著作権分科会 私的録音録画小委員会(第13回)議事録・配付資料

1.日時

平成19年9月26日(水曜日)10時〜12時

2.場所

アルカディア市ヶ谷 大雪

3.出席者

(委員)

石井、井田、大寺、大渕、華頂、亀井、小六、椎名、津田、筒井、土肥、苗村、中山、野村、生野、松田、森田の各委員

(文化庁)

高塩文化庁次長、吉田審議官、山下著作権課長、川瀬著作物流通推進室長ほか

(オブザーバー出席者)

榊原(社団法人電子情報技術産業協会法務・知的財産権総合委員会著作権専門委員会副委員長)

4.議事次第

  1. 中間整理(案)について
  2. その他

5.資料

資料1
  私的録音録画小委員会中間整理(案)
資料2
  中間整理(案)の修正について
参考資料1
  亀井委員、河野委員意見書
参考資料2
  大寺委員意見書
参考資料3
  井田委員意見書

6.議事内容

【中山主査】

 それでは、まだお見えになっていない方が若干おられますけれども、時間でございますので、ただいまから文化審議会著作権分科会「私的録音録画小委員会」の第13回を開催いたします。本日は御多忙中、御出席賜りまして誠にありがとうございます。
 議事に入ります前に、いつもと同じでございますけれども、本日の会議の公開につきましては、予定されている議事内容を参照いたしますと、特段、非公開にするには及ばないと思慮されます。そのために既に傍聴者の方々には既に御入場頂いておりますが、そういう措置でよろしゅうございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

【中山主査】

 はい、ありがとうございます。それでは、本日の議事は公開にいたしまして、傍聴者の方々にはそのまま傍聴お願いいたします。
 それでは、議事に入ります。
 なお、本日は河野委員が御欠席されておりますけれども、河野委員の申し出によりまして、社団法人電子情報技術産業協会法務・知的財産権総合委員会著作権専門委員会副委員長の榊原美紀さんがオブザーバーとして御出席でございます。
 まず、事務局から配付資料の説明をお願いいたします。

【木村課長補佐】

 恐れ入りますが、配付資料の確認をお願いいたします。議事次第1枚物の下半分に本日の配付資料を示させてもらっております。資料1ですが、「私的録音録画小委員会中間整理(案)」です。6章までで1冊、あと、7章で1冊、合わせて2分冊となっております。その他に資料2といたしまして、「中間整理(案)の修正について」、1枚物でございます。その他に参考資料として委員からの意見書を配付しております。参考資料1ですが、亀井委員、河野委員からの意見書、参考資料2は大寺委員からの意見書、参考資料3は井田委員からの意見書でございます。
 以上、配付漏れ等はございませんか。

【中山主査】

 よろしいでしょうか。

【木村課長補佐】

 ありがとうございます。

【中山主査】

 私的録音録画小委員会中間整理(案)につきまして御議論を頂戴したいと思います。
 まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。

【川瀬室長】

 それでは、御説明をさせて頂きます。まず資料1をご覧頂けますか。資料1は2分冊になっておりますので、まず1−1でございますけれども、1枚めくって頂きまして、私的録音録画小委員会の中間整理(案)の目次がございます。「はじめに」から次のページの第6章の外国の現状までにつきましては分冊の1で、第7章の検討結果の部分については別冊の第2になっております。中身につきまして、ごく簡単に御説明します。
 まず、別冊1から御説明しますと、これは初めて今回、委員会に提出するもので、第1章から第6章までは、いわゆる、実態や事実関係に基づいた私的録音録画問題の背景とか、現状についての記述でございます。
 まず、1ページの「はじめに」を見て頂けますか。「はじめに」の部分につきましては、最後のところまで経緯を書いており、2ページの一番上のところをご覧頂きますと、何度もこの会議で説明しますように、今回の報告は中間整理ということで、この中間整理の位置づけについてここに記述しているわけでございます。「私的録音録画問題を解決するための方策について一定の結論を得たところから、その内容を記述するという性格のものではなく、今までの議論から課題を抽出し、その課題に対する議論を整理した上で、議題に対する対応策の基本的考え方、委員会の合意の形成の状況と、その論点などについて求めたものである」ということで、「はじめに」のほうで、この中間整理の性格をあらわしております。
 それから、続いて中身でございます。これらは事前に配付してご覧頂いていると思いますし、また、御意見も頂戴しております。特に御説明を要するところとして、42ページを開いて頂けますか。42ページの第1節は、まず、「著作権保護技術について」ということで、これもこの委員会でたびたび説明してまいりましたとおり、著作権保護技術という概念と、著作権法上は技術的保護手段という概念がございますので、そこをどのように区別し、この委員会では、この著作権保護技術をどういう観点で使用しているかということを書きあらわせて頂きました。3段目のところですが、「著作権保護技術は、後述するように必ずしも直接的に複製を制限する技術だけを意味しない。本小委員会では、著作権保護技術という用語を、何らかの方法により複製が実質的に制限される技術と捉え使用することとする」ということで、一番最後を見て頂きますと、「著作権保護技術は技術的保護手段より広い概念と考え使用していることに留意する必要がある」というふうに、まず整理をさせて頂きました。
 60ページ、61ページをご覧頂けますでしょうか。ここは関係の団体からファイル交換ソフトを利用した私的録音録画の現状につきまして御説明を受け、その資料をもとにしてファイル交換ソフトを利用した私的録音録画の現状について整理したものです。61ページの下の部分ですが、御説明頂きました調査では、ファイル交換ソフトの利用者数を約608万人ということで計算をして、以後、推定をしています。委員会でインターネットの調査ですので比較的利用頻度が高い利用者が回答しているということが考えられるので、そのまま数字を使うと過大な推定値が算出されるのではないかという指摘があったわけです。したがいまして、本委員会としましては、62ページですが、インターネットの利用者数が2,079万人、ファイル交換ソフトの利用者数を251万人と推定して、以後、評価をするという手法を取らせて頂きました。したがって、調査とは少し違う数字で評価しているということです。
 それから、一番最後の109ページですけれども、これは諸外国の私的録音録画補償金制度に関する規定です。ここにつきましては、まず、出典の明示をはっきりさせることと、委員から御指摘がありましたように、原文を添付させて頂くことにしております。ただ、この印刷にちょっと間に合いませんでしたのでそこが欠落しておりますが、最終案としては出典の明示と原文の添付を同時にさせて頂きたいと思います。
 それから、次の第2分冊ですが、これは第7章の結論部分で、この結論部分につきましては、前回、13日に私どもで案を提示し、御議論を踏まえた上で修正をしております。その13日当日に出てきた意見、それから、その後に意見を頂いておりますので、それも踏まえて、できるだけ取り入れるような形で修正を加えているものでございます。
 基本的には、下線の部分につきまして変更したところです。ここでは特に重要な部分について御説明をさせて頂きます。まず、9ページをご覧頂きたいと思います。9ページにつきましては、これは違法録音録画物とか違法サイトからの私的録音録画について第30条の適用から除外すべきであるという基本的な考え方と現状の評価を書いているところでございます。これについては様々な意見が出ており、その趣旨を明確にするために、まず、10ページですが、実は、この真ん中に2として30条の適用範囲から除外する場合の条件があり、3として、適用除外に慎重な意見ということでまとめて書いていたわけですが、その3を削除し、その意見について、それぞれのところに挿入したということです。それがなお書き以下です。なお書きにつきましては、基本的には、「利用者保護の観点から」という、下線の一番下ですが、反対ということを加えさせて頂きました。それを上の「30条の範囲を除外することが適当であるとする意見が大勢であった」と、これは原文では、「ことが概ね了承された」の表現を少し直しましたけれども、「大勢であった」の次に挿入いたしました。
 また、11ページを開いて頂きますと、慎重な意見の第2点につきましては、基本的には除外する場合の条件の点が重いわけで、それについては「なお」ということで、これも、ここのところに挿入をさせて頂きました。また、11ページの上のところにつきましては表現の整理をさせて頂いただけです。
 それから、元に戻りまして9ページです。9ページのところにつきましては、13日以後に諸外国の状況等についても明確にすべきであるという意見もございましたので、アの脚注として諸外国の法律改正の状況について書かせて頂きました。
 なお、資料2をご覧下さい。資料2が報告書案を作った以後の修正で、これも事務局からの提案です。最近、新聞、雑誌等で30条の改正についていろいろ解説されているわけですが、少し誤解を招く表現等があり、投稿サイトなどの視聴についても、今回の30条の適用除外で視聴が違法になるのではないかというような誤解を生じさせるような表現がございました。実は、これは21日に法制問題小委員会があり、私のほうも少し誤解をした回答をしておりますので、そういったことで世の中に誤解を与えているようなことがあります。いわゆる、視聴のみを目的とするストリーミング配信サービスが今回の対象外ではなくて、「具体的には、海賊版からの録音録画、複製物の提供を目的とした違法なダウンロード配信サービスを利用した録音録画、ファイル交換ソフトを利用したダウンロード等が想定される」ということを挿入し、かつ脚注で視聴のみを目的とするストリーミング配信サービスについては検討の対象外であるということを明確化したいと思っております。
 それから、次、13ページをお開き下さい。13ページと15ページが少し関連しておりますので、まとめて御説明したいと思います。とりあえず15ページを開けて頂きますと、15ページにつきましては、13日に議論があったところで、まず、レンタルの場合と有料放送事業者の場合の契約改定ができるか、できないかという、その理由ですが、それをまずアとイという形で分けさせて頂きました。それから、イにつきましては、後ほど御指摘があった点ですが、イの中ほどに、「例えば」以下ですけれども、音楽番組のようなものの録音録画、これは音楽を映像とともに利用するという場合について権利関係が非常に複雑だという御指摘がございましたので、その旨を追加いたしました。また、全体的に、この15ページについては、まず、現状の契約を見たときに、その契約をどう評価するのか。それから、現状の契約に対する関係者の考え方を記述して、それから契約の変更があり得るのかどうかという観点で整理し直してみました。そういう点から、30条から適用範囲を除外することについては慎重な意見が多かったという結論は変えておりません。
 ただ、13ページに戻りまして、現状の評価、ないしは現状の関係者が契約の変更に対する考え方をどう考えているのかということを整理した上で、13ページで、「契約によって録音録画の対価を徴収できるような状況が拡大した場合には、改めて第30条の適用範囲の見直しをすることが必要である」ということで、将来に含みを持たせた表現にしております。
 なお、15ページに戻って頂きまして、なお書きでございますが、この部分については、ビジネスモデルの現状からというものを基本的には落としたわけでございますが、様々な意見があり、実は、事務的には全て調整ができていないわけですが、様々な意見につきましては、関係者は録音録画の対価が入っていないことを認識していないかもしれないけれども、現実には当該対価が事実上、徴収されているのではないかというところに集約されるのではないかということで、ここの部分については考えております。
 それから、17ページを開けて頂きます。17ページにつきましては、これはタイムシフトの定義について13日にかなり議論があったわけでございます。ここで脚注を付けた上で、特にこの小委員会としてどういうことを定義するかと、つまり括弧書きの(放送時間とは別の時間に視聴するための録音録画)以上に定義するかという問題があって、賛否両論分かれたわけでございますが、この点につきましては、アメリカ合衆国の最高裁の判例と、イギリス著作権法の規定の紹介をするにとどめるということで、特に小委員会として消去が必要かどうかという定義をしないということにさせて頂きたいと思います。
 あとは、大体、表現の整理ということです。以上でございます。

