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第2節 今後引き続き検討・対応すべき課題
 量子ビーム研究開発・利用促進方策全般については、本検討会での検討結果を踏まえつつ、今後の科学技術・学術審議会/研究計画・評価分科会/原子力分野の研究開発に関する委員会等の公的検討組織による更なる検討を期待する。更に、これら検討と連携・協調する形で、日本アイソトープ協会/理工学部会/量子ビーム専門委員会、日本中性子科学会等、より広範なコミュニティによる調査検討、並びに日本電機工業会加速器専門委員会等の産業界のフォーラムにおいても、量子ビーム施設の運用に係る技術支援者等の専門人材の育成確保等、更なる検討を要する中長期的課題について、関連する議論の深化が期待される。
 今後、本格的ビーム供用の段階を迎える主要ビーム施設のうち、J-PARCについては、2003年に行われた科学技術・学術審議会合同作業部会による中間評価を踏まえ、その後の本計画を取り巻く状況変化を勘案しつつ、ビーム取り出し・実験開始までの間に、計画全体の中間評価を再度実施し、第I期計画以降の具体的な施設整備・実験計画を検討・立案していく必要がある。その際、今般の検討会において中心的に検討を行った中性子等の産業利用を主眼とした事業の流れとともに、学術研究を主軸とした利用のあり方及び両者のバランスについても、十分に留意した検討を進めることが重要と考える。
 他方、RIBFについては、今後の基幹実験設備整備の動向を見極めつつ、理研に設置予定の施設共用に係る運営システム検討のための専門委員会による幅広い検討を行うことが期待される。その際、外部利用者に対する施設利用及び成果の帰属の柔軟性・開放性の向上とともに、他の主要ビーム施設の例を参照しつつ、運用コスト回収の考え方についても相応の検討を加えることが望まれる。
 2006年度予算案において、電源開発促進対策特別会計(電源特会)の活用による関連施策の創設が盛り込まれた「量子ビーム利用促進プログラム」については、電源特会の予算上の趣旨に起因する対象地域等の制約を踏まえ、更なる対象施設・地域の拡大に向けた検討を行うことが適当である。その際、利用促進のためのパイロット資金としての国の予算の役割に鑑み、成果の早期創出及び利用者からの適正な対価徴収の考え方についても配意する必要がある。
 加速器・量子ビーム専門人材の育成においては、高性能化・多様化する加速器・量子ビーム技術の進展に合わせて、加速器研究者・技術者及び加速器技術支援者を、必要な専門分野や人員数を考慮しつつ、バランス良く確保・配置する方策を講じていくことが望まれる。その際、産学官の共通基盤的プラットフォームを構築・活用し、大学・大学院のような専門教育研究機関における知識ベースの教育研究と、量子ビーム・加速器施設の実利用を通じた経験ベースの教育研究とを併用した教育・訓練を行うことが、必要かつ有効と考えられる。
 最後に本検討会では中心的トピックとして取り上げる機会のなかったレーザー、テラヘルツ波等、多彩な量子ビームの利用に関しても、今後のこれらビームの大強度化・高品位化等の技術革新に合わせて、産業界及び基礎科学研究における新規利用分野やユーザーの開拓・拡大に向けた方策を検討・構築していくことが期待される。その際、コーディネータの横断的利用促進・拡大に向けた各種活動等を通じ、本検討会において議論された中性子・イオンビーム等の産業利用促進への取組みとこれら方策との有機的な連携・融合を図っていくことが、こうした多彩な量子ビームの利用を効果的に促進していく上で、極めて有効と考えられる。


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