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著作権分科会 私的録音録画小委員会(第6回)議事録

1. 日時
  平成18年10月17日(火曜日)10時〜12時

2. 場所
  アルカディア市ヶ谷6階会議室

3. 出席者
 
(委員) 野村分科会長、石井、井田、大渕、華頂、亀井、小泉、河野、小六、佐野、椎名、津田、土肥、中山、生野、松田、森田

(文化庁) 加茂川文化庁次長、吉田文化庁長官官房審議官、秋葉国際課長、川瀬著作物流通推進室長、千代国際課国際著作権専門官、白鳥著作権調査官ほか関係者

4. 議事次第
 
(1) 開会
(2) 議事
 
1 海外調査結果報告
2 国内実態調査結果報告
3 課題に関する検討
(3) 閉会

5. 資料
 
資料1   海外調査報告書概要
資料2 国内実態調査報告書概要(録音)(PDF:323KB)
資料3 国内実態調査報告書概要(録画)
資料4 私的録音・録画を第30条の範囲外にした場合の影響等
資料5 契約に基づく私的録音録画の対価について
資料6 補償措置の必要性について
資料7 著作権保護技術の採用を求める「権利者の意思」について(レコードの場合)
参考資料1 音楽配信事業の契約について
参考資料2 私的録音録画に関する検討を進めるに当たっての論点について
参考資料3 第5回意見概要

6. 議事内容
 

【中山】 それでは、ただいまから文化審議会著作権分科会私的録音録画小委員会の第6回を開催いたします。
 本日はご多忙中ご出席を賜りましてありがとうございます。議事に入ります前に、本日の会議の公開につきまして決定したいと思います。いつもと同じでございますけれども、予定されている議事内容を参照いたしますと、特段非公開とするには及ばないと思慮されますので、既に傍聴者の方々にはご入場していただいているところでございます。特に異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
 ありがとうございます。それでは傍聴者の方々はそのまま傍聴をしていただくということにしたいと思います。
 議事に入ります。まず、事務局から配付資料の説明をお願いいたします。

【川瀬】 それでは、配付資料のご説明をさせていただきます。お手元の議事次第の下の配付資料をごらんいただけますでしょうか。資料1としまして海外調査報告書の概要、資料2としまして録音の国内実態調査の報告書の概要、資料3としまして、録画の国内の実態調査の概要、資料4としまして私的録音・録画を第30条の範囲外にした場合の影響等、資料5が契約に基づく私的録音録画の対価について、資料6が補償措置の必要性について、資料7が著作権保護技術の採用を求める「権利者の意思」について(レコードの場合)、それから参考資料1としまして資料5の附属として音楽配信事業の契約について、参考資料の2、これは前回配付しました資料でございます。もう一度参考資料として添付しております。それから参考資料3が前回のいろいろな意見が出ましたのを概要にしてまとめたものでございます。
 なお、お手元にその資料1、2、3の印刷したものを、概要ではなくて報告書そのものですけれども、お手元に配っております。以上でございます。

【中山】 過不足はございませんでしょうか。それでは、いつものとおり議事の段取りについて確認をしておきたいと思います。本日の議題は3つございまして、第一に海外調査結果報告について、第二に国内実態調査結果報告について、第三に課題に関する検討、この3つを行いたいと思います。
 それでは、海外調査の結果につきまして事務局から説明をお願いいたします。

【白鳥】 それではよろしくお願いいたします。この海外調査につきましては、私的録音補償金管理協会、それから私的録画補償金管理協会の共同で実施したものでございまして、欧州における動向について調査を行ったものでございます。本日はその報告書の概要をご紹介いたします。詳しくは机上に配付してございます報告書をご参照いただければと思います。
 この調査を実施されましたのは5月となっております。この報告書本体を少しめくっていただきますと訪問先一覧がございますけれども、フランスに関しては、実は5月というのはまさに法案が審議されている最中でございまして、このときの訪問ではフランス政府は訪問することができず、管理団体からのヒアリングのみ実現しております。なお、フランス政府につきましては、第2回目の調査として、現在調査が行われているところでございます。なお、ここに入っておりませんアメリカとかイギリスについても現在調査をしているところでございます。
 本日ご紹介いたします、この5月に行われた調査の訪問先については、一覧にございますとおり、ドイツにつきましては政府及び管理団体、フランスにつきましては管理団体、オランダにつきましても管理団体、オーストリアにつきましては政府と管理団体、それからEU、WIPOということになってございます。本日配付してございます報告書の概要につきましては、今の順番で記載がございまして、その内容につきましてご説明いたしたいと思います。
 まず全体としまして、この欧州におきます私的録音・録画補償金制度というのは、いずれも製造業者や輸入業者、また、販売業者等が直接の支払い義務負担者とされておりまして、また、多くの国では共通目的事業への支出がございます。そういった点で共通している事項も多いのですが、ただ細かい点ではさまざまな違いがあるということでございます。個別の国ごとの状況につきましては、報告書本体の個別の国ごとの記述をごらんいただければと思いますが、全体の概要については、実はEUからお話を伺ったときの内容が参考になりますが、この報告書本体でいいますと68ページとか124ページに記述してございますのでまた全体をごらんいただければと思いますけれども、結論から申し上げれば、総じて、特に今議論になっておりますDRMと補償金といったことの関係については、いまだどこの国も模索中であるといったような状況にございます。
 各国における状況につきまして簡単にご説明をいたします。概要につきましては、本日お配りしている資料1に書いてございますけれども、なお、この報告書の構成につきましては、全体として第一部、第二部というふうになっていまして、第一部が私的録音・録画の両者を含めました全体の概要、第二部が特に録音関係を中心にした概要というまとめになっております。そういう意味では両者重複しているところもございますけれども、このような報告書本体の構成を踏まえて、この概要についても同じような構成になっております。
 まずドイツからなのですが、概要でいいますと9ページからでございます。これは特に第一部のほうでお話ししていますけれども、第二部のほうも後ろの16ページ以下にございますので、そちらもあわせてごらんいただければと思います。ドイツに関しましてはまず制度の現状ですけれども、機器と媒体、ともに補償金の対象になっているということです。これはドイツの話ですけれども、ほかにはベルギー、スペインも同様であると聞いております。
 対象ですけれども、ハードディスク内蔵型の機器、EUではよくMP3プレイヤーというふうに言われているようですけれども、それは補償金の対象とされています。ただ、ハードディスクそれ自体に関しては補償金の対象とはならないと考えられているようでございます。なお、PCに関しては現在対象とすべきかについて交渉中であるとのことです。
 それから、ドイツにおきましてはGEMAという音楽著作権の管理団体がございまして、こちらにおいては共通目的事業への支出については10パーセントを充てているという状況であります。
 それから、ドイツの法律の措置の状況なのですけれども、全体の流れから申し上げますと、まずEUではEUディレクティブ、ディレクティブとしては幾つかありますけれども、2001年に、情報社会における著作権等に関してのハーモナイゼーションに関するディレクティブが出ておりまして、簡単に「EUディレクティブ2001」とここでは申し上げたいと思いますが、それに対応した改正を2003年の秋に行っております。それは第一次包括改正と呼ばれておりますが、その改正では、私的録音・録画補償金の対象として、特にアナログ・デジタルの区別はしないということを明示した改正が行われております。また、ディレクティブ2001とは直接関係ない改正ではありますが、第一次包括改正では、補償金の対象としまして、明らかに違法なものは私的複製の対象から除外する改正を行っており、このように、ソースがリーガルかイリーガルかで区別する形になっていると聞いております。今の段階は、その第二次の包括改正として、2003年に行われた第一次改正に引き続き、現在は第二次改正ということで、今まさに国会で議論しているところというふうに聞いておりますが、この改正案では、私的録音・録画補償金の関係でいいますと、まず大きなところでは補償金額に関しまして製造業者、著作権者の話し合いで定めることとしているとのことです。要するに民民で話し合うことを基本とし、法律には交渉すべき際の補償金額の決定にあたっての基準を示すことにするというのがこの改正案で述べられているというところでございます。
 具体的なポイントに関しては、概要でいいますと16ページの下のほうに第二次包括草案と私的複製についてというところの下にございますけれども、こういったところがこの具体的なファクターとして法律に書くべきものとして想定しているということだそうです。ここに書いてないところも含め簡単に申し上げますと、1つにはまず、実際に私的複製に使用されている度合いを考慮するということであります。これは利用者1人1人の行為の追及まで行うものではなくて集団的な把握で対応する。典型的には私的複製に使用されている機器・媒体であれば補償金の対象とするというようなことでございました。2つ目はまさに技術的保護手段の絡みですけれども、補償金額はその技術的保護手段により私的複製できる量に比例すると。そういう意味ではコピープロテクション技術が多く施されているものはそれだけ補償金額が少なくなるというような考え方だということであります。3つ目はその記録容量が大きくなれば補償金額も高くなるということ。あとは支払い義務者に過度な負担とならないようにすることということもあるそうです。
 この支払い義務者は欧州では製造業者や輸入業者がそういう支払い義務者として位置づけられておりますけれども、特にインターネットを通じてコンテンツが流通するような場合に関しては、特に補償金額の策定にあたっては製造業者が介在しないという事情を考慮し、その利益を害さないようにするといった趣旨だそうです。それから、1つ大きなものとしては、補償金額は機器の価格の5パーセントを超えないようにするという条件が設定されているということです。ドイツ政府の話では、これに関しては権利者団体のほうから反対の主張が強く、国会では議論になることが予想されると言っておりました。
 いずれにしろ基本的には料金の定めについては民間の交渉に任せるということとしつつ、今申し上げた点はその際にどういったファクターを考慮すべきかということを法律に書くということ、それを法案の内容としているということでございました。
 このように、技術的保護手段との関係で申し上げれば、技術的保護手段を考慮して民民での交渉を行うというスキームになるということですけれども、特に今回、管理団体としてはGEMAという音楽著作権団体からのヒアリングを行っているわけですが、そこでは彼らの主張としては、特にインターネットによる配信に関してですけれども、彼らの言うところを要すれば、我々はライセンスを、PCにダウンロードするというところまでは与えているけれども、その後の私的複製については許諾しているものではない。要するにそこは別途私的複製として補償金なりの対象になる、というような主張を展開されていました。なお、今申し上げたのは、ほかの今またこれから申し上げるフランスやオーストリアの管理団体も同じような主張を展開していたところでございます。以上がドイツの状況でございます。
 フランスですが、フランスにつきましては記録媒体のみが対象となっており、機器は対象外になっております。それからハードディスク内蔵型、フラッシュメモリ内蔵型を問わず、MP3プレイヤーというのは、記録媒体として補償金の対象とされております。なお、PCに関しては検討項目に入っていないということで特段対象にはなっていません。それから共通目的事業への支出に関しては25パーセントが充てられているということであります。フランスにおきましては、残念ながら政府からの話は聞くことができなかったのですが、著作権管理団体の所見に関しては、先ほども申し上げたGEMAの主張と同じ主張が、これらの団体から出されておりました。
 続きましてオランダですけれども、こちらも記録媒体のみ対象となっておりまして、MP3プレイヤー、要するに内蔵型の録音機器に関しては、その課金の是非については今年の後半には結論が出る見込みであるということでございました。なお、PCにつきましては交渉中であるということです。
 オランダにおきましては、管理団体からの意見聴取だったのですが、このStichting de Thuiskopie、私的複製協会という団体は、管理団体ではあるのですが、いろいろと欧州における各私的録音・録画補償金制度の概要について調査していて、客観的に情報を分析しようというようなスタンスが見られる団体でありまして、このDRMとの関係につきましても、彼ら独自の主張というよりは、彼らによる客観的な状況認識が得られたところです。その内容は、基本的にDRMについては非常に抽象的ではございますが、トータルでどういうコストでできるか、消費者が受け入れられるようなまとめをしなければならないといったことが議論のポイントであるが、いろいろな利用者の意見がありますから、そう簡単には解決されないであろうというようなこと。要するにいろいろな意見かあるというようなことで、まさに今過渡期なので黒か白かは決められないといったようなお話があったところでございます。またこれからご紹介しますけれども、EU本体におきまして具体的に議論がされているところであることから、まさにその様子をみている段階であるといったようなお話がありました。
 次に、オーストリアですけれども、こちらも記録媒体のみの対象になっておりまして、MP3プレイヤーの課金の是非につきましては、昨年に最高裁判決が出ておりまして、MP3プレイヤーに内蔵しているフラッシュメモリは現行法の解釈で課金対象と言えるとされたということであります。補償金額については5月当時はまだ交渉中だということでありましたけれども、もう決定されていると思いますが、一方でその判決におきましてはPCに入っている記録媒体に関しては多機能化しているということから、現行制度のもとでは課金対象とすることはできないとされ、現在は課金対象になっていないということであります。
 それからオーストリアの特徴としまして共通目的事業への支出が非常に多くなっているということがございます。割合としては50パーセントという大きな割合で支出がなされております。その基本的な考え方としては、まず著作権というのは単に財産権というだけではなくて、特殊な形の財産権であり、社会的・文化的な活動と密着している。このためこの補償金については、使用された著作物全体を見て権利者全体に分配するといった性格を有し、これにより今後の創作活動を促進するというものであるというような考え方が示されていました。また、他のEU諸国に関しても、基本的にどの国も共通目的事業に支出を行っているというようなことも正当化根拠として言われておりました。
 オーストリアにおきましては、政府、管理団体それぞれからお話を伺うことができたのですが、政府側の見解としてはDRMは権利者側がかけるものであるので、DRMがかかっているものについては契約関係があるというふうに見て、補償金は縮減するという認識でありまして、ただ、その一方で管理団体の方はまさにその契約関係の範囲について疑義を唱えているという状況でございました。これはどういう主張かといいますと、先ほど申し上げたGEMAであるとかフランスにおける管理団体の主張と同じでございまして、個々の音楽著作物がPCにダウンロードされるまでは契約を締結しているけれども、さらに当該PCからほかのものへ複製するといったことについては、消費者はお金を払わなければならないんだといった主張でございまして、このようなことから、EU諸国においてもこの辺の考え方については統一的な見解を得られているものではないという状況であるということでございます。
 以上が各国の状況なのですけれども、あとは全体を見る立場として、EUとWIPOそれぞれの意見聴取を行っております。まずEUに関してですが、EUは13ページ以降に記載してございますが、EUでは、先ほど申し上げたEUディレクティブの2001というのが出されておりまして、ここにおきまして私的複製と補償金、ディレクティブではfair compensationという、「公正な補償」という言い方をしているのですけれども、その関係において定めを置いています。その中において、この公正な補償に関してはその技術を考慮すると定めておりまして、技術的保護手段の適用または不適用を勘案して権利者が公正な補償を受けることについて規定をしております。また、権利者に対する害がどの程度あるかといったことも考慮されています。
 EUにおきましてはこのディレクティブがどのように実施されているか等の調査を実施しておりまして、その結果、国によって非常に多岐にわたった制度になっているということ、それから補償金について透明度の欠如が課題であるといったことを認識して、2005年にロードマップというのを取りまとめまして、補償金制度の範囲や水準を明確にしておく必要があるといった問題意識を持っているということでございます。その際にEUとして今後どのような対応をとるべきかということについて、まずロードマップのほうに非常に抽象的に方法論として書いてあるのですが、1つとしてはまず何も行動を起こさない、2つ目としてはこのディレクティブ自体を修正する、3つ目としてはこのディレクティブの解釈について指針を与えるといったようなことがあるということですが、EUによれば、指針を与えるといったような3つ目の解決方法が最も実現可能性が高いというふうに考えているということで、話によれば年末にも何かしら出されるのではないかというようなことでございました。
 いずれにしましてもEUとしましてはDRMについては権利者、クリエーターの選択が第一と考えており、権利者がDRMを採用したいと言った場合にはそれを尊重するべきと考えています。また、例えば若いときに売り込みのために無償で作品を提供したいといったような場合にはそのように処理し、逆に後で補償金制度を活用したいといった場合にはそれを尊重するといったように、権利者が選択権を行使できるような統一が望ましいと考えているというようなことでございました。ただ、それ以上の具体的な内容について示されているものではございません。
 続きましてWIPOですけれども、WIPOにつきましては、まず補償金制度はベルヌ条約第9条のもとで位置づけられるものだということでした。一方、補償金制度を利用すべきでない例としましては、違法なソースからコピーをするといったこと、それから権利者の許諾を得ていないものを私的複製するといった場合が挙げられるということでございました。この点フランスの国会で議論されておりましたグローバルライセンスに関しては、合法なソースなのか、違法なソースなのかの区別が困難だという問題があるという問題意識が、WIPOから提示されていたところでございます。
 なお、DRMとの関係につきましては、補償金とDRMとは二律背反であってはならないという見解が示されております。アナログ時代では権利行使が不可能であった部分があったわけですが、特にデジタルの世界では合法的な複製課金が可能になってきているといったような状況にあるということで、DRMの適用についても将来性は十分にあるという見解を示されたのですが、しかし一方で、DRMについては非常に高価であって広く適用されるのかどうかといったような見通しの不透明さ、それから少なくとも現在においてDRMと補償金額を調整するメカニズムが確立しているわけでもないといったことが現状であるといったことから、WIPOとしては、補償金制度をなくしてしまうという方向ではなくて、ユーザーと権利者の協議の中で既存の補償金の額を下げるといったような方向性のほうが現実的ではないかといったような見解が得られたところでございます。
 また、WIPOからは、特に先進国の事例を中心として現状の紹介等がありましたが、WIPOによれば、補償金制度に関しては特に途上国では収入を得る簡便な方法として着目しているといったこともあるようであり、いずれにしろ補償金制度をめぐる問題は産業の問題でだけではない重要な問題であって、WIPOとしては各国におけるこれらの動きを注意深く見ていかなければならないといったようなお話がございました。
 以上ご紹介いたしましたとおり、基本的にEUにおいても我が国と同じような問題に直面しているといったようなことであると思われますし、まさに同じ問題についてEUにおいても検討し、欧州各国におきましてはその議論の状況の行方を見守っているところというのが現状でございます。
 以上で報告を終わります。

