3.必要経費の見込みと負担の在り方

 平成22年度において、ノード空白県を解消するためノードとしてのデータセンターの整備を含むSINET3からの移行のための経費増が必要。また、次期学術情報ネットワーク(SINET4)への本格的な運用が開始される平成23年度以降は、その構築・運用に係る経費が必要であり、平成26、27年度においては、コア回線の高速化に伴う経費増がある見込み。

 なお、接続機関が負担するアクセス回線使用料は、共同調達などにより、経費を節減することが適当。

 国の支援の下に国立情報学研究所が整備する部分を基本としつつ、新たなニーズや特別なニーズを伴う利用には接続機関に応分の経費負担を求めることの検討も必要。

(1)必要経費の見込み

 「2.次期学術情報ネットワーク(SINET4)の基本的構成」で述べたSINET4の構築に当たっては、平成22年度において、「ノード空白県」を解消するため該当県にエッジノードとしてのデータセンターを整備することを含むSINET3からの移行のための経費の増が必要となる。

 また、SINET4への本格的な運用が開始される平成23年度以降については、その構築・運用に要する経費が、さらに平成26年度から平成27年度には、需要増への対応のため、コア回線の高速化に伴う経費増が見込まれている。国立情報学研究所においては、次期学術情報ネットワークにおけるコアノード及びエッジノードの整備を行う際、それらの配置の更なる適正化や、コアノードにエッジノードの機能を持たせることにより、現在より数を削減するなど一層の経費の抑制に努める必要がある。

 さらに、接続機関が個々に負担することとなるアクセス回線の使用料については、ネットワークの高速化を実現しつつも、共同調達などの方式を導入することによる経費の節減により、現行経費と比較して大幅な経費の増とはならないようにすることが適当である。

 なお、アクセス回線に係る回線の共同調達を行う際、各機関の具体的な経費の支払い方法などについては、「学術情報基盤オープンフォーラム」などを通じて検討していく必要がある。

(2)回線構成と費用負担の在り方

 学術情報ネットワークが我が国の大学等における教育研究活動全般を支える基盤であるとの観点から、その整備及び運用に係る経費は国の支援が不可欠である。しかしながら、国の厳しい財政状況の下、SINET4の構築に当たっては、費用対効果を十分に考慮しつつ整備を図っていく必要がある。また、各大学等の要望に応えて学術情報ネットワークの更なる高速化・高度化を図っていくためには、国の支援のみでは困難な状況も考えられる。

 したがって、SINET4の構築に当たっては、国の支援の下に国立情報学研究所が整備する部分を基本としつつ、新たなニーズや特別なニーズを伴う利用については、応分の経費負担を求めていくことも検討する必要がある。

 なお、SINET4では、エッジノードがノード校からデータセンターに移行するなど接続方式が変更されることから、今後、現在のノード校の在り方、経費負担の方法や規模等についても、引き続き検討を行うことが適当である。

 このような観点から、具体的には以下のような回線・設備等の区分に従って整備や経費負担の在り方を検討していくことが考えられる。

1.基本整備の部分

 学術情報ネットワークにおいて、基幹部分となるコア回線、エッジ回線、国際接続回線及びそれらに係る設備は基本整備の部分とする。なお、現在のノード校へのアクセス回線・設備についても基本整備の部分として、併せて一括して整備を行う必要がある。

2.特別整備の部分

 厳しい財政状況にかんがみ、例えば、大量データの流通や大規模ストレージの活用等、教育研究上の必要性により各機関からの特別の申し出に基づき整備を行うものについては、アクセス回線のみならずバックボーン回線や国際回線に対する影響も考慮し、当該機関に応分の負担を求めることも検討する必要がある。

 近年、情報基盤も含めた基盤整備に係る経費の確保が厳しくなっている。学術研究を推進するためには情報基盤は不可欠のものであることから、各機関において、競争的資金を含め、大型プロジェクトや国家的プロジェクトなどの経費を確保する場合には、その推進に伴うネットワーク経費についても併せて確保していくことも検討すべきである。

 また、SINET4においては、非ノード校の接続先をノード校からエッジノードとなるデータセンターへ順次変更することを前提としているため、現在のノード校のアクセス回線・設備に係る整備は基本的な整備部分として国立情報学研究所が整備する必要があるとともに、早期の移行完了が望まれる。

 なお、SINET4への移行完了後に、現在のノード校にどのようなインセンティブを与えるのかなどについても検討する必要がある。

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(研究振興局情報課学術基盤整備室)