28.日本図書館協会

●該当ページ及び項目名

108ページ 第7章 第2節 (2)2 a 違法配信事業者から入手した著作物等の録音録画物からの私的録音録画

●意見

 法制問題小委員会において,いわゆる「カラオケ法理」に関する審議が行われているところであるが,複製行為者が実際に複製機器を操作した者ではなく,複製機器の設置者であると認定されるという前提に立てば,図書館や公民館あるいはネットカフェ等の,端末を設置し情報が提供される場で,利用者や来店者により「違法配信事業者から入手した著作物の録音録画物からの私的録音録画」が行われた場合,当該複製行為の行為者も図書館や公民館あるいはネットカフェ等ということになる。「違法配信事業者から入手した著作物の録音録画物からの私的録音録画」の問題点は理解できるが,同行為の違法化については,いわゆる「カラオケ法理」に関する検討と連携を取りつつ,慎重な対応を願いたい。

●該当ページ及び項目名

126ページ 第7章 第5節 1 対象機器・記録媒体の範囲

●意見

 私的録音録画小委員会の設置目的から仕方がない部分ではあるが,「中間整理」全体をとおして著作権法30条に基づく複製に関する議論が大勢をしめ,著作権法30条以外に基づく複製(許諾によるものを含む)への影響に関する議論が見えてこないところに偏りを感じる。「補償金の支払義務者」(p.135〜137)のところで少し触れられているが,現在の制度では著作権法30条以外に基づく複製であっても,対象となる機器や記録媒体に対して補償金を支払うことになる。
 また,補償金の返還制度が一応は用意されているが,補償金の返還までに要する費用を考えれば,有効に機能するものとは言いがたい。
 このような中,今回,新たにパーソナルコンピュータを補償金の対象にすることが検討されていることについては疑問を感じざるを得ない。パーソナルコンピュータは図書館や公民館において情報提供のための端末として設置されているところであり,通常,これらの端末において音楽や映画等が複製されることはないといえる。また,企業等で導入しているパーソナルコンピュータについても,通常は音楽や映画等の複製には使用されないはずである。
 これらのことから,パーソナルコンピュータのみならず,補償金の対象となる機器や記録媒体の範囲を広げることは安易に行うべきではないと考える。

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