令和7年11月28日(金曜日)10時~12時
オンラインにて開催
有信主査、伊地知委員、奥和田委員、狩野委員、小寺委員、小林委員、田辺委員、長岡委員、吉本委員
石川研究開発戦略課長、根津研究開発戦略課企画官
【有信主査】ただいまより、第24回の科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」アドバイザリー委員会を開催します。
委員の皆様方におかれましては、御多忙中のところ、御出席いただき、誠にありがとうございます。
それでは、事務局から資料の確認をお願いします。
【根津企画官】文科省の根津でございます。御多忙のところ、会議に御参加いただきまして、ありがとうございます。
本日の資料につきましては、事前に事務局から送付させていただいております。具体的には、資料1から資料7と、参考資料0-1というものから参考資料1-3までということで、12個の資料をお送りしております。もし、到着してない等ございましたら、事務局まで御連絡いただければと思います。
続いて委員の出欠でございますが、本日は、小林委員が10時半から御参加いただくとお伺いしております。
事務局からは以上でございます。
【有信主査】ありがとうございました。
本日の委員会につきましては、御発言のとき以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いします。
また、議題5以降については、非公開議題とさせていただく予定ですので、よろしいでしょうか。
特に御意見がないようですので、議題5以降は、非公開とさせていただきます。
それでは、傍聴者の方々、皆様方は、議題4の終了後に事務局のアナウンスによって御退出いただければと思います。
議題1から4の内容につきましては、委員会終了後に委員の皆様に確認の上、議事録を公開する予定になっています。
ここまでで、何か疑問点がありましたらどうぞ。
それでは、議題の1に入りたいと思います。事務局から資料に基づいて説明をお願いします。
【根津企画官】事務局でございます。
まず、議題1、令和8年度の関連する概算要求の内容について、御説明をさせていただきます。
今年4月頃から、アドバイザリー委員会の下に小委員会を設置いただきまして、その後、本委員会でも御議論いただきましたが、SciREX事業が、今年度で補助事業としては終了するということで、来年度以降のSciREX、あるいは政策のための科学の取組について、いろいろ御議論いただいてきたところでございます。
そういった内容を踏まえまして、今、文科省のほうで、令和8年度に、今までSciREX事業等で使っていただいたネットワークを活用して、EBPM人材の育成や、そのネットワークの拡大を実施するための予算として、5,000万ほど、今、要求をしているという状況でございます。政府の予算案が取りまとまるのは12月末ですので、結果的にこの5,000万が幾ら措置されるかというところは、今、我々も財政当局に説明をして、ある意味、お沙汰を待っているという状況でございます。
具体的な内容については、下の、ポンチ絵の下のほうに(1)から(4)まで記載をしておりますが、主にSciREXセンターが、今、担っていただいている業務を、引き続き来年度以降も実施するための予算を計上していると御認識いただければと思います。また、(4)のところで、既存の拠点以外の、政策のための科学に関係する取組を行っている大学、あるいは先生方にも、今後、ネットワークを広げていけるような取組を実施していきたいと考えてございます。
一方で、小委員会等でも御議論いただいておりました中で、まだいろいろと検討途上といいますか、我々も、あまり考えがまとまっていなかったというところもあって、なかなか、まだ具体化に着手できていないところもあるかなと思ってございます。例えば、まさに今、共進化実現プログラムという形で実施しておりますけれども、行政官と研究者の方が一緒に、ある政策課題について一緒に考えていくという研究プロジェクトは、まだ具体化できてないというところでございまして、そういった、ある意味、積み残しの宿題は、また、後の議題で御説明させていただきますけれども、これから、SciREX事業の事後評価を実施していきますので、事後評価委員会での御議論とか、その結果等も踏まえながら、来年度以降も引き続き検討していきたいと思ってございます。その辺りで何かコメントがあったらぜひ、この場でいただければ我々も参考にさせていただきたいと思ってございます。
事務局からの説明以上でございます。
【有信主査】どうもありがとうございました。
ただいまの説明に関して、特に、今後のことに関して説明ありましたが、内容について御議論をいただければと思います。何か御意見のある方、どなたからでも、どうぞよろしくお願いします。
狩野先生どうぞ。
【狩野委員】おはようございます。
今、お話しいただいたネットワーキングなんですけども、今まで参加した人だけというのではなくて、せっかくの機会なので、こういうことを本来は必要とする、例えば自治体とか、それから、その他の行政機関の人たちにも声をかけて進めていったらどうかということは思った次第です。なかなか文科省だけでやりにくいという御意見もあるかもしれませんけども、こういったことが予算あるいは10年が終わったからもう終わりというのではなくて、もう少し広がっていくことを考えると、そして、このステークホルダーを広げていくという、ステークホルダーっていうか、関係できる人を広げていくということが大事かなと思った次第でございます。以上です。
【有信主査】ありがとうございます。
一応、自治体というのもネットワークの中には書いてありますけども、具体的に、もう少し具体化を含んで考えるべきだろうという御指摘だったと思います。
ほかにどうぞ。
田辺さんどうぞ。
【田辺委員】今回、引き続いて行政官の能力向上とかネットワークの活性化と、非常にいいことだと思うんですけど、研修ですけども、共進化プロジェクトって、まさに重要な能力向上の場だったと思うんです。ただ、今回される職員への研修というのも、なんかプロジェクト的なというか実践的なものを含んで、頭で理解するというよりも、今回、私がこの15年間で思ったのは、研究サイドだけじゃなくて、行政サイドのリテラシーに問題があるということも、RISTEXのプログラムで、実際、社会実装って働きかけると、行政側の感度が低かったとか、あともう一つは、コロナでもあったんですけども、分析結果をそのまま、これが正しいんだと思って受け取るという問題もあって、だからいろいろ議論が混乱するということも指摘されていて、データを基に議論するというんですかね、つまり、エビデンスというのは一つの議論するときのたたき台なんだみたいな、そういうリテラシーが、あまり行政サイド、政策サイドになかったという問題を指摘されているので、研修のときには、ぜひ、そういうリテラシーを高める的な、ある種、ワークショップ的なものを入れるとか、そうしないと、単に聞くだけというのでは能力向上につながらないような気がします。以上です。