【中山主査】

 はい、ありがとうございました。それでは、第1章から第6章までにつきましては、本委員会の意見というよりは事実関係の記述が中心でありますので、ここでは、まず「はじめに」という部分と、第7章の「検討結果」という部分について審議を行い、その後、時間があれば他の部分についても審議を行うことにしたいと思います。
 それでは、自由討議に移りたいと思います。まず最初に「はじめに」という部分、資料1の案の1の最初の部分「はじめに」について御意見がありましたら頂戴したいと思います。亀井委員、どうぞ。

【亀井委員】

 「はじめに」の内容自体についてということではありませんが、短時間でこういう形で様々の立場、御意見をまとめられる事務局にかなり御尽力を頂いてこういう形になったということで、「はじめに」という整理で基本的に私はよろしいのではないかと思います。ただ、短い時間での審議という中で、全般を見渡しますと、やはり、審議の中で申し上げたことで、いまだにほとんど触れられていないことがあったり、あるいは、審議が十分尽くしていない部分もあろうかと思います。恐らく、最後にまとめられている、今後の方向といいますか、「本小委員会では」という意図の部分に今後また期待されるところだろうと考えます。
 その意味で、これは少し確認になりますが、「関係者の意見を踏まえた上」というときの「関係者」ですが、私ども、こういった形で小委員会に席を持たせて頂き、意見を色々述べさせて頂いたところですが、まだまだそういう意味では、どうしても言い足りない部分があります。そういう意見は、今後、どういう形で申し上げていけば良いのか。今後、手続きとしては、恐らく公表されて、パブリックコメントという形になろうかと思いますが、委員であるJEITAという立場では、パブリックコメントという形でも意見を申し上げることでいいのか、あるいは、それ以降の小委員会の中で改めて意見書という形で、ここに書かれている課題について、書き方というよりは、その中身の意見ということにまさになってくると思いますが、そのあたりをどう考えていったらいいのかということを、あらかじめお聞きしたいと思いますので、お願いいたします。

【中山主査】

 室長、お願いします。

【川瀬室長】

 関係者といいますのは、この委員会でも、事実上ですが、業界といいますか、団体の御推薦ということで出てきて頂いている委員の方もおられ、そういう方はもちろん関係者ということです。それ以外に、この場には御出席できなかった団体もおられます。それから、各社といいますか、JEITAの場合ですと各社の御意見もあると思います。私どもとしては、特に関係者というものを限定して考えているわけではありませんので、一般国民の方も含めて、その団体レベル、それから会社レベル、または個人レベルで御意見を出して頂ければいいと思います。委員を推薦して頂いている団体におかれましても、特に意見募集を拒むものではございません。私としては、できるだけそのときに出して頂ければいいかと思います。それを私どもでまた意見を集約して、整理をしたペーパーを作りますので、それを踏まえて更に御議論をして頂こうと思っています。
 今、御指摘の点、私どもも重々承知しております。この委員会で議題として提案があった点について十分審議できなかった項目もありますし、そういった点も御指摘を頂いて、注意喚起ということではないのですが、明示して頂くほうが今後の議論の進行には、より有益なのではないかと思いますので、意見を出されるときには、そういうことも踏まえて提案をして頂ければありがたいと思っています。

【亀井委員】

 ありがとうございました。

【中山主査】

 他に何かありませんか。では、「はじめに」というところはこれでよろしいですか。
 それでは、本論というか、第7章に移りたいと思います。第7章の検討結果、まず最初に第1節の「私的録音録画問題の検討に当たっての基本的視点について」という箇所について御意見を頂戴したいと思います。何か御意見がございましたら、どうぞ。よろしいでしょうか。それでは次に進みます。もし、時間があれば、再度御意見を頂戴したいと思います。
 第2節の「著作権法第30条の範囲の見直しについて」という箇所につきまして、御意見があれば頂戴したいと思います。どうぞ、津田委員。

【津田委員】

 10ページのところの表現は、前回、僕が、「概ね了承された」という表現に対して書き換えて頂いて、これはありがとうございます。両論併記という形で僕の意見を併記して戴いたことによってわかりやすくなったと思うので、これは非常にありがたいと思います。一方で、先回申し上げたように、この「とする意見が大勢であった」というところの「大勢である」という表現がちょっと僕は少し納得できないというのとはちょっと違うのかもしれませんが、ここはやはり、委員によって、今までの議論を踏まえると、この問題についてはどちらかというと積極的に賛成の委員という方より、消極的容認という意見の方が多かったというイメージが僕の中ではあるので、そこで前回、多数決の提案というのもそれにちょっと関わってきたのですが、この委員会自体はどの権利者、ユーザー、消費者、色々な方が参加して話題になっていますが、どういったお立場の人がこの議題について賛成し、どういった勢力の人が反対したのかということをはっきりさせて、それを両論併記させることに意味があるのではないかという気がしています。
 前回、僕もちょっと調べてみたというか、中山主査のほうから、多数決というのが委員会の性質上、難しいのではないかという意見があったのですけれども、この文化審議会の著作権分科会の運営規則の第3条の7項のところに「小委員会の議事は当該小委員会に属する委員、臨時委員及び専門委員で会に出席した者の過半数で決し、可否同数のときは主査の決するところによる」という項目が書いてあるので、これはここの小委員会で議事を行う場合、多数決を行うというのは、ここの運営規則に書かれているので、その多数決が難しいというのが、ちょっと、この規則には「多数決で決し」ということが書いてあるので、議事は実際問題として、この中間報告を決めるところになったとき、ここで議事を僕が求めて、この議事が行われないのだったら、いつこういった手続きが行われるのかと純粋な疑問があるので、そこのところをお伺いしたいということと、僕個人の意見としては、この両論併記にして戴いたことはありがたいのですけれども、やはり、どの勢力の方が賛成し、どの勢力の方が反対して、逆に、特段意見がない委員の方もおられるのかなということを僕としては最後に知りたいというところもあるので、その辺を中山主査と事務局にお伺いできればと思います。

【中山主査】

 規則上、最終的には多数決になるということは、ほとんどの会議がそういうことになっていると思いますが、従来から、多数決によらないという慣行だったということが1つと、仮に多数決で決めて、この少数意見をなくしてしまうということよりは、むしろ少数意見も残しても将来の立法等の参考に役に立ってもらえれば、そのほうがいいかという感じがしていたものですから、多数決というよりは、むしろ少数意見も書くという方向を選んだわけです。誰が、何を言ったかというのは報告書に書くのではなく、むしろ議事録を公開しておりますので、それは議事録であらわれていますので、一々ここだけ、誰さんがこう言ったということはなかなか書きにくいのではないかと思うんです。

【津田委員】

 であれば、「第30条の適用を除外することが適当であるとする意見が大勢であった」という書き方ではなく、「色々な意見があった」という書き方にして戴いたほうがいいのかなという感じが、僕個人としてはするんですけれども。

【中山主査】

 積極的賛成か、消極的賛成かは別として、まあ、議論の中では大勢だったと私は思ったのでこうなったわけですが、「大勢であった」という表現に異論がございましたらお伺いしたいのですが。この点はいかがでしょうか。どうしてもまずいですか。実質的にはこのとおりのような気がするのですが。むしろ、少数意見をこれだけ詳しく書くことは非常に意義があると私は思っております。

【津田委員】

 前回と繰り返しになってしまうかもしれないのですが、僕が参加する前の法制処理によってi-Podにかけるかどうかの議論では、議事録を見たらそれぞれの委員の意見が全部表明されていたのを見て、それがとても参考になったのです。それでこういう議論になって、では、2年間持ち越しにしましょうという経緯がその意見を見てわかったので、あのときほど多分、この問題について割れていないという中山主査のお考えなのかもしれませんが、ああいう形でまとめてそれぞれの意見を書かれて公開することが僕自身は、この議論を公開していく意味もあると思いますし、割と大きな話だと思うので、その意味で皆さんの意見を表明して頂くことを僕は希望したいと。その上で「大勢である」というまとめをされるのであれば僕も構わないのですけれども。

【中山主査】

 津田委員の御指摘のあったあの会議のときはほぼ意見が真っ二つに割れていまして、そういう事情もあったのですが、今日のこの点についてはいかがでしょうか。他の委員の方々の御意見もお伺いしたいと思います。苗村委員。

