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(別紙1−参考)

退出基準の具体的内容(平成15年3月の厚生労働省課長通知)



   本指針は、一般公衆の被ばく線量限度である1年間につき1mSv、介護者及び患者を訪問する子供について抑制すべき線量である1行為当たりそれぞれ5mSv及び1mSvを確保するため、密封線源を挿入された患者の退出基準等を、金198密封線源及びヨウ素125密封線源についてまとめたものである。退出に当たっては、下記3項目よりなる退出基準を遵守することとする。

1 放射能及び線量率の基準
   医療法に基づいて診療用放射線照射器具を永久的に挿入された患者が病院内の診療用放射線照射器具使用室あるいは放射線治療病室等から退出する場合には、以下のいずれかの基準を満たさなければならない。
1)   適用量あるいは減衰を考慮した残存放射能が下表に示す放射能を超えないこと
2)   患者の体表面から1メートル離れた地点で測定された線量率が下表に示す1センチメートル線量当量率を超えないこと

  適用量または体内残存放射能(MBq) 患者の体表面から1メートル離れた地点における1センチメートル線量当量率(μSv/h)
ヨウ素125
金198
1,300
700
1.8
40.3

2 線源脱落の対策
   ヨウ素125密封線源が、膀胱や尿道に脱落する症例は1%程度とされている。万一、膀胱や尿道への脱落が術中に確認された場合は、膀胱鏡により回収する。回収せず膀胱や尿道に脱落した線源は、翌日までに尿中(体外)に排出されるため、最低1日入院させ、この間に尿中に排泄された線源の有無を確認した後、帰宅させること。
   金198密封線源は、治療部位によっては挿入された線源が脱落することがあるが、アンケート調査によると、全ての線源脱落は挿入後3日以内であった。したがって、線源挿入後少なくとも3日間は入院させ、脱落に十分備えること。

3 患者への注意及び指導事項(医師により口頭及び書面による)
・   次のいずれかに該当する場合には、一定期間、防護具等でしゃへいを行うなど、適切な防護措置を講じること。(患者を訪問する子供あるいは妊婦と接触する場合、公共の交通機関を利用する場合、職場で勤務する場合、同室で就寝する者がいる場合)
・   退出後一定期間内に脱落線源を発見した場合は直接手で触らず、スプーン等で拾い上げ、瓶などに密閉して速やかに担当医に届け出ること
・   治療後患者が早期に亡くなることは稀であるが、治療後一定期間内に患者が死亡した場合、担当医と連絡を密に取り、火葬に付す前に線源を取り出す必要があること

○退出基準の計算における考え方

   密封線源を永久的に挿入された患者が、診療用放射線照射器具使用室または放射線治療病室から退出した場合に、第三者への放射線被ばく線量について、公衆の被ばく線量限度(1mSv/年)、介護者の積算線量値(5mSv/行為)、患者を訪問する子供の被ばくの積算線量値(1mSv/行為)を確保するため、以下の計算条件を考慮し、それぞれの体内残存放射能及びその時点での線量率を求め、すべての基準を満たす体内残存放射能及び線量率を設定している。

占有係数(Occupancy factor)
   1m離れた地点に無限時間(核種が全て崩壊するまでの時間)滞在したときの積算線量と、実際に第三者が患者から受けると推定される線量との比
1) 介護者に関する占有係数:0.5(1m離れた地点で1日当たり12時間接触に相当)
2) 公衆(訪問する子供も含む)に関する占有係数:0.25(1m離れた地点で1日当たり6時間接触に相当)
外部被ばくの線量評価に用いる実効線量率定数
 ヨウ素125:0.0014μSv・m2・MBq-1・h-1
(患者の組織・臓器による吸収を考慮し、点線源から1m離れた地点における見掛けの実効線量率定数(ヨウ素125の実効線量率定数は0.0124μSv・m2・MBq-1・h-1))
金198:0.0576μSv・m2・MBq-1・h-1
(ガンマ線のエネルギーが比較的高く、挿入部位も主に頭頚部であり、組織、臓器による吸収は考慮に入れない)
その他
   密封線源であるため、内部被ばくは考慮しない、また、生体において代謝や排泄を受けないので、物理的半減期のみを適用する。

[放射能及び線量率による基準の計算結果]
放射能および線量率による基準の計算結果

 



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