令和6年6月18日(火曜日)10時~12時
オンラインにて開催
有信主査、伊地知委員、奥和田委員、狩野委員、小林委員、田辺委員、長岡委員、吉本委員
倉田研究開発戦略課長、根津研究開発戦略課企画官
【(事務局)松浦専門職】それでは、参加委員の出席を確認させていただきましたので、開始をさせていただきたいと思います。また、本日、議事の確認のために録画をとらせていただきます。御了承いただければと思います。
それでは、有信主査のほうからお願いいたします。
【有信主査】皆さん、おはようございます。聞こえていますでしょうか。それでは、第21回科学技術・イノベーション政策における「政策のための科学」アドバイザリー委員会を開催させていただきます。お忙しい中、御出席いただき誠にありがとうございます。早速ですけども、事務局より資料の確認と、出席者の紹介をお願いします。
【根津企画官】事務局でございます。まず初めに、私、文科省の根津と申します。4月1日付で前任の小野山の後任としてSciREX室長を拝命いたしました。御挨拶が遅れて恐縮でございますが、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
まず、資料の確認をさせていただければと思います。先日のお昼頃に、資料のダウンロードに関してメールをお送りさせていただきましたけれども、議事次第にございます資料について、お手元にあるか御確認いただければと思います。
具体的には、まず資料1-1から1-4、また、資料2、資料3-1と3-2、また、参考資料として、名簿設置紙のほかに参考資料の1から5までをお送りいたしております。お手元にないという場合は、事務局までお申付けいただければと思います。よろしゅうございましょうか。
また、委員の出欠でございます。急遽、小寺委員のほうから、今日、出席が難しくなったという御連絡を今朝いただいておりますので、小寺委員が御欠席でありますけれども、そのほか8名の委員には御出席をいただいているという状況でございます。
事務局は以上でございます。
【有信主査】どうもありがとうございました。本日の委員会につきまして、議題3に関してですけども、議題3については調整中の内容を含むということで、非公開議題とさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。皆さん、特に反対がないようなので、議題3は非公開議題とさせていただきます。傍聴者の皆様は、議題2の終了後に事務局のアナウンスによって退室をお願いいたします。
議題1、2の内容につきましては、委員会終了後に、委員の皆様に確認の上、議事録を公開する予定にしています。ここまでの説明で何か御質問等ありましたら、どうぞ。
よろしいですね、いつもどおりの手続なので。
それでは、議題1の人材育成・基盤的研究拠点及び関係機関における第3期中期計画のフォローアップについてということで、進めたいと思います。事務局より、資料に基づいて第3期中期計画のフォローアップについて、報告をお願いします。
【根津企画官】文科省事務局でございます。まず、資料1-1を御覧いただければと思います。SciREXセンターの各拠点に、第3期の中期計画のフォローアップということで作成をいただいたものを集約したものが、資料が資料1-2になるんですけれども、大変大部でございますので、事務局のほうでかいつまんだ資料として、資料1-1を作成いたしました。
資料1-1、こちらも全て読み上げてしまうと、かなり時間がかかってしまいますので、かいつまんで御説明させていただければと思います。まず、1ポツのSciREXセンターでございます。そちらにございますとおり、令和5年度についてマル1からマル4ということで、マル1は人材育成、マル2が研究基盤、マル3が共進化、マル4はネットワーキングということで御活動いただいたということでございます。特に、例えばマル1の人材育成で言いますと、行政官研修について、行政官等13名が修了したということを書いてございますが、この等で言っておりますのは、文科省職員以外に、今回は国研、理研とかJSTの職員の方であるとか、あと大学のほうからも事務職の方に御参加いただいたというところでございます。
そういった国研、大学と、我々行政官が交流するという意味でも、研修に今後もそういった方々もお声がけをしていきたいというふうに思ってございます。
また、マル3の共進化でございますけれども、こちら、文科省の中で職員が外部の有識者とお昼の時間を使って懇談するという、ブラウンバッグ研修という仕組みがあるんですが、そちらと連携して、SciREXセンターの先生にブラウンバッグセミナーという形で、ランチタイムに5回、研修を実施していただきました。毎回、100名弱の文科省職員が参加いたしまして、先生のふだんの研究の内容とか、あと行政官の交流の様子を聞くとともに、ディスカッションするような時間もふだん設けて、大体四、五十分程度やらせていただいております。
今後も引き続き、SciREXセンターの御協力もいただきながらやっていきたいというふうに思ってございます。
また、(2)の事業終了後を見据えた計画に対する進捗状況ということでございますけれども、SciREXセンターがイニシアチブをとっていただいて、各拠点の先生方が加わったワーキンググループを設置いただいているということで、前回こちらの委員会にも御報告させていただきましたけれども、現在も引き続きこちらで御議論いただいているという状況でございます。
また、2ポツでございます。2ポツの政策研究大学院大学のGiSTでございますけれども、こちらも令和5年度、マル1からマル4まで活動いただいたというところでございます。特に人材育成については、計画以上の受入・受講・修了者数になったであるとか、研究・基盤は、科研費、外部資金を得て研究を実施していただいているという状況です。
(2)の事業終了後を見据えた計画に対する進捗状況ということでございますけれども、こちらは令和4年度に引き続き、厚労省の様々なプログラムを活用して、受講料について助成をいただいているという状況だと、御報告いただいてございます。
あと3ポツ、東京大学のSTIGでございますが、こちらもマル1からマル4、おおむね目標を達成できたと御報告いただいてございます。特に例えばマル1、人材育成であれば、10月にSTIG同窓会を開催いただいたと、ネットワーキングに向けた動きということでやっていただきました。
あとは、マル2の研究・基盤でありますと、文科省の科政研と組んで、日本の大学院における博士課程教育に関する実証分析を実施いただいたり、また、国際的な話でいいますと、欧州の複数大学との共同研究を実施していただいているという状況だと御報告いただいてございます。
また、マル4、ネットワーキングでございますけれども、こちらも実務家を招いたプラットフォームセミナーであったりとか、国際シンポジウム、共催イベントを精力的に開催いただいているとともに、こちらも、OB・OG会と博士研究の発表会をいただいたり、ネットワーキングについても、順調に実施をしていただいているというふうな状況でございます。
また、(2)事業終了後を見据えた計画に対する進捗状況でございますけれども、こちら、基幹となる教員2名は教員として確保いただいておりますということではございますが、特任の方の2名程度の人件費を今後も確保していかなきゃいけないということで、財団法人からの寄附であるとか、官民の共同研究のプログラムというものを強化していきたいというふうな御報告をいただいてございます。
