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2. 国際免除レベル取り入れ後の非密封線源の規制
(1)
規制の現状
(非密封線源の利用例)
   非密封線源は、放射性同位元素を液体、気体などの物理的状態で用いるもので、次のような利用例がある。
   我が国で非密封線源として利用されている主な核種は、H-3、C-14、P-32、S-35、I-125などの41核種である。
   規制対象事業所数:   907事業所(平成14年3月31日現在)
    研究機関   354事業所
(具体例) 国立研究所において、H-3、C-14、P-32、I-125などを利用した材料のミクロ構造の観察や生体組織の研究などが行われている。
  教育機関   329事業所
(具体例) 大学において、H-3、C-14、P-32、I-125などの核種が、生化学研究などに用いられている。
  民間企業   99事業所
(具体例) 製薬会社において、放射性医薬品などの製造及び安全確認などにP-32、S-35、Cr-51、I-125などが用いられている。
  医療機関   93事業所
(具体例) 病院において、サイクロトロンによりPET用ポジトロン核種(C-11、N-13、O-15、F-18など)が製造され、患者の診断に用いられている。

(現行の安全規制の内容)
  1    許可
   非密封線源は、定義数量を次の4群に分け、それらを超えるものの使用等については許可を要するものとされている。(なお、濃度については、一律74 Bq/g(自然に存在する放射性物質で固体状のものについては370 Bq/g)とされている)

表   密封されていない放射性同位元素の群別規制
群別 放射性同位元素の種類 数量
第1群 Sr-90及びα線を放出する同位元素 3.7kBq
第2群 物理的半減期が30日を超える放射線を放出する同位元素(H-3、Be-7、C-14、S-35、Fe-55、Fe-59及びSr-90並びにα線を放出するものを除く。) 37kBq
第3群 物理的半減期が30日以下の放射線を放出する同位元素(F-18、Cr-51、Ge-71及びTl-201並びにα線を放出するものを除く。)並びにS-35、Fe-55及びFe-59 370kBq
第4群 H-3、Be-7、C-14、F-18、Cr-51、Ge-71及びTl-201 3.7MBq


  2    主要な規制の内容
1    許可の基準(法第6条)
 
   ・ 非密封線源であることを考慮した使用施設などへの要求事項を定める。(省令)
2    施設検査(法第12条の8)、定期検査(法第12条の9)
 
   ・ 第1群:740 MBq、第2群:7.4 GBq、第3群:74 GBq、第4群:740 GBq以上の非密封線源を取り扱う事業所については、施設建設時の施設検査と、その後の定期的な定期検査を課す。(政令、省令)
3    施設適合義務(法第13条)、取扱いの基準(法第15条〜19条)、場の測定(法第20条)、被ばくの測定(法第20条)、放射線障害予防規定届出(法第21条)、教育訓練(法第22条)、健康診断(法第23条)、危険時の措置(法第33条)、放射線取扱主任者選任(法第34条)
   ・ 施設の安全な維持、運転のための諸規定、従事者の放射線管理、健康管理のための諸規定を定める。(省令、告示)
  3    上記の規制の中で、特に非密封線源であることを考慮したものとして、次のような点が求められている。(別紙3参照)
1    使用施設:作業室及び汚染検査室に係る要求
2    貯蔵施設:貯蔵容器に係る要求
3    廃棄施設:排気設備、排水設備及び焼却炉に係る要求

(2)
国際免除レベル取り入れ後の基本的枠組み
(国際免除レベルの取り入れ方針)
  1    核種を4群に分類した現行の定義数量を改め、数量、濃度ともに個々の核種ごとに国際免除レベルを導入するが、非密封線源に対する上述の現行の規制の基本的仕組みは、現在までの約40年近くに至る実績などに照らし、基本的には変更する必要はないと考えられる。
   特に、複数の非密封線源を使用する場合についても、従来どおり、使用する全ての核種の数量の国際免除レベルに対する割合の和が1を超えるときに規制対象とすることが適当であると考えられる。

  2    現行法令では、施設検査、定期検査を適用する数量のレベルについては、前述のように4群の定義数量に対応して、それぞれ4段階の適用の数量のレベル(定義数量の約20万倍のレベル)としている。
   国際免除レベルを法令に取り入れる際にも、現行法令と同様に施設建設時及び変更時の施設検査や、定期的に施設などが健全な状況であることを確認する定期検査が必要であると考えられる。なお、定期検査の具体的在り方については、適用の数量のレベルを含め、第3章の2に記述する。

  3 国際免除レベルの非密封線源の規制内容について、別紙11に取りまとめる。参照)



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