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5.学習者情報の扱いに関する実態調査

5.1  目的
   情報通信技術の進歩に伴い、一部の先進的な自治体においては、従来の生涯学習情報提供システムやホームページによる一般的な学習情報の提供だけではなく、ID・パスワードによるユーザ登録(学習者登録)を行った上で、学習者のニーズに応じた情報の提供やメールマガジンの配信、学習履歴情報の提供など、学習者に個別のサービス提供を行う情報提供システムの導入が進められつつある。
 しかしながら、ユーザ登録の際に取得すべき学習者情報の内容や、その取扱い、利用目的等については各システムに委ねられている上、個人情報保護への意識の高まりもあり、生涯学習センターが学習者のニーズに応じたサービス提供を行う上での隘路となっている。
 そこで、今般、自治体における学習者情報等の個人情報の取扱に関してアンケートを行い、今後の学習者情報等の収集・管理・利用に関する検討に資することとした。

5.2  調査方法
   生涯学習情報提供システムを持つ自治体(約220)を調査の対象とし、アンケート用紙を郵送して行った。送付したアンケート用紙は、参考資料2のとおり。

5.3  調査内容
   主な調査内容は次のとおり。
(1) 一般学習者について
 
1  生涯学習情報提供システムやホームページ等におけるユーザ登録の有無
2  ユーザ登録時の入力内容(必須項目と任意項目)
3  ユーザ登録の利用規約の有無
4  ユーザ登録により拡張されるサービスの内容(学習履歴、メールサービス等)
5  ユーザ登録の利活用状況
(2) 企画者について
 
1 生涯学習情報提供システムやホームページ等におけるユーザ登録の有無
2 ユーザ登録により拡張されるサービスの内容
(3) 講師情報について
 
1 生涯学習情報提供システムやホームページにおける講師情報の提供の有無
2 講師情報の収集・提供内容(学習者向け、企画者向け)
(4) 団体・サークル・ボランティア活動等の情報について
 
1 生涯学習情報提供システムやホームページにおける団体・サークル・ボランティア等情報の提供の有無
2 団体・サークル・ボランティア活動等の情報の利用規約の有無

5.4  アンケート結果
   アンケート結果は、参考資料3のとおりであるが、その概要は次のとおりである。
(1) 一般学習者について
 
1  生涯学習情報提供システムやホームページ等におけるユーザ登録(学習者)の有無
 ユーザ登録を実施しているシステムやホームページは20パーセントであり、残り80パーセントのシステムは、ユーザ登録を実施していない、または計画している状況である。
 ユーザ登録を実施しているシステムを利用する際に、利用者がユーザ登録を行うかどうかは、ユーザ登録を行うデメリット(手続きの面倒さ、個人情報漏洩のリスクなど)と、ユーザ登録を行うことにより可能となるサービス(学習履歴やメールマガジン配信など)とのトレードオフによるものと考えられる。
 今後は、ユーザ登録を行わなくても自由に検索・閲覧できる情報に加えて、ユーザ登録を行うことにより、付加的なサービスや個人のニーズに応じた情報を提供するようなシステムが増加していくものと考えられる。
問1:生涯学習情報提供システムやホームページ等におけるユーザ登録(学習者)の有無
2  ユーザ登録時の入力内容(必須項目、任意項目)
 主な入力内容としては、
  氏名(漢字:94パーセント、カナ:82パーセント)
メールアドレス(82パーセント)
住所(76パーセント)
電話番号(59パーセント)
性別(59パーセント)
 があげられる。ただし、性別については、59パーセントのうちの47パーセントが任意項目となっており、また、住所や電話番号についても、任意項目としているシステムが半数程度である。
 生年月日については41パーセントであり、必須項目としているシステムも24パーセントあるものの、全体としては、登録内容としていない場合が多い。
 また、ニックネームについても41パーセントあるが、任意項目としている場合が多い。
 一方、任意で勤務先を入力項目としているシステムも僅かに見受けられるが、職種までは求めていない。
 なお、利用者を認証するためのログイン名(ユーザID)やパスワードを利用者自身に登録させているシステムも59パーセントある。
 個人情報保護に対する意識の高まりや、各自治体における個人情報保護条例等を踏まえ、ユーザ登録の際に必要な情報としては、学習者を識別したり、必要に応じて連絡を取るための最小限の情報に限定していることが伺われる。
問2-1:学習者情報の取扱い(必須、任意の別)