また、4ポツ、一橋、IMPPでございますが、こちらもマル1からマル4、順調に進捗しているというふうな御連絡をいただいてございます。特にマル4、ネットワーキングでございますけれども、こちらもIMPPフレンズということで、4月8日にOB会をハイブリッド形式ということで実施いただいているというふうな御報告をいただいてございます。また、フェイスブックに74名登録されているということで、随時メンバーが投稿して、現役生とOBの交流の場になっているというふうな御報告もいただいてございます。
(2)の事業終了後を見据えた計画に対する進捗状況でございますが、今後、IMPPの自立化に向けた外部資金の獲得を目指した議論をセンター内でも重ねて、体制重視の検討を行っていくということ。
また、IMPPの継続と発展を実現するために、現在、学内の学位プログラムとの連携統合を検討しているということでございます。具体的には、一橋大学院経営管理研究科の博士課程であるイノベーションマネジメントプログラムと連携をして、IMPPの修了生からIMPへの進学を促すことができるような教員の相互乗り入れの検討とか、規定の見直しということに着手いただいているということでございます。
また、最後でございますけども、運営体制の再構築は必須であるということで、予算措置を検討しているという御報告をいただいてございます。
続きまして、5ポツの阪大(京大)の拠点でございます。こちらもKPIの達成を含めて、ほぼ計画どおり進捗しているという御報告をいただいてございます。
ネットワーキングについては、マル4のところ、研究会・セミナーとして、科学技術と公共政策をテーマにした研究会であるとか、関西ネットワークの拡大に向けた研究会などを順調に実施していただいていると。あと、国際連携の活動としまして、欧米諸国の大学が参加するPublic Interest Technology University Networkということで、STiPSとして引き続き参加いただいていると御報告いただいてございます。
(2)事業終了後を見据えた計画に対する進捗状況でございますけれども、大阪の第4期中期目標・中期計画に「社会と知の統合」型教育を推進していくということで、本教育プログラムが中核的、かつ代表的な教育プログラムとして位置づけていただいているということでございます。
また、京都大学におきましても、全学的な取組として学際融合教育研究推進センターの見直しが進められているという中で、大学院教育支援機構との協議を継続して行っているということでございます。
また、大学院教育支援機構が令和6年度から予定しているリカレント教育において、本プログラムが活用されることとなったということで、文部科学省、別の部局にはなりますけれども、そちらの概算要求に向けて、いろいろと検討いただいているということを御報告いただいてございます。
続きまして、6ポツの九州大学でございます。こちら「人材育成」について、履修証明プログラムの履修者が令和4年度から比べて7名増加して、61名になったという御報告もいただいているとおり、順調に教育面、実施をしていただいているということでございます。
また、ネットワーキングの面でも、九州にあるということを生かしていただいて、地元の福岡県地域振興部調査統計課との共同研究を再開しているとか、そういったところを御報告いただいてございます。
(2)事業終了後を見据えた計画に対する進捗状況でございますが、補助事業終了後は、専任教員、専任ジムスタッフの雇用は困難になるということで、教育担当理事、副学長とも御相談をいただいていて、存続させる方向で具体策を検討しているところということでございます。
また、地域政策デザインスクールについては、目下、事務局機能を九州大学オープンイノベーションプラットフォームに関するという可能性を検討していただいているという御報告をいただいてございます。
7ポツ、RISTEX、8ポツ、科政研については、従前の活動を引き続き実施しているという内容でございますので、御説明は割愛させていただきたいと思います。
その他、詳細な部分につきましては、資料1-2も併せて御覧いただければというふうに思ってございます。
事務局の説明は以上でございます。
【有信主査】どうもありがとうございました。ただいまの事務局より報告いただきました内容について、御質問、コメント等、よろしくお願いします。
狩野委員、どうぞ。
【狩野委員】ありがとうございました。1つ、九州大学の件で地方自治体との関わりがありましたけれども、ほかのところで何かそれが広がっているようなお話を、もし聞き及びがあったら教えていただけますでしょうか。
というのも、中央省庁だけじゃなくて、地方自治体にもこうした動きが広がることは悪くはないんだろうと思いまして、お願いいたします。
【有信主査】では、事務局、よろしくお願いします。
【根津企画官】狩野先生、ありがとうございます。御指摘の九州大学が福岡県と組んでいろいろやっているという話は、申し訳ないですけど、ほかの拠点ではあまりお伺いしたことがないという状況でございます。
事務局からは以上でございます。
【有信主査】ありがとうございます。ほかに、追加でも結構ですが、御質問、コメント等ありましたら。
伊地知委員、どうぞ。
【伊地知委員】ありがとうございます。資料ですが、今は概要のところをお示しいただいたのですけれども、資料1-3と1-4との関係について補足していただけますでしょうか。どのようにこの2つを見ればいいか、よく分からなかったもので。
【有信主査】じゃあ、事務局、よろしいですか。
【根津企画官】申し訳ございません、資料1-3を映せますでしょうか。資料1-3でございますけれども、今お示ししたものでございますが、こちらは第3期の中期計画の改定したものの本体をお示ししている資料ということになってございます。なので、この中期計画に沿って各拠点が実施をしていただいているというところです。
資料1-4でございますけれども、こちら、第3期中期計画が改定されたので、その前後、つまり、見え消しのような形になっておりますが、どのように改定されたのかというのをお示ししている資料ということになりますので、資料1-3と1-4は同じ情報を示しているけれども、資料1-4を見ると、前からどう変わったのかなというのが分かる資料というふうに、資料を作成しております。
最初に御説明すればよかったところを、はしょってしまって申し訳ございません。
事務局から以上でございます。
【有信主査】伊地知委員、今の説明でよろしいでしょうか。
【伊地知委員】冒頭に、1-3はSciREXセンターがあって、1-4はないのですが。そこも含めてよく分からないのですが。
【(事務局)松浦専門職】申し訳ありません。1-4につきまして、順番が逆になってしまっております。GRIPSのほうが最初に来ていまして、SciREXセンターのほうが2つ目に載ってしまっており、順番が逆になっております。大変申し訳ありません。
また、中期計画の改定としましては、最初、令和3年度に定めたときには、令和6年度、7年度、今年度と来年度分につきましては少し先のことになりますので、令和6年と7年度でこうしたことをしていくということをまとめて記載していたんですけれども、今回、令和6年度になったというところで、事業、最終年度のところまで見えてきたところで、令和6年度と7年度、それぞれ、個別具体的に何をするかということで、基本的には6年度と7年度に書き分けていただいたというところがメインになっております。
