資料2 特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議 論点整理(素案)

3.小・中学校における特別支援教育の現状と課題  

(1)校内体制の整備

○校内体制整備

  • 発達障害を含む障害のある児童生徒に対して適切な教育を行うため、各学校において特別支援教育に関する校内委員会の設置、実態把握の実施、特別支援教育コーディネーターの指名、個別の指導計画の作成、個別の教育支援計画の作成、巡回相談の実施、専門家チームの活用、特別支援教育に関する教員研修の実施等の校内体制を整備。

○現状・これまでの取組

  • 小・中学校等において、発達障害を含む障害のある児童生徒等に対して適切な教育を行うことを学校教育法に規定。(H20.4)
  • 「特別支援教育の推進について」(H19.4文部科学省通知)において、各学校における体制整備等について指導。
  • 公立小・中学校については、校内体制について比較できる全ての調査項目で前年度(H19年度)を上回っており、全体として体制整備が進んでいる状況が伺える。(※)
  • 「校内委員会の設置」や「特別支援教育コーディネーターの指名」といった基礎的な支援体制はほぼ整備されている。(※)
  • 「個別の指導計画の作成」、「個別の教育支援計画の作成」についても進捗が見られたものの、未だ不十分な状況にある。(※)
  • (※)平成20年度特別支援教育体制整備等状況調査結果(文部科学省調査)より

○課題

  • 障害のある児童生徒一人一人に対する支援の「質」の一層の充実
  • 校長の理解と正しいリーダーシップ
  • 校内委員会の実質的機能発揮のための全校的体制の構築
  • 個別の指導計画や個別の教育支援計画の作成・活用
  • 教員配置の検討
  • 教員の専門性の向上

   など

○協力者会議における主な意見

(体制整備)

  • 特別支援教育はかなり進んだがまだ完成地点ではない。形や枠ができたところでありこれから実効性あるものにする必要がある。
  • 小中学校では形の上での体制整備はほぼ完了。コーディネーターや校内委員会も質を精査すべき時期。
  • 校内委員会は設置するだけでなく、実質的に機能していることが重要。

(学級規模等)

  • 教員はゆとりがなく特別なニーズのある子どもへの対応が困難。1学級の児童数も考えて欲しい。

(教員配置)

  • 特別支援教育のための教員の配置も考えるべき。
  • 発達障害のある児童生徒数は義務教育段階において約68万人と推計されており、今後も通級指導のための定数改善が必要。

(校長のリーダーシップ)

  • 特別支援教育の推進には校長の正しいリーダーシップが必要。

(その他)

  • LD、ADHD、高機能自閉症の子どもについて通常学級の支援方策が課題。
  • 医療的ケアが必要な子どもが増加。保護者は、子どもが授業中席を外さずに医療的ケアを受け、皆と一緒に教育を受けることができる体制を望んでいる。

(2)特別支援教育コーディネーター

○特別支援教育コーディネーター

  • 学校内の関係者や福祉・医療等の関係機関との連絡調整及び保護者に対する学校の窓口として、校内における特別支援教育に関するコーディネーター的な役割を担う者。

○現状・これまでの取組

  • コーディネーターの指名率(H20.9.1現在)
  • <国公私立別>

    (幼稚園)国立:67.3%、公立:74.4%、私立:28.8%、全体:46.4%

    (小・中学校)国立:77.0%、公立:99.8%、私立:22.4%、全体:97.6%

    (※)平成20年度特別支援教育体制整備等状況調査結果(文部科学省調査)より 

  • 各学校における取組例
    • 特別支援教育コーディネーターの指名
      • 1校に複数のコーディネーターを指名(小学校等) 
    • 養成研修・資質向上
      • レベルや経験、専門性、目的等に応じた研修内容
      • 地域でリーダーシップを発揮するコーディネーターの養成
      • コーディネーター同士が情報交換する場の設定
      • 不登校対応コーディネーターとの連携
    • コーディネーターが活動しやすくなる工夫
      • 管理職を対象に「特別支援教育・学校サポート」研修会を実施
      • 養成研修修了コーディネーターを学校に複数確保
      • 要請に応じて学校を訪問し支援する専門家の配置

