」大会というお話を聞いて、これは特別支援学校の部活動でボッチャというパラリンピックの競技にもなっていると聞きましたけれども、そのボッチャのサークルが学校の中にあったと。
 でも、子供たち同士が自分たちだけでやっていたら面白くないので、卒業生たちが、そのボッチャ部のクラブの子たちの卒業生がまた地域の中で新しいクラブ活動をつくりましたと。だけど、それでも自分たちだけなので、そしたら地元の高校生が、バスケットボール部のみんなだったかな、このボッチャは面白いから自分たちが高校の部活動の違う活動として、このボッチャの大会に出てくれて、あと民間のそのほかの市民団体の高齢者だったか、団体さんと出て、みんなでトーナメント大会をやったんだけれども、特別支援学校の子供たちが優勝したんだそうです。
 というふうにして、そのときにそれで学校の中でボッチャをやっているだけだったらこんないろんな人たちと参加することができなくて、社会教育が学校の部活動というところに、特別支援学校のやっている部活動というところに自分たちの活動を広げていって、まち全体でボッチャを推進しようという、先ほど梶野さんのところでもパラスポーツの可能性というのをおっしゃっていただいて、私もとても感じたんですが、一緒の競技をして、特別支援学校の子供たちのチームが優勝するなんていうのは、こんな面白いことはないし、子供たちにとって励みになったりやりがいになったりすることもないなと思っていて、これをつくり出しているのはやっぱり学校・家庭・地域の連携・協働という取組なんだろうなと思っていて、ただただ単純に、愛知県の瀬戸市の生涯学習課はボッチャ大会を開いただけなんだけれども、でも本当はとてもこれからの障害者の生涯学習推進を考える上でのいい事例にはなっているなと思いました。
 こんな小さなものでもいいので、やっぱり気軽に推進できるやり方というのを特別支援学校のコミスクに関していろいろ研修したりするときもあるので、そういうときにちゃんとPRしなくちゃいけないなということを私なりに感じたところです。
 以上3つ、私にとっては非常に小さいところではあるんですが、提案でした。以上です。

【津田座長】  どうもありがとうございます。とても分かりやすい御説明でした。
 それでは、志々田さんの御提案に対して、意見交換をしたいと思いますので、どなたからでもよろしくお願いいたします。

【志々田委員】  ちなみになんですけど、社会教育調査にアプローチしていくというのはできますよね、総合局的には。

【井口係長】  そうですね、社会教育調査の項目は調査企画課が所管課になっていて、その実施の恐らく1年ぐらい前から調査項目の設計ということで、各課に照会が入ってくると思うんですけど、ちょっと今までこうした観点、我々も持ってなかったので、今後障害者の生涯学習の状況を把握していくということはあり得るのかなという気はしています。

【柴﨑係員】  照会は来てないかもしれないです。

【井口係長】  来ていない、なるほど。そうですか、それはむしろ我々のほうが働きかけていかなくてはいけないんですね。いずれにしろ局内の調整事項と思います。

【志々田委員】  ありがとうございます。じゃあ一緒に言いにいきましょう。

【井口係長】  よろしくお願いします。

【津田座長】  お願いします。

【梶野委員】  今のことで、発想はすごくすばらしいと思うんですけど、実際にこの調査に答えるセクションがどこかというと、うちの教育委員会だと、うちの課には全く情報が下りてこないんです。調査・統計課というところが、その国の調査を一気に答えちゃうみたいな形で、区市町村にぽんと投げちゃうんです。だから、その仕組みなんかも少し研究する必要があるのかなと思うし、あとは指定調査だから経年変化をたどりたいという話が必ず出てきて、うちが都教委の指定調査でやる項目、ある調査に新しい項目を入れるとその調査するセクションからすごく抵抗があったりとかも出てきているんですよね。だからその辺のところの調整というのは多分必要になってくるので、これまでのところで例えば障害者の学習機会というのはどこでカウントしてたのかみたいなことなんかも含めて、何かの内数に入れていくというのはできるかもしれないですけど、新たに盛り込むとなるともしかしたら結構調整は必要になってくるかもしれないなと思って聞いてたんですけど。

【志々田委員】  私も同じことは思っていて、自分も、なので何か新しい項目をねじ込むというのは難しいと思うんですよね。でも、項目として、時代が変わると例えば生涯学習センターなんていうのは昔なかったものが、できたらそこの項目が増えるので、その経年変化を今から見ていかなくちゃいけないんだとすごい言ったら、説得されるんじゃないかなとちょっと思っているところなんです。

【梶野委員】  逆にね。政策として進めていこうというわけですからね。

【志々田委員】  逆に言うと今がチャンスだと思うんです。経年変化見たいということを言ったらいいと思いました、すいません。

【津田座長】  ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。青山さん、お願いいたします。

【青山委員】  私も以前、社会教育調査を実施する前に調査のあり方を検討する会議に出させていただいたことがありましたが、いろいろな部署から新たな調査項目の案が上がってきて調整がかかる時期があるはずですよね。旧態依然とした調査項目を経年で残すかどうかという議論は毎回あるわけですけれども。それとは別に、二、三年前からこの室で実施してきた一連の調査がありますよね。今後、社会教育調査に関連する内容を組み込めるとしてもごく一部だと思うので、より詳細な調査をある程度継続的に取っていく必要がもう一方であるのかなと思います。民間と一緒にやったので母数などは違うのかもしれませんし、指定統計ではないということはあると思うんですけど、あれもちゃんと続けていくことに意味があるよということも併せてここで確認しておけるといいのかなということも思いました。以上です。

【津田座長】  ありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。平井さん、お願いします。

【平井委員】  調査はとても実効性のある取組だと思いますので、ぜひやってほしいなと思います。
 それから今のお話で私は一番ぱっと思ったのは、最近一般の講座でもそうなんですけど、学びというよりは活動ベースという言い方がされましたよね。とても大事で、私たちもオープンカレッジでやっている中で、例えばごみ問題を扱った講座があったんですけど、そこで利用者、参加者の皆さんに宿題というか、自分たちで学んだことをどうやって実践できるか考えようという話になったら、エコバッグを使うだとか、地域のごみ拾いに参加するとか、いろんなアイデアが出てきて、実際にそれをやったことを次の会議にみんなが報告し合うという講座を持ったことがあるんです。
 このときの参加者の非常に意欲的な参加の仕方、しかもそれはむしろボランティアに入っている学生や先生方よりも、参加した当事者の皆さんのほうが本当に生き生きと語れたし、主体的に活動できたという経験があるんですね。活動ベースという発想は、これからの生涯学習の取組、障害者だけじゃないですけど、とても大事な発想だなと今聞きました。ありがとうございます。

