障害者の生涯学習の推進を担う人材育成の在り方検討会(第7回)議事録

1.日時

令和3年11月17日(水曜日)16時00分~18時30分

2.場所

文部科学省6階第1特別会議室

3.議題

  1. 障害者の生涯学習推進のための事例集作成に向けた検討
  2. 障害者の生涯学習推進を担う人材育成の在り方に関する論点整理について
  3. その他

4.配付資料

【井口係長】  まだ青山委員が合流できていない状況ではございますが、先に会議のほうは始めさせていただきたいというふうに思います。今回が第7回の障害者の生涯学習の推進を担う人材育成の在り方検討会ということで、よろしくお願いいたします。本日は、梶野委員が欠席ということで御連絡をいただいております。
 では、まず冒頭に、文部科学省の障害者学習支援推進室長が、このたび10月14日に交代になりましたので、清重より御挨拶を差し上げます。よろしくお願いします。

【清重室長】  清重でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 今日は第7回ということで、これまでいろいろ御議論いただいていたと思いますけれども、この人材育成の在り方については、いろいろな関係者の方々に聞いても、必ず課題の1つとして挙げられている非常に重要なテーマでございます。しっかりまとめていかなければいけないと考えておりますが、論点もいろいろあろうかと思いますので、まずは本日、平井委員と大森委員のお二人にお話を伺い、また、次回以降もほかの委員の方々からも、いろいろと御提言をいただければと思います。そういった中で、何らかの形にまとめていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

【井口係長】  ありがとうございました。
 今、ちょうど青山委員も、パソコンの不調があったみたいですけれども、合流ができたみたいで、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 では、この後の進行を、座長の津田さんのほうにお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【津田座長】  皆さん、こんにちは。よろしくお願いいたします。
 今日も、特に平井さんと大森さんが御提案をしてくださることになっていますので、熱い議論をしていきましょう。梶野さんが来られないのはとても残念なのですけれども、梶野さんの分まで、皆さん、御発言ください。
 今日は大きくは2つの議事があるということでよろしいですよね。1つは、メインは大森さん、平井さんのお話なのですけれども、その前に、事例集作成に向けた検討ということで、事務局からの報告ということになりますでしょうか。

【井口係長】  まず、配付資料のほうを御確認いただきたいというふうに思います。今、議事次第を御覧いただいているかと思いますが、資料1が、この間、皆さんに原稿執筆や様々な調整等をお願いさせていただいております、障害者の生涯学習の事例集、ガイドブックというふうに呼んでいるものの、現在の構成案になります。ちょっと小さい字で恐縮でございますが、こちらと、資料2、資料3は、後半に議題とさせていただいております、平井さん、大森さんの今日の発表資料に関わる資料ですね。
 それ以外に、机上配付資料として、1から5までをお配りさせていただいております。机上配付資料1と机上配付資料2は、青山さんが御執筆をいただいたガイドブック、事例集の原稿ということになります。皆様に見ていただくのは今日が初めてかと思いますので、後ほどまた青山さんからも、どのような趣旨で書かれたのかということも含めて御説明をお願いできればというふうに思います。
 机上配付資料3、机上配付資料4、A3でお配りしているものですね。こちらは、特別支援学校のコミュニティ・スクールの可能性ということで、志々田さんに御執筆をいただいた原稿をサンプルページに落とし込んでいただいたものということでございます。こちらも2回ほど修正をしていただいた経過がございますので、また後ほど御確認をいただきたいというふうに思います。机上配付資料4は、特別支援学校を地域に開き生かしていくということで、こちらは、梶野さんに御執筆をいただいた原稿をサンプルページに落とし込んだものということで、こちらも皆さん御確認をいただければというふうに思います。
 机上配付資料5が、こちらも原稿としてお示しするのは今日が初めてということになろうと思いますが、志々田さんと事務局のほうで作成をしました、いわゆるQ&Aという形で、何か実践を始める方のガイドになるような原稿をまとめるということで、試行錯誤してまとめたものでございます。
月刊公民館の10月号が、障害者の学習支援ということで特集テーマにしていただいたこともあるので、そこでそのたたき台をつくりまして、ここにさらに加筆修正を加えているというのが、お手元の原稿の内容ということになっておりますので、これも後で御説明をさせていただきたいというふうに思います。
 お配りしている資料は以上でございます。
 今日は、編集に関わっていただいている鈴木一郎太さんが会議に出席することができないということなので、ぜひ、ここで皆さんからいただいた意見を編集に生かしたいというふうに思いますので、お気づきのことを何でも御指摘いただきたいというふうに思います。とはいえ、メインの議題も時間をしっかり確保しておきたいと思いますので、30分程度お時間をいただいて、意見交換できればと思います。
 まず、現在の進捗状況でございます。資料1の台割のところを見ていただければというふうに思いますけれども、全体で32ページ程度の構成ということで、この分量は大体固まってきているところかなというふうに思います。まだ「未」となっているところの原稿が固まっていないという状況になっておりまして、「はじめに」というところで1と2というものがあるのですが、これは、事務局の不手際で、まだ津田さんのほうにしっかり御相談ができていないところでございますが、4ページ、5ページについては、既に前回サンプルページをお示ししているとおり、ほぼ完成ということですが、6ページ、7ページについての内容をどうするかということは、事務局と津田さんのほうで今後、御相談をさせていただきたいというふうに思っています。
 8ページ、9ページの公民館の障害者青年学級の取組については、今回、青山さんが原稿をお示しいただいているという状況でございます。
 それから、10ページから13ページまでですね。神戸大学の取組ということで、知的障害者に大学をひらくという原稿については、既にこれも平井さんに原稿を御執筆いただいていて、サンプルページもできているという状況でございます。
 14ページ、15ページについては、NPO法人障がい児・者の学びを保障する会という原稿を、今後、青山さんが今現在、御執筆に取り組んでいただいているところということになりまして、大森さんと今後御調整を進めていくところになっております。
 それから、16ページ、17ページの当事者参画の仕組みということで、こちらについては今回、机上配付資料2として、青山さんのほうから原稿を御提出いただいて、皆さんにお示しをさせていただいているところでございます。
 18ページ、19ページ、あるいは21ページ、22ページについては、先ほど説明したとおり、サンプルページでお示しをしているものでございますので、後ほど志々田さんからは御説明をお願いできればと思っています。
 22ページ、23ページについては、既に前回サンプルページを見ていただいている内容になりますので、こちらは既にほぼほぼ固まっている原稿ということになります。
 24ページ、25ページについては、当初、福岡の手をつなぐ育成会保護者会の取組などを御紹介したらどうかというような御意見もいただいておりましたが、今のところ、自立支援協議会の中で取り組まれている事例などにスポットを当ててはどうかと、つまり、やはり自治体の関係者が読んだときに、自治体の事業あるいは取組として直接参考になるようなものもあったほうがいいのではないかというようなことを事務局で検討しておりまして、こちらのほう、事務局で原稿案を今後作成してまいりたいというふうに思います。
 26ページから29ページについては、Q&Aということで、本日原稿をお示ししているものということになります。
 それ以外のオレンジのところについては、事務局のほうで調整をしてまいりたいというふうに思っています。
 現状はこのような状況になっております。
 ということで、この後は、今日、机上配付資料としてお示ししている原稿について、各執筆者から一言ずつコメントを説明いただきながら、意見交換していただくという流れでいかがかというふうに思っております。
 私からは以上です。

【津田座長】  ありがとうございます。
 1つ、この資料1のほうの構成について御意見のある方はおられますか。青山さん、志々田さんは、この資料は全部見える状態にあるのですね。大丈夫ですか。
 福井の事例というのはどのような事例なのか、簡単に説明していただけませんか。

【井口係長】  すみません。今日、手元に資料がないのですが、実は、福井市のほうでは、自立支援協議会の中でサークル活動紹介のような冊子を作成しているのです。その冊子は、福井市の自立支援協議会の中の居宅生活支援部会というところが作成しているものなのですが、いわゆる障害のある方々の情報収集をきちんとして、その方々のニーズに即した形で情報提供ができるように、市内のサークルですとか、学びの活動についての情報を集められて、1冊の冊子にしているというものです。我々、この情報を何で知ったかというと、今回、福井市のほうから大臣表彰の推薦がございまして、表彰が内定しているということで、来月表彰予定なのですが、この団体の資料を拝見している中で、非常に貴重な資料ではないかというふうに我々も気づいたところでございまして、担当のほうでも情報を今収集しているという状況です。非常に、本人たちは謙遜されているというか、地味な取組なのですがということなのですけれども、とはいえ、やはり相談支援業務をやる中で、そうした問合せというものがやはり多くて、それに対応していくために、情報収集・提供という必要性を感じて行われたということでしたので、我々としては紹介に値するような取組ではないかなということを、今考えているところでございます。

【津田座長】  ありがとうございます。とてもいい事例が見つかって良かったです。
 それでは、あとありますか。この資料1に関しての御質問・御意見。

【平井委員】  当初の予定から見ると、かなり遅れているような気がしますけれども、スケジュール的にはどういう方針でいるのでしょうか。

【井口係長】  ありがとうございます。おっしゃるとおり、すみません。こちら事務局の不手際なのですが、当初は12月末の段階ではほぼほぼゲラが出来上がっているということを目指していたのですが、今、11月中旬の段階で、まだ全ての原稿がそろっていないということですので、なるべく、目標としては12月末にゲラ作成というところは、今も目標にしたいとは思っていますけれども、若干年明けに食い込んでくる可能性はあるかなと思いますけれども、いずれにしても年度内に印刷まで終えて、配布に向けた作業を進めてまいりたいというふうにおもっております。

【平井委員】  確か私、コメントを書く役割だったかと思うのですが、いつ書くのでしょうか。

【井口係長】  おっしゃるとおりでして、この割り振りも事務局から御提案をしなければいけないという状況でして、大体の原稿がそろった段階で、全体に目を通していただいた上で、コメントを入れていただくとバランスが良くなるかななどということを考えておりますので、12月上旬から中旬にかけて、ほとんどの原稿が取りまとまった段階で、コメントを、短いコメントにはなるかと思いますが、特に、平井さん、梶野さんには、元特別支援学校教員の立場、あるいは社会教育主事の立場ということで、それぞれ御執筆をまた追加でお願いする算段でおりますので、その節はどうぞよろしくお願いいたします。

【津田座長】  ありがとうございます。
 それでは、新しい原稿を書いていただいた方から、本当に簡単で結構ですので、一言ずつ解説的な発言をお願いしたいと思います。
 まず、青山さんから、いいですか。

【青山委員】  すみません。私のところが一番遅れておりまして、いろいろ御迷惑をおかけして本当に申し訳ないのですが、今回机上配付していただいているものの1つ目と2つ目が私の原稿となります。あと、大森さんに取材させていただいて書くところがまだ、取材はできているのですが、完成に至っておりませんで、本当に申し訳ありません。
 今日お出ししている1つ目は、国立公民館ですね。もともと井口さんのホームグラウンドでもありますけれども、国立市の公民館で行われているコーヒーハウスの取組について、インクルーシブな学びという視点から書きました。
 1つのキーワードとして、昔からの言葉ですが、「たまり場」という要素が、結果として共生につながっているというような視点で書いてみました。2,000字を少し超えていますので、一郎太さんのところでばっさり落とされる部分が出てくるかもしれませんが、おおむね2ページでこんな書き方をしているというところでございます。
 2点目は、これも大森さんにつないでいただいたものですけれども、練馬区の住民参加の仕組みというか、いわゆる意思疎通に関する条例をつくる検討部会というのがあって、そこに学びの会の当事者メンバーが2人、委員に入っているわけですけれども、こういった当事者が参加する仕組みの協議会とか審議会のようなものの取組として、本来は社会教育委員の会議とか公運審でそういうのがあればということで話が始まったものでしたけれども、練馬区のものを取材して、そこで学びの会のサポートの在り方とか、こういった経験を行政が蓄積していくこと自体の大事さとか、そういったことを書かせていただきました。
 すみません。簡単ですが、以上です。