【苗村委員】

 私は、この「大勢であった」という表現がいいか、どうかは別として、適当であるという立場の意見です。更に、この前、二、三回前にちょっと発言させて頂きましたが、ここに書いてある、違法な録音録画物、並びに違法サイトからの私的録音録画だけではなく、その他の違法複製物からの私的複製も当然30条の適用範囲から除くべきだと思います。ここは、私的録音録画補償制度の小委員会ですからそれ以外の議論はしていないわけですが、除くべきものはそうだと思いますし、更に、例えば、有料放送の受信機で、本来、契約を結ばなければ受信できないはずのものを何らかの不正な受信機器等を入手して受信しているものが不正に受信した結果を更に私的録画することについても、可能であれば除くべきだと思っておりますので、この表現でよろしいのかと思います。

【中山主査】

 他に、今の表現につきまして、何か御意見がございましたら、どうぞ。

【生野委員】

 まさに当事者の私より、他の皆さんに言って戴いたほうがいいのかもしれないのですが、今、中山主査のほうから、異論があるかというところで特に発言がないように、私の認識としては、この表現でこの委員会の中では整理はされていると考えます。それと、論点はこれだけではなくていろいろある中で、個々に、これについては積極的な賛成なのか、消極的な賛成なのか、それは何対何かとかやっているわけではなくて、これだけ個別的に取り上げてこういう議論をすること自体、いかがなものかと思います。以上です。

【中山主査】

 他に何か御意見がございましたら、どうぞ。それでは、ちょっと強引かもしれませんが、この表現でよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【中山主査】

 大変申しわけないですけれども、よろしいですか。五、六行、津田委員の意見をここに書いているということで了承して頂ければと思います。申しわけございません。

【津田委員】

 はい。

【中山主査】

 他に何かございましたら、どうぞ、井田委員。

【井田委員】

 参考資料ということで付けて頂いていますので御説明だけさせて頂きたいと思います。一応、いろいろメール等で意見を出させてもらうということで出させて頂きましたが、本文の中には入れて頂けなくて参考資料ということで付けて頂いているということで、参考資料3でございます。
 「検討結果」のところで、「レンタル店から借りた音楽CDからの私的録音」と「有料放送からの私的録画」という文章で、いろいろ意見を盛り込んでまとめて頂いているのですけれども、一番最後のほうにこの2文を追記して頂いてはどうかということで意見を出させて頂いておりました。内容的に見ますと、やはりここの部分というのは、検討結果を書き込むという部分ですので、こういう意見もあったということで追記頂けたらどうかということで差し上げた内容でございます。
 レンタルについても、今年、3回目の小委員会でこのような意見が出ておりましたし、第10回の小委員会でも、私もそういう意見はありますねということは御指摘させて頂きました。私は、貸与権が私的領域での複製の問題に対処するために創設されたということがあるのであれば、契約書上で貸与権料という名目でしか書かれていないから二重取りはないというのは余り理由にはならないのではないかと思っております。現に、当事者のレンタル事業者の方が貸与権料には複製料が含まれていると、一時的にせよ、ホームページに記載されていたわけで、一般市民の感覚として、経緯を考えても貸与権料には一定の複製見合いが含まれていると感じるのが必然ではないかと考えております。少なくとも、この小委員会でこういった議論があったわけですから、その点を追記頂けたらということで意見をさせて頂きました。
 それから、有料放送のほうですけれども、本文の12ページの(2)の1のところに書いてありますが、「著作物等の提供者が利用者の録音録画行為も想定し、一定の管理下においてこれを許容しているような場合」に該当するのではないかと思いますので、指摘させて頂きました。今回の中間整理(案)では、第30条の適用範囲から除外することについて慎重な意見が多かったということで、この中に書いてありますが、私の実感としては、そこまでここの議論はされていなかったという感覚ですが、少なくともこういう意見があったということで書いて頂けたらということで提出させて頂きました。以上、御説明であります。

【中山主査】

 その点、室長、いかがですか。

【川瀬室長】

 先ほど私も申しましたように、この点につきましては、事前に井田委員との調整がつかなかったわけでございますが、私のほうは井田委員の意見を無視しているわけではありませんで、基本的に、この論理の立て方につきましては、まず、一般論として、前の部分で基本的な考え方を記述し、この項では、現状の契約がどのようになっているのか、また関係者がどのように認識しているのかということをまず記述し、かつ、契約の変更についてそれぞれレンタル、それから有料放送の立場から、関係当事者がどういう認識を持っているのか、それによって契約形態を変えられるのかどうかということを踏まえた上で、結論は13日と変わりませんが、30条の適用範囲から除外することについて慎重な意見が多かったというふうに結論づけているわけでございます。
 一方、それ以外の意見が様々、出ているわけですが、それにつきましてはなお書きで、「現状において私的録音録画の対価が徴収されていることは確認できなかったが、関係者は認識していないかもしれないが、現実には当該対価が事実上徴収されているのではないかという意見があった」ということで、ここの意見に様々な意見、井田委員だけではなくて他の委員からも意見が出ているのは承知しておりますが、そういったところに内包されているのではないかということで、それを具体的に取り出して並列することになると、それでは私も、私もということになりかねないので、これらの意見については、このなお書きに含まれているということで、特段意見を取り出して並列的に書くことは事務的には問題ではないかということで事前調整では詰め切れなかった点でございます。

【中山主査】

 この点についてはいかがでしょうか、どうぞ、亀井委員。

【亀井委員】

 表現の仕方として、井田委員がおっしゃったとおりにお書き頂くかどうかは別としまして、この審議の場で貸与権との関係であるとか、ここで言う関係者というのが、一体、利用者は含まれるのかどうかという点で、利用者サイドから見たらそうではない部分もあるだろうということもありましたし、今後これをパブコメに付すときに、この4行から「事実上、徴収されている」という意味が一体何であるのかということを、この場にいらっしゃらなかった方が文章として見てお分かり頂けるかということを考えますと、井田委員が御提案のような、事実上、徴収されているということの裏にある事実なり、考え方なりをここで補足的に書いておくことについて、私は賛成いたします。

【中山主査】

 はい、室長、どうぞ。

【川瀬室長】

 それでは、このなお書きの中に、今、このような趣旨のことについて書くという案でいかがでしょうか。表現はともかく、表現は、26日でございますので主査に御一任頂ければと思いますが、今、井田委員、亀井委員のおっしゃったような趣旨を、私どもとして、別に意見を書かないということではなくて、できるだけ書くような方向で努力したいと思いますが、この4行を少し修正して、「関係者は認識していないかもしれないが……」のところの前の理由という感じで、「このような観点から」とか、そういうことで例示というか、明記するということで、今、亀井委員がおっしゃっていたように、確かに、おっしゃるとおり、読んだ人が、この4行ではなかなか分からないという点もありますので、そこを明らかにするという感じでいかがですか。

【中山主査】

 どうぞ、大寺委員。

【大寺委員】

 この最初の文化庁の原案は、ある意味で言いますと、色々な意見を集約して、私も前回、ここについて色々申し上げましたが、色々な意見があるということで、したがってそのときには、こういう意見もあるけれども、こういう意見もあったということで全体としてバランスのとれた修文をして頂きたいと思っています。

【中山主査】

 それでは、この部分につきましては、今の御意見を含めまして修文をしたいと思います。その点はお任せ頂いてよろしいでしょうか。

(「お願いいたします」の声あり)

【中山主査】

 はい、わかりました。他に何か問題点はございますか。どうぞ、津田委員。

【津田委員】

 先ほどのとはまた違う話ですが、僕もダウンロードに関してはちょっと気になっている部分が幾つかあって、これは、権利者団体の方にお伺いしたいのですが、実際に、「情報を知って」という、非常に利用者にとっては利用者保護の観点でそういう項目がついて、罰則もないという意味で、そういう意味では割と緩い運用になるのかなということもありつつも、多分、今までの議題のお話の中で、罰則はないけれども民事訴訟の対象にはなり得るというお話は出ていたかと思います。実際に、海外何かだと、ファイル交換ソフトで違法な音楽とか動画をダウンロードしたものに対して権利者団体が民事訴訟を行うことがアメリカ何かだと事例として起きているのですが、日本の権利者団体の方は、これがもし仮に30条がこういう形で修正されたとしたときに、そういう、情報を知ってダウンロードしているユーザーに対して民事訴訟を行っていく意思があるのかということを確認したいのですが。

【中山主査】

 なかなかこの場では難しいかもしれませんが、生野委員、どうぞ。

【生野委員】

 まだ、この時点ではこういう規範としてきちっと定めてそれを守って頂くというところで、今後、啓発活動とか、そこら辺をしっかりやっていかなければいけないとは考えています。ただ、具体的にダウンロードした各ユーザーに対して民事訴訟を提起して云々という議論はまだしておりません。

【中山主査】

 アメリカとは訴訟の実態が大分違うので、アメリカのようにすぐに訴訟が起きるとは思いませんが、しかし、ここで訴訟を起こさないということを明言することもできないわけで、今、言われてもなかなか難しいと思います。どうぞ、津田委員。