【津田座長】  ありがとうございます。適切な御意見いただき、ありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。一つ、僕のほうから感じたことを申し上げます。
 社会教育士、社会教育主事がそもそもどういうものになっていくというビジョン、どういうふうに社会の中で機能していくのかというビジョンですね。そこら辺とセットになって話があるのかなという気がいたしました。
 もう社会教育の仕事に職として持っちゃった人が、障害のある人たちの学びの拡充に力を発揮していかなければいけないと。これは一つの目的、目標になっていくんだと思いますけども、養成ということを考えていったときには職を持ってない人たち、持つこともないだろうという人たちも含めて、その人たちがどういうふうに社会の中で機能していくか、どういうふうに活動、活躍していくのかということを考えていく部分も含んでいるように思えますよね。
 それで、社会教育主事資格を取ろうと思っている人たちが、実習とかあるいは授業の中で、その障害のある人たちの学びの場面に出会うことで、啓発というか、触発されていくということを目指されているということですよね。
 それで資格とは別に面白いと思って入り込んでいくというのは、これはありなんだと思いますけども、そのときに社会教育士の資格って、どういう意味を持つんだろうかなというところですね。ここら辺、志々田さんのお考えを聞かせていただけたらと思うんですが。

【志々田委員】  ありがとうございます。いわゆる社会教育士ということを名のれるようにする議論の中から、やっぱり今教育委員会だけではなくて、そうした民間の中でコーディネートをしたりだとか、それから、企業の中でSDGsだとか社会貢献だとか考える部局の人たちにとっても、学習を進めていくという意味で社会教育士として活躍してもらいたいということについて、総合局の中でも社会教育士をいろいろアピールしていこうと、防災だとか子育て支援だとか、共生社会の実現だとかというときに、社会教育士として働いてくださっている方たちにフューチャリングしてアピールをしているところなんです。
 私は、社会教育士というのをイメージすると、ちょうど昔習ったユースワーク、あれはやっぱりとてもいい考え方で、社会の中で市民を育てていくという、それができるのが社会教育士なのかなと思っていて、その辺りを私はイメージをして今社会教育士、必ずしも公的な仕事ではなくて民間の中で活動を増やしていこうとするときに、人と人とをつなぐことがどういうことなのかということを学習の中で分かっている人たちが、活躍してもらえるといいなと思っています。

【津田座長】  ありがとうございます。ユースワーカーだったらユース、若者たちの社会の定着とか社会化みたいなところが一番、設置されている目標とかその専門職の発揮される部分になると思うんです。社会教育士の場合は、ユースワークとの比較で言うと何になるのかというところですね。

【志々田委員】  恐らく地域でのコミュニティーでの活躍なんだと思います。そのユースワークが大人として、ユースワークって経済的にも精神的にも大人になっていくというプロセスがすごく着目されていると思うんですけど、どちらかというと、社会教育士の場合だと地域の地域住民になっていくというか、コミュニティーの一員になっていくというところをすごく強調した人づくりなんだと思うんです。

【津田座長】  それを考えると先ほどおっしゃっていた社会福祉協議会との地域福祉ですね、主に地域福祉との関係を物すごく強いという理論枠組みになっていく可能性高いですよね。

【梶野委員】  そうなんですよ。コミュニティソーシャルワーカーの話と、やっぱりどう考えていくかとかというのは重要なテーマだと思いながら、全社協の会議に出ていると、何となく響いてこないという感じが井口さんもいつも思っているんじゃないかと思うんです。ただ、そういうブリッジは一応、ある先生が一応そういう場をつくってくれてたりとかするので、アプローチはできないことはないと思いますよね、来年度に向けてね。ありがとうございました。

【津田座長】  ありがとうございます。社会福祉協議会の職員は社会教育士の資格を持たなければいけないみたいな話になるのでしょうか。あと、さっきの福祉か教育かというところとも絡んで、例えば博物館は結構障害のある人たちの文化芸術活動に着目をしているところが多くなってきましたね。体育館もスポーツ庁が障害のある人たちのスポーツ活動も統合したので、そういう関係から多分、障害のある人たちのスポーツ活動も無視できない状況にいるというところでいうと、社会教育の部分ではかなり障害のある人、障害のない人との統合が進んでいる感じがしますよね。
 その本家本元のところが何か排除的だというある気がちょっとします。ということで、社会教育士講習の中で、障害のある人たちの話をもっと取り入れていく必要があるということは僕自身もとても感じているところです。
 その一方で、これは提案1、提案2も含めてなんです。障害のある人たちのという話をあまり強く出し過ぎると、外国人はどうなんだとか女性はどうなんだとか子供はどうかみたいな、何かパイの奪い合いになっていくような気もするんです。この辺どう考えたらいいんでしょう。

【志々田委員】  まさしくなので全ての人に対してということで言葉を使っていかないといけないなと私も思っているところです。ただ、いわゆる社会教育の養成課程の場合は特講があって、特講はいろんなそのジャンル、何でもいいから社会教育の実践というところを選ぶで4単位だったかな、取るんですけれど、社会教育主事講習はこの特講がなくなってしまっているので、どの部分を具体的に事例として出していくのかというのは確かに取り合いになっているんです。なので、今政策上障害者の生涯学習なのでここをやります。ただし、障害者の生涯学習がだんだん一般化していけば、今回は外国の方だとか子供の貧困だとか、そういうものに変わっていくのかなとは思っていますが、ここ数年は障害者の生涯学習で押してみようかとちょっと思っているところです。

【津田座長】  なるほど、ありがとうございます。戦略的に考えていく必要があるということですね。

【志々田委員】  そうです。

【津田座長】  青山さん、どうぞ。

【青山委員】  今、この間のしばらくの議論が続くと、私の報告の内容がほぼ網羅されてしまいそうなので、もしよければ先に似たような話がほとんどなので、何を書いたかだけ御紹介させていただけたらいいなと思っているんですけど。

【津田座長】  すいませんでした、失礼しました。じゃあ、青山さん、お願いします。志々田さんの話も、どうですか、今の話で青山さんの話に移る前に一言言っておきたいという方はおられますか、いいですか。
 それでは、青山さん、お願いいたします。