【津田座長】  ありがとうございます。
 この配付資料2のほうは、14ページ、15ページの原稿ということになるということでいいですよね。

【青山委員】  違います。そうではなくて、16ページ、17ページです。

【津田座長】  16ページ、17ページか。
 14ページ、15ページも。ああ、はい。承知いたしました。では、この2つの原稿について、お気づきのことがあればお願いします。
 あまり熟読していると時間がなくなってしまうので、印象的なところでいいと思うのですけれども、よろしいですか。
 僕、1つだけ、印象的なことなのですけれども。国立のほうのペーパーなのですが、初めて何か障害のある人たちの学びの場をつくっていこうというふうなことを考えた人が読んで、歴史もあって、あまり大それたことと思わないような切り口を最初に掲げられないかなという気がしたのですけれどもね。場所が必要、やはり場所をつくることが大事だよねとか、あるいは、地域にいる青年たちに役割を与えていくような取組が大事だよねとか、何かそういうような切り口を初めにどんと持ってきたほうが、遠い話じゃなくなるような気はするのですけれども。

【青山委員】  確かに、40年の熟成された結果だけ書いても、職員さんにとっては縁遠い話になってしまうかもしれません。もう少し、大事なポイントというか、国立公民館ではなくてもできるコツみたいなものを少し抽出して、頭に置いた上で読んでいただくとか、そういうようなイメージでしょうか。

【津田座長】  僕はそういうふうに、印象として持ったということですけれども。

【青山委員】  分かりました。既に時数がオーバー気味なのだと思うので、書き方を井口さんとも相談しながら、今の御指摘を反映できるように、少し考えてみたいと思いますが。

【津田座長】  よろしくお願いいたします。
 ほか、いかがでしょうか。

【志々田委員】  1ついいですか。

【津田座長】  お願いします。志々田さん。

【志々田委員】  すみません。青山さんの原稿の、大森さんのところの事例のところ、最初の言葉なのですけれども、本当にぱっと見のところですけれども、社会教育における住民参加へのこだわりという、こだわりという言葉が入っていて、こだわるって、もちろん大事なこと、大事なことを揺るがなくという意味もあるけれども、こだわるってあまり、常用でいくと、そんなことにこだわってみたいなマイナスの意味のこだわりももちろんあったり、あと、発達の課題のところにこだわりという言い方をしたりするので、どうしても。何かもう少し違う言葉のほうがいいかなと思うし、大原則なのですよね。この住民参加というのは。そのことが、好き嫌いでこだわっているのではなくて、もう原則なんだよという言葉で表現できるといいなというふうに思いました。ちょっと考えてみて、いいアイデアがないので申し訳ないのですが、考えてみてください。お願いします。

【青山委員】  ありがとうございます。「こだわりの味」みたいなほうのこだわりの使い方をしたわけですが、確かに誤解がありそうな表現だと思いますので、ちょっと考えます。ありがとうございます。「原則」でいいのかもしれませんね。

【津田座長】  ありがとうございます。
 ほか、いかがですか。
 先を急ぐようですけれども、気がついたらまた発言、戻っていただいて、志々田さんの机上配付資料3のほうに行きましょうか。
 志々田さん、簡単な解説をお願いいたします。

【志々田委員】  ありがとうございます。
 私のほうの原稿は、前回のところから大きく、分量のこともあったので、事例自体を山口の特別支援学校の事例だけにしました。もう1つは、変更したところとしては、学校運営協議会の説明というよりは、特別支援学校の学校運営協議会が周りの地域を巻き込んでいくときに、どういうテーマが取っつきやすいか、始めやすいかといったときに、山口の事例の場合は防災という視点を使っていて、そこの部分が共生社会をつくっていくというときに、その学校の周りにある地域の人たちが、少しずつそれについて気がついていくような、そういう取組として、防災訓練であるとか、防災という視点で避難所運営とか、そういうところで貢献しているというようなところの内容に絞ることにしました。
 あと、一郎太さんがきれいにレイアウトしてくださっていて、多分、私の原稿がちょっと短かったので、すてきなかわいらしい絵を入れてくださっていて、こんな感じで柔らかい感じで編集していただくと楽しいかなというようなことを思って、とても気に入っています。
 以上です。

【津田座長】  ありがとうございます。
 それでは、志々田さんの原稿と、それからこのレイアウトも含めて、御意見、印象をお持ちの方がおられたら、お願いいたします。

【平井委員】  1点目は、まず最初に、新しい学習指導要領での生涯学習の魅力を高めることの重要性を述べた上で、防災が当事者意識を持って学び合うことのできる生涯学習テーマの1つであるという取り上げ方は、大変すっきりしていると思いました。ありがとうございます。
 2点目は、レイアウトなのですが、「遊び」があっていいのですけれども、題名の枠、これはスペース的にちょっともったいない気がする。この方のレイアウトの特質なのでしょうけれども、私の目からはちょっと文字が小さいのですよね。もうちょっと考えてほしいと思います。

【津田座長】  ありがとうございます。
 レイアウトのことについての、これが原案ということでよろしいのでしょうかね。

【井口係長】  はい。原案で大丈夫です。むしろ、そういうコメントをいろいろいただけるとありがたいと思っていまして、まだまだ修正ができたらと思っています。
 私も、もう少し何か大事なキーワードが来ているような形にできないかなとか、あとは、小見出しを入れるのはどうかなとか、ちょっと悩みながら私も拝読していますので、今のような御意見をどしどしいただけると、一郎太さんと、こんな意見が出ましたということで、我々のほうで協議させていただきたいと思います。

【津田座長】  ありがとうございます。
 青山さんの原稿、大体、この前できた原稿は、青山さんみたいな小見出しはついていましたけれども、志々田さんはあえて小見出しは入れなかったのですね。

【志々田委員】  いえ。入れたほうが。別にあえて入れていないわけじゃないです。ただ単純に入れていないだけなので、入れることも可能です。

【津田座長】  分かりました。では、その辺も少し、この全体の構成を見ながら、小見出しも検討していただくかもしれないということですね。

【志々田委員】  はい。

【津田座長】  いかがでしょうか、皆さん。ぜひ御意見をいろいろとお寄せください。
 僕のぱっと見た印象を申し上げると、文字が読みにくいなと思いました。これは、人によって違うのかな。青い文字は読みにくい、字が沈んで見えて、浮かんでこないのですよね。多分、色の問題と、文字の、下の問題もあるのかな。ちょっといろいろと試して、どの色とかフォントだと文字が浮いて見えてくるかというのを試していただいたほうがいいような印象を持ちました。

【阿部係長】  すみません。阿部です。
 一番最初のところの学習指導要領の公示の日付なのですけれども、平成30年3月になっていますけれども、特別支援学校のほうで平成31年2月ですよね。

【志々田委員】  ごめんなさい。そうでした。もう一度調べます。すみません。

【津田座長】  阿部さん、ありがとうございます。

【阿部係長】  小・中学部が平成29年4月で、高等部のほうが平成31年2月。高等部のほうの学習指導要領に、この生涯学習の必要性というのが載っていたかなというふうに思うのですけれども。すみません。

【志々田委員】  そうです。はい。高等部のを見た記憶はあるのですけれども、すみません。直します。

【井口係長】  志々田先生、こちらでも確認をしてみたいと思います。また御相談させてください。この件。

【志々田委員】  お願いします。

【津田座長】  ほかにいかがでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは、机上配付資料4、梶野さんがおられないので、ざっと御覧いただいて、もし気づいたことがあれば、コメントをお願いします。

【井口係長】  梶野さんからも、今日お電話をいただいて、電話をいただいたときに幾つか梶野さんがおっしゃっていたコメントだけお伝えさせていただこうと思うのですけれども、大分がらっと書き直していただきました。梶野さんもがらっと書き直したというような内容になっていまして、梶野さんの場合、書き方が、やはり社会教育士の立場の書き手としているところを前面に出しながら書いてくださっているので、若干、ほかの方と違うトーンになっているかなと思うのです。ただ、これはこれで、事務局としてはありなのかなと。むしろ、梶野さんが書いているということをきちんと明示しながら読んでいただく、そういう原稿にしていく必要があるかななどということを感じております。今、そういうレイアウトや構成になっていないので、その辺を考えなければいけないかなと思っています。
 それから、梶野さんがやはり少し気にしていたのは、特別支援学校における公開講座の位置づけというものを、歴史としてまずしっかり、こういう取組があったのだということを、やはり書きたいと。とはいえ、現状では様々な課題があって、見直しをしなければいけない段階の中でこれを書いているという難しさがあるというようなことをおっしゃっておりましたので、忌憚なくいろいろ御指摘いただければというようなことはおっしゃっておりました。

【津田座長】  ありがとうございます。
 いかがでしょうか。
 1つ思っていることを言うと、ちょうど志々田さんの書かれているものと続けて出てきているというところもあるかもしれませんけれども、この2つの差別化というか、結局、タイトルだけ見るとほとんど同じじゃないかという感じがしますよね。志々田さんのほうは、コミュニティ・スクールというところが出てきているので、タイトルに。それで差別化になってくると思うのですけれども、梶野さんに書いていただいたものと、何か1つキーワードが必要となるのではないかなと感じました。タイトルに。

【平井委員】  タイトルが、地域に開き生かしていくということになっているので、志々田さんのところとの差別化が図れないですよね。ボランティア養成講座や、卒業生支援のための本人講座を開いているところがポイントなわけですから、そこが浮き彫りになるようにタイトル化する必要があるということと、その発展をどう考えるのかという方向性が欲しいなという気がします。
 なので、この本人講座やボランティア養成講座の遺産を大事にしながらも、どうしたらいいかな。やはり、地域の社会教育行政とのつながりを持つことと、特別支援学校は地域における特別支援教育のセンターという役割をもともと持っているわけですから、それに卒業生支援という役割も関連付けていくとか・・・
 すみません。中途半端な意見ですが。

【津田座長】  ありがとうございます。
 あまりここで、梶野さんがおられないところで話を進めてもあれなので、ちょっと課題かなというところをお伝えいただくくらいになるでしょうかね。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうかね。
 また、お気づきのことがあったら戻ってくださいね。
 最後、机上配付資料5のQ&Aについての解説をお願いいたします。

【鈴木係員】  前回1回、たたき台ということで、大枠はお示ししておりましたが、それを更新させて、今回また資料5としてお配りしております。
 前回から変わっているところですけれども、前回御指摘いただいた点が幾つかありました。例えば、タイトルですね。全体が物語仕立てになっておりますので、そういったところを強く出すとか、この事例の規模感をどうするのか、県の担当者もいますし、市区町村、公民館の担当者もいますので、そういったところを1回、もう一度再検討させていただいて、現状、今、X市の生涯学習課に勤務するYさんとさせていただいています。あと、冒頭の説明の最後の段落ですけれども、公民館で働く職員ですとか、障害福祉に関わる担当者など、自分自身の立場に可能な範囲で読み替えて御覧くださいというような注を入れているような形になっております。
 全体のボリュームとしては、前回お配りしたものから絞って、全10問ですね。10の質問と答えにしておりまして、これでもちょっと分量が多いところなのですけれども、このぐらいが最低限かなと、ストーリー仕立てにするとこのような形になるかなと思ってまとめているところです。
 全体の広い視点から志々田さんにまとめていただいたり、また、井口係長のほうで、実際に青年学級に携わっていた立場から、具体的なところも見ていただきながらまとめたような形になっておりますので、また何かお気づきの点があれば御指摘いただければと思います。
 以上です。

