情報化の進展に対応した教育環境の実現に向けて
前項までの考え方の整理を踏まえ,本協力者会議では,学校における教育用コンピュータ,情報通信ネットワーク,教育用ソフトウェア,指導体制・支援体制の整備充実に関する改善の方向を以下のようにまとめた。
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(教育用コンピュータの整備計画と整備状況)
○平成6年度からおおむね6年間を目途に地方交付税措置による教育用コンピュータ整備計画が進められており,学校規模にかかわりなく,小学校は1校当たり22台(児童2人に1台で指導),中学校,高等学校(普通科)は1校当たり42台(生徒1人に1台で指導),特殊教育諸学校は1校当たり8台(児童生徒1人に1台で指導)を整備目標としている。
平成10年3月現在,ほぼすべての学校にコンピュータが整備され,小学校では1校あたり平均 10.4台,中学校では1校あたり平均 28.1台,高等学校では1校あたり平均 71.1台,特殊教育諸学校では1校あたり平均
11.4 台という状況である。また,地方交付税措置とは別途,国が実施する学校図書館のモデル事業や「心の教室」の整備事業の一環としてもコンピュータ配備が進められており,整備目標から見て全体としてはほぼ順調に整備が進んでいる。
○平成11年度末を目途とする計画終了時点においては,この目標を達成するように各都道府県・市町村の努力が求められるところであるが,個々の地方自治体の状況を見ると達成状況に差がでている。国においては,整備の状況や今後の計画を把握し,特に整備の遅れている地方自治体の一層の努力を促すべきである。
(平成12年度以降の整備計画)
○平成12年度以降においては,新たな整備方針によって進められる必要がある。その際,次のような観点で行うことが適当であると考える。
○また,前項で示したように,コンピュータの活用は学習のためだけでなく,指導計画の立案や,学校経営等のためにも必要であることを踏まえて,今後は,保健室,進路指導室,職員室・事務室等への配備を進める必要がある。将来的には,教職員一人一人が授業や学校運営等のために活用できるよう,学校内のコンピュータ整備を推進することが望まれる。
(学校における情報システム)
○今後の学習活動をより能動的なものにしていくために,子供たちによる学習成果の発表などを積極的に取り入れていくことが望まれる。コンピュータの導入やネットワーク化を進めていくにあたっては,電子情報の編集にデジタルカメラやスキャナーなど,画像や動画,音声,音楽などの入出力装置やプレゼンテーション用のプロジェクターなどの周辺機器も併せて導入し,設備を充実していくことが望ましい。コンピュータ画面を一斉提示できる大型映像システムを導入した教室などの整備も望まれる。
また,学校における情報化環境を検討するに際しては,コンピュータ機器を単に増やしていくのではなく,その活用目的に沿っていつでも簡単に使えるような設計が大切であり,全体を一つのシステムとして整備していくことが重要である。予算上等の制約により,一度にすべての整備が適うことがなくとも,徐々に整えていく段階でシステムアップが図られるような計画的整備が必要である。
(学校図書館の整備・充実)
○我が国の学校図書館へのコンピュータの設置率は,平成10年3月現在で 14.4 %にとどまっている。今後,学校図書館については,コンピュータやインターネット利用環境を整え,司書教諭の適切な指導の下に子供たちの主体的な学習を支援し,読書センターとしての機能に加えて,「学習情報センター」として機能を強化していく必要がある。
(特殊教育における情報機器等)
○特殊教育においては,障害の種類や程度に対応した情報機器やソフトウェアの整備・充実が必要である。このため,特殊教育センターやソフトウェア・ライブラリーセンターにおいて,情報機器等に関する情報提供,ハードウェアの貸し出し等の業務を充実するとともに,国立研究機関,大学,企業等が相互に協力した研究開発の推進が必要である。
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