また、共進化プロジェクトでこういったものをやっているというところで、見えてきたものを具体的に書き直していただいているというところが、中期計画の主な修正点でございます。
すみません、事務局からは以上になります。
【有信主査】ありがとうございました。伊地知先生、それでよろしいですか。
【伊地知委員】どうもありがとうございます。
【有信主査】それでは、ほかに。小林先生、どうぞ。
【小林委員】これ、もしかすると後で議論になるのかもしれませんが、今伺った、今後の計画等は、具体的に誰が張りつくのかということが明確でないんです。何かやるということは書いてあるんですけども、このプログラムが始まって10年以上たっていて、そろそろいろんな人たちが交代しているんですよね。そのときに本当にちゃんとできるかどうかということも、ここで考えていかなくちゃいけない。
後で、非公開のところで議論するんであればいいんですけども、各拠点のリーダーの人たちもそろそろ入れ替わってきているんじゃないかと思うんです。そこを、現実的に踏まえた上での議論が必要かなという気がしました。
以上です。
【有信主査】事務局サイドで、今の御意見に対して何か説明ありますか。実際に、多分、リーダーが代わっているところもあり、代わっていないところもあり、かなり長い期間やっているので、多分、大幅に入れ替わっているようなところもあるんですよね。そういう点については、まとめてどういう議論をしようとしているのかということも含めて、何か考えていることがあれば、説明いただけるとありがたいんですけど。
【根津企画官】事務局の根津でございます。ここの議論については、議題3のところでもぜひやらせていただきたいと思ってございますので、そちらでも、ぜひ時間をとってと思ってございます。
一応、代表者の交代とか、そういうことでありますと、まさに資料1-3とかでお示しした中期計画に変更が加わってくるということにもなりますので、中期計画が変わってないということであれば、引き続き代表の方が務めていただいているというふうに認識してございます。ただ、書類上のお話と中核的な役割を実際に担っていただいているという方については、まさに先生、御指摘のとおり、もう10年以上やっている中で、そろそろ代替わりと言うとあれかもしれないですけども、若い方々にシフトしていっているという状況もあるかと思いますので、今日の資料ではそれがあまりよく分からない形になっていたので、次回以降、次回御議論いただくときは、よりSciREXセンターの各拠点の中でも検討が進んでいっているということもあると思いますし、その辺りも詳しくお示しできるような何か形を考えたいと思ってございます。
ただ、こういうオープンの場だと、なかなか大学側もお話ししにくいという状況もあると思いますので、その辺りは主査とも御相談をしながら、どのような形で委員の皆様にお示しできるかということを、事務局としても各拠点とお話ししながら考えたいというふうに思いました。御指摘どうもありがとうございます。
以上でございます。
【有信主査】ありがとうございました。人により変わるのか、事により変わるのかって、小林先生の御指摘は単純な話ではなかったと思いますけど、なかなか難しい問題だと思いますよね。
ほかに御質問、御意見ありましたら、どうぞ。奥和田先生、どうぞ。
【奥和田委員】奥和田です。よろしくお願いします。おはようございます。各団体からこういうことをやっていますという御紹介がありました。このプログラムはもう長くやっていて、もう最終段階であり、事業終了後というのがかなり真剣味を帯びてきていると思います。そこで、共進化やネットワーキングなども、事業終了後の何か継続につながるのか、といったように、そういう目でもう少し見ていく、あるいは報告していただくということが必要なのかなと思います。
先ほどのご紹介の中にも、ほかの省庁からのファンドをいただくとか、アルムナイを活用し始めているとかというのもありました。そういうことが事業終了後の活動につながっていくかどうかという視点を、もう少し見ていく必要があるし、フォローしていく必要があるのかなというふうに思います。ネットワーキングも、こういうことをやりましたぐらいでは、たぶん、この後には進まないと思いますので、そういう目で見ていく必要があるかと思います。
【有信主査】ありがとうございます。確かにおっしゃるとおりだと思いますけど、基本的に継続しようと思うと、制度仕組みという形にしつつ継続するんだけど、それが固定的になってもいけないという視点も多分あり得るので、いろいろな議論が必要かと思いますけど。事務局から何か御意見ありますか。
【根津企画官】今の御指摘も次回以降の資料づくりとか、運営にぜひ生かしていきたいというふうに思ってございます。事務局からは簡単ですが、以上でございます。
【有信主査】ありがとうございます。ほかに御意見、御質問。
吉本先生、どうぞ。
【吉本委員】すみません、吉本からよろしいでしょうか。今ちょうど奥和田先生からお話があったところにも関連しますが、同窓会を開いたり、ネットワーキングがあったりということで、人脈形成のところも取り上げていただいているんですが、人材育成の成果としてどうだったのかという辺りの記載もあるとよいと感じます。何名輩出しました、ネットワーキングしています、アルムナイにこれぐらいの登録がありますという、ファクトは書かれているんですが、こういう共進化プロジェクトを経由して、どういう人脈形成が出来上がり、それのネットワーキングであれば、例えばそれがどういうふうに波及しているのかとか、卒業生の進路にも影響すると思うんですが、そのあたりの成果を見える化して記載していただけると、よりよいかなというふうに思いました。
感想ですが、以上です。
【有信主査】ありがとうございます。今のような部分については、まとめのところで、もうちょっと具体的な表現ができるかということだと思いますけど。事務局、どうぞ。
【根津企画官】事務局でございます。御指摘の点今、各拠点ごとに御紹介してしまったので、そういうファクトのみになってしまったかもしれないんですけども、参考資料の2として、SciREX事業の成果というものをまとめた資料も、参考資料の2ページ目にお配りしてございます。人材育成の面で言いますと、今まで各拠点でプログラム修了した方が合計424名いらっしゃるということでございますが、そういったところの進路とかも、各拠点にお伺いしながら、可視化できないかということを考えてみたいなと思ったりとか。
あと、サマーキャンプという取組をSciREX事業の中で実施しておりまして、2ページ目、こちらの右上のほうでございます。この資料も424人という数字で書いてしまっているんですけども、どういった進路に進まれているかとか、そういったところ。
あと、個人的にはSciREX事業の中でできたネットワークが、こういう修了生の方が実際にフィルムに出て、お仕事なり、行政官になっている方も、研究者の方もいらっしゃると思うんですけども、そういったつながりが実際の仕事に生かされているというふうなところが、もし実際声が拾えれば、非常にこのSciREX事業をやった成果が、実際に現場に活用されているというふうに見えるようなことを主張できるかなというふうに思ってございます。
そういったところも、各拠点の把握されている情報とかも踏まえながら、文科省としてまとめていくような方向を考えたいというふうに思ってございます。