【有信主査】どうもありがとうございました。行政官のリテラシーというのと、確かに難しいところもあるんですよね。研究側でデータに基づいてというときのデータの考え方と、政策立案のときの、エビデンスに基づいてというときの一つのエビデンスというのは、必ずしも同じでないんだけども、その辺の分解がきちんとできてないというか、多分、そういう意味でリテラシーとおっしゃったんだと思います。確かに、そういう点は重要だと思います。
ほかにどなたか、どうぞ御意見。
よろしいですか。
ネットワークに関しては、それぞれ、一応、対象が具体的に網羅的に挙げられていますけども、これを、具体的に今後どう作っていくかというところが重要なので、その点を踏まえて次のことを考えてほしいというのと、やっぱり、まだ、ある意味リテラシー不足の部分もあるので、ここも注意しつつ先に進めていくという御指摘があったと理解しています。ほかに御意見ないようでしたら、次に進めていきたいと思います。
それでは、続いて議題の2に入ります。事務局から資料に基づいて説明をお願いします。
【根津企画官】続いて議題2でございます。オープンフォーラム2025について、というところでございますけれども、資料2に基づいて御説明させていただきます。
先週の11月21日金曜日に、SciREXのオープンフォーラム2025というのを開催させていただきました。有信先生はじめ、委員の何人かにも御登壇・御議論いただいて、どうも誠にありがとうございます。
御覧になってない方もいらっしゃると思いますので、簡単に事務局から様子について御報告させていただきたいと思っています。今、映しております右側にあるのが、以前も内容について御議論いただきましたけれども、実際のプログラムになっております。まず、冒頭、SciREXセンター下田先生からSciREX事業の全体像について御紹介があった後に、各拠点の主に教育を担っていらっしゃる先生方に御登壇いただいて、伊地知先生には、モデレーターとして仕切っていただいて、主に教育拠点でどういうことがあったかというところと、修了生の方に、それぞれオンラインでありますが御登場いただいて、実際に今、自分がどういうフィールドで活躍しているかというところも含めて御紹介いただいたというのが、午前中のプログラムでございました。午後は、最初にNISTEP、また、次に、RISTEXから、それぞれの取組と教訓みたいなところについてお話しいただいた後、パネルの討論として、まさに共進化的なところを研究者側の祐野先生、あと行政官として、昔、SciREXを立ち上げに関わっていた斉藤卓也が行政官代表として登壇して、RISTEX関係者として、黒河先生に御登壇いただいて御議論いただいたというところでございます。次に、東大の坂田一郎先生、坂田先生には事後評価委員会の主査も受けていただいているんですけども、坂田先生から、最新の計算社会科学を基盤とした政策科学の新展開というところで、テクノロジー・インフォマティックスをキーワードに御講演いただいたあと、最後に、林先生、有信先生、赤池総務研究官、文科省の中澤恵太をはじめ登壇いただいて、SciREXの経験と蓄積を未来にどう生かすかというところを御議論いただいたというところになってございます。
3ページ目以降は、まず、先生方の御講演資料からピックアップしてきたところを簡単に御紹介させていただきます。
まず、NISTEPの代表として、富澤先生から御講演いただいた中で、特にNISTEPの情報基盤、データ基盤を作っていくという役割を担っていただいたところでありますけれども、特にその中でNISTEPは、名寄せの辞書を中心に構築いただいたというところでありますが、例えば、資料中にもありますけれども、分散型の整備体制に移行していく、集中的に、どこかの一つの拠点が集中的に作っていくというよりは、これだけAIが出てきたというところもありますので、分散型に移行していくのが現実的なのではないかというお話であるとか、辞書はこれからAIが出てくるから必要ないんじゃないかというお話もあるけれども、富澤先生としては、引き続き、やはりAIの信頼性にも関わってくるので、どこかがきちんと作っている辞書というのは続き必要になるんじゃないかというお話をいただいたというところでございます。
また、4ページ目以降は、RISTEXの活動について、山縣先生から御講演いただいた内容でございます。山縣先生は、特に、RISTEXをやられた中での成功要因と失敗要因というのを分析されて、それを踏まえて、そういう阻害要因をどうやって除いていけばいいかというところを御講演いただきました。例えば、4ページ目のところは成功要因と失敗要因についてどういったところが条件として分かれるかをお話しいただいたり、5ページ目は制度的な条件というところで、障壁の類型を4つに分けていただいて分析いただいたというところです。また、次のページで、政策実装の阻害要因というところで、エビデンスという言葉の多義性とか、まさに先ほどもお話ありましたけれども、研究者と政策担当者で必要としているエビデンスというものがそもそも違うところを、同じ言葉で語ってしまっているところが、やはり結構、阻害要因になっているのではないかというところもお話しいただいたところでございます。
7ページ目以降は坂田先生の御講演資料から、幾つかページを持ってきております。先ほども申し上げたテクノロジー・インフォマティックスというのを、坂田先生が提唱されている概念ということで御紹介いただきました。具体的には、その資料にもありますとおり、計算社会科学の枠組みを活用した上での科学技術のビッグデータとか、それだけでは政策実装になかなか使いにくくて、経済とか社会の変化に関する情報、これ、AIでより入れやすくなったというお話もいただいておりましたけども、また、その制度とか規制の関連情報の3つをミックスさせて、政策の意思決定に生かしていくという概念でお話しされていたのかなと思っています。
8ページ目以降は、坂田先生の具体的な研究成果の御紹介でありました。例えば、この成長トップ100科学領域における日本の存在感というところ、これは、2000年から2024年にかけて、いろんな分野の日本の存在感が低下してきているという御紹介でしたが、実はこれは、科学技術・学術審議会の研究費部会でも資料として使われたという御紹介がございました。