【青山委員】  すいません、梶野さんの話も含めて両方にかなり重複が多いものですから、私の話を踏まえて3人分の議論をしていただければ十分かと思いますので、よろしくお願いしたいなと思っております。それで画面共有します。じゃあこちらで説明をさせていただければ。
 「社会教育における指導者・支援者養成と障害者の生涯学習」ということで、人材育成の場面で同じようなことを考えていたので、先に紹介させていただければと思います。社会教育の業界だとまだ指導者という言葉もよく使われますので、一応併記しています。
 今まさに議論されていたところ、志々田先生にもほぼ御紹介いただいているところですけれども、社会教育主事・社会教育士養成における「障害者の生涯学習」の位置づけということで、令和2年度から制度改正があったわけです。
 ただ、講習等規程や、あるいはそのもとになった文書等を読んでも、障害者の生涯学習に関する記述はほとんどないんです。カリキュラムの試案は、国社研でつくったのもあるんですが、そこにも記載はなかった状態で、制度がスタートしているという状況があります。
 大学における養成課程では、さっき社会教育特講の中に、いろんな内容があるよという話で、取り合いになるかもとおっしゃっていたところですけれども、特講の内容として例示される中に「特別支援教育と社会教育」や「人権教育と社会教育」が令和2年度から加えられています。マニアックな話ですみません、社会教育主事講習等規程というのがあるんですけど、改正以前には、その中に科目で扱うトピックが羅列されていたんですが、そこにはなかったので、一応今回の改正を境に大学の養成課程の特講の中にも障害者の生涯学習が想定されるようになったという変化はあったと言えるかもしれません。
 これはさっき志々田先生が、2つ目の表にしていただいたところで、現在の国社研の生涯学習支援論のカリキュラムの中に「特別な支援を要する人々の学習」が位置づけられてということがありました。ただ、これは津田先生がテキストも書かれていますけれども、そこを見ると、障害のある人だけに特化した内容にはなっていません。外国の方や読み書きが苦手な方や、いろんな形で学習に対して特別な支援を要する人々の中に、障害のある人が中心的なものの一つだと思いますけれども、位置づけられているという状況があるということです。
 ここでは、制度的に明確に位置付けられているわけではないということです。こういった状況を見ると、以前の有識者会議の報告の中にもあったところですけれども、「現行の養成課程の中に障害者の生涯学習に関する内容を組み込んでいくことが理想的だが」と書いてありますが、さっきの取り合いの話もちょっと意識すると、当面は現状研修等の中に組み込んでいくということが有効なのかなというふうにも思いました。というのは特講、すごいマニアックな話なんですけど、社会教育主事の養成課程の中の社会教育特講というのは、いろんなトピックをやっていたんですけれども、それをなくして、そういった個々のトピックは現状研修に回すというのがこの制度改正のときの趣旨でもありましたので、そういったようなことがあるといいのかなということや、「超福祉の学校」のようにオンラインの配信などが有効かなと思ったということが一つです。
 社会教育士をどう使っていくのかという話と関連して、2つ目の矢印のところですが、もう一つの方向性として、障害者福祉や医療や特別支援教育等の関連領域の支援者に、学習支援とか社会教育的な専門性を身につけられる機会を増やしていくことも重要であろうということです。つまり生涯学習を進めていくという上では、福祉の現場の中で学習支援という活動を行うとか、大森さんのやっている学びの会の中でも「More Time ねりま」のほうは、いわゆる障害者福祉サービスとして展開されるわけですけど、そういった中での学習の支援というところで、社会教育的な専門性が生きる機会もあるだろうということや、歴史的にはセツルメントなどで、教育と福祉が一体になるような実践もありましたし、医療現場や特別支援教育の分野の中に社会教育的なエッセンスをつけ足していくような方向性も併せて考えられます。
 この場合、社会教育士制度を、社会教育主事になるためだけではない資格の使い方として活用していくことも重要だと思うんですけれども、この制度改正に関わっておいて言うのもなんですが、裾野を広げつつ、社会教育士資格の取得を促せるような、より簡易的な研修や資格認定制度等も考えてみる必要があるのかなと思っています。例えば、司書よりは少ない単位数で、学校教員の資格を持っている人に学校図書館司書を二階建てで持たせてあげるような発想もできると思うんですよね。司書資格を丸ごと取らせてあげるんじゃなくて、教員の人に学校の中で読書活動を支援するための専門性を学校教員の二階建て部分に乗っけてあげるようなイメージで、さらに主事講習に4週間も来られるのかということを考えたときに、より簡易的に福祉の人たちや関連領域の人たちに、社会教育的なとか学習支援という発想をちゃんとインプットしてあげるような研修制度であるとか、あるいは資格制度と言うんでしょうか、簡易的なものを少し意識してみることも重要なのかなと思います。でも、これは社会教育士制度を弱らせてしまうと意味がないので、ちょっと危険な香りもしつつということがあります。
 その場合に、社会教育士資格そのものの簡易版を想定する方向と、障害者の生涯学習支援員みたいな、障害に特化した内容を想定する方向の両方あり得るということも併せて考えてみました。
 文科省の補助事業の中で春日井市がやっているものを調べたんですけど、今年度コロナ禍でされている取組の中で、障害者の生涯学習支援専門員という資格を検討していますという記述があって、今やっている中にもそういう志向性があるものがあることも拝見しました。
 ただ、梶野さんもお話されていたように、福祉の人たちの中には、学習とか教育というのはすごく縁遠いものに思っている方も多いんだろうなと思っていて、もちろんソーシャルワークの中で、成長とか学習とか発達というものをどう考えるかということはもちろんすごく重要なはずだとは思うんですけど、でも、そういった関連領域でうちは学習は関係ないよと思われないようにしなきゃいけないわけで、さっき言った社会福祉協議会との連携とかも含めてですけれども、あるいは放デイの中で、学習ということがどう考えられているかということも大事だと思うんですけど、関連領域での学習というものをちょっとほぐしてあげたり、教育というものをほぐしてあげたりして、関係ないと思われないというか、むしろ必要だと思われるような施策があると、学習支援というものについてもうちょっと勉強してみようかなと思う人が増えていくかなと思ったということが一つです。
 それで次に2つ目の話は、さっきの津田先生の特別な支援を要する人々の学習支援といったときに、いや、外国の人はどうするのかとか、ジェンダーとかいろんな属性のことも考える必要がある上で、障害者の生涯学習を位置づけるということにどんな意味があるんだろうかということ、志々田先生がここ数年は押してみようとおっしゃっていたところですけれども、障害のある人たちとの交流自体が意味を持つ場面というのはあるんじゃないかなと思っています。社会教育主事の養成課程や社会教育士の養成課程等の中に、障害者の生涯学習がちゃんと加わって位置づくということには、3つの意味があるんじゃないかと思っていて、一つはまさに障害者の生涯学習を推進する人材が養成されるということです。これは志々田先生もおっしゃったように当事者のための学習機会を提供するということもあるし、一般的な学習機会をユニバーサルデザイン化していくとかバリアフリーにしていくという発想もあるし、あるいはいわゆる人権講座のように、これからは共生社会ですよと言っていくような、非当事者を主として想定するような事業もあると思うんですけど、そういった障害者の生涯学習を推進するということが直接的な目的になりますね。2つ目に先ほど出てきたような、外国の人をはじめとする様々な形で学習機会からの排除・阻害されている人々への意識が向上するという意味です。こうした排除・阻害の問題を考えるために、代表的な人々として障害のある人たちが学習機会から縁遠かったり、レディネスが整っていなかったりするような問題について、考えられるようになるだろうということです。
 そして3つ目に、そもそもこれは津田先生の本でも論じられていることですが、何かができるようになるとか、知識やスキルを高めるというのではないような学習とか、それを支援するという意味での学習観や教育観の根本的な捉え直しにつながる契機がたくさんあるということです。
 講習等で生涯学習支援論を担当することも多いんですけれども、社会教育の特性を踏まえて学習や教育を捉えるということを人に教えるのってすごく難しくて、この会議でも何度も議論になったことですけど、どうしても学校教育をベースにした学習・教育のイメージが一般的なので、「社会教育らしさ」とか「社会教育的」ってよく言われることを実感してもらうためには、学習や教育のイメージをほぐしてあげる必要があって、ただ、それってなかなか強固なので、社会教育の特性を考える上では非常に重要な部分なんだけど、すごく難しくもあるわけです。
 今回事例集の中でも、国立市の公民館や、学びの会など、障害者の生涯学習に関する優れた実践をいろいろ見せていただくと、障害のある・なしに関係なく、社会教育っぽいなと思うことが多いのです。できるようになることだけではない学びと言っていいんでしょうか、学習の広がりであるとか、生活や地域、一緒にいることと学習が一体になっている状況とか、あるいは発達や成長だけが目指すのではなくて、その人が一緒にいられることとかその人がそこにいることの肯定から話が始まることだったり、その人をできるようにするとか指導させるよりも場とか環境に働きかけることが重視されることだったり、支援する側とされる側の区別が曖昧だったり、何かそういう社会教育っぽいことというのが非常に顕著に見える事例だなと思っていたんです。
 「わいがや」も「i-LDK」も、そういう意味で特別な社会教育をしているわけではなくて、本流の社会教育なんだと思っています。もう一方で、これはずっと議論があるところですが、障害者の生涯学習支援においては、主体的な学習の支援ということが、とてもデリケートな問題でもありますね。つまり、ついつい知らないうちにコントロールしちゃったりすることがとても多いので、普通の実践以上にセルフディレクティッドであるというか、主体的に学ぶということと支援するということの間に緊張や矛盾が生じやすい分野だし、かえって先生は先生、生徒は生徒という形にもなりやすい分野でもあります。こうした状況は、障害者の生涯学習を考えることは、できる/できないとか能力がある/ないだけじゃない教育や学習の形を考える上で、学ぶということを根本的に捉え直すきっかけになりやすいと思っているのです。
 なので、ここでの①、②のためにどうしていくかというハウツーや人材養成という部分も重要なんですけど、障害者の生涯学習というものを突き詰めて考えていくと、社会教育が大事にしてきた真ん中の③の部分にたどり着きやすいんじゃないかと思っていて、仕事としては障害者の生涯学習に直接の関わりを持たない人にとっても非常に意味があるという意味で、今後社会教育主事講習などのカリキュラムの中に障害者の生涯学習を位置づけていくことが重要になるんじゃないかと思っています。
 一方で、2つ注釈をつけてあります。1つは障害者への学習支援が結局学校の延長になっちゃうというか、逆に、旧態依然とした学習や指導みたいなものに、むしろ当てはまってしまいやすいという面もあったり、就労ばっかりの話になっちゃったりするということもここで繰り返された論点だと思うので、そういった危険性もあるという面。
 もう1つは、学習や教育のイメージの捉え直しと言ったときに、講習や研修の中で③みをどこまで教えられるのかという問題で、さっき町田の青年学級の話が出ましたけれども、その意味で、大学の履修課程で実習が必要になったということはとても重要で、さっき介護等体験で進路を変える学生さんもいるという話がありましたけど、やっぱりその現場との関わりというものをどう用意しておくかということが、いろんな人のボタンを押すきっかけになるということで、この①から③の全部を網羅するような養成システムになるといいなという、すいません、すごくもやもやしていますけど、そんなことを考えました。
 もう一つだけ。さっき梶野さんのお話の中にも、今後の担い手は誰かという話がありましたが、僕の問題意識として、当事者の人たちが支援者になることを支える仕組みというものも今後考えていく必要があるということも考えました。
 例えば当事者グループや当事者による支援活動の広がりということも考える必要があって、ピアカウンセリングとかセルフヘルプグループみたいなものの広がりはあると思いますし、僕がずっと関わっていたのは特にろう者の人たちです。ろう者の人たちは、独自のコミュニティーが強いということもあって、ろうの大人たちが聾の子供たちを支援する取組をやっていたりとか、ろう者がろう者を支援するということへのこだわりが非常に強い面があります。僕はそこに聞こえる人として関わっていたんですけど、当事者が支援者になることを支える仕組みの構築も今後の課題になるだろうと思っていて、例えば社会教育主事講習等のバリアフリー化を考えていく必要があると思います。今後の主事講習では、オンデマンド化が進む予定で、次年度の夏からはオンデマンド化が進むとなっていますけれども、それはある意味ではアクセシビリティを高めることにもなると思うので、そこにちゃんと字幕がつけられるかどうかとか、テキストデータの交付ができるかどうかも論点になるんだろうと思うし、今の社会教育主事の講習カリキュラムはファシリテーションとか演習とか実習がすごく大事にされているので、そこが目が見える人だけですよ、耳が聞こえる人だけですよ、車椅子の人は難しいですよとならないような仕組みを考えておくことも大事になるなと思います。
 すいません、ほぼ今までの議論の上塗りのようなところもあると思いますが、以上です。