【津田座長】  ありがとうございます。
 お気づきのことありますでしょうか。
 いいですか。よろしいでしょうか。
 このQ&Aは、必要な人が読んでくれたらいいぐらいの位置づけと考えていいですか。つい読まされてしまうみたいな方向に誘導されていくような紙面構成にするかどうかということなのですけれども。

【鈴木係員】  そうですね。やはり見ていただかないと意味がないというところがあるので、Q1を見たら、その後、2、3、4と、10まで読みたくなってしまうような、紙面上の工夫も含めて、ストーリー仕立てで進めていきたいなというふうに思います。

【津田座長】  ありがとうございます。
 これ、読ませているって結構大変だと思うのですけれども。例えば、漫画に、ストーリーの部分を漫画にしてしまうとかね。

【鈴木係員】  そうですね。前回も志々田委員から御意見ありましたけれども、どう、イラストとかそういったものを織り交ぜながら、例えば、絵本のような、次のページをめくりたくなるような仕掛けというのは、またこれはデザインさんとも相談していきたいなというふうに思います。

【津田座長】  ありがとうございます。ついつい読みたくなる紙面構成ということを、ぜひお願いできたらと思います。
 よろしいでしょうか。先を急ぐようですけれども、この事例集、ガイドブックについては、一旦これぐらいにさせていただいて、またお気づきのことがあったら、おいおい事務局宛てに御意見をいただくということで、一旦ここで区切ろうと思います。よろしいですか。
 ありがとうございました。
 それでは、今日のメインディッシュのほうに移っていこうと思います。大森さんと平井さんのお話をこれから伺うわけですけれども、最初は平井さんからですか。

【平井委員】  はい。

【津田座長】  では、まず平井さんの御提案を教示させていただきたいと思います。今から、時間は5時半まででしたっけ。今日のは。6時半ですね。ということは、今から2時間もないね。だから、お一人の教示時間は50分ぐらい取っても大丈夫ですか。それでは、平井さんのお話を伺って、そのことに関連して、残り時間、今からだと5時35分ぐらいまでの時間を教示に充てるという形で進めさせていただいてよろしいですか。はい。
 それでは、平井さん、よろしくお願いいたします。

【平井委員】  持続可能な障害者生涯学習実践への人材育成のためにということで、主として教員系人材に焦点を当ててお話をしたいと思います。

【津田座長】  大丈夫です。

【平井委員】  2ページ、障害者生涯学習を担う人材という点ですが、通常は、コーディネーターと講師がいれば、成立するのですが、障害者の場合には、これにサポート役がどうしても必要ですね。ですから、私などはこのサポーターをどう確保するかということばかり考えてきたような気がしますけれども、一番大事なのはコーディネーター、事務方というか、そういう人たちの存在ではないかと思うのです。やはり事務方は事務方でしっかりと育てるというか、育成する必要があるだろうと考えました。
 3ページ、ではどういう人材がいるのかというと、1つは個人的な人材、ボランタリーな発掘人材と書きましたが、障害のある子どもの親御さん、きょうだい、あるいは特別支援学校・学級の先生・元教師、障害者と接する機会がある住民、学生等々ですね。こうした個人的に参加するという人たちと、もう1つは組織的な人材あるいは職業的な人材と書きましたが、これはもう、仕事としてやるということですね。そういう人たちに分けてみました。
 4ページ、今まではどうしてもボランタリーな活動に頼っていたところがあるので、そういう意味では、まさに発掘人材に偏っていたと言えると思うのです。要は、我々が検討しているところは、我が国で初めて障害者生涯学習を担う人材育成を事業化しようというか、それを軌道に乗せようとしているわけですから、そういう点では、この検討会の役割は、決して低くないな、大変だなというふうに思っているわけです。
 5ページ、これは随分前に、主として知的障害者を対象とした生涯学習の状況をまとめた図ですけれども、これを分類してみると大きく分けて5つぐらいになります。1つは、学校でやっていること。2つ目が社会教育でやっていること。3つ目が、民間でやっていること。4番目は、障害者福祉事業。5番目は、障害者多数雇用事業所ですね。こういうふうに5つぐらいに分類して考えたときに、この辺の青でくくったところあたりが、これから活発化しなければいけないところかなと思っています。つまり、今まで障害福祉事業所や特別支援学校に担われてきた事業を、もうちょっと社会教育として生涯学習のほうにシフトしていくということが、どうしても必要だろうなと思います。
 6ページ、障害のない人々の生涯学習って何をやっているのかってよく考えてみると、今言った5つのうちの1番、2番、3番なのですよね。1番というのは学校なのですけれども、主に大学、専門学校。2番目は公民館、生涯学習センター。3番目は民間のカルチャーセンターや、通信講座とかですね。今後は、こうした分野への障害のある人のアクセスを図ることが課題になるだろうと思います。1にはオープンカレッジ、2には青年学級という先行事例もありますけれども、それを発展・拡充することが最も有効な近道だとやはり思います。また、3については、4番目の障害福祉事業と重なり合う側面もありますが、例えば、みんなの大学校や、ゆたかカレッジなどが先行事例としてありますね。
 7ページ、ちょっと見方を変えて、生涯学習振興法では、国民の自発的意思を尊重する、何よりも学習主体である参加者、住民の主体性が大事だと言っているわけですよね。しかし、今までの、特に知的な障害のある方たちを対象とした生涯学習事業というのは、アウトリーチ的な発想が強くあったというふうに思います。
普通の社会教育施設で行われている事業、例えば、どこかの公民館に行って、今日何をやっているかと見てみると、ほとんどが住民サークルがやっている活動ですよね。公民館が主催する事業であったとしても、その講演会に参加してきた人たちが、何人か残って、じゃあ、もっと継続した勉強しようよと、サークルを立ち上げていくという、こういう発想が強いわけですけれども、この考え方を、障害のある人たちの団体にも広げていく必要があるだろうと思います。つまり、彼らが集い、学び合うサークルを育成することが鍵を握っているのではないかと思います。
 8ページ、先行事例はあるのですね。大津市のMMK(モテてモテて困っちゃう)というのですけれども、糸賀賞を取ったこともある団体ですね。もう一つは、私たちが一緒に勉強した北海道石狩市の大地の会、これは本人部会です。このように、仲間がいないと学びってつくれない。逆に、仲間がいれば学びができる。そういう関係だと思います。
 ページ、10ページ。れは調査結果ですけれども、私はこの中で一番、本人ニーズも、本人の経験も、そして施策も少ないとされている「一緒に刺激し合って向上していける仲間づくり等に関する学習」、ここに注目しました。一緒に刺激し合って向上していける仲間づくり等に関する学習というのはどういうことかというと、主体的・協働的に調べ・まとめ・発表する活動などと書いてあるのですね。まさにこれは、現在の学習指導要領で強調されている、主体的・対話的で深い学びという、ここにつながる学習ですから、敷居が高かったのですね。そういう点では評価が低かったと思うのですけれども、ここでは、その後に書いてあるように、自ら学習や交流を企画する、人と関わる、コミュニケーション、集団生活のルールやマナー、仲間と学び合う場、様々な人との関わりによって成長する場ということに焦点があまり当たっていなかった。そういう点では、もっとこの点を重視した活動、そのためにはサークルを育成することが大事だろうと。これは、社会教育主事の皆さんは最も得意とする分野でもあるわけですね。
 11ページ、生涯学習分野にも教育と福祉の連携をという点についてご説明します。これは、トライアングルプロジェクトというのがありまして、放課後デイ等の就学の事業、子どもたちの学びを、福祉との連携の中でもっとしっかりしていかなければいけないということでつくられていたプロジェクトですけれども、そこには、学校在学中から社会参加に至るまで、地域で切れ目なく支援が受けられるよう、文部科学省と厚生労働省がタッグを組んだものであるというふうに説明されています。こうした連携の場に、これからは公民館や生涯学習センターも加えていって、担当する社会教育主事を指名する。学校には、特別支援教育コーディネーターという、言わば接着剤のような先生が指名されていますけれども、社会教育の場でも、こういう連携の場にしっかりと位置づけていく必要があるのではないかなと思います。
 そこまで考えたら、いや、待てよと。12ページです。この省内、文部科学省内にもトライアングルが必要なのではないか。そのトライアングルは何かというと、この推進室と、それから、同じ局にあります生涯学習推進課、あるいは地域学習推進課、そして初等中等教育局の特別支援教育課、これは学校教育を担っている署ですね。この3つがしっかりとしたトライアングルをつくって連携していく。そこから活路が見いだせるのではないかなと思ったものですから、僭越ながらこのような図を描かせてもらいました。それぞれの資料に、全部リンクを張ってあります。
 いろいろな人材認証制度が各地域に、あるいは団体によってつくられています。そういう中に、障害者生涯学習コーディネーターという、そのような資格をつくって入れるということも考えられますけれども、現状ではまだそこまでできるような団体も育っていませんし、まだちょっと先の話かなと思いますね。
 ということで13ページ、今やっている地域コンソーシアム事業、これを全ての都道府県に広げていければ、いいのだろうなと思っています。この点については、ガイドブックのほうにも書かせていただいた兵庫県の地域コンソーシアム事業の成果を、ぜひ全国に広げていければと思っています。
オープンカレッジの今後の在り方については4点ぐらいにまとめてみました。各大学が、やはりSDGsの4.5、4.aを本気で実施する。それから、事業実施のコーディネーターを明確にして取り組む。各大学のオープンカレッジといってもいろいろな形態があって、研究室の先生と、その学生が取り組むというのは、オープンカレッジの特徴だったのですがそれだと継続支援に問題があるのですね。現在まで継続しているところは、大学の部局・職員が事業を担っているという、そういうところがあります。そういう点では、エクステンション、あるいは特別の課程をしっかりと位置づけていく必要があると思います。
15ページ。さて、コーディネーター人材の発掘・育成の課題です。私は特にここでは、学校教育系の人材、元教員の活用というところですけれども、元教員だけではなくて、現職の教員でもいいのです。個人的な人材として活躍してもらえればいいのです。そういう方もたくさんいます。ただ、やはり職業的な人材として育成するということであれば、何らかの仕組みをつくらなければいけないだろうと思います。それで、2つ考えました。
 その前に16ページを見てください。特別支援教育の生涯学習化、つまり、自立と社会参加に向けた教育の充実、生涯を通して主体的に学んだり、スポーツや文化に親しんだりして、自らの人生をよりよくしていく態度の育成を規定したわけですね。しかし、どのような支援があるか、教師が知らなかったら教えられないわけですよね。多くの特別支援学校の教師は、この辺の支援についての情報がないのが現状です。そこで、やはり学校教育・教員養成・生涯学習の連携の下に、こうした目標が達成できるような、それを育成できる教員を、責任を持って育成することが必要だろうと思いました。
 2つ考えました。1つは、教員養成課程を持つ大学、特に国公立大学で、障害のある人と学生が共に学ぶオープンカレッジを開講する。これは、障害者の学習権保障というだけではなくて、さらに、障害者のための生涯学習を担当できるコーディネーターを養成するという発想です。あるいは、学校教育の現場で、障害者の生涯学習の意義が分かって、そのことを子どもたちにも教えることのできる先生を育成するという観点から、このオープンカレッジを位置づけるのです。今までのオープンカレッジ、プラス教員養成という課題を与えたオープンカレッジにしていくということですね。そのためには、何らかのインセンティブをつけなければいけないので、例えば、補助金をつけると思っています。附属特別支援学校を擁する国公立大学は、附属校との連携によって実施する。あるいは、地域の障害福祉団体との連携、これは各地の委託事業団体を活用することができますね。今までの事業を継続するという意味でも、意義があると思っています。
 もう1つは、初任者研修に、障害者生涯学習支援の現状と課題というテーマを盛り込んで行うということです。初任者研修だけではなくて、年次研修あるいは管理職研修等に入れていければいい。つまり、現職教員研修アプローチです。そのことによって、教育と福祉の連携等の実践的な学びともなり、学校におけるコーディネーター養成プログラムとしても有効だと考えます。
 以上です。ありがとうございました。