9ページ目でございます。学術研究の応用移行の早期発見というところでありますけれども、国別・分野別に見ると、基礎研究から応用研究に移行していくといったところで、やはり相当程度、応用以降に進むスピードが増してきているという御紹介がありました。特に、中国のスピードが非常に増してきているというところが、我々から見ても非常に興味深い結果だったかなと思ってございます。
10ページ目は、先ほど富澤先生のところにもありました、これからデータ基盤を作っていくに当たって、AIが登場してどういうふうに変わっていくかというところに関連したお話かなと思いますけれども、これは、坂田先生の研究室のところで、世界の論文データベースのOpenAlexと生成AIを活用されて、ほぼ自動的にいろんなサイエンスの動向を分析するためのシステム、学術知識の検索システムを作られたという御紹介でございました。今後はやはり、こういったデータ基盤を作っていくに当たって、生成AIを上手く活用して、データはどんどん増えていく一方で人は増えないので、AIを使っていかに自動化していくかということが重要だという御示唆があったかなと思っています。
最後、11ページ目のところは、有信先生にも御登壇いただいた、パネルディスカッションでの主な御発言を、私が聞いておりまして、主なところをまとめさせていただいたところでございます。
まず、1つ目のポツでは、事業開始当初は、今、政府内で行われているようなEBPMを目指していた、先ほどもお話ありましたけど、何かデータが出されて、そのデータがある意味、行政が妄信してというとちょっと言い過ぎかもしれないですが、それをそのまま正しいと思って政策が作られていくみたいな、ある意味、リニアモデルに近いようなものを事業開始当初、考えていたわけではないんじゃないかと、15年間で環境が変わってきたことを踏まえて、今後どう維持・発展させていくかを考える必要あるんじゃないかというお話があったかと思います。
2点目については、途中からSciREX事業に参画されたという先生からの御発言で、自分が入る前は外から見ていて、コミュニティについてクローズドな印象を受けていたという話がありまして、他の政策分野で、これ、SciREXでも議論したことなのにということを、いまだに議論しているということも散見されるので、SciREXでどういうことをしていきたかというのを対外的にどう打ち出していくかというのが重要だという御示唆がございました。
また、3つ目は、大学の執行部門との近さが、分野の振興であるとか、あるいは結局、政策に使われていくみたいなところで非常に重要だという御示唆、また、4点目については、科学的な価値を多少毀損させたとしても、経営層から見た提言のインパクトをある程度は保っていかないと、結局、学術的に正しいけれども使われないということになってしまって、それはある意味、政策のための科学の目的としては、片方だけしか成功してないということになるので、その前者のみに囚われるというのはよくないんじゃないかという御示唆があったかなと思っています。
下2つは、キャリアパスに関係するようなお話でありますが、上から5つ目のポツについては、事業開始当初はなかったというか、言葉としてはなかった、URAみたいな中間的なポストが重要だという話が、かなりSTI政策の文脈でも出てきたというところ、また、事業開始当初はリボルビングドア、まさに行政官に1回なった後、大学に行って研究して、また戻ってみたいな、そういうキャリアパスも想定されていたはずであるということで、文科省の人事制度も含めてキャリアパスの問題は、まだまだ多分にあるだろうという御示唆ございました。
一番下については、STI政策に関心を持つ人材の幅が広がってきている。これは、午前の教育拠点の、パネルディスカッションでも御議論があったんですけれども、林先生だったかがおっしゃっていたんですが、最近は学生の興味の幅が広くて、自分は学生から教えられることが非常に多いといった御発言を、ある意味、流れとして引いている御発言だったかなと思いますけれども、STI政策に興味を持って、SciREX拠点の門を叩くような人材の幅が非常に広がってきているということがありますので、そういった機能の蓄積を、今後、そういった幅の広さも活用しながらどうやって活用していくかというところが重要ではないかということと、あとは、異なる分野に興味を持って、それに関わっていくという、ある意味、一番大事なことは、今までも学生には伝えられてきたんじゃないか、そういった強みを今後どうやって生かしていくのか、というような御発言があったかなと思っています。
根津からの御説明は以上でございますが、もし、有信先生とか、伊地知先生から補足なりがあれば、ぜひ御発言いただければ幸いです。以上でございます。
【有信主査】多面的な観点からそれぞれ発表がありましたし、皆さんそれぞれ興味のポイントもいろいろ違う観点で発言をされたので、非常によかったと思います。今の根津さんのまとめも大変だったろうなと思うんですけど、よくまとめてくれましたという感じです。
伊地知先生、もし居られて、何かコメントあれば、どうぞよろしくお願いします。
【伊地知委員】今、有信先生がおっしゃったように、いろいろな議論がなされたので、ここからどういうところを受け取られるかというのは、多分、多様かと思います。
私がモデレーターを担当させていただいた、人材育成拠点ということに関連して言うと、まず、一番、ここの最後の段落にあるところ。それから、根津さんもおっしゃっていただいたように、恐らく、当初想定したよりは幅広い人が個々に参画して実施されたということと、大学院課程という特徴があって、実際に、STIということに関係がありながら、そこに関連する、当初は想定していない、例えば、今でいうと、経済安保に近いものであるとか、幾つかいろいろあるかと思いますが、そういったことで入ってこられたというところがあります。そこは逆に、教員側も教わるようなところがあった。それが教授する内容をさらに深めていくとか広げるということへとつながっているということがあったかと思います。
ここのところが、私もまとめたのですけれども、STI、あるいはSTI政策というのが、そもそも、あらゆる他の政策領域と関わるというようなところの特性が表れているのではないかということがあって、もちろん各拠点もそうだからこそ、いろいろなことをつなぐ人材であるとか、あるいは、そもそも科学技術という領域の中であったとしても、学際的であるということがあって、そこを標榜されていたのですけれども、そういうところが結構展開されてきたのではないかなというところでした。
ただ、そこのところが、実はここの、恐らく丸2番目のところとも若干関係すると思いますが、そういった、何か学際的なつなぐ人材に関することが、せっかくここで行われていながら、文科省内の他の事業がこれを全然参照せずに行われるとか、そういう、恐らく文科省内で最後、ここのところが共有されてないというところが、多分、実際に拠点をやっていらっしゃる方々からすると残念かなという思いが出ていたかなというところです。