事務局からは以上でございます。
【有信主査】どうもありがとうございました。ほかに御意見、御質問等ありましたら、どうぞ。
伊地知委員、どうぞ。
【伊地知委員】ありがとうございます。恐らく、これから先ということだと思うのですが、今お示しいただいた資料というのは、言ってみれば、この事業によるアウトプットがどのようになっているかということかと思います。ある一定期間が経っているということで、アウトカム、つまり、人材育成をされて、それぞれいろいろなところに行かれた方が、その後、ここのプログラムでの経験によって、どのように生かされているのかというようなところの情報があるといいのではないかと思います。
もちろん、政策形成の現場に一番近いようなところであるとか、あるいはファンディングエージェンシーであるとか、そういったところもいろいろあろうかと思います。あるいは、全然離れたところでも、やはりここでの経験というのは生かされたことがあると思われます。まさにその活躍されているところの状況で、どのように生かされているかという情報が入ってくるといいのではないかと思います。
あとは、実際にこの事業の中で想定したところと違ったところ、それは想定したほどには展開がなかったというところもあるかもしれませんし、あるいは、状況が変わったことによって、想定外の人材というのが育っていて新たな展開になったというところとか、多分、両面あると思うので、そういったことを次回に向けて提示していただくようなことがあるとよろしいのではないかと思ったところです。
【有信主査】ありがとうございました。事務局サイド、何か意見ありますか。
【根津企画官】文科省、根津でございます。御指摘いただいてありがとうございます。先ほどの、今の伊地知委員からのコメントも踏まえてというか、今までおっしゃっていただいたような今後のことを見据えつつ、SciREX事業としての成果、まさにアウトカムをどういうふうにつかまえていくかというところにつきましては、実はSciREXセンターが中心になって、このSciREX事業のフォローアップ調査を、今、企画いただいてございます。
今回、いただいたコメントも、SciREXセンターとも相談しまして、そのフォローアップ調査の中で、委員御指摘のような点をうまく表現できるような調査にしていただくように、文科省のほうからも御相談をしたいというふうに思ってございます。フォローアップ調査の進捗については、定期的にこのアドバイザリー委員会のほうにも御報告をするようにしたいというふうに思ってございます。
事務局、以上でございます。
【有信主査】ありがとうございます。アウトカムをどういうふうに評価していくかというのも、全体としてPDCAを回すという観点からも非常に重要なポイントだと思いますので、よろしくお願いします。
ほかに御質問、御意見等ありましたら、どうぞ。特によろしいでしょうか。何か途中ででもありましたら、また関連して話をしていただければと思います。
引き続き、2番目の議事に移りたいと思いますが、よろしいですか。それでは、2番目の議事として、共進化実現プログラム第3フェーズについての内容について、事務局から資料に基づいて説明をお願いします。
【根津企画官】事務局でございます。それでは、資料2を御覧いただければというふうに思います。画面共有をしておりますけれども、こちらの「政策のための科学」推進事業の中で、共進化実現プログラム第3フェーズを昨年から実施してございます。委員の皆様におかれましては、先日の意見交換会で大変貴重なアドバイスをいただいて、どうもありがとうございます。
こちらの資料は、9月の中間成果報告会というのが当座のマイルストーンになってございますけれども、各個別のプロジェクトにいただいた意見交換会での御意見というものを、委員の皆様にもシェアをしながら、今後の第3フェーズの全体の進め方等について、ぜひコメント、御助言をいただければというふうに思ってございます。
まず、1ページ目、映してございますが、第3フェーズのスケジュールでございます。現在、R6年度の6月ということになってございますが、先ほど申し上げたとおり、9月に中間成果報告会を予定しておりまして、今各プロジェクトにおかれては、この中間成果報告会でどのような発表をしていただくかということで、精力的に活動いただいているという状況でございます。また、R6年度の3月には、また意見交換会を予定をしているという状況です。
最終的には、R7年度3月までが本事業の終了ということで、一応3月に最終成果報告会を予定してございますけれども、今後、この事業の評価とか、そういった今後に向けての検討というところもございますので、3月を待たずして、ある程度の段階で、途中というよりは、七、八割仕上がっていますというような形にはなると思いますけども、どこかで成果のイメージみたいなものを固めていただくというようなことも考えないといけないかなというふうに、事務局としては思ってございます。
次のページが、今第3フェーズで採択しているプロジェクトの一覧でございます。以前、御説明をしたと思いますので、詳細な説明は割愛させていただきますけども、今映しているような7つのプロジェクトが走っているという状況でございます。
次のページ、行っていただきまして、こちらの担当いただいたアドバイザリー委員の先生方と、各研究課題の対応状況、また、顔合わせと意見交換会をそれぞれ実施いただいてございますので、その対応を示した資料でございます。委員の皆様におかれましては、重ねてになりますけども、お忙しいところいろいろと御助言いただいて、どうもありがとうございます。
次のページが、今回フォローアップをお願いした観点例ということで、以前もお示しした資料でございます。こういった4つの観点で御助言をいただきました。1つ目は、プロジェクトの位置づけの観点で、政策課題が明確になっているかとか、そういった点。
また、マル2が、運営とか活動状況の関係でございます。情報交換を密にしているかとか、やはり共進化プロジェクトは、行政官と研究者の方の密接な交流による、行政官側はリテラシーの向上であり、研究者の方は行政官がどういう仕事をしているか、どういう考えでやっているかみたいなところを、お互い持ち帰っていただくというところが大きなポイントでございますので、緊密に連携していただくというようなところが非常に重要かなというふうに思ってございます。
マル3が、目標の達成状況の観点でございます。こちらが、まだ途中段階ではありますけれども、先ほど申し上げたとおり、来年度のある程度早い時期で成果をまとめていただくことが、恐らく第3フェーズでは必要になりますので、そういった観点から見て、順調に進捗しているかとか、あとは目標のイメージが明確であるかといったところも御助言をいただいたというところでございます。
また、マル4、最後、SciREX事業全体、あるいはこのコミュニティー全体ということになるかと思いますけれども、こういう政策のためと科学のコミュニティー全体に向けて、共進化プロジェクトをやることで、どういうふうな便益があるかといったところについても、御助言をいただいたというところでございます。
以上がフォローアップの関係でございます。
そのページに行っていただきまして、ここから具体的な意見交換会での主な御意見の御紹介になります。まず、こちらが隅藏先生に御参画いただいている研究支援の基盤構築ということで、研究機関・研究設備・人材の調査分析をやっていただいているところでございますけれども、今お示ししているようなコメントをいただいたところでございます。
