科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」アドバイザリー委員会(第17回) 議事録

1.日時

令和4年6月17日(金曜日)16時~18時

2.場所

オンラインにて開催

3.議題

  1. 人材育成・基盤研究拠点及び関係機関における第3期中期計画のフォローアップについて
  2. 共進化実現プログラム(第2フェーズ)の進捗報告について
  3. 次年度以降の活動の方向性について【非公開】
  4. その他

4.出席者

委員

   有信主査、伊地知委員、奥和田委員、狩野委員、小寺委員、小林委員、田辺委員、長岡委員、吉本委員
 

文部科学省

   塩田研究開発戦略課長、中田研究開発戦略課企画官

5.議事録

【有信主査】それでは、開始させていただきます。第17回の科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」アドバイザリー委員会ということになります。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席いただき、誠にありがとうございます。
それでは、早速ですけれども、事務局より資料の確認と出席者の紹介をお願いします。

【中田企画官】政策科学推進室長の中田と申します。よろしくお願いいたします。
まず、資料の確認でございますが、議事次第に資料の一覧を載せてございます。資料の1が第3期中期計画フォローアップの抜粋ということで、資料の2-1から2-8が、それぞれの機関の計画のフォローアップそのもの、それから資料の3で、共進化実現プログラムのプロジェクト一覧、以下、参考資料1から3-8までお配りしてございます。過不足ございましたら、事務局に御連絡を頂戴できればと思います。
それから、委員の出欠について御連絡させていただきます。本日、現時点で、小林先生と田辺先生が今後参加予定ということで伺っております。ということで、今、お二方を除いて参加されている状況でございますが、先生方、基本的にはおそろいですので、このまま続けさせていただければと思います。

