3.制度設計に当たっての論点の整理

1.論点の整理の位置づけ

  • 論点の整理においては、次の2つの点に留意して検討を行ってきた。
    • 新専門学校を設置する場合に過度の負担が生じぬよう、教育の質を保証できると合理的に判断し得る内容とすること。
    • 新専門学校が高等教育機関として学校教育体系に位置づけられるよう、他の高等教育機関との関係から一定の基準・要件等を備えること。
  • この2つの点は相反する関係にあり、制度設計作業部会において検討を重ねても、「合理的に判断し得る」明確な理由を提示しにくい項目、あるいは「高等教育機関としての一定の基準・要件」としての具体的な指標を提示しにくい項目等が出てきた。
  • さらに、高等教育の専門家から指摘を受けた事項には、新専門学校制度を考える制度設計作業部会の職務を超えて、我が国の高等教育体系全体の見直しにかかる内容も含まれていた。
  • ただし、今後予想される本格的な制度設計の審議にあたり、団体として、特に重要度の高い項目について一定の方向性を示すことが必要と考え、これらの項目も含めて、短期間で意見の集約を図り、なるべく検討の過程で出てきた考え方を例示することを試み、引き続き検討が必要な視点を盛り込むこととした。
  • したがって、この論点の整理は一つの試案であり、この論点以外の項目を含め、特に新専門学校を高等教育機関に位置づけるために定めなければならない基準・要件については、引き続き専門学校関係者以外の学校関係者や学識者を交えて、個々に検討を深めて、具体的な指標を定める必要がある。

2.学校教育法に定める新専門学校の教育の目的等

整理の内容

  • 新専門学校は、職業教育全般にかかわる「教育」を行うものとし、その教育を通じて人格形成を図るものとする。
  • 新専門学校の基本的な役割として、地域や産業界の要請に対応した人材育成をはじめ、教育活動の成果を通じて「社会貢献」を行うものとする。
  • これらの点を踏まえた目的等の例示として、次のような内容が考えられる。

1.目的

  • ア)社会が求める知識、技術及び技能を総合的に教授・修練すること。
  • イ)職業及び実際生活に必要な能力を育成すること。
  • ウ)専門性が求められる特定の職業を担うための能力を育成すること。

2.役割(目標)

目的を実現するための教育を行い、その成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与する。

引き続き検討が必要な点

  • 高等教育機関での研究については、考え方(先端技術から効果的な教育方法まで)や取り組み方等に差があることから、教育に特化する新専門学校における研究のあり方(大学等との差別化)についても検討する必要がある。
  • 目的は新専門学校の理念となることから、次の観点から検討する必要がある。
    • 社会の要請(多様な学習機会の保証など)あるいは社会との関わり(社会人の受入れ、生涯学習など)について、高等教育システムとしての機能を明確にすること。
    • 養成する能力について、大学との識別が可能となるようにすること。
    • 職業能力と特定の専門能力の範囲について、高等教育機関として適切なものとすること。
    • 職業能力や特定の専門能力について、職業資格との関係を整理すること。
    • 実際生活に必要な能力について、短期大学との識別が可能となるようにすること。
    • 専門職(技術者)の育成について、高等専門学校との識別が可能となるようにすること。
  • 新専門学校における具体的な専門分野の類型について、次の観点から検討する必要がある。
    • 教育する知識、技術及び技能が高等教育としての内容及び水準等を有していること。
    • 新専門学校で育成する知識、技術及び技能と関連する専門職能を特定、体系化すること。

3.学校教育法及び設置基準に定める新専門学校制度の基準・要件等

前提として引き続き検討が必要な点

規制緩和によって多様性が進展する高等教育機関にあっては、逆に質的な保証の枠組みを厳格化する方向性も検討されていることから、新専門学校制度の基準・要件についても、質的保証の担保を優先して検討する必要がある。

(1)入学資格

【整理の内容】
  • 新専門学校は、他の高等教育機関(大学及び短大)と同様の規定とする。
  • この点を踏まえた入学資格の例示として、次のような内容が考えられる。
    • ア)高等学校もしくは中等教育学校を卒業した者。
    • イ)通常の課程による12年の学校教育を修了した者。
    • ウ)文部科学大臣の定めるところにより同等以上の学力があると認められた者。