【津田座長】  どうもありがとうございました。
 それでは、もう、いろいろな論点にわたってくださっているので、後に続く人が言うことがなくなっちゃうぐらいにありますけれども、深めていくという点では、1人目としてはいい題材を提供していただいたと思います。ぜひ活発な議論をしましょう。事務局の方たちも、どうぞ御自由に発言してくださいね。
 それでは、どなたか口火を切っていただけませんでしょうか。
 共有画面を切っていただきましょうか。落としたほうがいいかな。
 はい。30分ありますからね。30分あるけれども、30分しかないとも言えますので、時間を有効に使いましょう。ぜひ皆さん、お願いいたします。

【平井委員】  すみません。かなりたくさんのことを、入れてしまったので。

【津田座長】  では、僕のほうから、ぱっと話ができるところから話をさせていただいていいですか。
 一番具体的なイメージが浮かぶのは、やはり最後の2つの御提案ではないかと思うのですけれども、下のほうはあまり僕自身も関わっていないのでよく分からないのですけれども、上のほうはとてもいい案だなと、確かに学生はオープンカレッジみたいなことをやると、育つ機会になるなというふうに感じるので、障害のある人たちへの学習機会の提供というふうな位置づけだけではなくて、学生を育てるという側面で、きちんと意味づけるというような御提案というのは、すごくいいと思います。
 これをもし、国立、特に教員養成系の国立大学が、ああ、やってみようかなと思うためには、何が必要なのだろうかというところですね。

【平井委員】  補助金。1講座100万円ぐらいでどうでしょう。

【津田座長】  そうですね。お金があればやるかなというところも当然あるとは思うのですけれども、労力も使うので、お金よりももっと強力なものというのは、例えば、教員、特別支援教育の資格を取る人はこれをやらなければいけないみたいな縛りを設けるほうが、強烈ですよね。

【平井委員】  そうですね。特別支援教育の養成系の教員の意識から変えないといけないですね。まずはね。そういう研究をしている教授があまり多くないのが現状なのですけれども。

【津田座長】  そうですね。実際に、今お話を伺っていて1つ思ったのが、学校教育、学校現場も確かに特別支援教育、学校卒業後の卒業生の学びの場についての情報がないので、そこで行き詰まっているというところが、確かにあるだろうなと。うちの学校でも、僕は障害のある人たちの生涯学習のことをやっていると言ったら、いろいろと興味を持ってくれて、学校の教員も巻き込むと、ありがとうございますという感じなのですよ。喜んでくださるのですね。ちょっとそれは意外だった。余計な仕事を持ち込まれるというふうに思われると思っていたので、若干意外だったのですけれども、学校の先生たちもそういう意識を持つようになって。どうなのでしょう。全体的に持つようになっていると考えていいのでしょうか。うちの学校が特別なのでしょうか。
 阿部さん、どうですか、その辺。

【阿部係長】  阿部です。すみません。
 私もずっとこの生涯学習というのを取り組んできたので、私の周りにはいっぱいいるのですけれども、やはり全国的に見ると、まだまだ広がっていないのではないかなという印象は、すごくあります。

【津田座長】  広がっていないというのは、確かに、広がっていないので関心もないのか、関心はあるのだけれども情報がないからそこでストップしてしまっているのか、その辺りの感覚なのですけれどもね。

【阿部係長】  関心は恐らくあると思います。学校の先生方はすごく真面目な方が多いので、やはり学校卒業後も、何かしらの形で支援をしたいという思いはあるのですけれども、そこはやはりどちらかというと就労面への支援であるとか、生活面への支援が中心になりがちなのかなという印象です。そこを、やはりこの生涯学習というふんわりした、イメージを持ちづらいところを、やはり先生方にもきちんとイメージするような、何かこう働きかけなどがあると、意欲的に先生方も、学校の中から、在学中からそういう取組、意欲向上に向けた取組などにつながっていくのではないかなというふうに思っています。

【津田座長】  ありがとうございます。

【平井委員】  あと、意外と大学の事務局、学生部の事務職が乗ってくる可能性はありますね。各大学、学生サポートセンターに、障害学生支援のセンターをつくっていますから。そこで発達障害の学生と一番身近に接するのは、職員ですね。そういう職員さんと、障害者教育の担当、あるいは福祉の教授がタッグを組めば、割合やりやすいかなと思っていますね。【志々田委員】  よろしいですか。

【津田座長】  お願いします。志々田さん。

【志々田委員】  今、障害者の障害児教育のコースの話が出ているのですけれども、よーく考えると、教員養成の科目として、生涯学習について学ぶ、今のところ、教育原理とか、教職入門とかというような教育学部の入門科目の中で、生涯学習の考え方とか、学校教育が全てではなくてというような教育自体が、実はあまりされていないような気がするのですね。教育学、教育原理とかいう科目を、私も教職の教員をやっていたのでやっていましたけれども、そこで通されているのは、やはり学校教育の歴史であったりだとか、理論なのですね。なので、あれを生涯学習概論にしたらいいのになとずっと思っていたので、その辺りの、教員全体の中での生涯学習という考え方の中で、自分たちは今、学校教育で何を教えているのかという、この意識づけがまずできていないことも、今の文脈でいくと少し大き過ぎるかもしれない……(通信不良)

【津田座長】  止まっちゃったですね。でも、おっしゃりたいことは大体分かったので、いかがでしょうか。
 教員養成課程に対して、少し発言していくというようなところが……。ごめんなさい。どうぞ、志々田さん。

【志々田委員】  いいですか。大丈夫ですか。
 なかなか腰が重い教員養成系の学校ってたくさんあるかなというふうにも思っていて。養成の段階の話もいいとは思うのですけれども、研修の段階のところで、教育委員会に対して、やはり生涯学習につなぐということを、研修をもっと打っていきましょうというアピールのほうが、制度的にも楽ですし、影響力もあるかなというようなことを思っています。大学は養成と採用と研修の一体化などということを、前の教員免許の改正のときに言っていましたけれども、私は広島を見ていますけれども、全然一体化なんかしていないので。一応、何かつくっているみたいですけれども、意見交換会議みたいなところは。でも、お互いがやはり、あまりうまく進んでいないので。だから、研修のほうが、文科省としてもインパクトがあることができるのかなという印象を持ちました。
 以上です。すみません。

【津田座長】  ありがとうございます。とてもそうだなと思いながら聞かせていただきました。
 うちの大学も、教員養成系の授業だけでまとめろというふうなプレッシャーの中で、学部改革をさせられたのですね。で、社会教育的なものというのは全部外側に出されたので、教員養成課程の人たちは社会教育、生涯学習について学ぶような機会を全部奪われたのですよ。ただ、学生は賢いから学びに来るのですよね。KUPIの、うちらの実践の中でも、特別支援教育の先生になりたいという学生がかなりたくさん、サポーターとか、一緒に学ぶ学生として入り込んでいます。関心はやはり高いというふうなところは見えてくるので、何かその辺で教員養成の中に、社会教育、生涯学習の原理とか、あるいは実践の部分をもっとしっかりと組み込むようにというような、組み込んだほうがいいのではないかと提案をしていくことができるといいですね。いいのでしょうか。こういう話でいいのですかね。
 それでは、ほかの論点も含めていかがでしょうか。

【青山委員】  青山です。1つ質問させていただいてもいいですか、平井さんに。
 今の志々田先生の議論などは、私も教員養成系の、教育学部の外側にいる教育系教員ですので、非常に実感が湧くところでもあったのですけれども、お聞きしたかったのは、最後の2つの具体的な方策も見せていただきましたが、これでできてくるような、ある種の特別支援教員の資質向上ということと、いわゆる前半の本人サークルの活発化や、事務的なコーディネートのところの話というのが、うまく連動していくといいのかなというふうに思っていて、その辺のつながりが、どこまでイメージしていいか分からなかったので、もう少しそこを、言葉をいただけたらいいなと思ったのですけれども。

【平井委員】  いい質問でありがとうございます。そこを言いたかったのですよね。
 つまり、高等部を卒業する段階で、卒業する子どもたちが、「やっぱり僕たちもっと学びたいと。こういうサークルをつくったから誰か先生を派遣してくれないかな、公民館を貸してもらって、月に1回でも集まれる機会を保証してもらえないだろうか」とかいうことを、当事者が発信することが一番大事なのですよね。そのためには、特別支援学校で、そういうことが言える子どもたちを育ててほしいわけです。
 つまり、生涯にわたって学び続ける態度の育成、これは学校の役割なのですよ。学び続ける意欲、態度を持つ生徒を育てるために、やはり教員が大事だと言いたかったのです。自分たちも学びたいのだということを言えるような子どもたちを、育てる学校にしなくてはいけない。これが一番の問題ですよ。

【青山委員】  そうすると、ごめんなさい。例えば、サポーターとかコーディネーターの機能を、卒業後の学びの支援を、学校教育を担うというよりは、そうではなくて、卒業後も学び続けられるような力や意欲を在学時につけてあげるような教員の養成が必要だというような意味に……。

【平井委員】  そうです。そうです。でも、そういう先生は、多分、自分の空いている時間にボランタリーな立場で生涯学習の担い手にもなってくれます。

【青山委員】  確かに。
 社会教育的過ぎる言い方になってしまうのかもしれないですし、現実味がどこまであるか分からないのですけれども、これまでも現実に、特別支援学校の教員たちが、生涯学習現場、青年学級等々含めて、きちんとサポートをしてきたという経緯があるということを考えたときに、理想的には、やはりそこは教員がさらに負担を背負うのではない形のほうが望ましいのではないかというのが、まず前提としてあったのです。印象として。
 それともう1つは、今のお話は今のお話で1つイメージが湧くのですけれども、現実味がなかったら申し訳ないのですが、同じ学校の子たちが、よし学ぼうという、学卒後の生涯学習が、学校単位に組織されていくことよりも、もっと自由にできたほうがいいのかなという印象を持っていまして、そうすると、平井さんは学校単位というイメージではないのかもしれないですけれども、学校が学卒後の生涯学習をつくるのではない、別の論理で動く外側がもっといっぱいあればいいのかなということも思っていたのですが、その辺りはいかがでしょうか。

【平井委員】  その点が大切ですから、サークルを強調したのです。サークルをつくるのは公民館等でつくるわけですから、生涯学習の現場です。
 さらに教育と福祉の連携が大事だというふうに提案しました。 それから、さらに教育と福祉の連携が大事だというふうに、という提案ですね。

【青山委員】  そのときに、特に学校教員にできることや、身につけておけることにフォーカスしていただいたということですよね。ありがとうございます。よく分かりました。

【津田座長】  ありがとうございます。
 教員のボランタリーに、ボランタリーな教員に期待を大きくすると行き詰まってしまうというのは本当にそうだと思うのですけれども、今、学校で、働き方改革で、なかなかボランタリーにも働きにくくなっているというところがありますが、要求としては、いわゆるボランタリーだったような役割を、職務として位置づけるような方向も、1つはあり得るのではないかなというふうに思いますけれどもね。例えば、地域担当みたいな人が、通常、土曜日は仕事をするけれども、水曜日はその代わりにオフにするみたいな先生がいて、土曜日は地域の人たちを対象にした教育プログラムに関わっているみたいな状況もあり得るのですかね。