○課題

  • 学校によりコーディネーターの経験や資質・専門性などの格差が大きい
  • 研修等を通じた人材養成の推進
  • 可能な限りコーディネーターが校務に専念できるよう必要な配慮

   など

○協力者会議における主な意見

(配置関係) 

  • コーディネーターを専任化すべき。
  • 複数配置により専門性をカバーし合い、学校として組織的・機能的に対応できるようにすることが必要。
  • コーディネーターは1年程度で替わることが多く、複数配置は支援の連続性の確保の観点からも重要。
  • コーディネーターにはソーシャルワーカーとしての役割と特別支援教育の専門家としての役割についてそれぞれ高い専門性が求められるが、これらの役割は本来分けるべきもの。複数配置により、それぞれの専門性を発揮することで全体的な専門性が確保できる。

(専門性の向上関係)

  • コーディネーターは配置するだけでなく実質的に機能していることが重要。

(その他)

  • コーディネーターについて保護者の認知度が低い。

(3)個別の指導計画

○個別の指導計画

  • 幼児児童生徒一人一人の障害の状態等に応じたきめ細かな指導が行えるよう、学校における教育課程や指導計画、当該幼児児童生徒の個別の教育支援計画等を踏まえて、より具体的に幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズに対応して、指導目標や指導内容・方法等を盛り込んだ指導計画。

 ○現状・これまでの取組

  • 個別の指導計画の作成率(H20.9.1現在)
  • <国公私立別>

    (幼稚園)国立:30.6%、公立:42.9%、私立:20.0%、全体:28.8%

    (小・中学校)国立:26.3%、公立:80.9%、私立: 8.1%、全体:78.6%

    (※)平成20年度特別支援教育体制整備等状況調査結果(文部科学省調査)より

  • 小・中学校の新しい学習指導要領において、必要に応じて個別の指導計画を作成する旨を明記。

○課題

  • 必要な児童生徒に対する個別の指導計画の作成・活用
  • 個別の指導計画の作成・活用に関する実態把握
  • 作成・活用のための専門性・ノウハウ
  • PDCAサイクルの確立
  • 特別支援学校のセンター的機能の活用のあり方 

   など

○協力者会議における主な意見

  • 個別の教育支援計画や個別の指導計画の作成・活用など内容が大事。 

(4)個別の教育支援計画

○個別の教育支援計画

  • 障害のある幼児児童生徒一人一人のニーズを正確に把握し、教育の視点から適切に対応していくという考え方の下に、福祉、医療、労働等の関係機関との連携を図りつつ、乳幼児期から学校卒業後までの長期的な視点に立って、一貫して的確な教育的支援を行うために、障害のある幼児児童生徒一人一人について作成した支援計画。

○現状・これまでの取組

  • 個別の教育支援計画の作成率(H20.9.1現在)
  • <国公私立別>

    (幼稚園)国立:16.3%、公立:28.6%、私立:15.9%、全体:20.7%

    (小・中学校)国立:21.1%、公立:52.3%、私立: 6.7%、全体:50.9%

    (※)平成20年度特別支援教育体制整備等状況調査結果(文部科学省調査)より

  • 小・中学校の新しい学習指導要領において、必要に応じて個別の教育支援計画を作成する旨明記。

○課題

  • 必要な児童生徒に対する個別の教育支援の作成・活用
  • 個別の教育支援計画の作成・活用に関する実態把握
  • 作成・活用のための専門性・ノウハウ
  • PDCAサイクルの確立
  • 特別支援学校のセンター的機能の活用のあり方 
  • 保護者や福祉、医療、労働など様々な関係機関との連携・協力
  • 類似の計画(個別の支援計画、就学移行期の個別の教育支援計画、個別移行支援計画など)との関係整理

   など

○協力者会議における主な意見

  • 個別の教育支援計画や個別の指導計画の作成・活用など内容が大事。

(5)特別支援教育支援員

○特別支援教育支援員

  • 障害のある幼児児童生徒の学校教育活動上の日常生活の介助や学習活動上のサポートを行う者。(食事、排泄などの補助、車いすでの教室移動補助、LDの児童生徒に対する学習支援、ADHDの児童生徒等に対する安全確保など)