例えば、機器のテクニシャンのモチベートが課題になるので、事務職と研究者の中間として置いている⼤学もあるので、具体的な事例をもっと見てみるといいのではないかであるとか、あとは、機器ユーザの意見が重要であって、もっとミクロに見ていってもいいのではないかという御意見、執行部に聞いても、あまり効果的ではないのではないかということで、やはり現場に聞いたほうがいいんじゃないかというふうな御意見。
あとは、こういうプロジェクトをやるときに、行政官、我々もそうですけども、いい例ばかり見てしまうけれども、逆に悪い例も見たほうがいいんじゃないかというようなサジェスチョンもいただいてございます。
また、具体的なリサーチクエスチョン、ガイドラインは浸透したか、浸透していないかみたいなところは、ただのアンケートの結果でございますので、それをさらに科学的な観点で見て、どういうふうなリサーチにしていくかというということを考えていく必要があるんじゃないかというふうな御意見もいただいてございます。
また、ファクトのファインドをする中で、ぜひ新しい動きをつかんでほしいというふうな御意見もいただいてございます。
あと、一番下、このプロジェクトは文科省の4課にまたがるので、結構幅広な観点、あと出口も複数あり得るなというふうなことを、事務局として思ってございます。政策提言を工夫してほしいというふうな意見もいただきましたけれども、文科省の事務局としても、どういうふうな形にしていくかというのは、研究開発戦略課の立場としても、一緒に考えていきたいなというふうに思っているということでございます。
以上が、隅藏先生のプロジェクトでございました。
次のページに行っていただきまして、今度、東大の松尾先生に参画いただいて、バイオエコノミーを目指したバイオものづくりの推進ということで、プロジェクトを実施していただいてございます。
こちらの意見交換会での主な御意見でございますけれども、基礎研究の研究者は社会実装への興味が希薄ではないかというところ、コメントをいただいてございました。あとは、規格化、認証といったルールづくりに日本も入っていくべきだろうというふうな話。あと、バイオならではの課題に着目する必要があるのではないかということで、⼀般的なリニアモデルで捉えると、ちょっとぼやけてしまう可能性もあるということで、⼀般論というよりは、バイオに特化した課題ということで、バイオ特有の内容に絞ったほうがより効果的ではないかというコメントをいただいてございます。
また、全体像をプロットして、ビックピクチャーを描いていくことが必要ではないかとの御意見だったり、あとは、シチズンサイエンスが重要視されているので、特にバイオであると、遺伝子組換え食品とか、そういった論点はございますが、社会受容性が非常に重要になってくるという御意見で、そういった点でシチズンサイエンスに注目していくのはいいんじゃないかというふうなコメントをいただいてございます。
こちら、文科省と、内閣府と、経産省という、文科省の中に閉じない行政が参画している課題でございますので、そういったところは非常にいいという一方で、省をまたぐと、行政官が参画している共進化プロジェクトの共通の悩みでありますけど、担当者が異動しちゃうと、行政官側のリテラシーがそのまま維持されないということと、やはりモチベーションが異動してくる担当者によって変わってしまうというふうなところございます。そういったところ、特に省をまたいでいるこのプロジェクトについては非常に重要なので、普遍性が変わらないようにしてほしいというふうな御意見をいただいてございました。
以上が、松尾先生の課題でございます。
次のページに行っていただきまして、こちら、東大の鈴木先生の宇宙に関する課題でございます。こちらについては、予見可能性が下がっている国際情勢、宇宙、特に防衛みたいなお話と密接に絡む分野になってきましたので、そういったところで予見可能性が下がっているんじゃないかというところと、ルールというよりは社会規範で統制していくのも重要ではないかというふうなコメントもいただいてございます。
そのほかは、コメントというよりは、意見のやり取りみたいなところで御意見をいただきましたので、回答も含めて、今お示しをしてございます。
以上が、鈴木先生のプロジェクトございます。
次のページへ行っていただきまして、次は一橋の軽部先生、人間文化機構の後藤先生、自然科学研究機構の小泉先生に御参画いただいている、人・社のモニタリング指標に関するプロジェクトでございます。こちら、数年前に科学技術基本法が改正されまして、人・社も科学技術基本法の傘の下で推進していくというふうな、大きな政策の変更が国のほうでもございましたので、その人・社をどういうふうにモニタリングしていくかというのは、国としても、特に文科省として、非常に重要な課題の1つになってございます。そういったところで、担当部局もこのプロジェクトに、何かいい知恵を出していただけないかということで、非常に期待しているというふうな話も、個人的にもお伺いをしているところでございます。
そういった中で、意見交換では、適切なグループ化が必要ではないかと。人・社はやはり非常に多様性に富む分野でございます。人・社と一からげにしてしまうのも適切なのかどうか、みたいなところは個人的に思いますけれども、そういったところを適切なグループ化をすることが、まず必要ではないかというふうな御指摘。
あとは、論文を出版する言語による影響も考慮すべきではないかというところ。やはり、理系とか工学系に比べて、英語ではない文化をそもそも研究するといったところとかが、やはり人・社では非常に大きいと思いますので、そういったところで言語による影響というのも注意すべきであるというふうなコメントをいただいてございます。
また、Scopusにどれだけのものが集約されているかというのを、きちんと見たほうがいいというふうなお話でございます。
あとは、再現性にやはり疑義が生じるようなお話が、特にライフとか、理学、工学でもないということではないと思うんですけども、特にやはり人・社では、再現性について論点になりやすいというところで、そういったところをどう分析するかも、よく考える必要があるというふうなコメントをいただいたり。
あと、成果物に多様性……。もともと人・社は成果が、例えば書籍であったりとか、分野によってかなり多様性に富むというところはございますが、ますます今後、多様になっていくというところで、どういうふうにその多様性を織り込んでモニタリングしていくかというところは、人・社に限らず、非常に重要な論点ではありますけれども、特に人・社特有のというところでコメントをいただいたというのが、最後のポツでございます。
以上が、人・社のプロジェクトでございました。
すみません、私ばかりしゃべってしまって恐縮なんですけども、次のページに行かせていただきます。こちら、阪大の平川先生と、東大の木見田先生に参画いただいている、STI政策のミッション誘発型のファンディングとか、検討プロセスに関する客観的な⼿法開発という課題でございます。