【阿部係長】  阿部です。現場で働いていた者として。
 いや、なかなか、学校はそれを許してくれないのですね。本当に、残業というか、残業手当も一切出ませんし、曜日の振替えとかなっても、本当にボランティアで土曜日出るということが多々ありました。

【津田座長】  変形労働制のうまい活用みたいなことで、その辺は制度を活用すればできるのではないかということは、あるのではないかと思うのですね。もちろん、校長判断みたいにすごく大きいのでしょうけれども、そのお墨つきを制度がするというようなことはあり得ないでしょうかね。

【阿部係長】  大学附属の特別支援学校は、意外とその辺は融通を利かせてくれて、対応していただきました。変形労働制とかをまとめて、夏休みの期間に休暇をまとめて、ちょっと休みを取りやすくしていただいたりとか。でも、県立になってしまうと、やはりそこはかなりハードルが高かったなという印象です。

【津田座長】  分かりました。

【平井委員】  働き方改革は、ボランタリーな立場で地域の障害者支援に乗り出す教員を少なくするのではなくて、逆に増やすと思いますよ。学校で仕事をする時間が減って、仕事が楽になるわけです。学校にあまり束縛されないのであれば、空いた時間でボランタリーな活動をするというふうになるわけですね。本来はね。働き方改革全体としては、国全体のボランティア活動を促進するというふうに、私は思っています。

【津田座長】  ありがとうございます。では、そういう働き方改革でできた時間をボランタリーな社会貢献というか活動につなげていくような、推すようなね。

【平井委員】   ただ、それは発掘人材なのですよ。ボランティアは発掘人材なのです。我々が検討しなければならないのは、どう育成するかですから。あまりボランティア、ボランティアと言わずに、どう育成するかを考えたほうがいいと思うのですね。そういう点では、社会教育主事や社会教育士の役割というのは、私は大きいと思います。それは前半で言いました。私は、自分の立場から、先生方が本当に子どもの主体性を育てる教師になってもらわないと困るので、そのための仕組みとして、2つだけ提案させてもらったという流れです。

【津田座長】  ありがとうございます。
 いかがでしょうか。ほかの観点からも、気になっていること。ちょっとこの話題からはみ出しても結構ですので、御自由にお話をいただけたらと思います。

【井口係長】  ありがとうございます。平井先生の御提案、大変興味深く伺ったところです。
 特に、最初の整理などは、今まで我々、どちらかというと実施主体別に課題を整理していくような、そういうやり方をしていましたけれども、そもそも、事務方、講師、サポーター、ここにさらに当事者がいらっしゃると思うのですけれども、そうした学習実践の場がどういった人材によって構成されているかですとか、その人材が、いわゆるボランタリーな発掘人材と、職業的な人材育成とを分けて捉えていくという、このような整理については、差があったなというふうに思っております。
 平井先生の、やはり肝になってくるところは、社会教育の課題も指摘されてはいますけれども、やはり具体的なところは、教員の育成をしていくという際に、その教員に期待するところは、必ずしもその生涯学習の担い手というよりは、学校教育段階における教育課程の中で、生涯学習の意欲をきちんと高めていくような、そういう教育実践ができる教員をしっかり長期的に育成していくというところに、やはり観点があるのだというふうに認識をしております。そういう意味では、文部科学省でも、特別支援教育課としっかりタッグを組んで、進めていかなければいけないところだなということを、再認識をしています。我々も、阿部さんが加入後、そこにきちんと取り組んでいかなければいけないよねという話は、繰り返ししておりますので、大変大事な提案をいただいたと思っていまして、特に、研修の部分ですね。これ、なかなか簡単にはいかないかと思うのですが、ぜひ、制度上はチャレンジしていく価値が特にある部分かなと思います。
 私は、養成課程における大学で、オープンカレッジと連動させて学生教育もしていくという発想は、これはこれでありかと思うのですが、どちらかというと、逆にオープンカレッジの場をきちんと前提に広げていく、その中に、大学で行う以上、学生も巻き込まれて、学生も育っていくという構造で考えたほうがいいような気がしているのです。ほとんどの大学は、やはりオープンカレッジ自体を取り組む条件が整っていませんので、それ自体はまた別途考えていく必要がある課題かなというふうに認識をしております。
 オープンカレッジのことも、どういう形態がいいのかというのは、文部科学省もまだ実践・研究途上にあるという状況ですので、大いに議論すべき論点かなと思っています。オープンカレッジという取組を一体誰が担ってきたのか、その条件を整備してきたのは誰だったのかというふうに振り返ってみると、やはり研究者である大学教員だったと思うのですよね。このやり方だと、恐らく持続可能性が厳しいのではないかというふうな問題意識を持っていますので、その部分を誰が担うかということも検討していく必要があるかなということを考えています。
 取りあえず、以上です。

【津田座長】  ありがとうございます。

【志々田委員】  よろしいですか。
 すみません。今、オープンカレッジの話が出ていて、もちろん、オープンカレッジは、言葉が一緒なので、そこから触発されたのですけれども、オープンユニバーシティと名のっている放送大学があると思うのですけれども、放送大学の中で知的障害の方たちの高等教育というものを試験的に開発したり、提供したりというような、そういう動きはないのですかね。というのが、やはりあそこは高度な生涯学習を提供する大学として特別に建てられた大学なので、新しい生涯学習の在り方と言ったときに、やはり放送大学は何らかの使命を持っているはずなのではないかなと、今、何となく思ったのですけれども、そのような議論はないでしょうか。すみません。

【津田座長】  聞いたことはないですね。実際には、障害のある人たちの学習者が放送大学には行っているというふうに聞いていますけれども、イギリスのオープンユニバーシティみたいな形の実践というのは、日本では、僕は今のところ聞いたことがないかなと思います。

【志々田委員】  何かそういうものができると、やはり、こういう話をしていると、高等教育が必要なのかみたいな議論になっていって、いや、必要だよねということが、なかなか国民的理解を得られていないところもあると思うので、放送大学がそういう形で、もうフォーマットとして持っているというのは、すごく大きな、いろいろな大学に対する影響とか、オープンカレッジのこれからの発展の礎になるのかなと、何となく思いました。
 以上です。

【津田座長】  ありがとうございます。

【井口係長】  ありがとうございます。
 志々田さんの御提案は、大変大事な提起が含まれていると思っていまして、アイデアレベルでは、放送大学の中でもっと障害のある方々に向けた特別な支援というのを検討できないのかという議論は、なくはないと思うのです。ただ、まだまだそれが具体化していないという状況なのかなというふうに思っていまして、全学生の1%程度が、既に障害のある方々が学生として通われているという状況らしいのです。遠隔教育という方法論なども含めれば、もっともっとユニバーサルな学びの場になる可能性がある分野でもあると思いますので、ぜひこの会議のまとめの中にそうした論点を御提起いただけると、我々としても、別の部署がやっている取組ですので、提案していくことができるかなというようなことも考えています。ありがとうございます。

【平井委員】  大事なポイントは、6ページ目の障害者生涯学習のノーマライゼーションというところが、私が最初に一番言いたかったところなのですよね。つまり、やはりオープンカレッジや青年学級という先行事例を発展・拡充することが最も有効な近道というふうに、私は思っています。青年学級だって、東京は結構ありますけれども、全国に行けば、ない市区町村はたくさんあるわけですよね。まず、ここに広げないといけない。ここはもう主戦場ですよ。オープンカレッジについては、具体的な提案として、教員養成大学でやったらどうかという提案を入れました。
 あとは、今お話があったように、3番目、民間カルチャーや通信教育講座など。このコロナもあって、障害のある方も通信環境を使って学ぶということについても踏み出してきたと思います。みんなの大学校なんかは、それでずっとやっていますからね。そういうノウハウができてくれば、今お話もあった放送大学などでも可能になる、道は開けるのではないかなと思っています。

【津田座長】  ありがとうございます。
 予定している時間が残り3分ぐらいになってきているので、ぜひ言い残しのないように御発言いただきたいと思います。
 我慢できずに発言してしまうのは良くないのですけれども、発言しますね。
 今、オープンカレッジをどんどん広げていくということがやはり近道だろうというふうにおっしゃったことについてなのですけれども、これは多分、大学の様々な事情が、大学によって違いますよね。どういうふうに広げていくといいのかということも、戦略的には幾つかのルートがあるのではないかと思うのですね。
 今、我々の大学、神戸大学で言うと、特別支援学校って、附属の特別支援学校の存在意義みたいなことがやはり問われているのですね。そうすると、そういうところで大学に貢献をするということが1つの、附属特別支援学校の存在証明になるというような側面も出てくる可能性があるのですね。ただ、そういうことにあまり気がつかれていないので、そういう道もあるよ、そういうふうなことで存在を確認していくような方向もあるよとかね。
 あるいは、私立の学校というのはまた全然論理が違うのではないかというふうに思うので、その辺の、どういう形、どういうようなインセンティブによってオープンカレッジがやりやすくなるのか、発展していくのかというような方策を、少し丁寧に考えていくのが大事ではないかなというふうに思いました。
 よろしいでしょうか。
 また、平井さんのお話しくださったものの核心部分って、ここから議論する中でも、多分何回も触れていくことになると思いますので、一旦ここで大森さんの話題に移らせていただきますね。ありがとうございます。
 それでは、大森さん、よろしくお願いいたします。
 このまま続けていいですか。休憩を取らなくて大丈夫ですか。はい。
 では、大森さん、よろしくお願いいたします。