【津田委員】

 民事訴訟を権利者団体の方が行っていく意思があるかどうかが僕は結構、重要な話だと思っていて、もちろんユーザーの立場からしてみたらですね。とにかく、当面、そういうことをする意思がないというのであれば、余り執行する意味がない法律を要望する意味がそもそもないのではないかという感じもします。
 もう1点、30条が改正されたときに起こり得る色々な社会的な問題としてすごく気になっているのが架空請求の問題です。架空請求というのはインターネットでよくあるのですが、要するに、今、生野委員のほうからも啓発活動を行っていくという話があって、つまり、こういう形に30条が変わると、違法な著作物をダウンロードするのは犯罪ですということを新聞広告なり啓発なり、パンフレットでそれを書けるようになることがあると思います。そういう意味で違法の適法マークを作るというのもそういった啓発活動の一環だと思います。
 ただ、そうなると、違法な著作物をダウンロードすることが犯罪だというようなことが実際問題、今、報道とかでもされ始めるでしょうし、ニュース何かでも、そういった形で、30条が変わったら違法なものをネットからダウンロードするのは違法になりますよということを宣伝された状態になったとき、実際にこれはもう起き始めているのですけれども、JASRAC(ジャスラック)さんとか、日本映像ソフト協会さんkomeの名前で、ユーザーに対して、「おまえはWinnyを使っただろう、違法なファイルをダウンロードしただろう、それは犯罪だから、ここの口座に振り込め」という振り込め詐欺みたいな形で起きているんです。そういうことが起き始めているときに、これが法律として変わってしまうことによって、そういう架空請求が非常に悪質な業者、暴力団の資金源の温床になってしまう可能性があるのではないかということが僕はすごく気になっています。適法マークみたいなものがついた、より、そういうものもやりやすくなるでしょうし、そういうものも当然マークを語ってワンクリック詐欺みたいなことをやる業者も出てくるかもしれないし、情報を知ってか、知らずかというのは一般の市民には分からないというのが僕もずっと懸念として考えていることで、いきなり架空請求みたいなメールが送られてきて、あなたは違法にダウンロードしていますみたいな話になったときに、自分がインターネットを普通に利用していて、違法か違法ではないのか全く分からないようなあいまいな著作物を今までしたか、していないかということを判断できる消費者の人はなかなかいないと思います。
 あと、もう1つ、やはり重要な問題として、今、大きな問題となっているYou Tubeですけれども、You Tubeにしても、実際、日本の利用者がネットレイティングさんの調査だと1,200万人というふうに言われています。あれも多分、日本の著作権法で、実際問題、You Tubeを見るときに、現状はストリーミングという形にはなっていますけれども、あれも一度見ていると、ハードディスクの中にキャッシュという形で取り込んでいるんです。キャッシュが一時的複製に当たるか、当たらないかという議論はずっとあると思いますが、メモリーではなくハードディスクの中に複製しているのをどうするのかという議論も多分あるでしょうし、いずれにしろ、You Tubeを見ただけで違法行為になってしまうのではないかというのが非常にあいまいな部分が多くて、実際にそれがもう今、日本には1,200万人いるということがあって、どうしても架空請求などと結び付くことによって消費者に非常に混乱がもたらされる可能性があるのではないかという懸念があります。
 結局、消費者は難しいことが分からないわけです。分からないから、混乱を与えないために、そういう状況をただすために、権利者も当然保護しなければいけないわけです。だから、僕は送信可能化権みたいな権利が与えられたと思うんです。そちらのほうで本来だったら規制がかけられるわけで、そちらで対処するというところで、こういう著作権法の改正が行われたと思うんですけれども、何かそれとは違う形で、やはり消費者に混乱を与える形で権利保護が強化されるというのは、その社会的な構成という観点からしてもちょっとおかしいのではないか。これは権利者自らの努力で自分たちの権利を守らなければいけないと思っていますし、そもそもの著作権法の趣旨にそれはそぐわないのではないかと思い、最後なのでそれを言わせて頂きました。

【中山主査】

 その点につきましての御意見を、生野委員。

【生野委員】

 前々からの津田委員の持論につきましては、これまでもいろいろ議論させて頂いたとおりでございます。誤解があってはいけないので言わせていただきますが、先ほどの違法サイトからのダウンロードが、仮に法改正して違法となった場合、ダウンロードしたユーザーに対して訴訟を提起するかどうかという件に関しては、私は「やらない」とは言っていなくて、まず、これが法改正された場合に、それが違法であるということをきちんとユーザーに認識してもらうための啓発活動をしっかりやっていかなければいけない。その中で、ここでも説明させて頂いたのですけれども、識別マークの普及とか、そこら辺をきちっとやっていかなければいけない、そういった優先順位がある訳です。
 ダウンロードを行うユーザーが、法改正の後、どの程度出てきて、悪質のものとか、色々あると思うんです。ですから、個々にそれを具体的に見ていかないと、こういう場合はやりますと今、言えるまでレコード業界としても検討していないということを申し上げたので。「やらない」とは言っていませんので、念のために。

【中山主査】

 どうぞ、華頂委員。

【華頂委員】

 今、違法複製物とか違法サイトからのダウンロードが、言ってみれば実効性がないではないか、ということだと思うんですが、技術的保護手段の回避も同じなのです。DVDのリッピング、私たちは技術的保護手段の回避というふうに認識していますが、これが家庭内で行われるとそこまで追跡できない。それがやがてどこかで売られるといったところで検挙するわけです。このダウンロードも同じです。ダウンロードを違法として頂いた上で、実効性がないではないかと言われても、それが実際にダウンロードされて売られた場合。それは当然検挙しますよと、それと同じだとは思うんですが、いかがでしょうか。

【中山主査】

 どうぞ、椎名委員。

【椎名委員】

 ちょっと、事務局がおっしゃらないので僕が言うのも何なのですが、津田さんが来る前に資料2というのが出ていまして、その説明がありまして、津田委員がおっしゃったYou Tubeに関しては誤解があるといけないので、ストリーミングに関してはこの中に入らないという「なお書き」を追加するというお話でしたので、You Tubeに関しては御心配の向きはないと思います。資料2という1枚物です。
 それから、この件に関して権利者が発言していないということを言われていたので発言しようと思うのですが、津田さんには、会議の席ではないところでは何度も発言をしているのですが、僕は以前、この会議の席上で津田さんに質問していて、仮に違法録音録画物からの私的複製を制度の範囲の中にした場合に、補償金制度がすごく大きなものになってしまいませんか?という質問を多分したと思います。ここの会議というのは、補償金制度をどうするかということを考えている会議であって、その場合に、もし、違法録音録画物からの私的複製も補償する制度ですというふうにした場合には、これはとてつもなく大きなボリュームを持った制度になると思います。そこのところを、今、この会議の現実感で言うと、とてもそこまで持っていくことは不可能であろうということもあり、やはり、違法に関しては30条の外へ出すのが適当ではないかと思っています。
 仮に、津田さんが、それをもカバーする程度の補償金制度を作ったらいいのではないかという御意見をお持ちなのであれば、それはそういう選択肢もあるかとは思いますが、どうも、そうではないと思うんです。この場の空気もそうではない。違法複製物からの被害実態のために色々な調査があって、アメリカでの調査もとてつもない数字が出ていたりということがあるけれども、それを補償金制度という方便で解決できるのかどうかというと、やはり解決するのは不可能なのではないかという意味で、30条の範囲から外すのが適当だと思っています。

【中山主査】

 他に御意見がございますか。津田委員の御意見はわかりました。今すぐこの文章を変えるという御趣旨ではないですね。

【津田委員】

 もし、今、色々併記して頂けるところに、本当に色々と考えた上で僕も架空請求問題というのは割と大きな社会不安をもたらす可能性があるのかなという懸念があるので、もし、あれだったらここに追加しておいて頂けるといいと思います。

【中山主査】

 今まで、この点について、私も架空請求の問題は考えてもいなかったのですが、確かに、それはあるかもしれないですね。しかしこの問題がなくても、そのような犯罪を犯す人は、どの道他のところでやるとは思いますが。そういうことをやる人は違うほうで架空請求して結果的にはどこかでやるのではないでしょうかね。

【津田委員】

 ただ、やはり、ニュースとかで違法なものをダウンロードするのがもう違法行為になりますよということが周知徹底されればされるほど、当然その啓発活動が継続的に行われるわけですから、多分僕は、そこの狭間でこういったものは顕在化してくると思います。何ですか、インターネットというものが、いいところでもあり、悪いところでもあると思いますが、自分の見ているものが、ちゃんと合法的なものなのか、違法なのかよく分からないで、ある種、そういうものが分からなくてもちょっとくらい違法でもいいか、見られればという形で大多数のユーザーは、これはもう、いいとか悪いとかの問題ではなくて、そういう利用の仕方をしているわけです。それを、では、どこまでDRMなり、法制度で抑えようといっても限界があると僕は思うんです。そのときに、そこの狭間で実際問題、架空請求の被害がやはり増えていますし、そういったものに付け入る隙が増えてしまうのは、これはやはり、きちんとそういうものを減らすためにどういう方策があるのかというのは、もしかしたら、これとは違う議論で、ネット詐欺をどうするかという議論なのかもしれませんが、ただ、それのきっかけを作るのは間違いなく、この30条の改正だと思うので、そこに関してはちょっと懸念は表明しておきたいという気はしています。以上です。

【中山主査】

 室長、どうですか。

【川瀬室長】

 今、津田委員自身がおっしゃったように、制度を改正して架空請求が増えるかどうか、私もよくわかりませんが、そういうことが多分あるのだろうと思います。それは、今、まさしく津田委員が言及されましたように、現行法でも行われているということで、そういうことが著作権法の制度の改正といいますか、ルールの変更に1つの大きな阻害要因になるのかどうかというのは、私は、個人的には少し観点が違うのではないかと思います。この改正については、権利者側の強い要望を踏まえた上で制度の検討をしているわけですが、今、生野委員もおっしゃいましたように、改正になれば、違法状態を放置しておくわけにいきませんので、広報、啓発活動、警告、場合によっては訴訟ということで、市場浄化といいますか、そういうものに努めて頂くことが大事なのだと思います。そうすればそうするほど架空請求が増えるということは、ひょっとしたらあるのかもしれませんが、少なくとも、この著作権制度の見直しにその点が原因となって、例えば、制度の改正に消極的になるとか、積極的になるとかということではないのではないかと思います。もしそういうことになれば世の中は色々なことがありますので、あらゆる点について考慮して考えなければならないということなので、直接、著作権制度の見直しと関係ないことについては報告書に書きにくいのではないかと私は思っております。

【中山主査】

 そうですね。著作権法で面倒な規制がたくさんあるから、精査すると架空請求できるものもたくさんあるかもしれないですね。なかなか、一々ここで処理できるかどうか、どうぞ、津田委員。

