2.新専門学校にかかる制度設計の基本的な考え方

  • 専門学校の現況を鑑みると、次のような解決すべき課題が存在している。
    • 学校教育制度において特別な性格(「学校」ではなく「教育施設」)を有するが故に、これまでの教育改革の議論では直接的な対象ではなかったこと。
    • 学校教育制度を根拠とする(学校と教育施設を明確に区分する)多数の社会システムが確立しているため、現に専門学校、及びその在籍者や卒業者に対する格差が生じていること。
    • 例えば、大学進学率を教育評価に用いる高校のように、学歴偏重の意識が広く根強く残っているため、ユニバーサル・アクセスの段階にある高等教育のなかで公平な競争あるいは連携が担保されていないこと。
  • 前述の背景とあわせ、これらの課題を解決するため、「新専門学校制度の在り方(専門学校の将来像)」は、次の3点を基本方針としている。

基本方針1 新専門学校は、新しい学校種として創設し、学校教育法第1条に規定すること。

  • 専門学校(専修学校)は、多様な主体により設置され、特色・個性のある目標を設定して教育機会を提供している。
  • 引き続き専門学校(専修学校)として教育機会を提供するものが出てくることから、専修学校制度の目的や基準等は変更せずに、今までどおりの制度として残す必要がある。
  • さらに解決すべき課題への対応を踏まえ、新専門学校は、専修学校からの分離といった部分的改正ではなく、新しい学校種として創設し、我が国の学校教育体系に明確に位置づけることが重要である。
  • なお、新専門学校が創設された後も、専門学校(専修学校)が担う職業教育の使命や役割に変わりはないことから、それぞれの制度に応じた必要な振興策を講じていくことを求める必要がある。

基本方針2 新専門学校は、独自の教育の目的を有し、入学資格が明確に区分されたものとすること。

  • 専修学校は、後期中等教育、高等教育(専門学校)及び生涯学習を包含する単一の目的のもと、入学資格の異なる3つの課程を併設することができる。
  • このような複雑な教育制度のために、専門学校は社会に理解されにくく、適切かつ効果的なより具体の振興策の措置等を困難にしている。
  • したがって、新専門学校は、既存の学校種と重複しない高等教育機関としての目的を明確にし、その目的に適合した入学資格を設定することが重要である。

基本方針3 新専門学校は、既存の学校種の基準等の内容を議論の出発点とすること。

  • 新専門学校は新しい学校種として創設するため、その基準・要件等は専門学校(専修学校)と異なるものを設定する必要がある。
  • 特に、新専門学校を学校教育体系に位置づけるとき、既存の学校種との整合性を図ることが制度設計上の重要な論点となるため、他の高等教育機関の基準等を基本として内容等を精査することが重要となる。なお、「3.制度設計に当たっての論点の整理 3.学校教育法及び設置基準に定める新専門学校制度の基準・要件等」のうち、(5)校地の面積、(6)校舎の面積、及び(7)校地・校舎・施設設備の内容(例えば、運動場の取扱いなど)については、国の規制緩和の実態や動向等を見極めつつ、特別の事情がある場合の措置を含めて、独自の基準の設定を検討する必要がある。

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生涯学習政策局生涯学習推進課専修学校教育振興室

(生涯学習政策局生涯学習推進課専修学校教育振興室)