【中山】 ありがとうございました。ただいまの報告につきましてご質問ございましたらお願いいたします。どうぞ、松田委員。

【松田】 DRMと補償金のバランスの問題なのですが、各国の中ではDRMが採用されているコンテンツがどれくらいの割合であって、だから補償金としては従前検討したものよりも下げているのだ、ないしは下げなければいけないのだという、こういう議論が生じているところはあるでしょうか。DRMが100パーセントになって私的補償金制度が縮小していくのか、増えれば縮小していくのか。ないしはDRMは先ほどの議論がありますようにPCまでの問題であって、それからメディアに対して、媒体に対してはこれは私的補償金の問題だというふうに割り切って、そしてそういう議論がないのかどうか。そういう議論をすることになると、多分DRMの普及度と補償金の関係というものを調査している国があるのではないかと思うのですが、それは見当たりませんでしたでしょうか。

【白鳥】 5月に行われました調査では、限られた時間の中で、各国政府や管理団体等における基本的な考え方や状況を調査し、その内容について今回の報告書の中ではまとめられているのですが、実際にどの程度までDRMが適用されているのかどうかといったところまでは、ヒアリングにおいては、情報提供いただくことはできませんでした。ただ、話によりますとオランダではDRMを勘案して補償金額を下げるといったようなことが実際に行われているといったことがございました。その他の国では、実際にそういった何か定式化した補償金額の決定の上でのスキームが整っているといったような状況ではないようなことでしたが、DRMに関してはやはり勘案をしなければいけないのではないかという問題意識はあるようでございます。ただ、その場合でも、先ほどのようなGEMAなどの主張にみられますように、DRMとの関係についてはそのような問題意識を持ちつつも、要はそのスキームとしてどこまでDRMを考慮するべきかなどについては、欧州において必ずしも確立した考え方が共有されているものではないようであるといった状況でございます。

【松田】 オランダの場合でもDRMが現在のコンテンツの何パーセントに及んでいるかというようなこういう調査は格別してないということでいいですか。

【白鳥】 調査をしているかしていないかという情報の提供はございませんでした。

【中山】 ほかに何かございませんでしょうか。どうぞ、小泉委員。

【小泉】 これは質問というよりも確認というか意見なのですけれども、この報告書の5ページに無記名の長い文章がついていて、ここの5ページの2行目以降、「現象的に似ているにしても、メーカーに寄与侵害の責があるという考えから、メーカーに対し」という以下の文章がありますけれども、この報告書のまとめた方も、やっぱりその西ドイツ流の考えと日本の考え方というのは区別されなければならないと。全く違う発想に立っているのだということがあるので、各国の調査を見ても、支払い義務者については基本的に製造業者、輸入業者を考えていると。つまり日本の制度とは大きく違うわけでして、その違いというものがおそらくは具体的に一義的かどうかは検証しなければいけませんが、共通目的の支出の問題だとか、補償金額の決定の仕方だとかいうことにも反映していると思われますので、釈迦に説法かもしれませんけれども、その辺を考慮した違いをわかった上でこの資料を貴重なものとして参考にしていけばいいのではないのかと思っております。

【中山】 ありがとうございました。ほかにご質問ございますでしょうか。どうぞ、土肥委員。

【土肥】 今のところにも重なるのかもしれませんけれども2点ほど確認というかお尋ねをしておきたい点は、ドイツについて説明があったのですが、おそらく政府草案に基づいての説明だと思うのですが、その前に専門家草案が出ていますよね。それと政府草案との間で大きく今回の補償金請求権に関する基本的な考え方が変わったのかどうか、その点を1つ確認しておきたい、それが1つ。
 それから、もう1つは生産者の競争力を損なわないように配慮するということで5パーセント条項が入っていると思うのですけれども、これは政府草案で入っているのではないかと思うのですが、これはもともとドイツの場合は、例えばカラーコピー機で10万円ぐらいの補償金を取る。つまり最高613ユーロぐらい取っていると思うのですが、つまり日本円にするとカラーコピー機1個に10万円取っているわけですから、そういう国の競争力、生産者の競争力の話と、日本での1パーセントとか2パーセントという話とは全然違うということでいいのかどうか、そこの確認ということになると思うのですけれども、その点いかがでしょうか。

【白鳥】 後段に関しての評価についてはご議論いただければと思いますが、前段に関しては、直接的にこれは政府からの意見聴取がなされたものをそのまま記載したものでありまして、ドイツ政府からの報告では、まさに政府草案に関しての説明しかなされませんでしたので、専門家草案との具体的な相違なりに関しては情報提供はなされませんでした。したがいまして、特にその点に関しては少なくともこの報告書の中では記載していないところでございます。