(2)修業年限等

【整理の内容】
  • 新専門学校は、教育目標や教育内容に応じて、「2年・3年・4年」のなかで修業年限を設定する。ただし、夜間の学科は、それぞれの修業年限を超えることができるものとする。
  • 新専門学校の教育課程は単位制とし、昼間の学科と夜間の学科の整合性を前提としつつ、修業年限に応じて課程の修了に必要な最低単位数を明示する。
  • 単位数は、専門学校の大学編入学資格(「専門士」)付与の課程、大学院入学資格(「高度専門士」)付与の課程の授業時間数等を参考とする。
  • 次の新専門学校の教育課程の特徴から、独自の単位換算の仕組みを定める。
    • 職業人養成の目的の達成に必要な科目のみで編成されること(科目による重みづけは不適切)。
    • 学内の講義と学外の実習を効果的に組み合わせた科目(インターンシップなど)が多用されること。
  • 新専門学校は、専攻科及び別科、並びに通信課程(設置基準は別に定める)を設置できるものとする。
  • これらの点を踏まえた修業年限等の例示として、次のような内容が考えられる。
1.修業年限
  • ア)修業年限は2年、3年又は4年とする。
  • イ)各授業科目の単位数は、新専門学校において定める。
  • ウ)2年の学科の卒業の要件は、2年以上在学し、A単位以上を修得するものとする。
  • エ)3年の学科の卒業の要件は、3年以上在学し、B単位以上を修得するものとする。
  • オ)4年の学科の卒業の要件は、4年以上在学し、C単位以上を修得するものとする。
2.単位換算
  • 単位数は、全ての授業科目について30時間から45時間までの範囲で新専門学校が定める時間の授業をもって1単位と定める。
3.夜間の課程
  • ア)夜間において授業を行う学科を置くことができる。
  • イ)夜間において授業を行う学科の修業年限は「2年、3年又は4年」を超えることができる。
  • ウ)3年の学科の卒業の要件は、3年以上在学し、A単位以上を修得するものとする。
  • エ)4年の学科の卒業の要件は、4年以上在学し、B単位以上を修得するものとする。
4.専攻科
  • ア)入学資格は、「新専門学校を卒業した者」又は「文部科学大臣の定める同等以上の学力があると認められた者」とする。
  • イ)専門性が求められる特定の職業を担う能力について、精深な程度において、特別の事項を教授・修練することを目的とする。
  • ウ)修業年限は1年以上とする。
5.別科
  • ア)入学資格は、「新専門学校の入学資格を有する者」とする。
  • イ)簡易な程度において、特別の技能教育を施すことを目的とする。
6.通信課程
  • ア)通信による教育を行う学科を置くことができる。
  • イ)通信による教育を行う学科については、文部科学大臣が別に定める基準により行う。

引き続き検討が必要な点

  • 専門教育の領域によって履修する教育内容は大きく異なることから、専門教育を基軸として構成される教育の種類や内容等の枠組み(どのように教育課程を編成するか等)についても検討する必要がある。
  • 学習者の多様性や社会構造の変化などを踏まえ、次のような高等教育システムを構築する観点から、新専門学校の教育課程の編成のあり方についても、検討する必要がある。
    • 他の高等教育機関と相互に自由な乗り入れ(ダブルスクール、転学、編入学及び進学など)が可能となること。
    • 個人の専門性等を活かせるような社会人教育が可能となること。
  • 教育の種類や内容等の枠組みは、新専門学校の志願者等に対する財政支援の受給資格の関係(認証評価の基準など)からも検討する必要がある。
  • 新専門学校の授業科目の設定について、次の観点から検討する必要がある。
    • 教育の目的にあわせて、高等教育機関として共通に求められる科目と新専門学校の特色となる科目との均衡を保つこと。
    • 他の高等教育機関との単位互換の考え方や対応関係を明確にすること。
    • 授業科目の種類と内容(基礎的なもの、応用的なもの等)を整理し、定義すること。
    • 学外実習(インターンシップ)等は単位認定に必要な要素を整理、定義すること。
  • 授業時間と自習時間によって構成される単位の考え方に基づき、新専門学校の単位換算の規定について検討する必要がある。
  • 新専門学校の課程の修了の要件と職業資格の関係について、検討する必要がある。

