次期学術情報ネットワークの整備について(意見のとりまとめ)‐SINET3からSINET4への移行‐ はじめに

 学術情報ネットワークは、我が国の大学等における学術研究及び教育活動全般を支える最先端学術情報基盤(CSI: Cyber Science Infrastructure)の中核を形成するものであり、我が国が世界をリードする最先端の学術研究を推進するため、また、教育活動の進展に対応するためにも、CSIの更なる高度化に向けた学術情報ネットワークの整備を図っていく必要がある。

 また、学術研究は絶えず進展するものであり、学術情報基盤は情報科学技術の発展によって大きくその姿を変える可能性を持つものであることから、その在り方については不断の見直しを行っていく必要がある。こうした観点から科学技術・学術審議会学術分科会研究環境基盤部会学術情報基盤作業部会(以下、「作業部会」という。)においては、学術情報基盤を取り巻く状況を把握し、課題等について整理するとともに、学術情報基盤の整備に関する推進方策等について検討を行ったところである。その結果、平成20年12月に取りまとめられた『学術情報基盤整備に関する対応方策等について(審議のまとめ)‐情報基盤センターの在り方及び学術情報ネットワークの今後の整備の在り方‐』において、次期学術情報ネットワーク(SINET4)に係る整備の基本的考え方が示された。

 この中では、

  • 整備の基本的方向性としては、学術情報ネットワークを運用する国立情報学研究所は、CSI構築のため、ネットワークを利用する大学等学術コミュニティからの先端的なニーズを含めた要望等を調査・分析した上で、最先端ネットワークに関する研究開発を推進するとともに、その成果に基づく機能の充実を継続的に図っていく必要があること。
  • その際、学術コミュニティが求める最先端機能の実現を図りつつ、学術研究や教育活動の活性化を図っていく観点から、ネットワーク基盤のみならずネットワーク上で展開される機能、サービス等を一体的に整備していくことが重要であること。
  • このため、国立情報学研究所は、研究開発とネットワークの運用、機能の提供といった事業との両輪体制の下に、ネットワークが提供する機能の質の高度化とコスト効率の両立を図りながら、CSIの構築に向けた取組みを推進していくことが不可欠であること。
  • また、学術情報ネットワークを利用する大学等にとって、ネットワークが安定的に持続利用できることはもとより、更なる回線速度の向上と高機能なサービスの提供に対する期待が大きいことから、学術情報ネットワークの整備に当たっては、こうしたネットワークを利用する大学等からの要望等も踏まえて整備を図っていく必要があること。

などが示されている。

 さらに、整備の基本方針としては、1.最先端の学術研究及び教育を支えるためのネットワークの高度化、2.大学等接続機関全体のネットワーク環境の向上、3.先進的な技術・研究開発によるネットワーク設計並びに効率的な運用による経済性の向上、4.大学等、研究機関及び産業界との連携・協力等の新たな展開、5.ネットワークの持続的な整備方策の検討の5項目が示され、これに基づき整備の方向性を検討していく必要があるとされている。

 これを踏まえて、SINET4の構想及び具体的な整備方策について検討を行うため、平成21年2月、研究振興局長の私的諮問機関として「次期学術情報ネットワークに関する検討会」を設置した。本検討会においては、平成22年度概算要求を見据えつつ審議を行い、平成21年7月、SINET4の基本的な考え方、構成及び必要経費の確保に関する事項について、審議の中間的なとりまとめを行った。

 その後、平成22年度予算の状況を踏まえて同年度以降の学術情報ネットワークの整備計画を見直すとともに、引き続き検討すべき事項等について 審議を行い、最終的な意見のとりまとめを行った。

 今後、文部科学省及び国立情報学研究所においては、この意見のとりまとめで示された内容を踏まえ、SINET4への移行・整備が円滑に行われるよう、適切な対応を行うことが求められる。

お問合せ先

研究振興局情報課学術基盤整備室

(研究振興局情報課学術基盤整備室)