【土肥】 ここで問題になっているのでそこを確認をしておいたということです。

【中山】 よろしいですか。ほかに何かございましたら。ご質問がないようですので次の議事に移ってよろしいでしょうか。
 それでは、次に国内実態調査の結果でございますけれども、録音に関しましては私的録音補償金管理協会の中野眞木夫事務局長、録画に関しましては私的録画補償金管理協会の中村凱夫主幹からご報告をいただきたいと思います。
 それでは、最初にまず中野事務局長からお願いいたします。

【中野】 私的録音補償金管理協会sarahは平成5年3月の業務開始以降、前年度までに4回にわたりまして私的録音の実態調査を実施しております。ただし、それらの調査は補償金を権利者へ分配するための基礎データに資する私的録音に利用される音源ソースを把握することを主目的にした実態調査でありましたが、今般の調査につきましては技術革新に伴います近時のデジタル方式による録音機器及び記録媒体の普及状況を改めて調査するとともに、補償金制度に関する利用者の意識の度合いをも把握しまして、今後の当該制度のあり方を検討するための基礎資料に供することを目的として実施いたしました。
 お手元の資料2のA4版、横方向でございますが、その1ページ目に本調査の目的と方法として記載のとおり、実施時期は本年7月、8月にかけて行いました。調査の手法といたしましてはインターネットユーザーを対象としたWEB調査、有効回収数3,000件、及び一般ユーザーを対象とした郵送調査、有効回収数1,004件、この2種類を併用して実施いたしました。なお、私的録音に関しましては、利用される機器やその記録媒体、またその音源、ソースが非常に多岐にわたることから、調査項目が70項目にも及びました。お手元に調査報告本体を置いてありますが、ここでおわかりいただけますように集計表を度外視いたしましても相当な分量になりますことから、本日は報告書概要資料2に沿って、かつ抜粋の上ご説明をさせていただきます。
 それでは、まず2ページ目に記載のデジタル録音機器の家庭における保有状況をごらんください。保有割合が最も高かったのはMD録音機能付きミニコンポ・ラジカセでありまして、WEB調査では56パーセント、郵送調査では63.4パーセントの方が一家で1台以上保有されているということが把握できました。また、ポータブルオーディオにつきましてはiPod等のハードディスク型や携帯メモリ型がWEB調査では3割以上、郵送調査では2割を超える方が保有していることも判明いたしました。またCD-R/RWドライブ付きのパソコンに関しましては大部分の家庭で保有されておりまして、WEB調査で94.1パーセント、郵送調査では77.4パーセントの保有割合になります。なお、この掲載の図表は縮小されまして、特に数字等が大変見にくいので、報告書本体の図表目次と照合されまして本体掲載ページの拡大図にてごらんいただければはっきりすると思います。
 2枚ほどめくっていただきまして、4ページに記載のデジタル録音の経験比率とその傾向を把握する設問に対しての集計結果を掲載しておりますが、傾向といたしましては年々デジタル録音経験の比率が大きくなっております。デジタル録音機器の普及に伴いデジタル録音がアナログ録音を代替しているという様子がうかがえます。なお、今般の平成18年調査においてデジタル録音経験の比率が昨年の調査結果に比べて著しく大きくなっておりますのは、今回調査からデジタル録音機器にiPod等のポータブルオーディオやパソコンをも含めたためでございます。また、同種のデータは第2回開催の本委員会において事務局作成の配付資料として1人当たりの年間のデジタル録音の回数が掲載されておりますことを念のため申し添えます。
 5ページ目のデジタル録音の音源をごらんください。デジタル録音の音源といたしましては、レンタルショップから借りたCDなどからの録音が最も多く、WEB調査では71.3パーセント、郵送調査では75.2パーセントとなっています。次いで自分や家族が持っているCD及び録音済みMD、テープなどからの録音、続いて友人・知人から借りた市販CD・MD・テープなどからの録音の順になっております。なお、放送からの録音については7パーセントから9パーセントと低いことも判明いたしました。また、インターネットの有料音楽配信サービスを私的録音の音源とする利用方法に関しましては、郵送調査では18パーセント、WEB調査では28.4パーセントとなっており、いまだCDを凌駕するような普及率にはなっていないことが把握されました。
 6ページのデジタル録音の理由に移ります。デジタル録音機器を使って録音する理由に関してですが、WEB調査では「好きな音楽を抜き出して編集したディスク・テープをみずから作って聴くため」が49.7パーセント、郵送調査では「市販のCDやテープを買うよりも安くすむから」が59パーセントと最も高くなっております。ただし、WEB調査、郵送調査ともに「ヘッドホンタイプのプレーヤーやカーステレオで聴くため」、及び「好きな音楽を抜き出して編集したディスクを自分で作って聴くため」、並びに「市販のCDやテープを買うよりも安くすむから」といった3つの理由が拮抗しておりまして、そのほかの理由と比較しますと高い割合になっている傾向がわかりました。このことは好きな音楽を好きな場所で聴くためにデジタル録音を積極的に活用する一方で、市販のCD購入の代替手段としてデジタル録音を位置づけている人も相当数存在するということがうかがえます。
 次に7ページのMDを利用したデジタル録音の状況に移ります。現在sarahが受領する私的録音補償金の総額の93パーセントはMDからのものでございます。MDへの録音経験者に年間の録音曲数を尋ねたところ、録音曲数の平均はWEBでは89.1曲、郵送調査では94.9曲でありました。また、この1年間にブランクの録音用MDを購入したかどうか尋ねたところ、WEB調査では32パーセント、郵送調査では51.7パーセントとなっており、この割合は既回答の「MDでの録音経験」の割合に比較しますとそれぞれ10ポイントほど低くなっていますことから、最近1年間ではブランクのMDを購入せずに、既に持っているMDを使って録音したと考えられます。
 続いて8ページのCD-R/RWを利用した録音の状況に移ります。過去1年間にCD-R/RWへの録音を行ったかどうか尋ねたところ、WEB調査では71.1パーセント、郵送調査では47パーセントでありまして、当然のことでありますがWEB調査の回答割合のほうが20ポイントほど高くなっております。また、このことは家庭内におけるCD-R/RW付パソコンの保有割合の差異とほぼ同様となっております。また、CD-R/RWへの録音経験者に録音した曲数を尋ねましたところ、録音曲数の平均はWEB調査では102.4曲、郵送調査では95.4曲でありました。
 次に9ページのデジタル録音の音源(MD、CD-R/RWの場合)に移ります。MDで聞く音楽は何から録音しているのかということについて尋ねましたところ、最も高かったのは「レンタルしたCD」からで、WEB調査では72.9パーセント、郵送調査では79.9パーセントでありました。「インターネットによる有料音楽配信」や「インターネットから無償で」の音楽利用を見ますと1割以下でございます。ただし、わずかではございますけれども、WEB調査のほうが2ポイントほど上回っております。次にCD-R/RWで聞く音楽は何から録音しているのかについて尋ねた結果、最も比率が高かったのは「レンタルしたCD」でWEB調査が69.2パーセント、郵送調査が66.4パーセントでありました。二番目としてWEB調査では「購入したCD」54.3パーセント、郵送調査では「友人・知人から借りたCD」47.2パーセントになっています。
 引き続き10ページのポータブル(携帯型)オーディオの保有状況に移ります。ポータブルオーディオの保有状況について尋ねましたところ、WEB調査では55.3パーセント、郵送調査では38.7パーセントが保有している旨の回答が得られました。WEB調査の割合が16ポイント以上高くなっております。また、ポータブルオーディオをいつから保有しているのかということを尋ねましたところ、WEB調査、郵送調査ともに2005年、昨年の10月から12月を中心に、その前後の期間に保有をしていることが把握されました。
 11ページポータブル(携帯型)オーディオへの保存曲数と録音源ソースに移ります。ポータブルオーディオにどのような内容の情報・データを保存しているか尋ねたところ、WEB調査、郵送調査ともに音楽が圧倒的に高く、9割以上を占めております。また、ポータブルオーディオに何曲ぐらい保存しているのかということにつきまして尋ねましたところ、WEB調査では平均372.2曲、郵送調査では327.8曲でありました。MDやCD-R/RWの1年間の保存曲数に比べると3倍以上の曲数になります。また、ポータブルオーディオで聞く音楽は何から録音しているのかということを尋ねました結果として、最も高かったのはWEB調査では「購入したCD」で70.5パーセント、次いで「レンタルしたCD」68パーセント、郵送調査では「レンタルしたCD」からが65.9パーセント、次いで「購入したCD」が63.4パーセントでありました。これらの機種の特性からしましてインターネットからの有料音楽配信を音源とする比率が高いものと推測しておりましてが、現状22パーセント程度であり、CDを音源とするケースの3分の1以下であることがわかりました。
 録音の持ち時間が迫っておりますので残余の著作権に対する意識調査の項目に関しましては、この後の私的録画調査の設問と重複し、また回答内容も類似しておりますので、SARVHからの説明にゆだねたいと思います。
 結びに最終ページ、22ページに本調査の実態を踏まえた5つの項目をまとめとして掲載しておりますが、音楽著作物等の利用の円滑化と著作者等の保護を図ることを目的としています著作権法の精神を条文にすえております30条2項、及びあるべき姿の補償金制度をぜひともご検討していただきたくお願いする次第です。終わります。