(3)設置者の要件

【整理の内容】
  • 新専門学校の設置者(設置主体)の要件は、他の高等教育機関と同様の規定とする。
  • 新専門学校の目的、その目的に基づく施設・設備や教員の内容を踏まえた、「新専門学校及びそれを設置する学校法人の寄附行為等の審査基準」を新たに設ける。
  • これらの点を踏まえた設置者の要件の例示として、次のような内容が考えられる。
    • 国、地方公共団体及び私立学校法第3条に定める学校法人のみが、設置することができる。

(4)所轄庁

【整理の内容】
  • 他の高等教育機関の所轄庁は、設置認可における地域格差の排除、また、国際的通用性の担保のための質保証などにより、文部科学大臣となっている。
  • 私立の専門学校の所轄庁は、その制度の成り立ちや位置づけのほか、地域社会が自ら優秀な人材の育成に取り組むなどの観点から、都道府県知事となっている。
  • 規制緩和のなかで、営利大学といった従来の枠組みを拡大した高等教育機関が設置されているが、質的保証を重視する観点から所轄庁は文部科学大臣となっている。
  • 新専門学校は職業人養成を目的とする高等教育の新しい類型であるが、学校教育体系に位置づけるためには、現行の高等教育機関に対する認可の仕組みのもとで設置される必要がある。
  • これらの点を踏まえた所轄庁の例示として、次のような内容が考えられる。
    • 私立の新専門学校の設置廃止、設置者の変更その他必要な事項については、文部科学大臣の認可を受けなければならない。

(5)校地の面積

【整理の内容】
  • 他の高等教育機関の校地は、『収容定員上の学生1人当たり10平方メートルとして算定した面積』となっている。
  • 専門学校の校地は、『校舎その他必要な施設等を保有するに必要な面積』となっている。
  • 他の高等教育機関では段階的に校地の面積基準が緩和されてきたが、新専門学校に当該基準を適用した場合、財政的・物理的な負担、学外の教育資源を活用した教育活動等の制約が生じるほか、学習者等の時間的・経済的負担も増加する。
  • ただし、統一的な認可基準の運用を担保するためには、校地の面積について一定の要件を定める必要があり、新専門学校としての明確な指標を新たに規定することが適切である。
  • これらの点を踏まえた校地の面積の例示として、次のような内容が考えられる。
    • ア)校地は、教育にふさわしい環境をもち、校舎その他必要な施設等を保有し、かつ、学生が休息その他に利用するのに適当なものでなければならない。
    • イ)校地の面積は、具体的な基準に基づき算定された面積でなければならない。
    • ウ)特別な事情がある場合は、収容定員、履修方法及び施設の使用状況等を考慮して、教育に支障のない限度において、面積を減ずる又は他の学校等の校地と共用することができる。
    • エ)校地は自己所有を原則とする。ただし、教育に支障がなく短期借用がやむを得ない場合は、契約期間が修業年限に一致しなくとも、契約の自動更新などにより修業年限以上の使用が確保できる見込みがあるときは、代替措置として認める。
    • オ)開設から完成までの各年度で整備しなければならない割合を下回らない範囲で、かつ教育に支障のない限度において、校地を年次計画で整備することができる。

