令和7年7月29日(火曜日)17時~19時
オンラインにて開催
有信主査、伊地知委員、奥和田委員、狩野委員、小寺委員、小林委員、田辺委員、長岡委員、吉本委員
石川研究開発戦略課長、根津研究開発戦略課企画官
【有信主査】それでは、ただいまより、第23回科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」のアドバイザリー委員会を開催させていただきます。
委員の皆様方におかれましては、御多忙中のところを御出席いただき、誠にありがとうございます。
それでは、開会に当たって、文部科学省科学技術・学術政策局研究開発戦略課の石川課長より、挨拶をいただきたいと思います。
石川課長、よろしくお願いします。
【石川課長】4月に研究開発戦略課長に着任しました、石川でございます。これまであまりSciREX事業に関わってこなかったところはありますけれども、この3か月で、いろいろお話を聞きながら、勉強させていただいております。本日もいろいろ、共進化実現プログラムの取組なども拝聴させていただいて、この事業を今後どうしていくか、一緒に考えていければと思っております。今日は、どうぞよろしくお願いいたします。
【有信主査】どうもありがとうございました。
それでは、本日の委員会につきましてですけども、御発言のとき以外はマイクをミュートにしていただけると助かります。よろしくお願いします。
それから、これは御承認いただきたい事項ですが、議題(3)以降については調整中の内容を含むために非公開議題とさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、議題(3)以降は非公開ということで進めさせていただければと思います。傍聴者の皆様方は、議題(2)の終了後に事務局のアナウンスによって御退室いただければと思いますので、よろしくお願いします。
それから、議題(1)(2)の内容につきましては、委員会終了後に、委員の皆様に確認の上、議事録を公開します。
ここまでの説明で、疑問点等ありましたら遠慮なくお聞きいただければと思います。
それでは、議題(1)に入りたいと思います。事務局から、資料に基づいて、説明をお願いします。
【根津企画官】事務局でございます。資料1の説明に先立ちまして、委員の御出欠だけ、御紹介させていただきます。田辺委員からは、17時40分頃に退出されると御連絡いただいております。小寺委員からは、17時15分頃から参加されると御連絡いただいてございます。
配付資料等でもし不足等ございましたら、事務局まで申しつけいただければと思います。
資料1でございますけれども、第3期中期計画に基づいて、SciREX事業の各拠点と、RISTEX、NISTEPに活動いただいているところでございますが、令和7年度になって初めてのアドバイザリー委員会ですので、令和6年度の実績について御紹介させていただきます。
第3期中期計画フォローアップの全体版については参考資料1としてお配りしてございますけれども、内容が大部ですので抜粋・要約版を事務局のほうで作りまして、資料1の抜粋版に基づいて御説明をさせていただきます。
まず、1ポツ、SciREXセンターでございます。(1)の令和6年度の活動概要につきまして、まず、マル1の人材育成でございますが、こちらは、文科省と共催で行政官研修を行っていただきまして、行政官等16名が修了したということです。また、マル3の共進化でございますけれども、SciREX事業及び関係者を文科省内に紹介・周知するブラウンバッグセミナーというセミナーをランチタイムに4回開催いただいております。マル4のネットワーキングにつきましては、SciREXセンターや各拠点の御協力をいただきながらサマーキャンプを開催しているほか、SciREX事業に関わった関係者のフォローアップ調査をSciREXセンターで行っていただいております。また、SciREXセミナーを3回開催いただいたところでございます。
(2)の事業終了後を見据えた計画に対する進捗状況でございますけれども、事業終了後も、成果のアーカイブ化の円滑な実施等を念頭に、編集整理を進めていただいたということでございます。
続きまして、2ポツ目、GiSTでございます。(1)の令和6年度活動概要でございますけれども、まず、人材育成のところは、博士、修士課程ともに、計画以上の受入・受講・修了者数になったということでございます。特に修了者数につきましては、博士が3名、修士が9名、計画上はそれぞれ、1~2名、3~5名というところでございましたが、それを上回る修了者数になっているということでございます。共進化プロジェクトにつきましては、1件、文科省の担当課と協力しながら実施していただいているほか、ネットワーキングについては、GiSTのセミナー等を精力的に開催いただいてございます。