○現状・これまでの取組

  • 特別支援教育支援員(介助員及び学習支援員等)活用状況(H21.5.1現在)
  • (公立小・中学校)全体:31,173人(公立小・中学校設置数:32,018校)

  • 特別支援教育支援員の配置に関する地財措置を平成19年度より実施。
  • 平成21年度措置額:公立小・中学校約360億円約3万人相当(全公立小・中学校数に相当)

  • 文部科学省「発達障害等支援・特別支援教育総合推進事業」による都道府県等での学生支援員の活用促進と特別支援教育支援員等への研修開催の促進。

○課題

  • 特別支援教育支援員の配置促進及び地域格差是正
  • 特別支援教育支援員の役割の実態把握
  • 特別支援教育支援員の役割を果たす人材確保の在り方
  • 都道府県教育委員会、市町村教育委員会による特別支援教育支援員を対象とした研修、校内研修の実施促進
  • 教育委員会とNPO法人との連携及び役割分担の明確化
  • 学生支援員の活用促進

   など

○協力者会議における主な意見

  • 特別支援教育支援員の活用は各々の区市町村の教育委員会が整理をしているが、今後は全体をうまく糾合する形の仕組みを作り、その中でNPOとの役割分担を考えていくことが一つの課題。

(6)特別支援学級、通級による指導

○特別支援学級

  • 障害の比較的軽い子どものために小・中学校に障害の種別ごとに置かれる少人数の学級(8人を上限)。知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱、弱視、難聴、言語障害、自閉症・情緒障害の学級がある。

○通級による指導

  • 小・中学校の通常の学級に在籍している障害の軽い子どもが、ほとんどの授業を通常の学級で受けながら、障害の状態等に応じた特別の指導を特別な場(通級指導教室)で受ける指導形態。指導の対象は、言語障害、自閉症、情緒障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、弱視、難聴。

○現状・これまでの取組

  • 特別支援学級在籍者、通級による指導の対象者はいずれも増加傾向。
  • 特別支援学級数:40,004学級、特別支援学級在籍者数:124,166人(H20.5.1現在)
  • 通級による指導対象児童生徒数:小学校46,956人  中学校2,729人(H20.5.1現在)
  • 小・中学校の特別支援学級の担当教員の特別支援学校教諭免許状保有率:32%(H20年度:対前年度微減)
  • 小・中学校特別支援学級における学級編制基準上の手厚い措置、小・中学校で通級による指導を行うための教員加配を実施。
  • 学校教育法施行規則を改正し、LD・ADHDを新たに通級による指導の対象として追加(H18.4施行)。

○課題

  • 特別支援学級担当教員、通級指導担当教員の専門性の向上と児童生徒の実態に応じた教育課程の在り方
  • 知的障害を引き続き固定式の学級の対象とするか、通級による指導の対象とするか
  • 通級指導の指導時間数が限定されている
  • 新たに通級の対象となったLD,ADHDへの対応
  • 自校通級に比し、他校通級が多い実態についての検討
  • 巡回指導の促進に係る検討

○協力者会議における主な意見

  • 障害のある子どもは、必要に応じて個別又は少人数での特別指導が必要。
  • 少人数の特別支援学級において、小学校入学時から1人の教員が複数年1人の子どもを指導することが教育活動として適切か、社会性が身につくか疑問。今後特別支援学級の運営方法が課題。
  • 知的障害学級に発達障害の子どもが多く、教員の意見でも情緒障害学級の設置要望が高い。
  • 巡回指導は、子どもの変容を見取り教員との関係を構築するためにも年1、2回ではなく、月1回とするなど定期的に行うべき。

(7)特別支援教室構想

○特別支援教室構想

  • LD・ADHD・高機能自閉症等を含め、障害のある児童生徒が、原則として通常の学級に在籍し、教員の適切な配慮、ティーム・ティーチング、個別指導や学習内容の習熟に応じた指導などの工夫により通常の学級において教育を受けつつ、必要な時間に特別の指導を受ける教室。(H17.12中央教育審議会答申より)