【津田座長】  ありがとうございました。青山さんらしい論点が幾つも出ていると思います。ありがとうございました。それでは、青山さんの御提案を中心に意見交換ができたらと思いますので、皆さんの中で、ぜひ御発言をしたいことをお願いいたします。

【青山委員】 1点だけちょっと補足をすると、障害者の生涯学習に関わることがあらゆる社会教育のことを考える人にとって重要だという言い方をしたんですけど、それを変に教材化したり手段化してしまうのもちょっと危ういと思いつつ、でも、重要だなって、すいません、誤解のないようにそこはもやもやしていますということを付け加えさせてください。

【津田座長】  ありがとうございます。いかがでしょうか。
 平井さん、お願いいたします。

【平井委員】  青山さんの最後のところに出てきた当事者が担い手になるための仕組みづくりという発想。私は最近矯正教育というか特別支援教育と、もう一つ、特殊教育の分野には、いわゆる少年院などでの実践のある矯正教育とあるわけですけども、そういうところに首突っ込んでというか、犯罪をしてしまうとか、あるいは必要な人たちへどのようにそうしないための教育をするか。矯正教育というと、いかにもこわもての教え込むようなイメージを持っていらっしゃるかと思うんですけれども、私はここしばらくやってみて、やっぱりそういう人たちだからこそ、逆に彼ら自身が主体的な学びの意識を立ち上げてこないと、本当の意味で矯正につながらないんだなということを今実感しているんです。
 例えば非常に困難なアディクションのグループなど、やっぱりピアカウンセリングが中心なわけです。例えばドラッグのアディクションのグループですとか、本当に言いっ放し、語りっ放し、聞きっ放しというところから始まってくるんですけど、最近彼らの中に例えば社会福祉士資格を持つとか、精神福祉士資格を持つとかという、資格を取ってしっかりと学んで、自分たちのコミュニティーに返していくという、そういう動きも出てきているんです。
 今青山さんの話を聞いて、ピアカウンセリングはもちろん大事なんですけども、そこにとどまらない当事者の皆さんが、本当にその自分たちの学習を切り盛りしていくスキルをどう学ぶかという、そのためのプログラムということも、我々これから考えていく必要があるなということをつくづく思ったわけです。
 例えばファシリテーションの講習などに、障害がある方もファシリテーターとして参画できるためのプログラムはどうあるべきかということを真面目に考えなきゃいけないなと最近思うんです。大森さんの意見も聞きたいんですけど、当事者の皆さんが、自分たちの学習のファシリテーターのようにして活動するために、どんな契機というか、あるいはどんなスキルというか、必要なのかななんて。私もいろいろ自分の経験からこれから考えていこうと思っているんですけども、もし何かあったら教えてもらいたいなと思っています。ありがとうございました。