あとは、恐らくここで言うと1番目ですが、15年で終わったところで雲散霧消してしまうのではないかといった話もあって、そうでないようにするということで、恐らく1件目の令和8年度の事業ということにつながっているのではないかと思うのですが、やはり、せっかくそれぞれ取組をされているとか、関係するところとかがあるので、これをさらに発展させる、単に維持をするというよりは、状況がもう全然、15年前とは変わっているので、そこをどう発展させるかということが課題であり必要だということが、それなりに共有されたのではないかと、私としては受け取ったところです。以上です。
【有信主査】ありがとうございます。
何か新しいことをやろうとすると、また1から議論みたいな話になってしまうのが、本当にどうなっているんでしょうねという感じも、多分あると思うんです。この辺が、例えば、2年ぐらいで行政官が変わるということに対しても、いろいろ問題だという指摘はあったんですけど、これをどう改善していくかということだと思います。
ほかに参加されていなかった方も、よく理解できなかったところとか、御意見とかありましたらどうぞ。
狩野さん、どうぞ。
【狩野委員】ありがとうございます。すいません、当日、結局時間を作りそびれて参加できなかったんですが、内容を伺って、そうかなと思っておりました。
私が印象に残ったことと今回この事業の行く末として問題だったところを合わせて考えると、専門的用語で言うと内的妥当性と外的妥当性のどっちを優先するのかという言い方かなと思います。要は研究をするときに、科学として体系がしっかりしているということを大事にするのが内的妥当性、例えば、実験室の中で実験をすると、理論としてはがっちりするというのは内的な妥当性で、他方で、その結果が現実に使えるか、現実にどれぐらい接続しているかということを外的妥当性と呼ぶことになっているんですが、この政策のための科学というのは、外的妥当性を優先したい世界だと思うんです。
他方で、科学者の世界は内的妥当性ががっちりしていないと、論文として認めてあげたくない人がいっぱいおるところでございまして、これらを、どこでバランスするのか、あるいは、どっちを優先させるのかという問題な感じを受けております。今までは、科学という方に寄せて科学技術政策を、当然と言えば当然なんですけど、考えてきたんで、内的妥当性が高くないと、評価というのか、立ち位置というのかが上がりにくいという言い方だったのを、外的妥当性が高いことをよりよいものだという価値軸を立てないと、この話がうまく回っていかないんじゃないかなということを思い始めました。
関係していえるのは、社会人学生を大学院生として来てくださったときにいつも思うことなんですけど、社会人やってから研究やりたくなる場合というのは、現実の問題がとても認識したから、学生をわざわざやり直しにこられる方が多いわけですよね。そうすると、その質問というのは外的妥当性が高いんですが、それを科学にしようとすると、接続が難しくてどういうすれば内的妥当性が高くなるかということは、常に指導という言い方の仕事をすると困るとこなんですけど、逆にいうと、もし、外的妥当性が高いけど、科学の手法を使って何かできるということを、価値として高いという軸を立てることができれば、社会の課題を科学のほうで多少かじるという方向を、より奨励することができて、例えば、大学院生が増えるという政策とも関係するんじゃないのかなということを思ったりいたしました。
このときに、内的妥当性が高いものの公表する場所というのは、論文ということでたくさん決まっているんですけど、外的妥当性が高いものを公表する場所って、あんまり今のところ、はっきりしたものがないなっていうことを思いました。例えば、そういうものを文科省のどこそこのサイトに行くと論文としてか何か分かりませんけど、載っていますということをして、そこに行くとそういう情報があるということが分かると、さっきからお話があったような、他部門で参照してくれにくいというのが、検索性が悪いことと関係しているとすれば、そういうことで対応できるのかもしれないということを思ったりした次第です。
この前の科学技術学術審議会で言ってみたんですけど、そしたら、どなたか気に入ってもらえたということを聞いたんですが、科学と技術ってそれぞれ何かというと、科学は説明が存在しないことをこだわって説明をしたいという気持ち。技術は方法が見つかってないことを探して方法を見つけたいという気持ちだと言い換えることができると思うんですけど、その範疇においては外的妥当性が高いものも科学だと思うわけで、そうすると、今申し上げたように、外的妥当性が高いということも大事だという価値軸をうまく立てることをしていくと、ようやっとこの世界も浮かばれるし、使われていくんじゃないかなということを思った次第です。長くなってごめんなさい。以上です。
【有信主査】ありがとうございました。
今の話を聞きながら、当日も質問があったんですけど、これだけのことをやりながら、どうして日本の研究力は高まらないのかという質問があって、それを受けながらちらちら考えたんだけど、風が吹けば桶屋が儲かる、話が飛んじゃうんだけど、風が吹けば桶屋が儲かるというときに、風が吹いているのになんで桶屋が儲かってないのって、こういう質問なんですね。風が吹けば桶屋が儲かる間には様々なプロセスがあって、砂ぼこりに目をやられた人たちがあん摩になってとか、この個別のステップが、ある意味サイエンスの部分になって、検討すべき部分になってきて、政策的には多分、風が吹けば必ず桶屋が儲かるみたいな政策になっているんだろうと思うんだけど、我々がやってきたのは、基本的に風が吹けば桶屋が儲かる話をするのではなくて、個別のステップが全体としてどうつながっていくのかということを個別にやっていって、まだそれが十分統合されてないというところで、これもいろんな側面があるので、今、狩野先生がおっしゃったように、幾つかの側面を考えていかなきゃいけないので、まだまだ、この先やらなきゃいけないことは残っているんだろうなと思っています。
ほかに御意見、コメント等ありましたらどうぞ。
【吉本委員】すいません。吉本です。よろしいでしょうか。
【有信主査】はい。どうぞ、吉本先生。