【中山】 それでは中村主幹からお願いします。

【中村】 引き続きましてデジタル録画機器の利用状況に対する実態調査の結果を報告させていただきます。お手元にお配りしてあります報告書概要に沿った形でご説明いたします。
 1ページ目、ここに書いてございますのは調査の方法でございます。調査の方法は先ほどのsarahとほぼ同様でございますが、SARVHのほうは第一次調査としてデジタル録画機器の保有状況の調査をし、第二次調査としてデジタル録画機器保有者がどのような録画活動をしているかという調査をいたしました。件数といたしましては、一般ユーザーを対象とした郵送調査で回答を得たものが第一次調査については3万3,000件、二次調査では990件、インターネット調査では一次調査、二次調査とも3,000件でございました。
 その結果、普及状況につきましては2ページ目にございます。2ページ目の表をごらんになっていただきますと、これは一般世帯における普及状況でございますが、これはデジタル録画機器を保有しているというお答えをいただいたのが27パーセントでございます。そのうちパソコン以外のデジタル録画機器の普及率は24パーセント、テレビチューナー付きのパソコンを持っているという方が6パーセントでございます。インターネット利用者のほうについては図表は載せてございませんが、普及率は69パーセントというふうにインターネット世帯と一般世帯とではかなり普及率に差があるという結果が出ました。第一次調査の結果は以上でございまして、第二次調査以下の利用状況につきましては、郵送調査、インターネット調査にそれほど大きな差がございませんでしたので、インターネット調査の数字をもとにご説明させていただきます。
 概要の3ページのほうをごらんいただきます。これはデジタル録画機器全般におけるテレビ番組の録画状況を示してございます。最近1年間にパソコン以外の録画機器でテレビ番組を録画した経験を尋ねましたところ、96パーセントが経験ありという回答でございました。その録画の頻度につきましては3ページの表のとおりでございまして、週1回が19.7パーセント、週2〜3回ぐらいが29.9パーセント、ほとんど毎日が32パーセントということで、週1回以上録画する人たちは82パーセントという数字になっております。
 次に4ページ。これはテレビチューナー付きのパソコンでの録画実態でございます。同じように聞きましたところ、テレビチューナー付きパソコンで録画した経験がある方は60パーセントという結果が出ました。ほとんど毎日というのが9.5パーセント、週に3回ぐらいが21.5パーセント、週1回ぐらいが21.4パーセントということで、合計して52パーセントの方がパソコンで週1回以上の録画経験があるという回答でございます。パソコン以外の録画機器の実態に比べると82パーセント対52パーセントという形で数字はかなり下がっております。
 そのページのポツの2つ目ですけれども、最近1年間でどのような番組を録画したかということについての質問をいたしました。これにつきましてはここに表は載せてございませんが、報告書のほうの本体の43ページに詳しい表が載ってございますので後でご参照いただければと思います。テレビの番組のジャンルで日本のテレビドラマを週1回以上録画している人が47パーセントで一番多かったという結果になっております。これは毎日録画するという人が11.1パーセント、週2〜3回という方が17.0パーセント、週1回程度というのが18.8パーセントという内訳になっております。続いてバラエティを録画するという方が30パーセント、日本のアニメを録画するという方が27パーセント、その他のジャンルにつきましてはこれよりも大分パーセンテージが下がっております。
 5ページにいきまして、テレビ番組を録画する理由というのをお聞きしました。その結果、ここに表が掲げてありますように、外出で見られないからとか、見たい番組が重複したからというのが94.5パーセント、79.9パーセントと多かったわけですけれども、保存用に録画するというお答えも81.9パーセントという結果になっております。
 1ページ飛ばしまして7ページへまいります。これは自分で録画したDVDディスクを持っているかという質問でございます。これに対して71パーセントの方が持っているというようにお答えいただいております。保有枚数10枚未満が最も多くて41パーセント、10枚から20枚が20パーセント、平均の保有枚数は29枚という結果になりました。
 次の8ページへまいります。テレビチューナー付きパソコンをどのように利用しているかということについての質問でございます。これに対する回答としては、電子メールやホームページ閲覧などのインターネット利用に毎日使うというのが89パーセントと最も多かったわけですけれども、その表の上から4番目にありますテレビ番組の録画・再生というのについても60パーセントの人が経験があるという答えになっております。ほとんど利用しない、全く利用しないというのがそれぞれ20パーセントと多かったわけですけれども、利用している方も60パーセントあり、そのうち毎日録画するというのが8.3パーセント、週2〜3回が13.0パーセント、週1回が14.1パーセントということで、週に1回以上パソコンで録画しているという方が35パーセントいるということがわかりました。
 続いて9ページにまいります。著作権等に対する意識・考え方についてのご質問をいたしました。ここでは著作権という言葉をどの程度知っているかということをまず聞きましたところ、96パーセントの方が著作権という言葉については認知されているということでございました。そこで次の質問といたしまして、どのような場合に著作権を了解を得ることが必要であるとお考えですかということを、この9ページの表に掲げてある項目を挙げてYESNOという形で聞いていきましたところ、自分で購入した、ビデオソフト、パソコンソフトをホームページに掲載したりファイル交換ソフトで交換することについては権利者の事前の了解が必要だろうと考えている方が85.8パーセント、自分で録画したテレビ番組をホームページに掲載したりファイル交換ソフトで交換することについては、必要だろうと考えている方が全体の77.8パーセント、その次が自分で購入したCD、ビデオソフト、パソコンソフトを友人・知人のために録画・ダビングするこということが64.9パーセント、この3つの答えについては事前に権利者の了解が必要ではないかと考えている方が多いということがわかりました。
 10ページですが、10ページは私的録音録画補償金制度の認知度についてお伺いいたしました。その結果、私的録音録画制度について認知しているという方は全体の28.3パーセントでございました。どういうことで知りましたかという質問に対しましては、新聞・雑誌等の記事から、録音録画機のカタログ、ディスクパッケージの説明書から、ということがそれぞれ49パーセントと多かったわけですが、その次にはテレビ・ラジオの番組からという答えが28.5パーセント、権利者団体のパンフレットやホームページからが22.5パーセント、こういうことで知ったという方が多かったようでございます。
 補償金の額については、私的録音補償金制度を知っている方の28パーセントが補償金の金額も知っていたという結果がえられました。私的録画補償金管理協会、SARVHのことを知っているかという質問に対しましては、知っている方は15パーセントにとどまりました。
 次は11ページにまいりまして、補償金支払いの必要性についてお伺いしました。これについては私的使用目的のデジタル方式の録画について、著作権者に補償金を支払う必要があるとお考えですかという質問に対して、YESというお答えをいただいたのが48.3パーセントと約半分の方が私的録音録画について補償金を支払うことについてYESという回答をされております。どういう方法で支払うのが望ましいでしょうかという質問に対しましては、購入する機器や媒体の価格に比例してお金を支払う仕組みが好ましいという回答が72パーセントございました。ほかに支払いはわずかあるいは不要とするかわりに録画が厳しく制限される仕組みがいいと答えた方は28パーセントということで、現在の仕組みを支持されている方が多いという結果が得られました。補償金の支払いは必要でないという方もおりましたので、その方々に必要でないと考える理由は何かということを尋ねました結果、私的使用は本来自由であるべきだからという回答が67パーセントで、こういう考えの方が多いということもわかりました。
 12ページでございますけれども、これは共通目的事業の認知度を聞いております。共通目的事業を認知しているという方は全体の5パーセントとかなり低い数字でございます。ただ、共通目的事業への支出の必要性についてはどうかといいますと、共通目的基金を設ける目的、理由及び基金の使途について説明したうえで、それについて必要性ありとお考えですかという質問を致しました。この質問に対して、「必要である」と、「どちらかというと必要である」という回答を合わせますと60パーセントの方が共通目的事業へ支出するのは必要ではないかというふうに考えているという結果でございます。
 どのような事業が共通目的事業としてふさわしいのかというのがその下でございまして、「著作権制度に関する教育及び普及啓発のためのパンフレットや小冊子の作成」というようなものを挙げている方が50パーセント、「著作権及び著作隣接権の保護に関する国際協力」を挙げる方が43パーセント、「著作物の創作の振興及び普及事業」を挙げる方が36パーセントということで、これは現在実施している共通目的事業についてかなり理解が得られていると考えられます。
 それから、共通目的事業への支出が必要でないと答えた人には、なぜ必要でないのですかということを自由に記入していただきました。その結果は「補償金は権利者に全額支払われるべきだから」とか、あるいは不適切な使途に使われるおそれがあるのではないかとか、その管理体制を危惧する、あるいは費用対効果が低いという面から問題があるのではないかというような意見が寄せられています。
 最後にBS/地上デジタル放送のコピーワンスのことについて質問しました。これにつきましてはコピーワンスを知っていますかということで聞きましたところ、38パーセントの方がコピーワンスのことを承知しているという回答が得られました。コピーワンスの必要性について伺ったところ「不便になるが不正利用を防ぐためにはやむを得ない」という回答が56パーセント、「権利者のために当然必要な仕組みである」というのが10パーセント、合わせて約66パーセントの方がコピーワンスの必要性を認めているという結果になりました。一方、「とても不便で困る」という回答も32パーセント、3分の1ほどございました。
 以上が今回の録画機器の利用実態に関する調査の結果でございます。なお、この調査SARVHは平成11年3月に設立以来初めての調査でございますので、残念ながら過去の調査と比較してのお話ができません。以上でございます。

【中山】 ありがとうございました。それでは、ただいまの2つの報告につきましてご質問・ご意見ございましたらお願いいたします。では、小泉委員どうぞ。

【小泉】 せっかくのご報告でしたので1つ質問なのですけれども、sarahさんの資料でいいますと21ページ、SARVHさんですと12ページに共通目的事業の話が出てきたのですが、知っている人が極めて少なくて、しかし必要だと答える人がかなり多いということなのですけれども、これはたすきがけを単純にしますと知っていて必要だと思っている人はかなり少ないということにもなり得るのですが、このアンケートのもともとのどういう聞き方をされたかわからないのですけれども、知らない人に対して必要性を聞くときにどういうふうにお聞きになられたのかということをちょっと教えていただければと思います。

【中野】 只今のご質問の前段でございますけれども、共通目的事業の広報というようなことは、sarahではやっておりません。中に一般公募助成事業というようなことをやっておりますので、その申請を受け助成を受けたような方は当然それが何から出ているのか、共通目的の枠から出ているということをご存じですので、当たり前ですけれども共通目的事業については、その制度の適用を受けた方がよくご存じです。それから、その中身の取り方につきましては、当然共通目的を受けた方の把握でございますので、そういう確率が高くなるというように理解しておりますが、取り方は単純に共通目的事業の制度を知っているという方を積算しただけの方に照会をしたデータの結果でございます。

【小泉】 申しわけありません、私の聞き方が悪かったのかもしれませんけれども、私がお尋ねしたかったのは、このアンケートそのもののことでして、21ページの資料にありますように、知っておられるかどうかの質問に対しては5パーセントで、次に必要かどうかとお聞きになられているわけですけれども、その2番目の質問を受けた人の中には知らない人が95パーセント入っているのか、それとも知っている人だけに必要性を聞いたのかということでございます。それをお聞きしたかったのです。

【中村】 どのような質問をしたかということにつきましては、報告書の最後についている質問表の問20の通りでございます。補償金制度の中には共通目的基金があること、この基金を設けた主旨・理由及びこの基金による事業の内容を説明したうえで、「知っているか」、「その必要性をどう考えるか」を質問しています。
 この質問に対す回答結果が、本体の報告書90ページから91ページにその表として載ってございます。これはインターネット調査ですので、認知度について、3,000人に聞いており、そして、その3,000人に必要性を聞いた結果であります。
 共通目的事業の認知度が低いというのは、例えば共通目的事業でかなり多くのパンフレットなどを発行しておりますが、そのパンフレットが共通目的事業で作られたということの表示は極めて小さくしてしかございません。巻末の一番後ろ、最後のページにこのパンフレットは共通目的基金によって発行したというのを小さくしか載せていません。それは内容を知っていただくことがさほど重要でないと考えていたという経過があります。今後発行するパンフレットその他事業については、共通目的基金を使っていますということをもっと大きくアピールしていく必要があるのではないかと考えております。

【中山】 要するに知っている人は5パーセントだけれども、必要性があるという人は60パーセントいたと、こういう話ですか。

【中村】 同じ3,000人に聞いた結果がそうなっているということでございます。

【中山】 どうも5パーセントの人しか制度を知らないのに、60パーセントの人が必要性を認めているというのは、統計の取り方としては個人的に疑問はわいてくるように思えますが。

【中村】 質問の20で、共通目的基金の主旨、事業の内容を説明したうえで質問した結果でございます。後でご参照いただければと思います。

【中山】 ほかに何かご質問ございましたら。どうぞ、森田委員。

【森田】 デジタル録音の保存曲数と音源についてのアンケートがございましたが、この音源の調査というのは、例えばレンタルならレンタルから録音したことがあるかないかということを問う複数回答可能というアンケートだと思いますけれども、そうしますと、平均の録音曲数が示されていますが、そのうちの音源の割合というものはこのアンケートではわからないといいますか、調査されてないという理解でよろしいのでしょうか。

