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国は,教育委員会及び学校等が広い視野から教育施策の改善や教育指導等の改善を図る機会を提供するため,原則として都道府県等に対して調査結果を返却する。その際に,それぞれの役割と責任に応じた調査結果を返却することにより,調査結果に基づいた教育条件の整備や教育指導の改善方策など具体的な実践に結び付くことが重要であることから,以下の考え方を基本とする。
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各都道府県に対しては,域内の市区町村単位及び学校単位の状況が把握できる調査結果を返却する。 |
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各市区町村に対しては,域内の学校単位の状況が把握できる調査結果を返却する。 |
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具体的な教育活動を実施する各学校に対しては,学級単位及び児童生徒ごとの状況が把握できる調査結果を返却する。 |
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また,返却に当たっては,以下のような留意点を併せて示すなどの配慮が必要である。
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全国的な学力調査により測定できるのは学力の特定の一部分であること。 |
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数値により示される調査結果については,分かりやすい反面,一面的な解釈がなされるおそれがあるため,その数値の解釈と併せて返却すること。 |
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学校評価や児童生徒の学習状況の評価など学校教育にかかわる評価に際して,この調査結果を有用な情報の一つとして活用できるものの,この調査結果は多面的な評価のための一側面にすぎないこと。 |
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個々の児童生徒に対する調査結果の返却については,学習改善や学習意欲の向上につながるとの観点を考慮した上で返却することが適当である。
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都道府県が国から返却された調査結果を独自に公表することについては,国としては都道府県に対して一定の考え方を示して都道府県等の判断にゆだねるべきとの意見もあったが,都道府県が域内の市区町村等の状況を個々の市区町村名等を出して公表することになると序列化や過度な競争につながるおそれは払拭(しょく)できないと考えられる。また,全国的な学力調査の実施主体が国であることや市区町村が基本的な参加主体であることなどにかんがみると,都道府県に対して,原則として,国における公表レベルや内容と同様の対応を求めることが適当である。
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一方,全国的な学力調査において,都道府県等が,域内における学力に関する分布の状況を明らかにするために,個々の市区町村名等を出さないで市区町村,学校,児童生徒の分布の状態を示すことはあり得るものと考えられる。
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現在,都道府県が独自に実施する学力調査において,域内の市区町村の状況を個々の市区町村名等を出して公表している都県があるが,これについてはそれぞれの都道府県の判断にゆだねられるべきである。
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市区町村,学校が自己の結果を公表することについて,各市区町村及び学校は,国として調査結果を返却することのねらいが,各市区町村等が全国の中で自己がどのような状況にあるのかを知った上でそれを指導改善等に生かすことであり,全国的な学力調査の結果に基づいて順位付けがなされることではないことを十分考慮に入れて,序列化や過度な競争につながらないよう細心の配慮をはらう必要がある。
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市区町村,学校が地域や保護者等に説明責任を果たすために自己の結果を公表する場合は,例えば,この調査により測定できるのは学力の特定の一部分であることや国語,算数・数学以外の教科における児童生徒の学力の状況や体力など学力以外の様々な取組の状況等をできるだけ併せて示すこと,調査結果を分析しそれを踏まえた今後の改善方策等を適切に公表することなど,序列化や過度な競争をあおらない工夫や取組を求め,その上でそれぞれの判断にゆだねることが適当である。
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