【大森委員】  私ですよね、すいません。自分がやっている立ち位置がむちゃくちゃすごい大変なポジションなんだということを皆さんのお話の中で、こうやっていろいろな知識とかがないとやれないような感じのところだったんだと、どうしようみたいな感じになっています。
 最後の青山さんだけのお話じゃなくなっちゃうかもしれないんですけど、一番最初に放デイの話がちょっとあって、私も息子を放デイに週5日通わせていた時期があって、保護者のレスパイト的な意味とおっしゃっていたように、第三者に預けられて私が休める、すごく助かったんですけど、息子が中学校に入ってから、先ほどおっしゃっていたような高校を卒業した後にそういう制度的なものがなくなると気づいて、その時間、息子はどうやって過ごしていくんだろうと考えたときに、息子が自分で自分の時間を使えるようになる必要があるだろうということで、そこから5年ぐらいかけて、放デイの時間を全部自分の時間として使えるようにしていき、高校2年生のときには放デイに行く日がゼロになったんです。
 そういう何か移行していく時間が必要と感じるというのか、主体的に自分が何を考えてどう行動するかみたいなことが、時間的に非常に取りづらいんじゃないかと思っていて、学校教育のときは、特に家、学校、放デイという感じでのルーティンの中で、常に管理、コントロールされている状況になりやすい。自分で考えて行動する時間が持てなかった状況の中で、ぼんと社会に出て、いきなり自由時間ができるようなイメージがあります。できるだけ緩やかに、その当時はたぶん息子が自分で何か考えてできる、行動するみたいなことも全然予測つかなかったんですけど、実際そうやって少しずつ少しずつ本人に任せていくことで、今では本当に一人で電車とかいろんなのに乗って移動して、最近では教習所に通い始めたんですよね。
 そううまくいくとは当時は全然思えなかったんだけど、でも何かそうやって本人の考えていく時間というのはちゃんと確保していくというのはすごく重要だと思っていて、先ほど言っていた障害当事者がここの学びの担い手になっていくというところも、何かそういう時間がない中で、急に担い手になってくれみたいなことを言っても無理だと思っていて、自分たちが考えて自由に試行錯誤できる場をどういうふうにつくるかというのはめちゃめちゃ大事だと思うんです。
 さっきそういう場所が居場所なのか教育なのか福祉なのかみたいな話をしていたんですけど、何か、呼び名はないんだけど、でもやっぱりそういう場所が本人たちのそういう主体性とか自主的に何かをするという力とか自信を育んでいるような気はしていて、ちょっとうまくまとめられているか分からないんですけど、さっき言っていた次の担い手になるという発想かどうか分からないんですけど、今、障害福祉の分野って、移行とかB型とかA型とか、就労系のサービスは充実しているんですけど、一方で、人生の就労以外の部分をどう充実させるか、それを学ぶためのベースをどう整えるかというところが少ないと思っています。特に障害のある方って、私の経験則から言うと当事者を取り巻く環境がよくなかったりすることが多いので、生きること自体の前提条件が結構整ってないことも多いのです。そこが整って中で学びの機会みたいなのをつくってもアクセスできないし、でも逆に整えていくということで学ぶことができるいうようになれば、さまざまな可能性が広がることがあるんじゃないかと思いながら、今、福祉の制度事業もやっているんですけど、今度それをどういうふうに担い手になっていくかという発想の中には、例えば就労継続させるというために、今就労を支援するセンターとかあるいは就労継続のB型なんかが商品にいろいろ付加価値をつけて、商品を向上させて、工賃を上げていこうみたいな、そういうことがすごく生きていくためにすごく重要なみたいなことを言っているんだけど、でも、やっぱりそれってすごく支援者というか制度設計をする人たちの思い込みも結構あるんじゃないかと思っているんです。
 そういうことを私がなぜ分かるかというと、それを本人たちから聞くからなんですよね。その働くということが実際働かされているという状況を私が本人たちの言葉から聞いていて、でも、一方でそういう制度とか策を考える人たちは、安定して就労ができているだろうとか、その数値化されたものだけで、本人たちの状況を捉えようとしているみたいなところにめちゃめちゃギャップがあったりする。
 ちょっとうまく説明できてないかもしれないけど、その中で本人たちがこういう学びの機会、学びというのはさっきも言ったような、何かいわゆる学校的なものではなくて自分が何をしたいかとか自分がいろんなことをやってみる機会とか、人からいろいろな話を聞くとか全てのことです。生きるためにいろんなこと、そういう学びの機会が自分を支えているという感覚がある、それは就労も含めてなんですけど、例えばこの場があるから働き続けられるみたいなことをぽつっと言ったりすると、何かいわゆるそういうことにすごくギャップがあるし、こういう場の重要性というのはその本人たちが一番よく分かっていて、そういうのを支援者側に伝えていくということももちろんそうだし、そういう場を自分たちで増やしていくために、自分たちがその担い手になっていくという発想で、ちょっと次の展開を考えていけないかと思っているんです。自分たちがやっていいなと思ったことをほかの人にも広めていくという単純な発想で何かいろんなことができそうな気がしているんです。
 平井さんがおっしゃったことと答えになっているか分からないんですけど、でも何か単純に自分が関わって知ったこととか、こうなったらいいのにみたいなことが、その本人たちの中で私が別に考えついているわけじゃなくて、本人たちがそういうふうに思うことを単純につないでいるというか、形にしていこうということを一緒にやっているというだけで、すいません、答えになっていないかもしれないですし、めちゃめちゃ長くなっちゃったんですけど、そういうことがこういう社会教育主事さんとか社会教育士さんとかの研修とかで、養成とかでできるといいですねというか、すごいことなんだなと改めていろいろな資料を拝見させていただいて、めちゃめちゃこういうことがよく分かっていないのに、私は大丈夫なのかなとか改めて思うとかして、すいません。

【津田座長】  いえいえ、本当に大事なことおっしゃっていただいたのでありがとうございました。

【平井委員】  ちょっと1点だけいいですか。今、大森さんがお子さんが放デイに行っている時間を自分で過ごせる時間にしなきゃいけないなと思われたと。自分で何とか自分の自立した時間はつくれるようになったというお話だったんですけど、最初のお話ね。そこではどんなことを大森さんはされたんですか、そこは大事だと思うんですよ。