(6)校舎の面積

【整理の内容】
  • 他の高等教育機関の校舎は、教育研究活動等に必要な施設を備えることを前提として、一定の基準のもとで算定した面積となっている。
  • 専門学校の校地も、教育活動等に必要な施設を備えることを前提として、一定の基準のもとで算定した面積となっている。
  • 他の高等教育機関では準則化によって校舎面積が緩和されてきたが、新専門学校に当該基準を適用した場合、校地の面積と同様の問題が生ずる。
  • ただし、統一的な認可基準の運用を担保するためには、校地の面積について一定の要件を定める必要があり、次の視点などを踏まえて、新専門学校としての明確な指標を新たに規定することが適切である。
    • 学科の属する分野の種類に応じて基準を定めること。
    • 収容定員は80人を下限として、定員に応じて面積を加算すること。
  • これらの点を踏まえた校舎の面積の例示として、次のような内容が考えられる。
    • ア)校舎は、組織や規模に応じ、個別具体の施設を備えるものとする。
    • イ)校舎の面積は、1つの分野についてのみ学科を置く場合は、「分野の種類及び収容定員に応じて定める面積」以上とし、2つ以上の分野についてそれぞれ学科を置く場合は、「分野の種類及び収容定員に応じて定める面積」と「分野の種類及び収容定員に応じて定める加算面積」の合計以上とする。
    • ※ その他、校舎について、校地の面積に対する所要の措置を準用する。

(7)校地・校舎・施設設備の内容

1)運動場
【整理の内容】
  • 他の高等教育機関では、人格の形成に配慮し、学生の体育活動等に積極的に対応するため、運動場が必置となっている。
  • 専門学校も、目的に応じて運動場の用地を備えることが義務化されている。
  • これらの点を踏まえた運動場の例示として、次のような内容が考えられる。
    • 運動場を設けるものとする。
2)図書室又は図書館及び当該施設の専門的職員
【整理の内容】
  • 新専門学校は、教育活動等を行う上で必要な図書等の資料を系統的に備えるために、図書室又は図書館を置くことを規定する。
  • 新専門学校は、図書等の資料を整理し、適切な方法により閲覧に供するため、専門的職員等を配置することを規定する。
  • これらの点を踏まえた図書室又は図書館、その専門的職員の例示として、次のような内容が考えられる。
    • ア)組織及び規模に応じ、図書室又は図書館を備えた校舎を有するものとする。
    • イ)学科の種類、規模等に応じ、図書、学術雑誌、視聴覚資料その他の教育上必要な資料を、図書室又は図書館を中心に系統的に備えるものとする。
    • ウ)図書室又は図書館には、学生の学習又は教員の教育研究のために必要な数の座席を有する閲覧室を備えるものとする。
    • エ)図書室又は図書館には、専門的職員その他の専任の職員を置くものとする。
3)教員研究室
【整理の内容】
  • 新専門学校は、教育活動等を行う上で教員の教育研究に必要な施設を備えることを規定する。
  • この点を踏まえた教員研究室の例示として、次のような内容が考えられる。
    • 組織及び規模に応じ、教員研究室を備えた校舎を有するものとする。
4)医務室又は保健室
【整理の内容】
  • 新専門学校は、学生の保健管理又は危機管理の徹底を図る上で必要な施設を備えることを規定する。
  • この点を踏まえた医務室又は保健室の例示として、次のような内容が考えられる。
    • 組織及び規模に応じ、保健室又は医務室を備えた校舎を有するものとする。
5)機械又は器具等
【整理の内容】
  • 新専門学校は、教育活動等を行う上で学生の学習又は教員の教育研究に必要な設備を備えることを規定する。
  • この点を踏まえた機械又は器具等の例示として、次のような内容が考えられる。
    • 学科の種類、学生数及び教員数に応じ、必要な種類及び数の機械、器具、標本及び模型を備えるものとする。
6)教育研究環境の整備
【整理の内容】
  • 新専門学校については、統一的な認可基準の運用を担保するため、「教育にふさわしい環境の整備に必要な経費(標準設置経費)」を、新専門学校を設置する学校法人の認可基準として規定する。
  • なお、新専門学校の標準設置経費は、校地や校舎の面積、校地・校舎・施設設備の各内容を踏まえ、独自の指標として新たに設定することが適切である。
  • これらの点を踏まえた教育研究環境の整備の例示として、次のような内容が考えられる。
    • 教育上の目的を達成するため、必要な経費の確保等により、教育にふさわしい環境の整備に努めるものとする。
7)その他
【整理の内容】
  • 新専門学校については、その他必要な施設を他の高等教育機関と同様に規定する。
  • 新専門学校については、特に職業人養成の目的を達成する上で必要な施設を新たに規定する。
  • これらの点を踏まえたその他施設設備の例示として、次のような内容が考えられる。
    • ア)校舎には、なるべく情報処理及び語学の学習のための施設、講堂、学生自習室及び学生控室その他厚生補導に関する施設を備えるものとする。
    • イ)校舎には、学生の職業生活の設計又は就職等の相談及び指導のための施設を備えるものとする。
    • ウ)学生の職業生活の設計又は就職等の相談及び指導を行うため、専門的職員その他職員を置くものとする。