【中野】 前段のご質問はそのとおりでございます。複数回答でございますからそれはオーバーラップしております。
 それから、2番目のご質問は、そういう観点では調べておりませんけれども、何から音源を取っているかということで、その調査で音源の調査をやっておりますので、そこでの把握でご理解いただけると思いますが。

【森田】 この後の議論にも関係すると思いますけれども、デジタル録音の中で何が補償の対象となる録音なのかということの割合といいますか、平均の録音曲数が何曲で、そのうちの私的録音として補償の対象となる曲数は何曲かという割合がわかると議論がしやすいと思うのですけれども、そういう割合はこのアンケートからはちょっと読み取ることはできない。さっき複数回答ということですので、購入したCDから録音したことがあるとか、レンタルのCDから録音したことがあるという人はそれぞれ丸をつけるわけですけれども、それは1曲だろうと10曲だろうと丸をつけてしまうので、例えば、自分は年間100曲ダウンロードしているけれども、そのうちのレンタルのCDは何割ぐらいだとかいったことは今回の調査では対象とされてないと理解してよろしいのでしょうか。

【中野】 非常に細かいご質問なのですけれども、前段のまず私的録音をしている、要するに補償金との絡みになるものでしょうか、現在特定機器・媒体になっているものからの録音、あるいは非対象のものかということにつきましては、今回非対象にポータブルオーディオの機器ですとかパソコンを入れていまして、その録音の絶対数がものすごく増えております。今回の調査はダイレクトのものでございますが、昨年の調査では非対象機器・媒体から私的録音しているものが50パーセント以上になっております。そういうことから現在の私的録音補償金の対象になっている録音となってないものの比較はおわかりいただけるのかと思います。よろしゅうございますか。

【森田】 いや、何が私的録音の補償金の対象なのかというのはこれからここで議論していくことでまだ決まっていないことです。現在の制度ではなくて、これからの補償金制度を想定すると、例えば、音源によって、これは違法な録音なのでそもそも私的補償の対象ではない、これは私的補償の対象となる私的複製である、という線引きをしていくと、デジタル録音の全体の中で、大体どのくらいの割合で補償金の対象となる私的録音というのがあるのかということがその際には問題になってくると思いますので、その議論をするときに有効なデータというのがここからどの程度読み取れるかということに関心があったものですから、ちょっとお聞きしたということであります。

【中山】 ほかにご質問ございませんでしょうか。よろしゅうございましょうか。
 それでは、この議論はこのくらいにいたまして、最後に課題に関する検討につきまして前回に引き続いて議論をしていただきたいと思います。まず資料につきまして事務局から説明をお願いいたします。

【川瀬】 それでは資料をご説明をさせていただきます。まず参考資料2というのをごらんいただけますでしょうか。この参考資料は前回私どものほうで整理しましてお配りしまして、これに基づきましてご議論をしていただいたわけですが、その議論の中でいろいろと論点が整理されてきたと思っておりますので、さらにもう少しこの議論の流れに沿って論点を整理しつつ改めてご議論をお願いしたいと思いまして、資料4からの資料を作った次第でございます。
 まず、この参考資料2の1の30条の権利制限の範囲をどうするかという問題でございますが、これが資料4です。この資料は仮にということですが、私的録音録画を第30条の範囲外にした場合の影響等について、私どものほうで整理をしてみました。30条の範囲内ということでございますとこれは無断録音が許されるという法規範があるわけですが、それが無断録音ができないということですから権利者の許諾がいるというように変わります。
 まず横軸ですが、これが他人から借りる、レンタル店から借りる等の項目がありますが、これが参考資料2であります次の録音録画源についてどう考えるのかというところに対応しているものです。その縦軸で、仮に30条の適用外とするということであれば許諾がいることになり、違法状況を解消するために具体的にどういう対応策がいるのだろうか。私どもで考えますところ、普及・啓蒙というのがまず重要でございます。また警告を含む法的措置ということが無断利用を解消するために必要であろうと。それから著作権の保護技術を使って無断利用を解消する。それから、今まで無断でできたわけですけれども、許諾システムを導入することによって適法な複製を確保するという4つのファクターがあるのではないかなということで縦軸をこの4つのファクターにしたわけです。
 簡単にご説明しますと、まず他人から借りたCD等で複製をするということでの普及・啓蒙ですが、これは実現可能性としては当然まるでございます。でも、ただ重要ですけれども普及・啓蒙だけではやはり効果が薄いんだろうと思います。それから裁判等の法的措置ですけれども、利用者が無断で複製をするわけでございますが、この立証が非常に困難だろうと思います。家庭内という閉鎖的な行為で行われますので、それからメーカー等に対する訴訟のおそれがあるのではないかと思います。また、著作権保護技術ですが、これは権利者側からもお話がございましたように、買ったものから複製するのはいいのではないかというところでは皆さんのご意見も一致しているのでしょうが、複製を制限すると買った人も制限されますのでなかなかうまくいかないということでございます。それから許諾システムですけれども、これも複製ごとに徴収するというのは事実上、現在の技術では難しいし、仮にできたとしてもすごくコストがかかるということで非常に困難だと思っております。販売価格に上乗せをするというようなことが考えられるわけですけれども、これは他人に貸さない人からも徴収することになりますのでなかなか難しい。したがって、一番下の考えられる結果としては違法状態が放置されるおそれがあるのではないかということです。
 レンタル店から借りる場合についても普及・啓蒙は同じでございまして、訴訟についても利用者の無断利用の複製が困難ですから、レンタル業者に対する訴訟のおそれもあるのではないか。著作権保護技術については、今販売用のCDとレンタル用のCDは物流が別ですので、これはやろうと思えばできるということでまるです。ただ、これは前回のご議論でもご指摘があったとおり、図書館のレンタルにつては販売用のCDを使用していますのでここは問題点としてはどうだろうと。それから、許諾システムについてはこれは複製ごとに徴収するのは困難でしょうと。レンタル店が徴収代行に応じれば可能ですけれども、制度設計が非常に難しいのではないかと。また、これもご指摘があっとおり、図書館のCDレンタルの取り扱いが問題であろうということで考えた結果としては、レンタル業界の基準も混乱するのではないかと。既に600億円の産業で貸与使用料を80億円払っていますので、それに上乗せされるわけですから非常に苦しいのではないかなと思っております。
 また、違法複製物や違法サイトからについても、この利用者の利用行為については立証が難しいとは思いますけれども、違法複製物については海賊版業者に対する訴訟、それから違法配信については違法配信業者に対する訴訟が可能ですので、そういった法的措置が可能だということで、海賊版業者や違法サイト対策の取り組みが行われれば複製は減少する可能性があると思います。ただし、そういう対策が不十分だと違法複製が放置されるおそれがあると考えられます。なお、海賊版につきましては、我が国ではほとんどございませんので、問題になるのは私的使用で作られたものが目的外使用によって違法複製物になったというようなものの取り扱いが制度的にはあるのではないかと思っております。
 それから適法放送についてはこれも同じでして、利用者の無断複製の立証は困難ですから、機器メーカーや放送事業者等に対する訴訟のおそれがあると思われます。また、無料放送の場合については、複製禁止にはできないことはないけれども社会的非難もありまして難しいのではないだろうかと思います。また、許諾システムについても、これは複製ごとに徴収するのは困難だと思われ、無料放送の場合については、放送局が徴収代行することはできないと考えられます。これは無料放送の場合には消費者に転嫁できませんので難しいのではないかと思われます。有料放送については消費者の受信料から複製料をもらえばいいわけですけれども、制度設計としては難しいのではないかということです。
 適法配信については、これはこの一番結論のところに書いていますように、保護技術と契約を組み合わせることによって違法複製はほとんど考えられませんので、仮に30条から外に出しても保護技術という法規制の組み合わせによって違法状態が放置されるというようなことはないのではないかなというふうに思っております。
 1枚めくっていただきまして、これが録画の場合でございます。録画の場合にもほとんど同じようなことですが、他人から借りたり、レンタル店から借りるということですが、現在でも著作権保護技術によってパッケージからのデジタル複製・アナログ複製は原則禁止になっておりますので、ここは30条の例外としても被害が大きいとされる商業用の映画・映像作品については基本的には違法複製がほとんどないと思っております。それから違法複製物、違法配信については録音と同じでございます。適法放送についても録音と同じでございます。適法配信についても録音と同じではないのだろうかと思っております。これがその30条の権利制限の範囲外にした場合にどうなるかという資料でございます。
 それから、資料5でございますけれども、資料5は参考資料2の2のところでございまして、補償措置のあり方ということで契約等で複製の対価を得られる場合にはどう考えるのかという問題提起が行われていまして、ある委員からそこは入っているとか入っていないとかという議論をしても仕方がないので、よく調査をしてまずはどう考えるのかということを整理したらというご指摘もありましたので、この資料を作りました。
 これは1が契約の現状で、販売、レンタル、配信、放送などにつきまして適法販売・違法販売、適法レンタル・違法レンタル、配信についてはさらに無料・有料に分かれまして、まずAですけれども、Aは利用者とコンテンツ提供者との契約の有無。例えば販売する者と利用者、レンタル業者と利用者、配信業者と利用者、放送局と利用者との関係を見ますと、まず契約があっていろいろな契約条件が定めているのがまるでございます。Bはそのコンテンツの提供者に、権利者と契約をされているわけですが、そこの契約でいろいろな条件が定めている契約の有無がこのまるでございまして、基本的にはBに基づく権利者とコンテンツ提供者との契約については私的録音録画の対価は含まれてないというのが通常だと思います。例えば以前問題になりましたレンタルにつきましても、レンタル業者とレコード会社との契約については貸与使用料の取り決めがあるわけでございますけれども、これについては貸与使用料については云々ということで貸与使用料の額がこうなのだというふうになっておりまして、特にそういったものが含まれているというのは契約上は見られません。
 ただ、配信の場合については、これはレコード原盤とか映像原盤の提供の対価がコンテンツ提供者との契約で定めておられまして、このうち著作権料が占める割合とか、どの利用行為に対する対価が明確になっている例はほとんどございません。特に有料配信の事業の場合には、利用者の私的複製も含めてビジネスモデルが構築されているところですから、私的複製の対価が利用料に含まれているかどうかについてはあいまいさが残ってはおります。
 そこで参考資料の1を見ていただきますと、それでは配信事業について、利用者の手元にダウンロードされたものが利用者の意思にしたがって複製されるわけですけれども、そこのところについてどのような契約になっているかというのを日本レコード協会でまとめていただいたのがこの参考資料の1のところでございます。これは公開された情報に基づく資料ですので配信事業者やメーカーも書いておりまして、例えばiTunes Music Storeについてはその個人的非商用目的に限って本商品を利用される権限が与えられる。それから次に書き込み云々とありますけれども、特に私的複製ということについて言及されているわけではございません。
 一方、次のレーベルゲートの契約書を見ていただくと、利用者は30条の定める範囲内において同条に基づき次の各号に定める私的使用のための複製を行うことができるということで、あくまでもダウンロードされたものを個人の判断で複製することについては、これは私的使用の範囲だというように契約上は規定している例でございます。
 1枚めくっていただきますと、オリコン、それからNTTコミュニケーションの例も同じになっております。もう1枚めくっていただきますとほかの例が出ていますが、この3者については特に私的使用云々等のことは言及しておりません。例えばエキサイトというサービスですけれども、これは8条に禁止行為というところに使用条件の契約があるのですが、本契約で当社が別途許諾している場合以外に営利・非営利にかかわらずコンテンツの複製、頒布、貸与、譲渡、公衆送信、送信可能化または譲与を行う、または第三者に行わせることが禁止されているというような規定もございます。ということで、各社の実態としてはその私的複製であることを意識して契約上明記しているところとそうでないところとがあると思われます。
 それから資料6でございますけれども、資料6は特に補償措置の必要性のところで著作権の保護技術の範囲内の複製についてが論点になっておりますので、そこを少し整理をしてみました。まず1は補償措置の云々に入る前の段階で、つまり30条の範囲外の複製については、これは補償措置の対象にはなっておりませんので、そこを(1)から(4)まで整理してみました。まず(1)は使用目的が私的使用でないこと。たとえ家庭内で行われたとしても、例えば業務用の複製についてはこれは補償措置の30条の外の話でございます。また、30条は複製物を使用する者が行うということになっていますので、他人が使用するために行う複製も30条の外の話でございます。また、技術的保護手段を回避して行う複製、これも家庭内で行われていましても回避の事実を知って行う場合であれば30条の外の話になります。また、今回の見直しによって30条の範囲外とされる複製、これはどういうものがなるかはわかりませんが、仮にそういうものがあるとすれば、それも補償措置の必要性から外に出すということでございます。
 それから、2としまして複製禁止、つまり著作権保護技術で複製禁止を選んだ場合には、これは複製が行われないですから補償制度の有無にかかわらず補償措置は必要でないというのは当然でございます。現に現行の補償金制度でも、先ほども30条の資料4でご説明しましたとおり、パッケージの映像ソフトについてはおおむね商業用のものについては複製禁止というコピー制限がかかっておりまして、現に補償金管理協会から映画会社等はパッケージについては補償金をもらっていないという現実もございます。
 また(2)として、これが問題になるわけですけれども、複製の回数とか複製の世代、子のコピーはできるけれども、孫コピー、曾孫コピーはできないとか、それから複製の質が少し落ちるとかそういう制限でございますが、これはもともと現行の補償金制度の制度改正のもとになりました著作権審議会第10小委員会の報告書を読んでみますと補償金制度は家庭内で行われる同一コンテンツからの1回とか2回のごく限られた複製、すなわちほとんど権利者の利益を害さない複製が機器等の普及による複製の総体、「複製の総体」という言葉が審議会の報告書では使われていますが、複製の総体として見れば権利者の利益を害しているという考え方に基づき導入されたわけでございますから、個別で行われる家庭内の複製というよりも、その複製の総体が権利者の利益を害しているというのが現行制度の基本でございます。
 その考え方を踏まえまして次の1ページめくっていただいたまるでございますが、著作権保護技術と補償措置は併存しない。つまり権利者側が著作権保護技術を容認した複製であり不利益はないという考え方です。これについては先ほど言いましたように複製の総体についても権利者の受忍限度内とする考え方と複製の総体も受忍限度外だという考え方がありますけれども、ここが論点だと思いますので、そのことについてどう考えるのかということでございます。
 また、次の場合についてどう考えるのかといことで、それでは著作権の保護技術というものが一切権利者が関与していないのかというとそうではなく、いろいろなケースが想定されるわけです。例えば著作権保護技術を関係権利者団体等の協議により定める場合、権利者が関係権利者団体を通じて技術の内容に関与できるとすれば、間接的ではありますけれども権利者自身の判断により一定の複製を容認したというふうには考えられると思います。ただ、問題の補償措置の必要性までも否定したと言えるかどうかというのが1つ議論になると思います。
 次のケースとしては著作権の保護技術をコンテンツの提供者、例えばレコード会社とか配信業者や録音録画機器のメーカーが一方的に定めたような場合、これもいろいろなケースがあると思います。アとしましてコンテンツの提供者が権利者または権利者の意思を代行する者であるときは、例えばレコード会社とか配信業者が権利者とか権利者の意思を代行する立場にあるというときは、これは当たり前の話ですけれども、権利者自身の判断により一定の複製を容認したと考えられますが、その補償措置の必要性まで否定したというのがどうかというのがやはり議論になるかと思います。
 イのケースとしては、例えば機器メーカーが一方的に定めた技術を権利者が選択する場合に、これは権利者は権利者自身の判断により一定の複製を容認してと言えるかどうかというところの問題。また、仮に容認したと言えるとしても、補償措置の必要性まで否定したと言えるかというような論点があるのではないかと思います。また、技術の制定とか選択に関与できない権利者や権利者団体の場合はどうかということがあろうかと思います。
 それとの関連で最後ですけれども、資料7でございます。前回の議論でも現在の著作権法の技術的保護手段というのが権利者の意思にかからしめているというところがございますので、権利者の意思について少し議論をしていただければと思います。
 関係権利者の立場の整理ということで、例えばレコード会社が原盤を保有しているとしまして、これは物としての原盤を保有しているとしまして、レコード製作者としてはいろいろな立場があるわけです。レコード会社イコールレコード製作者の場合もございますし、原盤の譲渡契約でレコード製作者が権利を持っている場合。それから原盤の供給契約でありまして、レコード製作者の権利は原盤製作者に留保されているという場合もございます。それから、実演家につきましてはメインのアーティストのように一般的にはレコーディングの際に権利を譲渡しているわけですけれども、それはバックのミュージシャンなどは演奏契約でして、ここは解釈が分かれるところだと思いますが、権利譲渡について少なくとも文章契約は一般的にはありません。それから著作者の場合にはほとんどの場合には管理事業者が権利を管理していますが、そのような場合とその他の場合といろいろなケースが分かれると思います。
 それで、一般にレコード原盤の利用の権限を有している人が、どのような著作権保護技術を選択するかの権限を有しているのは当たり前のことでございまして、例えばレコード会社が配信業者にコンテンツを提供するときに、例えばコピーは3回までにしてくださいとか、こういう技術を採用すれば提供しますよというよという主張は当たり前の話ですからこれはいいとして、そこに含まれている実演家とか著作者についてどう考えるのかというのが問題になります。この(1)の実演家、(2)の著作者というので書いておりますけれども、要するに例えばレコーディングの際に権利の譲渡されている場合にはそういう行使も含めて任せているんだと思いますけれども、そうでない場合についてレコード製作者にそういう権利者の意思の行使を任せたのか、それとも留保されているのかというような問題があると思いますので、そこは一度議論をしていただければというふうに思っております。以上でございます。