【有信主査】ありがとうございました。それでは、本日の委員会につきまして、議題の3の内容については現在も調整中の内容を含むということなので、非公開議題とさせていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
特に御異論がないようですので、議題3は非公開ということで進めさせていただきたいと思います。傍聴者の皆様方は、議題2の終了後に事務局のアナウンスに従って御退出いただければと思います。議題1及び議題2の内容につきましては、委員会終了後に委員の皆様に確認の上、議事録を公開いたします。
ここまでの説明について、何か御質問等ありましたらどうぞ。
特に質問があるような内容ではないと思いますので、次に進めさせていただきたいと思います。それでは、議題の1「人材育成・基盤研究拠点及び関係機関における第3期中期計画のフォローアップについて」ということで進めさせていただきます。
前回のアドバイザリー委員会では、各人材育成・基盤研究拠点が策定された第3期5年間の中期計画の報告を受けました。その後、事務局より、RISTEX及びNISTEPが策定した中期計画について共有されています。今年度より、各拠点及び関係機関においては毎年度、中期計画のフォローアップを行うことになっています。
それでは、事務局から、資料に基づいて、各拠点及び関係機関における中期計画のフォローアップについて御報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【中田企画官】それでは、御説明させていただきます。
先ほど主査から御案内がありましたとおり、第3期の5か年間の中期計画を策定いただきまして、令和3年度が初年度ということで、それが終わりましたのでフォローアップを行ったところでございます。
位置づけといたしましては、それぞれのフォローアップ自体は各拠点及び関係機関で行っていただいておりまして、実際には各拠点間のそれぞれの内容を運営委員会の中で各拠点が報告し合って、それぞれ共有を図っているというのが今のステータスになっています。また、このフォローアップ本体は資料の2-1から2-8でお配りしてございますけれども、こちらにつきましては今後公表を予定しているところでございます。
では、まず資料1を用いまして、全体の概略ということで御説明させていただきます。今回第3期の中期計画というのは、先ほども御説明したように、最後の5年間の中期計画ということになりますので、主眼としては、事業終了を見据えて各機関が自立していけるようにというところに主眼を置いてございますので、資料1につきましては、そういった点から各機関のフォローアップの記載を抜粋した資料ということで作成してございます。
それでは、その中で各拠点のポイントを簡単に御説明していきたいと思います。まず、SciREXセンターでございますが、こちらは各拠点の一つ一つの人材育成を担う拠点ではございませんで、全体の統括を図るところでございますけれども、そういった意味で、こちらの①にありますように、事業終了後を見据えた各大学の取組に係る情報の共有ということで、運営委員会で各拠点の計画の素案の分析を資料にしていただきまして、それぞれの検討の深化について貢献をいただいたところでございます。
それから、以降、各人材育成の拠点というところに進んでまいりますけれども、最初に、GiSTでございます。こちらにつきましては、最初にありますように、補助事業終了後も修士課程・博士課程を維持するために必要な教職員等の体制の確保に努めたところです。
その中で特筆すべき事項といたしまして、3行目からです。短期履修証明プログラムに関して、厚労省の「特定一般教育訓練給付制度」に指定をされたということです。こちら、指定自体は令和4年度からになりますけれども、そちらに向けて取り組まれたということでございます。この制度自体は、一定の要件を満たす者が対象講座を受講し修了した場合に、本人が支払った受講費用の40%がハローワークから支給されるというところで、より経済的負担を下げて、より取り組んでいただきやすくなったということで、自立に向けた取組として取り組んでいただいたということになっております。
それから、続いて東大でございます。こちらにつきましては、まず1行目にあるとおり、プログラム自体は、学部・部局横断型教育プログラムの一つということで既に位置づけられているというところでございます。その結果として、7行目ぐらいですか、13人の修了生ということで、順調に修了者も積み重ねているということです。
事業終了後に向けまして、その次のパラグラフ、「また、」から始まるパラグラフですけれども、基幹となる教員2名という、こちらにつきまして、学内の承継教員として確保した上で、特任2名程度の人件費を確保していこうというところでございます。
それから、そのさらに2行下、下から5行目ですけれども、今後の事業終了を見据えてある程度幅広い科目をそろえるというところで、他拠点との連携により教育内容や研究の相互補完にも努めるということでございます。それから、下から2行目、寄附講座等の強化に努めるということで、既にいろいろ取り組んでいただいているところですけれども、そういった取組を強化することで自立化に向けて取り組んでいくということでございます。
それから、2ページに行っていただきまして、一橋大学でございます。こちらについては、2行目にありますとおり、既に学内の正式科目ということで位置づけられておりますので、事業終了後、教育プログラム自体は継続が可能ということで提出をいただいてございます。その上で、科目等履修生について、大学内の学生だけではなくて、科目等履修生についても継続的に受け入れることが可能ということになってございます。
それから、3パラですけれども、お金の面でも、独立した運営予算、それからセンター自身が豊富な間接経費を獲得しているということで、その点でもあまり問題はないと。引き続き外部資金獲得を目指した議論を中でしっかりやっていきますということでございます。その上で、特に手当が必要となるのはというところで、人材の確保について一番中心的に今後の自立に向けては取り組んでいるというところで、中ほど、センターの専任教員が採択事業に関連する活動をする体制を継続するということで、さらにというところで、今後専任教員の定年退職が見込まれているということで、それに備えた対策として、別のセンター内の専任教員をアサインする方向で検討されているということでございます。
それから、出向職員、文科省、経産省などから定常的にいらっしゃっているということですけれども、こういった方々にも携わっていただくように、検討、交渉を進めていらっしゃるということでございます。
それから、最後のパラ、ポスドクの雇用とか外部資金の獲得、この辺りについても記載をいただいているところでございます。
