科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」アドバイザリー委員会(第13回) 議事録

1.日時

令和2年9月11日(金曜日)13時~15時30分

2.場所

オンラインにて開催

3.議題

  1. SciREX事業成果とりまとめの状況について
  2. 共進化実現プログラム(第IIフェーズ)の検討・調整状況について
  3. 第II期(平成28年度~令和2年度)中間評価の実施について
  4. その他

4.議事録

科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」アドバイザリー委員会(第13回)

令和2年9月11日


【有信主査】
 それでは、ただいまより第13回の科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」アドバイザリー委員会を開催させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席いただき、誠にありがとうございます。
 昨年度、持ち回りで開催を行いましたが、対面での当委員会の開催は久しぶりとなりますので、事務局より資料の確認と出席者の紹介をお願いします。

【植田室長補佐】
 まず資料の確認から行わせていただきます。議事次第の2ページ目に、本日お配りしている資料の一覧を載せておりますので、出席者の皆様におかれましては、各自確認をお願いいたします。不足等ありましたら、事前にお送りしているメールを再度確認いただくか、事務局まで架電にて御連絡ください。
 おそろいでしたら、出席者の紹介をさせていただきます。本日ですが、委員の皆様については、吉本委員が欠席となっております。また、発表者、オブザーバーとして、関係機関より、RISTEXセンター長、森田様、NISTEP所長、磯谷様、CRDS上席フェロー、岩瀬様、政策研究大学院大学客員教授、有本様、一橋大学イノベーション研究センター教授、江藤様、RISTEX、大部様、SciREXセンター、岡村様、安藤様に御出席いただいております。
 文部科学省からは、科学技術・学術政策局長の板倉、大臣官房サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官の行松、大臣官房審議官で、科学技術・学術政策局担当の梶原、科学技術・学術政策局、企画評価課長の横井、科学技術・学術戦略官の山下、科学技術・学術政策局付の赤池が出席しております。
 事務局を代表いたしまして、局長の板倉より挨拶をさせていただきます。

【板倉局長】
 科学技術・学術政策局長の板倉でございます。私は7月28日付で、前任の菱山から引き継ぎまして、政策局長に着任しております。本日もよろしくお願いいたします。
 会議の開催に当たりまして、まず一言御挨拶をさせていただければと思います。文部科学省におきましては、この事業に着手してから、今年で10年目を迎えることができました。この間、拠点大学における人材育成あるいはRISTEXによる公募型研究、NISTEPのデータ基盤の情報データ基盤の整備など様々な取組を、試行錯誤を重ねながら行ってきたわけでございます。こういった取組の中で、委員の皆様方をはじめとして、関係者の皆様方には多大なご協力をいただき、深く感謝を申し上げます。
2011年にこの事業を開始しまして、科学としての「政策のための科学」の学問としての在り方、広がりが始まったわけでありますが、当時はまだエビデンスベースの政策立案といったことは、まだまだ政策の現場からはちょっと離れたものというような感じがしておりましたが、今日では、政府全体でエビデンスベースの政策形成を行っていこうということで、様々な議論が行われるようになっており、状況が大きく変化してきたところでございます。
また、一方、今年の通常国会で、科学技術基本法の一部が改正されまして、来年、令和3年4月1日より、この科学技術基本法の振興対象に、「人文科学のみに係る科学技術」も含まれると。今までは「人文科学のみに係るものを除く」というような条文でしたが、それも含みながら推進していくということになりました。これはこの政策のための科学の重要性というものが社会の中でますます重要になってくるのではないかと考えているところでございます。
本日の委員会では、そのような御報告もございますが、委員の先生方におかれましては、ぜひ本事業の運営全般につきまして忌憚のない御意見、御指摘を賜れればと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
すみません。公務の都合上、挨拶のみで退席させていただきますが、議論のほど、よろしくお願いいたします。失礼いたします。

【植田室長補佐】
 ありがとうございました。本日の委員会につきましては、当委員会の設置規則に基づき、公開の会議となりますので、終了後、委員の皆様に御確認の上、議事録を公開させていただきます。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局からは以上です。

【有信主査】
 ありがとうございました。特段、疑問点がないと思いますので、議事に入らせていただきたいと思いますが、何かありますか。
 手が挙がっていないようなので、それでは、議事に入らせていただきます。
 それでは、まず、「SciREX事業成果とりまとめの状況について」、事務局及びSciREXセンターより説明をお願いします。

【山下戦略官】
 事務局の戦略官の山下です。よろしくお願いします。最初の議事の成果の取りまとめについて、今年10年目ということで、中間評価も控えているということもあり、事業全体の成果をまとめ、対外的に見せられるようなものにしたいと思っています。誰にも分かりやすいという視点で見ますと、行政でどう利活用できたかが非常に大切だということもありますし、研究成果の発展、活用の仕方を変えていくようなところも含め、方向性を示すことがポイントになるかと思います。これは年度末までに作業を進めさせていただこうと思いますが、現段階でどのようにまとめているのか、SciREXセンターから説明をさせていただければと思います。岡村さん、引き続きよろしくお願いします。