○現状・これまでの取組

  • 小・中学校等における特別支援教育の充実(H17答申において指摘された現行制度の見直し)。
  • 交流及び共同学習の促進、特別支援学級担当教員の活用
  • 通級指導の見直し(LD、ADHDへの通級指導、制度の弾力化)など
  • 「特別支援教室構想」に関する研究(国立特別支援教育総合研究所:H21.3)。
  • 研究開発学校による特別支援教室構想に関する研究(学習指導要領によらない特別の教育課程)。
  • 五領小学校(大阪府高槻市:H17~19)
  • 小松島小学校(宮城県仙台市:H18~20)
  • 富士見中学校(埼玉県熊谷市:H19~21)
  • 岩井中学校(茨城県坂東市:H20~22)
  • 東小学校(岐阜県高山市:H21~23)

○課題

  • 特別支援学級と特別支援教室の関係の整理
  • 教員配置システムの在り方(学籍がない「教室」への教員配置システム)
  • 教員の専門性の確保(特別支援教室及び通常学級)
  • 対象となる障害種の整理(現在通級指導の対象となっていない(軽度の)障害のある児童生徒への支援の在り方)
  • 教育課程の編成・実施・評価(一貫性のある指導・支援、PDCAサイクルによる指導・支援の弾力的見直し)

○協力者会議における主な意見

(特別支援教室構想の在り方)

  • わかりにくい困難さを持つ子どもが多く、巡回相談で最初に上がってくる子どもは自閉症や学習障害の子どもではない。学習が遅れて先生が気付くのが実態。保護者の理解の問題もあり、特別支援学級や通級指導に結びつきにくいところもあり、移行の場としての特別支援教室は必要。
  • 特別支援学級と通級指導では落差がある。特別支援教育に転換された現在、落差のある制度をそのまま維持するのではなく、子どものニーズに応じて、指導時間においても連続性があるところで対応していくという制度にすべきである。
  • 特別支援教室について、それがあるという理由で障害のある子どもが一律に対象とされる恐れがあるが、それは特別支援教育の考え方ではない。
  • 特別支援学級を否定するのではなく、特別支援教室構想においても多くの時間をその中で過ごすという仕組みもあって良いと思う。
  • 定数上の扱いがクリアできるのであれば、すべての小中学校に特別支援教室を設置すれば様々な障害のある子どもへの対応が可能になるのではないか。

(特別支援教室構想の課題)

  • 特別支援教室構想は理想的ではあるが、逆に現在の法的な制度である特別支援学校や特別支援学級に対する定数措置の部分が弱くなる可能性もあるのではないか。
  • 特別支援学校の分教室と特別支援学級との兼ね合いをどう考えるかが課題。
  • 現行法制度の中では、指導要録の問題がある。
  • 特別支援教室においては、従来の特別支援学級での在り方と、通常の学級での授業形態や評価方法とを整理して制度化しなければならない。
  • 通級による指導の対象に知的障害はない。このため、知的障害のある子どもの教育課程をどう考えていくのかは検討課題である。
  • 知的障害のある子どもも通常の学級で学べるよう、教科によっては対応を考えるなど弾力的な仕組みをつくらなければならない。

5.教育担当教員の専門性に関する現状と課題

(1)特別支援学校教員の専門性

○現在の免許制度

  • 特別支援学校免許状には5つの教育領域(視覚障害,聴覚障害,知的障害,肢体不自由、病弱)がある。
  • 幼・小・中・高等学校の免許状を基礎として特別支援学校教諭免許状を有することが必要。
  • ただし、幼・小・中・高等学校の免許状の免許状を有する者は、当分の間、特別支援学校教諭免許状を有しなくても教諭等になることが可能(教育職員免許法附則第16項)。

○研修による対応

  • 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所における都道府県等の指導的立場にある者を対象とした研修、都道府県等の教育委員会主催の研修、各学校における校内研修等により専門性の向上を図っている。

○求められる専門性

  • 5種類の障害種別(視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由、病弱)に共通する専門性として、特別支援教育全般に関する基礎的な知識(制度的・社会的背景・動向等)。
  • それぞれの障害種別ごとの専門性として、各障害の心理(発達を含む)・生理・病理に関する一般的な知識・理解や教育課程、指導法に関する深い知識・理解及び実践的指導力。
  • 通常の学校への支援に関する専門性として、センター的機能について総合的にコーディネートするために必要な知識や技能。