【中山】 ありがとうございました。ただいまの説明にしたがいまして議論をしていくわけですけれども、資料が4から7までありますので、まず資料4から進めていきたいと思いますけれども、華頂委員どうぞ。

【華頂】 資料4の録画のところなのですが、他人から借りる場合とレンタル店から借りる場合の一番下の考えられる結果ですが、先ほどのご説明では基本的には複製禁止となっていますので違法複製はほとんど考えられないと書いてありますけれども、CGMSが機能する機器については確かにコピーがガードされていますのでいいのですけれども、CGMSが機能しないパソコンのような汎用機器、これでCSSを解除して行うファイルコピー、これは違法ではなくリッピングできる状況にありますので、私たちとしては、他人から借りる場合とレンタル店から借りる場合は音楽と同じように、建前としては複製禁止なので、そういう状態が続けば違法状態が放置されるおそれがあるというふうに考えていますが。

【中山】 その点、亀井さんどうぞ。

【亀井】 1つは今のご指摘に対するメーカーとしての件と、それから資料4について幾つか質問がございます。
 まずCGMSに反応しないということでおっしゃったと思うのですが、一般のパソコンの場合はきちっとDVDのソフトはコピーできない構造になっていると。回避のためのソフトが確かにございます。そういうものを使うとそれは回避措置の規制対象だと思いますけれども、そういうものがあれば違法コピーができる場合もあるということだと思います。

【華頂】 CSSは技術的保護手段に認定されていないので、CSSの解除をして行うファイルコピーは適法ですよね。我々は複製を禁止しているのですけれども、この種の複製が適法という矛盾があるということなのですね。ですから言ってみればCSSも技術的保護手段というふうに認定していただいて、もう名実共に複製禁止にしていただきたいというのが私たちの考え方なのですけど。すみません、途中で。

【亀井】 技術的保護手段の件は解釈とおっしゃいましたので、文化庁さんにゆだねるといたしまして、資料の4の録音のところで幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 1つは先ほどの著作権保護技術のばつと書かれているところ、これはCDを念頭に置いておられるという理解でよろしいかというのが1つございます。それから、レンタルのところで先ほど貸与使用料に上乗せというご説明がございましたが、レンタル商業組合が公表されている意見を拝見しますと、貸与使用料の中には複製分が既に入っているというポジションでいらっしゃると思います。そのあたりの事実関係といいましょうか、解釈をどうするかという点をどう考えているのか。それが2つ目でございます。3つ目は許諾システムという横に書かれている中で、複製ごとに徴収するのは困難と書かれてございますが、先ほど適法配信の利用者との契約例をご紹介いただきましたが、配信契約には必ずしも複製ごとに徴収するという構造の契約になっていないということがございまして、これをあえて複製ごとに徴収するということが問題になるのかどうかというあたり。この配信契約を通じて許諾可能と適法配信のところは書かれてございますが、そことのそごがないかという点、3点ご質問させていただきました。

【中山】 その点、事務局からお願いします。

【川瀬】 まず最初の質問でございますが、とりあえずCDは念頭にあるのですが、ここで先ほど私も説明しましたように、この場での議論で購入したものから複製するのは家庭内にとどまっている限りは30条の範囲内にとどめていいということで特に議論がなかったと思うので、したがって他人から借りるというのは、買った人が貸すということと同じでしょうから、例えば他人に貸すことを前提に複製を禁止するとか、1回しかコピーはできないというのは技術的にはなかなか難しいのではないかなというような判断でばつをしました。
 それから、2番目につきましてはレンタル業者のご主張が複製使用料が入っているというのは、貸与権が創設されたときに運用ルールづくりをするに当たって全然目安がなかったものですから、JASRAC(ジャスラック)等の複製使用料を目安にして使用料を定めたのは、これは事実でございます。ただ、これはいろいろな契約書、その後の交渉もそうですけれども、それは基本的には貸与の使用料として考えておりますので、あくまでも最初はそういうものを目安にしたかもしれませんが、この貸与の使用料についてはレンタル業者とレコード会社との契約書の中でも貸与料金としてきちっと明示されていますから、私どもとしては貸与使用料はあくまでも貸すための使用料であって、そこに複製料金は含まれないと、また複製の対価は含まれていないと考えております。
 それから複製ごとに徴収するのは困難というのは、これもこの場の議論で、複製ごとに徴収するのが、最も公平でいいというようなご意見も非常に強くありましたので、そのことを意識して書いているだけですから、もちろん別のやり方はあるというのは私どもとしても認識をしております。

【中山】 あと華頂委員からのCSSの話は。

【川瀬】 ちょっと確認ですけれども、亀井委員からのお話というのは基本的にはパソコンでもコピーはできないということですが、華頂委員のお話はあるソフトを介在すればコピーができるが、そのソフトはいわゆる著作権法で言う技術的保護手段に該当しないので、それを回避して仮にコピーしたとしても、その著作権法上の技術的保護手段の回避にはならないので、30条の外には出ずに30条の中に入り、かつ罰則も伴わないと、そういうことですね。