(2)の事業終了後を見据えた計画に対する進捗状況でございますけれども、令和6年度に、履修証明プログラム、「科学技術イノベーション政策・経営人材養成短期プログラム」を開講いただいていまして、本プログラムについては、厚労省の特定一般教育訓練給付制度の対象講座に指定されております。この制度については、令和6年度においては8名が利用されたということです。また、2年生修士課程については、同じく厚労省が実施する専門実践教育訓練給付制度の対象講座に指定されております。こちらも令和6年度においては2名が本制度を利用いただいておりまして、受講者の安定的な確保につながることが期待できるということでございます。
続きまして、3ポツ、STIGでございます。令和6年度活動概要でございますが、目標はおおむね達成できたと、御報告いただいてございます。まず、マル1の人材育成でございますが、継続して部局間横断教育プログラムを実施されているほか、10月にSTIGの同窓会を開催された際には、博士研究発表会を同じく開催されたということでございます。マル2の研究・基盤につきましては、科技人材政策に関してNISTEPとの共同研究を行って、日本の大学院における博士課程教育に関する実証分析を実施されていたりとか、あとは、欧州の複数大学との共同研究による、欧州における科学技術人材育成に関する実証分析を継続実施していただいております。マル3の共進化実現プロジェクトには、3件関わっていただいてございます。また、マル4のネットワーキングにつきましては、実務家を招いた政策プラットフォームセミナー(PoPセミナー)を19回、国際シンポジウムを3回開催いただいたほか、OBOG会と博士研究発表会を開催いただいてございます。
(2)事業終了後を見据えた計画に対する進捗状況でございますが、こちらの「科学技術イノベーション政策の科学」は東京大学の学部・部局横断型プログラムとして公式に制度的に位置づけられているということから、次年度以降も学内における体制を維持する見込みであるということでございます。また、基幹となる教員2名も学内の承継教員として確保いただいてございます。支援終了後の資金調達には、安定的な事業運営のために寄付講座等の強化に努めるというふうに御報告いただいてございます。
続きまして、4ポツ、IMPPでございますが、まず、令和6年度も例年どおり優秀な学生を育成・輩出しているということで、御連絡いただいてございます。また、マル2の研究・基盤につきましては、令和6年度の修了生7名が論文を2本ずつ執筆して、修了審査を経て修了したと御報告もいただいてございます。マル3の共進化については、人社関係の研究プログラムについて、1件実施していただいております。マル4のネットワーキングについては、IMPPのOB会的位置づけである「IMPPフレンズ」の総会と親睦会といったような取組を行っていただいております。
(2)事業終了を見据えた計画に対する進捗状況でございますけれども、IMPPの設置科目につきましては一橋大学の大学院経営管理研究科研究者養成コースの正式科目として認められているということで、事業終了後も講義提供の継続は可能だということでございます。現在、学内の学位プログラムとの連携/統合を検討されていまして、具体的には一橋大学大学院経営管理研究科の博士課程との連携を模索されているということでございます。
5ポツのSTiPS、大阪大学と京都大学の取組でございますが、こちらもほぼ計画どおりの活動を実施しているというふうに、御報告いただいてございます。マル1の人材育成につきましては、大阪大学では三つの教育プログラムを実施されていて、京都大学では二つの教育プログラムを実施されているということでございまして、合わせて28名の修了者を出していただいてございます。また、共進化につきましては、二つのプログラムに関係していただいてございます。マル4のネットワーキングにつきましては、研究会を8回開催いただいたりとか、実務者を招聘した研究会も5回開催いただいているほか、国際連携活動としまして、欧米諸国の大学が参加する公益技術大学間ネットワークに引き続き御参加いただいてございます。また、その他特記事項としまして、阪大と京大の参画教員で構成されるプログラム推進委員会を3回開催いただいております。
(2)事業終了後を見据えた計画に対する進捗状況でございますけれども、大阪大学につきましては、大阪大学の第4期中期目標・中期計画に基づきまして、「学際融合・社会連携を指向した双翼型大学院教育システム(Double Wing Academic Architecture:DWAA)」を中核とする取組を推進していただいてございますが、こちらにつきましては、ELSIセンターとの連携強化によりまして、大阪大学の運営費交付金による予算への内製化を徐々に進展させているということでございます。また、京都大学におきましては、京都大学の大学院教育支援機構と連携してプログラムの自走化を目指すこととしているということで、内部の調整をより加速させていくというところで、御報告いただいてございます。
