「2030デジタル・ライブラリー」推進に関する検討会(第11回)議事録

1.日時

令和7年11月21日(金曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省 東館17F研究振興局会議室 ※オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 新しい「デジタル・ライブラリー」の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

竹内主査、石田委員、大山委員、小山委員、杉田委員、西岡委員、日向委員、松原委員

文部科学省

土井学術基盤整備室長、麻沼参事官補佐、松林学術調査官

オブザーバー

大阪大学 尾上 孝雄 理事・副学長、九州大学 内田 誠一 理事・副学長

5.議事録

【竹内主査】  それでは、時間となりましたので、ただいまより第11回「2030デジタル・ライブラリー」推進に関する検討会を開催いたします。
 本日は、現地参加とオンライン出席でのハイブリッドでの開催としております。報道関係者も含め、傍聴の方にはオンラインで御参加いただいております。また、通信状態等に不具合が生じた場合などは、チャット機能等で事務局へ御連絡ください。
 なお、本日は発表者として、大阪大学、尾上孝雄理事・副学長、また、九州大学、内田誠一理事・副学長、附属図書館長に御出席いただいております。
 それでは事務局より、本日の委員の出席状況、配付資料の確認と、ハイブリッド開催に当たっての注意事項の説明をお願いします。
【麻沼参事官補佐】  本日の出席状況でございますが、現地からは、竹内主査、石田委員、西岡委員の3名、オンラインで、大山委員、小山委員、杉田委員、日向委員、松原委員の5名が御出席でございます。林委員は本日は御欠席です。学術調査官の松林先生もオンラインにて御参加をいただいております。
 資料につきましては、議事次第1ページ目の配付資料一覧のとおり、資料1から7、参考資料1から3がございます。万一、抜け漏れなどがございましたら、事務局に御連絡をお願いいたします。
 また、オンラインで御参加の委員への注意事項がございます。通信の安定のため、発言時を除き、常時マイクをオフとしていただき、ビデオはオンにしていただくようにお願いいたします。また、発言される場合は、手のアイコン、または挙手をクリックして御連絡をお願いします。指名された先生は、御自身でミュートの解除を操作していただいてから御発言をお願いします。発言の際には、最初にお名前をおっしゃっていただき、ゆっくり、はっきり発言をお願いいたします。御発言の後は、先生御自身で手のアイコンを非表示、ミュートに戻していただくようにお願いします。また、万一トラブルが発生しましたら、事務局にお電話で御連絡をお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。
【竹内主査】  ありがとうございました。
 それでは続きまして、事務局より本日の傍聴登録について報告をお願いいたします。
【麻沼参事官補佐】  本日の傍聴登録は、報道関係の方も含めまして、225名の御登録がございます。
 また本日ですが、録音、録画をさせていただいておりますので、御承知おきください。
 以上でございます。
【竹内主査】  ありがとうございました。それでは、審議に入りたいと思います。
 今回は、昨今AIが教育研究活動等に浸透してきている状況を踏まえ、大学図書館においてもAIへの対応に係る検討を行い、ロードマップの改定の要不要などの検討を行うため、九州大学の内田誠一理事・副学長、附属図書館長、そして大阪大学の尾上孝雄理事・副学長の順番で、大学の教育研究活動のAI技術の利活用を含むデジタルトランスフォーメーションの状況や今後の展望、デジタルトランスフォーメーションにより変化する大学の教育研究活動を支えるためのAI等のデジタル技術の活用等を通じて高度化が期待される大学図書館の支援(学修支援や研究支援)は何か、また、新たな機能・役割は何か、我が国のAI for Science(科学研究へのAIの利活用)の動向を踏まえ、大学図書館総体として果たし得る新たな機能、そしてAI等の利活用により高度化されたサービスや支援、新たな機能に携わる人材として、大学図書館職員に求められるスキル(AIリテラシーの向上を含む)などについて、話題提供をいただくということになっております。
 それぞれに御発表いただいた後に意見交換の時間を設けさせていただき、最後に御発表いただいた内容や意見交換を踏まえた全体討議を行いたいと思います。
 それでは、九州大学の内田理事より御発表をお願いいたします。
【内田理事・副学長】  皆さん、こんにちは。内田と申します。本日お招きいただきましてありがとうございます。話題提供ということで、25分程度よろしくお願いいたします。
 それでは、事前にいただきましたお題はこのような内容でございます。これについて、今回はAIを使わずに、自分の脳みそで、なるべくファンシーな話題を考えて、提供しようかなというつもりで来ております。よろしくお願いします。
 では、本学のAI活用状況と今後の展望です。
 本学ですけれども、DX・AIについては他大学様と同様に力を入れておりまして、データ駆動イノベーション推進本部というところをつくりまして、全学DXを進めているところです。いろいろな部門があるのですけれども、一つ変わったところは、デジタル社会創造研究部門という部門がありまして、これは、DXが社会を変えていくに当たって、人社系の先生方と理工系の先生方が共に議論する場をつくりましょうということで、幾つかのユニットをつくって議論しているところです。
 本学においてAIがどのようなものが使われているかということなのですが、これは多分恐らく他大学さんも多くはそうかもしれませんけれども、本学はマイクロソフトの365なので、Copilotを使っています。Copilotについては事務職員さんも対象とした研修会も行われていて、なるべく積極的に使おうということです。あと本部事務については、一部有料版のChatGPTも入れたりしています。
 次に、研究データ管理支援サービスを全学展開しております。これは文科省様をはじめとする御支援で実現したものですが、QRDMとQIRという2つのものがございまして、QRDMというのはいわゆるストレージです。かなり大規模なストレージを準備させていただきまして、これで研究データを管理できるようにしています。
 もう一つ、もっと重要なのが、QIRと呼ばれます、九州大学学術情報リポジトリでございまして、こちらがいわゆるグリーンOAとしてのオープンアクセス論文や、公開データをストレージする場になっております。
 こちらはグリーンOAとしてQIRで公開されている根拠データの例です。先ほど申しましたようにこのQIRと言われるリポジトリには、論文の根拠データも複数公開されておりまして、この一つがそれです。このDataCite DOIもつけて、検索を容易にしています。
 こちらはまた別の根拠データの公開例でございます。こちらも同じようにDOIがついているというものでございます。
 この研究データ公開の対応ですけれども、まず2022年の9月にこのQIRをつくりまして、そのストレージを増強しております。最近ですけれども、このデータや論文の公開に当たって、登録支援システムというのを開発しました。つい最近リリースしたのですけれども、なかなかこういうところに登録してもらおうとしても、みんな億劫がってやってくれないので、非常に簡単にステップ・バイ・ステップで登録できるようなシステムを開発して、公開しました。
 先ほど申しましたけれども、DataCite DOIを各データについては付与するようにしております。また、全学的に皆さんにぜひ公開してほしいということで、個別相談や部局を回っての説明やヒアリングも行っているところでございます。
 このQIRですけれども、本学は結構登録してくれる人が増えています。というのも、実はちょっとトリックがありまして、インセンティブを使いました。各部局でこの登録をたくさんある程度以上してくれたら、研究経費をちょっとだけ、そんなに多くはないのですけれども、増額するようにしました。そうするとたちまち登録数が増えまして、その下の真ん中のほうに結果とあるのですが、R5からR7で、最初は登録者が171しかいなかったのが、10倍弱の人数は増えています。現状またもっと増えていると思います。
 これで皆さんインセンティブをもらえたということで、次はもうちょっとこの実際の登録している論文やデータの数を増やそうという感じの、第2段階に突入しようという状況でございます。
 次に、本学ではほかにもいろいろDX化をやっているのですけれども、本学は人文系の先生方もかなりこの辺協力的で、例えば人文情報連携学府という、デジタルヒューマニティーに関する大学院が最近できているのですが、そういう流れもあって、積極的に動いてくださっています。その中の一つが「人文系研究データ公開プラットフォーム」でございます。こちらは国文研とかもされていますけれども、本学でもこういうような公開データをやっていて、「みんなで翻刻」みたいなものも本学でやっていたり、他の人文系のデータも誰もが閲覧できるようになっております。
 もう一つ、本学のこれは割と特異な試みなのですけれども、研究データ管理支援人材育成プログラムという、いわゆる履修証明プログラムを走らせております。というのも、本学は以前よりライブラリーサイエンス専攻という、まさにこのライブラリアンやデータ管理のエキスパートをつくるという専攻がございまして、ここが全国向けにこういう履修証明プログラムを展開しているという状況です。履修者の皆様は図書館職員とかURAさんとか、その他の人々でございます。5科目5単位で、大体1年間かけて履修をするというものになっております。
 結構好評でして、履修者数、修了者数はもともと10名程度だろうと言っていたのですけれども、年々増えておりまして、今このような数字になっています。今年は27名ですかね。ユニークな試みということで、全国から履修者が来てくださっているという状況です。
 もう一つ、これは情報系副専攻と呼ばれるものです。データ管理や図書館に限ったものではなく、いわゆる情報系のエキスパートを全ての分野において増やそうという試みです。
 最初のポツのところに書いておりますけれども、文系、理系問わず、学部、大学院も問わず、誰もがこの情報系の様々な技術を学ぼう、学べるような環境を提供しようということです。一定の単位数を取れば、オープンバッジで認定をしてあげるということです。
 プログラミングとか、X-informaticsと呼ばれるものについて新しい科目をつくっています。プログラミングの目的は、いろいろなデータの種類や、扱う方法によって違いますので、画像用・テキスト用・センサー用のそれぞれにプログラミング演習科目を提供しています。
 この科目のポイントですけれども、上に書いてあるように、学生さんだけではなくて、教職員の皆さんもどうぞ参加してくださいというふうにオープンにしています。考えてみれば大学というのは、教職員の皆さんにとっても学びの場であるべきですので、そういうことで、オープンにできるものはオープンにしようということで使っていただいております。実際今年度から本格稼働しているのですけれども、教職員の皆さんも参加してくださっています。
 以上、本学の状況をお伝えしたのですけれども、これから先は妄想が爆発するというか、好き勝手言う場になりまして、ただ、何かどこか1か所でもお聞きの皆さんに引っかかるところがあって、それがヒントになって次のアイデアが生まれればいいなという思いで申し上げます。お許しください。
 まず、「大学図書館による『DX・AI活用支援』は?」ということでお願いします。
 まずは当然ですけれども、図書館は最先端サービスの提供窓口になるべきだということです。これまでも最先端の知の提供窓口であった図書館は、今後は最先端の、AIを含めたデジタルサービスの提供窓口としての機能も有するべきだと思います。
 AIと今申し上げましたけれども、ほかにもXRとか、オンライン教材のキュレーションの技術とか、ほかにもいろいろあります。ここにはちょっと書いていないのですけれども、AIのサポートによる出版といった、なかなかすぐにはできそうにないもの、一般の人には難しいようなものも、図書館の人がサポートしてあげて出版を達成するというようなこともいいのではないかなと思っています。