○現状・これまでの取組

  • 平成19年4月の特別支援学校の制度化に伴い、盲学校・聾学校・養護学校ごとの免許状を特別支援学校の免許状に一本化。
  • 特別支援学校教諭免許状保有率69.0%(H20年度)  
  • 国の取組
    • 各都道府県の教員等を対象にした専門性向上事業の実施。
    • 文部科学省「発達障害等支援・特別支援教育総合推進事業」による都道府県等の研修開催の促進。
    • 国立特別支援教育総合研究所における指導的立場にある者を対象とした各種の研修実施。
    • 放送大学における特別支援学校の教諭免許状に活用できる科目の開設。
  • 都道府県等の取組
    • 各都道府県・指定都市教育委員会における特別支援学校免許状の保有率向上の計画について、中期計画(5年以内)として数値目標を設定している都道府県・指定都市  → 24県・市等 
    • 特別支援学校教諭免許状に関する認定講習の開催。
    • 教育委員会主催の教員研修や校内研修の開催。

○課題

  • 特別支援学校免許の保有率の向上について、都道府県等の中期計画等に位置づけた取組の推進や免許法認定講習等の拡充
  • 教員が在籍する校種に対応した教育領域の免許状保有率の向上に加えて,将来の人事異動を念頭においた他障害種の免許状の保有率の向上(複数の教育領域の免許状の保有率向上)
  • 特別支援教育に関係する教職員の採用、配置、研修等を通じた専門性の向上
  • 当分の間、特別支援学校教諭免許状の保有を要しないこととしている教育職員免許法附則第16項について、時限を設けた廃止の検討

   など

○協力者会議における主な意見

(専門性)

  • 障害種別の枠を超えた特別支援学校として統合化を行う際、障害種ごとの専門性を担保することが必要。
  • 専門性を担保するため、養成、採用、研修の体系化を行うべき。
  • 学校組織としての専門性をどのように担保していくかについて、特に特別支援学校の場合は、組織体としてどのような体制整備を図り、専門性を担保していくか考えないと、専門性の発揮は難しい。
  • 専門性について、学習指導要領が改訂され、個別の指導計画や個別の教育支援計画の作成・活用のための体制についても、学校種を超えた様々な関係機関と連携できる仕組みを整備するなどの検討が必要である。
  • 通常学校との間で異動の多いところでは、専門性を本当に身に付けるにはかなり時間がかかる。研修の充実として国立特別支援教育総合研究所との連携も必要。

(教員免許)

  • 特別支援学校教諭免許状取得率向上のための仕組みや特別支援学級、特別支援教室構想という広がりを持つ中での免許状の在り方について検討する必要がある。
  • 大学院卒業レベルの専門性を求めたとしても、処遇に差がないのであれば2年余計に通学する学生はいない。
  • 免許更新制度に関して、教員からは大学に対しての専門性向上に関する講座開設の要望が強い。
  • 特別支援学校の免許状を含め、一般の教員の免許状の中にも連携・調整能力を専門性の要素として盛り込んでいくべきではないか。
  • 特別支援学校の免許の各領域に共通する専門性や領域ごとの専門性を考えていくことが必要である。
  • 特別支援教育の内容の更なる充実や単位増などの議論がある一方で、そもそも特別支援学校の免許状の保有状況が十分ではなく、教育職員免許法附則第16項に頼っているという現状もある。
  • まずは、附則第16項が不要となる環境を整備して、その次に内容の充実を図るという順番も考えられるのではないか。
  • 免許状取得過程において特別支援教育を38単位履修(全領域担当可能)と多く履修することは、その分教科に関する内容が薄くなるのではないか。教科の専門性をどのように確保するのかという点も非常に難しい問題である。

(採用・人事異動)