【岡村SciREXセンター専門職】
 政策研究大学院大学の岡村と申します。「SciREX事業成果とりまとめ」ということで、進捗状況の報告をさせていただきます。
 山下戦略官から話がありましたが、特に政策と科学の共進化という観点を見据えて、成果を取りまとめるということ、また、中間評価を迎えていますので、そのための自己評価や事業10周年に当たっての総括及び情報発信に資することを目的としております。
 全体として3つのパートを考えております。第1部としては、具体的な制度設計・政策議論に貢献した事例を取り上げ、第2部については、中長期的な政策研究基盤・ネットワークの形成をしているかどうかという観点で取りまとめたいと思います。第3部に関しては、政策形成・実務を中心として、人材育成・教育としてどういった取組があったかをまとめています。
 2011年度にSciREX事業は始まりましたが、それ以降行われた拠点大学、RISTEX、NISTEP、SciREXセンターの関連する取組を取り扱いたいと考えています。人材育成も、拠点大学のプログラムだけではなく、拠点間連携のサマーキャンプや行政官に向けた研修も取りまとめたいと思います。
 スケジュールに関しては、今年に入って議論を始め、まだ途中ですが、第1部、第2部に関してはできるだけ今年中、第3部に関しては、今年度中に取りまとめたいと思っています。
それでは、それぞれのパートについて説明します。
 第1部に関しまして、こちらは具体的に政策に結びついた事例というものを取り上げ、科学と政策の接点というか、共進化のところで何が、どういったことがあったのかというところに主に注目して取り上げたいと思っています。現在のところ、こちらの資料にある3つのプロジェクトを取り上げています。具体的なところを簡単に説明いたします。
 資料1-2をお願いします。まずは、これはSciREXセンターのデザイン領域ということで、関連するプロジェクトを併せ、角南先生が取りまとめてくださっているプロジェクトになります。国家的課題として非常に大きな政策的ニーズが潜在的にはあるが、どこが受けるのかが未定という問題が多種あると思います。こういったものに対し、アジェンダセッティングをしていただき、これまで議論していたものから少しフレーミングを変えていったりすることにより、実際の政策実装を加速させていくような事例と捉えられることができると思います。
 幾つか取組みがあります。科学技術外交政策であったり、北極圏の政策、それから、デュアルユースに関して、あとはイノベーションにおけるアクセラレーションなど、アクセラレーターの取組などがございます。
 1点だけ簡単に説明いたします。科学技術外交政策に関するプロジェクトでございます。2枚目をお願いいたします。
 こちらは、科学的な問題を外交の問題と結びつけたところと、サイエンスアドバイザーの問題ですね。非常にニーズが高かったものの、なかなか政府内で動かなかったところを、この2つのイシューをつなぎ合わせることで、外務省の科学技術顧問制度に実際に結びつけたというところで非常に大きな貢献をしたと言えると思います。科学技術政策から見ても、ハイポリティクスである外交にイシューとして位置づけられたというところが非常に大きな貢献ではと思います。
 我々の取りまとめとしては、特に政策と科学の共進化のところでどういった仕組みを作り込んでいったのかというところを主に中心に取り上げ、政策形成プロセスに密接に基づいた取組みがあったということを取りまとめることになっております。これは他のプロジェクトについて現在、取りまとめをしているものになります。
 続いて、次のプロジェクトに移りたいと思います。資料1-3、SPIASに関してですが、こちらはSciREXセンターで、黒田先生を中心に、政策の経済、社会的影響評価に関する領域が立ち上がっておりますが、そのプロジェクトです。
 こちらも社会的・経済的影響評価を図るためのシステムを大きく2つに分けて作っております。システムを作っていること自体も大きな成果ですが、それを行政官がデータに基づいて政策効果を議論していく基盤として使うところが、特に共進化という観点では大きな成果と言えるのではないかと思います。
 SPIAS-β、SPIAS-eがどういったシステムになっているかというのは、資料を見ていただければと思いますが、簡単に説明いたしますと、βのほうはミクロなレベル、研究者や研究機関などのミクロなレベルで、競争的資金の公的ファンディングのデータ、特許や論文データ、あとは詳細な技術分野のデータを一貫してトラックできるデータベースになっています。
 SPIAS-e、こちらは政府のR&D投資の産業別の配分に関するデータで、その配分が変わった際、生産部門の構成や生産性など、経済部門にどういった影響があるかというところを測定可能なシミュレータになっています。将来的には、こちらのβとeを結びつけることにより、公的ファンディングが最終的に産業別生産性や、産業構成にどういう影響を与えるかということを一貫して測定するものになっております。活用使途は資料を見ていただければと思います。
 続きまして、3番目のプロジェクトですが、資料1-4をご覧ください。これは西浦先生のプロジェクトで、RISTEXで既に終了しております。感染症対策における数理モデルを活用した政策形成プロセスの実現というプロジェクトです。
 2枚目をご覧ください。こちらは予防接種やHIV、新型インフルエンザの問題などを数理モデルを開発し、推定値などを出せるようにしています。研究自体、非常に大きな貢献であると同時に、実際、制度設計を変えているというところが重要になります。予防接種法の改訂や、HIV感染者数の推定においてプロジェクト成果が活用されるなどです。新型インフルエンザの感染拡大シナリオ想定の改訂の際も同様です。
 ただし、これも研究成果があったから(自動的に)政策につながったということではなく、その間の橋渡しのところ、ここでも非常に汗をかかれてやられていたことが重要な点です。ここでは他省ですが、緊急時の相談体制の構築や、人事交流のネットワークの形成など、政策と科学の共進化のための様々なプロセスを構築されたことが大きな貢献になります。
今、3件ほど駆け足で御紹介いたしましたが、研究と政策の共進化を中心にまとめていくというのが第1部の取りまとめになります。
 続いて、第2部の取りまとめです。資料1-1の2ページ目です。こちらはSciREX事業に関連する研究プロジェクトといっても、第1部のように、具体的な制度変化までつながらなかったプロジェクトも多々あります。それらは、今後の共進化に向けての研究シーズの可能性も秘めているので、我々がやってきたプロジェクトの研究シーズというのを俯瞰的に可視化するのが、第2部の取りまとめの目的です。ただし、科学技術イノベーション政策研究というのはやはり融合領域であるので、どういった形で全体を取りまとめるかというのは議論があり、また判断に迷うところです。とりまとめの土台としたのは、第2期、2016年から拠点大学・関係機関が中心となり、「政策のための科学」のコアコンテンツというのを作っています。こちらもまだ完成形ではないですが、できているところをウェブで公開しております。そこで行った議論をベースにしながら、第2部はまとめていきたいと思っております。
 具体的なものを見ていただければと思いますので、資料1-5をご覧ください。資料1-5にSciREX研究プロジェクトの俯瞰図がございます。2枚目をご覧ください。
我々がサイエンス・クエスチョンと呼んでいるものがありますが、これに基づき、プロジェクトのマッピングを行っております。このサイエンス・クエスチョンは、科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」における、研究と政策にまたがる問いであり、コアコンテンツを作る前に拠点大学・関係機関と共に構造化しました。今回は第1レイヤーまでしか見せておりませんが、もう少し詳細なものまで作っております。
 簡単にそれぞれの領域の意味づけを言いますと、一つ目のSTIダイナミクスというところは、イノベーションがどういうふうに起こり、またシステムとしてどういうものが必要なのか。二つ目としてSTI政策としてガバナンス及び政策形成プロセスには何が必要なのか。それから、エビデンスや政策におけるSTIの役割であったり、共進化というのはどういうふうに起こるかという問いかけをしています。
 三つ目のSTIと社会は、科学技術に対し、社会は何を求めるのか、信頼やリスクの問題、それから、競争、市民参加の在り方などに関しての問いです。
4番目は、STI政策の社会経済的インパクト評価です。これはSTI政策における政策効果をどのようなデータや方法論で捉えるのか、どういった評価が行われているかということです。
 現時点では、あくまでも事務局側の主観によりますが、サイエンス・クエスチョンを、関連する研究プロジェクトに紐づけています。色の違いは、タイムフレームや、プロジェクト種別の違いです。これを拠点大学、RISTEX、NISTEPで試験的に行っており、今日は時間がないのであまり説明しませんが、それぞれ特徴があると思います。
 資料1-1に戻ってください。全体像を俯瞰してのマッピングを今ご紹介しましたが、テーマごとの研究プロジェクトの中身から得られた知見をまとめ、文章化することを今後行います。
 続いて、第3部に移ります。4ページ目をお願いいたします。まずSciREX事業では、5拠点6大学で様々な人材育成プログラムを実施しており、政策や研究に関わる多様な担い手を育成していますが、そういう人たちの具体的な進路を本年度後半にかけ、フォローアップ調査を行います。その後のキャリアパスと成果も含め、レビューをしたいと思っています。
 それから、学生向けだけではなく、行政官や実務家に向けた人材育成も行っています。行政官研修もここ5年ほど実施しています。また、行政官が研究活動に参加し、実際の政策形成・実施への橋渡しをすることも念頭に政策リエゾン制度を、SciREXセンターと文科省が共同で取り組んでいます。これも一種の人材育成の効果だと思いますので、そこについても取り上げたいと思います。
 こういった多様なプログラムを全般的にまとめるのが第3部になります。私からの説明は以上になります。

【有信主査】
 どうもありがとうございました。沢山の説明でしたが、この内容について御意見、御質問等ありましたら挙手をお願いします。

【有信主査】
 狩野先生、どうぞ。

【狩野委員】
 非常にクリアな説明でした。ありがとうございます。
 1つのことを2つの方面からお伺いできたらと思ったのですが、こういう取組では、科学と政策がうまくつながってくれることが一つの大きな目的だと思っています。それで、どういうときにこの科学側の提言が政策側にうまく受け入れられたのか。どういう状況がそろえばそれができたのか、それから、どんなときには政策側の必要が科学にしっかり受け止めてもらって、研究というふうに動いていったのか。うまくいっていないほうは書きにくいと思うので、うまくいったときだけで結構ですが、どんなときにうまく行くのかというのを補足していただけるとありがたいと思ったのが1つ目です。
 それに関連して、それを上手に回すためにセンターは一体どういう働きができるのか、それも含めて報告をしていただけると、今後に活用できると思うので、ぜひ御検討いただければ。