6ポツの九州大学のCSTIPSの令和6年度の活動概要でございますけれども、人材育成につきましては、履修証明プログラム「STI政策人材育成プログラム」の修了者数として、5名輩出いただいてございます。また、「共進化実現プログラム」にも、1件関わって頂いてございます。マル3の共進化につきましては、北九州市、佐賀市をはじめとする五つの基礎自治体の協力も得て30名の受講者を含む取組を開講していただいて、自治体の提起する課題を解決ための政策立案に取り組んでいただいてございます。マル4のネットワーキングにつきましては、「STI政策人材育成プログラム・アラムナイ・ネットワーク」の構築を進めていただいているということでございます。その他の特記事項としまして、福岡県企画・地域振興部調査統計課との共同研究を再開されたということです。
(2)の事業終了後を見据えた計画に対する進捗状況でございますが、補助事業終了後は、CSTIPSにおける専任教員及び専任事務スタッフの継続的な雇用が困難となる見通しであるということでございますけれども、学内の他組織であります「未来共創リーダー育成プログラム」と連携しまして、未来社会変革人材育成教育研究推進センターの新設を中核とする総合知の教育拠点整備構想を策定し、概算要求に提出いただいているということでございます。さらに、将来的な予算獲得を見据えてGRIPSとの間で単位相互認定科目の拡充を図るなどの取組を進めていただいているほか、地域政策デザインスクールにつきましては、学内の協議を経て、令和7年度から事務局機能を九州大学オープン・イノベーション・プラットフォームに移管されているということでございます。
続きまして、7ポツ、RISTEXでございます。RISTEXにつきましては、昨年度も御報告いたしましたとおり、公募については令和4年度で終了しているということでございますけれども、採択中の研究課題についてのマネジメントを中心に行っていただいているほか、終了プロジェクトの終了評価を行ったということです。
続きまして、8ポツ、NISTEPでございます。NISTEPは、既に自走化していただいており、NISTEPの予算として自らSciREXに関する取組を行っていただいているということでございますけれども、大学・公的機関名の辞書の更新・公開を行っていただいているほか、企業名の辞書の最新化を行うなど、適宜、データ基盤の整備に関する取組を進めていただいているところでございます。
大変駆け足で恐縮ですが、第3期中期計画フォローアップの御報告は、以上でございます。よろしくお願いいたします。
【有信主査】どうもありがとうございました。
ただいまの説明に関して議論をお願いしたいと思いますが、御質問、御意見、コメント等ありましたら、どなたからでも結構ですので、よろしくお願いします。それでは、狩野委員、よろしくお願いします。
【狩野委員】文部科学省の今の御視点から見て、どういうところをさらに強化するといいと思っているのか教えていただければと思いました。
【根津企画官】文科省としましては、例えば、今、私が御説明した中でも、各拠点のアルムナイといいますか、関係される方々のネットワークを拠点ごとに整備いただくという取組は進めていただいているところですが、それをより一歩進めまして、サマーキャンプのような拠点を超えた交流を、アルムナイに広げることが、よりネットワークを広げていくという意味では重要と思っております。拠点の自走化というところでございますけれども、各拠点の御事情で濃淡はあるものの、引き続き、自走化等の取組については、学内の御調整もぜひ進めていただければというふうに思ってございます。
あと、各拠点に進めていただいております「共進化実現プロジェクト」は、第Ⅲフェーズが今年度で終了しますが、来年度以降、引き続き文科省の行政官と先生方の交流を継続する仕組みについては、文科省主体で考えていきたいと思ってございます。
【狩野委員】特に資金を配分する省庁は共進化のようなリテラシーを身に着けてもらえると嬉しいのですが、こういった動きは他省庁にあるのでしょうか。
【根津企画官】例えば、ある省からGRIPSに関して我々に問合せがあって、勉強したいからというので御紹介したこともあったので、拠点として認知度が上がってくると自然とそういうお声がけがあるのかなと感じております。