続きまして、大阪大学と京都大学、そのうち、まず大阪大学について御説明いたします。3ページでございます。上から2行目ですけれども、全学の分野横断型大学院教育ということで、中核的・代表的な教育プログラムとしての地位確立に努めたというところで、今年度からになりますけれども、アドバンストコースの設置ということで、博士課程が対象だったかと思いますけれども、より進んだプログラムについても新規開講ということで、教育プログラムの充実に取り組んでいただいたというところでございます。
それから、その次のパラグラフですけれども、このプログラムにつきまして、別途予算を取って行っていらっしゃいます、リーディングプログラムに基づくプログラムと並んで、教育プログラムの主軸プログラム、こういうことを担うこととなったということでございます。
中ほど以降、運営経費については、期待どおりの増額はできていないと。期待よりも少ない額しか見通せない状況になったということではあるんですけれども、予定どおり今後の自立に向けた取組を進めていくということでございまして、下のほうになりますけれども、STiPSの担当教員以外のセンターの教員や他部局の教員からの科目提供の体制を維持・拡大すると。それから、京都大学との間で開講科目の共有の検討等を進めていらっしゃるということでございます。
それから、京都大学につきましては、自立を見据えて、どこでそもそも教育機能というものを担っていくのがいいのかというところで学内的な検討をいただいて、全学向けの教育支援を担っている組織であります大学院教育支援機構、こちらに移管する方向ということでございます。中期計画の記載のとおり、新たに1名の参画教員を迎えて科目の追加等々も行ったということで、精力的に取り組んでいただけているかというところでございます。
それから、CSTIPS、九州大学でございます。こちらは履修証明プログラムとして再スタートを図るということで、履修証明プログラムとしての再スタートは令和4年度からになるわけですけれども、そのために学内的な準備を進めるとともに、単に履修プログラムとなるというだけではなくて、そのプログラムの科目等履修生等を対象として、既存の学位プログラムへ進学指導、あるいは進学後の研究指導の一貫したサポート、こういう全体的なサポートと一体となった「STI政策人材開発トラック」の設置に向けて準備をされて、実際に令和4年度の方から今スタートしているところでございます。
それから、人員という面では、教授1名を総長裁量経費で措置を既に行っているということでございます。3年度中に成立して、実際に令和4年度から着任をされているということでございます。
それから、最後のページ、NISTEPですけれども、こちらについては人材育成拠点というわけではないですけれども、今後の自立を見据えた各種の連携、これまではSciREXセンターが担っていたような行政官と研究者をつなげる機能といったものも含めての自立化というところになりますけれども、そういう意味で、政策当局や外部機関との協力や連携というものに精力的に取り組んだと伺ってございます。
その他、めぼしい取組、少し資料2-1から2-8の中からかいつまんで御説明しようと思いますけれども、SciREXセンターとか人材育成等と関係ないところは省略させていただきまして、まず、GiSTですけれども、冒頭書いてございますように、教育プログラムの実施で計画以上の受入れを行うことができたということでございます。
それから、3ページ、これは政研大ということを考えると、ある種当然になるかもしれませんけれども、各教員、この一番上のパラグラフの末尾のところですが、複数の審議会等に参画して御発言を行っていると。政策側の検討にきちんと貢献をされているということでございます。
それから、東京大学ですけれども、これまでの教育プログラムを続けているということ以外にも、中ほどにありますように、COVID-19で社会導入が進む科学技術を事例にした事例研究という形で、異なる研究科の学生同士の交流というものも取り組まれたということでございます。
それから、3ページでございます。今後の自立を見据えてというところでございますけれども、OB、OGとかに続きまして、実務家を招いた政策プラットフォームセミナー、あるいは国際シンポジウム、共催イベントということで、かなり精力的にこの辺りの活動を進められたということでございます。
それから、一橋大学につきましては、1ページ目の一番下でございますけれども、それぞれポスドクあるいは修了生が様々なポストを獲得された等々、有意義な人材育成の成果が得られているというところでございます。
それから、3ページで、OB会の実際の交流も始められたという記載がございます。
それから、阪大でございます。先ほど少し御説明いたしましたが、アドバンストコースについて、博士課程の学生を対象とした発展コースということで、改めてこちらで御説明がございます。
それから、ネットワーキング、4ページですけれども、阪大・京大、ともに関西ネットワークの拡大を目的とした研究イベントということで、今後の自立に向けて幅広いところとの連携を確保しようという取組をやられていると。
それから、説明を飛ばしてしまいました。戻らせていただきますが、3ページの冒頭、京都大学で、自治体が保有する健康情報の利活用ということで、学校健康診断情報の可視化事業ということで、まさに自治体との共進化ということになると思いますけれども、こういったところで新たに11自治体との協力ということで、この辺りのことを精力的に進めていらっしゃるということでございます。
それから、最後、九州大学です。1ページ目にありますとおり履修者数81名ということで、過去最高ということで、こちらも順調に取り組まれていらっしゃいます。
それから、2ページ、京都大学と同様ですけれども、地域との共進化というところで、地域政策デザインスクールの運営ということで、5つの基礎自治体の協力を得て、それぞれの自治体が提起する問題の解決のための政策立案に取り組まれたということでございます。
それから、RISTEX、先ほど冒頭、資料1では出てきませんでしたので、RISTEXについても少し触れさせていただきますが、着実に公募を行いましたということ以外に、2ページにありますように、プロジェクト間の連携、サロンのネット開催も含めてですけれども、そういったもの、同様に、SciREXセミナーの開催に向けたSciREXセンターとの協力とか、こういったことについて幅広く取り組まれたということでございます。
以上、少し長くなってしまいましたが、私からの説明は以上でございます。今回、基本的に各機関が行ったフォローアップの御報告ということでございますけれども、今後、よりフォローアップをするにあたってこういった情報があったほうがいいとか、何かしらお気づきの点がありましたら、本日コメントとして頂戴できればと思います。
私からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