【吉本委員】先ほどの説明、非常に分かりやすく端的に、このフォーラムの中で何が議論されていたか分かりました。この中で、御説明があった富澤先生の、データ基盤をどうするかという話。あと、坂田先生の計量社会科学を基礎としたという辺りの御説明に関連するんですが、今、生成AIが出てきたことによって、NISTEPさんがコツコツとやっていらっしゃったような名寄せは、ほぼ一瞬にできるようになりましたし、もちろん、AIは100%正しいことはやりませんので、最後のチェック、そこは人がやるところだと思いますが、極めて効率よくデータが活用できるようになったということが、この1年ぐらいの大きな変化だと思います。政策のための科学は、データをいかに活用するかというところに尽きると思います。今まで分散していたデータが使えなかったですとか、個別プログラムでも使おうと思っていたデータが集まらなかったですとか、あるいは、データのフォーマットも違う、いろんな問題がありましたけども、それがかなり解決される時代になってきたので、実は、使えるデータが行政官の手元に宝の山のようにたくさん眠っているということになるかと思います。地方自治体にも多くの情報が文書として蓄積されていると思います。こうした情報を活用することで、今課題となっているインフラの老朽化ですとか、地球環境問題とか気候変動とか、対外的にインパクトのある政策を打てる状況になっていると思います。今まで試行錯誤してきたところがあるかと思いますが、少なくとも、データという資源は使えるようになってきたので、ぜひ、富沢先生がおっしゃっていたことですとか、坂田先生がおっしゃっていた辺りを、重点的に取り上げてやっていっていただけると面白いのではないかと思いました。
さっき、若い方がSTI政策に関心を持つには、という話が出ましたが、今の若い方はすごくデータ指向なんです。データを分析して見える化するところに興味を持つ方が少なくありません。データを積極的に活用することで、データ分析に関心があるような若い人材が集まって、より有意義な政策提言につながるかなという感じがしました。
感想ですけども、非常に有意義なパネルディスカッションであったなというところがうかがえましたので、ありがとうございました。
【有信主査】どうもありがとうございました。
小寺さん、どうぞ。
【小寺委員】小寺ですけども、先日、参加できずに申し訳ございません。
私が関心あるのは、6ページ、先ほど示されたスライドの6ページの図のところで言われたことはとっても重要で、それぞれの立場で見ている方向が違う。同じデータを違うように見ているということが非常に重要で、政策の科学、SciREXの中で、これまでも聞いてきましたけども、この3者がどういう見方をして一つのデータを分析して議論していくのか、その過程が非常に重要だと思うんです。そこの中で、決して一つの答えが出なくてもいいんですけども、その議論の中でどういう議論がなされたか、その議論がそれぞれの立場でどういう認識に変わっていったのかというところを、もっと重視したらいいんじゃないかなと思います。
それで、この事業、今年度で終わりということで、最初に紹介された継続の予算というのも考えられていますけども、そこの中で、どういうことでこの方法論、考え方、やり方というのを拡大して、特に、先ほど加納先生、最初に言われましたけど、地方行政の人とかにも展開していく、利用させていくという、そういうところで一つのやり方として定着させていく、日本のこういう科学技術政策というのを、どう進めていくかという基盤になっていけばいいなとは思います。以上です。
【有信主査】どうもありがとうございました。
ほかに御意見ありますでしょうか。
地方行政に、どううまく浸透させていくかという、一つの実例で、地震のデータがどうして地方の行政でうまく利用されないのかという研究もありましたよね、確か。まだまだいろいろ問題は、実際にネットワークをきちんと作っていくという上では、未解決の問題がまだまだ多分あるとは思います。
どうぞ。伊地知さん。
【伊地知委員】2回目で恐縮です。このフォーラムの中でも、実際に修了生の方が、その後、地方自治体に携わっていらっしゃるというお話もあって、役立っていたということもあったのですが、実は、課題として上がってきたのが、幅広い方はいいのですけれども、この分野を引っ張っていく、あるいは将来の教育を担うような研究者とか専門家のところで、特に世界とどうつながるのかということがありました。多分、資料の中でも、世界の中でのネットワークで活躍できるような、この分野の人材をどうするかというところが課題かと思って、そこは、やはり表には出しておいたほうがよろしいかと思ったので、追加で発言させていただきました。
【有信主査】ありがとうございます。
ほかに、追加でも結構ですが、ありませんでしょうか。
【奥和田委員】よろしいでしょうか。
【有信主査】どうぞ。
【奥和田委員】私も他の用事でこれに出られなかったので申し訳ないんですけれども、何人かの方がおっしゃっているように、あるいは、まとめでも出てきたように、EBPMというか、データを出すこと自身が圧倒的に容易になってきたという変化があります。もちろん、そういうことが理解できるということの重要性も増しているんですけれど。その一方で、データが出していることが行動に実際にはつながらないというところに、次の問題が明らかになってきているという状況かなと思います。例えば、研究力が落ちているとか、地方に人が集まらないとか、そういう数字がどんどん出てきているなかで、それが次の行動変容につながるかというと、そこはうまくつながっていなくて、どんどんその状況が加速されていることが、ただ見えるだけ、というそういう状況が明らかになってきている感じがします。これからEBPMの下に政策をどう作りましょうか、どうしたら次の行動変容を促せるのかというところに、ポイントが移ってきているのかなと感じています。
これは、個人的な感想になってしまうんですけど、この歳になると評価などをいろいろと頼まれるんですが、数字で評価できないようなことばかり、我々に評価してくれと頼まれることが増えています。何か、そういう部分が、結局は人間に残るのかなと、今現在は思っているところです。以上です。
【有信主査】どうもありがとうございました。
長岡さん、どうぞ。