あと、自然発生的にといいますか、最近、経産省がイノベーション小委員会というところでまとめた、「科学とビジネスの近接化」について、大学を強化することで日本の産業競争力につなげていくという、一つのネタとしてスター・サイエンティストに着目して政策をつくっていくということを打ち出しているんですけれども、ただ、それはもともと、今、早稲田にいらっしゃる牧先生が委員として参画されて言われたことなんですが牧先生的には、これはもともとSciREXで自分が考えたネタであってということもおっしゃっていたので、そういう意味で、SciREXで育成された研究者の方とかのアイデアが他省に使われていっているというのがようやく出てきているんじゃないかなと思っています。当然、例の感染症の事例とかは非常に有名でありますけれども、そういったところがより広がっていくといいかなと思っていますし、自然発生的を待つのではなくて、文科省が仲立して積極的に仕掛けていくみたいなこともできればというふうに思っております。
【狩野委員】ありがとうございました。根津さん、有信先生、お先しまして、ありがとうございました。以上です。
【有信主査】どうもありがとうございました。
ほかに、御質問、御意見等ありますか。
特になければ、今後の継続に関しては、拠点ごとにそれぞれ、状況が異なると思いますが、文科省として何か考えていることはありますか。
【根津企画官】各拠点の御相談には適宜乗りながら、我々としてもサポートできることはしていきたいと思っております。学内の他組織と連携していただいて何か考えていただくみたいなこともあったりしましたし、あと、九州大学とGRIPSとの間で単位の相互認定の取組を進めるといったことは我々としても非常に喜ばしいことですし、それによって結果的に学内の説得力を増すということであれば、文科省としても、そういう方向性は非常にいいということは申し上げていきたいし、文科省からそう言われているというふうにおっしゃっていただいて結構ですみたいなことを言ったりもしているんですが、そういったことを通じて、より後押ししていくようなことはやっていきたいなと思ってございます。
【有信主査】どうもありがとうございました。
それでは、続いて、議題(2)に移りたいと思います。事務局から、資料に基づいて、説明をお願いします。
【根津企画官】ありがとうございます。引き続き、文科省の根津でございます。
資料2としまして、「科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」推進事業共進化実現プログラム(第Ⅲフェーズ)について」ということで、資料をまとめてございます。
1ページおめくりいただきまして、御存じのとおり、今、第Ⅲフェーズということで、この7つの課題を動かしてございます。第Ⅲフェーズにおきましても、最終年度ということで、各委員にも御協力いただきながら、5月から6月にかけて各プロジェクトと先生方の意見交換会を実施させていただいたところでございます。参加者につきましては、資料にありますとおり、研究者、行政担当者、アドバイザリー委員、我々文科省職員という構成でやらせていただいてございます。
3ページ目に、意見交換会において出た主な意見をまとめてございます。まず、一番上のポツでございますが、研究成果を政策に生かすには、具体的なケースに閉じるだけではなくて、研究者と行政官が協働して一般的・抽象的な結論にまで昇華させていけるとよいという御意見を幾つかの意見交換会でいただいたところです。
二つ目でございますが、これはちょっと個別の話にはなるかと思いますけれども、AIや大規模データ分析の結果の評価については表現を丁寧にしたほうがいいんじゃないかというふうなコメントもありました。
三つ目でございますが、一つ目のプロジェクト内に複数のテーマがある場合、そのプロジェクト全体を通して新たな課題や事業構想が出てくるという展開、複数のテーマでばらばらと解を出していくというだけではなくて、複数のテーマを一つのプロジェクトでやっているからこそ、全体を通じて新たな展開が出てくるとよいというコメントもいただいてございます。
また、四つ目のポツは、共進化では重要だよねという話をいただいたところでございまして、結局どういうふうにリサーチクエスチョンが変わったかというところでございます。
最後のポツとしまして、コミュニケーションを経て、お互いどう意識が変わったかというところは、共進化の一番重要な点でございますので、この辺りは、最終成果報告会を今年度の最後にまたやらせていただこうと思ってございますが、そういったところを見据えながら、より進化させていくということを記載させていただいているところでございます。