【有信主査】ただいま事務局から報告いただいた内容に関して、御質問やコメント等ありましたらよろしくお願いします。
小寺さん、よろしくお願いします。

【小寺委員】どうもありがとうございます。終了したところが着実に1人でも教員のポストを取って進められていることは非常によかったと感銘を受けています。大学において固定のポストを提供していただけるということは、これまでの活動がちゃんと大学としても認識されているということの一つの現れだと思うんですね。だからそこは非常にいいことだし、またカリキュラムの中にも展開されているということに関して、非常に成果の一つだと思います。
ただ重要なのは、報告書にも書かれていますけれども、推進していくためには、ある程度の活動費のようなものが必要になると思うんですね。これはどうしても大学の構造から考えると、特別にその予算を提供することは大学の中では難しいと思うので、そういうフォローアップの活動費だけでも、何かこういう政策論の教育展開というのに関するフォローアップ予算みたいなのを構造化できないかということを文科省側でも検討いただければと思います。コメントは以上です。

【有信主査】ありがとうございます。確かに重要なポイントだと思いますけれども、これについてはまた後で、もし文科省サイドにお考えがおありでしたらお話しいただくということで。
伊地知委員、よろしくお願いします。

【伊地知委員】御報告いただきまして、ありがとうございます。東京大学の御報告の中で、他拠点との連携・相互補完に努めるということで、恐らく拠点間の運営委員会等の中ではいろいろとより詳細な情報を共有されていらっしゃるのかと思ったのですけれども、それぞれ拠点の想定される教員の数あるいは研究とか教育の体制といったことを考えたときに、それぞれの拠点が特徴を持っていて、教授される、あるいは研究される内容に特徴を持っているということがあると思うのですけれども、それから加えて、それぞれの拠点に関わっている履修者あるいは学生の特徴というのもあると思うんですけれども、何かそういったもののマッピングなりポートフォリオがあってこの事業全体として見えてくると、今年についてはよろしいかと思うのですけれども、今後についてはより検討しやすいのかと思った次第です。私からは以上になります。

【有信主査】どうもありがとうございました。
ほかに御意見、御質問等ありましたらどうぞ。

【中田企画官】それでは、文科省から少し発言させていただければと思います。
まず、小寺先生がおっしゃいました活動費の維持というところにつきまして、我々、今回のSciREX事業、こちらは15年間という通常で考えればかなり長期の補助事業として実施しておりまして、そうした観点から、恐らく拠点を単純な意味で維持するという部分については、ある程度予定どおり自立してもらうというところを粛々とやっていただく必要はあるのかと思っております。
他方で、その上で、実際に本当の意味でベーシックな部分以上に活動しようと思った場合に、それだけでは難しくなる局面もあるかと思います。その辺りは、御指摘いただいたように、今後実際に終了する年度がより迫ってくる中、具体的に検討していく必要があるのではないかと認識してございます。
それから、伊地知先生がおっしゃいました、各大学の各拠点の特徴、あるいは、それに多分対応した形で学生の特徴もあるんだと思います。基本的に、例えば阪大とかだとELSIを中心にやりますとか、そういった拠点そのものの特徴というのは、採択以来、そういった形で維持はしていただいていると認識しておりますけれども、他方、よりプログラムを充実していくといったときに、多分それぞれの拠点だけの自助努力では難しくなってくる局面が今後も出てくると思っております。
そういう意味で、まだ完全に具体的に何か大きく動いているということでは残念ながらないんですけれども、運営委員会の議論の中でも、今後の自立を見据えて各拠点の連携というものをきちんと具体化していかないといけないだろうということで議論をしてございますので、先生の問題意識をまた改めてそういったところにも持ち帰らせていただいて、何か検討を進めるように伝えたいと思います。
以上でございます。