 あとほかにも、教育の場で、最近、「藤吉AI先生」のように、自動質問回答システムみたいなのを利用している先生がいらっしゃいます。いわゆるRAGを使って、授業のマテリアルとか教科書とかをそこに置いて、学生さんがいつでも質疑応答をAIに向かってできるというシステムです。こういうのも、図書館が把握して展開できればというふうに思います。
 こういうふうに最先端の技術を提供するという場でもあるのですけれども、やはりその逆張りとして、非日常的な場としての価値もあると思われます。今からAI、DXは学生さんの周りにあり続けるとは思うのですけれども、一方でそこから切り離された場としての図書館の価値は残るというふうに思っています。AIデトックスと書いていますけれども、まさにそういう場であってもいいかなというふうに思います。
 あと、図書館には物理的なものが並んでいますので、それはやはりVR空間とかとは違う喜びがあるのではないかなと思います。図書館を歩いていると賢くなった気がするのですけど、そういうモノとしての本から受ける価値というのはやはりあるのではないかなと思います。
 あと、これは本学特有のというか、本学だから思いついたことかもしれないのですけれども、本学の中央図書館は、ほかの人がどういうふうに学んでいるかというのを上から、横から眺められるという設計になっておりまして、ほかの人も勉強しているのだから自分も頑張ろうと思えるような場としても価値はあるかなと思います。
 一番下ですけれども、普通図書館はわいわいがやがやしゃべっちゃ駄目なのですけれども、本学に限らずほかの図書館さんでも、グループ活動のためにフロアの一部を開放していたりされると思います。そういうところについては価値があり続けるだろうなというふうに思います。
 あと、ここからは余談になるのですけれども、サードプレイスとしての図書館というのもいいフレーズだったのです。手前みそですけれども、弊学の堀という者が言っていたことなのですが、帰らなくてはいけないところと行かなくてはいけないところがファースト、セカンド。その途中で、行かなくてもいい場所だけれども、行きたければ行く場所をサードプレイスと呼んでいます。まさに図書館というのはそういう場として、学生生活の一部になれるのではないかなということです。これはあまりDXとは関係ないですが。
 この辺からちょっと私の妄想が爆発します。私は実はこういうドキュメント系の研究者でして、10年ぐらい前に、左側のやつは、学生さんがアイトラッカーという、目の視線でどこを見ているかというのを追跡できるカメラでして、それで読んだ部分を全部OCRで認識してしまえと。そうすると、自分が読んだことが全部記録できるだろうというものを作ったりしていました。
 右側のほうは指先カメラで、指先に小型のカメラをつけて、指でなぞった部分を全部OCRで認識するというものです。皆様も、本にいろいろマーカーをつけたりとかされているのではないかと思うのですが、本当に私はもう忘れっぽさが半端ないのですが、そういう人間だと、こういう自分が読んだことなどを覚えておきたいのですよね。こういうふうに積極的に読んだ部分について再度読めるような設備を図書館さんで備え付けておいてはいかがでしょう? 実際は著作権の問題があって、そのまま全ての本をフルコピーすることはできないと思うのですけれども、一部のフレーズだけとか、読んだ部分をサマライズしてとか形を変えて、著作権を回避できれば、こういう設備も自分自身の知識の記録として使えるのではないかなと思ったりしています。
 この辺りからどんどん妄想が進んでいくのですけれども、こんな感じで自分が読んだ書籍の全内容を本当にデータ化できれば、それを使ってAIを学習することで、パーソナライズドAIができます。RAGとか御存じの方は多いと思いますけれども、外部データリソースとして自分が読んだものを全部記録しておいて、それを使って自分だったらどう考えるかというような文章を勝手に生成するようなことはできるでしょう。
 また記録できますので、自分の学習状況の可視化はもちろんできますし、次に学ぶことの提案などもできると思います。
 また、一番下は個人的なイメージですけれども、こういう自分が読んだものの統計量が出て、例えばそれが数値ベクトル化みたいなことができると、似たベクトルを持つ人同士で集まろう、みたいな、そういうコミュニティー形成にも寄与するのかなと思ったりもしました。
 あともう一つは、読んでいる物理的実態としての図書、本とのインタラクションというのも、これからいろいろできるだろうなというふうに思います。先ほど目で見たところを全部認識するというような話もありましたけれども、読書結果を再利用のために加工して保存するというのもありますし、ほかにも読んでいる現在の部分を瞬時に認識して、それを平易に解説・要約するようなサービスとつなげるなんていうのも、実現可能な時代に来ています。
 さらに、自分が読んだものを全部記憶できていたとすれば、過去に読んだ書籍と、今、目の前に見ている本との関連みたいなものを、自動リンクづけもできます。
 一番下はもう本当にふざけていると思われるかもしれませんけれども、もし人社系の例えば生き方に関する本みたいなものが全部デジタル化されたとすると、それをRAGみたいにして使えば、人生の悩みにリアルタイム相談してくれるようなものができたりとか、SFの本みたいなものを全部データ化してAIに投げることで、そこから真の科学の種はないのかみたいなことで遊んだりもできるでしょう。
 余談が続くのですけれども、物としての意義はやはり残るだろうなと個人的に思っています。この一番上の部分は、とある方がおっしゃっていたことの受け売りなのですけれども、今デジタル化してしまいますと、残念ながら結構改ざんして、それがフェイクになったりしているわけです。
 一方やはり紙の本というのは、改ざんはそう容易ではないので、100年後に今の図書の物理的な冊子を残すことで、100年前、すなわち現在何が起こっていたかというのをきちんと後世に伝えることができると思います。これを全部デジタル化してしまうと、ちょっと将来歴史が歪曲されてしまうようなリスクもあろうかな、ということです。
 あと、ちょうどよい所有感というのは皆様納得いただけるのではないかと思います。
 さらに一番下にありますように、ユーザーインターフェースとして本を使おうという研究も多数行われておりまして、例えばAugmented Realityみたいな技術を使うと、開いた本のページの上にいろいろなCGが重畳表示されるみたいなことは、もう以前からできるようになっています。
 こういうふうにデジタルとフィジカルの両方をつなぐようなインターフェースとして、物理的冊子体としての本が使えるだろうと思います。
 次、「AI for Scienceのための新機能は?」というお題です。
 こちらもやはり今から重要なポイントになってくると思います。まずは情報提供機能。これは今まで以上の情報提供機能が必要だろうなと思います。今もDeep Researchとか使えるようになって、科学のあらゆる分野でAIが、既にAI for Scienceが機能しているわけなのですけれども、例えばそれでもやはり有象無象の知識でAIが学習してあったりする可能性があるので、例えば所蔵図書の内容がデジタルコンテンツ化できているとすれば、それを使ったRAGを組み立ててやることで、信頼の置けるエビデンスが根拠となった生成AIがきっとできるというふうに思います。例えば化学とか生物とか、そういう分野に特化したデジタルコンテンツだけで学習したようなAIを提供できれば、きっとAI for Scienceのためには役に立つはずです。
 そのためには2ポツにありますように、Retro-digitizationをさらに進める必要があるのではないかと思います。これはもちろん著作権の問題がありますので、分量的にもたった一つの図書館でできるという話ではないですけれども、今後進めていく方向かなというふうに思います。
 あと、この内容の変換機能も、AI for Scienceにやや役に立つかなということです。AI for Scienceというのは、いろいろなサイエンスの分野でAIの技術を使おうとか、いろいろな分野の問題をAIの人が解こうというような話だと思うのですが、当然その間には学問の間の専門性の違いみたいなのがあります。なので、ある分野の知識をある分野に、分かりやすいように内容を変換していくような話も必要になってくるはずで、実際今、文体スタイル変換はもう非常に簡単に普通のGPTでできますので、こういうのをもうちょっと科学に特化したような形で、ある分野のナレッジをある分野に変換して説明するというようなことができればいいかなというふうに思ったりします。
 こちらもすごく変な話なのですけれども、今は図書を貸し出すのが図書館の機能だったりするのですが、もしかしたら今後、AIの貸出しなんていうのもあるのかなとちょっと思ったりもします。これは例えば特定の書籍の内容をAIに全部読み込ませたものを、ユーザーに貸し出すというような話とか、特定の書籍だけでなく、特定の分野でもいいのですけれども、そういうのを学習したAIを貸し出していくような話もあるのではないかと。
 やはり各個人でこういうものを全部準備していくというのは大変なので、ある意味図書館さんが大丈夫だと保証するようなものを、こういうふうにユーザーに貸し出していくというのは、意外とあるのではないかなと思ったりします。
 あと、こちらも今から重要になるだろうなと思います。データキュレーションです。冒頭、本学についてQIRというのを御紹介しましたけれども、図書館においてはデータを管理するというのがだんだん一般的になってきております。
 ここで各館悩んでいらっしゃると思うのですけれども、本当にこのデータをオープンにして誰か使うのかという問題が常に起こると思います。そういうときに、やはり真に再利用する価値のあるデータなのかどうなのかというのを判断する必要が、いずれ出てくるかなと思います。そうしないと、本当にだんだんあふれていって、モア・イズ・レスという言葉がありますように、かえって何もできなくなっちゃうのではないかというおそれがあります。
 また、そのデータに対するメタデータの付与というのはもうマストだと思うのですけれども、なかなかやはり面倒くさいですが、そういうのもAIを使って、メタデータを自動付与するような枠組みを実現するべきだろうなというふうに思っております。
 次、これが、電子ジャーナルが高くなってもう「やってられない」というのが、日本中の図書館さんの悩みだと思います。何でそんなお金まで払って電子ジャーナルにやっているかというと、やはりジャーナルにはいい査読者がいて、そういう査読者が査読したものだからこの論文はいいのだという、ある意味保証づけのために皆さんジャーナルをお使いになっているというところが本質的じゃないかなと、個人的には思うわけです。
 そうすると、今からもしAIが査読できるようになってきて、レベル1査読はパス、レベル2査読はパスみたいな、そういうようなことができるようになったとすると、もしかしたらもうジャーナルなんて要らなくなるかも知れません。この論文はレベル8査読を通りましたみたいな認証さえあれば、グリーンOAであっても、十分に信頼が置ける論文だということで引用できるようになるかもしれないと。そうするともう、とにかく値段が上昇しています電子ジャーナルの問題が、少しは緩和されるかもと思ったりします。
 実際、私は情報系なのですけど、情報系の分野では、ここのスライドの右にちょっとした絵が貼ってありますけれども、今年、AIが書いた論文をAIが査読するという国際会議が始まって、結構好評を博したと聞いております。ほかにもAAAI(トリプルエーアイ)という、AI系ではトップカンファレンスがあるのですけれども、そこでは人間の査読者が2人とAI査読者が1人ついて、3人――というか、3つで合議するみたいな、AIはまだリファレンスの役割のみとは聞いていますけれども、そういうような時代がやってきています。実験系とかそういうのはちょっと難しいのかもしれませんけど、理論系とかそういう分野であれば、特に情報系だと思いますけれども、AI査読がだんだん本当になってくるような気もしています。
 最後のコーナーです。今からの大学図書館職員さんに求められるスキルはということです。
