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多様なキャリアとは何か 職業、職歴ばかりでなく社会的な活動歴を含む多様なキャリアを考える場合、次の3つのことについて多様性が確保される必要がある。
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キャリアパターンの多様性 一生の中に仕事をどう位置付けるか、すなわちどういうパターンで働くかについて、同じ組織で働き続ける一貫就業型のほか、就職後に地域活動や学習に取組むため離職しその後再就職するパターンや、女性の場合は出産による中断を経て再就職するパターンなど多様であること。
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働く形態の多様性 就業形態について、正規雇用、パート・派遣・契約などのいわゆる非正規雇用、起業、コミュニティ・ビジネス、NPO、ワーク・シェアリングによる分担など多様であり、またそれらが自分のキャリア設計に沿って選択できること。
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働く目的の多様性 「自分にとって幸せとは何か、何のために働くのか」という、働く意味・目的に対する問いかけと答が多様であること。 |
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今後の働き方の方向
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いつでも、どのような形態でも、どのような目的でも働くことができ、個人の状況や希望に応じて参加することが可能で、しかも高い生産性を維持できるような働き方
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豊かな気持ちで人生を過ごすことが実現できるような働き方が考えられる。 |
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検討の視点 個人が主体的に多様な選択を行いながら、柔軟に働いたり学んだりできるよう支援するためには、「個人の一生の間での多様な選択」という長期的視野に立って生活・職業プランを設計することが不可欠である。その場合、男性も女性も、共に家庭、地域社会、仕事に参画し、責任を分かち合うことが前提条件になり、これまで、「男女」という軸に沿って考えられていた発想は転換され、「多様なキャリア」という軸に沿った新しい視点が浮かび上がってくる。 現状では、女性はキャリアの継続について、男性よりも出産・子育て・介護など生活面の影響を受けやすく、また、社会や組織に存在する男女の固定的役割分担意識の影響も受けやすいことを踏まえ、社会や職場で十分能力を発揮するための環境の在り方や、キャリアブランクを乗り越えるための学習の在り方などについて検討することが必要である。 その際、企業の管理部門や先端的な研究領域など女性の参画が少ない分野、地域活動や小学校教員など女性の参画が多い分野、生活や生命に関わる研究領域や商品開発など女性がリードし将来大きな可能性を秘めた分野などがあり、それぞれにおいて、どのような課題があり、どのような環境の整備が必要なのか検討することが考えられる。 また、多様な選択肢のどれを選んでもそれぞれが不安定でなく、国や企業等の側から見ても、質的にも量的にも生産性が高いことが重要であり、「生活」「教育・学習」「地域社会」「就労」といった活動領域が分断されることなく相互に自由な行き来ができるよう、教育・学習と地域社会、就労を結びつけるための機会の提供や、情報・人的ネットワークの形成についての検討が求められる。 さらに、様々な背景を持つ人々が十分能力を発揮できるようにするため、例えば、企業や大学等における採用の際に、年齢を理由とした不利益を受けないようにすることなども視野に入れる必要がある。
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女性の力を活かして多様なキャリアが定着する社会を形成するために 本懇談会では、このような視点に立ち、個人が一生の間で多様な選択を行うこと、すなわち、働いたり、学んだり、子どもを育てたりといった多様な役割を果たすことを前提として、その継続性の中でどのような課題が生じ、それに対してどのような支援が可能であるかについて、生涯学習の観点から、できるだけ具体的なモデルを示しながら支援の実効性も含めた検討を行っていくこととする。 検討に当たっては、仕事、地域活動、子育てなど、これまで男性に比べて多様な役割を果たしながら培ってきた女性の視点を十分活かして、多様なキャリアが定着する社会の形成を目指したいと考える。 |