【有信主査】
 ありがとうございます。何か御意見ありますでしょうか。

【有本政策研究大学院大学客員教授】
 では、私が。

【有信主査】
 はい、どうぞ。

【有本政策研究大学院大学客員教授】
 私が割って入ってすみません。今の狩野先生の御指摘は非常に大事で、先ほど岡村さんが事例として挙げたのは、みんな一つのストーリーとしてのケースでしかないわけですね。狩野先生が言われたのは、そういう意味ではないかと思います。後で私から御説明しますが、できるだけ我々の事例や経験を一般化し、他のものに転換できるかというところは非常に大事な指摘であり、できるだけそれは努力しようと思っています。
 率直に申し上げますと、例えば今のCOVIDで、世界的に科学助言システムというのは、今、各国も含めて大きく動揺しているということで、そういったところもある程度整理した上で、中間評価に臨みたいと考えています。以上です。すみません。

【狩野委員】
 取りあえずお礼を申し上げます。ありがとうございました。よく分かりました。

【有信主査】
 どうぞ。

【小林委員】
 小林です。今の有本さんのお話と若干関係がありますが、今日まとめていただいたものを、これからまた中間評価に向けてやっていくと思うのですけども、1年分のプロジェクトでも、10年分のプロジェクトでも似たような作りのような気がします。10年間やったということは多分、途中の環境変化もあるし、先ほどのCOVIDの話のように、ダイナミックに変わってきたことというのはあり得ます。また、環境条件によってうまくいった部分はあるでしょうし、そういう10年間のタイムスパンの中で、いろんな環境変化に対してうまくいったところ、いかなかったところも含めて、整理してもらうといいのかと思います。1年分のプロジェクトをまとめてもあまり変わらないような印象を受けました。ダイナミックな流れがつかめるといいなという感じです。実際にどうやってそれを表現するかは難しいですが、個別の各内容の中で書くのかもしれませんし、あるいは総括的な書き方を頭のほうでするというようなことになるかもしれませんが、そこは工夫していただければと思います。要望です。

【有信主査】
 ありがとうございました。
 それでは、あとは、小寺先生、どうぞ。

【小寺委員】
 どうもありがとうございます。大量のいろんなデータとか、アクティビティの中でまとめていただくのは大変だと思います。今の小林先生の意見ともちょっと関係しますが、政策も科学も、10年もやっていればどんどんダイナミックに変化する部分もあると思います。これはちゃんとアセスメント作業が必要で、そうした計画を少し入れるか、中間報告の中で少し書き込むかということが必要かと私は思います。
 予想と結果はずれていても構わないですが、一方でダイナミックに追いかけていたものが一体どういうふうに見えてくるのか、それから、その際何を見るべきか、いろいろ考察する良いきっかけになると思いますので、その部分も検討いただければと思います。
 以上です。よろしくお願いします。

【有信主査】
 ありがとうございました。
 長岡さん、どうぞ。

【長岡委員】
 このまとめの基本的な方針は、とてもいいとは思います。しかし今日、事例として挙げられたものについて若干疑問があるのは、政策と科学の共進化についてです。政策としてすばらしいものができたということはある程度分かりますが、科学的エビデンスが政策変化にどうつながったかという点は不明です。例えば科学技術顧問というのはすごく重要な制度だと思いますし、それが実現したプロセスは書いてありますが、科学的エビデンスの活用方法についてはあまりよく分からない。非常にうまくいった例として考えていいのかについては、疑問に感じました。

【有信主査】
 ありがとうございました。奥和田さん、どうぞ。

【奥和田委員】
 ありがとうございます。私も皆様と重複する意見がありますが、SciREXが10年たって、具体的な変化の部分がないと不足に感じるのではないかということが一点。
 それから、もう一点は、これをプロジェクトあるいはSciREXの外から見て、どう見えるのか、意識や視点をもう少し高めないといけないと思います。これをもって中間報告とするには、何か不足感を外部の方がお持ちになるような気がして、その2点が気になりました。

【有信主査】
 分かりました。ありがとうございます。
 それでは、伊地知先生、どうぞ。

【伊地知委員】
 3点あって、その1点目は、奥和田さんと同じです。この機会に関わっていない方に対しても、この10年間の取組がそれなりに意義があったということを示すまとめ方が重要だと思います。特に政策に関わってきたところについて、単に記述するだけではなく、例えば政策文書等があるとすれば、それがすぐ参照できるようなものがよいと思います。
 2点目も、前の幾人かの委員の先生方と重なりますが、今回取り上げられていたダイナミクス、例えばRISTEXの西浦プロジェクトのお話があったと思います。事例として挙げられるというのは、たまたまCOVID-19というようなことがあったからこそ、その取組の意義が非常に重要であったと思いますし、なければ認識されなかったかもしれないということだと思います。よって、そういった環境変化の影響ということは重要だということも踏まえ、まとめていただくとよいかと思います。
 3点目は、先ほど長岡先生がおっしゃった、単純に科学的な研究成果ということだけではなく、科学をどう使っていくのかという、その政策プロセスのところで変化を及ぼしてきたというのが、おそらく西浦プロジェクトの例、あるいは科学技術外交ということではないかと思います。つまりこの10年間の取組がどう意義があったかです。一方で、そのことが政策形成のプロセスのところを変えてきているのかどうか、外部の方々にも分かるような示し方をされていくとよいと思います。

【有信主査】
 ありがとうございました。山下さん、どうぞ。

【山下戦略官】
 私は事務局なので、もう一つ大切な視点があり、補足します。1期から2期、最初の5年から今の5年に至る環境変化のお話を少し前段かどこかに入れる必要があると存じます。
それは何かといいますと、まずSciREXセンターというつなぎ役が設置されました。短期間でここまでまとめられたのは、センターの力だと思います。その点を環境変化として挙げたいのが一つです。
 もう一つは、委員の先生方は、もともと最初の5年は推進委員会という立場で関わっておられましたが、それが広い視点で助言をいただくというアドバイザリー委員会に変わり、推進の責任については文部科学省とSciREXセンター、各拠点、各関係機関、更にそれを統合するSciREX運営委員会というものをきちんと設置するという立てつけに2期から変わっています。最終まとめに向けては、そういう事実関係や背景をきちんと言及させていただくことが適切かと感じましたので、補足します。

【有信主査】
 ありがとうございました。何人かのアドバイザーの方から出た、この10年間を見てという、1期、2期の間で、実際の運用方針も変わり、あるいは1期の中でも具体的に示すべき成果も表れていて、全体が見渡せるようにしてほしいという話と、それから、狩野先生から御指摘のあった、言わば科学と政策とのお互いの共進化が生きるという話。これはほかにも御指摘がありましたが、具体例を示すというのは、ある意味、分かりやすいのですが、どこまで抽象化をするかという話でもあります。俯瞰図のような観点を踏まえつつ、共進化の形をどこで一般化・抽象化して線引きするか。これはかなり難しい宿題だと思いますので、御検討いただきます。
 ほかに御意見、あるいは、もう少しここをきちんと入れろというような話がありましたらどうぞ。

【田辺委員】
 田辺です。

【有信主査】
 はい、どうぞ。

【田辺委員】
 各先生方が言われたものとは少し別の視点ですが、今回このSciREX事業の中で、以前と比べ、政策のための科学や政策のための研究が拡大したというのが、非常に大きな成果だと思います。どう政策にどう結びつくかということも重要ですが、そのベースとなる基盤が形成されてきていること、つまり、長期的にどうかという以前に、短期的と言うとおかしいですが、過去の10年間で研究者側の意識も変わって、多くの研究成果が出ていることをきちんと示すということが、重要ではないかと思いました。

【有信主査】
 ありがとうございます。
 そういう意味では、成果をどういう形で示していくかというところで、焦点を少し変えた視点も必要ではないでしょうか。どこまでできるかという問題はあるかもしれませんが、今の意見を踏まえ、ぜひ今後の取りまとめをよろしくお願いします。
 反論などはありますか。

【岡村SciREXセンター専門職】
 非常に難しい課題、問題を投げかけていただいたと思いますが、我々としても非常に納得のいく本質的なポイントですので、できる限り様々な方と議論しながら進めていきたいと思います。

