第10章 学校におけるICT環境整備

第1節 学校におけるICT環境整備の推進

 学校におけるコンピュータや周辺機器の整備、インターネット接続、教育用ソフトウェアの整備等のICT環境整備に必要な経費は、地方交付税措置(普通交付税)されている。ここで、地方交付税について触れておく。
 地方公共団体は、教育、土木、厚生労働、産業経済、警察・消防などの各分野にわたり国民生活に密接に関連した行政サービスを提供しているが、すべての地方公共団体がそれぞれ必要な財源のすべてを地方税のみによって賄うことは困難である。そこで、地方公共団体間の財源の不均衡を調整し、どの地域に住む国民にも一定の行政サービスを提供できるよう保障するのが地方交付税である。

普通交付税の仕組み


図 普通交付税の仕組み(総務省ホームページより)

 学校におけるICT環境整備に必要な経費が地方交付税に位置づけられているということは、それが、どの地域に住む国民にも一定の水準が維持されなければならない行政サービスの一つであると理解する必要がある。地方交付税はこうした標準的な行政サービスとは何かを考えたときの経費を積算根拠として算定されるが、その使途は地方公共団体の自主的な判断に任せられている。つまり、地方交付税の積算上は教育の情報化に必要な経費として算定され地方公共団体に交付されるが、教育の情報化以外の使途にも充てることができる財源として扱われる。(一般財源)

 こうしたことから、教育の情報化を進めようとする場合、その整備等に必要な経費についてしっかり予算要求を行い確保していかなければならない。地方公共団体の財政事情は厳しい現状にあり、教育の情報化が一定の水準が維持されなければならない行政サービスと位置づけられているからといって、何もしなくても学校におけるICT環境整備等のための予算が確保される訳ではない。国の掲げる目標(IT新改革戦略や重点計画)をもって必要性を訴えるだけでなく、投資に対する効果を示していかなければ予算を確保することは極めて困難な時代である。
 「教育の情報化」の必要性を説明するには、投資に対する効果を示していくことが重要であるが、まず、教育の情報化の意味を理解する必要がある。教育の情報化は、指導場面に着目した場合、従前より次のような観点があると整理されているとともに、

  • 子どもたちの情報活用能力の育成(情報教育)
  • 各教科等の目標を達成するためのICTの活用(教科指導でのICT活用)

  • 更にこれらに加えて、
  • 校務の情報化

という観点の3つに大別され、これらを通じて教育の質の向上を図ることである。
 学校におけるICT環境整備に当たっては、情報活用能力を身に付けさせるための授業を行う上でどのような整備が望ましいのか、子どもたちの学習の理解を深め、学力を向上させるためにどのような整備が望ましいのか、これらを教員によるICT活用、児童生徒によるICT活用の両面から検討すること、また、校務の軽減化等のため校務の情報化として(教員にとって)どのような整備が望ましいのかなどについて検討することが必要である。
 即ち、教育委員会・学校において学校のICT環境整備のねらいや効果を明確にし、説明できるだけのビジョンをもって予算要求に臨むことが非常に重要である。そして、その際、教員のICT活用指導力の向上のための研修をはじめ、整備されたICT環境をどのように活用していくかまでの施策全体を関連付けし、教育委員会内・首長部局など関係部署との連携を図りながら、計画的に整備を行うことが必要である。地方交付税の使途が地方の自主的な判断に任されているからこそ、地方公共団体が、教育の質の向上に向けて、それぞれの教育の情報化ビジョンをしっかり構築することが極めて重要である。

 ※第8章と整合を図る意味で、教育CIO・学校CIOの役割についても触れる。
 このほか、学校におけるICT環境整備に関する補助金等についても紹介しておく。

  • 安全・安心な学校づくり交付金(文部科学省)

  •  学校の施設整備に関する交付金であり、大規模改造(質的整備)で校内LAN整備が交付の対象となっている。補助対象となる経費規模が400万円以上(3,000万円以下)(事業費ベース)となっており、学校単独で整備する場合に活用しやすい。(交付率1/3)

  • 地域イントラネット基盤施設整備事業(総務省)

