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2 医学部の今後の定員の在り方

(3) 期間を付した定員増に当たって求められるもの、留意点等
 
 期間を付した定員増は、地域間の偏在により一部の地域における医師の不足が深刻な状況に鑑み容認するものであり、全国一律に医師の養成規模の量的拡大を意図するものではないことに留意すべきである。また、前述したように、定員の扱いについては、医師の需給というマクロ的な数量調整の観点だけでなく、優れた資質能力を有する医師の育成・確保をいかに図っていくべきかという視点から検討することが必要である。このため、期間を付した定員増の実施を契機として、定員増の対象大学のみならず全ての大学において、医師養成の取組の改善・充実が図られることが重要である。
 期間を付した定員増の申請等の有無及び規模については、対象大学の主体的な判断によるものであるが、各大学における申請等や規模の検討に当たっては、単なる養成数の増大となることがないよう、教育内容の一層の改善・充実等質を高める取組に十分留意することが求められる。
 また、期間を付した定員増が対象県の医師不足の現状に鑑み容認するものであることを踏まえれば、対象大学の検討に当たっては、県の医師確保策等を踏まえるなど、検討の段階から県との十分な連携を図ることが求められる。さらに、県と大学との連携の充実とともに、寄付講座の設置など、県による大学への支援の充実も望まれる。また、学部教育の改善等、大学が学生を地域に定着させるための取組を行うに当たっては、大学や学生への地域医療に関する情報の提供、学生が地域医療と接する場の提供など、県の協力の充実も望まれる。
 さらに、対象大学においては、卒後教育について、生涯学習の場の提供や、大学病院とともに地域の多様な医療機関をローテートしながら修練や経験を積む機会の提供など医師としてのキャリア形成への支援について、県とも連携しつつ、取組の充実を図ることが望まれる。
 国においても、対象大学の定員増の検討や実施に当たって必要な助言、情報提供、援助等に努めるとともに、優れた資質能力を有する医師の養成・確保に取り組む大学に対する財政的支援も含めた支援施策の一層の充実を図ることが必要である。また、定員増の対象以外の都道府県の地域別、診療科別の医師の偏在の状況や大学の取組の状況・課題等を踏まえ、定員増の対象以外の大学も含めた取組の充実や支援について検討することも必要である。
 前述したように、定員の増加は、医師の偏在の問題に対して短期的には直接的な効果は見られないことから、この問題への対応の充実を図るためには、医学部の定員の扱いと併せて、関係者が連携協力して地域に必要な医師の確保の調整を行うシステムの構築や、卒業後学生が実際に地元に定着することに結びつけるための学部教育等の工夫・改善等が求められる。このため、定員増の対象大学をはじめとして、各大学においては、入学者選抜の工夫改善、学部教育における地域医療に関する教育の改善、大学病院における新医師臨床研修や地域医療支援等の改善など、第一次報告で提言した事項に積極的に取り組むことを改めて期待したい。

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