 まずは健全な知を守るスキルというのは必要だろうと思います。フェイク、ハルシネーション、いろいろな怪しい情報がたくさんあります。知識の保存と再利用は図書館員に任された使命なのかもしれないなと思います。もちろん研究者もそうですけど。例えば図書館員さんが厳選したデータを使った、そういったデータだけで学習したAIというのは、やはりそれは非常に価値があるなと思います。逆にAIがたくさん生成している中で、そういうものの中から、これは大丈夫だというような価値があるものを引っ張り出すというのも、図書館員さんに求められるスキルなのかもしれません。
 もしかしたら御存じかもしれませんが、AIカニバリズムという言葉がありまして、AIがつくったものでAIが学習して、どんどん精度が低下していくという話です。そういうのをある意味食い止めるのも、もしかしたら図書館員の皆様かもしれません。
 3番目、4番目、知識の公共性とか知識の公正性とかというのは、今でもやっていらっしゃると思いますし、今後も必要になるのではないかと思われます。
 あと、適切な知の供給のための分析のスキルです。既に図書館員の皆様で分析をされていらっしゃる方はたくさんいらっしゃると思います。今後ダイナミックに状況は変化していくと思います。そのときに図書館としてどういうような知識の供給が必要なのかということを、実例、エビデンス、現状、予測などを使って分析していくというのは大事になると思います。
 ただこれは1館、1つの図書館だけでやっていってもちょっと限界があるかなと思いまして、国全体での統計の突き合わせみたいなことをやって見ていくというのも必要だと思います。こういったことをやっていくと、実は世界では動いているけれども、本邦では、日本ではちょっと進んでいないなという場が見つかったりとか、いろいろなマイニングにもなるのではないかなというふうに思います。
 これはちょっと細かい話なのですけど、内容による蔵書管理等を行うスキルということです。今、分類表の分類番号に基づいて、何種類かに分類されていると思いますけれども、今後やろうと思えば、各書籍の内容に踏み込んだ、より細かな蔵書管理ができるはずです。ある本に非常によく似た本みたいなのも数値的に計算できますので、そうした方法で蔵書の検索みたいなことができるでしょう。
 あと、一番下にちょっと書いていますけれども、最近生成AIの分野では、LLM-as-a-Judgeという考え方、技術が広く広まっておりまして、これは、例えば本のクオリティみたいなものを、どっちがいい本ですかとか、どっちが簡単ですかとか、どっちが分かりやすいですかというような内容を、大規模言語モデルに判断してもらうみたいなことも普通になっております。ある意味、図書館のコンシェルジュみたいなことをこのLLMにやってもらう、そこを図書館員が操るということもできるのではないかなと思います。
 あとスライド2枚です。学習サポーターとしてのスキルは今も大事ですけれども、今後も大事です。まずはAIを使いこなすための支援を図書館員さんがやっていただくと。これはもう当然そうなっていくだろうなと思います。ただ、これは当然と申しましても、AI自体がころころ変わって、いろいろなことができるようになっておりますので、常に学び続けなくてはいけないという、サステナブルな成長というのですかね、そういうのが必要になると思います。
 これで最後です。サポーターとしてのスキルなのですけれども、今からAIで事足りるという学生さんがたくさん出てくると思います。一方、生きた人間としてのサポーターとしての価値も残るし、それはかえって重要になるのではないかというふうに思います。というのもAIを使いこなせるためには、その分野の知識とか、問う力とか、結果を判断する力とかということがやはり必要になります。例えば小学生に生成AIを持たせたから急に天才になるかというと、そんなことはないのと同じです。やはり自分で何ともできない学生さんは一定数いるはずで、そういうためには人間のメンターは引き続き必要になるでしょうし、3ポツに書いていますけれども、メタな学習サポート、どうやって自分で勉強するのだというようなことも分からずに、AIに頼ってしまう学生とかが出ると非常に困りますので、そういうサポートも必要になってくるのではないかと思います。
 以上、妄想失礼いたしました。
【竹内主査】  ありがとうございました。
 ただいまの大変刺激的な御発表に対する質問、また御意見等ございましたら、挙手にてお知らせください。よろしくお願いいたします。
 では、小山委員どうぞ。
【小山委員】  ありがとうございます。中央大学の小山と申します。本日は御発表いただきましてありがとうございます。本当に幅広い話題を提供いただきまして刺激を受けました。
 私からは1つ、質問させていただきたいのですけれども、スライドの9枚目です。リポジトリ(QIR)登録のインセンティブ化というスライドです。九州大学では随分前から、リポジトリ(QIR)を動かされていて、オープンアクセスポリシーの公表も含めて、オープンアクセスとか、データの公開であるとか、積極的に進められていると思うのですけれども、ご説明いただいたインセンティブを与えるということになりますと、単純に図書館だけでは実施することができないのではないかという感想を持ちました。
 私は私立大学におりますので特にそう思うのかもしれませんが、やはり大学全体としての方針が必要であるとか、あるいはこういったインセンティブを与えて、研究データを集めましょうとか、オープンアクセスに持ってきましょうとかという、そういう学内でのダイナミクスというのでしょうか、そういったようなことで何かこれまでの御経験がございましたら、教えていただけたら幸いです。よろしくお願いします。
【内田理事・副学長】  九州大学は図書館長が理事を務めておりまして、図書館長が経営にも一応首を突っ込めるというような立ち位置になっております。また、冒頭にも申し上げたように、本学はDX推進本部みたいなものをつくるぐらい、やはり今からはこういうデジタル化していろいろなものをつないでいくのだという話が、本学では以前から言われておりました。その一環として、せっかくオープンアクセスをやるのだったらみんなに使ってほしいなということが、執行部も含めコンセンサスを取れまして、結構確かにおっしゃるとおり、ちょっと難しいかもしれないのですけど、本学では了解が取れたということです。私の前任の理事がやはり図書館担当だったのですけれども、その方がこういうのをやろうということで推進されて現状のようになっております。要するに、図書館長が経営陣に食い込むとやりやすいですよということですね。
【小山委員】  ありがとうございます。そういった組織に情報担当理事としていらっしゃるということで、御発言もできますし、それに対して例えば研究担当理事も積極的とか、あるいは全体的にやはり積極的だったのですかね。
【内田理事・副学長】  そうですね。本学は割と以前から図書館を大事にする文化はちょっとございまして、そういうので受け入れやすかったというのもあるかもしれません。
【小山委員】  ありがとうございました。
【竹内主査】  それでは、日向委員、お願いいたします。
【日向委員】  都留文科大学の日向です。大変刺激的な御発表ありがとうございました。
 ぜひお考えというか、まだこれは実現したわけではなくて、今後の将来像という意味になると思いますが、御発表スライドの22枚目です。これからのAI for Scienceが進んだ大学図書館の、この22ページのさらに進んだ情報提供機能というのが、これからのデジタル・ライブラリーの将来像の中で非常に重要なのかなと感じました。
 その中で、ちょっとこれはあくまでもこれからの想定の話なので、内田様の御意見をいただきたいとは思うのですが、こういうような所蔵コンテンツを例えばAIが使ってRAGをつくるといった場合に、ちょっと考えると、全ての大学図書館で同じ書籍を使ってつくるもののほうがいいのか、つまり、そういうRAGがたくさんいろいろな図書館、大学ごとにつくられると、恐らく大学ごとの性格とか、もしかしたらそれぞれの大学でのチューニングということで、多様なデジタル・ライブラリーが並列したほうがいいのか、それとも、例えばごく少数の非常に総合的なAIがあったほうがいいのか。
 この辺を、内田様のちょっとお考えというか、これはあくまでも想定の話なので、あまり確たる話ではないのですが、どういうもののほうが今のところよろしいのかというのを、ちょっとお聞かせいただけたらと思います。よろしくお願いします。
【内田理事・副学長】  ありがとうございます。難しい質問です。まず、計算機的に実現できるかは置いておいて、何でもかんでもできるという前提で考えますと、国会図書館みたいなところが総合的なものを1つつくるというのはあると思います。各館、各大学に分校みたいなものがあって、固有の蔵書とかもあると思いますので、そういうのも生かした各館固有のもつくるのもありだと思います。
 個人的には、そういうのをファインチューンするというか、個別化した、パーソナライズされると言ったほうがいいのかなと。一番下にも書いていますけれども、全体的な知と個別の知のバランスが必要なのかなというふうに思います。そういう意味では、結局1つだけ何かあればいいということではなくて、いろいろなスケールで学んだものがどれも使える、人のやつは使っちゃ駄目だと思いますけれども、いろいろなスケールのものが選べるみたいな状況になっているほうが健全かなという気はします。あくまで個人的な意見です。
【日向委員】  ありがとうございます。あくまでも、私もこれは、まだこれからの話なので具体的な話なのですが、同様な感想を持ちました。ありがとうございます。
【内田理事・副学長】  ありがとうございます。
【竹内主査】  ありがとうございました。
 では、杉田委員、どうぞ。
【杉田委員】  内田先生、ありがとうございます。
 ちょうど今見えているスライドの3つ目の各講義の参考書籍情報提供というところに、私は関心があるのですけれども、理事、図書館長というよりも、研究者のお立場でちょっとお考えを伺いたいのですが、例えば「電磁気学入門」という本がもう何種類も世の中にはあって、それをテーマとした授業をやる際に、シラバスに参考書籍、先生方は、私の授業にはこの本がいいのだろうというのを挙げると思うのですけれども、そこというのはやはり授業を受け持つ先生御自身によって、同じ「電磁気学入門」というタイトルの様々な書籍の中からこれがいいというのがあると。
 それはどんなところから来るのかということと、逆にそこが標準化してしまっていいものかということ。それから、さっき夏目漱石の例がありましたけれども、世の中の「電磁気学入門」を全部集めて最大公約数的な教科書をつくるというのも、無理すれば可能性としてはあると思います。この辺についてお考えを伺いたく思います。
【内田理事・副学長】  面白い。いや、結局今の大学の先生も、どういうところで教科書とかを選んでいらっしゃるかというと、まず背景知識としてこういうものを持っている学生を前提としますというのと、あと、この講義を受けて最終的にはこういう知識を持ってほしいという、その差分を埋める教科書が必要になると思います。その差というのは、多分大学さんごと、需要ごとに違うので、何か統一した1個の電磁気の教科書があれば済むという話ではきっとないと思います。
 先ほどおっしゃっていた、ちょうどミックスして真ん中ぐらいのというのは、これは結構面白い研究タスクになるかなと思いました。いわゆる平均を出すということですね。平均本を出すということだと思うのですけど、これはもしかしたらできるかもしれないなと。そういうのができると、もしかしたら、さっきもちょっと言ったのですけど、自分用にチューンナップしたような教科書、すなわち、各講義ではなくて学生さん個人でチューンナップした、難しさレベルをちょっと変えるとか、そういうようなことも、もしかしたらそういうダイナミックな教科書もできる可能性は大いにあると思います。
【杉田委員】  ありがとうございます。蔵書構築に直結する学びで、大変参考になりました。ありがとうございます。
【竹内主査】  ありがとうございました。今のお話は教育の標準化という問題から考えると、結構面白い話であるなという気はいたします。
 松原委員、お待たせいたしました。どうぞ。
