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4. 移動使用の規制
(1) 許可対象の密封線源の移動使用
    許可対象となる密封線源の移動使用については、現行法令では、使用の場所の一時的変更として、370 GBq以下の密封線源を非破壊検査などに用いるときに限って、事前届出により認められている。
   国際免除レベル取り入れのための法令改正においては、原則としてはこの制度を踏襲するが、現在までの使用状況や規制の経験を踏まえ、次のように取り組むことが適当である。
  1    一時的な移動使用ではなく、専ら移動使用に用いることを明示的に認めることや、移動使用を業とする事業者に対する合理的な規制のあり方を検討すること。
  2    技術の進歩などを勘案した新しい移動使用の使用目的の取り入れを検討すること。

(2) 届出対象の密封線源の移動使用
    届出対象の密封線源の移動使用については、現行法令では、移動使用を前提とした規定になっておらず、移動使用する際には、移動使用先で新たな届出使用を行うのと同等の届出の変更の手続きが必要となっている。
   国際免除レベル取り入れのための法令改正においては、届出対象の密封線源の移動使用を次のように法制度の中に明示的に取り入れることが適当であると考えられる。

(新届出対象の密封線源の移動使用)
   新届出対象の密封線源のうち当初から移動使用を予定しているものについては、移動先の個々の使用場所についてではなく、安全確保の観点から適当と考えられる使用環境を確認することによって所要の安全性の確認は可能であると考えられる。なお、この場合、事業者に対して、届出の際移動使用の機器の主たる保管場所の明記を義務づけることや、移動使用の実施状況の記録を義務づけることなどが必要であると考えられる。

(設計承認対象の密封線源の移動使用)
   設計承認対象の密封線源については、製造者からの申請に基づき、国が当該線源の通常の使用状況において使用者の被ばくが裕度を持って1 mSv/年を超えないことを確認して承認するものである。
   その設計承認の際に、安全確保の観点から適当と考えられる使用環境が確認されることになるが、使用者が当該線源を当初から移動使用することを予定している場合は、届出に当該線源の主たる保管場所の明記を義務づけることなどが適当であると考えられる。
    以上をまとめると下表のようになる。



表   新たな規制体系における移動使用の考え方
規制の区分
必要な手続き
具体的な使用場所の届出
許      可
・移動使用の都度、使用場所等を届出
新 届 出
・使用環境、主たる保管場所等について事前に届出
・移動使用の実施状況の記録の義務づけ
不要
設計承認
・製造者に対する設計承認時に使用環境をあわせて確認
・使用者からの届出においては、主たる保管場所等について事前に届出
不要



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