【津田委員】

 僕がなぜこういうことを言っているかというと、完全に利用者保護の観点、消費者保護の観点で、今日、河村さんがいたら、河村さんにぜひ強く訴えたかったところです。やはり、善意の第三者が被害を受けてしまう可能性があると思うんです。それこそ、違法なものをダウンロードしていないユーザーも当然たくさんいますし、たまたまネットを見ていてダウンロードしているみたいな、よく分からないけれども、どんどん、普通にインターネットを使っていたら身に覚えのない請求が来たときに、何かインターネットでこの前、違法なものを落としたら犯罪になってしまったみたいなところで、実際に善意の第三者が被害を受けてしまう可能性があるなと、それは確かに著作権法の議論とはまた違う話なのかもしれませんが、そこが変わるというのは結構大きなインパクトだと僕は思うんです。今まで、何となく、いい、悪いの議論はあるにしても、ダウンロードしてインターネットを利用しているだけであれば、それが犯罪になるということはなかったわけですが、そういう意味で、インターネット利用、ユーザーの利用のパラダイムが大きく変わってしまうというのは、日本のインターネット利用に対してかなり影響が大きいのではないかと。その立場から一応、懸念を表明しています。

【中山主査】

 はい、どうぞ、苗村委員。

【苗村委員】

 いずれにしても、なお書きのところは津田委員の御意見を反映されるという趣旨で入っていると思いますので、できれば少し反映させたほうがいいと思いまして、例えば、こういう表現はどうでしょうか。このなお書きの一番最後の行の「行き過ぎであり」の後に「一般消費者のインターネット利用を萎縮させる恐れがあるので利用者保護の観点から反対である」と、そういうふうに表現をすれば、「架空請求」という言葉を入れるのは余り良くないと思いますので、先ほどの趣旨はそれでカバーされるという気がしました。
 ついでに、先ほど椎名委員がおっしゃったことは非常に重要なことだったと思います。この前にアからエまで除外する理由が書いてあるわけですが、その中には書いてないことで、実はここは、やはり、私的録音録画補償金の制度がどうあるべきか、ということを議論する場ですから、そういう目から見ると、もしこれを除外しないで適切な対策を考えると補償金の金額が膨大になる恐れがあるというのも、確かに非常に重要な意見だと思うので、むしろこれは加えて頂いたほうがいいのではないかという感じがしました。

【中山主査】

 室長、その点はどうですか。

【川瀬室長】

 今の苗村先生の御意見は補償金制度に関わることでございますので、主査と御相談しまして、そのようにしたいと思います。

【中山主査】

 そうですね。膨大になるかどうかはわかりませんが、その趣旨のことを、エの次のオになるかどうかは別として加えたいと思います。津田委員、先ほどの苗村委員のお話でいかがですか。

【津田委員】

 苗村先生の言われた形で、「萎縮する恐れがある」というのが入るだけで全然違うと思うので。

【中山主査】

 では、そういう修正でよろしいですか。はい、ありがとうございます。
 それでは、他に何か問題点はございますか。どうぞ、榊原さん。

【榊原オブザーバー】

 ちょっと先ほどの井田委員と大寺委員がお話しされていた点に戻るのですが、中間整理(案)で頂いた12ページから15ページあたりのところで、適用除外されるものに適用配信は当たると、CDのレンタル、有料放送は当たらないだろうという区分けの仕方についてどう記載するかということで、事務局のほうから15ページの一番最後のなお書きのところを若干、修正されるということだったのですけれども、私の記憶では、亀井委員もおっしゃっていたとおり、四、五名の委員から、ここについての異なる見解が述べられていましたので、やはり、中間整理(案)の趣旨からしても併記という形が望ましいのではないかということを再度、御検討をお願いしたいというのが1点。
 もう1点は、同じことに関してなのですけれども、ここで適用除外されるものの条件として、12ページの下から2段落目の一番大きな段落のところの3行目とかに、「著作権保護技術と契約の組合わせ等により」といって、文章の最後に「管理することが可能である。」と。「一定の管理」という言葉が、その後の段落にも、2行目で「一定の管理下において」というふうに「管理」という言葉が何度も出てくるわけです。それとともに、「技術」と「契約」という言葉が出てくるので、著作権法の世界でよく言われる管理支配と言われるものが、対価を得ているという管理支配と何らかの支配、コントロールされているというものが外れるのだという抽象的な規範を一たん定立をされていて、その中に何が当たるかということで適法配信は当たるけれども、CDと有料放送は当たらないのではないかと。その論点の分かれ目が、一定の管理下ということをどう捉えるのか。ユーザーは除かれると思いますが、関係者の認識と、現状を踏まえて考えるべきだという考え方と、実際の可能性から考えるべきだというところで意見が分かれてきているのではないかと理解しています。
 13ページの冒頭に、この点は将来も開いている部分で、現在は適法配信だけが除外されるという考え方に立っても、管理が可能なものについては外れていくという感じのことが書かれていますので、この検討が法律改正を前提にしていることを考えると、具体的な限定立法みたいに適法配信といって外すのではなくて、一定の管理が可能なものを外すのだというふうな書き方になるのかなというイメージも私なんかは持つのです。そういうことを踏まえた整理の仕方に今後して頂けたらなと思います。

【中山主査】

 室長、どうぞ。

【川瀬室長】

 今の御意見は私どもと少し認識が違いまして、12ページのところで言っています、いわゆる管理の可能性というもの、これは著作権保護技術と契約の組合わせによって、そういう私的領域における管理ができるようになってきたということに言及しているわけです。次の、「このように」以下の、2番目の「一定の管理下において」というのは可能性の話ではなくて、現実に著作権保護技術と契約によって契約実態がどうなっているかというところを検証した上で、現実にそのようになっている、ないしは、そういうふうに部分的にそのようになっているものについて、実態を踏まえた上で30条から抜くということです。
 それはなぜかといいますと、一番最初のところでこの委員会の大きな視点を議論しましたけれども、まず、消費者に迷惑をかけないということですので、実態を踏まえた上で判断するということになろうかと思います。したがって、可能性があるものについて30条から抜いて、あとは契約秩序が混乱しようが、どうしようが、それを放置して市場に任せるということではなくて、現実に抜いても利用者に混乱を来さないというような条件整備が整った場合に初めて抜くということです。今の13ページの上の新しく挿入した部分もそうですけれども、契約実態が変化をして著作権保護技術と契約の組合わせによって対価を徴収できるような状況が拡大した場合については見直しをするということです。
 したがって、15ページのところについては、それを検証するために現実の契約実態を見て、それを評価し、それが改正可能かについて更に検証した上でなかなか難しいということで、現時点においては慎重だという議論にしておりますので、私どもの認識としましては、その管理可能なものについては全て機械的に抜いていくということではなくて、それは実態とのセットででき得るような状況になれば適用除外をしていくという方向を考えているということでございます。
 なお、15ページのなお書きについてはそのような論旨の立て方をしておりますので、現状において、対価が徴収されているかどうかというのが評価の対象になるわけです。したがって、井田委員からの意見の趣旨については、まず、法律の貸与権の趣旨、実態面の評価というものを踏まえて、現状でも入っていると意見がある。入っているという意見があれば、現状でも入っているのだから、現実にはそうなのだから、例えば、30条の適用除外をしてもいいのではないかという意見に結び付くということですので、やはり、私どもとしては、このなお書きのところで井田委員の趣旨を的確に、表現はまだちょっとこの場合はあれですけれども、趣旨を反映したような形で、現状でも30条から適用除外できる可能性について意見として言及しておくという形で、ぜひ整理をさせて頂ければと思っております。

【中山主査】

 よろしいでしょうか。他に御意見はございますか。どうぞ、津田委員。

【津田委員】

 すみません。これは事務局に確認なんですけれども、先ほど椎名委員のほうからYou Tubeに関してはストリーミングであるから今回の対象にはならないという話だったのですけれども、僕が先ほど指摘した点は、やはり、現状、You Tubeがフラッシュのストリーミングであるとは言いつつも、フラッシュ用のファイル全体自体が今、現状としてハードディスクにキャッシュとして保存されるということも可能にはなっているので、ダウンロードが違法になった場合に、You Tubeの主張の合法性というところで、そこでは多分、キャッシュをどう捉えるかということでかなり疑問が生じる点があると思うので、これははっきり事務局に確認しておきたいところです。フラッシュのファイルを、ストリーミングとはいえ、一時的にキャッシュでハードディスクに保存すること、これはダウンロードに当たるのか、当たらないのかというのは。

【中山主査】

 はい、室長。

【川瀬室長】

 資料2をご覧頂けますでしょうか。資料2の脚注でございますが、平成18年1月に著作権分科会の報告書が出ており、そこでデジタル対応ワーキンググループでいろいろと一時的蓄積の問題について整理されております。したがって、この但し書きのところですけれども、ネットワークの伝送の過程で行われる技術的手段としての一時的蓄積の問題については報告書を参照して欲しいということになっていますけれども、基本的には、一時的蓄積については複製だと考えるべきではないという意見。仮に複製であるとしても、それは権利を及ぼすべきではないという意見、それから、権利が及ぶという意見に整理しております。基本的には、審議会の中で、データの伝送の過程で行われるキャッシュのようなものについては、仮に現行の法制で著作権が及ぶとしても、それは権利を及ぼすべきではないという見解が出ているわけでございます。別の検討の場ではきちっと整理されているということで、それも法改正事項に挙がっておりますので、どういうタイミングで、どういう形で整理をするかというのは、また別の問題もありますけれども、文化審議会の著作権分科会としては、今、津田委員が御指摘の点についても、これはその私的録音録画問題ということではなくて、いわゆる、コンピュータを巡る著作権の利活用という中で問題視されていると理解しています。
 ただ、申し分けないのですが、今、津田委員の具体的な御指摘の点について、私がそれに対して、あれは複製でないとか、複製であるという知識を持ち合わせておりませんので今この場で回答できませんけれども、一般論としては、そこについては著作権分科会として全く認識がないわけではなく、小委員会で検討し、かつ、法改正事項として提案もされているということだけ、この場で御説明させて頂きたいと思います。