次のページでございます。第Ⅲフェーズの今後のスケジュールをまとめた資料でございますけれども、先ほど申し上げたとおり、今年度(R7年度)の意見交換会を5月から6月までやらせていただきまして、最終成果報告会を12月から2月の間のどこかでやらせていただきたいというふうに思ってございます。意見交換会につきましては、非公開で、ある意味、限られた関係者だけで行ったところでございますけれども、最終成果報告会につきましては、オープンな場で成果を報告いただきながら、ある意味、皆さんで意見交換をするみたいな形でできればというふうに思ってございます。こちらは、また改めて御案内をさせていただければと思ってございます。
また、今、文科省のほうで、SciREX事業が15年間続いてきたということで、今年度の後半から事業全体の事後評価も実施することを検討してございます。こちらは、別途、事後評価のための有識者会議を設置するという方向で検討を進めておりますが、この「共進化実現プログラム」につきましてもSciREX事業の中では非常に重要な取組の一つということで、事後評価の目玉の一つになると思っております。最終的な事後評価書を取りまとめる時期は来年度の6月ぐらいを考えておりますが、事後評価の議論自体は11月頃から開始する方向で考えてございまして、最終成果報告会に向けた動きとか、最終成果報告会における議論も、この事後評価の中に取り入れていきたい思ってございます。
5ページ目は、いつもお見せしているフォローアップの観点でございます。こちらも事後評価をしていくに当たって参考になる点と思ってございますけれども、そういった意味で、今日、ぜひ御議論いただきたい、コメントをいただければというふうに思ってございますのが、次のページに行っていただきまして、まず、一つ目の丸は、最終成果報告会までまだ数か月ありますので、それまでに、各プログラム、あるいは文科省として、必要な取組としてどういうことが考えられるかということでございます。二つ目の丸としては、複数のプロジェクトに共通することとして、どういうふうな特徴があるかということであるとか、三つ目の丸は第Ⅲフェーズ全体として議論すべきことがもしあればということでございます。今回、新しく加えた視点としましては、一番下の丸でございますけれども、先ほど申し上げたとおり、我々、これから事後評価の制度設計をして、事後評価委員になる先生方とも議論をしながら、どういうふうに評価していくかということを考えていきたいと思っておりますが、特に、アドバイザリー委員会の委員として、長年、SciREX事業あるいは「共進化実現プログラム」を御覧になっていただいていた先生方から、あくまで御参考にさせていただければということでございますけれども、どういった観点で、評価の軸というか、そういったことを考えていけばいいのかということについての御示唆がもしあれば、ぜひ、今日、コメントをいただけるとありがたいと思ってございます。
次ページ目以降は、いつもつけている参考資料をつけさせていただいてございますので、お時間があるときに御覧いただければと思います。各プロジェクトの成果報告会で御発表いただいた概要資料もつけておりますので、御自身が意見交換会に参加されていない課題についても、この機会に、もしよろしければ御覧いただければというふうに思ってございます。
根津からの説明は、以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【有信主査】どうもありがとうございました。
今の説明に関して、御質問、御意見、コメント等ありましたら、どなたからでも、よろしくお願いします。
【田辺委員】田辺ですが、よろしいですか。
【有信主査】どうぞ。
【田辺委員】共進化実現プログラムについては非常に有意義だと思っています。研究者側と行政側がお互いに成長するということも非常に有意義ですけども、特に科学技術・イノベーション政策に直接関係する分野、例えば、大学の在り方や、産業界との関係、産学連携といった、データがなくて1研究者だけではなかなか取り組みづらいテーマに、行政と研究者が一緒になって取り組むことで、データも集めやすくなり、エビデンスを分析した結果という意味での一次データ、二次データが得やすくなるのがこの共進化プログラムではないかということなんですね。そのデータというのは、短期的な成果にもつながるかもしれませんけども、それよりも、政策課題をもっと深く考えるとか、それを基に政策を展開するというか、考察するというか、そういうのに非常に役立つと思います。さっきのコメントにもありましたが、より普遍的とか、より一般的になるためにもデータというのは非常に重要で、共進化プログラムだからこそ、新しいエビデンスとしてのデータが集まっているのではないかというふうに思っています。以上です。
【有信主査】ありがとうございました。実際にデータの問題は結構いろいろ難しいところはあると思いますけども、今のように、データそのものが共有され、さらに新しい使われ方が出てくるというふうに回り出すといいと思います。小寺委員、よろしくお願いします。