  •  地域における公共施設等を結ぶ情報通信ネットワーク基盤となる施設及び設備の設置に関する事業に対し経費の補助を行うもの。平成20年からは新たに学校の普通教室や特別教室等を繋ぐ校内LAN整備経費についても補助対象とした。補助対象となる経費規模が3,000万円以上(事業費ベース)であるため、教育委員会や社会教育施設、あるいは他の行政分野のイントラネットと併せて整備する場合に活用することが考えられる。(補助率1/3)

第2節 学校における具体的なICT環境整備

1.学校におけるハードウェア整備

 学校におけるハードウェアの整備については、コンピュータ教室、各普通教室及び特別教室等の教育用の整備としてのコンピュータ、学習用ソフトウェアや周辺機器等が必要なほか、教員が校務用に使用する校務用としてのコンピュータ、校務用ソフトウェアや周辺機器が必要である。
整備にあたっては当然予算が必要であり、計画的に整備していくことが重要である。また、情報共有等のするための校内LANやインターネット接続といったネットワーク環境の整備も必要となってくる。以下において、学校における具体的なICT環境の整備例について解説する。

(1)普通教室

 普通教室におけるICT環境整備については、IT新改革戦略では、教育用コンピュータ2台に加え、クラス用コンピュータ(可動式のノート型コンピュータ)を40台(標準法に基づく目安の台数)配備することとしている。各教科等の指導においては、子どもたちの学力の向上のためにICTを活用しつつ、子どもたちの情報活用能力の育成を念頭に置く必要がある。
 普通教室2台の教育用コンピュータについては、1台を教員がプロジェクタ等を介して提示するために使用し、もう1台を子どもたちの発表や授業中に子どもたちが疑問に感じたことを調べるために使用する方法がある。2台とも子どもたちの調べ学習のために使用することも考えられ、それぞれの授業ねらいを達成するためにICTの特性をどう活かすかによって活用方法は大きく変わってくる。
 また、クラス用コンピュータについては、1つの教室で全員で使用すればコンピュータ教室と同様の活用が可能となるほか、40台を各教室に数台ずつ割り振ることでグループ学習の際にグループに1台で活用することも可能になる。
 このように普通教室におけるICT環境整備にあたっては、日常的にICTを活用することを念頭に、それぞれの授業における学習のねらいを明確にし、そのための整備や活用の方法を工夫することが重要である。

  1. コンピュータの選定について

  2.  デスクトップ型とノート型に大別される。授業で使用する場面(教員が使用するのか、児童生徒が使用するのか、双方かなどを含む)を想定し、操作性、視認性、可搬性、ハードの容量、バッテリー稼働時間などを勘案して選定する。
  3. 周辺機器の活用について

  4.  普通教室における周辺機器としては、現在、授業では主に、プロジェクタ、実物投影機、電子黒板、デジタルカメラ等が使用されることが多い。なお、今後のICT機器の発展に伴い、普通教室での学習のねらいを勘案して、新たな機器を積極的に導入していくことも必要である。
  • プロジェクタ
     可搬型と、天井などに固定する固定型に大別される。コンピュータや実物投影機(後述)を接続してスクリーンや紙面に大きく映し出すことができ、教材(インターネットからのデジタルコンテンツを含む)や発表用資料の提示等を簡単に行える機器である。解像度、消耗品交換(ランプ等)の簡便性、使用準備等の簡便性などを勘案して選定する。
  • 実物投影機(書画カメラ)
     書類や立体物をそのまま画像でスクリーン等に映し出す装置である。利点として、映し出したいものをカメラの下に置けば大きく映し出せることや操作の簡便性、立体物もそのまま立体的に映し出せることが挙げられる。プロジェクタとスクリーンがあれば使用できる。テレビや大型ディスプレイに直接接続して映し出すこともできる。
     例えば、書写の指導でカメラの下で筆を動かしその動きを大きくスクリーンに映したり、家庭科の裁縫でカメラの下で縫い物をする手の動きを大きくスクリーンに映したりすることで、子どもたちが理解しやすくなる。また、子どもたちが手書きで作った資料を大きく映してプレゼンテーションをすることができる。
  • 電子黒板
     コンピュータの画面上の教材をスクリーン又はディスプレイに映し出し、その画面上で直接操作して、文字や絵の書き込みや移動、拡大・縮小、保存等ができる装置である。プロジェクタに接続して投影する「ユニット型」や「ボード型」、プロジェクタと一体となった大型ディスプレイ状の「一体型」に大別される。
     例えば、大型画面に映し出された図形や文字、絵、写真等をタッチパネルで動かしたり、大きく表示したりすることができる。このほか、専用のペンを使うことで黒板と同じように書き込みをしたりすることも可能で提示した画面も書き込んだ内容も容易に保存することができる。
     電子黒板については、準備の簡便性、スペースや移動性、画面の精細度や大きさ等を勘案して選定する。