【大森委員】  ほぼ何もしてないです。というのは本当に自由な時間ということだから、最初は放デイの時間、ずっと家の中にいたんです。何していいか分からない感じで困っていました。特にその自閉症という人たちは、何か決めてあげたほうがいいんだということを言われていたのもあったので、私もやっぱり決められていないと困る人なんだなというのをそのとき思ったんですけど、そのうちやっぱり何か自分でやり出すんですよ。最初漫画読み出して、漫画を何回も読むと飽きるから、その次の漫画はほかの部屋から探してきて読むとやって、今度はその違う漫画をコンビニに買いに行くと。次々自分で次どうしようみたいなことを考えるようになってきて、放デイに行くと決まった友達としか遊べないんだけど、家に自由に呼んで遊んでいいとなったら、友達が遊びに来るようになったとか、本人が考えていく中にはトラブルも当然いろいろあるんですけども、だけど、極力そこを大事にしていくというだけで、特に親がこうしろああしろとか、何かプログラムをやらせるとか、そういうことは全然ないんです。その本人の思いというのを大事にするという、単純にそこだけでした。

【平井委員】  ありがとうございます。今のお話で、僕は大事だと思ったところが一つあるんですよ。それは彼が友達を家に呼んできたところ、自閉症の皆さんってなかなか友達を呼んでくるとかないんだと思うんですけど、それができたということは、私は今のお話を聞いていて大きいのかなと。というのは、大森さんのお話を聞いているときに私が考えたのは、担い手になる前に自立して過ごせる力がまず必要だろうと考えたんですけど、でも、彼らにとって自立して、自分の時間を過ごすということ自体が非常に難しいわけです。
 何が大事かというと、先ほどの志々田さんのお話の中にあった活動ベースで何かをするという、活動ベースの仲間づくりが私は大事だと思っているんです。それを多分大森さんのお子さんは自分なりに友達を家に呼んできて、一緒に過ごす時間をつくったというところに大きなきっかけがあったんじゃないかなと私は今のお話を聞いて、自分で勝手に読み取っちゃったんですけども、そこら辺一つ、何か先ほど志々田さんのお話とつなげて、彼らが担い手として立ち上がっていく上でのきっかけづくりのヒントがあるような気がして伺ったんです。ありがとうございました。

【津田座長】  ありがとうございます。ほかいかがでしょうか、今の論点でもいいですし、ほかのところに移っていただいても構いません。

【青山委員】  ちゃんと担い手になるお手伝いができたほうがいいと書く一方で、学びの会の原稿の中では、大森さんが、コーディネーターはいろんなことができなくていいし、むしろできないことによっていろいろなことが生まれるとおっしゃっている内容を盛り込んでいます。できるようになることだけが学習じゃないし、できないということから価値が生まれていくし、もっと学ぶということを広く捉えると、担い手になるには専門性をインストールしなきゃいけないという発想自体が、そもそも古いという面もあるというのもあるかもしれません。さっき、大森さんもこんなにカリキュラムがあるのかとおっしゃってたんですけど、専門性をインストールするとお仕事ができるようになるというモデルで考えていいのかも、ずっともやもやしていたところではあります。
 今後の新しい学び方やその支援に関わるごちゃごちゃした分野に名前をつけたり考えていくとしたら、専門性インストール型だけじゃない学びを当然視野に入れる必要があると思います。もちろん、さっき書いたように、主事講習の受講者や、学習支援のスキルを必要とする人の養成システムから、バリアを除いていくというところについては、まず第一段階として必要だろうとは思うんですけど、その先の支援者像みたいなものはちょっともやもやしています。以上です。

【津田座長】  ありがとうございます。ほかいかがでしょうか。ありがとうございました。
 今のじゃ僕一つ、幾つか話をさせていただきたいと思うんですが、今の話、とても興味深く聞かせていただいていたんですけども、当事者が支援者になるということはそのピアカウンセリング、つまり、その障害のある人たちとの関係の中で支援者になるということと、それから、当事者が社会との接点に現れて、社会を変えていく支援者、何かそういう支援者として立ち会われてくるという2つベクトルがあるような気がするんです。全く別物でもないと思うんですけども、青山さんが書かれているのはどちらかというと当事者の、いわゆる障害のある人たちのグループの中での支援者というイメージされていますか。

【青山委員】  イメージは2つともあって、1つ目のほうだけを文字にしてしまったかもしれないんですけど、当事者が当事者を支援するという場面は昔から関わりがあったので、そのイメージでピアカウンセリングなどを挙げました。ただもう一方で、例えば、かつての国立市公民館の職員の兼松さんなどのように、社会教育職員に誰もがなれるというところの文脈もとても大事だと思っています。

【津田座長】  ありがとうございます。その前者も後者もとても大事な論点だと思いますし、それなりにいわゆる専門性のところまで言わなくても、さっき大森さんが試行錯誤の場とかという形でおっしゃったような、何か経験をする場というものはやっぱり必要なんだろうと思いますよね。例えば本人の会とかセルフ・アドボカシーグループの中で、自分たちが会を進めていく、話合いの中心になっていくというところにプロセスがあって、あなたたち任せましたと言ってできるわけではないということは言われてきているわけですよね。
 そこで司会はこうやって進めるんだとか、書記というのはこういうことを押さえて書くんだとか、そういうような経験をしていったり誰かがコーチングしていかないといけない部分があったりするということありますね。それも含めての話だということであれば、本当にその観点って弱いなと思いますね。
 そもそもセルフ・アドボカシーグループの支援というところに学習ということがどれぐらい意識されてきたのかというとかなり弱かったような気がします。それが今停滞と言ったら怒られてしまうかもしれませんけども、活動が盛んになってきてから20年以上ぐらいたったと思いますけども、あまりぱっとしないということの原因になっているのかなと思いますね。というふうに感じました。
 それからもう一つ、表面のほうというか少し前に戻りまして、資格制度のことなんですけども、いろいろとインスピレーションをいただきまして、ありがとうございました。一つは、さっきの志々田さんの話でも感じたんですけども、認定心理士って結構いろんな実習先があるんですよね。
 いつも思うんだけども、心理職の人たちって何でこんなに社会教育的なことを無視するんだろうなみたいなことがあって、もっとちゃんとこの認定心理士の資格みたいなところに社会教育実践の場みたいなことを入れていくようにしてもらいたいと思うんです。公認心理師ですね、公認心理師の資格との関連というのはすごく思いました。
 それから、社会教育との関連で言うと音楽療法士とかスポーツインストラクターとか、こういったような隣接領域なんだけども、恐らく社会教育のことを学んでないだろうという資格みたいなところにも働きかけていかなくちゃいけないということも思いますよね。ちょっと民間の資格なので、音楽療法士なんかは特に民間の資格なので、働きかけるといってもどうすればいいのかよく分かりませんけども、隣接領域との交流というのはすごく大事だと感じたところでした。
 それから活動レベルで言うと、社会教育士の簡易版があるとすれば、障害者地域生活支援センターの職員とか、それから役所の中にいるケースワーカーの方たちとか、あるいは保健師さん、保育士さんの話も出ていましたけども、保健師さんって結構やっぱりそういう考え方もあるとか、そういうことで頑張っている人たちが地域にいるんだみたいなことを知っていくと、仕事の枠が広がるようなところがあると思うんですよね。そこら辺の人たちにどういうふうに情報提供したりとか考え方を伝えたりすることができるかということが大事だなということは青山さんのお話を伺いながら感じておりました。
 すいません、考えを述べただけですけども、それでは、お願いいたします。