【有信主査】ありがとうございました。今まで各拠点は、人材育成拠点としての位置づけで進めてきていると理解していますけれども、人材育成を行うにしても、具体的にそれぞれの中で研究を進めている部分が基本的には不可欠になってきて、この研究の部分についてはまた別のところでいろいろなテーマに応募してもらいつつ進めるという構図になっているんだけれども、これが、うまく回っているかどうかというのは非常に気になるところではあります。
例えば今の共進化の部分で進められている研究の部分と、この人材育成の拠点での人材育成の具体的な進み方というのが、どこかで明確に説明をされていますか。これは事務局に対する質問だけれども。

【中田企画官】共進化の具体的にプロファイリングというとおかしいんですけれども、各拠点の研究内容との対応関係が明確に整理されてきているものではないと認識しております。その辺り、逆に言うと、各拠点から見たときに、例えば共進化については、今、基本的に行政側からの問題意識というものをベースに出発する形にしておりますので、そういったところで、言ってみれば拠点から見たときの使いづらさみたいなものが構造的にはあるものと認識しています。その辺りを踏まえて、対応については今、文科省で検討しておりますので、また後ほど御説明できればと思っております。

【有信主査】ありがとうございました。人材育成の目的と研究の目的は必ずしも一致する必要は全然なくて、研究を進める中で人材が育成されていくという、そういう構造化をそれぞれの育成拠点できちんとやっていくことが多分重要だろうと思うんですよね。
それでは、小林先生、田辺先生、奥和田先生と、この順番でよろしくお願いします。

【小林委員】恐らく今活動している拠点の中には、もうどんどん自立していって、この事業から離れてもいくらでも活動できるところも多分出てくると思います。一方では、この事業がなくなると実質的に駄目になってしまうというか、フェードアウトしていってしまうところも出てくるのはやむを得ないとは思うんですけれども、現実的にはそうなってくるんだろうと思います。
それで、あまり露骨に言ってはまずいかもしれませんけれども、京都大学はいろいろな支援事業が終わった後のプログラムの始末の仕方が大体似ていて、だんだんフェードアウトしていくパターンが多いんですよね。これまでそうだったからと言って今後もそうかどうかは分からないんですが、そういう意味では、まだ時間が残っているので、よくフォローしないと、危ないかなという気がします。これは言い過ぎかもしれませんけれども、実態としてはそうだと思います。
それと、もう一つ、これは今日の議論から外れるのかもしれませんけれども、気になっているのはRISTEXの公募事業で、これについても評価はされているんでしょうけれども、もっと赤裸々な評価が分からないと判断ができないということと、ここの関係者をいかに組織化していくかとか、あるいは拠点とうまく結びつけていくかということも考えていかなくてはいけないとは思うんですけれども、今まで見ていると、例外も幾つかあるんだろうとは思うんですけれども、せっかくやってもらったのに、何となくそれで終わりという感じであったりとか、あるいはプロジェクト自体がうまくいっていないんじゃないかと想像されるようなものとか、幾つかあるので、この辺りは機会があればもう少し赤裸々なことも教えていただいて、RISTEXだけで閉じるのではなくて、SciREX全体の中でどうするかということを考えていったほうがいいんじゃないかと思います。以上です。

【有信主査】確かにそのとおりだと思います。
それでは、田辺委員、よろしくお願いします。

【田辺委員】私は、この人材育成拠点を資金的に支援するというよりは、大学に頑張ってもらうしかないと思うんです。ただ一方で、いくら拠点側が整備しても、そこに人が来ないようでは困るので、行政部門が職員を派遣するとか、あるいは行政部門だけではなく、シンクタンクとか企業が政策のための科学的な人材を育成するために派遣する。私は拠点側にちゃんと整備しろと言うだけではなく、文科省としては、自治体とか他省庁に活用するように勧めるというのが重要だと思います。自治体が派遣しやすくするように何か支援する仕組みができればいいと思います。以上です。

