(1) | 現行の規制 |
( | 廃棄の基準) 放射線障害防止法では、第19条(廃棄の基準)において、「使用者、販売業者、賃貸業者及び廃棄業者は、放射性同位元素又は放射性同位元素によって汚染された物を工場又は事業所において廃棄する場合においては、文部科学省令で定める技術上の基準に従って放射線障害の防止のために必要な措置を講じなければならない。」とされている。これに基づく放射線障害防止法施行規則第19条では、固体状の放射性同位元素等については、焼却炉において焼却するか、又は保管廃棄設備において、保管廃棄することとされている。 |
( | 廃棄の業) 放射線障害防止法第14条の2(廃棄の業の許可)では、「放射性同位元素又は放射性同位元素によって汚染された物を業として廃棄しようとする者は、政令で定めるところにより、文部科学大臣の許可を受けなければならない。」として、廃棄業者が許可により認められている。 廃棄の業の許可の基準(放射線障害防止法第7条の2)は、廃棄物詰替施設、廃棄物貯蔵施設及び廃棄施設の位置、構造及び設備が文部科学省令で定める技術上の基準に適合することを求めている。ここでいう廃棄施設とは、他の使用、販売及び賃貸の業の許可の基準にも同様にあるものであり、当該業を行うに当たって発生する各種の放射性廃棄物を事業所内で適切に廃棄するための排気、排水、焼却、固形化、保管廃棄などのための施設をいうものである。 このため、廃棄業者は、他の事業者から収集した放射性固体廃棄物を含めて、焼却処理や、施設内で保管廃棄することまでは認められているが、それらを最終的に埋設処分することは現行の放射線障害防止法上は認められていない。 |
(2) | 放射性固体廃棄物の発生・保管の状況 | |||||||||
( | 発生の状況) 現在、放射線障害防止法及び医療関連法令の規制下の事業所において、研究、医療、教育、検査等の分野での放射性同位元素の利用に伴い、放射性同位元素で汚染した試験管などのプラスチック又はガラス器具、ペーパータオル、排気フィルタなどや使用済みの放射性同位元素が放射性廃棄物(以下「RI廃棄物」という。)として発生している。 我が国において発生するRI廃棄物のほとんどは、放射線障害防止法に基づく廃棄の業の許可を持つ(社)日本アイソトープ協会(以下「RI協会」という。)によって集荷されている。RI協会では、放射線障害防止法の規制下の事業所から発生するRI廃棄物(研究RI廃棄物)と、医療法、薬事法、臨床検査技師法など医療関連法令の規制下の事業所から発生するRI廃棄物(医療RI廃棄物)に区分し、集荷を行っている。 RI廃棄物の集荷量は、最近の10年間の平均で年間約1万7千本(200ドラム缶換算、以下同じ。)となっており、その内訳は、研究RI廃棄物は約9千本、医療RI廃棄物は約8千本である。また、RI廃棄物について、日本原子力研究所(以下「原研」という。)などから発生し、各事業所内に保管されているものもある。原研は、放射線障害防止法に基づく廃棄の業の許可を取り、自らの廃棄物に加えて、RI協会などからの委託を受けて廃棄物の処理を行っている。 原研では、RI廃棄物の他に、核燃料物質等と放射性同位元素の双方を使用する施設における発生時点での混入や、放射線障害防止法の許可に基づく廃棄物処理工程における混入により、RI廃棄物と核燃料物質等により汚染した廃棄物(研究所等廃棄物)とが混合した廃棄物(以下「二重規制廃棄物」という。)が発生する。これらは、放射線障害防止法と原子炉等規制法の双方の規制を受けている。 |
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( | 保管の状況) 各機関が保管する放射性同位元素を含む放射性廃棄物の本数(平成13年度末現在)を、関係法令ごとにまとめると以下のとおり。 (別紙15参照)
また、RI協会が集荷した廃棄物は、焼却処理などにより減容された状態又は未処理のまま保管されている他、一部原研で処理・保管されているが、RI協会においても同様の高減容処理施設の整備を検討している。 |
(3) | RI・研究所等廃棄物の処分対策の現状 | |||||||||
平成6年6月に原子力委員会が取りまとめた「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」において、RI廃棄物の処分に関し、「国は、海洋投棄に替えて地中埋設を実施に移すための基本方針を策定し、「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」等関係法令の改正など、制度面での整備を行うなど、処分が適切かつ確実に実施されるよう措置する」との方針が示されている。 これを受け原子力委員会原子力バックエンド対策専門部会は、平成10年5月に「RI・研究所等廃棄物処理処分の基本的考え方について」を取りまとめた。この報告書においては、RI廃棄物の処分に関する基本的考え方として以下の点が示されている。
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(4) | RI・研究所等廃棄物埋設処分の安全性に係る検討の状況 |
( | 原子炉等規制法関係) 原子力安全委員会放射性廃棄物安全規制専門部会の報告書「低レベル放射性固体廃棄物の陸地処分の安全規制に関する基本的考え方について」(昭和60年10月、以下「LLW基本報告書」という。)を受けて、核燃料物質又は核燃料物質によって汚染されたものの埋設による最終的な処分が行えるよう、原子炉等規制法には廃棄の事業の一形態として廃棄物埋設事業の規定が設けられており、これを適用して、平成4年12月から、原子力発電所から発生する低レベル固体廃棄物の埋設処分が行われている。また、これら以外の低レベル放射性廃棄物についても、順次、関連する政省令などの整備が行われている。 |
( | 放射線障害防止法関係) 平成10年5月に取りまとめられた原子力委員会バックエンド対策専門部会報告書「RI・研究所等廃棄物処理処分の基本的考え方について」を受けて、原子力安全委員会放射性廃棄物安全規制専門部会においてRI・研究所等廃棄物の処分に係る安全規制の考え方について調査・審議が行われた。「RI・研究所廃棄物の処分に係る安全規制の基本的考え方の検討状況について」(平成11年3月)において、安全規制の基本的考え方が示されており、同資料では、「廃棄体の放射性核種の濃度はβ・γ核種及びα核種ともに低く、かつ半減期が極めて長い放射性核種をほとんど含まないと推定できるので、これら廃棄体の放射性核種としての特徴も原子力発電所からの廃棄物と同様であると考えられる。」、「これら廃棄体については、LLW基本報告書における処分に係る安全規制の考え方は、基本的にそのまま適用できると考えられる。」と評価されている。しかし、現行法令にRI廃棄物の埋設処分に係る規定がないことから、今後、RI廃棄物及び二重規制廃棄物の埋設処分を行うに当たり、放射線障害防止法の整備が強く望まれている。 |
(5) | 今後の対応 | ||||||||||||
( | 基本方針) 上記のような状況に鑑み、RI廃棄物及び二重規制廃棄物の浅地中埋設処分を安全かつ合理的に実施するため、適切な法整備を検討することが必要である。 |
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( | 今後検討すべき事項) 適切な法整備を検討するに当たり、現行の原子炉等規制法の廃棄物埋設事業に係る法体系との整合性を確保する観点などから、以下の事項について検討することが必要と考えられる。 |
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