厚生労働省「医師の需給に関する検討会報告書」(抄)

医師の需給に関する現状

  • 都道府県別に医師数の変動をみると,平成10年と比較して,すべての地域で人口当たりの医師数の増加がみられるが,一方で依然として都道府県間の格差は縮小していない。
  • 後述するように,全体の需給とは直結しないが,地域別・診療科別の医師の偏在は必ずしも是正の方向にあるとは言えず,また,病院・診療所間の医師数の不均衡が予想される等の問題があり,厚生労働省は関係省庁と連携して効果的な施策等を講じることが必要である。

医師の需給に関する見通し

  • 将来の医療需要の推計に当たってこれまでの推移と現状とのバランスをとった「限定法」を用いると,医師の需給の見通しとしては,供給の伸びが需要の伸びを上回り,平成34年(2022年)に需要と供給が均衡し、マクロ的には必要な医師数は供給されるという結果になった。しかし,需要は,医療政策をはじめとして様々な要因の影響を受けるため,確定的ではない。

今後の対応の基本的考え方

  • 医師の養成には時間がかかること,また,多額の国費が投入されていることを踏まえれば,医師数が大きく過剰になるような養成を行うことは適当ではない。
  • 地域間偏在の調整が困難な中,大学医学部の入試における地域枠の設定や,地方公共団体が取り組んでいる9年間程度の勤務地を指定した奨学金の設定,さらには地域枠と奨学金の連動は,地域における医師の確保に一定の効果が期待されるので今後一層推進・拡大すべきである。
  • 前述のように,医学部定員の増加は,短期的には効果がみられず,中長期的には医師過剰をきたす。そのため、医学部定員の調整は、基本的に中長期的な観点に立って検討すべきものである。一方,医師数の地域間格差は,必ずしも縮小しておらず,(へき地を含む)地域における医療体制の確保は喫緊の課題であることから,すでに地域において医師の地域定着策について種々の施策を講じているにも係わらず人口に比して医学部定員が少ないために未だ医師が不足している県の大学医学部に対して,さらに実効性のある地域定着策の実施を前提として定員の暫定的な調整を検討する必要がある。

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