【小寺委員】私も最初からずっとこのプロジェクトを見てきましたが、最初の頃はどっちへ行くんだろうと思って見てたんですけども、ずっと進んでいく過程で議論されて、行政側も、研究者も、物の見方が変わったんじゃないかと思うんですね。行政側も、データの使い方とか、データをどうやって客観的に見ていくか、それで政策をつくるかという考え方が生まれてきて、そういうことを経験した人がいろんな手法を使って次の政策を立てるということで、どんどん人も替わりながら、また、トレーニングされた人たちが次のところへ展開されたんだと思いますけども、研究者側も、そういう人たちと議論する中で、データの見方、政策に対する意見の出し方も変わったと思うんですね。どういうふうに変わったのかというのを、経験した人たちの感想なり、物の考え方の変化みたいな形で可視化できるようにきちんとその人たちのデータを抽出するということが、これまでのプロジェクトの成果であり、また、今後どういうふうに展開するかというのを示唆するものだと思います。ですから、そういうところが見えるような結果の抽出というのが望まれるのではないかと思います。以上です。
【有信主査】ありがとうございました。確かに、次のステップに進むために、今言ったようなことで具体的な総括を少しやるべきだろうという御意見だったように思います。
ほかに、どなたからでもどうぞ。伊地知委員、どうぞ。
【伊地知委員】2点ありまして、1点目は、今、田辺委員、小寺委員がおっしゃったことにつながることですが、論点の4点目が事後評価を見据えた観点での共進化プログラムについての示唆というところになっていて、その事後評価が、どういう体制とか、どういう視点で行われるのかによるかと思うのですけれども、でも、そこはまだペンディングなので、これからなのでしょう。この共進化プログラムで言うと、プロジェクトの実施者側だけでなく、特に政策科学推進室もいろいろ変わられてきた中、あるいは、第Ⅲフェーズになる頃、フェーズが変わる中でもいろいろ変わってきているところなので、そこのところもきちんと整理をしておいていただくとよろしいのではないかというように思います。これが1点目になります。
2点目は、話が飛んでしまって恐縮ですけれども、1点目が最終成果報告会ということで、先ほど御案内があったところで言うと、これはオープンにしますということでした。そうすると、今回の第Ⅲフェーズ、少なくとも私が伺っているようなことからすると、政策課題は得られたのだけれども、研究者側がそれなりに咀嚼して研究を行っているということを示す色々な事例があるのではないかというように思っています。そうすると、SciREXに関係していろんなイベントが予定されているところで、関係するプロジェクトの先生方も多分お忙しいと思うのですが、そうであるのであれば、広がりを持ってオーディエンスに聞いていただけるような、そういった準備・仕掛けをしていただいたほうがいいのかなと思います。そうすることによって、人材育成拠点の方は「共進化実現プログラム」を知っていると思うのですけどれも、例えば、RISTEXの側というと、ほとんど知らないかもしれず、それはすごくもったいない感じがしますので、見えるような形で研究成果報告会ができるといいのではないかと思います。
【有信主査】ありがとうございます。特に、例えば人材育成拠点があり、共進化プログラムとして研究的な部分を運営したという部分と、それに合わせてJST等で公募のプログラムが走ったりとか、そういう全体的な中でSciREXのプロジェクトが、今、どういう役割を果たして、どういうステップを踏んで次に行こうとしているのかというようなことがもうちょっと分かるといいかもしれないですね。吉本委員、どうぞ。
【吉本委員】ありがとうございます。簡単に、2点ございます。
先ほど小寺先生がおっしゃったように、事後評価というのが結構重要だと思っておりまして、特に、可視化するという点がポイントになってくるかと思います。定量的に可視化することが難しい場合は定性的でもいいと思うのですが、行政官、研究者、それぞれの物事の見え方や意識の変化というのももちろん知りたいところですが、研究室の学生さんが、自分の所属した研究室の研究者の方が、具体的な行政の政策課題と接点を持っていたとか、社会課題に接していたというのはすごく大きなインパクトがあるように感じております。そういった意味で、研究者側だけではなくて、研究室の学生さんが何らかの形でこういうプログラムに御一緒しているとすると、学生さんの意識も変わって、新たな政策立案における「政策のための科学」というところに興味を持っていただけるではないかと感じました。