【有信主査】
 御苦労さまですが、よろしくお願いします。
 それでは、ちょうど時間も過ぎてまいりましたので、次の議題に移りたいと思います。
 来年度開始予定の新たなプログラムについて、事務局から説明をお願いします。

【植田室長補佐】
 それでは、共進化実現プログラム(第Ⅱフェーズ)の検討、調整状況について御説明させていただきます。
 共進化実現プログラムは昨年度より開始し、現在行っているプロジェクトは、参考2-1となっております。開始より1年以上たち、これまで成果報告会などを行ってきており、アドバイザーからの助言も取りまとめています。こちらは参考2-2,2-3とさせていただいております。委員の皆様、御協力いただきまして、どうもありがとうございました。
 現行のプログラムは、2年間のプログラムとして試行的に取り組んでおりましたが、これらの実施状況やフォローアップを踏まえ、来年度より第Ⅱフェーズとして、より発展させるプログラムを実施予定です。
 資料2-1を御覧ください。第Ⅱフェーズの概要の資料となります。現行のプログラムの違いといたしましては、政策ニーズを庁内の研究部局のみならず、教育部局や官房の取組と連携して募集することとなりました。また、参画する研究者もSciREX補助金の拠点の大学のみならず、NISTEPやRISTEXの研究者にも参画いただける仕組みといたしました。現在、政策ニーズと研究者シーズが取りまとまった段階でございます。
 なお、政策ニーズ提案については、省内で募集を8月27日に締め切りましたが、20件以上の応募がございました。今後の進め方について、資料2-2を御覧ください。
 今後はこれらの政策ニーズと研究者シーズのマッチングを行い、共同で政策課題を設定して課題を選定していくこととなります。審査については、現行のプロジェクトと同様に、外部委員会を設置し、課題の選定を行います。第Ⅱフェーズでは、この委員会において、新規の課題選定のみならず、来年度以降、ステージゲートも実施する予定です。
 来年度以降の進め方について、2枚目を御覧ください。現行プロジェクトと同様、成果報告会などで進捗管理を行う予定でございますが、先ほど申し上げたステージゲートを新たに導入することを検討しております。こちらはFS採択の課題を本採択に発展させたい場合と、本採択課題の継続の合理性が低い場合にプロジェクト実施者、自らの提起によって実施することとなります。これはプログラム全体のメリハリづけを目的としております。
 また、来年度以降も新規課題の採択も行っていきたいと考えております。
 今後のスケジュールでございますが、5ページを御覧ください。提出された政策ニーズについては、既に共同で実施する研究者の想定されているものと、そうでないものがございます。円滑にマッチングが成立したものについては、確実に4月1日に補助金を交付できるよう、先行して審査を行うことも検討しております。
 6ページを御覧ください。既に御説明した事項も含まれており、詳細は御覧いただければと思いますが、例えば第Ⅱフェーズでは、現行のプロジェクトは異なり、政策のリエゾンを積極的に活用し、課長級以下のリエゾンによるプロジェクトマネジメントのサポート、指定職以上の政策リエゾンによるプログラムレベルでのマネジメントのサポートをしていただくことなどを検討しております。
 また、将来的には共進化実現プログラムの取組を行政側は文科省のみならず、霞が関全体に、研究者についても幅広い研究者が参画できるよう、方向性を検討したい旨、御紹介させていただきます。
 私からの説明は以上でございますが、事務局の山下より補足説明をさせていただきます。よろしくお願いします。

【山下戦略官】
 このままのページを開けておいてください。先生方ともずっとこれは御相談をさせていただき、様々な方の御意見を伺って、実はこのページが一番大切なページかと思っていますが、今、来年度から始めようとしている取組そのものよりも、15年目を見据えて、この共進化のプロジェクトを作っていきたいと考えています。SciREXはこの共進化だけの取組ではありませんが、作っていけるという仕組みを維持、発展させるにはどうしたらいいかという意味で、やはり将来の姿が大切だという御指摘はたくさんいただきましたので、この一番右の欄をつけ加えさせていただきました。
 今、植田さんから説明していただいた通りですが、やはり大切だと思っていますのは、なかなかプロジェクトマネジメントとプログラムマネジメントという概念がはっきりしていなかった面もあると。そこは作りながら柔軟に考え、変更する必要がありますが、ただ、この共進化を作り上げるという全体の仕組みの実施と、評価のサイクルと、一つ一つのプロジェクトをどうやって回していって、いいものを伸ばし、課題があるものを考え、その考えて、当事者だけでは難しいときのためにメンターのような形の政策リエゾンの使い方、あるいは、SciREXセンターの関与の拡大を模索と書いていますが、研究者サイドでも、もしかしたらメンターみたいなものが必要なのかもしれませんし、プロジェクトを進めながら、あるいはプログラム全体を見ながら適切な修正をかけていくという視点が大変大切なのかと。
 仕組みもプロジェクトも全て現在進行形であり、チャレンジして進めさせていただいているもので、より難しくなってまいりますが、考えていく必要があるという意味で、この座標軸の現在と過去と、現在と未来というものを整理しました。
 加えて、これも一人一人の行政官、あるいは一人一人の政策研究者の立場で、いろんな御意見があって、関わっているプロジェクトや断面、取り上げる領域などでお考えが違うところももちろんたくさんあるのですが、共通の気づきや留意事項といったものは、この共進化プロジェクトのみならず、これまでSciREXが10年進めてきた中で、ある程度共通性があるものもあろうという御意見で、これもアドバイザリー委員の先生もそうでしたし、それ以外の関わっている人からも,そういうものをやはりまとめたほうがいいという御意見をこの半年ぐらいずっといただいていました。
 これも議論していく中で、共有知の分は共有知でちゃんとまとめ、違いがある部分は違いとして併記するような形の手引書というか、マニュアルが整備されていくのが望ましいかと個人的には思っています。現在、まだそこは出来上がっていませんが、今後検討していきたいと考えています。
 説明は以上でございます。

【有信主査】
 どうもありがとうございました。
 ほかにも事務局サイドからの説明はないですよね。

【山下戦略官】
 はい。以上です。

【有信主査】
 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に関して、御意見・御質問等ありましたら、どうぞよろしくお願いします。手を挙げてください。
 それでは、また、例によって狩野先生から行きましょう。はい、どうぞ。狩野さん。

【狩野委員】
 今回、改めて思うのは、違いを生かすためにはどうしたらいいかということだと思っておりまして。違いを生かすには、結局のところ、共通点を見出すしかないのですが、共通項がどこにあるかというのを探す手伝いをする人がいるという発想の御見解だったかと思っています。なので、ブリッジする人、あるいはメンターをする人は、ぜひ共通点をしっかりお互いが把握し、だからこそ、違いが生かせるという方向をうまくドライブしていただきたいなと思っております。
 以上です。

【有信主査】
 ありがとうございました。
 それでは、小寺先生、どうぞ。

【小寺委員】
 どうもありがとうございます。先ほど山下さんが提示されたページはとてもいいことがいっぱい書いてありますが、第Ⅱフェーズと書いてある中で、例えば人事異動に伴い、こういうものの検討が継続できないというのは非常に大きな問題で、かつ政策サイドにいる人たちがずっとこういう問題を考えていく。それから、そういう中でデータや研究側の共進の中で、いろいろ疑問を持って、それに対して何か自分たちで答えを作ってみるという作業はとても重要だと思います。
 それで、リエゾンの人がある程度の枠をはめたり、こうしないと駄目だというのではなくて、やはりいろんな人たちの意見をどういうふうにきちんとテーブルに載せていくかということに努力していただきたいなと思います。
 以上です。