【長岡委員】データのことなんですけども、このプログラムの非常に重要な成果は、むしろデータを作ってきたことにあるんじゃないかなと、いろんなプロジェクトでサーベイをしたり、インタビューをしたりして、今まで会えなかったようなデータを集めてきたことがすごく重要で、AIがあって、それが必要なくなるかというと、全くそういうことはなくて、NISTEPの辞書もそうなんですけど、AIは基本的にはデータのコネクションで、結果を出すということで、コネクションをするためには、今はやはり、ある意味で、広い意味で、辞書とかスタンダードがすごく重要で、それがうまくできてこそ、むしろ、AIで非常に成果が上がっているような、例えば、化合物の構造予測とか、これはまさに、化合物データが、すばらしい公的なデータベースが存在していたからです。それから、ソフトウエアの分野でAIがすごく活力を上げているわけですが、いわゆる、これはオープンソースで、非常にたくさんのコーディングが世界で供給されているからですよね。ですから、やっぱりデータのクオリティ、オリジナルのデータ、それから、データをコネクトするデータ、メタデータというか分かりませんが、そういったものが、重要性は、むしろAIで高まってきているということじゃないかなと思います。ですから、AIを使えば、こういうデータ蓄積っていいますかね、データをきちんと、オリジナルのデータを集めていくという価値が下がるかというと、むしろ重要性は高まっていく。ただ、データはもう世界的に利用できるようになったので、リサーチクエスチョンで既に解かれたものをやってもしようがないわけで、そういう意味で、リサーチをグローバルなスケールでやっていくっていいますか、グローバルに何がされていて、グローバルに何が解決されてないかという観点で研究、AIは全て基本的に英語で動いているわけですけども、したがって、ネットワークの形成にしても、今後の、プログラムの検討委員会において、世界とのつながりを常に重視していくことが、すごく重要だと思いました。それが一つ目です。
もう一つは、今後の話ということで、オープンフォーラムのいろいろ議論されておりますけども、今の話とも関係しますが、STI政策でどういったことが課題になっていて、政策課題になっているかをリサーチクエスチョンとして研究者に提示していくということを、共進化プログラムでやってきたわけです。それは、私、今後もぜひやっていただけるといいんじゃないかと、予算は必ずしもなくても、こういう研究、リサーチクエスチョンがあって、これに何らかの形で提案を出してくる、セミナーという形式でも構わないんですけど、文科省の政策推進課のほうでリサーチを、課題を提案して、それに対して研究者が答える拠点の人たちもいいですし、そうでもない。そういったことは、あまり予算もかからないでできる可能性があるので、リサーチクエスチョンの定義というのを、政策推進室のほうで今後もやっていく、つまり、共進化プログラムを走らせる最初の段階、それを今後もされると、拠点のほうも、そういうことを考えて研究プログラムを立てるし、あるいはデータを集める。科研費を取ってやってもいいわけですから、そういったことは、今後の展開の、一つの可能性かなと思っていた次第です。すいません、以上です。
【有信主査】ありがとうございました。
田辺さん、どうぞ。
【田辺委員】すいません。簡単に。
今、長岡委員が言われたデータを作るという観点では、共進化プロジェクトもそうですし、RISTEXの政策プロジェクトもよかったと思うんですが、私は、そのプロジェクトの成功、失敗というのが出てきていますけど、山縣先生の中に、私は、失敗したと言われているものも、実はいろいろ課題がいっぱいあるということが分かって、単に政策に反映しなかったから失敗とかじゃなくて、そこはデータがなぜ集まんなかったのかとか、データをある程度作ったんだけど、どうしても1歩踏み込めないというか、特に日本の大学の中のことというのは、特に、産学連携について調べようと思ったら、それは相手もあって、丸秘ですと言われたり、いろいろ、丸秘の部分はしょうがないんですけども、必ずしも、日本の大学とか科学技術イノベーションシステムのデータ自体がそんなにないという問題もあって、それを、今回のSciREXのプログラムでは、いろいろデータを作ることに貢献したと私は思っています。
もう一つ、プロジェクトとしては、何が成功、失敗かというと、うまくいかなかったものというのは、やっぱりそこに大きな、何か制度的な要因があるとか、そういうのが明らかになったという面でも、私は、簡単に成功、失敗というのは必ずしも反対で、いろいろプロジェクトは大きな成果を上げたのではないか。全然駄目なやつはあるかもしれませんけども、私はそう思っています。以上です。
【有信主査】ありがとうございました。
いろいろな観点で議論、ありがとうございました。時間が大分、押してきてしまいましたけども、議題については取りあえずここまでということで、引き続き、議題3に入りたいと思います。
事務局から説明をよろしくお願いします。
【根津企画官】事務局でございます。
議題3が、SciREX事業の事後評価の実施方法等についてというところでございますが、まず、資料3にございますとおり、SciREX事業が本年度で最終年度ということで、実は、今まで中間評価を5年ごとにやってきておりまして、なので、10年前と5年前に1回ずつ中間評価をやってきておりますが、それの総まとめということで事後評価委員会を9月に立ち上げて、先月に、第1回の事後評価委員会を開催したところでございます。メンバーにつきましては、次のページにありますけれども、東大の坂田先生に主査をお受けいただいて、藤垣先生と七丈先生、立教大学の亀井善太郎先生、亀井先生は、文科省のEBPMアドバイザーというお立場でずっと御指導いただいておりまして、そういった面からも加わっていただきたいということで、この4名の方に委員をお願いしているというところでございます。
資料4に、第1回で議論いただいた事後評価の進め方について取りまとめた資料を写しておりますが、ざっくり言いますと、基本的には文科省が作っておりますSciREXに関する基本方針という文書がありまして、その文書に、人材育成と、研究・基盤、共進化、ネットワーキングという4つの柱で各拠点に活動していただくという方針が決められております。その方針に基づいて、各拠点が中期計画というものを作って、さらに中期計画を年度ごとに落とした年度計画に従って、各拠点に活動いただいているという建て付けになっておりますので、基本的には、基本方針あるいは中期計画にのっとって、各拠点がどういうふうに活用されたかというところを御評価いただくという方針にはなっているんですが、先ほど申し上げた過去の中間評価との大きな違いというのは、前の中間評価、2回は、各拠点にSABC評価というのをつけておりまして、この拠点はA、この拠点はBみたいな形で、評価結果をまとめていたんですけれども、事後評価委員会の議論の中で、中間評価は確かに、ある意味、お尻を叩くじゃないですけども、拠点ごとのそういった評価はつけたかもしれないけども、この自己評価は、どちらかというと事業全体としての教訓といいますか、こういった良いところもあったけど、こういうところはもっとやれればよかったねというところを評価としてまとめていくということをやりたいから、各拠点に評価をつけると、どうしても、そういう課題みたいなところはプレゼンしにくいだろうという御議論をいただきまして、各拠点にSABC評価みたいのを付けずに、各拠点からの自己評価をまとめていただく際にも積極的に、こういうところがうまくいったけれども、こういったところはうまくいかなかったというところと、その課題あるいは原因分析みたいなところ、あとは、事業の直接の効果ではなくても、ブローダーインパクトのような形で、この事業があったからこそ他にできたことみたいなところも、積極的に自己評価書に入れてほしいという御議論をいただいてございます。そういった内容は、今、各拠点にも個別に御説明をしてお伝えをしておりまして、そういったところを踏まえて2月以降ヒアリングをしていくということで、第1回、御議論いただいたところでございます。