もう1点は、私が担当させていただいている、第Ⅲ期の松尾先生のバイオものづくりと鈴木先生の宇宙プログラムに関連することですが、まず、両者はかなり性格の違うプログラムだなと思っております。松尾先生は、経産省とか、文科省とか、結構、省庁横断的にやっておりまして、ここが大きなポイントだと思っております。一方、鈴木先生は宇宙状況把握(SSA)について国際的な枠組みをつくろうと取り組まれています。この共進化プログラムというのは、どういうテーマにより効果があったんだろうか、こういうプログラムに行政と研究者とのコラボはより効果的じゃないか、といったテーマとのマッチング性というか、相性みたいなものが見えてくると、今後に役立つように感じました。
【有信主査】ありがとうございました。小林委員、どうぞ。
【小林委員】一つは、先ほど経産省の話が出てきましたが、目標達成に関しては、あらかじめデザインされたゴールというか、目標を達成できたというだけではなくて、むしろ、予想しなかった効果がいろいろとあったということも重要なポイントです。これは研究者側にとっても行政側にとってもあてはまります。そういったものをうまく取り出すことがプログラム全体を見るときにもとても重要だろうと思います。そういうものがたくさんあれば、それはとても望ましいと言えると思います。
もう一つは、共進化プログラムを見ていて思ったのは、何年かやって分かったことですけども、時間経過との関係ですね。色々な現実の課題がどんどん進んでいくのに対して、このプログラムの時間の経過というのが、かなり悠長な感じというか、時間が長い感じがあったんですね。じゃあどうするかというと、そういう時間的な変化が激しい課題をやらないというのだと、これはこれでつまらない話になってしまいます。今後どういうふうにするかとか、事後評価を考えるときには、そこのバランスが大切です。どんどん変化していってしまうときには、内部的に柔軟に変える仕組みとか、あるいは、行政のほうも柔軟にそういうものに対応するような事業の進め方みたいなことが考えられないといけないという感じがしていました。以上です。
【有信主査】ありがとうございます。想定外の結果だとか、想定した結果が出なかっただとか、その辺のところのきちんとした評価も確かに重要だし、時間的に、世の中の変化と実際の研究の進行状況との、ある意味、ミスマッチがあるのか、ないのかという点。ミスマッチがある場合に、具体的にそれをどうカバーしていくかというような視点も入れておいたほうがいいかという話ですね。狩野委員、どうぞ。
【狩野委員】人材委員会の仕事を通じて昨今出てきている観点として、個々人も注目すべきですが、それらの人たちを支える人、育てる人みたいな、支援をする人たちの目線と、あと、それをさらに環境的にどう支えるかという視点が加わってきています。もちろん、個人的に言うと、ここに国内外という視点もあってもいいかなと思うのですけど、これらの視点でこの取組を見たときに、どこにまだ十分でない要素があるかというのが、きっとこの質問に対して一つの見方かなと思いました。その視点からすると、一つ目の個々人の視点は、今、小林先生からもありましたけど、経験した人たちじゃないと見えなかったことは何かという質問には、まだあまり答えられていないかもしれないと思います。それは、成果の面だけじゃなくて、評価制度の在り方とか、何を大事だと思うともっと進みますかみたいな視点とか、あるいは、発表の場の在り方はどうしたらいいですかとか、関わった人たちがこれを一生の仕事にしたいと思ったときにはどういうことが必要ですかとか、そういうことについても調査はしたほうがよい気がしました。それは、今回調査した結果が何かの変化には役立たなかったとしても、さっきからお話が出ているレビューという意味では大事ではないかと思いました。
続いて、発表の場の話に行くと、論文化する話は大事だと思いますが、論文化するに当たって、日本というコンテクストで話が進んでいる内容だと思うので、そういうのがもし例えば国際誌などの媒体でそのコンテクストが理解されにくいといった理由で発表しにくいということがあるのであれば、どういうふうにして発表しやすい場を設定するかは、今回、まとめてもいい視点じゃないかなと思いました。あと、こういうことに取り組む人たちを育てる環境、さらに言えば、産学官の中で活用する環境がどういうふうになっているかという視点はどうかというのも、思ったところです。
さらに言うと、もう一つは、理系的な研究では、研究基盤、機器基盤の話がいっぱい出てきているのですが、この研究においての研究基盤というのは、データだけでいいのか、あるいはほかにもあるのかということも、思った次第でした。例えば、計算機設備といった基盤かもしれないし、あるいはどんな種類のデータが存在して、どこに連絡すれば入手できるかというようなインデックスかもしれませんし、ほかにも基盤的に必要な要素があるかもしれませんけど、そういうのを見直すことによって、こうした世界がより華やかになるような道が開かれないかなということは思った次第ですし、それが国内外でどうかという視点も大事じゃないかと。以上です。