【有信主査】
 どうもありがとうございました。
 ほかに御意見はありますか。

【奥和田委員】
 ありがとうございます。将来のところに書いてあったことで、ひとつ気になるというか、割とサラッと書いてはあるけれど、実は難しいという部分について、コメントさせていただくと、以前から各プロジェクトの様子を見ていると、これはある意味、科学技術だけの問題ではないとか、文科省だけの問題ではないというものが数々挙げられてきたと思います。
 それで、そういうのをやはりつなぐ必要があるというのは重々この10年間、感じてはいるのですが、行政側がネットワークを広げるということを担えるのかどうかというのはまだ希望的観測としてはありますが、具体的には難しいかと思います。
 また、研究者同士で今、ネットワークというか、個人的なつながりのようなものはあるけれど、研究あるいは行政とのつながりのところで相談ができるような、ある意味、メンターみたいなものが必要だとのことですが、どこが担うのかというのは、やはり詳しく具体性を持って言わないと。言うのは簡単ですが、軽々しくは考えられないというところもあり、やるなら真剣にその辺は具体化していかないと、できないのではないかと思います。
 これはなかなか自分たちだけでこうしたいと言ってもできる問題でもないので、話を広げ、報告書みたいなものをもっと外にアピールしていかないと、なかなか実現できないのかと思います。

【有信主査】
 どうもありがとうございました。小寺先生からのまた違う視点からのコメントもありましたが、山下さん、何か今まで出た御意見に関して、具体的に考えていることはありますか。

【山下戦略官】
  非常に本質的な御意見ばかりなので、即座にお答えするのが難しいですが、いずれもおっしゃっているとおりです。文科省とセンターが中心になって、そこをどう実現していくのか。対外的に分かりやすい報告書ですと、皆さんに読んでもらえるし、ああ、ここと一緒にジョイントしたいなと感じてもらえるようなものをどうやって作っていけるのかというのはとても大切な視点だと思います。奥和田さんのお話しにありましたように、科学技術のみならず、せっかくイノベーション政策までウィングを広げてということですので、そうなってくると、内閣府や各省になりますが、今の私の見立てでは、文科省の中の信頼関係がある政策リエゾンだからこそ、文科省の施策のつなぎはできますが、文科省の政策リエゾンが他省庁のプロジェクトとか他省庁の事業に物を申すと、何でお前がそんなことを言うんだという指摘が役人としては容易に想像できるので、これは相当ハードルが高い。したがって、もしこの仕組みが本当に正しく、一定の成果を生むのであれば、他省庁にもそういう人をやはり作っていかなければいけないということになるります。それはほぼ一からになるかという気も個人的にはしていますが、本当にハードルが高いのですが、それをやるためにもやはりここでいいサイクルが、いいプロジェクトが、いいプログラムマネジメントができているということが対外的に理解してもらえるような仕組みを作るのは、ニワトリと卵なのかもしれませんが、急がば回れというか、やはり着実にそこは足をつけてやっていくことが結局は大切なのかと私は感じています。奥和田先生の御指摘の部分についての具体的なソリューションは、私も軽々しく言える立場ではないと思っていますが、現時点ではそのように考えております。

【有信主査】
 ありがとうございました。何か将来に向けて具体的なしかけのようなものが考えられるといいかとは思いますが、これもそう簡単ではないかもしれないですね。ありがとうございました。
 それでは、有本さん、手が挙がっていますね。どうぞ。

【有本政策研究大学院大学客員教授】
  回答ではありませんが、先生方がおっしゃっていることは非常に大事で、奥和田先生も言われましたが、外に広げていくと。最初からこれは文科省だけの仕事だけじゃないねということは各省連携、総合科学技術会議というところで、それをどうやって次の最後の5年の、補助金にもつながるといいますが、そこでシミュレートして、その後のインスティテューショナルなコラボレーションにつながっているかというと、正念場だと私は思っています。そういう事例、例えばもうSDGsあるいはSosiety5.0は研究ですよね。各省が全部結集しないとできないわけだから、文科省の中でも縦割りで今やっているところをどうやってブレイクするのか。それから、科学技術と教育のところを、山下さんのおかげで少しそれが広がり出したと思いますが、我々がしっかりコアになった上で広げていくというところかと思います。
 抽象的ですが、以上です。

【有信主査】
 ありがとうございました。
 ほかに御意見ありますでしょうか。
 これについては、今言ったように、将来に向け、かなり難しい課題として、例えば文科省内あるいは文科省外にとって具体的な政策を考えていかなければいけない方向に、どういう形で架橋していくか、あるいはそういうネットワークを広げていけるかという課題は、常に頭に置きながらやってほしいということで、ステージゲートその他については、特段コメントありませんでしょうか。
 奥和田さん、どうぞ。

【奥和田委員】
 ステージゲートについてはあまり詳しいお話がなかったので、後で聞こうかと思っていましたが、ステージゲートのようなもの、考え方を導入するというのは、いろんなところでも言われていますし、私は反対でも何でもないのですが、やはりあまり軽々しく言えない言葉でもありまして、これはたくさんのものを試行するけれども、どんどん落として絞っていって、どんどん実装のほうに近づけるということを意味していますので、例えば研究者側からすれば、とても厳しいことを言われるようなことになってしまうわけですよね。例えばより政策に実装しろというプッシュも強くなるでしょうし、駄目なものは途中でやはり落としていくというものを強めなければ、ステージゲートというものは実行できないので、やはりそういうことをやっていくのだということを認識された上でこの言葉を使っているのか、確認させていただきたい。

【有信主査】
 事務局サイド、今の御意見、どうですか。

【山下戦略官】
 私から説明させていただきます。
先ほどの資料2-2の2ページ目にステージゲートの目的と対象を少し書かせていただいていますが、一般的に捉えられているよりもより弱い言葉のほうが適切だったのかもしれません。なかなか難しいです。
 人事異動の問題はメンターで解消できるのかもしれませんが、どちらかというと、ステージゲートにかかっていくような運用なのかということが、言葉でなかなか伝わらない形になっています。かつ、FSも真剣にやはり、まだお互いがコミュニケーションはこれからですというタイミングなので、1年勉強しますということだと思いますが、きちんと捉えて、プロジェクトでできるし、政策の活用についても何らか新しいイノベーションを起こせるんだということがある程度見えてきたものは、ちゃんともう一回手を挙げられますよということを位置づけしたいということでございまして、現行のものはFSが3課題で、本採用9課題としてスタートしましたが、これをどう扱っていいか、最初にルールが決まっていなかったので、率直に言いますと、取扱いに苦労しました。
 要は、今もそのままの状況になっているわけですが、ここを本当にどうしましょうかと。それはやはり座談会や、常日頃からのフォローアップですとか、きちんと皆さんとプロジェクトをやってらっしゃる行政官と研究者の方とやや並走しながら、何か現場の思いと全く違うものを導入するという趣旨のものではないので、確かにこれは言葉の置き方を工夫してもいいのかもしれません。ただ、思いとしてはそういうことで書かせていただいている形になってございます。
 今日、この中には入っていませんが、今後、課題選定をやっていただく際のステージゲートの文章の中には先ほどの奥和田先生の御指摘も踏まえ、現場でやろうとしているものをシュリンクさせるような意図は全くないと分かる形が大切だと、ご意見を伺っていて感じました。
 以上でございます。

【有信主査】
 確かにステージゲートというと、ある種のイメージがみんな出来上がっていますからね。いろんな言葉を使わないほうがいいのかもしれないですよね。
 有本さん、これはもう手は挙がっていないのですよね。

【有本政策研究大学院大学客員教授】
 すみません。発言が多くて申し訳ないのですが。

【有信主査】
 はい、どうぞ。

【有本政策研究大学院大学客員教授】
  今の奥和田先生、あるいは有信委員長も言われたのは非常に大事だと思っていまして、ファンディングの構造もそうだし、研究者あるいは研究を評価する方々のマインドセットも十分まだ成熟していない。そういう構造が未熟な中で、フィジカルサイエンスのやり方をこれに入れるには、今、文化がだんだん醸成し始めていると私は思いますが、そこら辺を気をつけて運用しないといけないのかと。私は当事者なんですけど、申し訳ないです。ちょっと反省を込めて。すみません。

