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中国における高等教育の国際的展開に係る質保証


1.    中国の大学の海外進出に係る質保証

   教育部により2002年12月に公布(翌年2月施行)された「高等教育機関海外進出暫定管理方法」に基づき、中国の高等教育機関の海外進出を認めている。中国における高等教育機関の海外進出は、当該「管理方法」が公布されるより以前に実績があり、学位課程では2002年10月に上海交通大学がシンガポールに経営学修士課程(MBA)の大学院を開設し、非学位課程でも語学や漢方医学分野でタイや韓国に進出している。このような流れを受け、「改革開放と教育・科学技術の発展成果を外国に伝え,中国の文化を発揚し,中国の国際的地位と評価を高める」という政策的判断から、中国の高等教育機関の海外進出を規範化した。
   中国の高等教育機関が海外の学校・課程を設置する際には、必要書類を提出の上、教育部の審査承認を得なければならない。


【制度(高等教育機関海外進出暫定管理方法)の主な内容】

(設置関連)
   高等教育機関の海外における学校・課程設置に当たっては,中国の関係規定に従い,当該国(地域)の法律・法規を遵守し,しかるべき合法的な資格を取得し,単独でしかるべき法律責任を負わなければならない。(第4条)
   高等教育機関が海外において本科(学部)以上の卒業資格を授与する学校・課程を設置する場合,主管する省・自治区・直轄市人民政府又は中央政府各部・委員会の審査を経て教育部に報告し,審査承認を得なければならない。(第6条)
(資格関連)
   高等教育機関が海外で設置する学校・課程において,中国及び当該国双方の共同設置者は関係規定に従って共同で又はそれぞれ別個に相応の学業証書を発行することができる。
   卒業資格につながる教育又は学位授与を承認された学校・課程は,関係規定に基づいて(海外で設置する学校・課程において)中国の卒業資格及び学位を授与することができる。中国及び当該国双方の共同設置者が共同で発行する学位又は中国側が単独で発行する学位は,中国の学位関係規定に従わなければならない。(第9条)

2.    外国の大学の中国進出に係る質保証

   国務院により2003年3月に公布(同年9月施行)された「中外共同学校設置条例」に基づき、外国教育機関と中国教育機関との共同による学校・課程設置を認めている。そもそも、外国教育機関と中国教育機関との共同設置は、1995年に国家教育委員会(教育部の前身)が制定した「中外共同学校設置暫定規程」により制度的な枠組みは整備されていたが、2001年12月に世界貿易機関(WTO)に正式加盟し、今後対外開放が進むとの予測も相まって、外国の優れた教育資源を積極的に導入するという基本方針の下で新たに上記条例として再制定した。
   設置認可は国(教育部)が行い、その基準は国内の大学の設置基準と同じ「全日制高等教育機関暫定設置条例」等に基づき審査される。
   学位については、共同設置による教育機関独自の学位(中国国内大学が授与する学位と同水準)が授与できる他、提携の外国教育機関の学位も授与できる。外国教育機関の授与する学位は、「学位相互認定協定」に基づき、外国教育機関の出自国において同等として扱われる。

【制度(中外共同学校設置条例)の主な内容】

(設置関連)
   中外共同設置学校は中国の教育関係法令に定める基本要件を備え,法人格を有しなければならない。ただし,高等教育を行う中外共同設置学校の場合は,法人格を持たなくてもよい。(第11条)
   学部以上の機関の設置認可は国(教育部)が行う。(第12条)
   設置認可は,設置計画の認可と正式設置の2段階に分け,設置計画認可だけでは学生生徒の募集はできない。(第13,16条)
(組織関連)
   法人格を持つ中外共同設置学校は管理運営組織として理事会を置き,その人員の半数以上は中国側の人間でなければならない。(第21条)
(資格関連)
   卒業資格につながる教育を行う中外共同設置学校は,国家の関係規定に従って卒業証書その他の学業証書を発行する。高等教育では関係規定に基づき,中国に対応する学位を授与することができる。(第34条)
   中外共同設置学校が発行する外国教育機関の卒業証書及び学位は,当該国の卒業証書及び学位と同等であり,当該国はこれを承認する。この承認は,国際条約又は国家の関係規定(学位相互認定協定)に基づいて行う。(第34条)

3.    設置後の質保証システム

   海外進出を果たした学位授与権を持つ中国の教育機関に対しては、学位管理機構である「国務院学位委員会」が定期的にその水準を審査し、不合格の場合は学位授与権の取り消しも行い得る。








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