【松原委員】  名古屋大学の松原でございます。内田先生には、わくわくするお話をありがとうございました。非常に興味を持って聞かせていただきました。先生のお話では、図書館の今後の戦略が、大学DXの一環として大学全体の戦略の中に位置づけられている点に感銘を受けました。
 その上で、例えば先ほどのQIRにおいて、研究データを研究者から集め、その登載率を上げていくというお話がありました。一方で、オープンサイエンスの観点から、それらのデータが世界的に共有されることは重要ですけれども、同時に、大学としてそういったコンテンツをどのように活用していくのかということも、問われているのかなと感じています。研究データに限らず、大学で集積される様々なコンテンツについて、大学としてどういった活用の可能性があるのか、お考えがありましたら教えていただければと思います。
【内田理事・副学長】  ありがとうございます。実際多分もちろん名古屋大学さんもされていると思うのですけれども、教員のパブリケーションをベースにIRを行いまして、各大学さんの強いところを分析するみたいなことはされていらっしゃると思いますので、そういうのはもう当然使うと思います。
 本学のこのQIRには、全ての査読付き論文だけじゃなくて、文系の先生が出されるような企業論文みたいなものもたくさん詳録されております。そういう普通に電子ジャーナル等で取れる論文情報と、このQIRにしかないような情報を合わせると、各大学さんのショーケースみたいなものができるはずです。
 今後大学の経営などを考えると、受け手で誰かお客さんが来るのを待っているというのは、ちょっとあまり現実的じゃないかなと思っていまして、やはり大学の知のコレクションを見える形で公開しておくというのは、非常に大事かなと思っています。
 そういう意味では、例えばみんながリポジトリに全論文を登録してくれるようになれば、本当にそれはすばらしいショーケースになるはずで、そこをもしRAGみたいなので組めれば、企業さんが、こういう研究をやりたいのだけどというのをRAGに問いかけると、こういう論文を書いているこういう先生がいますよ、みたいなものがすぐ出せますので、そういうような産学連携等に活用するようなリソースとしても、当然こういうのは使われるようになるだろうなと思います。
【松原委員】  ありがとうございます。今お話された内容は、まさに図書館のコンテンツの新たな活用という攻めの戦略であると感じました。一方で、全国の大学図書館を考えたときに、大学図書館の意義そのものが改めて問われる状況にもあると思います。その中で、大学にとって図書館の価値や必要性を何らかの形で見える化し、何か問われたときに示せる指標があることは、今後の大学図書館にとって非常に重要ではないかと思うのですけれども、大学経営という観点から図書館の意義どのように整理されていらっしゃるのか、お考えがありましたらお教えいただければ幸いです。
【内田理事・副学長】  すみません、私はまだひよっこ館長で、1年ぐらいしか務めていないのですけれども、やはり場としての図書館の価値を認めない人はいないのではないかなと思いたいです。今手元でダウンロードできて、ジャーナル読めるよねという話もあるのですけど、学生さんが勉強しに来ている場を見ると、それはやはりこういう場があるからこそ、みんな勉強しに来ているのかなという印象を持っております。
 なので、全部バーチャル化してしまったらいいかというと、もちろんお金が完全になくなればそうせざるを得ないかもしれませんけれども、やはりある程度、学生が教室以外で集まって学ぶ場、自由に学びに入れる場というのは提供し続ける。経営というよりは、義務といいますか、そういう場の提供は続けるべきかなと思います。それが経営陣に、これが必要なのだときちんと訴えなくては確かにいけないのですけど、ごめんなさい、そのデータはちょっと今持ち合わせていないです。
【松原委員】  いえ、心強いお言葉ありがとうございます。
【内田理事・副学長】  頑張ります。
【松原委員】  あと1点だけですけど、今日のご発表では、いろいろな面白いアイデアがあふれていましたが、そうした取り組みを実際にサービスとして提供していくときに、現在の図書館体制に不足しているものもあるのではないかと思いました。例えば、今の図書館職員の体制のみでこれらを進めるということが、必ずしも最適とは限らない気もします。新しいサービスを展開していく上で、図書館の人材の在り方という意味で、どういった体制が望ましいとお考えか、お聞かせいただければと思います。
【内田理事・副学長】  それもすごく難しい御質問ですね。個人的にはやはり、さっきちょっと申し上げたのですけれども、図書館員の皆様が積極的にこういう新しい技術に対しての学びをやっていっていただくというのが、一つ重要かなと思います。本学の図書館の一部の方々は、もう今、ChatGPTの有料版を使って、Deep Researchとかをきちんと見ていただいて、RAGとかも使うというようなセミナーとかもやって、何ができるかというのを今学んでくださっています。
 そういう方々がいる限り、ちゃんとキャッチアップしてくださっていれば、新しい技術を入れて、学生さんにとってもこれは利便性が高いと思えれば、どんどん入れていくようなことになるのではないかなと思います。だから人については、図書館員の皆さんについては、あまり個人的には心配していないのですが、やはり著作権制度とかその辺がどこまで許されるのかというところが、一つ縛りになるのかなと思ったりします。
 これだけスマホで写真を撮れば、全部それがデジタイズできて、自分のナレッジに加えようと思ったら加えられるのですけれども、それがどの辺まで許されるのかということが、個人的には一番ネックになるのかなというふうに思ったりもしています。すみません、素人なので、いいかげんなこと言っているかもしれないです。すみません。
【松原委員】  とんでもございません。ありがとうございました。
【竹内主査】  ありがとうございました。
 大山委員から手が挙がっておりますけど、ちょっと時間が押しているので、後ほどまた全体討議の中で内田先生に質問していただければと思います。西岡先生からも手が上がっていますが後ほどお願いします。
 内田先生、どうもありがとうございました。また後ほど全体討議のときにお願いいたします。
 それでは、続きまして、大阪大学の尾上理事より御発表お願いしたいと思います。【尾上理事・副学長】  尾上でございます。ありがとうございます。内田先生のように有益なお話はできないのですけれども、私は8年ぐらい図書館長を仰せつかっていたのですが、今は図書館長から外れて大分たっておりますので、なかなか外した話かなと思っておりますが、簡単に御説明させていただきます。
 このページは御説明するまでもないというところだと思うのですけれども、教育や研究等に世界中でやはりAIが活用されていっている、そのスピード感というのは、多分我々の想像を、やはりはるかに超えているのではないかなというふうに思っております。大学の中でも、やはり学習のパートナーとして考えてどう使うか、なぜ使うか。一番初めにこの生成AIなどが出たときに、使っていいか駄目かというような話があったのですけど、そのときに皆さんやはり、使っては駄目というオプションはないだろうというお話をしていたと思います。
 研究に関しても、これも巨額の投資が、海外あるいは国内でもされて、やはり環境としては整いつつあると。ただそれにどういうふうに大学として、あるいは研究機関として対応していくかというところには、大分遅れが出ているのではないかなというのが私の感想でございます。
 大学の取組、教育に関して大阪大学ではどんな取組をしてきたかというところで、この太字になっているところが実は組織でございまして、様々なところが様々な試みをやっているというのが正直なところです。
 それをきっちり司令塔のようにまとめていくというところが、正直我々の大学としては、規模が大きいというのもあるのですけれども、あまりコントロールはきっちり利いているかというと、私どもの不徳の致すところですが、できていないかなと思っております。
 ただ、いろいろなことをいろいろな先生が考えていただいているというところで、まず基本理念というところで、本学はELSIセンターというところがございまして、生成AIが出たときに、ここがいち早くこの論点の外観というところを整理して、ELSI NOTEという、ホワイトペーパーみたいなところなのですけれども、そういうものとして出させていただいています。これも結構面白いなと。
 内容も見ていただくといいのですけれども、2023年の3月時点での解釈ですと、そういうようなお話をして、やはりこれが使われていくとどういうふうに変わっていくかということをウオッチしていくというようなお話をされておりました。またそれ以外にも、実際に「生成AIの教育への導入のELSIを考えるための国内外ケース集」なんていうのも発行されております。
 学部教育は、これもいろいろなところでやっておられると思うのですけれども、数理・データ科学教育研究センターの中で、教育プログラム(リテラシーレベル)、これは全学ですが、それと応用基礎レベルを各学部にというプログラムを展開しております。それなりに受講生は、やはり興味を持って受けていただいているというところでございます。
 また大学院の教育では、こういう新興・融合研究を推進するマルチスタックのAI人材育成プロジェクトというのを、実際AIの人材育成事業で進めていただいているというところでございます。
 あと、教職員の方々がどういうふうに。特にこれは教員中心なのですけれども、生成AIを教育へどういうふうに使っていくべきか、というようなところをまとめて学内に例を示しながら、あるいはどういうふうに、使い方も含めてFDの一環として提供いただいているところでございます。
 あとはSLiCSセンターというのは、これはスチューデント・ライフサイクルサポートセンターというところで、学生さんのSLiCSシステムというものを使って、学びを管理、あるいは御自身で、自分で管理できるような、そういうようなことをやったり、あるいは卒業した後のリンクなんていうのも提供しているのですけれども、そういうところでも生成AIに関してどういうふうに学習に使っていくかなどというところを、学生向けにもお話をしていたりしております。
 また社会との接点というところで言うと、外国語学部というのを本学は持っておりまして、そこの複言語・複文化共存社会研究センターというところと富士通Japanさんとの間で、多文化多言語の子供に対する生成AIによる教育支援というようなプロジェクトが進んでいるところでございます。
 また研究のほうは、データ管理基盤というところで、我々はデータ管理基盤を中心に研究DXを進めていこうということをずっとやっておりまして、この左下、ちょっと小さい字で恐縮なのですけれども、2021年から、いわゆるスパコンとリンクした形で、研究データ集約基盤というのを準備しております。またリポジトリは2012年からやっているのですけれども、そういうところともリンクしていると。
 要するにこのストレージの部分、高速ストレージ、アーカイブストレージと計算基盤とをリンクしていくことによって、研究のDXが進むようにということをやっております。また様々な事業を組み合わせることで、このデータの実験機器、研究機器のコアファシリティからのデータ自動収集というところと、今この研究データ管理・公開・検索の部分についても、オープンサイエンスの事業等で、研究者がこういう基盤をスムーズに使えるようにというような形のシステム整備を実施しております。
 この基盤については、今、他大学との間でもリンクをしていまして、他大学の研究データ集約基盤として、この我々のONIONというシステムなのですけれども、使っていただこうということで、そういう動きが今出ております。実際に使っていただく例というのが出つつあるというところでございます。
 また、右側なのですけれども、データ駆動型の研究というのは、これは私の前に研究担当理事をやっていた八木先生のときに、データビリティフロンティア機構というのをつくって、そこでデータの生成、解析、活用というところを、データビリティという新しい考え方で取り組んでいて、全学的な形で様々な専門分野とAIデータサイエンスとの掛け合わせというのを進めております。