【有信主査】
 そういう意味では、運営と、それから、言葉の使い方を含めて、検討を進めていくといいかもしれないですね。
 狩野先生、どうぞ。

【狩野委員】
  関連してですが、このプロジェクトマネジメントのところにサラッと、「GRIPS/SciREXセンターの関与の拡大を模索」と書いていますが、具体的にはどんな一歩が踏み出せ、どんなふうに進みそうか、目算があったら教えてくださいますでしょうか。

【有信主査】
 はい。これも山下さんでしょうか。

【山下戦略官】
  私から先に説明させていただき、もし何か追加があればセンターの方からお話しいただければと思います。

【有信主査】
 はい。そうですね。

【山下戦略官】
 立ち上がったばかりの共進化について、プログラムマネジメントはほぼ最初はなく、走りながらという要素がありました。
 ただ、文科省はもちろん行政組織ですから、いろんな形でやり得るところはあると思いますが、SciREXセンターの教員の方々と専門職の方々の構成によって、今まで仕事を進めてきていただいていますので、明示的に大きなミッションはなかったら読めるとは思いますが、具体的に仕事をしていくとなると、議論をすぐには決められないという要素は当然出てくるわけです。そういう意味でもやはり未来の、この将来に向かってというところに対して、中核となるのはやはりMEXTとSciREXセンターになると思いますので、役割分担や、連携の形、あるいは修正をかけながら、もっと違う形を模索するのかという趣旨で関与の拡大を模索と書かせていただいた次第です。

【有信主査】
 センターから何かコメントありますか。

【有本政策研究大学院大学客員教授】
 今度は科学者や研究者のマインドセットも少しずつ変えつつ、キャリアに配慮して相談しながら、アドバイザリーの先生方の御指摘を受けながらやりたいと思います。

【有信主査】
 ありがとうございました。ほかに御意見ありますでしょうか。今の問題、結構難しい話かもしれないですね。

【赤池局付】
 文科省の赤池です。すみません。

【有信主査】
 赤池さん、どうぞ。

【赤池局付】
 山下さんともよく相談したのは、SciREXそのものの位置づけとして、パスツール的なところが重要ではないかと思います。つまり、政策に近いものは委託費や行政調査も使えるわけですし、アカデミックなところは当然大学の先生が科研費内でやるわけですから、そういう両方の出会いを目指すところがあるのかと。人を育てるというところと連動している点は、とてもSciREXらしい点でもあるので、他の多くのEBPMの取組の中でのSciREXの位置づけ、特にその中での共進化の位置づけを明確にすると、先ほど話題になっているような言葉の誤解みたいなものも少なくなると思います。
 また、私の理解では、さっきのステージゲートというより、むしろマイルストーンに近いような印象を得ることだと思います。有本先生がおっしゃったように、少し行政側の時間もかかるということですが、今回は研究イノベーション学会でも文科本省の方が5人ほど、課長補佐以下が自らの研究成果を発表するというような動きもありますので、時間はかかっていますが、これまでの取組も少しずつ浸透しているのかと思いました。以上です。

【有信主査】
  ありがとうございました。
 今、補足説明もありましたが、もう少し議論を進めつつ、先に行くという感じの印象なんですが、特にほかに御意見がないようでしたら、次の議題に移りたいと思います。来年度に予定されている中間評価について、事務局から説明をお願いします。

【植田室長補佐】
 第2期中間評価の実施について、事務局より御説明いたします。資料3-1を御覧ください。SciREX事業は平成18年に最長15年の事業として開始し、およそ5年に一度、中間評価を実施することとされております。
 本年はちょうど10年目であり、議題1の成果の取りまとめ、今後予定されている10周年記念イベント、フォローアップ調査などを踏まえ、来年、上半期までに評価を実施する予定です。
 今回の評価の主な目的は、第3期以降、すなわち補助金終了以降の各プログラムの自立に向けた示唆を得るということとしています。
 実施方法について、資料を御覧ください。拠点、NISTEP、RISTEXが自己評価を行い、それぞれ外部評価を実施し、それらの結果をアドバイザリー委員会に御報告し、助言を得ることを想定しています。
 評価の項目としては4ページ目を御覧ください。こちらはSciREX事業のいわゆるロジックモデルですが、事業の目指すべきものや、これまでの取組を有機的に結びつけ、一つの図にまとめています。これに基づき、人材育成、研究・基盤、ネットワーキング、共進化を本事業の目標を達成するための主要4取組としており、これらを評価の際の項目としました。
 具体的な項目や視点については、5ページ、6ページを御覧ください。ここでは特に補助金終了後の自立のための各種努力が視点に加わっていること、また、項目・視点の自己評価の際の重みづけについては、その特色を生かし、各拠点やプログラムごとに行っていただくことを紹介しています。
 今後、文部科学省にて、資料3-2にあるような外部評価委員会を設置し、来年度初めに外部評価を実施、その後、アドバイザリーに助言をいただく予定です。
 事務局からの説明は以上です。
 引き続き、GRIPS、有本教授よりガイドラインについて説明をお願いします。

【有本政策研究大学院大学教授】
 現在、他の拠点と調整を行っています。各拠点大学と議論していますと、やはり人材育成に努力と工夫をこらしています。中間評価は我々の業績や過去のものだけではなく、将来の継続性というフレームに入れた上で評価いただきたいと思っています。

【有信主査】
 何か意見はありますか。

【有本政策研究大学院大学教授】
 補足です。GRIPSを例にとります。大学の組織、運営に携わる職員も入ってもらう構造で、自己評価や報告書もまとめようとしています。他の大学も多分同じだと思います。

【有信主査】
 ありがとうございます。小寺さん、どうぞ。

【小寺委員】
 この自己評価書のフォーマットを見ると、後ろのほうに補助金終了後の自立というのがありますが、結局のところ、その場しのぎの記載しかなければ、やる意味がないと思います。

【有信主査】
 ありがとうございました。狩野さん、どうぞ。

【狩野委員】
 有本先生から未来志向でまとめたいという意見には賛成です。その際にはケーススタディを加えると現実味があると思いました。
 もう一つ、共進化という内容は、ぜひノウハウがどのように蓄積してきたかということも含めて出していただけると、更に未来志向になると思います。

【有信主査】
ありがとうございました。 私は自分たちがやっていることを自己評価することが重要だと思いますが、反面、その評価が公平・公正、正当に行われているかどうかを見極めるのが一番の問題です。中間評価委員会で評価、あるいはアドバイザリー委員会で助言できるよう進めていければいいと思っています。小林先生、どうぞ。

【小林委員】
 小林です。自己評価については、SciREXらしい、個性的かつ実験的なものになることを期待します。

【有信主査】
 ありがとうございました。全くそのとおりだと思います。
 伊地知さん、どうぞ。

【伊地知委員】
 ありがとうございます。小林先生に私も同感です。
 その上で、自己評価する拠点側は、将来に向けて評価しているのに、評価者側が認識不足だと、やったことが生かされないような気がするので、評価者に選任される方に対して、中間評価が過去の実績と未来の側面も持っていることを、理解してもらうように進めるとよいと思います。

【有信主査】
 とても難しい話だと思いますが、ぜひそういう方向で評価が進められるといいと思います。他に御意見は。

【有本政策研究大学院大学教授】
 有本です。

【有信主査】
 どうぞ。

【有本政策研究大学院大学教授】
 今、狩野先生と小林先生、伊地知先生からコメントをいただき勇気が出ました。SciREXに関わる事業や研究に携わった人の進路についてSciREXセンターが中心となって集計しています。その中にはもちろん行政官あるいは政策リエゾンになった方もいます。
 それから、小林先生や伊地知先生がおっしゃったように、評価の軸として論文以外のいろんなものを実験的に、データとしてまとめるということをやってみたいと思います。
 中間評価についても、評価側が全体を把握し、各共通の部分を見定めた上で、個別のところにアプローチしていただくということになるのではないかと思いますので、頑張ります。