(8)教員資格

【整理の内容】
1)学歴要件
  • 新専門学校の教員資格の学歴要件については、その教育の質を保証する外形的な証左を得る観点から、学位や称号(専門学校及び新専門学校の修了者に付与されるものを含む)等の区分に応じて教員資格を定める必要がある。
  • 他方、新専門学校においては、社会の変化に即応した最新の知識、技術及び技能を、できる限り早期に体系的に教育課程に取り込むことが、職業人養成の目的を達成し、その教育の質の向上に資することから、特に担当する教育について実務的かつ実践的な知識、技術及び技能(実務又は業務実績)などを有している者を教員とする必要がある。
  • したがって、新専門学校の教員資格の学歴要件については、一定の学位や称号等を基礎資格とし、特に実務又は業務実績等を重視する基準を新たに規定することが適切である。
2)実務及び業務経験の内容及び年数
  • 新専門学校の教員資格のうち実務又は業務実績については、職業教育の中核的な役割を担う専門学校での実務又は業務経験を含める必要がある。
  • また、実務又は業務実績の証左の1つとして、「実務的かつ実践的な知識、技術及び技能などを有する」と認められる実務又は業務経験の年数については、学位や称号等の区分に応じて明確にする必要がある。
  • したがって、新専門学校の教員資格の実務又は業務経験の内容及び年数については、職業人養成の目的の達成に必要な実務又は業務経験の内容、基礎資格となる学位や称号等に応じた経験年数を新たに規定するとともに、実務家(現に実務に従事している者)教員も新たに規定することが適切である。
  • これらの学歴要件、実務及び業務実績の内容及び年数を踏まえた教員資格の例示として、次のような内容が考えられる。
    • 教員となることができる者は、次のいずれかに該当し、かつ、担当する教育に関し専門的な知識、技術、技能及び教育上の能力を有すると認められるものとする。
      1. 博士の学位を有する者。
      2. 修士の学位又は専門職学位を有し、学校等(学校、専修学校専門課程、研究所、病院、試験所、調査所等)においてA年以上の教育研究実績を有する者、又は事業所等(事業所、工場、病院その他の施設)においてA年以上の実務実績等を有する者。
      3. 学士の学位又高度専門士その他の称号を有し、学校等においてB年以上の教育研究実績を有する者、又は事業所等においてB年以上の実務実績等を有する者。
      4. 短期大学士の学位又準学士、専門士その他の称号を有し、学校等においてC年以上の教育研究実績を有する者、又は事業所等においてC年以上の実務実績等を有する者。
      5. 学校等においてD年以上在職し教育研究実績を有する者又は事業所等においてD年以上在職し実務実績等を有する者。
      6. 特定の分野について、特に優れた知識、技術、技能及び業務又は実務経験を有すると認められる者。
      7. その他同等以上の能力を有すると認められる者
【引き続き検討が必要な点】

他の高等教育機関との単位互換や相互乗り入れなどを前提として、教育の質保証の観点から、新専門学校の教員資格について検討する必要がある。
個々の教員が新専門学校で養成する職業能力及び専門能力に関する実務及び業務実績を有することとは別に、新専門学校が組織として教育効果を最大限に高めるための体制等のあり方について検討する必要がある。