【津田委員】

 逆に質問という形ではなくて、一応、補足みたいなことで言っておくと、例えば、今、パソコンのショップとかに行って市販ソフトのコーナーとかを見ると、You Tubeをブラウズしていると、自動的に見ているものをハードディスクに一時的蓄積ではなくて、見ているところを全部保存してくれるという市販ソフトが出ていたり、あとは、フリーソフト何かでも、ブラウザで、ストリーミングで閲覧したらもう同時にハードディスクに保存するというようなソフトも登場しています。そういうものがかなり広く利用されつつあるという状況になったときに、ストリーミングと同時に、一時蓄積ではない保存というのも一部のユーザーは行っているわけですが、それは情報知ってに当たるのかなというのが、何かちょっと分かりにくくなるところだと思ったのですか、これはどうなんですか。そういうソフトをインストールして、見たそばからYou Tubeの動画をハードディスクに落としているという行為は、情報知ってダウンロードしているというイメージになるのですけれども。

【川瀬室長】

 今の点は、実は2つ問題点があると思います。1つは、そういう法制度にするかどうかは別としまして、どういう事情を知っているのかというと、違法にアップロードされているということを知ってダウンロードするかどうかということなので、元々のYou Tubeの例ですと、You Tubeに違法にアップロードされているという事実関係を承知した上でということが1つです。もう1つは、今おっしゃったように、色々なソフトとか機器を活用して、You Tube自体は本来はストリーミング配信なのだけれども、それを自分の機械でダウンロードする。それが、例えば、コピーコントロールの回避に当たれば著作権侵害になりますし、それはアクセスコントロールの回避ということであれば著作権法では特に規制しておりませんから、場合によっては30条の範囲にとどまるというケースもあり得ることになる。
 また、コピーコントロールを著作権法上、どう考えるのか。それから、アクセスコントロールを著作権法上、どのように整理するのか、これはまた別の立場での議論が実はございまして、現状では、日本ではコピーコントロールの回避制限にとどまっておりますが、他方、例えば、外国法などを見るとアクセスコントロールもコピーコントロールも含めて著作権法の適用でやっている場合もありますし、日本では不正競争防止法でアクセスコントロールについては一定の規制がされています。30条の適用除外にするかどうかという問題も第1点目としてはあるのですが、第2点目としては、著作権の、仮にコピーコントロールの回避か、アクセスコントロールの回避かというような問題もあって、それによって適用関係は変わってくるということだと思います。

【中山主査】

 よろしいでしょうか。

【津田委員】

 そうですね。何が言いたいかといいますと、テクノロジーとか色々なものの発達、ソフトウェアの発達で、特に今、i-Podみたいな動画を外に持ち歩くというニーズがあって、ストリーミングとダウンロードが本当に数年前に比べて利用対応がかなりあいまいになってきている部分があると思います。そういった状況を踏まえて、ここの委員会で話すことではないと思いますが、これから議論するところにフィードバックして頂ければと、そういう使い方をしたり、そういうソフトウェアが今もう普及し出しているということを。以上です。

【中山主査】

 わかりました。ありがとうございます。
 時間の関係もございますので、次のところに進んでよろしいでしょうか。
 それでは、第3節の「補償の必要性について」というところで御意見がございましたらお願いいたします。どうぞ、華頂委員。

【華頂委員】

 冒頭に川瀬室長のほうからタイムシフトの定義についていろいろ御説明があった上で非常に恐縮なのですけれども、26ページの真ん中の段で、途中から申し上げますと、「特にタイムシフトの要素を補償金額に反映させることは適当でないとする意見もあるが、他の利用携帯に比べて経済的不利益が総体的に低いということに異論は少なく、これらの点は、補償金の額の設定に当たって考慮事項とすることが考えられる」というふうにあります。前回もこのようなことで発言させて頂き、非常にくどいようですが、ここで言うタイムシフトが、この間も申し上げたとおり、リアルタイムで視聴できなかった放送番組を一時的に複製して、その後一度視聴した後に消去するというデジュールとしてのタイムシフトを指しているのであれば考慮するのはやぶさかではないのですけれども、現在行われているデファクトとしてのタイムシフトを意味するのならば、もはやタイムシフトを逸脱した複製物の量産にもつながる行為と認識していますので、録画に関わる権利者としては考慮事項とすることに非常に問題があると考えています。
 タイムシフトの定義については前回も様々な御意見が出たこともあって、議論をここで蒸し返すつもりは全くないですが、それに付随して、ちょっと飛びますが、48ページの(2)見直しの要点のところに、「タイムシフトなどの要素は補償金額の決定にあたって反映させるべきであるとすることについてもおおむね異論はなかった」と、重ねて26ページと同様の記述があるのですが、先ほど申し上げたとおり、タイムシフトの定義すらあいまいだというこの状況、それから、補償金額の決定方法についてはまだ何も決まってない白紙の状況で何らかの条件、あるいは前提を付けることは録画の権利者としては強く反対するということを申し上げたい。今、言ったような意見を両論の一方として、48ページが適当だと思うんですが、ここに併記して頂くようなことを強く要望させて頂きます。
 以上です。

【中山主査】

 それでは、室長、いかがですか。

【川瀬室長】

 それは主査と御相談としまして、意見があるということは書き加えたいと思います。

【中山主査】

 他に御意見はございますか。どうぞ。

【亀井委員】

 1点だけお願いいたします。今日の参考資料1でお配り頂いておりますが、2ページ目の一番下、今の中間整理のページで行きますと24ページの一番下のパラグラフでございます。「録画については」から始まる一文は非常に長過ぎてわかりにくい文章、最後の帰結が「なになに等の理由から、録画物の保存(ライブラリー化等)や他人(特定者)への譲渡については、経済的不利益があるという意見が大勢であった」とつながるのですが、前のほうから読んでまいりますと、このつながりが文理的によく分からないことになっているかと思います。これは少し表現を見直して頂いたほうがいいのではないかという点。
 それから、意見書で出しました趣旨の、24ページ、下から3行目にあります「タイムシフト録画以外に、保存目的の録画実態も多く」と、この「録画実態も多く」と言われているのが、前の案では注釈がついておりまして、今日の資料ですと中間整理(案)1の28ページにあります。SARVHが取られたアンケートの結果に由来する帰結なのだろうと思われます。しかしながら、このSARVHのアンケートでは、ここにある「興味ある番組やその一部を保存するため」の「保存」というのが、25ページに言う「ライブラリー化」というものを意味しているのかどうかということは、実ははっきりとしていないということがありまして、これに依拠して録画自体を「保存目的の」と言われているのであれば、ここはそういう帰結には必ずしもならないのではないかと思います。したがって、ここの修正は何らか必要なのではないか。
 例えば、「タイムシフト録画以外に」、ちょっと日本語はわかりませんが、「その他の目的の録画実態もあり、それらを区別しがたいこと」とつなげるのであれば、何らか、それはつながるかもしれないと思います。それにしても、後半に言う「ライブラリー化については意見が大勢であった」ということとはつながらないということになるかと思います。

【中山主査】

 確かにちょっと文章が長いですけれども、室長、どうぞ。

【川瀬室長】

 いろいろと意見を追加しましたので文章が長くなりましたので、そこは途中で文章を区切るなどして処理します。最後の亀井委員からの御意見ですけれども、表現は主査と御相談して少し修正させて頂くと思いますが、いわゆる保存目的、確かにライブラリー化というのが1つ、例として挙げているつもりなので、もちろんそれだけだというふうには思いませんが、タイムシフティングの目的ではなくて、初めから保存するという目的のために撮られていることが多いことは間違いないと思うんです。ですから、表現がわかりにくければ、そこはちょっと修正をさせて頂きたいと思います。主査と御相談します。

【中山主査】

 亀井委員、どうぞ。

【亀井委員】

 今、川瀬室長がおっしゃった、保存で録られていることは間違いないというのが、その保存とおっしゃっている意味がどういう意味でおっしゃっているのか。例えば、アンケートを回答する回答者が、この保存という意味をどう捉えて回答されているのか、そこの概念の一致があるのでしょうか。

【川瀬室長】

 保存目的というのは、私は広いと思うんです。いわゆる、タイムシフト目的に対する保存目的ということですから、ライブラリー化というのはその一部であるので、確かに、亀井委員が御指摘の点のとおり、それのみを、ライブラリー化というのは保存目的のためでもずっと永遠に保存しておく、そのためにということだと思いますから、そこは当たらないと思いますが、将来にわたって残しておきたいという意味で録画されているということは多いのではないかと、私はその調査からくみ取っています。

【亀井委員】

 中間整理(案)1の28ページのアンケート、このもとのアンケートの質問事項をこれから推察できるし、もとのアンケートを見ても、このアンケートに回答された方が、「興味ある番組やその一部を保存する」ということが、永続的にそのコンテンツを残すつもりの人が回答しているのか、あるいは、この中の例で言いますと、例えば、2つ目に「裏番組を撮る」ということがありますが、それは「保存」と呼ばないのかどうかということについて回答者の意図がきちっと伝わっているのでしょうか。

【川瀬室長】

 この文脈を読んで頂きたいのですけれども、なぜ録音録画するかという目的というのは様々だということで、タイムシフト目的以外の目的でもコピーされているということは事実だと私は思うし、その調査結果から、保存というものが今、亀井委員がおっしゃったように、どの程度かというのはともかくとして、保存の軽重といいますか、そういうものはあるにしろ、純粋のタイムシフト目的以外の目的のために使われているという実態についてはあると思うんです。ここにも書いていますように、両者の区別は難しい。純粋にタイムシフト目的以外の目的のためのものもたくさんあるわけですし、その多くの部分が保存のためと、その保存というのは、ライブラリー化からしばらく残しておきたいというのを、色々な理由があると思いますけれども、そのような観点から、ここでの記述としては、純粋にタイムシフト目的以外のものも多いのではないか。また、その両者は区別を付けないというのは、1人の利用者に焦点を当ててみれば、その利用者については色々な目的のためにコピーしているはずですから、この人はタイムシフトだけとか、この人は保存だけということではなくて、それは様々な理由で録画をするわけですから、その理由としては、タイムシフトだけではなくて保存のためが大きいと、そういう理解で私どもはいるんです。