【有信主査】
 ぜひよろしくお願いします。山下さん、どうぞ。

【山下戦略官】
  補足です。文科省も各拠点と意見交換を行っています。特にこの1年は、SciREX事業を継続的にやっていく上で、財務省や対外的な厳しい御指摘を踏まえ、今後の在り方を拠点長や各拠点の教員の先生と話し合いました。
 公表資料で言いますと、大阪大学は、今年の春にELSIセンターを立ち上げ、阪大と研究活動との連携を模索し、大学内に組み込まれた形での展開を考えています。九州大学も今年の春から経済学部の博士課程の学生について、プログラムを新しく充実させ、大学の中に定着させていくような取組を行っています。そうした取組を行っている拠点長や関係者は、自分たちの特徴を出していきたいという考えがあるので、まさに質の高い自己評価があった上で、外部評価委員の方々に見てもらうというところにもつながると思います。

【有信主査】
  ありがとうございました。先ほど意見のあった自立の点に関しては、核拠点で無理やり作るという形ではなく、自主的に様々な方向を考えている部分について書き込むという話だし、様々な成果の指標の点についても、やはりSciREXらしい点でぜひ検討してほしいというコメントがあったと思います。  奥和田さん、どうぞ。

【奥和田委員】
 アピールポイントを書いていただければ、やはり第2期は第1期とこう違うということが主張できるのではないかと思いますし、行政、他の拠点、研究者あるいは巣立った方から見てどうなのかというところを強調するのがよいと思います。存在意義を示せるのではないでしょうか。

【有信主査】
 そうですね。先ほど内容を一番理解しているのは当事者だと私は申し上げましたが、今までの事業を見ていると、様々な成果の主張不足も多々あったと思います。当事者としては成果ではないと思っても、外から見ると結構いいことをやっているのではないかとも思うので、そういう視点もぜひ取り込んでください。いただいた御意見等を踏まえて、事務局サイドでも検討を進めていただければと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、続いて、次の議題で、その他ということに移らせていただきます。
 関係機関から報告がありますので、順次お願いします。最初は政策リエゾン意見交換会の開催についてということで、SciREXセンターの安藤さん、よろしいですか。

【安藤SciREXセンター専門職】
 GRIPSの安藤です。よろしくお願いします。
GRIPSでは、文科省の行政官の方々を中心に、政策リエゾンという形で、政策と研究の間をつなぐ役割をしていただくため、センターから委嘱をするという制度を設けております。
 この4月1日に、SciREXセンター長が白石から角南に交代し、就任挨拶とともに、今後のSciREX全体、あるいはセンターの活動の方向性について、これまでに2回ほどセンター長を中心に意見交換会をさせていただきましたので、報告したいと思います。
まず1回目は5月に開催しました。主に、やや年次の上のリエゾン7名を中心にディスカッションを行いました。コロナ禍ということで、今後の新しい在り方も議論しましたが、過去10年の成果をしっかり取りまとめ、アピールしたらどうかという指摘もリエゾンの方から出ましたので、取組を進めていきたいと考えています。
 また、EBPMの要請が各省庁においても高まっている中、迅速に政策形成をしていく仕組みや、大学あるいは政策コミュニティの在り方についても広い観点で議論をしましたので、センターの活動としても取り組んでいきたいと考えている次第です。
7月には、若手のリエゾン4名の方とセンター長を中心にディスカッションを行いました。気軽に研究者とアイデア段階から様々な政策課題を議論し共に作り上げていくという場がないということで、ブラウンバッグセミナーのような形でセンター主催、あるいは一緒に企画を検討したいと思っているところです。
 また、若手の方が政策の現場でのマネジメント等について、例えば行政官研修の中などでケースメソッドなどの教育方法を通して学ぶことができないかというニーズもいただきまして、人材育成の一環としての開発の検討も行っていきたいと考えております。
 また、今後もリエゾンの方々とディスカッションを進めて、こういった具体的な検討を進めていきたいと考えています。

【有信主査】
 ありがとうございました。
 今の説明に関して、何かコメントなり、御質問なりありましたらどうぞ。

【狩野委員】
 省庁の方が政策研究者とつながろうとしたときに、誰に声をかけていいか分からないという面があったのではないかと思います。その点ではやはりこのセンターが不可欠でしょうし、更に別の世代の方につながっていくかというところも非常に重要な点です。今後そうした点を強化していけば将来にわたって非常によい取組になると思います。

【有信主査】
 ありがとうございます。それでは、引き続きサマースクールの開催について、政策研究大学院大学の有本先生、よろしくお願いします。

【有本政策研究大学院大学客員教授】
 今年はコロナ禍のため、9月19日の1日、遠隔で行うということにしました。 幹事校としてGRIPSと、今回は大阪大学が共同でテーマセッティングやプログラム設計をやりました。最近は海外の方も多いので、同時通訳を取り入れました。
 今回、折角遠隔でやるので、人数を多めに設定し、セキュリティーコントロールの上で各大学の学生さんにも募集を開始したところです。一部高校生も可とし、できるだけインフォーマルな議論ができる設定を考えています。この催事は裾野を広げる意味で重要と考えています。

【有信主査】
 ありがとうございました。今の御説明に対して、いかがですか。伊地知さん、どうぞ。

【伊地知委員】
 後でこの記録を使えるようにしておくと、裾野を広げるときにもよいと思います。

【有本政策研究大学院大学客員教授】
 非常に大事ですね。ありがとうございます。

【有信主査】
 これはYouTubeか何かで配信するというのも可能ですよね。

【有本政策研究大学院大学客員教授】
 そうですね。検討してみます。

【有信主査】
  ほかに何かコメント、質問等ありますか。

【小林委員】
 小林です。

【有信主査】
 はい、どうぞ。

【小林委員】
 2つあって、1つは単純な質問で、同時通訳についてです。ズームでやるのは結構難しい気がしますが、具体的にはどのような方法でしょうか。
 もう一つは、昨年度までの様子を見ていて、例えば地方大学の学生が参加しているケースは結構ありましたね。オンラインを生かし、地方在住者やその他の大学の学生たちに対して、活用できないでしょうか。公募すれば、参加希望者はいると思います。そういうチャンスがあると、非常にいい刺激になるので、ぜひそこはお願いしたいと思います。

【有本政策研究大学院大学客員教授】
 オンラインでの開催はメリットもデメリットもあると思いますが、様々な関心を持っている日本全国の学生さんがうまく参加できるよう、具体案を詰めてみます。

【有信主査】
  どうもありがとうございました。
 それでは、次に、GiST教育プログラムについてということで、これも有本先生、よろしく。

【有本政策研究大学院大学客員教授】
 今年から修士課程レベルで短期ではありますが、履修証明プログラムを作りました。各省庁や企業、シンクタンクやNGO勤務の方も参加し、非常に面白い試みでした。最初は手間がかかりますし、土曜日にやるということで、いろいろ議論がありましたが、我々の将来の活動としても非常に大事な実績になったと思います。
 それから、この履修証明プログラムとは異なる、正規の修士課程ですが、講義を夜間や土曜に変更し、今年は8人が入りました。

【有信主査】
  ありがとうございました。履修証明プログラムでは、単位を与えているのでしょうか。

【安藤SciREXセンター専門職】
 安藤です。履修証明プログラムは科目等履修生として受講し、計6単位を取得することができます。進学をされた場合は、単位が移行できるという形にしています。

【有信主査】
 フルタイムで通うのが難しい学生さんたちにとって、事前に取得した単位がそのまま利用できると非常によいと思います。制度的にそうなっているのですね。

【安藤SciREXセンター専門職】
 そういうことです。

【有信主査】
 どうもありがとうございました。
 ほかに。よろしいでしょうか。それでは、次に、一橋大学のサマーキャンプについてということで、江藤先生、よろしくお願いします。