今後の流れでありますけれども、資料5としてお配りしてありますが、先ほど申し上げたとおり、10月に第1回の事後評価委員会を開催して、評価に関する方針を決定いただいてございます。来年の2月から3月に各拠点のヒアリングを行うことを予定しているんですが、実は、ここで、アドバイザリー委員会の活動状況についても、有信先生から御発表いただくことを予定しております。これは、最後の非公開議題の中で、別途、御議論、御相談させていただきたいということで、有信先生とも御相談しておりますけれども、そういったところも踏まえて、4月以降、大体来年の夏前までには評価書として固めていきたいということで、事後評価委員会の方ともお話をしているというところでございます。取りあえず事務局のほうからの説明は以上でございますが、また別途、実際、有信先生からどう御発表いただくかというところについては、後ろの議題で御議論いただければと思ってございます。以上でございます。
【有信主査】ありがとうございました。
ただいまの説明に関して、御質問等ありましたらどうぞ。
【奥和田委員】よろしいでしょうか。
【有信主査】どうぞ。
【奥和田委員】これは、私だけではなく、皆さんもそうお考えではないかと思いますけれども、拠点を一つ一つ評価するという際に、今までやってきたことがどうだったかもあるんですが、今後の拠点の教育体制にこれらが継続されるのか、どう生かされるのか、という点を重視していただければと思います。拠点の中に組み込まれて、これからもこういう人材を輩出していきましょう、という機運になっている、そういうシステムが生まれている、あるいは、何か具体的なものが生まれている、というようなことがあれば、高く評価してあげていただきたいなと、私としては希望いたします。
【有信主査】どうもありがとうございました。
事後評価委員会を、こういう方向でやりますというんで、今さらひっくり返すわけにもいかなくて、評価の中で何らかの格好で、今のような観点が反映されるよう、必要な努力をしていくということだろうと思います。
ほかに質問等ありましたらどうぞ。
【根津企画官】すいません。事務局でございますが、今の点で説明が漏れておりましたが、資料4の基本方針の中で、自立化以降、そういった教育拠点も含めてどういう体制かというところはきちんと見ていくというところは盛り込まれておりますので、今の点は、しっかり事後評価委員会としても見ていっていただくということになろうかと思います。すいません、以上でございます。
【有信主査】ありがとうございました。
そうですね。
ほかにコメント等ありましたらどうぞ。
狩野さん、どうぞ。
【狩野委員】ありがとうございます。
先ほど、長岡先生がおっしゃったこと関係すると、問いの形が、現実に即している問いから研究できる問いに変換するということができないと、うまくいかないということだと思うんです。いきなり現場がリサーチクエスチョンを出せるというわけじゃないから、共進化かなと思っておりまして、そうすると、クリニカルというんでしょうか、現場クエスチョンをどうやってリサーチクエスチョンに持っていくことができたのか、みたいな視点も、この中に本当は入ってないといけないなと思って拝見しておりました。今の文言を変えるわけにもいかないんだと思いますので、研究・基盤だか共進化だかネットワークだか、この辺りにそういうことができたかという視点が入るといいのかなと思って、拝見したところです。以上です。
【有信主査】ありがとうございました。
確かに。
ほかにコメント等ありましたらどうぞ。
【根津企画官】また、事務局でございますが。
【有信主査】事務局、どうぞ。
【根津企画官】すいません。狩野先生、御指摘ありがとうございます。これも説明、漏れておりましたが、共進化実現プログラムについては、多分に文科省側の取組も含まれることから、各拠点からのプレゼンに加えて、我々のほうでプログラム評価を、その素案を作った上で、事後評価委員会に別途御報告をしようかなということも考えておりまして、今の御指摘については、我々のほうで考えるプログラム評価をする際に、ぜひ参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
【狩野委員】ありがとうございます。
【有信主査】そういうチャンスがあるんだと、よかったです。
【狩野委員】ちょっとだけ追加でお願いするとすれば、もし、SciREX的な活動を、今後、科研費みたいな格好で支援すると、それを評価するときに、科学者側だけでやると、さっき申し上げた外的妥当性の評価がうまくいかなくなる気がするので、うまく外的な妥当性が分かる人、つまり、現場のほうも、それを選ぶときに入れるような、何か仕組みを別枠として考えていかないといけないんじゃないかなということも、少し思いながら聞いておりましたので、一応、口に出しておきます。以上です。
【有信主査】ありがとうございます。
もともと、そういうやり方でテーマを検討するということもやっていたような記憶があるんだけど、それが何となく、段々洗練されてきて今のような形になっているんだけど、狩野先生の御指摘は、まさしく現場サイドのプリミティブな状況で、もう少しきちんと、双方議論を詰めましょうということだと思います。
ありがとうございました。ほかに特にないようでしたら、次の議題に入りたいと思います。
今度は、議題の4に入りたいと思いますが、事務局から、資料に基づいて説明をお願いいたします。
【根津企画官】事務局でございます。続きまして、共進化実現プログラムの今後の進め方についてということで、資料6に基づいて御説明させていただきます。
まず、1ページ目でございます。共進化実現プログラムの今後のスケジュールでございますけれども、共進化実現プログラムもとうとう大詰めを迎えておりまして、来年度1月以降、最終成果報告会を予定しております。こちらについては、先ほど申し上げた事後評価の中で、共進化実現プログラムのプログラム評価、すみません、プログラムという言葉がたくさん出てきて恐縮でございますけれども、それをまとめるに当たっても非常に重要な要素かなと思っておりまして、ぜひ委員の皆様からも、そういった視点でいろいろコメントをいただければと思ってございます。