【亀井委員】

 冒頭におっしゃったことと最後におっしゃったことが違うような気がするんです。冒頭では、タイムシフト録画以外に他の目的で録画することもあり、それはアンケートが示すとおりだと思います。何をタイムシフトというかというのは、この中のどれが当たるのかというのはもちろん議論があると思いますが、両者の区別がしがたいということも私は別に異論を唱えているわけではございません。「保存実態も多く」というふうに結論が急がれているのではないかということを申し上げているわけです。

【中山主査】

 室長。

【川瀬室長】

 ですから、そこは今の表現に固執するものではございませんので、主査と御相談の上、適切な表現に改めたいと思っております。

【中山主査】

 28ページの上から2つ目に「裏番組」がアンケートで出ているので、この保存は裏番組ではないと思います。しかし、おっしゃるとおり、何が保存で、何がタイムシフトか分からない面もありますので、ライブラリー化となると、永久にとっておくというイメージがあります。これが出てしまうと非常に固定的なイメージを与えるのではないかという気もしますので、そこら辺の修文はお任せ願えればと思います。
 はい、どうぞ、苗村委員。

【苗村委員】

 今の点に関連して、17ページのところについて確認のための質問をさせて頂きたいと思います。タイムシフトの定義については、この17ページの本文の中で「放送時間とは別の時間に視聴するための録音録画」と書いてあります。先ほどのライブラリー化との関連で言えば、この「別の時間」というのが、まさか1年後とか何年後という意味ではなくて、翌日とか、その晩というような意味合いで書いているのだと思うんですが、脚注のところでアメリカの最高裁判例の話とイギリスの著作権法の話が書いてあって、イギリスの著作権法の原文は多分6章に付けられるのだと思いますが、それも含めて、この中で書いておられる意味が、多分、このような意味かなということを申し上げて確認したいと思います。それから、プレイスシフトについても伺いたいと思います。
 タイムシフトは、多分、書いておられる意味は、利用者がその番組を別の時間に一度程度視聴するために録画するものを意味しておられるだろうと。程度と言いましたのは、色々な理由で、例えば、家族が何人かいて、それぞれ1回ずつ観ることもあり得るだろうし、一度観たけれども、途中で外出する必要が出て、また見直しする必要が出て見直すとか、そういうこともあって、要するに完璧な番組を1人が一度観るのが目的だと、それが多分タイムシフトだろうと。
 一方、プレイスシフトのほうは、どうもそうではなくて、「様々な環境で」と書いてあるので、一度録音した曲を色々な場所で聴く、何度も聴く、言うなら、ライブラリー化も含めた意味のプレイスシフトなのだろうと私は理解しながら読んでいたのですが、そういうことが明確に書いてないままで、この17ページの真ん中の表現だけで、それぞれの人が解釈をして後ろの議論を読むと、多分、人によってかなり解釈が違うのではないかと思います。できれば、今、私が口頭で申し上げた程度のことを脚注にでも書いて頂いたほうが誤解がないのではないかと思います。

【中山主査】

 どうぞ、室長。

【川瀬室長】

 この委員会で御賛同頂ければ、たしか、アメリカの判例では、一度観て消去するということで非常に厳格に書いているのは間違いないのですが、これは外国の判例でございますので、そのまま日本でというわけにはいかないと思います。苗村先生が御指摘のとおり、私どもとしては、その辺は不明朗だという点はもっともなのですが、社会常識的に考えて、1年後に観るためとか、とりあえずというようなことではなくて、そこは常識的な範囲だと思っておりますから、1回程度ということで、2回はだめなのかということでもないということであれば、そういうふうに御賛同頂ければ修正をすることはやぶさかではございません。

【中山主査】

 ただ、アメリカのタイムシフトの問題は、フェアユースの解釈問題であり、ここでの議論とは異なると思いますし、ここで厳密な定義をしなければならないかというと、そうでもないような気もするんですが、その点はいかがでしょうか。どうぞ、石井委員。

【石井委員】

 私も、個人的には1回程度、あるいはもっと厳密に考えるならばアメリカの判例というところが本来の意味でのタイムシフトではないかと思いますが、ここの議論を聞いていましても色々な意見があることは承知しております。したがって、定義をするよりは、タイムシフト自体についても色々な意見があるのだということを、むしろ脚注か何かで書いて下さったほうが読む方の誤解を招くのも少なくなるのではないかと思われます。

【中山主査】

 どうぞ、室長。

【川瀬室長】

 そういう方法もあると思いますので、実は、申しわけないですが、中間整理の最終回なので、皆さんの御賛同して頂けるということであれば、今、石井委員の御指摘の点ではないかと思いますので、御賛同を頂ければ石井委員の方向で、この脚注について、外国の判例等を紹介するのですけれども、そこを削除しまして、色々な意見があるというようなことで脚注とすることでよろしければ、そういうふうにさせて頂きたいと思います。

【中山主査】

 削除しなくても、これも入れてはどうですか。いろいろ意見もあるですが、外国はこうであったというのは事実ですから、それはあってもいいのではないかと思います。

【川瀬室長】

 はい。

【中山主査】

 タイムシフトを厳格に定義して、それに外れるものは違法であるということなら別ですけれども、ここでは、補償金との絡みでどう考えるかということで、余り厳密に、これまでは合法、これからは違法という判断はしなくてもいいのではないかと思うので、今、石井委員がおっしゃったようなことをプラスして書き加えるということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【中山主査】

 ありがとうございます。
 他に御意見はございますか。もしなければ、4節の「保証措置の方法について」というところに入りたいと思います。4節での御意見はございますか。ないようですので、第5節の「私的録音録画補償金制度のあり方について」、華頂委員、どうぞ。

【華頂委員】

 39ページの2機器等の類型ごとの考え方で、アンダーラインが引いてあるところなのですが、「著作権保護技術が使用されている録画源(例えばデジタル放送)を録画する機器及び記録媒体については、対象機器等にはならないとすべきであるとする意見があった」というふうに書いてあるのですが、映画製作者としては、括弧で書いてあるデジタル放送の意味は、折衷案として提示された今般の地上デジタル放送の著作権保護技術のことを指しているのだと思いますが、これを額面どおり、私たちは著作権を保護する技術とは受けとめていません。言い換えさせて頂くと、ちょっと長くなりますが、「地上波デジタル放送からの録音録画によって生じる複製物を定められた範囲内で量産可能にする技術的保護手段」とでも言ったほうがいいかもしれませんが、いずれにしても、この技術では、ハードディスクドライブに録音録画された複製物が、その先、権利者が主体的に管理できないところに出ていってしまうことになるんです。ですから、この技術をもってしてそれらの機器を対象外とするのはおかしいのではないかと思います。
 デジタル放送は当然一部始まっていますが、本格的に始まるのは2011年ですから、9回10個の裁定が一体どんなふうな結果を生み出すのかも分からないような状態で、この括弧書きに、例えば「デジタル放送」とここで入れるのはいかがなものかと思います。この文章全体も映画製作者としてはどうかと思うんですが、百歩譲って括弧の「デジタル放送」だけを削除にして頂ければいいのかなと思います。

【中山主査】

 これは、椎名委員、どうぞ。

【椎名委員】

 僕は、ここにこれを入れるのであれば権利者側の意見も次々と出てくると思います。バランスの問題として、ここにこれがポンと入っているのは非常にバランスを欠くと思います。今「デジタル放送」だけを削除して欲しいというふうな華頂さんのご意見だったのですが、僕は、むしろこの下線の引いてあるところは全部削除すべきだと思います。なぜならば、再三、僕は発言していますが、今般のコピー回数の緩和というものが、私的録音録画補償金制度を前提に緩和ができたものであって、中間答申等でも権利者への流通の対価の還元を前提として緩和がされたということが書いてありますので、この行があるのであれば、その下に、「しかしながら、今般の録画回数の緩和については録音録画補償金制度が前提となった意見もあった」というふうに書かざるを得ないと思います。そうすると、どんどん増えていってしまいますので、結局ここは削除するのが適当であると思います。

【中山主査】

 亀井委員、どうぞ。

【亀井委員】

 削除せよと言われた意見を申し述べた者といたしましては、意見は残して頂きたいということです。本日、参考資料1の3ページにありますとおり、もともと対象とならないというものについて、技術的保護手段が使用されているものは補償金は必要ではないというのが私どもの意見ですので、趣旨を明確化するように、このような例も含めて入れて頂いたということでございますので、意見があったということは事実としてとどめて頂きたい。これ以上、どこまで意見を入れられるかというのは御提案に従って御判断頂ければいいと思います。

【中山主査】

 はい、どうぞ、椎名委員。

【椎名委員】

 それでは、僕が先ほど申し上げたように、ここの下に、それに対する対立する意見を書いて頂きたいということでお願いしたいと思います。

【中山主査】

 この点について、他に御意見はございませんか。どうぞ、石井委員。

【石井委員】

 私も、ここについては非常に意見の多いところだと思います。今日の御提出のペーパーにおきましてもこういう意見があるということは承知しております。ただ、デジタル放送に特化とまでいかなくても、1つの大きな例として挙げられますと、やはりこれは総務省の情報通信審議会の議論までさかのぼらなければならないこともあると思います。そこでは一応、コンテンツに対するリスペクトが大前提としてあったわけですけれども、やはり、そういうことにも触れることがより公平ではないかと思います。
 もう1つ、挿入の位置ですけれども、一応、私としては、色々なことが検討されてa、b、c、d、eとあった、それに対してはそもそも対象とならないという意見もあったし、一方、権利者からこういう意見もあったという書き方のほうが適切ではないかと思います。