(9)教員数

【整理の内容】
  • 新専門学校の教員数は、次の視点に基づき必要な数を設定する必要がある。
    • 新専門学校の教員の職務は「学生の教授」とすること。
    • 新専門学校の主要授業科目は相互に密接な関係があり、複数の教員が分担して教授するよりも、同一の教員が複数科目を教授するほうが、体系的かつ効果的に修得できること。
  • 他方、新専門学校においては、社会の変化に即応した最新の知識、技術及び技能を、できる限り早期に体系的に教育課程に取り込むことが前提となるため、教員の流動性が高く、全ての教員を専任教員とすることは教育活動に支障が生ずる点に留意する必要がある。
  • また、新専門学校の教育の活性化及び高度化において、一定割合の実務家(現に実務に従事している者)教員による教育を推進することが重要である。
  • したがって、新専門学校の教員数については、次のような視点などを踏まえて、一定の数の教員を置くこと、当該教員数の一定割合について専任教員とすることなどを新たに規定するとともに、実務家(現に実務に従事している者)教員を専任教員とすることも新たに規定することが適切である。
    • 学科の属する分野の種類に応じて基準を定めること。
    • 収容定員は80人を下限として、定員に応じて人数を加算すること。
  • これらの点を踏まえた教員数の例示として、次のような内容が考えられる。
    • ア)教員数は、1つの分野についてのみ学科を置く場合は、「分野の種類及び収容定員に応じて定める人数」以上とし、2つ以上の分野についてそれぞれ学科を置く場合は、それぞれの「分野の種類及び収容定員に応じて定める人数」の合計以上とする。
    • イ)教員数の半数以上は専任教員でなければならない。
    • ウ)新専門学校における教育以外の業務に従事する者(実務家教員)を専任教員とすることができる。
【引き続き検討が必要な点】

新専門学校で必要とする教員数及び専任教員の割合とは別に、教員資格と同様に、新専門学校が組織として教育効果を最大限に高めるための体制等のあり方ついて検討する必要がある。

(10)自己点検・評価

【整理の内容】
  • 新専門学校は、他の高等教育機関と同様の規定とする。
  • なお、具体的な点検・評価の対象や方法については、新専門学校の教育の個性・特色を踏まえて定める必要がある。
  • これらの点を踏まえた自己点検・評価の例示として、次のような内容が考えられる。
    • ア)教育水準の向上に資するため、文部科学大臣の定めるところにより、教育、組織及び運営並びに施設及び設備の状況について、自ら点検及び評価を行い、その結果を公表するものとする。
    • イ)教育の成果の普及及び活用の促進に資するため、教育活動の状況を公表するものとする。
    • ウ)教育活動等の状況について、刊行物への掲載その他広く周知を図ることができる方法によって、積極的に情報を提供するものとする。
    • エ)授業の内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究の実施に努めなければならない。
【引き続き検討が必要な点】

職業教育の目的の達成度を評価する場合、教育内容や職業選択等の多様化に配慮した適切な評価項目を設定する視点について検討する必要がある。

(11)第三者評価

【整理の内容】
  • 新専門学校は、他の高等教育機関と同様の規定とする。
  • なお、具体的な評価の基準及び方法、体制については、新専門学校の教育の個性・特色を踏まえて定める必要がある。
  • また、第三者評価の実施にあたり、評価の基準及び方法の確立、実施体制の整備といった事前準備の期間が必要となるため、第三者評価機関が組織されるまでの間は、第三者評価に代わる措置を講じることにより猶予されることを定める必要がある。
  • これらの点を踏まえた第三者評価の例示として、次のような内容が考えられる。
    • ア)所轄庁等の認証を受けた認証評価機関による認証評価を受けるものとする。
    • イ)認証評価機関が所轄庁等の認証を受けるまでの間、教育活動等の質を保証しうる措置等を講じることにより、認証評価を猶予されるものとする。
【引き続き検討が必要な点】
  • 新専門学校の教育水準を維持するためには、専門職能団体などの認証評価が重要であり、当該団体などが存在しないことを理由として、学校自らの評価の取り組みだけでは、高等教育機関の質的な保証の枠組みと合致しない視点について検討する必要がある。
  • 新専門学校の具体的な専門分野の類型については、認証評価を実施する専門職能団体などの存在を前提として検討する必要がある。

