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3  人権にかかわりの深い特定の職業に従事する者に対する研修等
 人権教育・啓発の推進に当たっては,人権にかかわりの深い特定の職業に従事する者に対する研修等の取組が不可欠である。  国連10年国内行動計画においては,人権にかかわりの深い特定の職業に従事する者として,検察職員,矯正施設・更生保護関係職員等,入国管理関係職員,教員・社会教育関係職員,医療関係者,福祉関係職員,海上保安官,労働行政関係職員,消防職員,警察職員,自衛官,公務員,マスメディア関係者の13の業種に従事する者を掲げ,これらの者に対する研修等における人権教育・啓発の充実に努めるものとしている。これを受けて関係各府省庁では,それぞれ所要の取組が実施されているところであるが,このような関係各府省庁の取組は今後とも充実させる方向で積極的に推進する必要がある。その際,例えば,研修プログラムや研修教材の充実を図ることなどが望まれる。
 また,議会関係者や裁判官等についても,立法府及び司法府において同様の取組があれば,行政府としての役割を踏まえつつも,情報の提供や講師の紹介等可能な限りの協力に努めるものとする。

4 総合的かつ効果的な推進体制等

(1)  実施主体の強化及び周知度の向上
   人権教育・啓発を効果的に推進するためには,人権教育・啓発の実施主体の体制を質・量の両面にわたって充実・強化していく必要がある。特に,各地域に密着した効果的な人権啓発を行うためには,現在,全国に約14,000名配置されている人権擁護委員の活用が有効かつ不可欠であるが,その際,適正な人材の確保・配置などにも配慮し,その基盤整備を図る必要がある。
   また,法務省の人権擁護機関を始めとする実施主体に関する国民一般の認識は,世論調査の結果等によれば,十分とは言えない。一般に,実施主体の組織及び活動について啓発対象者が十分な認識を持っていればいるほど,啓発効果も大きなものを期待することができることから,各実施主体は,広報用のパンフレットを作成したり,ホームページを開設するなど,平素から積極的な広報活動に努めるべきである。
   既存組織の強化
   人権教育・啓発の推進に関しては,現在,様々な分野で連携を図るための工夫が凝らされているが,今後ともこれらを充実させていくことが望まれる。
 特に,国における「人権教育・啓発に関する中央省庁連絡協議会」(平成12年9月25日,関係府省庁の事務次官等申合せにより設置)及び地方における「人権啓発活動ネットワーク協議会」(人権啓発活動ネットワーク事業の一環として,法務省が平成10年度からその構築を進めており,既に全都道府県に設置されているほか,市町村レベルについても,各法務局,地方法務局の直轄及び課制支局管内を中心に設置が進められている)は,人権教育・啓発一般にかかわる連携のための横断的な組織であって,人権教育・啓発の総合的かつ効果的な推進を図る上で大きな役割を担っており,その組織力や活動の充実強化等,更なる整備・発展を図っていくべきである。

   新たな連携の構築
  人権教育・啓発をより一層総合的かつ効果的に推進していくためには,既存組織の連携の強化のみならず,新たな連携の構築も視野に入れる必要がある。例えば,対象者の発達段階に応じた人権教育・啓発を円滑に実施するためには,幼稚園,小・中・高等学校などの学校教育機関及び公民館などの社会教育機関と,法務局・地方法務局,人権擁護委員などの人権擁護機関との間における連携の構築が重要である。
 また,女性,子ども,高齢者等の各人権課題ごとに,関係する様々な機関において,その特質を踏まえた各種の取組が実施されているところであるが,これらをより総合的かつ効果的に推進するためには,これら関係機関の一層緊密な連携を図ることが重要であり,各人権課題・分野等に即して,より柔軟かつ幅広い連携の在り方が検討されるべきである。
 さらに,人権擁護の分野においては,公益法人や民間のボランティア団体,企業等が多種多様な活動を行っており,今後とも人権教育・啓発の実施主体として重要な一翼を担っていくことが期待されるが,そのような観点からすれば,これら公益法人や民間団体,企業等との関係においても,連携の可能性やその範囲について検討していくべきである。なお,連携に当たっては,教育・啓発の中立性が保たれるべきであることは当然のことである。