これは、研究開発戦略課の中の戦略室がもともといろいろなファンディングもやっているということで、当課が行政官の課ということで、参画しているというプロジェクトでございます。従来手法との違いは何であろうかとか、量子コンピューティングみたいな個別の研究領域と、AIのような学際的なものがあると思うけれども、その学際的なものがどういうふうにこの手法の中で見いだしていけるのかというところ、方法論をやはり検証することがこのテーマで期待されることなのではなかろうかというふうなコメントをいただいたところでございます。
そのほか、政策側に対して選択肢メニューを提示できるようになるということがいいことである。分野を考えるときに、やはりここということではなくて、選択肢を示していただけるような形で進めるといいんじゃないかというふうなところで、コメントをいただいてございます。以上が、マル5のプロジェクトでございます。
続きまして、マル6、博士号を保有する人材活用に関する調査研究でございます。こちら、うちの人事課、担当がまさに昔SciREXを担当していた中澤が、今人事課にいるということで、そういった御縁もあって、京大の先生と組んでやらせていただいているというところでございます。
文科省も、今年の3月、4月ぐらいに、うちの盛山大臣が博士号を2つ持っているということで、博士をもっと活躍を促進していくんだというプランをつくりました。その中でも、隗より始めよということで、文科省も博士号を持っている学生さんを採用していくというふうな方針も掲げている中で、文科省をはじめとする行政機関の中で、どういうふうに博士号を持っている方に御活躍いただけるかというところ。
我々の従来の働き方のモデルだと、せっかく博士号を持った方に来ていただいても、雑巾がけみたいなことをさせてしまって、ミスマッチが起きるみたいなことも想像されますので、そういったところ、我々も非常にニーズがあるところかなというふうに思ってございます。
ただ、一方で、アンケートのみで結果を見ることができるのかとか、あとは大学教育、今まで受けられた教育との関連性を見るような質問がつくれないかといった、質問内容に関するコメントをいただいたというところでございます。
あとは、アメリカは政権が代わると、ごそっと行政官も入れ代わるということでございますけれども、台湾、韓国とかは、例えば徴兵を免れるとか、そういうふうなところ、いろいろなインセンティブがあるので、そういったところを各国と比べるときには、各国特有の事情があるので、そこら辺はきちっと見ていかなきゃいけないよねというふうなコメントをいただいてございます。
あと一番下でございます、行政官の取組が有効ということであれば、社会人学生として入り直す場合が多いのではないかということでございますが、それは実際、日本ではかなり、私もこの業界にいますけれども、ほとんど見たことがないということで、その辺りも気になるというようなコメントもいただいてございます。
続きまして、次のページでございます。こちらは、研究者の安定性と流動性をどう両立させてキャリアパスをつくっていけばいいだろうかというふうな、うちの省の人材政策課に参画いただいてやっているプロジェクトでございます。こちらは、定性分析が重要なので、定量分析と併せてやっていく必要があるということであったりとか、あと他国の要素を単純に導入するということであれば、やはり日本の労働系の慣行とか法令の問題があるので、そういったところをきちっと見ていく必要があるであるとか、特に欧州とかは国が地続きでつながっているという一方で、日本は島国でございます。そういった地理的な差のようなバイアスについても考慮すべきではないかということ。
あとは、分野によって課題が異なるのではないかということで、特に、例えば今のライフサイエンスと、非常に伸びている情報みたいなところは、状況がかなり異なるということが、データでも最近出ているということなので、分野間の差も考慮してみてはどうだろうかというふうなお話もいただいてございます。
あと、トランスファラブルスキルの獲得について検討が進められているので、その辺りを見たらどうかといった御意見。あるいは、採用戦略の変化。最近、産業界もかなり博士号とか、研究者に注目している企業が増えてきているということで、その辺りの変化は追い風になると思うので、見たほうがいいんじゃないかというふうなお話。
あと、創薬と化学の分野への調査が抜けているんじゃないかというふうなコメントをいただいたところでございます。
次のページは、中間成果報告会と交流会の御予定でございます。先ほど申し上げたとおり、中間報告会は9月頃で御予定をしてございます。開催形式は対面がいいかなと思っているんですけど、必要に応じてオンラインとのハイブリッドを考えてございます。参加者の範囲は、その資料にお示ししているような方々に集まっていただいて、各プロジェクトから発表しようとした上で、プロジェクト間の交流もぜひ実施していただけるような会にしたいなというふうに思ってございまして、今調整中でございます。
以上、様々申し上げてきましたけれども、ぜひ、今日、このタイミングでは個々のプロジェクトの意見交換を通じて、第3フェーズ全体として議論したほうがいいことや、こういったところは横串で見ていくべきではないかというふうなコメントがもしあればということと、あと、今後のプロジェクトの進め方についても、御示唆があれば、ぜひいただきたいというふうに思ってございます。
次ページ以降は、参考資料としていろいろと付けてございますけれども、基本的に今まで御説明した資料でございますので、本日は説明を割愛させていただきたいと思います。
事務局のほうからは以上でございます。
【有信主査】どうもありがとうございました。それでは、ただいま報告いただきました内容について、御質問、コメント、あるいは御議論等、よろしくお願いします。
田辺委員、どうぞ。
【田辺委員】どうもありがとうございます。私は、この共進化プロジェクトは、今の御説明もありましたように、それぞれ行政側にとって重要な課題を研究していて、研究者側も非常に熱心にやっていると、そういう印象を持っています。
それで、今後進めるに当たって、1つは、やっぱり行政側から積極的に意見とか、コメントをぶつけて、コミュニケーションを密にされるのがいいと思います。これまでもされていますけども、特にいろいろ新しい挑戦的な分野にも取り組んでいますので、行政側の課題というか、そういう問題意識もよく伝えるのがいいと思いました。
2点目は、私が担当しているプロジェクトで議論したんですけども、政策のための科学という政策研究と、いわゆるアカデミック研究というものとは、当然科学としても共通するところはありますが、アウトプットとして政策に使えるエビデンスのために、どうしても方法においてとか、出し方において違ってくるところがあると思います。そのことを意識しながら、今後、この共進化プロジェクトを進めることが、私は次の政策のための科学推進につながっていくのではないかと思いました。
これは、研究テーマによっては、事実を見て分析するということについては違わないかもしれませんが、政策提言を出すときの出し方などをいろいろ考えることが、今後、政策のための科学を発展させていくことにつながると思っています。そういった共通的な、横断的な議論も、参加した研究者、行政サイドと併せて議論していくのが有意義ではないかと思います。
以上です。
【有信主査】ありがとうございました。事務局サイド、何かコメントはありますか。
【根津企画官】ありがとうございます。各プロジェクトの参加している行政官側にもぜひ伝えたいというふうに思います。
以上です。
【有信主査】ありがとうございます。
狩野委員、どうぞ。