【華頂】 そうです。ただ、亀井委員のほうから私が知っている知識とはちょっと違う情報が得られました。CGMSがすべてのパソコンで機能している。要するにパソコンにDVDを入れて、それでパソコンのハードディスクにCSSを回避してファイルをコピーするというようなことを行うときにCGMSが機能するパソコンがほとんどであるということですか。

【亀井】 私の認識ではそうです。

【川瀬】 事実関係は私もよく承知しているわけですが、いわゆるコピーコントロールとアクセスコントロールの違いによって著作権法上の取り扱いも違いますし、また、これは不競法の問題でもあるわけです。私どもも、経済産業省のほうでもできるだけ権利者の利益を害さないような方法を考えているわけでして、その話の可否とか問題につきましてはまた別の話といいますか、この私的録音録画の話というよりも回避の著作権法上の問題ないしは不競法の問題として少しちょっと距離を置いたほうがわかりやすいと思いますが、事実としては私も理解しております。

【華頂】 考えられる結果のところが、要するに映画のパッケージ、DVDは違法複製に関しては安心してもいいのだというようなことになっているので、今はそういう状態ではないというふうに申し上げたかったということだけです。

【中山】 ほかにこの資料4につきましてご意見ございますか。はい、どうぞ、生野委員。

【生野】 先ほどのsarahの私的録音実態調査報告でも書かれてありますとおり、特にCDの購入に代替する手段としてデジタル録音が行われています。前回も、ベルヌ条約第9条第2項に照らし合わせてどうなのかというお話をさせていただきましたが、まずそこを押さえた上でこれからぜひ議論をお願いしたいということが1点です。
 それと、他人から借りたCDのコピーに関して、事務局の整理では機器メーカー等に対する訴訟の恐れですとか、レンタル店から借りたものに関してはレンタル業者に対する訴訟の恐れと書いてある。本当にそうなのかなと思うのです。実際コピーするものには自分が購入したものをiPodなどで所有カタログとして利用するというのも、それはそれでまた広くあるわけで、機器メーカー等に対する訴訟の恐れというのは私はないと思うのですが、どこら辺からこういう考え方が出ているのかちょっとお聞かせ願いたい。それとレンタル業者に対する訴訟についても、貸与の許諾をした上でレンタル店に対して訴訟をするということは考えられるのかどうか。私はないと思うのですけれども、どういったところからの恐れなのか、そこら辺をぜひお聞かせ願いたいと思います。
 それから、レンタルに関しては許諾システムのところで図書館のCDレンタルの取り扱いの問題と書いてございますが、これは営利のレンタルとは全然別に無償でCDがレンタルされて、何ら権利者に対する対価もないという制度そのものの問題だと思うので、これは今後本当に放置しておいていいのか。これはしっかり取り組まなければいけない課題だと思います。いずれにしても、先ほどのsarahの実態調査からレンタル店で借りたCDがデジタル録音源として最も利用率が高いということで、量の問題は森田先生がおっしゃいましたが、それはそれとして調べるとして、こういった実態があるというところで、世界にない日本だけにあるこの制度が本当にこのままでいいのか、抜本的な見直しが必要な時期にきているのではないかと、そういうふうに考えます。
 最後にもう1点。違法複製物からのコピーに関して、先ほど事務局の海外調査報告で、ドイツにおいて2003年に制度が改正されて、これはイリーガルになったということをお聞きしたのですが、この点に関して事務局で整理された考えられる恐れについては、ドイツでどういう形で押さえられているのか、参考までにお聞かせ願えればと思います。以上です。

【川瀬】 最初のご質問ですけれども、この表は仮に30条の適用を外した場合、利用者の行為自体が違法になるわけです。それについては前回の議論で違法状態が放置されるのは法規範としてはよくないというような強いご意見もございました。したがって、それを前提にして考えますと、その左側にありますようにその違法状態を解消するためには警告を含めた法的措置をやると。そうすると仮に利用者の無断複製の行為がなかなか閉鎖的な範囲内で行われるということで立証できなければ、例えばその複製に寄与している人を訴えるということがあろうかと思います。そういう意味で例えば借りたものにつきましては、もちろんそれは貸した人もいるのでしょうが、一般的には機器がないと複製はできないわけですから、そういった家庭内の複製が違法だということになれば機器のメーカーに対する訴訟のおそれがあるのではないかということでこういう記述をしました。レンタルも同様でございます。

【白鳥】 ドイツの関連では、ちょっと条文とかないので細かいところはわからないのですが、基本的に違法に作成された著作物からの複製はその私的目的のためにする複製であっても許されないというようなことのみ、ちょっと今ここではそこまでしかわからないのですが、そういう状況でございます。

【中山】 この機器メーカーに対する訴訟のおそれというのは、これは単にシミュレーションしているだけで現実にあるかどうかわかりません。ドイツなんかがあったわけで、絶対ないとは言えないという、そういう程度で考えていただければと思うのですけれども。
 ほかに何かご質問は。どうぞ、森田委員。

【森田】 今のご質問にも関連しますが、このような私的録音を30条の範囲外にした場合の影響ということで、前回、行為規範として啓蒙普及を図る以外には実効性を持たせることは難しいのではないかという意見がありましたが、そのようにいえるものを除きますと、この中で一番現実の影響が多いかもしれないと思いますのは、このレンタル店から借りて録音するというものだと思います。
 それで先ほどのお話なのですが、仮にこれ私的録音はできないということになりますと、レンタル店からCDを借りた場合には、それを単に聞いて楽しむだけで、複製をしてはいけないということで制度はできているということになります。レンタル店が支払う貸与料というのもすべてそういう前提で算定するということになります。今までは、その点は、利用者は私的複製ができて、それに対する補償は私的録音の補償金制度でカバーされているという前提でレンタルCDから借りてきて複製するということであったわけですけれども、これからはレンタルCDといっても利用者は聞いて楽しむだけだという前提になるというお話ですね。
 そうすると、先ほどのレンタル業者に対する訴訟のおそれというのは、例えば、現在、飲酒運転する人にお酒を出す店はけしからんということが問題になっておりますけれども、それと同様に、ほとんど多くの人がレンタルCDからコピーをする、それも聞いて楽しむだけということであれば1日2日で返してこの値段というのは見合わないと考えますと、ほとんどの人が違法複製をすることを目的としてCDを借りるという前提のもとにレンタルCDが成り立っているという状態になりますから、先ほどのレンタルCD店に対する間接侵害を理由とする賠償請求というのも十分訴訟として成り立つということになりそうです。そうしますと、理屈で考えていくと、単に聞いて楽しむだけのレンタルCDというもののみが適法であり、そのような適法な形態のレンタルは今後も残っていく余地があるとしても、現在のような利用形態を前提としたレンタル産業というのは今後はなくなっていくだろう、あるいは、なくすという方向で考えているという案だというふうに私は受けとめたわけですけれども、そういう理解でよいのかどうか。つまり、レンタルCDからの録音を私的複製の範囲外とするということは、そういう状態しか考えにくいような気がするのですが、レンタルCDという産業が今後も残るという想定のもとに、しかし30条から除くということがありうべき秩序として維持できるというふうにお考えなのかどうか、その点を確認したいと思います。

【川瀬】 今、森田委員がご指摘になりましたことは想定されると思います。ただ、この資料はレンタル業界がなくなるかなくならないかということではなくて、今ある秩序があって、それが法律改正によって別の秩序ができると、そのときレンタル業界が事業を廃止すればいいのかもしれませんが、そうではなくて、そのままの状況で営業を続けた場合にどのようなことが想定されるのかということを前提にして考えております。したがって、この業界の秩序が混乱するだろうということは容易に推測できます。裁判も行われると思います。その先については、複製の使用料を払ってコピーを可能にするようにするのか、それとも業界がなくなるのかなど、そこから先いろいろな枝分かれがあると思いますが、この資料としてはそこまでの先を見通す任務といいますか、そういう性格のものではありません。

【中山】 この資料はあくまでも私的録音を30条から外した場合の効果についてのシミュレートだけであって、外した場合にこうなると。だからレンタル店が困るから外してはいかんとか、その後の議論はいろいろあり得ると思うのですけれども、とりあえず外した場合にはばつまるさんかくになりますよと。あとのことば後でいろいろ諸要素を勘案して、だからいいとか悪いとかいうことを検討してもらえればと思います。ほかに。

【森田】 事実としてどうなるかということはわからないわけですけれども、制度としてありうべき状態というのがどのようなものになるかということは考えることができると思います。その1つとしては、事実は現状と変わらないけれども、法的には多くの人が違法複製をしているということになって、ただ、その違法状態はだれも是正する実効的な方法がなければ、事実上黙認されていることになって、それを前提に現状と同じようにCDレンタルという産業が成り立つという想定もありえます。しかし、それは事実としてそうなったとしても、制度としてはやはり違法状態であるので、それは何とかしなくてはいけないという状態があるということになります。先ほど飲酒運転の例を挙げましたけれども、多くの人が違法行為をしている実態がありながら、利用者が違法な複製を行うことを前提に事実上それを黙認して貸しているというのは本来あるべきことではないという制度になるという理解でいいわけですよね。

【中山】 ほかに。どうぞ、井田委員。

【井田】 質問なのですが、録音も録画もどちらにも言えることと思いますが、「違法複製物から」と「違法配信から」という中で、「訴訟」の欄のところに「(私的使用目的であっても)無断録音できない」とした場合は海賊版業者に対する訴訟が可能とか、配信業者に対する訴訟が可能ということをあえて書いてあるのですが、今、現行法でもそれは可能というふうに理解しているのですが、あえてここで書かれているというのはどういうことなのでしょうか。

【川瀬】 これは注釈みたいなものでして、本質にはもちろん関係ないのですが、前回のご議論でやはり法律を改正するのであれば違法状態がそのまま放置されるというのはよくないのではないかというご意見がありました。一方で、30条以下の制限規定の中で100パーセント守れる規定はないわけだから、まずある法規範を決めて、それに対応するように運用を行うということでいいのではないかという意見もありました。
 したがって、そういうものを念頭に置きますと、結局海賊版の場合についてはそのもとを断てば、つまり海賊版がなくなり、かつ、違法配信がなくなれば、私的複製もなくなることなります。したがって前回のご意見に従って考えれば、海賊版業者をなくし違法配信業者をなくせば自然とそこの複製がなくなるという趣旨で、考えられる結果のところに結びつく1つのヒントといいますか、その要素として書いているわけです。ただ、今から考えればこの図書館の貸与のようにこめ印のほうがよかったのかもしれないと思います。