(2) 実施主体間の連携
   既存組織の強化
   人権教育・啓発の推進に関しては,現在,様々な分野で連携を図るための工夫が凝らされているが,今後ともこれらを充実させていくことが望まれる。
 特に,国における「人権教育・啓発に関する中央省庁連絡協議会」(平成12年9月25日,関係府省庁の事務次官等申合せにより設置)及び地方における「人権啓発活動ネットワーク協議会」(人権啓発活動ネットワーク事業の一環として,法務省が平成10年度からその構築を進めており,既に全都道府県に設置されているほか,市町村レベルについても,各法務局,地方法務局の直轄及び課制支局管内を中心に設置が進められている)は,人権教育・啓発一般にかかわる連携のための横断的な組織であって,人権教育・啓発の総合的かつ効果的な推進を図る上で大きな役割を担っており,その組織力や活動の充実強化等,更なる整備・発展を図っていくべきである。

   新たな連携の構築
   人権教育・啓発をより一層総合的かつ効果的に推進していくためには,既存組織の連携の強化のみならず,新たな連携の構築も視野に入れる必要がある。例えば,対象者の発達段階に応じた人権教育・啓発を円滑に実施するためには,幼稚園,小・中・高等学校などの学校教育機関及び公民館などの社会教育機関と,法務局・地方法務局,人権擁護委員などの人権擁護機関との間における連携の構築が重要である。
 また,女性,子ども,高齢者等の各人権課題ごとに,関係する様々な機関において,その特質を踏まえた各種の取組が実施されているところであるが,これらをより総合的かつ効果的に推進するためには,これら関係機関の一層緊密な連携を図ることが重要であり,各人権課題・分野等に即して,より柔軟かつ幅広い連携の在り方が検討されるべきである。
 さらに,人権擁護の分野においては,公益法人や民間のボランティア団体,企業等が多種多様な活動を行っており,今後とも人権教育・啓発の実施主体として重要な一翼を担っていくことが期待されるが,そのような観点からすれば,これら公益法人や民間団体,企業等との関係においても,連携の可能性やその範囲について検討していくべきである。なお,連携に当たっては,教育・啓発の中立性が保たれるべきであることは当然のことである。

(3)  担当者の育成
  国及び地方公共団体は,研修等を通じて,人権教育・啓発の担当者の育成を図ることが重要である。
 また,日常生活の中で人権感覚を持って行動できる人材を育成するため,社会教育において推進している事業で得た成果や財団法人人権教育啓発推進センターなどの専門機関の豊富な知識と経験等を活用し,人権教育・啓発の担当者の育成を図るための研修プログラムの策定についても検討すべきである。なお,国及び地方公共団体が研修を企画・実施する場合において,民間の専門機関を活用するに当たっては,教育・啓発の中立性に十分配慮する必要がある。
 さらに,人権教育・啓発の担当者として,日頃から人権感覚を豊かにするため,自己研鑽に努めることが大切であり,主体的な取組を促していくことが重要である。

(4) 文献・資料等の整備・充実
  人権に関する文献や資料等は,効果的な人権教育・啓発を実施していく上で不可欠のものであるから,その整備・充実に努めることが肝要である。そして,人権教育・啓発の各実施主体等関係諸機関が保有する資料等については,その有効かつ効率的な活用を図るとの観点から,各機関相互における利用を促進するための情報ネットワーク化を検討するほか,多くの人々がこうした情報にアクセスしやすい環境の整備・充実に努めることが望まれる。
 また,人権に関する国内外の情勢は時の経過とともに変遷するものであるから,時代の流れを反映した文書等,国内外の新たな文献や資料等の収集・整備を図るとともに,従来必ずしも調査研究が十分でなかった分野等に関するものについても,積極的に収集に努める必要がある。
 さらに,人権に関する各種蔵書やこれまでに地方公共団体が作成した各種の啓発冊子,ポスター,ビデオなどで構成されている財団法人人権教育啓発推進センターの「人権ライブラリー」の充実を図り,人権教育・啓発に関する文献・資料の活用に関する環境の向上に資することが重要である。

(5) 内容・手法に関する調査・研究
   既存の調査・研究の活用
   企業,民間団体等が実施した人権教育・啓発の内容・手法に関する調査・研究は,斬新な視点(例えば,ターゲットを絞って,集中的かつ綿密な分析を行うなど)からのアプローチが期待でき,その調査・研究の手法を含めた成果等を活用することにより,より効果的な啓発が期待できる。
 また,地方公共団体は,これまで様々な人権問題の啓発に取り組んできており,その啓発手法等に関する調査・研究には多大の実績がある。これらの調査・研究の成果等は,地域の実情,特性を踏まえた地域住民の人権意識の高揚を図る観点から取り組まれたものとして,各地域の実情を反映した参考とすべき多くの視点が含まれている。
 さらに,日本国内における人権に関する調査・研究の成果等とは別に,諸外国における調査・研究の成果等を活用することも,次のような意味にかんがみて,十分検討に値するものである。
 