【狩野委員】ありがとうございます。2点の感想というか、共通した課題の可能性があるなと思って伺っておりました。
1つ目が、やはり時間が2年間、あまり長くはないので、ここをどのようにうまく使っていくかなというところだと思います。もちろん、2年で終わるべき研究内容もあるでしょうし、そこまでできることもあると思うんですけど。例えば、私、臨床医学を昔、経験して、研究に生かそうとしてやってきていますが、それの結果、思っているのは、2年ぐらいでは終わらないけれども、そこでしか知り得なかったことに基づいた研究の展開というのもあるなと思っております。
そういう、行政と最初一緒にやったからこそ思いついたけれども、学問的にも大事だから、少し長く取り組むみたいなものを支援していくような在り方というのが、せっかくこうやって始めていますので、今後、もしかして必要があるんじゃないかなということも思いましたので、これを1点目、申し上げてみます。
それから、もう一つは、共進化ということで、官僚の皆様は2年程度を周期にして、次々代わっていかないといけない運命におありなんだけれども、研究で御一緒している側はそうではないということを考えると、引継ぎの際に、今までは多分、すみません、私もそちらで働いたことはないから、よく分かりませんけど、業務の真ん中の内容についての引継ぎはあったと思うんですが、こういう共進化プロジェクトの途中だということについての引継ぎのポイント、どういうことを知っておいていただくと、研究者との付き合いが、あるいは科学側との付き合いが、引き継いだ後もスムーズにいくかという、何か要点集みたいなものをつくっておくと、少しスムーズだったりするかなということを思いました。
例えば、エビデンスの在り方はどうかとか、研究者側はこういうことを大事に思っているから、そこをうまく拾っていきましょうとか、それから、アカデミアはどうしても中長期的な見方に基づいて動くので、この辺を上手に踏まえながら、一緒にやっていくと、うまく回りますよとか、あるいは科学的な思考の方法とか、いろいろあると思うんですけども、そういうことを持っておくのは悪くなかろうかなと、この2点思いました。
以上です。
【有信主査】ありがとうございます。最初の点に関しては、田辺先生の中にもありましたけど、研究者側が研究を深めていく部分と、政策との架橋する部分と、というところの問題もありますし、行政側の引継ぎの問題は確かに、組織として本来は引継ぎ内容が引き継がれなきゃいけないんだけど、個人レベルで、もちろん様々差があるので、ここの部分をどういうふうに解決していくかという話だと思います。
手が挙がっているので、最初に手が挙がっていた長岡先生、まず、どうぞ。
【長岡委員】どうもありがとうございます。今進めていらっしゃるプロジェクトは非常に有意義で、面白いものが多いと思いますが、今後の共進化プログラムを考える上で、田辺さんの意見と共通ですが、研究成果を行政側がどういうふうに吸収し、活用しているのかという観点のフォローアップが重要だと思います。
これまでの共進化のプロジェクトには行政側が参加されて、成果は出ているわけですが、どういう形で活用されたのか、活用をされなかったのか。それから、先ほどの狩野先生のコメントもありますけど、長期的に成果をキャリーし知見を普及するのは研究者である可能性もあります。研究者が問題意識を持って、萌芽的な研究をこのプロジェクトでやらせていただいて、その後、さらにそれを進めていく、深めていく。その結果がいつかの段階で、また行政側にフィードバックされるというようなこともある。
過去やってこられたプロジェクトの成果の活用が、行政側、それから研究者側でどうなっているかということをまとめるタイミングとしても本委員会では多分、最後のタイミングだと思うので、これに取り組んでいただくことが重要だと思います。
そもそもプロジェクトを2年や3年でやるというのは、アンビシャスで、非常に難しいという面もあります。どういうスパンで、どういうプログラムを展開させていけばいいかという政策の設計の観点からも、こうしたフォローアップがすごく重要だと思いますので、もしやっていただけると、非常にいいなと思います。
以上です。
【有信主査】ありがとうございました。前の議論であった、伊地知委員からのアウトカムという話ともつながってくる話で、この辺を含めて、具体的にフォローアップをきちんとやる必要がありますねということだと思いますけど。
今の話に関して、事務局サイドから何かコメントありますか。
【根津企画官】事務局でございます。まず、先ほど御指摘いただいた質疑資料みたいなものは、実は、申し訳ありません、きちんと御報告できていなかったんですが、一応、うちの課として、基本的な事項をまとめた資料は作っておりまして、各課にもお渡しをしてございます。
ただ、行政官の引継ぎは、個人的な意見も入ってしまうんですけども、かなり個人によってしまうところがあるというところもございます。なので、今お話をお伺いしていて、例えば、研究開発戦略課が事務局として接着剤になっていくというふうなことが重要だと思いますので、例えばキーパーソンになる人が異動してしまったなと思ったら、我々のほうからも異動した後の人間に、異動する前のこの人にはこういうふうにやってもらっていたから、よろしくねとか、そういったところ、人の面でもちゃんと接着剤になるような活動をしていければというふうに思いました。
また、まさに先ほど主査にも御指摘いただいたように、行政官側がどういうふうに生かしているかというのも、非常に立派なアウトカムになるなというふうに思ってございます。先ほど申し上げたフォローアップ調査の中でも、実際に行政官側にもアンケートをとる予定でございますので、そういったところでも補足ができるように、うまく調査をしたり、その結果をまとめていければなというふうに思ってございます。
ちなみに、私も実はここに来る前に、共進化の連携する側の行政官としても関わったことがあるんですが、そのとき、たしか私、柴山先生にお世話になったんですけども、実はその異動した後も、困ったことがあったら、ああ、柴山先生に聞いてみようかな、みたいなことをすることがありまして、個人的にはそういうのも非常に有用なアウトカム。ちょっと言語化しにくかったり、数値化しにくいことはあるんですけれども、困ったら、あの先生に聞いてみようみたいなものが我々側にできてくるというのも、非常にいいアウトカムなんじゃないかなというふうに、お話を聞いて思いましたので、その辺りもうまく表現できればなというふうに思ってございます。
事務局からは以上でございます。
【有信主査】ありがとうございます。それでは、お待たせしました、吉本委員、それから、引き続き、小林委員、よろしくお願いします。
【吉本委員】ありがとうございます。新しい技術領域とか、まだこれから市場ができてくるという領域は、まさしく共進化が非常に重要であると実感しています。 特に、松尾先生のプログラムのバイオエコノミーには文科省をはじめ、厚労省とか、内閣府とか、経産省とか、今、引継ぎのことも懸念されていましたけれども、かなり活発に他省庁との連携も行っており、同じ会議の座に着いて議論されているということで、大変頼もしく感じた次第です。
共進化とはいえ、今まで行政官の方の関わり方とか、意識が薄いなと感じていたことが度々あったんですが、行政官の方がむしろ積極的にコミットしないと新しい制度設計ができないので、行政官の方がどれだけモチベーション高くコミットできるかというところが、やはり問われているように思います。