  • デジタルカメラ
     撮影した画像をコンピュータに取り込むことができるため、教材として教員が提示したり、観察等で撮影したものを子どもたちが発表資料にまとめたりする等、デジタルコンテンツを簡単に作ることができる。
     例えば、(P)野外観察等で子どもたちに記録させる際にデジタルカメラを使うことでパソコンへの取込が容易ですぐに映し出せることが可能になるほか、まとめの学習をさせる際には、撮影した写真をまとめのプリントに貼り付けたりするほか、動画での記録もできるため学習活動を大きく広げることが可能になる。
     デジタルカメラについては、操作性、耐久性、画質、フラッシュの有無、バッテリー容量、データ記憶容量などのほか、液晶画面の有無、動画機能、接写機能、ボイスメモ機能なども勘案して選定する。

(2)コンピュータ教室

 コンピュータ教室におけるICT環境整備については、IT新改革戦略では、教育用コンピュータ42台を整備することとしており、このうち40台(標準法に基づく目安の台数)が児童生徒用、2台が教員用である。また、特別支援学校では、・・・。
 コンピュータ教室の場合、子ども1人1台のコンピュータが使用できるという特性を活かした使い方が求められる。例えば、(P)キーボードを使って文字入力の学習をすることや1人1人に課題をまとめさせるなど、子どもの情報活用能力の育成を図る目的もあれば一斉にドリルを使って子どもの個々の学習進度に応じた学習に使うこともできる。
 ※このほか、コンピュータ教室における整備の留意点、配列の例や施設環境などについて解説する。

  1. コンピュータの選定

  2.  デスクトップ型とノート型に大別される。子ども1人1台の環境を考えた場合、デスクトップ型については、キーボードと本体・ディスプレイが分離しているため、ノート型のように本体のデザインや大きさの関係からキーボードが小さくなることがないことや、修理等に際しキーボードのみやディスプレイのみなど部分での対応が可能であること等が挙げられるが、学校の実情に応じて適切なものを選定する。

  3. 周辺機器の活用について

  4.  コンピュータ教室における周辺機器としては、現在、授業では主に、プリンタ、スキャナ、ヘッドホンが使用されることが多いが、今後のICT機器の発展に伴い、コンピュータ教室での学習のねらいを勘案して、新たな機器を積極的に導入していくことも必要である。
  • プリンタ

  •  子どもたちがインターネットや文献などから収集した情報やそれらをもとにまとめた資料等を紙媒体に印刷するなど、紙媒体にする必要があるものを印刷する際に使用する。

  • スキャナ

  •  紙媒体の画像を電子媒体として取り込んだりするもので、膨大な紙の資料などがある場合、電子媒体で保存することで資料のかさばりを回避できる。子どもたち個々にフォルダを作らせ、必要な資料を各自で管理・保存させることができる。

  • ヘッドホン

  •  コンピュータ教室では、子ども1人1台のコンピュータ利用環境となるため、音の出るソフトウェアやコンテンツを使用する際、一人一人の子どもが鮮明に音を捉えることができる。また、外国語のヒアリング等の学習では子ども個々の学習進度に応じた学習環境が提供できる。

(3)特別教室

 特別教室におけるICT環境整備については、IT新改革戦略では、各学校で6台整備することとしている。
 特別教室(理科室、音楽室、図書室など)で各学校ごとに6台ある場合は、6台を一つの教室に集約し、グループ学習で使わせたり、各1台づつ配備して使わせる等学習のねらいを勘案した整備が求められる。コンピュータを移動させて使用する機会が多い場合にはノート型のコンピュータとするなど、それぞれの学校の事情に応じて適切なものを選定する必要がある。

○周辺機器の活用について

 特別教室における周辺機器としては、現在、授業では主に、普通教室と同様にプロジェクタ、実物投影機、電子黒板、デジタルカメラなどのほか、理科の授業でデジタル顕微鏡、音楽の授業で電子楽器、図書室での図書管理のためのバーコードリーダーなどがある。