(12)学校や称号の名称

1)学校の名称
【整理の内容】
  • 新専門学校については、次の理由から新しい名称を用いる必要がある。
    • 新専門学校は、独自の設置基準のもとで設置される新しい学校種であること(専門学校は今までどおりの制度として残ること)。
    • 新専門学校は、学校教育体系に高等教育機関として明確に位置づけられること。
  • 新専門学校の名称については、次の方向性のもとで検討する必要がある。
    • 高等教育機関を想起させるものであること。
    • 職業人養成を教育の目的とすることから、専門学校を含む他の高等教育機関のうち、同種の目的を掲げる学校の名称と全く関係のない名称を付すことは不適切であること。
    • 学校教育法で他の高等教育機関や専門学校の名称の使用制限が規定されることを踏まえ、社会に混乱を生じさせない点を重視すること。
    ★ これらの点を踏まえて、1条校化推進本部、あるいは専門学校関係者以外の学校関係者や学識者を交えて、新専門学校にふさわしい学校名称について検討を深めていく。
【引き続き検討が必要な点】
  • 新専門学校の名称については、諸外国における職業教育の体系、職業教育を主な目的とする高等教育機関の位置づけや名称なども考慮に入れつつ、新専門学校の高等教育段階での位置づけや教育内容等を反映する視点からも検討する必要がある。
2)称号の名称等
【整理の内容】
  • 新専門学校の課程の修了者に対しては、次の理由から新しい称号を付与する必要がある。
    • 教育の目的に研究活動を含まないこと、また、校地・校舎・施設設備の内容及び教員資格等について大学の基準と異なることから、新専門学校には学位授与権はないこと。
    • 学位授与権のない高等教育機関においては、学修の成果を証するために、修了者に称号が付与されていること。
  • 新専門学校の課程の修了者に付与される称号及びその名称については、次の方向性のもとで検討する必要がある。
    • 新専門学校の修業年限は「2年、3年又は4年」で、それぞれ卒業に必要な単位数を設定していること、大学及び短期大学においても異なる学位が授与されていることから、「2年又は3年の課程」と「4年の課程」に分けて別の称号を付与する制度とすること。
    • 名称は高等教育機関の修了を想起させるものであること。
    • 職業人養成を教育の目的とすることから、専門学校を含む他の高等教育機関のうち、同種の目的を掲げる学校に制度化された称号等と全く関係のない名称を付すことは不適切であること。
    • 他の高等教育機関や専門学校に制度化されている称号等との混同を生じさせない点を重視すること。
    ★ これらの点を踏まえて、1条校化推進本部、あるいは専門学校関係者以外の学校関係者や学識者を交えて、新専門学校の課程の修了にふさわしい修業年限別の2つの称号名称について検討を深めていく。
【引き続き検討が必要な点】
  • 新専門学校の課程の修了について国際的な通用性を担保するために、単位の類型、カリキュラムの構造化などの側面についても検討する必要がある。

4.学校教育法及び設置基準以外の制度設計に関連する論点

【整理の内容】

  • 専門学校については、国又は地方公共団体による特定の助成措置が講じられている。
  • 新専門学校は、専門学校とともに職業教育を担う中核的な教育機関となることから、その財政支援のあり方について検討する必要がある。
  • また、新専門学校の創設は、学校教育制度を根拠とする法令上の格差の解消も目的としていることから、学校教育法以外の各府省庁所管の法令の取扱いについて検討する必要がある。
    ★ これらの点を踏まえて、学校教育法及び設置基準等のほか、新専門学校の制度設計にも関連する、財政支援のあり方、他府省庁所管法令との関係の整理、その他所要の論点について、1条校化推進本部、あるいは専門学校関係者以外の学校関係者や学識者を交えて検討を深めていく。

お問合せ先

生涯学習政策局生涯学習推進課専修学校教育振興室

(生涯学習政策局生涯学習推進課専修学校教育振興室)