【大森委員】  では、よろしくお願いします。大森です。
 今日、すみません。時間がなくて、資料、きちんとしたのを皆さんに配付できていないのですが、画面のほうとお話のほうで進めていきたいと思います。
 まず初めですね。障害当事者との話からということで、今日、傍聴に来ている活動メンバーと一緒に、障害のある人の学びの場をつくる人はどんな人がいいですかというような内容で、いろいろとお話ししてみました。ちょっと私の説明の仕方が悪くて、この学びをつくる人をどんな人がいいですかみたいなことを聞かれても、具体的にはどんな人なのだろうというところで、例えば私とか、例えばスタッフとか支援者と言われる人かなとか、いつもいる人たちというような、そんなイメージで、練馬区は、うち以外にも、地活とか青年学級とかありますので、そんなところの人のイメージとも何か重なるといいかなと思いながら聞いてみました。
 すると、こんな人だといいなというのは、結果や成果を求めない人、同じ目線の人、話を聞いてくれる人、話し合える人でした。こんな人は嫌だなというのは、アンケート結果を都合よく使う人、いいところだけしか使わない。これは、実は、ある支援センターが利用者アンケートというのをしていて、ネットで公開しているのですけれども、そこに、本人が回答した、支援センターにとってはちょっとという意見が公開には載っていなかったというところで、あれ、どうしてかなということをお思いになったようです。それからあとは、一方的な、こちらではどうにもならない理由で参加制限をかける人ということで、例えばですが、払えないような受講料を取るとか、あとは、障害種別で参加の資格を分けたりするみたいなことはしないでほしいと、そういう人は嫌だなみたいな意見が出ました。あと、そのほかの意見としては、お金をばらまいてやれというのは乱暴だと思うとか、あと、学校の教員のOBとかOG、一概にいいとか悪いとかが言えない、あるいは、研修を受けたとか、資格を持っているなどで、いいとか悪いとかは言えないというような結果が出ましたということを、まず最初にお伝えさせていただきたいと思います。
 次の丸に進みます。障害者側からこの社会はどう見えているのか、インタビュー動画からということで、先日お送りさせていただいたインタビュー動画は御視聴いただけましたでしょうか。あの動画は、練馬区の意思疎通に関する条例を検討する部会、これは自立支援協議会の1つの専門部会として位置づいていますが、こちらの委員として、検討会の活動メンバーの百瀬賢太郎さんと原田奈津紀さんが、会議に参加した際の感想等を収録したインタビュー動画になっています。飯嶋賢太郎さんも聞き役として参加してくれています。
 動画の中で、初めて委員として参加した際の感想から、これまでいろいろな生活、暮らしの中で、いろいろなことを感じられてきた、そういう事柄の一部も述べられていたかなというふうに思います。あの動画から委員の皆さん方がどう感じられたのか、後で感想等伺えたらいいなと思っています。が、障害者側からこの社会がどう見えているのかといったものが垣間見られたのではないかなというふうに思っています。
 例えば、小さい声でも分からないと言えない状況にあるとか、支援者の考え方で決まってしまうとか、解決するとかおこがましいよねみたいな、そんなに簡単に解決できるわけがないとか、いろいろ私もかなり心に突き刺さるような言葉が出ていたなというふうに思うのですが、この動画の中で、百瀬さんが、酌んでくれるだろうというふうに発言をします。自分の意思が及ばない部分に対して、信じて期待しているという姿があります。私自身は、この酌み取るという作業、いかに丁寧にできるかだなというふうにいつも意識をして実践に取り組んでいます。
 続いて、丸の2番目です。福祉との連携、まずは学校教育での落とし前をつけてからという、ちょっと派手なタイトルにしましたが、このインタビュー動画の中で、学校教育の頃を振り返るシーンがあります。体力、体力と言って、走ってばかりいたというお話から、学校卒業後の仕事や生活に必要となる力は、卒業後に自力、または御家族、あるいは福祉、あるいは地域団体等のフォローで何とかして習得したか、あるいは習得できなくても乗り越えてきたという、そういう現状があるのだと思います。例えば、学校の頃に漢字を学習させてもらえなかった結果として、就職先で不利益を被ったと考えられる事実がありました。それは、私の想像をはるかに超えた不利益で、二十数年も続いていたという事実があります。その方は、唯一の手段として、辞書を5年かけて習得したということなのですけれども、このように、原因が本人にもないにもかかわらず、知的障害だからできないとか、知的障害だから分からないといったように、本人に原因があるとされることがとても多くあります。実際に、そのような理不尽の中でも、彼らは抵抗するすべもなく、ただ自らを調整するということで懸命に生きてきた、そういう人たちを私は目の前にして、これからは障害者の生涯学習だとか言って、自立共生社会とか、何かそういった文言を掲げた学びとかって、本当に軽々しく言えないよなというのをすごく思って、この当事者感覚とのギャップがあまりにもあり過ぎて、自分自身、とてつもない違和感を抱きました。
 こうしたこともあって、私たちは福祉事業も並行して実施しなくては、到底、彼らの思いとかニーズに応えられないと感じているわけですが、これでもちょっと不十分だと思っているのですけれども、この社会教育と障害福祉の両方を実施している立場として知ったのが、学生さん、利用者さんをそういうふうに呼んでいるのですが、学生さん、あるいは一緒に活動している仲間の多くに、学校教育に関する傷、これは暴力とか暴言といったような直接的なものから、派生的に社会で不利益を被ったという事実も含めて、とても根深く未解決になったまま、今なお苦しめられているという事実がある、そういうことを知りました。
 2年目の報告書の中で、教員向けの研修を行った際の事前学習でこういったことが明らかになったり、あるいは、日々の関わりの中でも非常に感じていることですけれども、学校的な、問答無用とか、一方通行的な学びというのは、もうこりごりなのだというのが、私の、彼らの思いではないかというふうに感じています。度々、教育年限の延長の議論というのが上がるかと思いますが、今の学校のままで延長になるということであれば、それが当事者の願いであるかどうかというのは、もっと丁寧に調査していく必要があるとも思っています。
 また、社会教育は別、学校教育は別物という扱いをせず、学校教育のもたらしたこういった悲しい現実というのを、当事者の声からしっかりと洗い出し、向き合い、検証していこうという姿勢がなければ、社会教育もその二の舞だというふうにみなされて、福祉の現場がその尻ぬぐいをさせられるという、現場の懸念というのは消えないのではないかというふうに思っています。実際、自分が福祉の現場でそういうことをしていて、すごく感じることです。福祉の現場で学びという言葉を使うと、何やらうさんくささ、自分自身も感じることもありますし、相手に感じさせてしまうというのは、その辺りにもあるような気がしています。
 3番目の丸です。「学び」とは新たな「問い」を生み出し続いていくもの。視察に来てくださる方々が、うちの実施しているプログラムを見て、性教育、大切ですね、うちもやりたいですと言ってくださるのですけれども、例えばその中で、結婚、出産、育児が権利として選択肢にあるというふうに学び、例えばおむつを替えるとか、沐浴させるとか、抱っこしてみるみたいなものを、人形を使って体験したとしても、実際にその選択をするというのはとても難しい現状があると、私自身痛感しています。
 今、実は、今月初旬に出産した学生がいます。彼女はパートナーと在宅で育児をしたいという本人の希望があるのですけれども、こういった希望を実現するためには、児相とか、子ども家庭支援センターとか、妊娠中からカンファレンスを何回も行って、うちだけではなく、相談支援、訪問看護、居宅介護などの障害福祉サービス、あるいは保育園とか育児支援等の行政サービス、さらに、民生委員さんとか、あるいは地域ボランティアなどによる支援体制、支援を組んで、ようやくスタート台に立てるわけなのです。しかも、ここからが1日1日、本当に勝負なわけです。これは極端な例かもしれませんが、学びというのが当然、次に展開をしていくものであります。学びから新たな問いとか、あるいは希望が生み出された際、社会環境が十分整備されていないということを踏まえれば、自力で次に展開させていくことは難しく、誰かが伴走していくということが必要だと、そういうことをしっかり認識しなくてはならないのではないかと思っています。また、こうした事例を丁寧に積み上げていくこと以外に、彼らの選択肢が広がっていくということはないのではないかとも考えます。自分たちが伴走しないまでも、こうした実態を知らないという中では、簡単に福祉との連携などとは言えないのではないかというふうに思っています。
 ということで、すみません。続いてです。
 当事者の経験を活かした「超大学」による人材育成の可能性ということで書きました。この会議に参加するに当たって、私はずっと、障害理解とは何なのだろうということを、すごく大きな問いとして自分の中にありました。以前、練馬区の実施している障害理解研修セミナーに、障害当事者の方と一緒に参加した際、参加した2人ともすごく違和感があったのですね。広く周知させるために一般化して話す、そういうことはある意味やむを得ないということなのかもしれませんが、何か固定化された考え方の中で、マニュアル的に行動を管理しようとするような対応は、当事者の個別性を失っているようにも感じましたし、社会側の変容というものも前提にないように感じました。
 実際に、でも、そういったところで、障害理解ってこんな感じで広がっていくのかと、何かもやもやとした中で、私たちは超大学というプログラムを開発し、現在試行しています。これは、上智大学の授業の中で、学生さんと障害当事者が関わりを持つというプログラムです。障害当事者の暮らしの中のちぐはぐ、例えば、親がみっともないとか言って、ヘルプマークを持たせてくれなくてとても困ったというエピソードとか、中学校の頃、後輩と話しただけなのに、先生に「こっちへ来い」と言われて、別室で反省文を書かされたなど、そういった本人たちのいまだに解決のちぐはぐなエピソードを学生さんたちが聞き取り、学生さんたちが役割を決めて演じるという内容のものです。大学の講義だけでは知ることができなかったリアルや、障害者ゆえ、あるいは障害の有無に関係なく共通する部分があるなど、そのエピソードから、障害とは何かを読み解こうとする姿が見られました。学生さんならではの柔軟さもあって、想像以上に、これまでの自分の障害感への問いも生まれ出しました。
 この超大学では、学生さんに事前アンケートをしたのですが、社会福祉学科の学生さんでさえと言ったらちょっとあれなのですけれども、知的障害というイメージを、実際の関わりの中ではなく、これまでの社会の中で形成されていたいわゆる大衆のイメージというか、大人がつくり出しているイメージの中で、コミュニケーションの取れない人、知能が遅れている人、仕事ができない人などといったイメージでした。しかし、プログラムが終わった後、学生さんの多くは、そのイメージを一変させています。もちろん、私たちは知的障害者代表ということで関わりを持っているわけではありませんので、その事前のイメージを私たち色に塗り替えたいということではないのですが、その人との関わりの中でしか得られないということを知ってもらえたらなというふうに思っています。
 さらに、後半の授業が12月にあるのですけれども、これらのちぐはぐが、今度は社会行動的に、どのような状況の中で発生したのか、学生さん自身が現れるまで社会を引いて、マクロに捉えるというのでしょうか。自分との関係性の中で、自分が要因となってはいないかとかですね。あるいは、自分にできることはないかというふうに考えていくような展開になっています。
 まだ試行段階ながらも、こうした結果を見ると、超大学は人材育成として機能しているのではないかというふうにも考えられますし、今後こうした人材を増やしていく際の研修等にも、こういったプログラムを活用できるのではないかとも考えています。当事者の経験を生かした、当事者の得意なことを生かした人材育成ということについて、ぜひ皆さんの御意見を伺えたらというふうに思っています。
 最後です。「共生社会」とは何か。愛知での発表からということでお話しします。障害理解に加えて、共生社会というのもなかなか手ごわいキーワードだなというふうに考えています。以前、ある地方の共生社会コンファレンスに参加した際、この世界では先生と呼ばれる方々が数人で鼎談されていたのですけれども、その先生方の共生社会のイメージを知りたくて、仕事以外で障害当事者と関わる機会があったら教えてくださいと質問をしました。すると、基本24時間仕事なのでとか、年に2回ぐらいはみたいな答えで、共生社会って業務上のことなのかなみたいなふうに、そのときすごく思いました。
 私は、社会の中で障害者の存在できる場所が少なく、例えば、障害者の何とかセンターといった施設に限られている状態では、共生できているとは言えないのではないかというふうに思っていて、より日常の中での関わりや交わりにこだわって実践をしてきました。が、そういった違和感をいだく場所は多くあります。例えば、この会議もそうですね。当事者の方がいない、参加していないという状況になっていて、ちょっと伺いたいのですけれども、今、皆さんが座っている委員としてのその場所に、障害当事者の方々が座るということを想像できているのか。何かすみません。私は結構できているというか、そういうふうになったらいいなという思いがあって、傍聴の機会があるよということを本人たちに情報提供しているのですが、どうでしょうかということを伺ってみたいです。
 それから、画像にあるのが、先日、愛知県で第5回全国障害者生涯学習支援研究集会という報告の発表会みたいなものがあって、活動メンバーの3人が、自分たちの学びについて、原稿を自分たちで考えて、話をしました。それを今日、皆さんのお手元に印刷して配付しているものです。すみません。後でオンライン参加の方にリンク先をお伝えします。
 私はこれまで、彼らの代弁者みたいな意識で、彼らの思いを伝えることの重責にめちゃめちゃ、いつも押し潰されそうで、うまく伝えられないということを本当に毎回へこんだりしていたのですけれども、やはり本人が伝えることが一番いいのだということを、本当に心から思いました。彼らの話があの場にいた研究者や実践者の心を大きく動かしたということは、会場に同席されていた井口さんや阿部さんや平井さんに伺えば分かるのではないかなというふうに思うのですけれども、一方で、プログラムに障害当事者3名の名前が記載されていたにもかかわらず、一緒に参加するということを前提に、ほかの発表の方々が、資料も含めてですが、何らかの配慮的な何かを考えられていたのかなというところを、ちょっと疑問に思っています。もちろん振り仮名をつければいいという問題ではないので、どういった配慮が必要であるかというのは個別にやり取りをしなければならないと思うのですけれども、資料作成された際に、当事者3名の顔が、知っている方もいらっしゃったと思うので、浮かんだのかななどというふうに思ったりもしました。
 共生社会というのは、ここまでみたいな感じの想定された領域があるのかななどと思ったりもするのですけれども、何かその辺の議論ができたらいいなと思っています。
 すみません。何か、人材育成から大分離れているかもしれないのですが、私自身が、ある意味コーディネーターみたいな立ち位置で今までやってきたので、自分の感想というか思いをお伝えさせていただきました。
 ということで以上です。