ですので、今、引継ぎを少し言語化していくという話もございましたが、この共進化プログラムを通して出てきた成果が、それこそ行政官の方たちの評価とか、モチベーションにつながるような仕組みも必要ではないかなと思っております。
行政官の方が動くことによって、政策研究者がやりたいということが前に進んでいくということもあると思いますし、行政官の方も共進化プロジェクトに関与することで得られる知見とか知識もあると思いますので、前任者が異動するので引き継いでください、というよりは、もう少しモチベーションを高めるような仕組みに持っていってもらいたいと思います。制度を変えることができるのは行政官しかいないので、そういった意味での行政官の伴走が極めて重要なので、行政官の方が、私、共進化プロジェクトに関わっていますということを堂々と言え、共進化プロジェクトに関わっている方が行政官としても活躍できる、そんな素地にしていただくことも重要かなと思いました。
感想にすぎませんが、よろしくお願いいたします。
【有信主査】なかなか難しい問題もあると思いますけど、今のに事務局から何かコメントありますか。
【根津企画官】事務局でございます。直接的なインセンティブというのは、役人のインセンティブってそもそも何なんだろうというところもあるとは思うんですけども。ただ、一方で、まず仕事柄、やはりEBPMというのがずっと言われて久しいですが、きちんとしたエビデンスを基に政策を提案していくというのは、絶対必要な仕事のやり方でございますので、そういったエビデンスをたくさんいただける、しかも、自分の意見も聞きながらつくっていただけるというのは非常に得難い。
言い方は非常に悪いですけど、政策ツールの1つというか、少なくとも私としてはそういうふうに思ってございますので、そういったところの感度が高い人間からすると、非常に参画なりする意義は見いだし得るのかなと思います。
あと、私も最近やっと管理職になったぐらいの年次でございますけども、上の人間、幹部の立場の人間も、やはりそういうことをきちんとやっている人間を評価していくというふうな組織文化を、ぜひ文科省の中でもつくっていく、1つの……。まさに十数年前にSciREX事業が開始されたときに、文科省としては、そういうふうにならなきゃいけないということで、まさに開始した事業でございます。
先生方からすると、まだまだ不十分な点はあると思うんですが、私が若い頃からすると、そういう意識は職員の中でも大分増えてきているというふうに思いますので、引き続き、そういった文科省の中、あるいは政府全体の中の組織文化みたいなところも含めて、この事業のお力も借りながら変えていければなというふうに思ってございます。
事務局からは以上でございます。
【有信主査】どうもありがとうございました。それでは、お待たせしました。
小林委員、よろしくお願いします。
【小林委員】小林です。いろいろな意見と重なるところも多分にあるんですが、今さらではあるんですが、研究者側は、このSciREX事業という形で横の情報交換ができているんです。ところが、行政側というのは縦割りになっていて、行政側がこの事業でどういう動きをしたか、あるいはどういうメリットを受けたか、どういうデメリットがあったかとかを共有されていなかったという面が多分にあるんじゃないかと思います。
もともと行政分野は多様なので、統一はできないにしても、例えば本当だったら年に1回ぐらい、行政側の会合なんていうものを、本当は開いて意見交換してみると、いろんな活用の仕方とかが出ていたんじゃないかと思うんです。今さら言ってもしようがないので、来年までにまとめをしなくてはいけないので、単にアンケートで行政官の意見を聞くのではなくて、できれば、行政側の人たちの総括のためのディスカッションの場を、たとえ1時間でも何でも持ってもらうというのが、本当はいいんじゃないかなという気がします。
以上です。
【有信主査】事務局サイドから、何か可能性とかありますかね。
【根津企画官】事務局でございます。大変貴重なアドバイス、ありがとうございます。それは、やろうと思えばすぐにできる話ですので、もうすぐ国会も閉じますし、早速、企画をしてみたいというふうに思います。
ありがとうございます。
【有信主査】ありがとうございました。ほかに御意見、御質問等はありますか。
では、伊地知委員、どうぞ。
【伊地知委員】ありがとうございます。資料ですが、これは、プロジェクトが取り組まれている研究の内容についての論点を整理していただいたかと思っていて、特に参画していないプロジェクトがどういった取組をされているのかがよく分かって、参考になりました。
それで、恐らくプロジェクトによって異なるので、必ずしも共通することではないかというように思うのですが、今回、始まるときに、プロジェクトによっては行政側の課題設定が極めて行政寄りのものだったというところがあって、そこにせっかく研究者が参画するというところで、本来、こういった問いを立てたときに取り組まれるといいのではないかということを、どちらかというとアドバイザリー委員側が言ったということがあります。
そういったところがあって、一定期間経た中で、研究者の側も検討していただいて、恐らく行政的にもより意味があるような取組に進まれているというように思われるところもある一方で、まだ、括弧書きですけども、行政の「下請的」になりかねないのではないかというように見えるようなところもあります。
やはり、こういった共進化プログラムの中で実施をされているというところなので、ぜひ、いわゆる「下請的」なところではないような、まさに研究者が参画していることによって、あるいは、複数の行政部署が参画しているのであれば、そういった行政部署に共通して関わる、又はどこかの部署の間に抜け落ちてしまうというようなところをうまく拾い上げて、政策提言につながっていくような、そういったプロジェクトとして、今後も進むことが期待されます。そういったところを、ほかのプロジェクトを見られている方とも共有させていただければと思います。
私からは以上になります。
【有信主査】ありがとうございます。貴重な御提案だったと思いますが、事務局、何か言うことはありますか。
【根津企画官】いえ、特にございません。ありがとうございます。
【有信主査】ありがとうございます。それでは、時間もちょうど予定した時間になってきましたので、ほかに特に御質問、御意見がある方、いらっしゃいますか。
ないようでしたら、引き続き、3番目の議事に移りたいと思います。
最初に申し上げましたように、ここからは非公開の議題となりますので、事務局は傍聴者に退室を依頼してください。
【根津企画官】事務局です。そうしましたら、アドバイザリー委員以外の傍聴の皆様におかれましては、退室いただくようお願いいたします。しばらく確認しまして、退室されていない方がいらっしゃるようでしたら、強制的に退室していただきます。
(傍聴者退室)
<【議題3】非公開議題>
「政策科学に関する今後の検討について」について意見交換を行った。
【有信主査】どうもありがとうございました。それでは、これで第21回の科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」アドバイザリー委員会を終了したいと思います。
本日はどうもありがとうございました。御退室ください。
―― 了 ――
科学技術・学術政策局研究開発戦略課