【江藤一橋大学イノベーション研究センター教授】
 江藤です。よろしくお願いいたします。
 新しい動きがあれば紹介ということで報告します。一つはサマースクールで、これは一橋大学が長年、IMPPと共同でやっているもので、今年も実施しました。新しい動きとしては、オンラインでの実施です。2日間にわたり、ほぼ全て英語で発表して、欧州からも含め60人以上が参加しました。世界中の若手の発表から、お互いに研究の刺激を与え合うという点では、今年も成功でした。
 2つ目がサマーキャンプです。SciREXのサマーキャンプの中止を受け、我々のカリキュラムではこれを必須としていることもあり、独自開催に踏み切りました。
 更にその成果を、11月に行われる研究イノベーション学会で発表予定です。最後に、今回資料配布はありませんが、今日の夕方にIMPPのOB、現役のネットワークによるIMPPフレンズ設立総会を再開しました。ほぼ全OBからレスポンスがあり、50名以上が全員オンラインによりOB総会ができるという活動のご報告です。以上でございます。

【有信主査】
 どうもありがとうございました。
 ただいまの説明に関して、何か御質問、コメント等ありましたらよろしくお願いします。

【狩野委員】
 江藤先生のプロジェクトより少し広めの観点で恐縮ですが、前回の催しでも、コミュニティをもっと広げたほうがよいという話がありました。江藤先生の試みはもちろん参加者同士のつながりを深めるのに非常に重要だと思いますので、コミュニティを広げていくための工夫ももし今後できるようであれば、ぜひ御検討いただきたいです。また、それと関連し、有本先生よりズームになったのが残念という意見がありましたが、私のような地方在住者としては、移動の必要がなくて参加もできるという意味では非常に重要ですし、経費もかからず、場合によっては、ズームのブレイクアウトルーム機能のように、参加者を適宜五、六人ぐらいに分けられる機能を活用しながら、ぜひコミュニティを広げる新しい技術を使っていただけたら幸いだと思います。御成功を祈っています。

【有信主査】
 どうもありがとうございました。
 他にコメントや質問等ありましたらどうぞ。
 さっき小林先生からズームで同時通訳をやることについての質問があったと思いますが、それについては個別に、有本先生から小林先生に回答をお願いします。

【有本政策研究大学院大学客員教授】
 はい。

【有信主査】
  それでは、報告の最後になりますが、今年度の公募の状況について、RISTEXの政策プログラムの大部さん、よろしくお願いします。

【大部社会技術研究開発センター政策のための科学研究開発プログラム担当】
 RISTEX政策プログラムの大部です。よろしくお願いします。今年度の公募の状況を報告させていただきます。今まだ選考過程途中ですので、スケジュールと、その状況の概要のみになります。御容赦ください。
 4月3日から選考募集を開始し、書類の一次選考、二次選考、そして、8月に面接を終えました。結果、最初の応募数が23件でしたが、現在、採択候補として残っているのが5件です。総括面接をようやく今週終えましたので、研究開始10月1日に向けて、手続を進めていきます。
 以上ですが、採択候補5件中、今年度から新しくテーマとして組み入れられた研究公正に関する提案も1件残っています。
 簡単でございますが、以上です。

【有信主査】
 どうもありがとうございました。何か御質問等ありますでしょうか。
 今のは報告ということで、選考の途中であり、具体的な話はできないということでしたが、よろしいでしょうか。
 それでは、本日の議事は以上となります。最後に、事務局の山下さんからお伝えすることがあります。

【山下戦略官】
 ありがとうございます。本日も盛りだくさん、いろいろ御意見賜りまして、ありがとうございました。
 事前にお伝えさせていただきましたが、私と植田さんについて、SciREXの担当は今日までということになります。来週月曜日からは横井課長をはじめとした企画評価課がSciREXの事業の担当ということになります。
 ただ、引き続き、私も政策リエゾンですし、いろんなプロジェクトにも、この立ち上げで関わらせていただきましたので、協力させていただけるところは積極的に協力させていただいて、御支援できるところは支える所存です。先生方との関係も様々な形で継続し、連携させていただくことはたくさんあると思いますので、引き続きよろしくお願いします。
 植田さん、もし一言あればどうぞ。

【植田室長補佐】
 短い間でしたが、どうもありがとうございました。私も山下戦略官と同様、政策リエゾンとしては引き続き当事業に関わることになりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 以上です。

【有信主査】
 ありがとうございました。今まで随分お世話になりました。やはり役所サイドは人事異動を乗り越えつつ、継続性を担保していく必要があると思いますので、山下さん、植田さん、本当にありがとうございました。これからもぜひ、側面になるのか、バックになるのか、並んでになるのかは分かりませんが、御支援よろしくお願いできればと思います。ありがとうございました。
 それでは、ほかに、今後の予定などの事務連絡がありますでしょうか。

【植田室長補佐】
 今後のスケジュールについては、新しい体制の下、決まり次第、事務局より御連絡差し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。

【有信主査】
 はい。どうもありがとうございました。
 今日参加の方で、何か一言、言い残したことがあるという方がおられれば、ぜひどうぞ。手が挙がっているのは奥和田さんですか。

【奥和田委員】
 これは漠然とした話で申し訳ないですが、この「政策のための科学」のような研究分野というのは比較的、コロナ禍やそうした変化にさほど影響を受けない代表的なところではないかと思います。皆さんがよく実感されているように、教育の現場や、他のビジネスなどに様々な、大きな影響があって、更にもっと大きな変化が今、起きつつあるわけですよね。
 よって、こうした世の中の変化を上手く前向きに捉える必要があって、失礼ながら、やり方というのが、ただズームを使って、オンラインでやりましたということだけではこれから来年以降も続くと思うと、あまり進展が見られないような感じというか、これだったら誰でもやっているよという感じになってしまうので、これを積極的にうまく捉え、例えばワークショップスタイルもオンラインで考えるとか、また教育スタイルというか、新しい人を掘り出すのもMOOCみたいなものを取り入れるとか、あるいは成果の発信方法も紙で出すというよりも、それのサマリーみたいなものをもっとビデオ発信できるようにするとか、つまり、我々のネットワーク以外の人にも見てもらえる形に、ハードルを下げて見てもらえる形まで持っていくと、今後の5年間でどんどんやる必要が出てくると思いますので、来年以降はどんどんこのプログラム全体で取り入れる必要があると思います。今、展示会などもどんどんアバターが参加するようなバーチャルなものに変わったり、国際的な取り組みも増えているので、どんどん試していく。このSciREXが実験の場を提供する役割も果たしていければいいと思います。
 研究者の試行を政策の場に持ち込めるという点があると思いますので、紹介の意味も含め、行政側にも提供できるというSciREXの在り方もあってもいいのかと思っていますので、ぜひこの次の進展に期待します。

【有信主査】
 ありがとうございました。
 赤池さん、何か。どうぞ。

【赤池局付】
 赤池です。政策リエゾンは政府の立場から見ると、組織と個人の中間にある非常にいい在り方で、役人はポストが変わったら、もう口を出さないというのが不文律なので、そういう意味では、緩やかに絡めているというのはすごくいいと思います。
 あとやはり政策リエゾンの当初の頃は中堅クラスの企画官・補佐ぐらいが多かったのですが、今は非常に上下に拡大しまして、上はもうかなりシニアな、指定職直前の課長クラスから、若手はもう本当に係長さん、入省して何年目ぐらいの方まで広がって、文科省内でこういう取組に理解を得るという意味で、役割を得ながら重層化していくのが大事だと思います。
 今回、また角南先生とも御議論いただける機会もあると思いますので、そういうところも含めて考えていきたいです。

【有信主査】
 どうもありがとうございました。
 ほかに手が挙がっている方はおられないようなので、本日も活発な議論、ありがとうございました。ぜひそういうことで次のステップに進めていければと思います。
 それでは、これで第13回の科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」アドバイザリー委員会を終了させていただきます。
 どうもありがとうございました。これで閉会にします。
 

 ――了 ――
 

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科学技術・学術政策局企画評価課

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