 一方、ユーザ登録実施の有無別に
1 ユーザ登録を実施している場合は実態として、どの情報を収集しているか
2 ユーザ登録実施していない場合は、仮に、ユーザ登録の必要なシステムを構築する場合に、どういった学習者情報を収集したいか
として、集計をとると、実施・未実施いずれも割合の高いものとして、
  氏名(漢字) (実施:94パーセント、未実施:82パーセント)
メールアドレス (実施:82パーセント、未実施:84パーセント)
が挙げられるが、一方で、
  誕生日 (実施:41パーセント、未実施:30パーセント)
電話番号(自宅)(実施:59パーセント、未実施:72パーセント)
 のように、見解に開きがあるものも見受けられる。
 概ね、これからユーザ登録が必要と認識している場合には、幅広く情報を入手する必要があると考えていることが伺われる。
問2-2:ユーザ登録時に求める学習者情報
1  ユーザ登録の利用規約の有無
 ユーザ登録を行っている17システムのうち、65パーセントにあたる11システムは利用規約を作成しており、3システムも利用規約の作成を検討している。
 システムの利用やユーザ登録によるサービスの利用にあたり、利用者の権利と義務、システム管理者の責任等を明確化する観点から、利用規約の作成と利用者への提示は極めて重要であり、サービスの提供とセットで行うべきと考えられる。
問3:ユーザ登録に当たっての利用規約等の作成状況
2  ユーザ登録により拡張されるサービスの内容
 ユーザ登録により利用可能となるサービスとしては、17システムのうち、
  メールマガジンの配信(6システム)
学習履歴等の管理(5システム)
意見交換・情報発信(5システム)
 が主なものとして挙げられる。
 その他としては、ネットサークルへの参加(2システム)、学習者が作成したコンテンツの登録(2システム)などもある。
 なお、講座・講習・イベント情報や団体・サークル情報など一般的な学習情報については、ID・パスワードによるユーザ登録をしなくても、サービスを提供している方が多い。
問4-1:ユーザ登録により拡張されるサービスの内容
一方でユーザ登録を実施していない場合についても、提供が望ましいサービスを調べたところでは、
  チャットへの参加(24パーセント)
SNS(Social Networking Service:会員制の情報交換サービスの一種)への参加(19パーセント)
など、現状では全く情報提供の事例がない新たなサービスについても、提供が望ましいと考える状況が見受けられる。
問4-2 提供が望ましいと考えるサービス
3  ユーザ登録の利活用状況
 ユーザ登録の状況としては、回答のあった16システムのうち、ユーザ数が100〜500人のシステムが8システムと最も多く、平均は489人である。
図5:ユーザ登録等の利用状況
(2) 企画者について
   生涯学習情報提供システムは、学習者だけでなく、生涯学習活動の企画者にも活用されている。特に、一部の先進的なシステムでは、企画者には、講師や団体の連絡先等の個人情報まで提供できるよう情報の公開範囲を拡大したり、掲示板サービスの提供により企画者同士のネットワークの形成を支援することも可能になっている。そこで、生涯学習情報提供システムにおける企画者向けのサービスの提供状況についても調査を行った。
1  企画者向けユーザ登録の有無
 生涯学習情報提供システムやホームページ等において、企画者向けにID・パスワードによるユーザ登録を行っているのは36パーセントであり、残り61パーセントは、特に企画者向けとしてのユーザ登録を実施しておらず、学習者と企画者に対して提供する情報の区別をしていない。
問6:企画担当者用のユーザ登録
2  ユーザ登録により拡張されるサービスの内容
 企画者向けユーザ登録により、拡張されるサービスとしては、講師・指導者情報(47パーセント)、団体・サークル情報(27パーセント)、企画者同士の掲示板(27パーセント)などが挙げられる。
問7-1:ユーザ登録により拡張されるサービス
 一方で、企画者向けのユーザ登録を実施していない場合に、どのような拡張サービスが望ましいかと比較すると
  ネットサークルへの参加(実施している:3パーセント、実施していない20パーセント)
SNSへの参加(実施している:0パーセント、実施していない17パーセント)
となっており、企画者間での情報共有の必要性が一部認められる。
図7-2:ユーザ登録により拡張される/拡張が望ましいサービス
(3) 講師情報について
 