2.学校におけるソフトウェア整備例

 教育用ソフトウェアは、基本ソフトウェア等のほか、文書や図表作成等に汎用的に用いる基本的なアプリケーションソフトウェア、教科指導に用いるために特に工夫された学習用ソフトウェア、成績処理、時間割作成、保健管理などに用いる校務用ソフトウェアなどに大別できる。特に、教科指導に用いる学習用ソフトウェアにはその用途により様々なものがあり、ドリル学習型、解説型、問題解決型、シミュレーション型、表現・コミュニケーション用のツール型、情報検索用のデータベース型などがあり、今日では、多くの企業等が様々なソフトウェア等を市販するようになり、その数、種類も大変増加している。
 また、単体としてのソフトウェアではなく図書教材と連携したソフトウェアや、活用のための実践事例や指導用マニュアル、資料集、児童生徒用活動シート、ビデオ教材などを組み合わせた教材も増えてきており、これらを授業で効果的に活用することでより一層の学習の充実に努めたい。

(教育の情報化に必要なソフトウェアの分類)

○基本的なソフトウェア
- 基本ソフトウェア
- 言語処理ソフトウェア
・オペレーティングシステム(OS)
- 基本的応用ソフトウェア ・日本語ワードプロセッサ
・表計算 ・データベース
・図形作成 ・プレゼンテーション
・インターネット閲覧
・電子メール ・ホームページ作成
・ウィルス対策、情報セキュリティ、フィルタリング
○学習用ソフトウェア ・ドリル学習型 ・解説指導型
・問題解決型 ・シミュレーション型
・教材作成 ・資料、データ集
・デジタル教科書
・プログラミング言語
・授業支援システム
○校務用ソフトウェア ・グループウェア機能(掲示板、施設予約等)
・教務機能(成績管理、時数管理等)
・保健管理機能
・学務処理機能(図書管理、文書管理)

3.学習用ソフトウェア(教育用コンテンツ)の活用

 学習用ソフトウェア(教育用コンテンツ)については、現在様々なものが普及しており、動画から写真やイラストなどの素材型に加えドリル学習型やシミュレーション型などその種類は豊富になっている。有料のものや無料のもの、DVDやCDといったパッケージのもの、インターネットによりダウンロードするものなど様々である。

  1. 教育用コンテンツを入手する際の注意点

  2.  教育用ソフトウェアやコンテンツを購入する場合は、ライセンス契約がどうなっているのか、購入しようとするソフトウェアやコンテンツが使用予定のコンピュータの仕様に合うのかなどに注意して導入する必要がある。インターネットで購入する場合も同様である。
     また、試用期間やサンプルなどにより内容を十分確認の上、想定している学習のねらいに即しているものか確認の上、購入する必要がある。
  3. 教育用コンテンツの自主作成について

  4.  学習のねらいを明確にして教育用コンテンツを探した場合でも、必ずしも、ねらいに沿ったコンテンツが容易に見つかるとは限らない。このような場合、教員自身で作成することもある。例えば、植物や地形などはデジタルカメラさえあればこれを撮影し、プロジェクタを使って大きく視覚的に見せるだけでも教育効果は高い。そのほかにも、プレゼンテーションツールのアニメーション機能を使って、答えが見えたり消したりするようなコンテンツも容易に作成できる。
     日頃からこのようなコンテンツの収集・作成にあたることで学校の教育用コンテンツが増えていき、授業の質の充実にも繋がるので教員同士が連携し、このような環境整備の工夫が重要である。

コラム
教育情報ナショナルセンター(NICER)

4.校務用のICT環境整備について

 校務の情報化によって、出欠管理、成績処理、保健管理などの校務を大幅に効率化することが可能になる。しかし、教員の個人用のパソコンを持ち込み校内LANに接続するなどによりコンピュータウィルスに感染したり、外部記憶装置を使うことで重要なデータを紛失することなどが問題となっている。
 校務の効率化に加え、このような問題解決のためにも、教員1人1台の校務用コンピュータの早急な整備を進めるとともに、次項で説明する校内LANを併せて整備することでより効果的な環境の実現に努めたい。