 一般的には、こういう駆動型の学際研究というのは、人のマッチング、研究者のマッチングというのをやっていくのですけれども、我々は研究データとしてのマッチングをして、融合研究を創発していくということも進めております。今はこのデータビリティフロンティア機構と基盤センター、我々のところのサイバーメディアセンターとが一緒になって、D3センターという、これはデジタルデザインとデータビリティとディシジョンインテリジェンスという、この3つを扱っていこうというセンターに改組いたしまして、これらの動きを活発化しようというようなところでございます。
 また生成の活用というところで、情報イノベーション機構、あるいはデジタルOUDX推進室というところで、もともと先ほどの内田先生のお話のCopilotも使えていたのですけれども、それ以外に、まず職員の方々の様々な業務支援というところで、ChatGPTやGeminiなんかを契約して使えるようにしながら、業務改善というのをやっていたのですけれども、そこの同じ枠組みで、研究の利活用ということも今進めていっているところでございます。結構な数の方々が活用いただいて、いろいろな形で進めていこうというところでございます。
 また同じようにAI for Scienceに関しても、これも動きとしてはそんな早くないのですけれども、研究開発マネジメント人材育成事業のほうで、AIユースケースの実証と、そのAI for Scienceの研究の支援をする人材の育成のプログラムを構築しているところでございます。
 また、我々はやはりAI for Scienceの中では、学術データをどう蓄積していくかというところがありますので、そういうところは、データベースの充実化と、それを使ったAI支援ということが様々なところで、こういうところは日本の多分強いところだと思っておりますので、活用していこうと、そういうことでございます。
 こういう時代での図書館の支援というところで、これも下側に、2023年に出ておりました、パブリックライブラリーでどういうことをやっていくべきかと。これは非常に一般的な話だと思うのですけれども、検索の精度向上から、やはりデータ分析による意思決定、あるいはコラボレーション。こういう一般的な図書館業務に加えて、図書館は生成AIの時代においても、やはり信頼できる情報源となっているというところが一番キーだと思っております。
 またAIリテラシーの教育。これも附属図書館でやるべきなのかという話はあると思うのですけれども、やはり図書館に対する学生、教員の期待というところはあると思いますので、そういう役割を果たしていくべきなのかなと思っております。先ほど申しましたように、全学、いわゆる昔の教養教育なんてやっているところでも、AIリテラシーの教育なんていうのも進めているのですけれども、その枠組みと、やはり図書館がどういうふうにそこにコミットしていくかというような、そういうところが重要かなと思っております。
 ハイブリッド機能の強化というのは、やはりこれは必要かなと思っております。今でもコロナ禍以降、柔軟な利用環境というのは出てきていると思うのですけれども、そこがさらに進んでいくというところがございますので、新しいサービスって何なのかというのと、従来のサービスをずっと継続していかないといけないのか、そういうところはきっちり見直していく必要があるかなと思っております。
 また、この研究者のデータ管理であるとか公開も含めての図書館の役割というのは、これは重要になってきておりますので、ここも、今までの体重のかけ方とどういうふうに変えていくのか、そういうところは考えていく必要があるかなというところでございます。
 これも皆様御承知のとおりだと思うのですけれども、実際図書館全世界で見ても、導入率67%というのが出ておりますが、とはいうものの、実際にはその半数以上が評価段階だというところであることを考えると、重要でやっていかないといけないのは分かっているけれども、なかなかそこに手が回らないというのが、これは国内に限らない状況なのだろうと思っております。
 また、図書館の中で結構重要な目的であるような、コレクション管理の最適化だとかデジタル保存、こういうようなところというのが、本来はもっとやっていかないといけないという意識はあるのでしょうけれども、実際にはそこはなかなか活用が難しいというふうに位置づけられているというのもあります。
 また、スキルの養成というところを見ても、なかなかスタッフの独自学習、上司の奨励、機関としての支援なしというのが大多数というところで、みんな頑張ってねというような、そういうような状況で、組織的にうまくスキルアップも含めてやれている例というのはなかなか難しい。その一番の理由はやはり予算であり、あるいはセキュリティーや専門知識の不足、こういうところになってくるかなと思っています。
 阪大の附属図書館も伺ったところ、個々にいろいろなことをやっていただいているというふうに聞いてございます。実際に多分やれるところからやっていきましょうというので進めていただいているところでございます。企画の立案とかキャプション作成、イラスト生成であるとか、目録業務のAI化、こういうのは他大学との連携というところでございます。
 レファレンスサービスのAI化であるとか、これも、一番下のやつは内田先生の大学と一緒にさせていただくということだと聞いておりますが、シラバス×AIで、学生のための図書選定に対しての実証実験が進みつつあるというふうに聞いてございます。こういうところは、本当に単発の組合せというのが正直なところかなと、私の感覚としては持っております。
 AIリテラシーの向上というところで、このLiteracy Frameworkというのが、最終版、認められた版が、先月出ておりますけれども、こういうところに書かれているようなコンピテンシーをどういうふうに拡充していくかというようなところを、大学としては考えていく必要があるかなと思っております。
 図書館の方にこうあるべきだということが、結構これはコンピテンシー、リテラシー教育なので書いてあるのですけれども、じゃ、それをどういう枠組みで大学としてサポートしてあげられるのかというようなところというのは、すごく重要だなと思っております。もちろんオンラインコースなんていうのも出ておりますけれども、こういうところを、では、皆さんの空いている時間にやってねというだけで、本当に大学としての活動ができるのかというところは、すごく我々としては、なかなかそういうところに大きな投資ができないという状況もあるのですけれども、憂えているというのが正直なところでございます。
 これはもう最後のスライドで、非常に中身が薄くて恐縮なのですけれども、やはり活動の変革というのを進めていくときに、これは実際に図書館の中の方々のお話を聞くと、いろいろな情報の収集は進んでいますし、アイデアの検討とか適用というのはできる状況にあるよということは聞いております。
 ただし、それをやるときに、実際に、では、例えばその効果がどう出るのかというようなところを考えるのが、単なる自己満足で済んではいけないだろうということで、やはり職員の評価制度とかとのきっちりしたリンク、あるいは、そういうインセンティブというのをきっちり出してあげる必要があるかなというところでございます。
 支援活動。先ほど申しましたようにAIリテラシー教育というのは、全学でどこが担当するか。図書館に全部やってねということは、僕自身は、本学で言うとあり得ないかなと思っております。
 一方で、図書館だからこそできるAIリテラシー拡充。これはやはり図書館のリソースを学生さんが特に活用するという前提で言うと、それを違う人たちが、図書館に関係するようなリテラシーの教育をやっていくというのもおかしい話なので、様々な部署との連携をしながら、やはり学生が図書館に抱く期待をきっちり把握して、それをサポートしていくということが重要かなと思っております。
 研究者への支援ということで言うと、これは研究コミュニティーへの貢献、あるいはオープンサイエンスを含む一連の研究プロセス変革への即応というところかなと思っています。研究コミュニティーにダイレクトに図書館がコミットするということは、なかなか難しいというか、現状できていないかなと思っております。
 一方で、様々な分野で様々な独自のAIの活用であるとか、デジタル化というのが進んでいることを考えると、やはりそういう研究のドメインごとに、どういう支援をしていけばいいかということを真摯に、なかなかこれも図書館だけということではないと思うのですけど、僕が担当しているような研究推進の部署であるとか、あるいはデジタル化の部署、そういうところとの連携で、どういうふうに研究者をリードしていくかということと、そういうコミュニティーで何が欲されているかというところの把握が、すごく重要かなと思っております。
 また、知識の蓄積・拡充という観点で言うと、これは既存職員の方々。これは海外の大学とかの図書館だと、すごくダイナミックにAIの専門家やデータサイエンスの専門家を、附属図書館の中に雇い入れるということができている状況ですけれども、多分今の日本の大学の図書館で、急にAI人材を入れてくれと言っても、絶対入ってこないと思うのですよね。ですから既存職員のAIリテラシーをどう向上させるかというところと、あるいは、やはりこれは職務に応じて様々なスキルアップの仕方があると思うので、そういうところをきっちりしたセクション化した上で、いろいろな人材育成というのが必要かな。
 そのためには、今もう図書館の業務というのが、やはり昔より明らかに増えている状況にあると思いますので、その上さらにリテラシーもアップするのかというところがありますから、やはりどうやってこのリテラシー向上に関する時間を捻出するのかというところがキーなのかなと思っています。
 数を増やせば簡単なのでしょうけど、数を増やすというオプションはなかなか厳しいと思いますので、いろいろなところと。今までは附属図書館って我々で言うと、やはり一部局になってございますので、他の部局との連携というのがあまりなかったのが今までだったと思うのですけれども、このオープンサイエンスも含めて、最近は本当にいろいろな方々と有機的にディスカッションもしていただいているので、やはり業務の分担というところをうまくやっていくことができるのかなと思っています。
 新規人材の確保として、やはり少数でも専門知識を有する人材というのが入ってくると、その方が与える好影響というのは大きいと思いますので、例えば、急に雇えなくても、最近我々のところでも職員のクロスアポイントメント、学内のクロスアポイントメントなんていうのができるようになっておりまして、要するに20%はどこかの違う部署で活動するなんていうことができるような仕組みがつくられています。
 だからそういうことをうまくつくって、行って来い、にする必要があるのか、お金で解決するのかというのもあると思うのですけれども、こういう専門的な人材が入り込んでくるというような枠組みをうまくつくれていければなと。これも一大学でずっとやっていくべきなのか、大学間の連携。
 あとは活動資金の確保って、これはもういつも我々も、僕が図書館長をやっていたときも、全然役に立たなかったのですけれども、やはり図書館機能が拡充していくことの価値化というのをきっちり見える形、あるいは説得力ある形でやっていくというところに、我々としては注力していく必要があるのかなと思っています。
 この図書館機能がこういう時代で、研究力のアップや、あるいは輩出人材の強化、あるいは学術や社会への貢献という観点で、どういうふうに価値をアピールできるかというところが、大学の経営状況が厳しい中で、説得力を上げられるということを考えていく必要があるかなと思っています。
 AIが世界を一変させる技術であるということは誰も疑うことがないと思うのですけれども、そういうことを加味すると、抜本的に大きく振った考え方、先ほど内田先生のお話にもたくさんの、斬新な、あるいは抜本的な活動の形態なんていうのが提案されておりましたが、そういうものを図書館の中からぜひ考えていただければなと、それを我々としてはサポートしていければなと思っております。
 以上、雑駁ですが、私からの御説明でございます。
【竹内主査】  尾上先生、ありがとうございました。
 それでは、ただいまの尾上先生の御発表に対する質疑をしたいと思います。どなたからでも結構です。先ほど手を挙げていただいた大山委員、あるいは西岡委員、いかがでしょうか。