  • 短期間の異動は、特別支援教育を推進する上では大きな課題となるため、担当年数については、異校種間の異動や、同一校内における教員の在職年数の延長など、人事上の問題を考慮しながら対応する必要がある。
  • 特別支援教育の担任について、特別支援教育を志す教員の絶対数が少ないとの問題がある。
  • 専門性については、教員養成や採用、人事異動が強く影響する。特に、特別支援学校枠での教員採用を行っていない地域もあり、人事異動・採用の問題は大きな課題となる。
  • 人材が限られている分野については、広域単位での採用も検討しなければならない。
  • 自立活動を主とする教育課程の子どもの授業づくりについて、経験ある教員を育成すべき。教員の異動システムや年数的なものから保護者は不安。

(研修) 

  • 通常学校との間で異動の多いところでは、専門性を本当に身に付けるにはかなり時間がかかる。研修の充実として国立特別支援教育総合研究所との連携も必要。 

(2)小・中学校の特別支援学級担任及び通級指導担当の教員の専門性

○現在の免許制度

  • 幼・小・中・高等学校の免許状のみ。特別支援学級等の専門性を担保する免許資格なし。
  • 幼・小・中・高等学校の教職に関する科目の「幼児、児童及び生徒の心身の発達障害及び学習の過程」において、「障害のある幼児、児童及び生徒の心身の発達及び学習の過程」を学ぶこととされている。
  • 実態としては、教科又は教職に関する科目の中で、特別支援教育に特化した内容の科目を開設している大学もある。

○研修による対応

  • 国立特別支援教育総合研究所における都道府県等の指導的立場にある者を対象とした研修、都道府県等の教育委員会主催の研修、各学校における校内研修等により専門性の向上を図っている。

○求められる専門性

  • 特別支援教育全般に関する基礎的な知識(制度的・社会的背景・動向等)。
  • 障害種別ごとの専門性として、担当する障害の心理(発達を含む)・生理・病理に関する一般的な知識・理解や教育課程、指導法に関する知識・理解及び実践的指導力。
  • 通常の学級への支援に関する専門性として、総合的にコーディネートするために必要な知識や技能。

○現状・これまでの取組

  • 特別支援学級担当教員の特別支援学校教諭免許状保有率32.0%(H20年度)
  • 文部科学省「発達障害等支援・特別支援教育総合推進事業」による都道府県等の研修開催の促進。
  • 国立特別支援教育総合研究所における指導的立場にある者を対象とした各種の研修実施。
  • 都道府県等の教育委員会主催の教員研修や校内研修の開催。

○課題

  • 特別支援教育の専門性を担保するための特別支援学校免許の取得の促進
  • 現在教員が担当する障害種に対応した教育領域の免許状保有率の向上、将来他の障害種の指導を担当することを念頭においた複数の教育領域の免許状の保有率向上
  • 特別支援教育に関係する教職員の採用、配置、研修等を通じた専門性の向上
  • 特別支援学級及び通級担当教員の資格の在り方の検討 

○協力者会議における主な意見

(専門性)

  • 特別支援学級は特別支援学校並みの専門性を持つ場と考えるが、教員の専門性や校内での特別支援学級についての理解等の問題もあり現実的にはなかなか厳しく今後の課題。
  • 通級指導の教員の専門性の保証が必要。
  • 専門性を担保するため、養成、採用、研修の体系化を行うべき。
  • 学校組織としての専門性をどう担保していくか考えていかなければならない。
  • 専門性について、学習指導要領が改訂され、個別の指導計画や個別の教育支援計画の作成・活用のための体制についても、学校種を超えた様々な関係機関と連携できる仕組みを整備するなどの検討が必要である。
  • 特別支援学級増加の中、若い教員は指導教官もおらず、誰に聞けば良いか、誰をモデルにすべきかなど現実的に厳しい状況にある。

(教員免許)

  • 特別支援学級担当教員にも特別支援学校教諭免許状が必要であるとの認識が高いにも拘わらず、免許状を取得しに行けない環境にあることが問題。

(採用・人事異動)

  • 短期間の異動は、特別支援教育を推進する上では大きな課題となるため、担当年数については、異校種間の異動や、同一校内における教員の在職年数の延長など、人事上の問題を考慮しながら対応する必要がある。
  • 特別支援教育の担任について、特別支援教育を志す教員の絶対数が少ないとの問題がある。

(研修)