1  人権擁護に関する制度的な差異に着目して啓発手法の比較検討ができ,新たな手法創出の参考となる。
2 調査・研究の成果等から諸外国における国民,住民の人権意識の状況等を知ることができ,我が国の人権状況の把握に資する。


   新たな調査・研究等
   より効果的な啓発内容及び啓発手法に関する新たな調査・研究も必要であるが,そのための条件整備の一環として,啓発内容及び啓発手法に関する開発スタッフ等の育成が重要である。
 また,民間における専門機関等には,啓発のノウハウについて豊富な知識と経験を有するスタッフにより,多角的な視点から効果的な啓発内容及び啓発手法を開発することを期待することができることから,これら民間の専門機関等への開発委託を行うほか,共同開発を推進することも望まれる。

   その他
 調査・研究及び開発された人権教育・啓発の内容・手法を実際に人権啓発フェスティバル等において実践し,その啓発効果等を検証する仕組みについても検討する必要がある。

(6)  財団法人人権教育啓発推進センターの充実
   財団法人人権教育啓発推進センターには,民間団体としての特質を生かした人権教育・啓発活動を総合的に行うナショナルセンターとしての役割が期待されている。
 そこで,その役割を十分に果たすため,組織・機構の整備充実,人権課題に関する専門的知識を有するスタッフの育成・確保など同センターの機能の充実を図るとともに,人権ライブラリーの活用,人権啓発指導者養成研修のプログラムや人権教育・啓発に関する教材や資料の作成など,同センターにおいて実施している事業のより一層の充実が必要である。
  なお,財団法人人権教育・啓発推進センターの充実に当たっては,民間団体としての特質を十分生かした方策とするとともに,政府において検討が進められている公益法人に関する改革と整合的なものとなるよう十分配慮する必要がある。

(7)  マスメディアの活用等
   マスメディアの活用
   人権教育・啓発の推進に当たって,教育・啓発の媒体としてマスメディアの果たす役割は極めて大きいことから,より多くの国民に効果的に人権尊重の理念の重要性を伝えるためには,マスメディアの積極的な活用が不可欠である。
 マスメディアには,映像,音声,文字を始め多種多様な媒体があり,各々その特性があることから,媒体の選定に当たっては当該媒体の特性を十分考慮し,その効用を最大限に活用することが重要である。

   民間のアイディアの活用
   人権教育・啓発に関するノウハウについて,民間は豊富な知識と経験を有しており,多角的な視点から,より効果的な手法を駆使した教育・啓発の実施が期待できることから,その積極的活用が望まれる。また,民間の活用に当たっては,委託方式も視野に入れ,より効果を高めていく努力をするとともに,教育・啓発の中立性に十分配慮する必要がある。

   国民の積極的参加意識の醸成
  人権教育・啓発を効果的に行うためには,広く国民に対して自然な形で人権問題について興味を持ってもらう手法が有意義である。そのような手法の一つとして,現在でも,例えば,人権標語,人権ポスター図案の作成等について一般国民からの募集方式を導入し,優秀作品に対して表彰を行うとともに,優秀作品の積極的な活用に努めているところであるが,今後とも,創意工夫を凝らしながら,積極的に推進する必要がある。

(8)  インターネット等IT関連技術の活用
   近年,情報伝達の媒体としてのインターネットは長足の進歩を遂げ,更に急速な発展を続けている。そこで,高度情報化時代におけるインターネットの特性を活用して,広く国民に対して,多種多様の人権関係情報(例えば,条約,法律,答申,条例,各種啓発資料(冊子,リーフレット,ポスター,ビデオ等))を提供するとともに,基本的人権の尊重の理念を普及高揚させるための人権啓発活動(例えば,世界人権宣言の内容紹介,各種人権問題の現況及びそれらに対する取組の実態の紹介,その他人権週間行事など各種イベントの紹介等)を推進する。
 また,人権教育・啓発に関する情報に対して,多くの人々が容易に接し,活用することができるよう,人権教育・啓発の実施主体によるホームページの開設,掲載内容の充実,リンク集の開発,情報端末の効果的な利用なども望まれる。


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