【大山委員】  東京大学附属図書館の大山でございます。尾上先生、お話ありがとうございました。お話を伺っていて、大阪大学の中でいろいろな部署でいろいろな取組が始まっているという中で、図書館もそこに加わっているということで、いろいろな可能性を感じたところでありました。
 ただ一方で、図書館の役割、機能というものはこれからも失われることはないかと思ったのですけれども、組織やそこで働く一人の職員として考えた場合に、大分そこの位置づけが変わってくるのかなと思いまして、今お話の中で、連携というのが一つ重要だというお話が出て、学内のクロスアポイントみたいなものも始まっているということで、着々と進んでいるのだなと思ったところなのですけれども、場合によっては、これは危機感も伴っての感想ではあるのですが、組織が変わっていく、今までの図書館とかという、そういう切り口の組織が、もうちょっと違う形もあり得るのかなと思うのですけれども、そういった中で大阪大学さんのほうで何か、なかなかこういう場では難しいかもしれないのですが、一つこんな方向性があり得るということですとか、尾上先生御自身のお考えでも結構ですので、ちょっとお聞かせいただければありがたいと思います。
【尾上理事・副学長】  大山部長、ありがとうございます。おっしゃるとおり機能としては、やはりもともとあるものから増えていっている方向しかないのだと思うのですよね。
 組織自体も、先ほど申しましたデータビリティフロンティア機構と基盤センターが一緒になるときに、附属図書館も一緒に入ってほしいと申し上げたのですけれども、断念せざるを得なかったのです。ですが本当は、もう有機的に、実際問題として、図書館と研究推進と情報推進というのは、一体になって協力してやっていただいているので、附属図書館というのは非常に歴史もあって、重要な組織としてきっちり持っておかないといけないと思うのです。けれども、枠組みとしてはもっとダイナミックにいろいろなことができるのではないかなというふうに、個人的には思っているのですが、ある時大反対にあったので今は控えるようにしております。
【大山委員】  すみません。ありがとうございます。
【竹内主査】  では、石田委員、どうぞ。
【石田委員】  九州大学の石田です。尾上先生、どうもありがとうございました。お話を聞いておりますと、やはりAIが入ってきたことによって、大学の図書館そのものもそうですし、職員のほうでもその役割が広がっていくという感じがいたしました。
 それで、教育のほうは何となく私もイメージができるのですけれども、この研究支援のほうで、もちろん図書館では今、データとか論文などの成果の公開というところでは既に入っていると思うのですけれども、このAIが入ってくることによって、図書館側から新たにできそうな研究支援とか、そういったものがあるのかなというのをちょっと今、お話を聞いていて考えていたところなのですけれども、このスライドの4ページのAI for Scienceの人材育成のところにもあるように、何かもし実際にやっていらっしゃること、もしくはお考えでもいいので、ありましたらぜひお伺いしたいなと思っております。
【尾上理事・副学長】  ありがとうございます。このAI for ScienceのAIユースケースの実証と、そのための支援人材というところなのですけれども、まだこれは始まったところではございます。ただ、もうこれも石田先生も御承知のとおり、こういうようなところの一連の研究プロセスというのを、やはり出版業界はきっちりグリップしていこうという形があるじゃないですか。
 そうすると彼らは、アクセス先としてやはり図書館から入ってくるのですよね。そういう中で図書館の方々ができるところと、図書館だけではカバーできないところというのが、どうしてもその一連のプロセスの中でもありますし、逆に図書館の方がいらっしゃらなかったら、全部のコンプリートって多分僕はないと思っておりますので、そういうところを例えば研究プロセスの一連が変革される段階で、では、どこがどういう部署から人が関わってきて、ずっと最初の研究企画の段階から、例えばパブリケーション、あるいはそのデータの公開というところまで、ある方がコンシェルジュのようにずっと同じ人がついていくということは、多分あり得ないと思いますので、各段階、段階でそれぞれの専門性を持った方が、研究者の企画、支援という形で関わっていただくというところだと思っております。
 ですからそういうところをきっちり――我々があまりできていないのが申し訳ないのですけれども、全体としてそこをオーケストレーションできるような、要するにタクトを振れるような方がいて、そこと連携しながら図書館を担当いただけるようなところというのが、より増えていくのではないかなというふうに思っております。
 今だと、図書館の場合は例えば、Read(リード)のほうで本をジャーナルの契約というところ、それを提供するというのと、最後、Publish(パブリッシュ)から、あとそれをリポジトリに載せるという、そこに来たら、また急に図書館の方が関わってくるというところだと思うのですけれども、それが何か一連のパイプラインにきっちりなって、たくさんの方でたくさんの研究者がうまく支援できるような、そういうフレームワークというのがうまくつくれるといいかなと思っております。
【石田委員】  ありがとうございました。
【竹内主査】  それでは、いろいろご意見がおありかと思うのですが、まず、尾上先生への御質問をお願いしたいと思います。なければ、両先生の御報告を合わせた全体討議のほうに移行したいと思います。
 では、小山委員、どうぞ。
【小山委員】  ありがとうございます。尾上先生、ありがとうございました。今の石田委員の質問にも関わるのですけれども、例えば先ほども見せていただいた、4ページ目のスライドで、左下にe-Researchの基盤整備というのがございます。こうした基盤が出来上がっていくと、今度はこれを使うサービスが生まれてくると思います。
 そのときに、先ほど先生はタクトを振るっておっしゃっていましたけれども、こういったものを基盤としたサービスというのは、どういう形で立ち上がっていくのか、それは大阪大学としてはどう考えていらっしゃるのか、今どのようなことをやっていらっしゃるのか、教えていただけたらうれしいです。ありがとうございます。
【尾上理事・副学長】  ありがとうございます。もう本当にやっていかないといけないこととできていることが、非常に乖離しているのが申し訳ないのですけど、ここには、上にもD3センターって基盤センターとコアファシリティ機構と附属図書館、あと研究推進の本部というところが、非常にマルチでいろいろなところで関わっていただいていて、今のところ、この端から端まで、僕の担当だったところと担当しているところというのが一応ありますので、全体的に見るということが、今のところ我々の中ではやりつつあるという感じではあると思っているのですが、大学によっては多分この我々レベルというか、内田先生レベルで、役員がこの基盤全体を見たときに、3人とか4人とか、船頭多くして・になってしまう、誰も見ていないとか、途中までしか見ないという話になるのかなというふうに思っています。
 我々はそこを、データの基盤というのを一番真ん中に置きましょうよというような形にさせていただいたので、比較的どちらかというとこの中では、情報基盤センターの部分、D3センターが、全体を本当に見ていただけていると。その中にいろいろな事業で、新しいツールの導入であるとか、あるいはこれも研究者が、例えばデータマネジメントプランからデータの公開、リポジトリの公開まで、全体を見られるようなツールを入れていくとか、そういうところにオンしていくような形を取っていっているという感じでございます。
 何をベースにするかというのはあると思うのですけど、そのベースをきっちり組んでいくというのが一番重要なのかなと考えてございます。そこにはやはり図書館の方々も、全体の計画、この左のほうはあまり実は関係されていないことが多いですけれども、特にやはり研究者がそのデータを使いながら、最後、パブリッシュするまでというところのいろいろなシステムの検討とかにも、附属図書館の方にも入っていただいてやっているという、そういうところでございます。
【小山委員】  ありがとうございました。
【竹内主査】  よろしいでしょうか。もしないようでしたら、全体討議のほうに移りたいと思います。
 それでは、内田理事、そして尾上理事の御発表、そしてそこで出た御意見等を踏まえて全体討議いたしますけれども、その前に事務局より、大学図書館におけるAIへの対応に係る検討について、観点の例とか、あるいは参考資料の御紹介ということをお願いしたいと思います。土井室長、よろしくお願いいたします。
【土井室長】  では、資料3を御覧いただければと思います。大学図書館におけるAIへの対応に係る検討についてということで、幾つか今後の審議等の観点例を事務局なりにまとめてみたものでございます。
 まず、AIの利活用にはプラスの面とマイナス面があるけれども、現在大学における教育研究活動に、そのAIの利用というのが浸透していることからすると、あまりマイナス面を気にし過ぎて過度に慎重になるのではなくて、大学図書館としても、AIをどのように使っていくのかというのを能動的に考えていくことが重要ではないかということを前提にして、御検討、御審議をいただけるとよろしいのかなと思っております。
 主な観点例としては、ここに大きくは4点書かせていただいておりますけれども、これ以外にもたくさんの観点があろうかと思いますので、これに必ずしもとらわれることなく御検討等いただけると、大変ありがたいと思います。
 まず、(1)としましては、AI時代における大学図書館ということで、そもそもAI時代における大学図書館の役割とは何なのか、あるいはその大学図書館がどのような役割、機能を果たしていくことが求められるのか、あとは、大学図書館の連携にどのように寄与するのかということがあろうかと思っております。
 (2)は、大学図書館のサービス業務や管理運営業務に対してのAIの利活用ということで、こちらは、このAIを利活用することでどのような効率化や高度化が見込まれるのか、あるいはどんな新しいサービス等が創出できるのか、逆に、AIの利活用がやはりなじまない業務はどのようなものがあるかといったことがあるかなと思います。
 (3)として、今度はAIに対する大学図書館の貢献という観点もあろうかと思います。例えばAIの基盤モデルを開発、高度化していくために、大学図書館はどのような貢献ができるのか、あるいは教職員や学生のAIリテラシー向上のために、大学図書館はどのような役割を果たすことができるのかという観点はあろうかと思います。
 (4)は、大学図書館の職員さんに関して、このAI時代における職員像というのはどのようなものかとか、どのような知識やスキルが必要になってくるだろうか、といったことがあろうかと思っております。
 次は、ご審議の参考になるかもしれないと思われる資料を幾つか用意させていただいております。
 まず資料4としましては、全国大学生活協同組合の第60回学生生活実態調査で学生さんがChatGPTなど文章生成系AIの利用をどのようにしているのかという状況を調査されていましたので、上げさせていただいております。
 このアンケート調査からも、学生さんはいろいろな側面で生成系AIの利用をかなりされてきているということが、見て取れるかと思っております。今画面共有しているのは概要ですけれども、ほかに、本体の中から生成AIに関する部分を抜粋したものをつけております 最後の3枚目、4枚目のところは自由記述から、AIを利用したことに対する肯定的ですとか否定的なコメントというのもありましたので、それも併せておつけしております。肯定的なコメントとしては、学習等に対するサポートは非常に有益だというコメントがある一方で、情報への信頼性への懸念といったような否定的なコメントもあるということで、そういう意味では、学生さんも手放しで使っている状況ではないのかなと見て取れるかと思っています。
 それと、資料5はイギリスの高等教育政策研究所による、イギリスの学生の生成AI利用に関する調査がありましたので、これもおつけさせていただきました。こちらもやはり学生で生成AIを利用している割合がかなり増えていっているということですので、これを見るまでもなくかもしれませんけれども、世界的に学生レベルでの生成AIの利用が浸透している状況なのかなと思っております。
 こちらは概要と、機械翻訳、原文の3種類をおつけさせていただいているところです。