  • 特別支援学校の教員の専門性は向上しているが、特別支援学級の教員の専門性はまだ不十分。専門的な研修の場が少ないことが心配。教員免許の仕組みによりこの問題への対応を考えるべき。

(3)小・中学校等の通常の学級担任の専門性

○現在の免許制度

  • 幼・小・中・高等学校の免許状のみ。
  • 幼・小・中・高等学校の教職に関する科目の「幼児、児童及び生徒の心身の発達及び学習の過程」において、「障害のある幼児、児童及び生徒の心身の発達及び学習の過程」を学ぶこととされている。
  • 実態としては、教科又は教職に関する科目の中で、特別支援教育に特化した内容の科目を開設している大学もある。

○研修による対応

  • 国立特別支援教育総合研究所における都道府県等の指導的立場にある者を対象とした研修、都道府県等の教育委員会主催の研修、各学校における校内研修等により専門性の向上を図っている。

○求められる専門性

  • 特別支援教育に関する基礎的な知識(個別の指導計画・個別の教育支援計画等)。
  • 障害種別ごとの専門性として、担当する障害の心理(発達を含む)・生理・病理に関する基礎的な知識・理解や教育課程、指導法に関する基礎的知識・技能。

○現状・これまでの取組

  • 特別支援教育に関する研修を受けた者58.8%
  • (国公私立小中計;平成20年度特別支援教育体制整備状況調査結果(文部科学省調査)より)
  • 文部科学省「発達障害等支援・特別支援教育総合推進事業」による都道府県等の研修開催の促進。
  • 都道府県等の教育委員会主催の教員研修や校内研修の開催。

○課題

  • 研修等による特別支援教育に関する知識の修得
  • 小学校教諭等の修得すべき教職に関する科目等における特別支援教育に関する内容の位置づけの検討(具体例:「障害のある幼児、児童及び生徒の心身の発達及び学習の過程」として取り扱うべき内容の明確化)

○協力者会議における主な意見

(専門性)

  • 特別支援学校の障害種別に対応した専門性は小・中学校でも必要であり、専門性を担保できる仕組みをつくるべき。なし崩し的に一緒に学べる場を提供するだけでは適切な指導・支援を行うことは難しい。
  • 特別支援教育の視点だけでは特別支援教育の推進は困難。学級経営力、授業力、特別支援教育、人間形成力など教員としての基本的資質の総合力が求められる。
  • 特に学級経営力が大事。研修もより具体的で実践的な内容にすべき。現場では対応力が求められる。
  • 各教科などに特別支援教育の視点を加えた総合的な授業力や、特別支援教育について最低限必要な知識・理解の上での応用力・判断力・対応力なども非常に重要
  • 気になる生徒をピックアップし、教員と専門医が交流しながらケーススタディする例があるが、教員の理解を高めるためには効果的。
  • 専門性を担保するため、養成、採用、研修の体系化を行うべき。
  • 学校組織としての専門性をどう担保していくか考えていかなければならない。
  • 専門性について、学習指導要領が改訂され、個別の指導計画や個別の教育支援計画の作成・活用のための体制についても、学校種を超えた様々な関係機関と連携できる仕組みを整備するなどの検討が必要である。
  • 通常学級の教員は、発達障害等の理解度や知識、経験が不足している場合が多い。多忙さも問題。
  • 現在の制度や仕組みの中で通常学級の教員に特別支援教育で要求されていることをすべてやらせようとしても無理。通常学級では、教員の資質向上だけでなく外部のPT、ST、OT、心理士の活用など教員を支えるシステム作りが必要。学校単位の専門性の担保、地域単位での支援体制を如何に整備するかを考えるべき。

(教員免許)

  • 教員養成時に特別支援教育に関するものを必須にすべき。
  • 特別支援教育についての基礎的知識の定着は不十分である。免許状で明確な位置付けはできないだろうか。
  • 免許更新制度に関して、教員からは大学に対しての専門性向上に関する講座開設の要望が強い。
  • 特別支援学校の免許状を含め、一般の教員の免許状の中にも連携・調整能力を専門性の要素として盛り込んでいくべきではないか。

(研修)

  • 一般教員を対象とした特別支援教育に関する校内研修や免許更新講習を充実すべき。 

お問合せ先

初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)