5.校内LANやインターネットの活用

 校内LANを整備することで学習用ソフトウェアをサーバ等で一元管理することができ、校内で情報共有しながら効果的に使えるほか、校内のどの教室でもインターネット接続が可能になり、情報教育や教科指導でのICT活用において授業の質がより充実する。
 また、学校ホームページにより学校情報を外部に公開していくことで保護者や地域とのコミュニケーションを生みだし開かれた学校づくりにも大きな効果がある。

(校内LANメリットのイラスト)

(1)校内LAN整備やインターネット接続における注意点

 学校におけるコンピュータ利用の様子を考えてみると、企業等における利用と比較して以下のような相違点がある。

  1. 授業で先生の指示に基づきコンピュータの操作が行われるなど利用が集中する時間帯があること
  2. 授業の進行にあわせて、同一の情報源にアクセスが集中すること
  3. 学校開放の方針もあり、学校関係者以外の者が立ち入る機会が多いこと
  4. 教職員と児童生徒の2つの利用者層を想定する必要があること
  5. 年度ごとに教職員、児童生徒の大幅な入れ替えがあること
  6. 長期休業中のメンテナンスを考慮する必要があること
  7. システムの専門家が常駐しない場合が多いこと
  8. 電源容量の不足など、学校に特有でかつ各学校に共通的な留意事項があること

 このため、学校及び教育委員会が中心となって標準的な方針を示し、それに基づいて各学校が具体的な利用の場面を想定し、それらを踏まえて設計・施工業者等が設計を行うなど、関係者は十分に連絡を取りつつ協力して実施することが大切である。

(2)校内LAN整備やインターネット接続の設計にあたって

 単に校内LANを整備するのではなく、設計の前にインターネットを使った学習活動、教育用コンテンツなどの一元管理、校務情報化に関してやってみたいことを考え具体的なビジョンを作成し、校内LAN整備後の簡便性を考え、その上で校舎の特徴や環境などを勘案し、セキュリティも含め、設計・施工業者等に設計を依頼することが重要である。
特に、教育用コンテンツの大容量化や、授業で一斉にインターネットを利用することへの対応などのため、超高速インターネットの導入を積極的に進めることが必要である。

(校内LAN設置における主な留意点の図)
(ネットワークにおける有線と無線の比較の図)

(3)校内LANの構成について

※校内LANの詳細な構成について、以下の資料を参考にしながら概説する。

  • 校内LAN導入の手引~校内LANモデルプラン集(平成19年3月総務省)
  • 校内ネットワーク活用ガイドブック(平成15年3月文部科学省)

第3節 学校におけるICT環境の運用

(1)日常の保守管理体制について

 学校におけるICT環境の保守管理にあたって、最も気をつけなければならないことは、セキュリティの確保や個人情報の保護、コンピュータウィルスへの対応である。特に、校務で使用するコンピュータ上では子どもの個人情報など重要な情報も多く扱われており、最大限の注意を払わなければならない。
保守管理上重要なことや体制については以下のとおりである。

  1. 校内の情報セキュリティポリシーやルール作りについて
  2. 個人情報その他重要な情報の保存等について(外部記憶装置などの扱いを含む)
  3. 教員のみが閲覧できる情報、子どもに閲覧させてもよい情報などの管理について
  4. 個人所有のコンピュータの扱いについて

 また、普段のシステム障害などへの対応として、外部専門家の雇用やICT支援員などによる管理体制を作り上げることが重要である。

(2)運用に必要な経費について

 整備にあたっての初期経費はもちろん必要であるが、整備した後にもインターネット回線使用料やICT機器のメンテナンスなど引き続き運用のための経費(ランニングコスト)が必要である。
 日常のメンテナンスを充実することで、日常の授業でのシステムダウンや不具合などを回避できるのであり、必要な予算を充実させる必要がある。また、これから整備を進める学校においては、計画段階で整備後の運用も含めたランニングコストを十分念頭に置き、計画を立てる必要がある。

(3)教育用イントラネットについて

 各学校の校内LANや教育委員会、教育センターを結ぶ教育用イントラネット(教育用広域LAN)を構築し、各地域センター(教育センター等)に情報機器等を設置して地域で共有することでより安全で快適な学校のICT環境を整備することができる。地域内の学校間、教育委員会との情報交換や情報共有がスムーズになり、より効率的な校務処理や効果的な学習活動が期待できる。整備に必要な経費については、第1節で説明した総務省「地域イントラネット基盤施設整備事業」の補助対象となっており、活用しながら教育用イントラネットの構築を進めたい。

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