【中山主査】

 室長、どうぞ。

【川瀬室長】

 この意見は、確かに亀井委員のほうから御提案があって、私ども、事務的に調整させて頂き、入れさせて頂きました。まず、趣旨としては、23ページを見て頂けますか。23ページの3の「補償の必要性の有無」の下に、「著作権保護技術が施されている場合には補償の必要性がないという意見があることは(2)3イ−2である」ということで、まず、補償の必要性がないという御意見を書いて、「ただし」ということで、(2)3イ−1の見解に沿って補償の必要性を検証しているわけです。
 次の第5節の具体的な制度設計については、仮に補償の必要性があるということを前提にして書いており、今、問題になっている箇所、39ページについては、これは基本的には、「また」のところで、第3節2(3)イ−1の立場に立って第5節は整理されているんです。ですから、この意見を書いたからといって1の意見を書くのはおかしいわけで、もともと1の意見の立場からこれが整理されていますので、「また」については、上の「なお」の「また」ですから、「なお」という意味なのですけれども、念のために、確認的に、もともと補償の必要性で著作権の保護技術、こういう場合であれば補償の必要性がないという意見があるわけですから、それを念のために確認的に書いているという構成になっているわけです。
 ですから、補償の必要性があるという意見については、まさしく第5節はその前提に立っていますので、今、椎名委員がおっしゃったような対立の意見を書くということではなくて、補償する必要があるという意見は、まさしく本体そのものなので、「また」のこの部分については、先ほど御説明した補償の必要性有無のところで2の意見を紹介して、この場合には補償の必要性がないと言っていますから、ここで確認的に、機器においても補償の必要性がなければ対象にならないよということを念のために確認的に書いたわけで、決して、誰かの意見を優遇しているとか、そういうことではございません。
 書き方としては、私どもとしては、確かに、補償の必要性がなければ、それに使われる機器は対象ではないという考え方もあるので、御意見を踏まえて修正をするのが適当であるということで書かせて頂いたので、決して、そういう、どちらかの意見に偏った意見を書いているということではなく、もともと補償の必要性で議論したところを踏まえた上で、対象機器についてもということで書いているわけですから、できればこういう形で、まさしく、亀井委員の御趣旨を生かしてこう書いても全体に影響を与えるわけではないと思っております。

【中山主査】

 はい、華頂委員、どうぞ。

【華頂委員】

 今、御説明があったこともよく分かるのですけれども、そうであれば、一般的なことが書いてあるわけですから、先ほど申し上げたけれども、デジタル放送という具体的な、何か強調するような括弧書きを入れる必要はないと思います。ここは、ぜひとも削除して頂きたい。具体的なことに触れる必要はないと思います。

【中山主査】

 石井委員、どうぞ。

【石井委員】

 私も川瀬室長のお話は大変よくわかりました。そうであるならば、まずここで、第3節2(3)イ−1の意見を前提しているということを明確にした上で、あくまでも2のところは機器の類型ごとの考え方ということで、まず、機器の類型ごとの考え方を整理した上で、それに対しては第3節2(3)イ−2の立場から別の意見もあるという書き方が自然ではないかと思います。

【中山主査】

 室長、どうぞ。

【川瀬室長】

 今の意見につきましては、この文章の立て方を見て頂くと分かるように、最初の2行で、整理すると次のとおりであるということで、「なお」から始まって「また」になっていますので、その「なお」と「また」の部分を最後に持っていくことは可能だと思います。もともとそういう趣旨なので、「なお」と「また」については全体的に関わるものなので、次のとおりであるということで、aとbを記述して、最後に「なお」と「また」を持ってくるとギラギラしないということになるので、そういう修正であれば適当かと思います。
 それと、一番最初に言われたのは、この第5節の頭にそういう趣旨のことを書いているわけでございます。第5節の34ページ、「第4節 補償の方法について」、仮に補償の必要性があるとすればということを前提にして具体的な制度の仕組みについて検討をしたということなので、冒頭の部分で、そもそも、補償の必要性があるかどうかについては意見の対立があって、そこはまとまっていないわけですけれども、仮に1の考え方に基づけばということは、ここで趣旨が出ていると思っています。もし、もう少し具体的にイ−1というようなことであれば表現を変えることはやぶさかではございませんが、もし書くとすれば、一番頭のところをもう少し具体的にして、「仮に」の趣旨をもう少し整理するということで対応できればどうかと思います。

【中山主査】

 そこの修文はできると思いますが、華頂委員がおっしゃったデジタル放送については、亀井委員としては、そのデジタル放送をメインとして述べたのではないかと思いますが、どうぞ。

【華頂委員】

 先ほど申し上げましたけれども、デジタル放送の今般決まった技術については、映画製作者としては著作権を保護する技術とは全く考えていないので、とにかく、そういう意味も含めて、この「デジタル放送」をここで強調するのはいかがなものかなと、別に強調しなくてもいいのではないですか、それで文章は成立すると思いますが。

【中山主査】

 亀井委員、どうぞ。

【亀井委員】

 あることに対する解釈はいろいろあってよろしいと思いますし、私どもの意見に対する反論はもちろん頂いても構わないと思いますが、私どもは、デジタル放送を念頭にこういった意見を有している。それを事務局、あるいは主査に御理解を頂いてこのように書いて頂いたということだと理解しております。

【中山主査】

 はい、どうぞ、室長。

【川瀬室長】

 実は、そういう華頂委員のような御意見があるということで、このデジタル放送については2(3)イ−2の立場のところにもともと明記されていますので、それを「例えば」で引用したわけです。それから、そのような意見があるので、実は、私どものほうで、第3節2(3)イ−2の立場からはということで、一般論ではなくて、このような補償の必要性について主張している委員の立場からはということを明確にした上で、その引き続き文書を書いているつもりなのです。したがって、華頂委員の御意見は私も十分理解はできるのですが、その立場からはということですから、その立場に立つ人からの意見、そういう前置きをきちっと書いた上で、今おっしゃった亀井委員の趣旨については反映したとしても、華頂委員と亀井委員とは立場が違うわけですから、そこは読んだ方に誤解がないように、きちっと「立場からは」ということで入れさせて頂いたつもりでございます。

【中山主査】

 どうぞ、華頂委員。

【華頂委員】

 まさに、今、亀井委員もおっしゃいましたが、デジタル放送についてのことを言及されているのであれば、先ほど椎名委員がおっしゃったように、デジタル放送についての私たちの考え方も両論で併記するのが妥当かなと思います。ただ、それでは議論がまたもとに戻ってしまいますね。

【中山主査】

 ええ、またもとに戻ってしまうものですから、まさにそれを前提にしてやって、ここではこういう違う意見もあるということで、しかし、ここは、亀井委員の意見がデジタル放送を主としてにらんでいる以上は、これを消すのもどうかと思うので、この部分はこれでよろしいのではないかと思いますが、いかがですか。よろしいですか。

【椎名委員】

 室長がおっしゃったように、並び順を変えて頂くことによってギラギラしないようにして頂ければいいかと思います。

【中山主査】

 はい、それは検討させて頂きます。どうぞ、石井委員。

【石井委員】

 確かに、著作権保護技術の非常にあいまいな概念とも言えますので、せっかく、この報告書の1のほうで定義していますから、それを、例えば、脚注で、ここで言う著作権保護技術はこういうことであるとか、ちょっと触れて頂くと読むほうもわかりやすくなるのではないかと思います。

【中山主査】

 はい、わかりました。他に御意見はございますか。
 時間もなくなってきたのですけれども、今のものは第7章の御議論です。あとは、事実について第1章から6章まで書いてございます。もし何かこれで御意見がございましたら、時間も余りないのですが、お伺いしたいと思います。亀井委員、どうぞ。

【亀井委員】

 恐らく本日の御議論に間に合わなかったのではないかと思いますが、昨日、河野委員を通じて、事実の点で幾つかテクニカルな修正をさせて頂いています。その点は反映頂けるという理解でよろしいですか。

【川瀬室長】

 すみません、冒頭の御説明で抜け落ちておりましたが、何人かの委員から事実関係についての修正意見が出ており、基本的にはそれは事実が間違っているものの修正と、事実が誤解をされる表現であるので正確に書いて欲しいということで内容について関わるものではありませんので、その点については全面的に修正させて頂きたいと思います。
 なお、この事実関係の部分につきましては、この報告書の(案)をお目通し頂き、間違いがあるということであれば御指摘頂ければ今後の修正にも応じたいと思います。どうも申しわけございません。

【中山主査】

 それでは、事実関係の間違い等の修正は、またぜひ御連絡を頂ければと思います。他に何かございますか。よろしいですか。
 それでは、時間でございますので、本日の討議はこのくらいにしたいと思います。本日、御議論頂きました中間整理(案)の「はじめに」と「第7章」の検討結果については、本日までの議論を踏まえまして、全体としては、基本的には御了承頂いたものと思われます。本日頂戴いたしました御意見を参考にいたしまして修正したいと思いますが、その点につきましては御一任頂ければと思います。よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【中山主査】

 ありがとうございます。それでは、必要な修正を加えまして後日、事務局より案を皆様に改めてお送りすることにしたいと思います。
 なお、この私的録音録画小委員会中間整理(案)につきましては、10月12日の著作権分科会において私から報告をいたしまして、分科会の了承を得た上で公表して意見募集を行うことになりますので御承知おき頂ければと思います。
 最後に事務局から連絡事項がありましたらお願いいたします。

【川瀬室長】

 本日は長時間ありがとうございました。委員の皆様から頂きました御意見につきましては、主査と御相談の上、できるだけ反映させる形で作業を進めさせて頂きたいと思っております。
 なお、次回の委員会の日程につきましては、意見募集が1カ月間、予定しておりますので、11月下旬を予定しておりますが、各委員の日程等を調整させて頂き、改めて御連絡させて頂きたいと思います。以上です。

【中山主査】

 はい。それでは、本日はこれで文化審議会著作権分科会の第13回私的録音録画小委員会を終了させて頂きます。長時間、御議論をありがとうございました。

─了─

※津田委員の発言中、団体名を騙った振り込め詐欺の例として挙げられている「日本映像ソフト協会」は誤りで、正しくは「日本国際映画著作権協会」である旨津田委員より訂正依頼がありましたので、ここに掲載いたします。

(文化庁長官官房著作権課著作物流通推進室)