 次の資料6でございますけれども、こちらは国際図書館連盟というのですか、International Federation of Library Associations and Institutionsが2020年に出した図書館と人工知能に関する声明をおつけさせていただいております。図書館とAIの可能性ですとか、倫理基準とプライバシーの保護等について言及されております。
 こちらも資料としては概要と原文と機械翻訳をつけさせていただいております。
 最後、資料7ですが、こちらは北米研究図書館協会(ARL)で昨年の4月に出した人工知能に関する行動指針、こちらも概要と機械翻訳と原文とつけさせていただいておりますけれども、7つの原則ということで、誰もがAIを使えるようにする、AIの偏りやゆがみを理解する等といった行動指針が公表されておりましたので、こちらも御参考になれば幸いでございます。
 すみません、駆け足でございますけれども、説明は以上でございます。
【竹内主査】  ありがとうございました。
 それでは、ただ今事務局から御説明いただきました観点の例、そして紹介いただいた事例なども念頭に置きながら、また、先ほどの内田理事、尾上理事からの御発表、そして意見交換の内容も踏まえて、大学図書館におけるAIへの対応についての議論をしたいと思います。また、先ほどの2つの御報告に対する質問もあると思いますので、それについてもお受けする時間としたいと思います。
 それでは、まずお待ちいただいていた西岡委員からよろしいでしょうか。
【西岡委員】  委員の西岡と申します。内田先生、尾上先生、大変御貴重な発表いただきありがとうございました。
 私の質問なのですけれども、今、お示しいただいた資料3で言いますと、(3)のAIを利活用した業務において、職員はどのような知識・スキルが必要になると考えられるかという点に関する御質問になります。
 内田先生の御発表では、学習サポーターのスキルとしてのAIの権利でしたり、プロンプトの作成などを挙げていただいて、尾上先生の御発表では、ACRLがまとめたコンピテンシーを具体的に挙げていただいたかと存じます。
 これらのスキルを今後効果的に涵養していくには、どのような形式とかで学習の機会を提供することが望ましいかということについて、もしお考えがあれば教えてほしいと考えています。例えば内田先生には、九州大学が提供されている研究データ管理支援人材育成プログラムを、成功している事例として挙げていただいたと思うのですけれども、そういったような形で、カリキュラムとして体系化して、教育、育成を行う必要があるのかという点などについて、お考えをお聞かせいただければと思います。
 特にAIリテラシー教育において、一歩違えてしまうと、AIを使いこなす側ではなくて、AIに使われる人間みたいなもの、構造に陥ってしまうことがありますので、カリキュラムや育成の仕組みにどのような要素を組み込むことが重要なのかなどについても、もしお考えがあればお聞かせいただければと思います。
【竹内主査】  まず内田先生からでよろしいですか。その後、尾上先生にお願いしたいと思います。
【内田理事・副学長】  ありがとうございます。さっき私も何か、Q&Aのときだったか何だか、ちらっと申したと思うのですけど、AIが進歩しても、結局使うのは人間で、いかに問いをつくるのか、その問いをつくったときに、どうやって生成AIにインプットするのか、さらにインフォテキストで会話を続けていくときに、バイアスを下手に入れずに、どうやって本当の答えにたどり着くのかというのと、さらにたどり着いた答えをどう吟味するのかというのは、生成AIかどうかとかいうのとはまた別に要るスキルで、それは既に図書館員さんが日々使っていらっしゃるスキルと、あまり変わらないのではないかと思うのです。
 データ管理のプログラムのような講座をつくるのは確かにやるべきです。ただ、多分毎年内容を変えなくてはいけないかなという気がしていています。また、やはりさっき申し上げた、図書館員さんが既に持っていらっしゃる――全てを持っていらっしゃるかどうかは別として、やはり問い方というその辺のスキル、あとその問い方が足りないとすれば、あなたは何が足りないのかとか、その出典に当たるスキルとか、そういうのは多分、今の図書館員の皆さん、得意とされることも多いのではないかなと思ったりしました。
【西岡委員】  ありがとうございます。
【竹内主査】  尾上先生、いかがでしょうか。
【尾上理事・副学長】  ありがとうございます。西岡先生、御指摘いただいたとおり、結構僕から考えると、教育と研究、要するに学生向けと研究者向けというのはちょっと違うかなというふうに思っております。
 学生向けのほうは比較的、先ほどの内田先生の話等もそうだと思うのですけど、今自身も、例えば図書を、いわゆる本を引用するところも含めて、どういうふうにやっていけばいいかというような、そういう学習支援というのを図書館でやっていただいているのですけど、そこにこういうAIを使うというような観点をうまく入れ込んでいくことで、図書館の独自の今の中でそういうことを考えて検討して、進めていただけるかなと思っております。
 一方で研究のところは、先ほどの石田先生からのお話に対してのお話にもちょっとしたと思うのですけれども、やはり研究の一連のプロセスというのがまだまだ、安定していないというとおかしいですけど、いろいろなことが取り組まれている状況なので、何かこういうことをできれば、図書館の職員が、AI for Science、あるいは研究の新しいやり方に対応できるよというのが、人材のスキルをちゃんとスキルアップするための手法が定まっていないような気がしますので、むしろAIが分かるような人と一緒に、テストケース的に、OJT的に一緒に入っていただいて、そこからどういうことでコミットできるのかということを抽出していただくやり方がいいのかなというふうに思いました。
【西岡委員】  ありがとうございます。
【竹内主査】  ありがとうございました。議論のスタート地点としては、大学図書館の職員の機能というところから始まりました。事務局で御準備いただいている観点の例は、大きく4つあるわけですけれども、今取り上げていただいた、4つ目の職員像のところの設定というのは少し面白くて、学習支援や研究支援に携わる大学図書館職員像という形になっています。これは、大学図書館を学習プロセスとか研究プロセスの中に置いて、その中で大学図書館は何ができるかということの議論とほぼイコールだろうと思っております。そういうふうに考えてみると、今回の4つの観点はそれぞれ特徴的でして、1つ目の話というのは、まさに大学図書館の基本理念をAIとの関わりでどう考えるかという問題、2つ目に取り上げられているのは、図書館というのを一つの閉じたシステムとして見たときにその中の業務でAIをどういうふうに使っていくのかという問題と理解しております。
 ですので、この4つ以外にも観点というのはあると思いますので、委員の皆様方、あるいは内田先生、尾上先生を含めて議論になればなというふうに思っているところです。どなたからでも結構でございますので、どうぞ御発言ください。
 では、石田委員、どうぞ。
【石田委員】  九州大学の石田です。ちょっとこの観点に沿ったという形ではないのかもしれませんけれども。
【竹内主査】  いいです。
【石田委員】  先ほど内田先生と、それから尾上先生の話を聞いていて、やはりAIってあくまでもツールの一つと考えるべきかなと思うのですが、一方で、いろいろなアイデアを御紹介いただきましたように、何でもできそうだなと夢は広がるものかなというふうに思うのですが、一方で限界みたいなところを少し考えておかないと、何でもできると思ってやるのは危険かなという感じがいたしました。
 お話を聞いていると、AIって多分図書館が本とか論文で持っている知識を、ある程度、再現できるというわけじゃなく、載せられるものかなというふうに思うのですが、それは本当にできそうなのか、やはり限界があるのかというようなところも、私は個人的には気になっているので、ちょっとぼんやりした質問で申し訳ないのですけれども、内田先生と尾上先生に、もしその研究、教育のところでAIを使った場合の限界みたいなものは、どの辺りにありそうかというようなお考えがありましたら、ちょっと無理な質問で申し訳ないですけれども、お願いできればと思います。
【竹内主査】  では、内田先生、お願いします。
【内田理事・副学長】  教育の観点よりも、研究のほうが分かりやすいと思うのですけど、基本的にAIというのは既存の知見を統計的に処理して、より出やすいものを次々に出していくということなので、皆さん御存じのように、突拍子もないアイデアってなかなか出ないですよね。だから今日僕もあえてAIはなるべく使わずに、自分の脳みそを使って答えたつもりなのですけど。
 AIに発想できるもの、AIの少なくともプロンプト、入力は、やはり何かしらユニークなものを発想しないと、ユニークなものはできないだろうというふうに思います。なので、研究が何か全てAIに取って代わるというのは、最初の少なくとも価値観とか、何が欲しいのだというところはやはりある程度言わないと、幾らAIが知識を蓄積してきたとしても動かないだろうなと思います。そこが分かりやすい限界ですね。
 あと教育の限界は、前に僕が法律の学生さんに講義をしたことがあって、AIの時代が来るぞというようなことを言ったら、ある学生さんからコメントが来て、いや、別に弁護士は法令を暗記するだけが弁護の仕事ではなくて、世界中からおまえは駄目なやつだと言われている人の横に立って、その人を守ることが仕事だということを言われて、しびれたことがあります。
 スライドでも言ったとおり、やはり最後の最後は人に頼ることが、いつまでたってもやはりなくならないだろうなと。それは教育であってもやはりそうで、人間の先生だからこそ共感するということは、そうはなくならないのではないかと思います。依存して死んでしまう人がいるという話もありますけど、みんながそうはならないだろうとは思いますよ。
 というわけで、尾上先生、頼みました。
【竹内主査】  では、尾上先生、よろしくお願いいたします。
【尾上理事・副学長】  ありがとうございます。結構近いようなイメージなのですけれども、個々の人の独自性、オリジナリティーというのが、研究に関しても教育に関しても、色が出ないというのか、ランダムに出るというのか、特徴が、例えば僕らで言うと、ある方の研究とか考え方とか目のつけどころみたいなのが、やはり内容を見たときに、あっ、この人やったらこういうことを考えますよねというのが、何となく腑に落ちるということがあるのですけれども、多分AIと一緒に例えば研究企画をしたときに、例えば枝刈りをうまくやるタイミングとかをきちんとできないと、単に任せるような形で、特に最初の研究の初期段階の部分なのですけれどもやらないと、もう色が出なくなってしまって、それは例えば効率化とか、ちょっと数値がよくなるとかそういうことがあったとしても、本当にいい研究、面白い研究というのにならないのかなと思います。
 教育も多分同じような形で、教育も例えば教授法みたいなのがあったときに、これはAIを使えば、どういう教授法をどういうふうにやっていくということはできるのだと思うのですけれども、同じ例えばハーバード何とかのやり方をやったといっても、やる人によって全然違ってきたりもしますので、そこにはその人のオリジナリティーというのが入っているのだと思うのですけれども、そういうのがだんだん失われていくと、教育自身も単なる知識を提供するみたいな話とか、探求の場を、機械として、それも機械的に与えるというのになってしまうと、多分修学意欲というのが逆に減ってくることになるのではないのかなと。
 我々も講義をしていて、雑談とかも入っているじゃないですか。そういうところが全く多分なくなって、それは人によってはタイパがいいのかもしれないのですけれども、多分頭に残らないのではないかなという気もしております。
【竹内主査】  ありがとうございます。
 では、小山委員、どうぞ。
【小山委員】  ありがとうございます。今、石田委員から、ツールとしてのAIとその研究や教育への限界ということでお二人に質問されて、また、今日のお二方の先生方からのお話を伺っていて思ったのは、例えば主な観点例の(1)の1番目とか、(3)の1番目に該当するかなというふうに私は理解しているのですけれども、結局のところ、AIというものが知とか知識とかデータに依存しているならば、やはりその知や知識というものをいかにきちんと集めるのかというところが重要なのかなということです。