【津田座長】  ありがとうございました。
 それでは、なるべく人材育成の話に結びつくような展開になるといいと思うのですけれども、最初、自由な御発言ということにしましょう。いかがでしょうか。
 平井さん、お願いします。

【平井委員】  質問ですけれども、超大学で、未解決のちぐはぐなエピソードを学生が演じるとおっしゃいましたか。どういうふうにやるのですか。

【大森委員】  どういうふうにやるというのは、小グループに分かれて、障害当事者の方1名と、学生さん5、6名ですかね。で、1グループになって、ちぐはぐ研究室という、実は、日常的な月1のプログラムでサークル活動的に実施しているのですけれども、それを交流の仕組みにうまく使ったという感じなのですが、そこで、日常に思っているちぐはぐを学生さんに、やり取りの中で学生さんがうまく引き出して、聞き取って、それを、自分たちで役を、出てきた登場人物とかで役割を振って、自分たちが役割を演じるのですね。例えば、先ほどの、お母さんがヘルプマークをつけさせてくれない、みっともないとか言って。そういうことを実際に、お母さん役と、当事者役と、先生みたいな人みたいな感じで役割を決めて演じるのですね。それを1本の、1、2分の動画にして、秋学期はそれを成果物として出していきたいと思っているのですけれども、そんなことで、実際に話を聞く、当事者のリアルな話というのもインパクトがあるのですけれども、実際に大きな声で出すとか、大きな声で言われるみたいなことのリアルな体験の、模擬体験でしょうか。そういうのもあって、非常にインパクトが高いというふうに、先生にも評価をいただいている感じです。

【平井委員】  ありがとうございます。
 そのことが、人材育成の可能性というところにつながっているのだと思います。そのことが新しい切り口の障害理解になるということは分かるのですね。その先ですよ。その学生さんが、障害者生涯学習を担い得る人材になるためには、何かもう1つ、2つ材料が必要だと思うのですけれども、その辺はどうですか。

【大森委員】  大学だけを舞台にするというよりは、ここはちょっと試行していて、実際は行政とか、企業とか、実はパッケージにして、企業からお金をもらって何かやるぐらいのことを狙っているのですね。
 これを何で始めたかというと、障害当事者の方の中には、大学に行けなくて、非常に苦しんでいる人がいます、今なお。要は、例えば兄弟で、弟は行けたのに自分は行けないとか、そもそも選択肢がないということに後々気づいて、何でなんだろうという。そこを昇華できないかという思いが1つ根底としてあって、大学で学んでいる人たちとコミュニケーションを取る中で、その何かが見つかるかもしれないというその思いでスタートしたようなところもあります。
 実際のところ、なかなかそれでも、やはり大学に行けない、実際に行ってみなかったら分からないという方もいれば、今、自分たちがやっていることは、実は大学で学生さんがやっていることと同じで、i-LDKで学んでいるということは、ある意味、大学で学んでいることと同じなんじゃないかと。そのような評価、本人が発言をした、このお配りしたものの3枚目に書いてありますが、何かそういうこともあって、その先みたいなところをどうしていくか、人材育成という観点だと、例えば、なかなか私のほうでトップダウン的に、何か資格を取ればいい、こういうことを勉強して資格を取りなさいみたいなことで、人が育つという意味合いがなくて。すみません。実際、当事者の方も、そういうものを求めているのではないような気がして、私なんか本当に無資格だし、大学も行っていないしみたいな感じで。なので、そうじゃないんじゃないかみたいな思いもあり。
 ただ、この超大学を通して、もっと自分たちで今度はアクションを起こしたいという学生さんたちの感想が結構出ていたのです。私はそれを、結構予想を超えている反応で、この狙いとして、もっと欲を言えば、日常の関わりに落としていけると、本当はいいなと。そうすると、きっと、ボランティアなのか分からないですけれども、担い手になる可能性が出てくるのではないかという思いはあったのですが、なかなかそこまでは行かないかもなと思っている中で、自分たちで何かできないかみたいなアクションを起こしたいというような学生さんの感想を見ると、何か可能性みたいなものがあるような気がするのですが、なかなかちょっと、そうですね。はい。

【津田座長】  ありがとうございます。
 志々田さん、お願いいたします。

【志々田委員】 今、お話を聞いていて、私たち、つい人材育成をするときに、障害者の人たちに生涯学習機会を提供するための、障害を持っていない人たちの研修の在り方みたいなことを考えているのですけれども、もしかしたら、超大学は、障害を持っている人たちが教える側、学び合うので、教えるとか教えられるではないのですけれども、1つの学習機会を提供できる重要な役割を持っている人たちだというふうに考えることが自然なのかなというふうに思っていて、例えば、ユニバーサルデザインもそうですし、SDGsでもそうですけれども、そういう共生社会ということを学ぶときの視点であったり、話題であったり、実体験であったりというコンテンツを開発することができる人材として、やはり障害を持つ人たちの研修というか。障害者自身、障害を持っている人たちが、共生社会をどう周りに伝えていき、そして一緒に考えてもらえるような場をつくれるのかというようなこともできればいいなと。
 今、企業では、やはり共生社会、SDGsのことをすごく言っているので、そういうニーズって高いのだと思うのですよね。多分、大森さんは、教材化して企業の人にお金出してもらってとおっしゃっていたのですけれども、そういうのを経済活動に乗せていくということも視野に入っておられると言っていたし、私なんか、つい、お商売のことは苦手なので、例えば学校の道徳教育のコンテンツですよね。いつまでもジレンマ方式みたいなやつがもてはやされて、いまだに使われているみたいですけれども、まさしくロールプレイングですよね。ちぐはぐ研究室は、ですね。というコンテンツが、日本の道徳教育の中にもっとたくさん入ったら面白いのになとかと思っていて、そうした、障害を持つ人たち自身に、障害者の生涯学習を推進していく人材になってもらえるような、そういう手立てという視点も報告書の中では必要なのかなというふうに思って、その事例として、ちぐはぐ研究室はとてもぴったりくる事例なのかなと思って聞かせていただきました。
 以上です。

【津田座長】  どうもありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。

【青山委員】  青山ですが、しゃべってもいいですか。

【津田座長】  はい。お願いします。

【青山委員】  ありがとうございました。
 感想みたいになってしまうのですけれども、やはりそもそものところをきちんと教えてくれたなという感覚があって、先ほど志々田さんもおっしゃったように、人材養成という意味ではこの先が必要だなということは、もちろんそうでもあるのかもしれないけれども、やはり両面必要ですよね。かつて「障害から見える社会」という、当事者の人をひたすら呼び続けて、終わって飲み続けるという授業のコーディネーターをしていたことがあって、面白かったのですけれども、受講生が200人ぐらいいて、常連の飲み会メンバーがいたりしたのですけれども。
 社会教育を学ぶ学生などの中で、障害のある人に会ったことがないという言い方をすごく聞くのですよね。うちの大学は福祉とか特支とかもあるので、例えば、兄弟に当事者がいるというケースも多いですけれども、もう一方で、先ほどもおっしゃったように、教科書の中でしか、支援する相手のことを知らないみたいなことは、すごくたくさんある現実だなと思っていて、日常的に誰々ちゃんとかという、固有名詞で知っている人がいたり、おしゃべりした人がいるという状況なしに、資格の話とか、人材養成の話はできないだろうということは、もうおっしゃるとおりだなというふうに、まず思って聞きました。
 ですから、この枠組みでどこまで話せるか分かりませんけれども、専門的な人材養成とかという文脈と併せて、大学と組むなら大学と組むで、大学の中に日常的に、そういう支援職になっていく卵の人たちと、日常的に会ったことがある人たちを増やすというか、というところからしか始まらないというところはあって、超大学の取組も、そういう文脈で捉えられたらいいのかなというふうにも思って聞いていました。
 そんな印象です。ありがとうございます。

【津田座長】  ありがとうございます。
 何かコメントありますか。

【大森委員】  青山さんのところでも、ぜひ超大学、来年よろしくお願いします。

【青山委員】  はい。すみません。僕はそのつもりで、割と。

【津田座長】  ありがとうございます。
 では、僕も少し感想というか、考えたことを申し上げると、1つは、学びと言ったときの学びの概念を崩していくということは、やはり今でも課題なのかなということを1つ思いました。学校教育の一方通行的な学びということを、まず学びと言ったときにイメージされてしまうというところというのは、確かにまだ残っている部分はあるかなと思います。ノンフォーマルな成人学習、大人の学びとしての学びのスタイルということを、やはり相変わらず、どういうものかということをしっかりと述べていく、広めていくということは大事だし、人材育成のときにも、そういう学びの場をつくっていくような方向性というのは大事だなというふうに感じました。総合教育とか、協働学習とか、そういったような、社会教育がこれまで蓄積してきたような知見と結びつけながら人材育成していくということが大事かなというふうに思いました。
 もう1つ、この障害のある人たちの生涯学習の推進を担う担い手に、当事者が役割を持っていくということ、これは1つ大事なことだというところは、大森さんの話をこれまで伺っていて感じているところなのですが、もう1つ、今日出てきたテーマというのは、共生社会をつくっていく担い手としての当事者というようなところなのですね。もちろん、それは被っていますけれども、若干方向性が違う、分かれているような気がするのですよね。今回お話をするのは、この推進の担い手として、当事者の方たちがどう役割を持てるようにしていくのかというところで、それは、当事者の方たちを養成するとか育成するとかではなくて、権限を持っている人たちがどう変わるかという話ですよね。その辺りの、権限を持って、分かっているつもりの人たちの意識を変えるというところの重要性みたいなことを指摘していただいたのかなという気がします。これも確かに育成ですよね。
 感想でしたけれども、そんなふうに思いました。
 いかがでしょうか。
 時間、もう少し、しばらく、あと10分以上ありますので、もう1歩、2歩先に進んだような提案みたいなことも含めてお話をしていただける方がおられてもいいかなと思うのですけれども、当事者の方たちが役割を担えるような状況をどうつくれるか、ここが大きなテーマですよね。いかがでしょう。
 はい。お願いいたします。

【平井委員】  当事者が学習会の講師の役割を果たす事例はこれまでもありました。私がサークルと言ったのは、当事者の方たちが、自分たちの学習の運営に関わるというか、広げる役割を果たすことでもう一歩前進させたいのです。昨年度の委託研究報告会で「大地の会」の役員が、交流したいと言っていた。自分たちのような当事者の皆さんたちと、もっと交流したいとおっしゃったのですね。そういう当事者の会が各地にあると思いますが、交流できる機会を持つことは、彼らの世界を広げることになる。いろいろなアイデアをお互いに交流し合うというか。言わば、全国当事者会、全国サークル交流会みたいなね。そんな取組は、面白いかなと思ってはいたのですよ。