1  講師情報の提供の有無
 約63パーセントのシステムで講師情報が提供されている。
問8:教師情報の提供
2  講師情報の提供内容
 氏名(81パーセント)や性別(55パーセント)、指導分野(87パーセント)、指導条件(時間・地域)(64パーセント)については、学習者・企画者ともに広く提供されている。
 一方、住所や電話番号等の講師の連絡先については、一般の学習者にも提供している場合もあるが、企画者向けにのみ提供している場合も多い。
 また、講師のホームページのURL等を掲載することにより、更に詳細な講師情報がわかるように工夫しているケースもある。
 講師情報のどこまで詳細を、学習者・企画者のそれぞれに提供するかについては、個人情報保護の観点と、効率的な情報提供の観点から検討の上、決定されるべきであろう。
問9:教師情報の提供内容
 また、現在講師情報を提供していない場合に、提供が望ましいと考えている情報については、現在講師情報を提供している場合と比較して、講師の著書や指導依頼方法の項目において乖離が見られるものの、概ね一致している。
問9-2:教師情報の提供内容
(4) 団体・サークル・ボランティア活動等の情報について
 
1  生涯学習情報提供システムやホームページにおける団体・サークル・ボランティア等情報の提供の有無
 生涯学習情報提供システムやホームページにおいて、団体・サークル・ボランティア活動等の情報を提供しているシステムは全体の68パーセントである。
問10:団体・サークル・ボランティア活動等の情報提供
2  団体・サークル・ボランティア活動等の情報の利用規約の有無
 団体等の情報を提供している57システムのうち、学習者情報の取扱とは別に団体用の規約を作成しているケースは16システムと、割合としては少ない。
 代表者の氏名や電話番号など、個人情報として扱われる情報もあることから、今後、規約を作成していくことが望ましいと考えられる。
問11:団体・サークル・ボランティア活動等の情報の利用規約の有無

5.5  生涯学習情報提供システムの利用規約について
 
(1) システムの利用規約と個人情報保護
   アンケートの実施に併せて、各自治体における生涯学習情報提供システムの利用規約を送付していただき、利用規約の内容を項目別に整理した。
 詳細は、参考資料3のとおりである。
 過半数の利用規約において、個人情報保護に関する規定が定められている。具体的には、
   利用目的の特定
 本人からの同意
 安全管理
 第三者への提供の制限
 相談窓口
などについて、規定しているものが多い。
 また、利用規約とは別に、「プライバシー・ポリシー」や「プライバシー・ガイドライン」として、上記のような個人情報保護の取扱を明確化しているケースもある。
(2) 個人情報保護条例とセキュリティポリシー
   現在、ほとんど全ての地方公共団体においては、個人情報保護条例が制定・施行されており、生涯学習センターをはじめとする行政機関においても、条例に基づいた個人情報保護の取扱いが求められている。
 また、大多数の地方公共団体においては、「情報セキュリティポリシー」が制定・施行されており、情報システムの管理や運用にあたっての内部規定となっている。
 したがって、生涯学習情報提供システムの円滑な運営のためには、個人情報保護条例と情報セキュリティポリシーの両方の視点から、個人情報の取扱について留意する必要がある。
 個人情報に対する国民の意識の高まりにより、生涯学習情報提供システムにおける個人情報の取り扱いに対する留意が必要となっており、各地方公共団体では、利用者の了解の下で、適正な個人情報保護に努める必要がある。

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