戻る

情報化の進展に対応した教育環境の実現に向けて


(5)学校を支援する体制の整備について

  1. 都道府県・政令指定都市の教育センター等や教育事務所に,学校の情報化を支援するための人材(例えば,情報化推進コーディネータなど)を配置することについて検討すべきである。 
  2. 情報処理技術者等委嘱事業の積極的な活用を進める必要がある。 
  3. 学校においてボランティアの活用を進めていく必要がある。 
  4. 今後の課題として,情報教育に関するカリキュラム開発や先端的情報技術の活用の在り方等について研究開発を行うセンター的機能の創設について検討する必要がある。 

(教育委員会,教育センター等の役割の重要性)
○教育用コンピュータ・ソフトウェア,インターネット接続経費,情報処理技術者等委嘱事業経費等の情報化に対応した教育に関連する大部分の財源措置は,地方交付税によって措置されている。各都道府県等教育委員会には,こうした財源措置の趣旨を情報化に対応した教育の改善充実に生かしていくことが求められる。
  また,今後の情報通信ネットワークの整備をはじめとする情報化への適切な対応を考えたとき,各教育センター等の役割がますます重要になってくる。教育センター等は,教員研修の中核としての機能に加え,地域教育ネットワークの拠点として,教育や教員研修に関する情報の蓄積・流通に努めるとともに,各学校の情報化を支援していくための機能も積極的に果たしていくことが求められる。このため,各都道府県等には,教育センター等の整備充実に努力していくことが求められる。

(学校の情報化支援の人的充実)
○インターネットなどの新しい情報技術が学校に導入される際には,その適切な導入の在り方,教育面での活用法,維持・管理,トラブルへの対処法等,これまでに予想しなかった様々な対応が求められ,学校や教育委員会にとって大きな負担となる。このため,各都道府県・政令指定都市の教育センター等や教育事務所などに,学校に対する教育的,技術的な指導・助言,ハードウェアやソフトウェアに関する情報の提供,情報処理技術者やボランティアの活用に関する企画や連絡・調整を行うなど,学校の情報化を支援する人材(例えば,情報化推進コーディネータなど)を配置することについて検討することを提案したい。

(情報処理技術者等委嘱事業)
○学校におけるコンピュータ等の活用を円滑に行うため,国においては,平成6年度から情報処理技術者等委嘱事業を開始し,必要な財源措置を地方交付税において行っている。この事業により,学校における情報機器の操作法などに関する研修や課外活動に専門技術者の支援を仰ぐことが可能となっているが,まだ十分に活用されているとは言い難い。その理由としては,都道府県において積極的に活用しようとする意識が低いこと,事業の存在自体についても認識が不十分なこともあげられるが,派遣される技術者が学校教育の実状を認識していないなどの意見もある。そこで,事業の積極的な活用を促すために,派遣される技術者については,例えばティーム・ティーチングのパートナーとなれる段階を目指すなど,事前に研修を行って優秀な人材が派遣されるようにするとともに,人材の登録制度をさらに充実し改善を図っていく必要がある。

(学校外の人材の活用)
○また,情報処理技術者だけでなく,学校や地域の実情などに応じて,退職教員,保護者,大学・高等専門学校・専門学校等の学生,企業などのボランティアを積極的に活用する必要がある。特に,大学等においては,授業科目においてボランティア活動を取り入れたり,学生の自主的なボランティア活動を支援するなど,学生のボランティアを推進する大学等が増えてきている。今後,学校と大学等との連携により,学生ボランティアを積極的に活用することが期待され,国においては,どのような形態や方法で連携することができるか先導的な取り組みを支援していくことを検討すべきである。また,学校側には,ボランティアを受け入れ易い体制作りが望まれる。

(情報教育に関する先端的研究開発の必要性)
○情報化が急速に進み我々の生活が変化しているが,新しい教育課程が実施される平成14年度には,さらに情報化が進むことは間違いない。情報化に対応した教育の内容や指導方法は,常に時代に合わせて改善していく必要がある。そのためには,情報化に対応した初等中等教育の在り方とそれを実現するための具体的な情報システムやカリキュラム等について,継続的に研究開発を行う組織が不可欠である。そこで,今後の課題として,常に変革する情報化社会に対応できる教育についての研究開発を担当するセンター的な機能の創設を検討することを提案したい。
この機関では,先端技術の発展と教育の在り方について研究し,その成果によって情報化に対応した教育を推進し,その効果を向上させることが主な任務となる。例えば,次々と高度化される先端技術によって,教育の情報化をどのように図るべきか,逆に,教育の情報化に必要な先端技術の独自開発等を含め,情報化に対応した新しい教育の展開について実践的に研究開発する。また,体系的,系統的情報教育の内容,指導方法,学習評価の方法等について,実践事例の収集,分析に基づく理論化や指導に必要なハードウェアやソフトウェアの設計に関する研究を行う。さらに,これらの成果を踏まえて,教員研修等のためのカリキュラム開発を行ない,教員研修等に役立てることなどが期待される。


|   ←第II章-6へ戻る  |   目次 |   おわりにへ進む →  |