【梶野委員】  多分専門性が一定ついた先のよりハイパーな専門性を持てると分かる話と、そういうふうには到達する人と大森さんみたいにやっぱり目の前にいる子たちと接していながら、考え抜いた先に行き着くところの答えをもう経験値から持っている人がいて、双方の側をうまく結びつけるようなものがつくれるといいなと、本当に感想だけだったんですけど。一番厄介なのは中途半端な専門性を持った人だなという感想を持ちました。

【津田座長】  ありがとうございます。そうですね、その専門性の形成プロセスというのはそれぞれ多様性があってその多様性の交流みたいなところに意味があったりするというところはありますね。ありがとうございました。
 そろそろ、意見交換の時間としては、タイムリミットが近づいてきているんですけども、言い残したことがある方おられないでしょうか。いいですか。
 それでは、この論点整理という、2時間をかけてお話をしていただきました。このセッションは終わりにしようと思います。ありがとうございました。
 それでは、今日の3つ目の議題なんですが、もうほとんどエネルギーが皆さん、切れてきているのがもう何となく感じられるんですけども、あと30分弱です、25分頑張りましょう。事務局から、この検討会の最後のところでまとめる文章を書いていこうという準備をしてくださっているんですけども、その論点整理に向けた提案ということで、若干の意見交換ができたらと思いますので、まずは机上配布資料の5を御覧いただきながら、事務局からの説明をいただきましょう。よろしくお願いいたします。

【井口係長】  ありがとうございます。本当にもう大分長時間になってきていて、かつかなり密度の濃い議論を伺っていたので、私もやや頭がパンク気味なんですけれども、しかもこれを、この議論を聞いた後に、この議論を聞く前に作っているペーパーを説明するという、非常にしんどいなと思いながら今を迎えていますけど、最終的に机上配布資料5にありますような、議論のまとめというのを作成したいと思っています。ちょっとこれは恐らく文章にして、作文していくことになりますので、かなりの分量になってくるだろうなとは思うんです。ただ、ひとまずそこにどういう枠組みで、どんなことを書こうとしているのかということを今回共有させていただいて、今日いただいた論点はかなり多岐にわたっていますので、その論点を文章の中に落とし込みつつ、最終的な文案を次回検討していただく予定です。
 それとあとは当然座長の津田さんも、今まで5人の方の委員の意見を聞いてこられていますので、津田さんには座長として、また別途まとめの意見の御発表を次回いただくということを想定していますので、できれば座長と事務局案もすり合わせられると一番ベストかなと思いますけども、ちょっとそこまでの余裕があるかどうか分かりませんが、今後そのような手順を考えているところでございます。
 できれば1月19日に、まとめに盛り込むべき論点というのを議論し切るところまでやれると、ひとつそのまとめに向けた作業の終りが見えてくるのかと思っています。
 本日はもう丁寧に説明していく時間はないかなと思いますし、それに向けて、議論を詰めていくこともちょっと難しいとは思うんですが、大枠だけでも説明をさせていただいて、もっとこういうまとめ方があるんじゃないかみたいなことがあれば、ぜひちょっとコメントいただきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
 1のところに書かせていただいているのは、全体は今のところ4部構成ぐらいを考えています。まず、1のところでは、障害者の生涯学習をめぐる現状と課題ということで、この政策が始まって、文科省の障害者学習支援推進室ができてから、今ちょうど5年目になるんです。2年目の最後のときに、有識者会議報告があって、それからまた3年が経過しようとしているという段階です。その段階でこの現状と課題というのをまず一定程度整理していくということが、最初のセクションの課題になると思っています。
 1つ目に書いたことは有識者会議報告の大きな方向性の確認です。もちろん一つの論点だけではないので、ここも幾つか書くことになるかと思います。有識者会議以降にも、幾つか政府として取り組んできた施策の進展ということも書き加えておきたいと思います。
 ただ一方で、現実はなかなかそう簡単に変わるわけではないので、この間に行ってきた調査研究ですとか実践研究ですとか、あるいは大臣表彰等々の障害者学習支援推進室の事業についての成果と課題などもここで触れていきたいと思っています。
 その上で、この報告書の論点というのは、誰が障害者の生涯学習を担っていくのか、誰が支援や推進の担い手になっていくのかということがテーマだということです。特に今回社会教育や生涯学習というところを中心的に議論をしてきたというふうにも思いますので、きちんと社会教育、生涯学習の関係者に向けて、ミッションを明確にしていくということが課題だろうと認識しているところです。
 そのようなことを現状と課題の中では、一つのストーリーとして描いていきたいと思っています。
 それから2のところについては、ここがかなり重要と認識をしていますし、今日の論点の多くもこの辺りに関わってくるのかということを考えていますが、障害者の生涯学習支援・推進の担い手に求められる力と役割というテーマを2のところには設けています。
 全ての担い手に求められる意識・態度・視点とひとまず書いていますが、いわゆる総論に当たる部分です。ここでは、全ての担い手に求められる意識・態度・視点と、それぞれの学びの場における担い手に期待される役割や専門性等と分けて整理していけないかということを考えています。今日もかなり議論になりましたけど、障害者学習支援の専門性以前の問題として、そもそも専門性なのかということもずっと議論されてきているのかと思います。
 そもそも生涯学習の意義や社会的要請に関する認識不足とか、そうしたことがまずあるという現実を変えていかなきゃいけないということが一つの現実としてはあるわけですけども、あるいは今日もありましたが、そもそも障害者の支援というのは福祉の役割であって、教育は卒業後は関わらないという見方も根強いという現実もあります。
 教育とか学習の捉え返しという言葉が青山さんの言葉の中にもありましたけど、まさに社会教育や生涯学習で取り組む以上は、そういった課題もきちんと指摘をしておかなきゃいけないと思っています。たとえば、ずっと障害者というのは支援の客体あるいは対象であって、そういう立ち位置に置かれ続けてきたわけですけども、やっぱり生涯学習、社会教育を考えるこの文章ではそうではない位置づけ、つまり学ぶ主体としての捉え返しということを押さえておく必要があるんじゃないかということは、繰り返し議論されてきたのではないかと思っています。
 その中には、つまり今日当事者が支援者になっていくということは、複数の委員からも指摘をされていたことと思いますので、この辺を原理的にというか、理念的にもきちんと押さえておく必要があるんじゃないかということを考えています。
 専門性という言葉じゃないとすれば、でも一体、どんな視点とか態度が求められるのかということで、ここで一旦その「聴く力」とか「頼る力」とか「つながる力」ということで表現をしてみました。この表現が適切かどうかということも議論をしていただきたい部分ではありますけど、一旦このようなことを前提として共有したいということを書いています。
 つまり障害者本人が一体何を望んでいるのかとか、どんな学びのニーズを有しているのかとか、支援者が一方的に決めつけて、押しつけていくようなものではなくて、やっぱり当事者中心の学びの形式というのを大事にしていくことを支援者の役割とか態度という観点から考えていく必要があるということを考えています。
 すいません、ちょっとまただらだら説明してしまっていますので、少し飛ばしていきたいと思いますけど、その次の(2)のところは各実施主体別に担い手の役割とか課題というのを整理していこうと思っていますが、果たしてこの整理でいいのかなというのはちょっと今日聞きながらまた悩み始めております。ただ行政を中心に、このような文章がいろんな人に読まれて、これは私のことだということを認識していただいて、状況が改善されていくという道筋も考えたいので、なるべくくまなく網羅的にまとめていくために、今のところはこのような整理をしているということでございます。
 教育委員会から社会教育施設、特別支援学校、障害福祉担当課・社会福祉協議会、それから障害福祉サービス等を実施する社会福祉法人等、それから独自事業として生涯学習に取り組むNPO、大学、高等教育機関などなど一旦7つに整理をしているところでございます。
 4ページのところはまだまだ薄くて、今日いただいた提言なども含めて追加、整理していきたいと思っていますけど、3のところで考えようとしているのは、担い手の育成とか活用という言葉を一旦使っていますけど、方策ということです。つまりその担い手というのがどんなふうに育っていって、どんな場で活躍していくのか、そのようなことがここでは記述できるといいかなと思っていまして、その一つに、この会議として取り組んできた事例集、実践ガイドの作成の意図をきちんと書き込んでおきたいと思います。できればこのまとめと事例集が同時に配られるということを今目指しているところでございます。これは年度内にやり切りたいと考えているところです。
 それからまだまだ書きぶりとして全然弱いところですけど、障害者の生涯学習に係る研修機会の充実というところですとか、社会教育士のことですとか、特別支援学校教職員経験者などなど、あるいは放送大学の話題も出ましたが、こうしたことの具体的な記述というのを分厚くしていくことも今考えています。
 それから、今回はあくまで人材育成ということに焦点化したまとめになっていくと思いますので、最後のところは、今後の政策上の課題を整理していくということが4になると思っています。
 すいません、後半、特に雑駁になってしまいましたけど、一旦このような骨組みを考えていますということでございます。

