特別支援教育が本格的に開始して5年が経過し、その実施状況について把握することが重要である。また、障害者の権利に関する条約に基づくインクルーシブ教育システムを今後構築していくに当たり、障害のある子どもの現在の状況を把握することが重要である。そのため、本調査により、通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒の実態を明らかにし、今後の施策の在り方や教育の在り方の検討の基礎資料とする。
以下のメンバーから成る協力者会議において、調査事項等、調査の実施方法等について検討した。
協力者 |
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座長 副座長 副座長
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大南 英明 太田 裕子 滝澤 雅彦 市川 宏伸 上野 一彦 土屋 隆裕 宮本 信也 |
全国特別支援教育推進連盟理事長 全国連合小学校長会特別支援教育委員長、品川区立鈴ヶ森小学校長 全日本中学校長会生徒指導部長、八王子市立松木中学校長 日本発達障害ネットワーク理事長、児童精神科医 大学入試センター特任教授 統計数理研究所准教授 筑波大学人間系長、小児科医 |
特別協力者 |
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渥美 義賢 柘植 雅義 廣瀬 由美子 笹森 洋樹 海津 亜希子 |
国立特別支援教育総合研究所客員研究員 国立特別支援教育総合研究所上席総括研究員 国立特別支援教育総合研究所上席総括研究員 国立特別支援教育総合研究所総括研究員 国立特別支援教育総合研究所主任研究員 |
a.児童生徒の状態
1)学習面(「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」)
「LDI-R -LD診断のための調査票-」(日本文化科学社)を参考にして作成。
2)行動面(「不注意」「多動性-衝動性」)
「ADHD評価スケール」(株式会社明石書店)を使用。
3)行動面(「対人関係やこだわり等」)
スウェーデンの研究者によって作成された、高機能自閉症に関するスクリーニング質問紙(ASSQ)を参考にして作成。
b.児童生徒の受けている支援の状況
協力者会議における議論を踏まえ作成。
平成24年2月から3月にかけて実施。
全国(岩手、宮城、福島の3県を除く)の公立の小・中学校のそれぞれ600校を抽出し、各学校の各学年10名を対象とし(小学校:約36,000人、中学校:約18,000人)、学級担任が記入し、特別支援教育コーディネーター又は教頭(副校長)による確認を経て提出するよう依頼した。これは、全児童生徒数(平成23年5月1日現在)の0.52%にあたる。
標本の抽出方法は、層化三段確率比例抽出法。(第一次抽出単位は学校、第二次抽出単位は学級、第三次抽出単位は児童生徒)
※詳細は別添参照
対象児童生徒約54,000人(小学校:約36,000人、中学校:約18,000人)のうち、52,272人について回答が得られ、回収率は96,8%。対象学校は1,200校で回収率は97,0%。対象学級では5,400学級で回収率は97,0%。
本調査における「a.児童生徒の状態」については、担任教師による回答に基づくもので、発達障害の専門家チームによる判断や、医師による診断によるものでもない。従って、本調査の結果は、発達障害の割合を示すものではないことに注意する必要がある。
初等中等教育局特別支援教育課