2ページ目でございます。これは、最終成果報告会のスケジュールでございます。今、先生方の御予定を最終調整中でございまして、順番等はずれるかもしれないですが、こういった形で、1月15日と20日それぞれ2日間かけて実施したいと思ってございます。また、幅広い方にぜひ見ていただきたいと思っておりますので、一般に公開する形でウェビナーにはなりますけれども、ぜひ広報も含めてしっかりやっていきたいと思っております。
3ページ目でございますけれども、これは先ほど申し上げた共進化実現プログラムの自己評価の中にある、プログラム評価の進め方の、現在我々が考えている案ということになってございます。第1フェーズ、第2フェーズは、今までの中間評価でも見てきたところではありますけれども、基本的には既存の資料に加えまして、フォローアップのアンケートを実施して、最終成果報告会の内容も踏まえてまとめていきたいと思ってございます。また、次回のアドバイザリー委員会、3月18日に予定させていただいておりますが、その場でも案を作ったものをお示しして御意見をいただいた上で、事後評価委員会に報告するという形を考えてございます。
4ページ目でございますけれども、最終成果報告会の中で、先ほど申し上げたとおり、事後評価委員会に報告するという点も見据えて、ぜひこの辺りを踏まえてコメントいただければというところを、今お示ししております。特に、定性的で成果報告書に既存の資料にはなかなか現れにくい点をあぶり出していただけると、我々としては非常にありがたいなと思っておりまして、特に、今お示ししている表中の、オレンジの色で塗っている観点、例えば、上で書いてあります、今まで御意見いただいたようなことを、似たようなことを書いてございますけれども、政策の意思決定に貢献した、あるいは行政機関の考え方を変えたみたいな言葉も、こういった点に入るかなと思いますが、そういったところを創出できてきたかどうかとか、あとは課題解決のためのアプローチ・目標設定が適切だったか、これは、まさに先ほど狩野先生がおっしゃった、きちんと行政側の課題を研究課題として言語化ができたかみたいなところが、似たような視点になっているかなと思いますけれども、そういった点。あるいは社会情勢等の変化、あるいは我々行政側の、例えば、政権が変わったとか、そういった状況変化も踏まえながら、必要に応じて研究内容を変更できたかどうかとか、研究の進捗を踏まえて関係者に働きかけができていたかみたいなところ、こういったところをぜひ、最終成果報告会のやり取りの中であぶり出していただけないかなと思ってございます。
5ページ目以降は参考資料でございます。このプログラム一覧等に基づいて、先ほどお示ししたスケジュールで進めていきたいと思ってございます。以降は参考資料でございますので、御参考いただければと思いますけれども、そういった形で、ぜひ最終成果報告会、事後評価につなげるような形で実施していきたいと思ってございますので、いろいろと御助言をいただければ幸いでございます。事務局から以上でございます。
【有信主査】ただいまの説明に関して、御意見、御質問等ありましたら、どうぞよろしくお願いします。
全体のスケジュールと具体的な最終評価のポイントで、今までも議論してきた事の内容が織り込まれているので。
田辺さん、どうぞ。
【田辺委員】すいません、この評価の視点、評価の視点というんですか。そこのところの赤で書かれていたところの中として、この共進化実現プログラムを実施する中で、行政サイドで、いわゆる行政、こういう政策課題を、このプログラムを通して感じたことというんですかね。プログラムはちょっと限定、特定の政策課題を研究するわけですけども、それをやることによって、それを改善しようとするところで、新しい政策のアイデアが出てきたかとか、これを通じて今後どういうことに取り組めばいいのかということが見えてきたかとかそういう、何というんですかね。一番上の専門分野に対する新しい視点が、これ行政の人が、これはどちらかというと研究サイドですけども、行政サイドの人にとって、このプログラムを、実際これをやることを通して、こういう政策をやればいいなとか、そういうのが具体的に、何かいろいろ得られたかとか、つまり、自分の能力が高まるとかだけじゃなくて、それはどこかに入っていますかというのは、ちょっと確認なんですけど。
【有信主査】次のステップに向けてということですよね。
【田辺委員】そうですね。まさに政策形成をこれからやっていくときの、そこに対する問題意識を深めることができたとか、あるいは具体的にこういう政策をやろうと気づいたとか、つまり、具体的に政策に結びついたかどうかじゃなくて、自分としてそういうことに、今後こういうことをやりたいと思ったかどうかというのも、非常に私は重要じゃないかと思います。以上です。
【有信主査】ありがとうございました。
伊地知先生、どうぞ。
【伊地知委員】ありがとうございます。
今、田辺先生がおっしゃったことにエコーする形で。これを拝見したときに、RISTEXの、もしかしたら共進化枠のものとかを参考にされたのかと思いました。ただ、RISTEXの共進化枠と違うのは、共進化実現プログラムは、研究者の方と対になっているカウンターパートになっている行政の部署の方が一緒に行っているというところはかなり強いので、実際の政策課題のほうにどのような変化を及ぼし得るのか、そういったところも、ぜひ明示的に見るべき観点に含めていただくとよろしいかと思います。恐らく丸1のところかと思います。
【有信主査】ありがとうございます。
田辺さんと共通の御意見だったと思いますが、この辺は、事務局サイドで少し検討して、今のような要素を評価の視点として明示的に言った方がいいだろうということだと思います。
ほかに、よろしいですか。
それじゃあ、事務局サイドとしては、今のような御意見を入れて、少し評価の視点のところで、次の政策に向けての課題、問題、そういうものが明確になってきたことを示すような評価の視点に書き直して、ここに入れてもらえばいいかと思います。よろしくお願いします。
【根津企画官】承知いたしました。
【有信主査】それでは、引き続いて議事の5に入りたいと思いますが、ここからは非公開の議題となりますので、事務局は傍聴者に退出を促すよう、よろしくお願いします。
【根津企画官】それでは、これから非公開議題になりますので、傍聴者の皆様は、こちらで御退出をいただければと思います。
( 傍聴者退室 )
<【議題5,6】非公開議題>
「事後評価委員会説明資料(案)について」「その他」について意見交換を行った。
【有信主査】 それでは、これで第24回の科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」のアドバイザリー委員会を終了します。本日は、御多用中のところを御出席いただきまして、ありがとうございました。どうぞ御退席ください。
―― 了 ――
科学技術・学術政策局研究開発戦略課