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Cosmic Radiation October2003

 これは別の月のデータですが、月平均というものが間違った情報を与えてしまっている事がお分りいただけると思います。月末の放射線量の減少は大型ソーラーフレアーに因るものでした。数日前の太陽黒点の観察から、何かが起こるであろうと考えられ、新聞でも放射線が増加すると予測されていました。
 この時、ニューヨーク・ロンドン間を飛行するB747のある機長がこの新聞記事を読み、皆が予測している放射線を乗務員、乗客そして彼本人が浴びるのをできるだけ避けるようにするのが機長としての自分の責任だと考えました。そして計画高度の4万フィートではなく3万フィートで飛ぶ事に決めたのです。皆さんご承知のように、大型飛行機を3万フィートで飛行させるためには、数トンの燃料が余計に必要となります。
 東回りでは通常ジェットストリームという強い追い風があり、これを利用します。低空飛行では、この追い風のメリットを失う事になります。この機長の便は、飛行時間が30分延びてしまいました。数トンの追加的な燃料消費、飛行時間の延長、着陸の遅延、スロットの損失、一部の乗客が乗り継ぎフライトに間に合わず、大変高価な損失となってしまいました。

 この機長のとった行動は結果的には不要でした。太陽のバーストで発生した微粒子が太陽だけでなく宇宙からの放射線をも遮断するForbush Decreaseと呼ばれる現象が起こったからです。

 もしこの機長が宇宙放射線について正しいブリーフィングを受けていれば、そして信頼の置ける放射線量測定値があれば、このような損失は避けることができたかもしれません。


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