【有信主査】ありがとうございました。いっぱい宿題を提示されたような感じですが、今挙げられた問題の幾つかは、多分、次のステップに進むときに考えなきゃいけないことということで整理をされるだろうと思いますし、今までやったことに関して言うと、それぞれ御指摘ありましたけども、実際に実行した人たちがそれをやったことによってどう変わったのかというような部分だとか、その中での変化がどうだったか、あるいは、実際の達成度を含めて、それがどうであったかということを含めて、整理をすべきだろうという御指摘がいろいろあったと思います。
このプロジェクト全体に関して言うと、基本的には肯定的な意見がほとんどだったと思いますが、その中で、先に進むに当たっての留意点、あるいは現在までの総括をどういうふうにやっていくかという点に関して幾つかの視点を提示いただいたと思いますので、事務局サイドはちょっと大変かもしれないですけど、これを整理しながら次のステップに行ければと思います。ほかに何か、追加のコメント等ありますか。
【長岡委員】長岡です。事後評価でも共進化プログラムは一つの中核になると思いますので、そういう意味で、小寺先生もおっしゃいましたように、政策側への影響がどうなったかというのはすごくクリティカルです。前に文科省の委託調査を拝見しましたが、必ずしも十分な内容ではなかったように思えます。この共進化プログラムに関わられた行政官の方が、政策のデザインに関して、どういう示唆を受けたか、あるいは変化があったのかといった情報を集められるのが良いと思いました。それが1点目です。
2点目は、田辺さんのコメントと共通しますけど、全体的にプロジェクトは期間が非常に短いので新しいパブリケーションを出すというのが難しいところが多くて、他方、従来集められなかったようなデータをきちんと集めて、それをベースにして基礎的な研究をした成果が得られているというところもありますので、各プロジェクトで生み出された新しいデータの価値というものが認識できるような形でまとめていくというのも、重要な視点かなと思いました。以上、2点です。
【有信主査】ありがとうございました。奥和田委員、どうぞ。
【奥和田委員】資料の6ページの下のほうなんですけども、最終報告あるいは事後評価の準備という意味では、第Ⅲフェーズの個々の発表をしていただくだけにとどまらず、第Ⅲフェーズは第Iフェーズや第Ⅱフェーズとどう違ってきたか、第Ⅲフェーズの目標全体が何であったかをもう1回思い出して、それが進展したのか、達成できたのか、ということを重点的に議論していくことが、これから1年では重要なのかなと思います。
【有信主査】どうもありがとうございました。狩野委員、どうぞ。
【狩野委員】審議会を回していていつも思うのですけど、審議会に出てくるいろんなデータがございます。そのデータの取り方というところも、もしかすると、共進化的な会議体を行政で設置して、進めようとする調査研究の目的に照らした適切なデータのとり方の検討ができる素養のある人たちに集まってもらい、進めたほうがいいんじゃないかと思うことがあります。というのは、何かの仮説に向かって、「こういうデータの取り方しかしておりません、以上」みたい反応をいただくことがありまして、せっかく国費をかけて調べるんだったら、その仮説に対して妥当な調査方法というか、測定軸とか、色々なものはあり得ると思いますので、そういうものをもう少し話をして入れていくというのが、こちらに書いてある共進化プログラムの今後についての示唆に申し上げてもいいかなと思いました。以上です。
【有信主査】どうもありがとうございました。非常に貴重な意見で、これを整理しつつ、次に進んでいければというふうに思います。
ほかに特になければ、時間の関係もありますので、3番目の議事に入りたいと思います。ここからは非公開議題となりますので、事務局は、傍聴者に退出をお願いしていただけますか。
【根津企画官】これから非公開議題になりますので、一般傍聴の方は退出をお願いいたします。
(傍聴者退室)
<【議題3,4】非公開議題>
「SciREX 事業終了後に関する検討について」「その他」について意見交換を行った。
【有信主査】それでは、これで第23回の科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」のアドバイザリー委員会を終了します。本日は、御多用中のところを御出席いただきまして、ありがとうございました。どうぞ御退席ください。
―― 了 ――
科学技術・学術政策局研究開発戦略課