【有信主査】ありがとうございました。
それでは引き続いて、奥和田委員、よろしくお願いします。

【奥和田委員】ありがとうございます。まだ全部が終わったわけではないので、まだこれから最後に向かってできることがあるということも含めて幾つか申し上げたいと思います。一つには、プログラムのできたような教育部分がある程度継続されそうだということは皆さんの御報告で大体分かったので、それはよかったと思います。それがよかったというのを高く評価できるかというと、諸外国、先進国の中では当たり前の姿に少し近づくかな、というぐらいの感じでして、もっとこういうことに10倍もの学生を集めているような国もあるわけです。それに少し近づいたという程度かと思いますので、それで十分とは言えません。けれども、何もなかった日本とすれば進歩だったという、今のところその程度ではないかとは思います。もちろん続くことは歓迎だと思います。
もう一つには、こういう方々がその後もちゃんと研究していけるという、そういうことの部分をもう少し何か考えなきゃいけないということがあります。どのプログラムでもそうなのかもしれませんけれども、先ほど先生方がおっしゃったように、ある程度いろいろプログラムがあると、弱体化したりフェードアウトするところが出てきたりするのは仕方がないことですが、その中で、OBOGも含めて、このプログラムに関わった方々のネットワークが強固になって、今後のそれぞれの活動にプラスになっていくような仕組みが残れば、このプログラムの意味が残ると思います。その部分ができるかできないかが、各プログラムにおいてかなり重要な役割を示していると思います。例えば、このプログラムが終わった後でも一緒に共同研究しようとしたり、あるいは先生たちの教育プログラムの交換というか、講義の提供を交互にするとか、何かそういうやり取りがこの後も続くようなネットワークの構築みたいなものが残らないと。一つ一つのところで細々と続けます、ということではレガシーにはなり得ないと思います。まだ何年かありますので、そういうネットワークが、これは強制するものではないと思うのですが、構成している方々が自分の将来的にこういう研究をやっていく上でもプラスだという意味でも、そういうものが構築されていくように誘導というか、導いていけたらと思います。現にそういうことができているプログラムというのはあり、終わってしまっても学生同士とかにつながりがあるプログラムがあって、非常にいいと私は思っているんです。そういうものが財産ではないかと思いますので、今後そういうことに目を向けていただきたいと思います。以上です。

【有信主査】ありがとうございました。
狩野委員、よろしくお願いします。

【狩野委員】ありがとうございます。私から追加してみようと思ったのは、この分野というのは、「現場で起きていること」あるいは「実態」と、他方では「体系化」という学問が好きな方向性が、うまくバランスしていかないといけない、つまり「現場」と「体系化」の片方だけになるとうまく進まないんじゃないかということです。そのときに、学術領域というのは「体系化」するほうにどうしても好みが寄っていきがちで、そういうものに対してお金も寄っていきがちであるという印象があります。その中で、どうやって「現場」的なものとのつながりという点を上手に回していけるのか、ここは非常に予算取りにおいても重要な説明していただくべきポイントであろうということを思っております。こうしたことがうまく伝わって活動のサイクルが続いていくことを祈りたいと思っております。その際に、もし私どものような役割を今もらっている人が上手な説明法を何か文科省の皆様にお伝えできるとうまく行く可能性が増えるようであれば、ぜひお知らせいただきたいということも思いました。以上です。