【津田座長】  どうもありがとうございました。まだここからかなり練っていかなければならないということなんですけども、それでもやはりこれをつくるんだったらここは欠かせないでしょう、もうちょっとここにポイント絞ってくださいよとか、構成的にももうちょっと工夫がここの部分必要じゃないかとか、そういった御意見を取りあえず今日はいただくことができたらいいのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。お願いいたします。

【梶野委員】  1点だけ、2の(1)から(2)に移っていく間に、僕の報告資料に入れたんですけど、プラットフォームという説明を、要するにそれぞれの持っている領域の方たちが集まって、ある意味新しい知を生み出せるというか、そういう場をつくる必要があるんだという観点を入れていかないと、何か自分に関係あるところしか読まないという状況になっちゃうのかなと思うので、そういう工夫をちょっとしていただけるといいかなというのが私の意見です。以上です。

【津田座長】  ありがとうございます。とても大切な観点だと思います。今のところにくっつけての話、今いただいた梶野さんからの御意見というのは全く同感なんですけども、社会教育関係者の人たちしっかりやってくださいという部分と、これまではあまり考え、みんな抵抗なかったけれども、いろんなところ、いわゆるネットワーク行政の部分だと思うんですけども、関係するような人たちを一挙に集めてエンパワーメントとしていくような仕組みが必要なんだという、何か2つに分かれているような気がしますよね。
 いわゆるネットワーク行政型の社会教育の仕組みみたいなことがしっかりできたら、これが新しい社会教育の仕組みモデルになっていくということが目指せるといいという流れがよいのではないかなと感じました。

【梶野委員】  ぜひそういうメッセージ性もあったらいいですね、入れてほしいですね。

【津田座長】  平井さん、お願いいたします。

【平井委員】  2の(2)の各実施主体における担い手の役割と課題(各論)のところなんですが、7つの教育委員会事務局から始まって、ここは変わるかと思うんですけども、ちょっと気になったのはあまり我々も議論していなかったんで、書けないのかもしれないですけど、通常の小中高等学校の役割ということについては考えなくていいのかなという、今日の梶野さんの提案の中に、今高等学校でも特別支援教室、通級指導教室を設けることが全国的にも始まってきていますし、高等学校が卒業生のその後をどうみとるかというか、そういう役割もあるし、もともと特別支援教育というのは、中学校の特別支援学級の主戦場なわけですよね。特別支援学校に通っている児童生徒はそれほど多くなくて、中学校の特別支援学級が一番多いわけですから、そう考えてみると、通常の小中高等学校の役割ということは何か言わなくていいというか、完全に消し去っちゃっていいのかなというのはあります。

【津田座長】  ありがとうございます。特別支援学校という丸3の項目を学校にして、その中に特別支援学校もあるし、書くことがあれば小中公立学校、ほかの公立学校、公立学校だけじゃないか、小中高も含めてでしょうかね、を入れていく必要があるんじゃないかということですね。ぜひ平井さん次回どんなことがそういう点でいうと書けるかということについて、考えてきていただけたらありがたいと思います。みんなの課題ですよね、特にお願いいたします。ほかいかがでしょうか。
 これは僕も一つお話しするとすれば、制度改正、法改正みたいな国の仕組み自体に何か物申していくみたいなことは、最終的には出てきてもいいのだとすれば、どんなことまで言えるのだろうかということはちょっとみんなで1回議論する必要があるかなと思いました。これ、次回僕が御報告するときに、そこら辺を少し中心的に何か考えていく必要があるかなと思っているので、皆さんちょっと温めておいていただきたいなと思います。ほか、いかがでしょうか、よろしいですか。お願いいたします。

【井口係長】  今の点にちょっと関わってなんですけど、4ページの最後のところに生涯学習分科会における今後の議論の論点もちょっと触れていますけども、現在、中央教育審議会の生涯学習分科会の11期が動いています。そうした中でも、障害者の生涯学習は論点の一つになっています。
 別に社会教育や公民館等の今後のミッションをどういうふうに再定義していくのかという論点もあり、その審議中にこのまとめが出されるというタイミングでもあるので、次回ぜひ大いに議論はしていただいて、どう反映していけるかというのは事務局としても検討させていただきたいと思っています。

【津田座長】  よろしくお願いいたします。それでは、そろそろお時間とさせていただきたいと思うんですけども、よろしいですか。もし何かお気づきのこと、特にということが後で思いつかれたことは、事務局に御一報いただけたらと思います。
 それでは、今日の主な3つ、主要な3つのことについて活発に御議論いただきまして、ありがとうございました。とても有意義な会議ができたと思います。
 それでは、最後事務局からの連絡等についてお願いいたします。

【井口係長】  次回の会議を1月19日の3時から5時半という時間に決めさせていただいていますので、特段の連絡事項その他なければ、これで終わってよろしいでしょうか。
 すいません、本当に今大変な作業を皆さんにお願いしていて、あとは津田座長と事務局で、残りの論点をきちんと整理をして、次回を迎えられたらと思っておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

【津田座長】  ありがとうございました。

【井口係長】  オンラインの皆さんも、ありがとうございました。

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総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課障害者学習支援推進室

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(総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課障害者学習支援推進室)