 それは、これまで図書館が集めてきたコレクション、現在ないしはこれから発表されるであろう電子的な資源、さらには学内で生成された生成物もそうですし、それらが利用されるログであるとか、今日、内田先生もおっしゃっていたかと思いますけれども、最後のほうで、学習成果について触れていた気がするのですけれども、そういった様々な学内コンテンツをいかに集めて、尾上先生がおっしゃっていたような、基盤みたいなものにきちんとつくり上げていくのかというところが大切かなと思いましたし、それを受けて集めたものをいかに利用できる、活用できる仕組みをつくっていくのかなということが求められていると考えました。
 そこにどうやって大学図書館が関わっていくのかは、今もやっていらっしゃる図書館もあるでしょうし、これから考えていかなくてはいけない。そのときに、尾上先生が最後のほうにおっしゃっていた、外部との連携とか、他の部局との連携とか、学内クロスアポイントメントみたいな話もそうかもしれませんが、そういった姿勢というのはやはり大切だなということを、改めて思いました。
 最後に、そうはいってもその様々なデータというものは、内田先生もおっしゃっていましたけれども、著作権制度というものの大きな縛りというか、ネックというふうにおっしゃっていたかと思いますが、その制度に図書館はどう対応していくのか。それはもしかしたら出版社との関係かもしれませんし、いろいろなことを今日は感じたなということをまず思いました。すみません、雑駁な意見になってしまいました。
 以上です。よろしくお願いします。
【竹内主査】  ありがとうございました。
 今の小山委員の御意見は、結構重要なポイントを含んでいると私は思っておりまして、「いろいろなものを集める」とおっしゃいましたが、その「いろいろなもの」と言いつつも、これまでの図書館で集められるものは、実はいろいろではないのですよね。だから図書館から外れてしまっているものが、大学の周りにはいっぱいあって、そのようなものは研究でも教育でもたくさんあるというところを、ちょっと考え直さないといけないのではないかという示唆があったような気がいたします。ありがとうございました。
 では、松原委員、どうぞ。
【松原委員】  松原でございます。今、小山委員からご指摘がありましたように、まずコンテンツを集めることが基本だと思います。その上で、本日、両先生のお話も伺って、データあるいはコンテンツを単に集めるだけでなく、それらにどのような価値を与えていくかという点が、図書館として次にあるいは同時に考えていくことかなと感じました。
 その価値は大学にとっての価値、学術や科学に対する価値など、様々な価値があると思います。こうした価値化は、やはりコンテンツを自ら持っているからこそできることでもありますので、単にどこかにあって参照できるというだけではなく、主体的にコンテンツを集積する。これまで必ずしも収集の対象としてこなかったコンテンツ、例えば教育に関する話も本日ありましたけれども、例えば大学の教材などもしっかり集積し、それらをどのように価値化し提供していくのかを、図書館の取り組みの中に位置づけていく必要があると感じました。ありがとうございました。
【竹内主査】  ありがとうございます。大変重要な示唆を含んでいる話だったかと思いますけれども、やはり自分たちの生み出したものを他人に平気で渡すカルチャーというのは、特にAIの時代になってくると、松原委員がおっしゃったように、価値をどうつけていくかということのほうが重要になってくるので、非常にリスクが高い話だということかと私なりに理解させていただきました。
 ほかの委員の皆様方、いかがでしょうか。日向委員、どうぞ【日向委員】  非常に今日は興味深い発表、ありがとうございました。小山先生や松原先生ともほぼ同様の内容になると思いますが、まず私は、AIの動きとか、あとはARLのステートメントなどを見る限り、やはり大学図書館としての期待されているものが、今までよりも、より大学図書館としてのコレクションの価値というのが、AIが学習するリソースとしても非常に重要視されるのではないかなというのを感じました。
 今は大学ごとにポリシーを持ってコレクションを集めているのですが、これがデジタル化されていくとなると、大学ごとのコレクションポリシーも必要ですし、もしくは学術分野ごととか、ある程度大学の共通性を見ながらのコレクションポリシーを持ってコレクションを構築していくということが、デジタル・ライブラリーや、またAI時代の大学図書館でも必要なのかなというのを、ちょっと感じさせていただきました。
 また、九州大学の内田先生の発表などを見る限り、やはりこれまでやってきた情報資源管理とか情報資源の組織化の動きというのを、また改めて私は見直すべきかな、というのを感じました。
 先ほど松原先生の話にもあった、価値を上げていくというところで、やはり図書館としては、その付加価値を高めるための情報資源の組織化というものが、自分たちのコレクションに対しても、また他大学やリソースとしてある情報についても、情報資源の組織化というものを強くしていくことで、よりインターフェースとして学習者の支援になるようなAIができてくるのかなというのを感じさせていただきました。私もちょっと感想的なもので申し訳ないのですが、そういう意見を持ちました。
 以上です。
【竹内主査】  ありがとうございました。コレクション論をもう一度という話だというふうに思うのですが、これはこれまでの委員の皆さんから御発言があったことと軌を一にする話かなと思います。
 では、石田委員、どうぞ。
【石田委員】  石田です。これはコメントということになるのだと思うのですが、ここに挙げていただいた観点というのは、私も同意するところです。
 もう一つ、今日、内田先生のお話を聞いていても思ったのですけど、AI自体を何らかの図書館の情報系の知識を埋め込んだ状態というか、RAG等でも取り込んだ状態でもいいのですが、AIも資料として貸し出すというようなことをするのもありなのかなというふうに思いました。要は、昔で言うクラフト工房みたいなところの中に、一つAIというものが入ってくるというような、サービスの一つとして提供するという形もあり得るのかなというふうにちょっと考えましたというか、思いつきましたというのがコメントです。
【竹内主査】  ありがとうございます。確かにAIの貸出しというのは、たしか資料の中にありましたよね。
【石田委員】  あります。それは面白いなと。どこかに。
【竹内主査】  そういった話が出てくるのですけど、そうすると、通常の図書とのアナロジーで考えれば、巨大な百科事典的なものなのか、あるいは専門事典的なものなのかが、AIによって自動的に編集されている状態になっているものであって、それに対して問いかけができる、そういったようなイメージでよろしいですか。
【石田委員】  はい。
【竹内主査】  ありがとうございます。何か今日お話を聞いていて思ったのは、1つのAIとか、ごく少数の万能型AIという話だけでは、決してAIの話は収まらないというのが、やはり非常に重要なポイントかと思っておりまして、それらを自分用にチューニングしていくという方向性で高度化をする、あるいは、より性能のいいものにしていくのか、それとも内田先生から御説明があったような、ある種のタスクに特化したAIエージェントみたいなものになっていくのかというのは、少し面白い方向のように思います。
 技術のことは私はよく分からないので、これがどういう技術的な意味を持つのかは、よく分からないのですけれども、実際にAIに触れるという観点で見ると、とても興味深いところであったというふうに思っているところがあります。
 ほかはいかがでしょうか。今日御準備いただいている観点ということで言うと、大学図書館がAIに対してどういう貢献ができるかということについては、特に御意見はなかったようには思うのですけど、何かどなたかこういったことについてお話しいただける方、いらっしゃいますでしょうか。
 これまでのコレクションの提供ということは、もちろんこれは非常に大きなAIに対する貢献ということになると思うのですけれども、この問題というのは、社会制度と関わっている問題でして、図書館が勝手にできるわけではないというところに問題はあるのかなと思います。もちろん今の日本の著作権法は、AIに対して著作物を学習のために提供すること自体は既に権利制限の対象にはなっておりますけれども、その場合においても、権利者の権利を不当に害しないという条件はついているわけですので、やみくもに大学図書館が何かできるというわけではないということだと思います。
 ぜひいろいろ御発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。
 では、小山委員、どうぞ。
【小山委員】  小山です。昨日11月20日の朝日新聞夕刊の4面に、藤田直哉さんという方が担当している「ネット方面見聞録」というコラムの中でAI映画のことが紹介されています。
 AIを使って映画を制作するという、まさにそのものなのですけれども、素材はいろいろあるのでしょうが、結局AIに対して命令を出すのは人間であり、その命令の出し方というのは、基本的には言葉を使うということから考えたときに、その言葉に対する感受性であるとか、言葉の使い方であるとか、そういった言葉そのものに対する重要性がますます増してきているような気がしています。そのときに、大学図書館がどのように貢献するかといったら、読書と表現すると、そのまんまなのですけれども、何かそういう言葉に対するセンスというものの教育、育成みたいなものは、大学教育全体であると同時に、図書館も何か貢献できるのかなということを考えました。すみません、余計なお話でしたけれども。
 以上です。
【竹内主査】  ありがとうございます。AIによる画像の生成について、AIが生成するものに対して著作権を認めるか否かというようなことも、実際にいろいろ議論されているようなところがありますので、そういったことがひょっとしたら、今お話のあったテキストのほうにも関わってくるということは、今後はあるかもしれません。
 そのあたりはまだよく分からないのですが、ただ1つはっきりしていると思っているのは、大学は新しい知識を生み出されている場であるということ、知識だけではなく、データ等を含めて、大学図書館が集めるべきもの、これまで大学図書館は意識していなかったけれど集めなければならないものがたくさん生み出されている場であるということ、実際にそれをAIがどう使うかということはその次のステップになっていく可能性はあるのですけれども、その前に、まずはそれらをきちんと使えるようにしていくということが大きな仕事になっていくのではないかなというのが、今日、内田先生、尾上先生のお話、そして皆さんの議論を聞いていて、私が一番強く感じたところです。
 その辺りのヒントは、松原委員が一番下さったような気はするのですけれども、新しい価値の付加というようなところが、AIが使うというだけでは多分なくて、AIを介さなくても人間が本当は必要としているものというのを、我々の大学図書館という仕組みは、扱いづらいからといって落としてきた可能性があるのではないかということを、今日は改めて感じたところでございます。
 というところでちょうど時間となりましたので、質疑、それから全体討議としては以上とさせていただきたいと思います。
 本日出された意見等につきましては、事務局で整理の上、今後の審議に生かしていきたいと思います。
 最後に、事務局より連絡事項等あれば、お願いいたします。
【麻沼参事官補佐】  本日の議事録につきましては、各委員に御確認いただいた上で公開をいたします。
 また、次回、第12回については、日時等が決まり次第、御連絡をいたします。開催方法等につきましては、こちらも改めて御連絡をいたします。
 事務局からは以上でございます。
【竹内主査】  ありがとうございました。
 それでは、これをもちまして閉会とさせていただきます。皆さんどうもありがとうございました。特に内田先生、尾上先生、本当に今日は長い時間お付き合いいただきましてありがとうございました。

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