【有信主査】ありがとうございました。
事務局サイドから、今までいろいろ御意見出ましたけれども、何か言うことがあれば。

【中田企画官】ありがとうございます。小林先生がおっしゃったRISTEXのお話、それから奥和田先生がおっしゃった、実際に研究をきちんと続けていけるようなところ、ここは先ほど小寺先生がおっしゃったように、活動費というものを、これまでRISTEXも担っていたことを含めてどう見ていくのかということになろうかと思いますので、そういった視点で文科省としては検討していくようにしたいと。
それから、田辺先生に御指摘いただいた職員派遣、こちらは即座にどうするのがいいとかというのはなかなか難しいところではあるんですけれども、大変重要な御指摘だと思いますので、そういった視点を忘れずに取り組んでいく必要があるだろうというところでございます。
それから、奥和田先生に御指摘いただいたネットワークの部分、こちら、運営委員会、各拠点が集まる場でも大きな問題意識となっておりまして、各拠点、きちんと整備していくときに、連携するところは連携して、こういうネットワークをやっていく必要があるだろうということで議論を行っております。その辺り、しっかり文科省としてもフォローしていくということをやっていきたいと思います。
それから、最後、狩野先生に御指摘いただいたとおり、行政の側がこういった研究者の方々と常につながり続けて、多分我々の側が本当にこういうつながりの必要性というのをしっかり説明していくことが求められているんだろうと認識してございます。
先ほど少し御説明しましたけれども、今、そういう視点で共進化実現プログラムはやっているわけですけれども、少し各拠点側から見れば使いづらいところもあると認識しておりますので、そこの辺りをどう改善していくかというのをまた後ほど御議論いただければと。
駆け足ですけれども、私ども文科省からは以上です。

【有信主査】ありがとうございました。
それでは、時間の関係もありますので、引き続き第2議題に入りたいと思います。議題の2は「共進化実現プログラム(第2フェーズ)の進捗報告について」ということで、第2フェーズは令和3年度から令和4年度の2年間に実施されるもので、前回委員会での委員の皆様の御意見も踏まえて、事務局において継続プロジェクトが決定されています。継続プロジェクトについては既に事務局から連絡があり、委員の皆様におかれてはプロジェクトとの意見交換に御対応いただいたところですけれども、改めて事務局より継続のプロジェクトについて御報告をお願いいたします。よろしくお願いします。

【中田企画官】それでは、資料3でございます。共進化実現プログラム、主査から御説明ございましたとおり、前回委員会で少し意見を賜りまして、最終的な結果を正式に報告できておりませんでしたので、この場をかりて、どういう状況になったのかということを御報告させていただければと思います。
まず、今回、もともと1年間のプログラムでやっておりました5つのプロジェクトがございましたけれども、こちらにつきまして、前回の議論を踏まえまして、この一覧で言いますと⑥と⑩ということで、5個のうちの2つは継続することにしてございます。
それから、もともと実現フェーズということで2年間でやっておったものは、それぞれのコメントを踏まえ、適宜研究の計画の見直し等々行いましたけれども、それぞれ継続するということでやらせていただいているところでございます。
その上で、⑩ですけれども、諸賀先生のプロジェクトにつきましては、担当課室が高等教育企画課ということで正式に決まってございます。
それから、⑪については、人事異動の関係で、星野先生に代わりまして須藤先生が研究代表者になっています。
ここまでは形式的な御説明になってしまうんですけれども、実際には各先生方、既に新しい11のプロジェクトにつきまして意見交換会をやっていただいたということで、お忙しい中御参加いただきまして、大変ありがとうございました。次回、また秋頃、同じように意見交換ができればと思っておりますけれども、本日は、この前の直近の意見交換を踏まえて、またお気づきになった点等々、もし何かございましたら、関連するコメント等として、この機会をかりてお伺いできればと思っております。私からは以上です。

【有信主査】どうもありがとうございました。
ただいま事務局より報告のありました内容について、御質問、コメントありましたら、どうぞよろしくお願いします。それぞれこれについては皆さん方もいろいろ関与していただいて、意見交換もした結果なので。
田辺委員、よろしくお願いします。

【田辺委員】個々のというよりは、3つほどプロジェクトに参加して感じたことは、行政側が非常に積極的に関与しているということがうかがわれて、うまく共進化につながっていると思いました

