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2    現状の舞台芸術振興施策
   文化庁では,従来より民間芸術等振興費補助金などを通じ,舞台芸術創造活動への支援を行ってきた。平成8年にはそれまでの文化芸術支援施策を再構築し,文化芸術団体への総合的,継続的かつ重点的な助成を実施すべく,「アーツプラン21」を創設,推進してきたが,平成14年度からはこれを一層加速させてるため,「アーツプラン21」に従来の在外研修制度などを組み入れた「文化芸術創造プラン」を創設し,創造活動,基盤形成など文化芸術活動への総合的な支援を行っている。
   なお,平成2年には日本芸術文化振興会(現独立行政法人日本芸術文化振興会)に多様な文化芸術活動への助成を行う芸術文化振興基金が設置されており,今日,文化庁が直接行う事業とともに,舞台芸術創造活動への支援に重要な役割を果たしている。

1.    創造活動への支援
   文化芸術団体の成果の発表である公演活動自体に対する文化庁の主な支援策としては,以下のような事業がある。

(1)    芸術団体重点支援事業
   意欲的な公演活動への取組等により,我が国の芸術水準向上の直接的な牽引力となることが期待される芸術団体が実施する年間の自主公演を総合的かつ継続的に(原則,3年間)支援している。
   本事業の採択に当たっては,芸術団体からの申請に基づき,音楽,舞踊,演劇,伝統芸能,大衆芸能の5部門毎に設置される「芸術団体重点支援事業等協力者会議」において,新規申請団体,継続支援団体について毎年度事業の審査を実施している。
   平成15年度は,音楽部門28団体(オーケストラ17団体,オペラ8団体,合唱・その他3団体),舞踊部門15団体(バレエ8団体,コンテンポラリーダンス・その他7団体),演劇部門22団体,伝統芸能部門8団体,大衆芸能部門13団体(落語4団体,講談2団体,浪曲2団体,漫才・その他5団体)の合計86団体に支援を行うこととしている。

(2)    国際芸術交流支援事業
   我が国と外国との二国間における芸術交流の推進と,海外とのオペラ等の共同制作や,世界で開催される有名なフェスティバル等への参加を支援している。
   本事業の採択に当たっては,芸術団体重点支援事業と同様に,各部門毎の「芸術団体重点支援事業等協力者会議」において,審査を実施している。
   平成15年度は,113事業(二国間交流(海外公演)音楽11事業,舞踊13事業,演劇14事業,伝統芸能8事業,大衆芸能1事業,二国間交流(招へい公演)音楽2団体,舞踊4団体,演劇4団体,海外公演音楽4事業,舞踊12事業,演劇13事業,伝統芸能4事業,大衆芸能2事業,国際共同制作公演音楽4事業,舞踊3事業,演劇10事業,国際フェスティバル4事業)に支援を行うこととしている。

(3)    芸術拠点形成事業
   自ら企画・制作する能力を有する文化会館,劇場等が行う自主企画・制作の公演,子どもたちを含め広く一般の国民が参加する講習会やワークショップ等の事業に対して支援している。
   本事業の採択に当たっては,劇場等の文化施設の設置又は管理者の申請に基づき,「芸術団体重点支援事業等協力者会議〔芸術拠点形成(公演事業等支援)〕」において,審査を実施している。
   平成15年度は,18施設に対して支援を行うこととしている。

(4)    本物の舞台芸術体験事業
   子どもたちが,優れた舞台芸術を鑑賞し,文化芸術団体による実演指導,ワークショップやこれらの団体等との共演に参加し,本物の舞台芸術に身近に触れる機会を提供している。
   本事業における公演団体及び演目の決定に当たっては,文化芸術団体からの申請に基づき,学校公演と公立文化施設公演毎に「本物の舞台芸術体験事業企画委員会」において,審査を実施している。また,開催場所については都道府県教育委員会からの推薦により文化庁で決定している。
   平成15年度においては,全国の小・中・高等学校及び公立文化施設において520公演(学校公演401公演(合唱41公演,オーケストラ85公演,音楽劇12公演,児童劇109公演,演劇58公演,ミュージカル56公演,文楽9公演,バレエ26公演,邦楽・邦舞5公演),公立文化施設公演119公演(オーケストラ17公演,音楽劇3公演,オペラ5公演,合唱6公演,バレエ3公演,モダンダンス4公演,演劇16公演,児童劇8公演,ミュージカル14公演,歌舞伎5公演,文楽6公演,能楽2公演,寄席芸能30公演))を行うこととしている。

2.    基盤形成への支援
   我が国の舞台芸術創造活動の振興を図るためには,「1.創造活動への支援」のような,公演活動自体に支援を行うこととともに,次代の実演芸術家など人材の育成,各分野に関する調査研究などの基盤形成のための支援が不可欠である。文化庁では,基盤形成への支援として以下のような施策を推進している。

(1)    芸術団体人材育成支援事業
   我が国の芸術家・芸術団体を幅広く構成員とする協会,連盟等の団体が行う芸術家の育成や調査研究等の事業を支援している。
   本事業の採択に当たっては,芸術団体重点支援事業と同様に,協会,連盟等の団体からの申請に基づき,各分野毎に「芸術団体重点支援事業等協力者会議」において,審査を実施している。
   平成15年度は,80事業(音楽11事業,舞踊14事業,演劇22事業,伝統芸能12事業,大衆芸能4事業,映画9事業,その他8事業)に支援を行うこととしている。

(2)    新進芸術家国内・海外留学制度
   我が国の文化芸術の振興のため,美術,音楽,舞踊,演劇,舞台美術等,映画,メディア芸術の芸術家等を対象に,一定期間(1年,2年,3年,特別(80日間)),その専門とする分野について研修する機会を提供している。
   平成15年度は,新進芸術家海外留学制度において155名(美術47名,音楽41名,舞踊19名,演劇17名,舞台美術等7名,映画5名,メディア芸術7名,アートマネージメント12名),国内研修制度において74名(美術14名,音楽12名,舞踊15名,演劇10名,舞台美術等5名,映画3名,アートマネージメント4名,伝統文化11名)を研修の対象としている。

3.    芸術文化振興基金
   文化庁が直接実施する支援事業の他,我が国の舞台芸術創造活動に対する支援として,独立行政法人日本芸術文化振興会においても,芸術文化振興基金を通して支援が行われている。
   芸術文化振興基金は,独立行政法人日本芸術文化振興会の下に,すべての国民が文化芸術に親しみ,自らの手で新しい文化を創造するための環境の醸成とその基盤の強化を図る観点から,平成元年度末に創設された。
   芸術文化振興基金は,基金(政府出資金530億円,民間出えん金112億円)の運用益により,芸術創造普及活動,地域文化振興活動,文化振興普及団体活動を対象にプロフェッショナルからアマチュア団体まで幅広く支援している。
   助成対象活動は,芸術団体等の応募申請を「芸術文化振興基金運営委員会」に諮り,決定している。また,「芸術文化振興基金運営委員会」の下に分野別の4つの部会,11の専門委員会を置き,各分野の実情及び特性に応じた審査を実施している。



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