【津田座長】  ありがとうございます。
 日本で、セルフアドボカシーというグループが、いわゆる本人の会ですけれどもね。できたのは1990年で、さくら会というところが最初だったので、そのさくら会ができたときにも、世界大会に連れていってもらったところから、自分たちもああいうことをやるのだと言って、運動が盛り上がったのですよね。何かそういう交流をしていく、単に交流だけではいけないのかもしれませんけれども、何か方向性を持って、自分たちもやってみようみたいな、そういう本人たち同士の交流が起爆剤になるというのは、多分、歴史的にもよくあったことだと思いますよね。
 ありがとうございます。今、平井さんのお話を伺って、思い出しました。
 いかがでしょうか。

【青山委員】  いいですか。

【津田座長】  お願いします。

【青山委員】  青山ですが。
 ちょっと話が大分飛躍してしまうところがあるのかもしれないのですけれども、先ほど志々田先生も、本来は教職課程の教育原理自体が、もっと生涯学習化していくべきなのだとかいうような、教育学を学ぶ学生とかの中での教育観みたいなもの自体を緩めていったりするというところ、そこぐらいだと思う、社会教育を学ぶ学生は、そういうところは入り口でたくさんたたき込まれているケースも多いと思うのですけれども、行く行くの話をしたときに、こういった障害のある人たちとともにどう学んでいくかとか、学ぶ場をつくれるか、つくっていくかという発想って、生涯学習とか社会教育の発想とすごく親和性が高いと思うのですよ。つまり、できる、できないの話とかだけじゃないところで、学びというものを考えるということは、すごく既存の教育のイメージを広げるところとして、ちょっと言い方は悪かったかもしれない、教材としても非常に優れているように思うのです。ですから、それは当事者の人たちが、先ほどの超大学のように、役割を持って教える側に回るということもその1つでしょうし、こういったことが、単に、あまり手段的に考え過ぎると良くないのですけれども、障害者の生涯学習を進める人材育成にとどまらず、もっとより広い文脈で、いろいろな人にとって価値のある学びにもつながるような気がしていて、先ほど、企業にもコンテンツ化して売り出すのだという話もそれにつながるような気がするのですけれども、そういう広がりがある話だなと思うことが多いので、とても社会教育的というか、この言葉もファジーですけれども、そういうところと接点が多くある議論がいつもできる気がするので、単純に、障害のある人のための専門職とかになったりする人ではなくても、重要だなと思って聞いていました。
 すみません。ちょっと思いつきで、ずれたことを言ったかもしれません。以上です。

【津田座長】  ありがとうございます。
 大学でも、それこそ、協働的で深い学びとかという、ああいうのというのは、大学教育でも求められているわけですからね。こういう、今おっしゃっていただいた超大学のような取組というのは、方法論としても活用できるようなところがいっぱいありますね。
 僕らが今KUPIでやっているのとか、あーちでやっているのも、何となく似ているような匂いを感じるものだったので、全国に探せば多分幾つか同じような事例が転がっているのではないかというふうな気もしました。
 いかがでしょうか。
 ちょっと今、話があまり出ていなかったところで、一番最初の、障害者側から見て、この社会はどう見えているのだろうかというところで、話しやすい人か、自分の意を酌み取ってくれる人がいてほしいというか、こういうような御提起というか、がありましたけれども、そういう、いわゆる支援者をどう養成していくのかみたいなことも、1つテーマになるのではないかなということなのですけれども、この辺り、いかがでしょうか。

【津田座長】  実は、KUPIで、KUPIがすごく楽しそうに。KUPIって分かりますかね。

【大森委員】  はい。

【津田座長】  KUPIで、知的障害のある学生さんに、どうしてKUPIが面白いのかという話を、この間、コンファレンスのときに聞いて、台本にないことを言い出したやつがいて、その彼が言っていた話というのはまさにそういうことでね。自分の思っている、なかなか言葉でぱっと表現できない子なのだけれども、決めつけない、みんな決めつけないところが心地良いみたいなことを言っているのですよ。だから、意を酌むというのも、先回りされると嫌だというのはあるのですよね。きっとね。だから、時間、待って、彼が何を言いたいかということをしっかりと聞いてくれるということも、併せて必要なのだろうと思うのですけれども、専門職の人たちって、割と先回りしてしまうところがありますよね。だから、専門性を高めるということがどういうことなのかというのも絡んでくるとは思うのですけれども、そういう待つ姿勢みたいなものって、どうやって育つのでしょうね。

【大森委員】  この間、ちぐはぐ研究室では「支援ってなあに」というテーマでやって、私たちは支援を受ける立場で、よく支援、支援と言われるのだけれども、結構それが余計なお世話だって思うときがあるとか、ありがたいことと、その余計なお世話の境目ってどうなんだろうとか、何かそういうことを皆からいろいろ意見をもらって、私がまさにそれを学んでいる感じなのですけれども、何かそういうそれぞれの思いみたいなものが出し合える場、あるいは、うちがスタッフ間でいつも話し合うときに、皆、ええ、ちょっと、でも分かんないんだけどとか、私が想像するだけの範囲なのだけどみたいな感じで、断定しないのです。この人はこうだったからこうに違いないみたいなことは誰も言わずに、こうかもしれない、こうかもしれないの連続、そういう可能性を探り合うというか。結局、行動として出たこと、あるいは言葉として出たことって、その背景に何があるかというのは、私たちは知る由もないことがたくさんあるわけで、そういう中で、多分、どうなのだろう、どうしてなんだろうとかということを、本当に毎日考え続けるということぐらいしかできないよねという感じの話で。だから、スタッフのそういう話合いというのは、めちゃめちゃ時間を取ってやっているのですけれども。ある意味、そういうところがすごくヒントになるようなところはある気がして。いろいろな立ち位置の、要はそれぞれ、福祉の専門職ばかりではなくて、退職教員もいるし、あるいは私みたいに資格がなく立場が全く関係のないような人もいるという中で、それぞれの視点で、どうかなみたいなことを話し合うみたいな、もうそれ以上はないのかなという感じはします。なので、研修とかで学んだよねみたいな感じが、どうしても印象としては持てない、イメージができないというのは、とてもそういうところにもあるのかなという気がします。

【津田座長】  ありがとうございます。
 今の御発言の核心部分というのは、サポーターと言っていいのかな。ある人が取った行動に対して、あの行動というのはどういう意味を持っていたのだろうかということを、周りの人たちが話し合うような、対話ができるようなゆとりというか、機会が大事なのではないかという部分かなというふうに思ったのですけれども。

【大森委員】  そうですね。その中に、多分、先ほどおっしゃった待つ姿勢。私、教員、教員とかひとくくりにしてはいけないと思うのですけれども、教員は待てないと思いますとか言っちゃって。やはり、この議論は、元教員という教育畑の人と、福祉という人とめちゃめちゃ分かれて、結構議論がヒートアップするのはそういうところなのです。
 なので、私は、平井さんが提案してくださった、先生を活用するというのが、学校教育感を本当に拭い去って、本人主体にしていけるのかなみたいなことをちょっと疑問に思う部分があるのですけれども。でもやはり、教員ならではの経験というか、アイデアとか、そういうものは私は必要だなと思う部分もあって。教員だからというのは一概には言えないのですけれども。そうですね。すごく難しいし、本当に全然イメージがつかないという中で、今日みたいな話になってしまって。すみません。

【津田座長】  いえいえ。ありがとうございます。
 なかなか、人を養成するというふうに言っても、言葉で伝えるだけではなくて、もっと組織の問題だったりするとか、そういうところからの発想の仕方が大事なのではないかというふうに感じました。ありがとうございます。
 いかがでしょうか。皆さん、ぜひ、残りほとんどありませんので、言い残すことがないようにお願いいたします。

【井口係長】  よろしいですか。
 大変、触発されるお話だったと思っていて。特に、今の最後のお話の部分についてなのですけれども、別に学校の教員に限らず、社会教育の職員であっても、往々にしてある話だなと。というか、私自身もそうだったなみたいなことを、今のお話を聞きながら思い返すわけですけれども、でも、そのことを、やはり反省的に捉え返すということが、やはり大事なのだと思うのですよね。つまり、1つのやり方とか、方法論とか、経験値とかにこだわって実践を続けていくことの危うさみたいなものを指摘されたというようにも思うのですね。恐らく、超大学の実践にもそういう要素があって、障害のある人たちと出会ったことがない学生たちが、ステレオタイプで障害のある人たちを見ている認識そのものが問い返されて、新たな認識を形づくっていくというか、そういう学習プロセスを、専門職であろうが、実践家だろうが、学生であろうが、あるいは一般の人たちであろうが、持つべきであろうというようなお話として捉えるとすれば、果たしてそういう研修のような場はどのように構成されるのかということは、ちょっと考えてみる価値があるような気はしたのですよね。それは、もしかしたら、専門性として階段を上っていくような、その階段を1回全部壊すような、もう1回組み立て直そうよという、何かそういう作業になるような話なのかなと思っています。

【大森委員】  本当にすみません。

【井口係長】  いや、それに意味や価値があるだろうというふうに思って。どんなふうにそれを構想できるかは、また議論したいのですけれども。そんなような感想を持っています。

【津田座長】  ありがとうございました。
 そろそろお時間となったのですけれども、いいですか。阿部さん、鈴木さん、大丈夫ですか。
 はい。それでは、大森さん、平井さん、どうもありがとうございました。とても刺激的なお話をお聞かせいただきました。
 それでは、ここからは次回以降のお話など、業務連絡になりますね。井口さんのほうにお戻しということでよろしいでしょうか。

【井口係長】  はい。ありがとうございました。
 また、次第に戻っていただきたいのですが、前回の9月のときに、今後の会議のスケジュールをということで御相談をさせていただいたのは、6名の委員の皆さんに、2名ずつ、今回のように、この間の議論のまとめに関わる御提言、あるいは御発言をまとまっていただいて、それに基づいて議論しようというふうなことを確認させていただきました。その1回目が今日ということで、今日も大変刺激的だったので、これを受けて、次回も引き続き議論していけるとありがたいというふうに思っていまして、3月までに、一応、この会議での議論のまとめというものを作成していくに当たって、まだちょっと、これがどのようなボリュームで、どのようなレベルのものになっていくのかというのは、これから事務局としての案も検討したいと思うのですが、これをまとめていくということを考えると、スケジュール的には少しタイトになってきたというふうに思っていまして、できれば年内に1回、それから年明けも、1月の後半というよりは、1月の前半あたりにさらにもう1回、2名ずつ御発表いただいて、かつ、やや遅れている事例集、ガイドブックについての完成もこぎ着けていくというようなスケジュールで進めていく必要があるかなというのが事務局案でございます。お忙しい皆さんですので、スケジュールが果たして取れるのかどうかという問題はあるのですけれども、よろしければこの場で、梶野さんがいないので完全確定が難しいかとは思うのですが、できましたら、日程候補を絞り込んで、12月と1月の会議開催日を仮確定したいというふうに思っているところです。よろしいでしょうか。ちょっとタイトなスケジュール候補からになるのですが。
 
(日程調整)

【井口係長】  では、ちょっとまた調整をして、早めに御連絡をさせていただきたいと思いますので、スケジュールのところは御予定いただきたいと思います。
 そのほか、事務局から何か連絡等ありますでしょうか。大丈夫ですか。ありがとうございます。
 すみません。今日も長時間にわたりまして活発に御議論いただきましてありがとうございます。では、第7回の在り方検討会をこれで終了とさせていただきたいと思います。引き続き、どうぞよろしくお願いします。

【津田座長】  ありがとうございました。
 

お問合せ先

総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課障害者学習支援推進室

Get ADOBE READER

PDF形式のファイルを御覧いただく場合には、Adobe Acrobat Readerが必要な場合があります。
Adobe Acrobat Readerは開発元のWebページにて、無償でダウンロード可能です。

(総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課障害者学習支援推進室)