【有信主査】ほかにどなたか。
長岡委員、よろしくお願いします。

【長岡委員】ありがとうございます。私も幾つかプロジェクトに参加して意見交換させていただいたんですけれども、非常に新しい試みで、いい研究になるというか、行政側にも重要なインプットになるようなプロジェクトが結構あったと思うんですけれども、全体としては、フェーズというか、期間が非常に短くて中途半端に終わってしまうようなものも結構あるんじゃないかと思いまして、ですから、今後の進め方というか、ここにフォローアップされたのもあると思うんですけれども、継続的な取組といいますか、それはすごく重要じゃないのかと。それで、共進化については、研究者側から見ると結構負担も多いということで、何らかの措置がないと、要するに事業終了後は終わってしまう可能性も非常に高いので、事業終了後どうするのかというのは、共進化についてもすごく本格的に検討しておく。これで終わってしまう可能性があるんじゃないかということを、せっかくこの経験を生かして持続的にこういう産学連携を行えるようなシステムをつくっていくにはどうしたらいいかという検討が。個別のプロジェクトの評価というよりはシステムの問題ですね。
それから、それとの関連で言いますと、先ほど議論に出たんですけれども、公募プログラムでもやっているんですね。それでどちらがうまくいくのかという観点も実は重要で、どちらもいいところと悪いところがあると思うんですけれども、競争的資金でやったほうがいろいろなアイデアが出てくるといった面もあるんじゃないかと思うので、そういう意味では、そういうトータルの検討が必要じゃないかと思った次第です。以上です。

【有信主査】ありがとうございました。
狩野委員、よろしくお願いします。

【狩野委員】ありがとうございます。今の長岡先生がおっしゃったのと関連するんですけれども、共進化という枠組み自体、多分国の予算でやるにあたっては比較的珍しい取組だったんじゃないかと思っております。その意義を説明していかないと予算的にも続かないであろうし、そうしたことが少し可能性があったのかということを感じさせるような予算の動向になっているように思うわけですしょう。けれども、それをどうやって特に行政の中で意義を主張していけるかということを、ぜひ考えたほうがいいのかと思っております。
それにあたって、例えば行政官の皆様が(、御自身では大学時代にでそういう経験はあったかもしれないにせよ)、行政官になられてから仕事の中でこういう考え方を一緒にやることによって、どんなメリットがあったのか、それが行政の仕事を進めていくにあたって今後どういう意味を持つのか、みたいなといったところを、少しまとめてくださったりすると、伝わりがよくならないかということを思っております。
例えば「研究的な資金」という意味で言うと、どうしても「研究者側」にその意味では注目が集まりがちで、「研究者側がどう変化したのか」とか、あるいは「それ研究者側からどういう成果が出たのか」ということを主張するタイプの方法で予算獲得ということは多いのではないかと思います。けれども、その意味で、研究側と行政側の「共進化」ですので、ぜひ両側がどのような意味を感じられたのかということもうまく集めていただいて、その意義を語っていただけるとよいのではないかと思ってコメントしてみました。以上でございます。

【有信主査】ありがとうございました。
今まで3人の委員の方々からコメント出ましたけれども、事務局から何かコメントありますか。

【中田企画官】ありがとうございます。田辺先生は、御参加いただいたところはうまくいっているということのあれでしたので、同様のものを増やしていければということだと思いますけれども、長岡先生、狩野先生に御指摘いただいたとおり、今後実際どうしていくのか。共進化というのはおっしゃるとおりで新しい取組で、この取組を、どう霞が関、今は文科省でやっておりますけれども、この中に根づかせていくのかと。そのためのツールの在り方はどういうのがいいかということをよく考えていかないといけないですし、おっしゃったとおり、実際に得られたメリットをきちんと説明できるようにしていくことが改めて必要だろうと。公募と例えば今やっている補助金とどちらがいいのかについては、恐らく本当に自立というものを求めていったときの姿をにらんで多分検討していく中で考えていかないと、やっていけない課題だろうと思います。
また、行政側のメリット、これまでうまく体系化できていなかったというのは多分あると思っていまして、端的に言うと、それぞれこういう経験者が恐らくいろいろな気づきを与えられているはずで、そういったようなものをまとめるだけでも意義のあることだと思われますので、少しできるところから取り組んでいければということでございます。
以上でございます。

【有信主査】どうもありがとうございました。そのとおりですね。
それでは、引き続き議題の3に入りたいと思いますが、ここからは非公開議題になりますので、事務局の方は傍聴者に退出を促していただけますか。

 
<【議題3】非公開議題>
「次年度以降の活動の方向性について」について意見交換を行った。

【有信主査】ありがとうございました。
本日はどうも活発な議論をありがとうございました。これで第17回の科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」アドバイザリー委員会を終了したいと思います。どうもありがとうございました。御退出ください。
 

                                                ―― 了 ――

 

お問合せ先

科学技術・学術政策局研究開発戦略課

(科学技術・学術政策局研究開発戦略課)