【中山】 ほかに何かございましたら。どうぞ、津田委員。

【津田】 やはり法律改正とビジネススキームの多分その問題がちょっと混同されているというか、それにかかわってくることはあると思うのですけれども。音楽CDのレンタルといわゆるDVD録画のほうのレンタルというのが両方ともこの中だとレンタル店から借りるというので同じように見えるのですが、実はそのビジネススキームというところでいくと結構違いがかなりあるという。
 CDレンタルのほうであればその貸与使用料という形である種まとめてブランケットみたいな形で払うことによって、その中からその使用料を受けた団体が分配するという形になっていますけれども、DVDに関していえばレントラックジャパンさんみたいなのがやっているようなある種ペイ・パー・トランザクションという形で1枚借りるごとにその使用料が分配されるというスキームが一応ある種定着しているという部分があるので。
 僕などが思うのは音楽CDのほうだとその資料4のほうだとその複製ごとに徴収するのは困難と書かれていますが、これもある種ペイ・パー・トランザクション的なDVDで行われているようなペイ・パー・トランザクションのようなCDレンタルみたいなシステムというのが整えば、ある種1枚借りるごとに権利者に分配がいくというようなシステムが整うのであれば、これが補償金でやるのかどうかはともかく、ある程度の分配というのも権利者にある種クリアに行く部分というのもあると思うのですが。これは逆に生野委員にお伺いしたいのですけれども、レコード協会とそういったレンタル業者さんでそういったDVDで行われているようなペイ・パー・トランザクションみたいな新しいビジネススキームを作ろうみたいな話し合いというのはないのですかね。

【生野】 PPT、ペイ・パー・トランザクションに関して、レコード協会の中でも、各レコード会社においても検討したことがあると聞いております。ただ、それがお店でできるところとできないところがあって、なかなか統一して導入できるというところではまだきていないという話を聞いております。検討はしておりますし、貸与されたごとに使用料を徴収するというのは本来当然のことであり、権利者にも的確に分配されますので、それが方向性としては正しいに決まっているわけです。しかし、レンタル店全体をそのシステムに乗せていくという状況にはまだ至っていないと、そういう話で聞いております。

【中山】 ほかによろしいでしょうか。もしご意見がなければ、時間の都合もございますので資料5のほうに移りたいと思いますけれども、こればいかがでしょうか。亀井委員、どうぞ。

【亀井】 またすみません、1つ質問させていただきます。配信の適法の無料でばつとなっているのですが、このばつの意味は例えば利用者とコンテンツ配信業者の間でただで提供するという契約の場合には、ほかの例えば販売でばつと言われているものと同じ意味合いで使われているのでしょうか。

【川瀬】 無料配信の場合にも確かにいろいろ形態があると思っています。契約をした上で無料配信をするような場合もあると思いますけれども、ここで想定しているのはそうではなくて、自由にアクセスしてダウンロードするようなものを一応想定はしているわけですが、このような場合について利用者、つまりアクセスする人と配信をしている人との契約がないという意味でということにしているわけです。

【亀井】 そうしますと、確認ですが、ただで許諾するという契約がある場合は有料の中に含まれるということでよろしいのですか。つまり、配信の際にこの曲はただであるという許諾をするということはあると思うのですが、そういう場合はおっしゃった無料とは違うということでよろしいですね。

【中山】 これ契約の有無で全部統一しているけれども、お金を取れない場合と契約がない場合と本当は分けて考えなければいけないのだけど、ちょっとまじっているのではないか。

【川瀬】 有料・無料で分けたのがよくなかったのかもしれません。その心はと言われれば、つまり利用者とコンテンツの配信業者と、資料4でも適法配信のところでありましたように、そこに契約があればそこで例えは30条で著作権の制限がかかっているけれども、契約上で対価のやりとりができるわけですが、無料の場合には契約が普通はないので、そこでは利用者から対価を取るということはできないという意味で無料の場合には一般的にはこうだろう、有料の場合には一般的にこうだろうということで分けたので、今の亀井委員のご指摘のとおりいろいろなケースが想定されまして、その辺も少しは考えましたけれども、とりあえず単純化をしようということでこのような資料にしたわけでございまして、気持ちとしては私が今言ったようなところでございます。

【中山】 ほかに何か。大渕委員。

【大渕】 ここでは、ばつまるというのがたくさんあって、要するに、まるは契約があり、ばつは契約がないということのようでありますが、あまり長々と書いていただく必要はありませんけれども、まるばつというものがここで何を意味するものかについてある程度の内容を注記していただかないと、議論が混乱しかねないことになりますので、そこのところをお願いできたらと思います。

【中山】 ちょっとそこを工夫していただいて。多くの場合は無料の場合は契約がないでしょう、その程度だと思うのですけれども、厳密に契約があって無料のときはどうするのだと言われると、正確にはこの表からはずれてしまうと、こういう話だろうと思うのですね。そこは大まかに考えていただければと思うのですけれども。
 ほかに何かございましたでしょうか。どうぞ、森田委員。

【森田】 私が聞き逃したのかもしれませんが、このまるばつというのは私もよくわからないところがあります。1では、利用者とコンテンツ提供者、および権利者とコンテンツ提供者と間に契約があるかないかを問題にしており、また、2では、私的複製の対価が含まれているかを検討しているわけですけれども、権利者とコンテンツ提供者、およびコンテンツ提供者と利用者のそれぞれは契約でつながっている場合に、権利者と利用者の間には利用許諾があるという整理なのか、ないという整理なのかという点は、どのように理解すればよいのでしょうか。つまり、権利者と利用者の間は、直接の契約がなくても、例えば配信の場合には何回までの複製は許容するといった直接の利用許諾があると見ることも可能だと思いますが、そういう利用許諾の有無ではなくて、ここで契約の有無を問題としているのは、もっぱら対価のことだけを問題にしているからこういうことになっていると理解すればよいのでしょうか。この契約の有無というのも、利用者と権利者の間には本当に契約がないのかというと、利用許諾を考えれば契約関係があるといってよい場合もありそうな気がするものですから、その点を確認したいと思います。

【川瀬】 この資料は、いわゆる契約で30条を前提にしつつも、利用者と権利者との契約で対価を取っているのではないかというような議論もありますので、そこを少し契約状況を見た上で整理したいと思って作った資料でございまして。つまり契約があって、その契約の条項で私的使用の複製というのは30条で認められているんだけれども、利用者も承知の上で対価を払っているというようなものが一体あるのかないのかということで、契約がある場合はまるで、契約がない場合はばつにしています。そのまるの中身を見ても、例えばですけれどもレンタルの契約の中でもそのレンタル商業組合はそういう主張をさていますが、契約書では、貸与使用料であるということが明記されていますことから、契約書からは、その対価に複製使用料が含まれていると思えないというのを少し整理してみただけなのです。
 ただ、先ほど説明しましたように、有料の配信の場合にはこれば契約書も調べてみましたけれども、明確に、利用者の複製は30条だからその対価の外ですよというメーカーもありますが、そうでないメーカーもあります。また、有料配信の場合には利用者がダウンロードしたものもコピーをすることも前提にして、つまりビジネスモデルの一環として、その事業が成り立っていますので、どうしてもそこがあいまいだというのが2のイの記述なのですけれども、そういう意味で作った資料でございます。

【中山】 予定した時間をもう過ぎてしまいましたけれども、若干延長させていただければと思います。
 資料の5はよろしいでしょうか。では、6と7を一緒に議論をしていただきたいと思いますけれども、6あるいは7につきましてご意見ございましたらお願いいたします。どうぞ、椎名委員。

【椎名】 資料6の2の(2)複製の回数、複製の世代、複製の質などの制限があることがその権利者の利益をどのぐらい害するのかというところで検討をするという意味だと思うのですけれども、基本的に今有料配信等でかけられている、例えば複製3回までオーケーですよという表現になるのですが、3回から10回までさまざまなビジネスモデルがあると承知しているのですが。それはあくまでもその30条1項にいう零細な私的複製の範囲を担保するための上限規定といいますか、要するに私的複製に関する補償金制度に影響を与えるような技術的制限ではないというふうに思っています。

【中山】 はい、わかりました。ほかに。小六委員。

【小六】 同じく2番の2項のことですけれども、今、椎名委員のおっしゃったことと全く同じことを私たちも考えておりまして、つまり少ない零細な複製というものを担保するためにこの補償金制度があると。まずここを根底に考えることが必要であると思います。ですから、その後の今契約のことでもいろいろなお話が出ました。許諾をしているとかしていないとか、それをコピーすることを認めているのか認めていないのか、レンタルにおいてもそのことは問題ですが、あくまでもそれはそこで許諾をしているのではないという考え方を私たちは根底に持っております。以上です。

【中山】 ありがとうございます。ほかに何かご意見ございましたら。森田委員どうぞ。

【森田】 このペーパーは、補償措置が必要か必要でないかという観点から整理されておりますので、まるばつかという問いの立て方をすると、補償措置が必要である場合ということになるのでしょうけれども、しかし、複製の回数制限が全くない場合とある場合とで補償の内容は同じなのかどうなのかという点は、冒頭にヨーロッパの動向として、DRMを考慮して補償の内容を決める動向が紹介されましたが、そのような補償措置におけるDRMの考慮の仕方にかかわってくる問題があるように思います。そうしますと、補償措置の要否という観点だけではなくて、補償の内容を考えるうえでDRMをどのように考慮するのかと、いう論点があると思います。
 また、この前の議論で、30条の範囲外としたものは補償措置の範囲外ということになってきますと、さまざまなデジタル録音の中で補償の対象となるような私的録音というのがどの程度の割合を占めているか、ということも考慮しなくてはいけなくなるので、いろいろなデバイスの記憶容量だけではなくて、それを何のためにどういうふうに使われるのかという割合に応じて、その具体的な補償の内容が定まってくるというのが今後の方向として1つ出てくるように思います。従来は、そのようなことを考慮しなくてもよいような規定の仕方であったと思いますが、今後はそういうことを考慮しなくてはいけなくなってくるという可能性が少なくともあるという前提で見ますと、補償措置の要否という観点だけから整理するというのは、ちょっと中途半端であるように思います。さらに、補償の内容をどう考えるかという点を併せて加えた形で整理していただくとわかりやすいのではないかと思います。

【中山】 ありがとうございます。では、小六委員どうぞ。

【小六】 今、森田委員のお考え、ちょっと私誤解してはいけないと思いつつも思いますが、おおもとはまず無制限な複製は我々にとってやはりよくないとベルヌ条約にも書いてあります。それは我々の権利を侵害するものであるという認識があるとするならば、回数をたくさんコピーさせることを許諾するということ自体も、これもちょっと違うのではないかと。必要最低限の複製を補償制度を拡充することよってそれを自由にやって、なおかつ、それ以外はないんだよというようなスタンスの考え方を持たなければいけないよ。ですから、契約条項で10回20回なんていうものを言うこと自体が我々にとってはおかしいなというふうな考えを持ちます。零細な複製を許諾できる権利制限をしているんだよというおおもとに立たなければ、この補償制度というのが考え方としてはいけないのではないかとちょっと気がしております。

【中山】 ほかに何かご意見ございましたら。どうぞ、佐野委員。

【佐野】 この複製の回数、複製の世代のところなのですが、やはり今までどおりアナログ、デジタルに関係なく、家庭内での限られた複製は補償金なしでやるという方向で考えたいと思います。

【中山】 ありがとうございます。ほかに何かございましたら。権利者の意思の問題についても何かございましたら。資料7ですね。どうぞ、椎名委員。

【椎名】 権利者の意思ということで、ここで実演家に関して結構微妙な整理をされていると思うのですが、ここに関して、そうした権限が留保されずに移転していると考えてよいかという質問に答えるとすれば、基本的に補償金制度というのが前提になっているわけですね。補償金制度がある中でそのコピー回数を何回にするか云々ということには直接関与してないということであって、アーティストによっては力関係でそれに言及する場合もあるのでしょうけれども、一般に、補償金制度があるということを前提にそうした採用やその制定に関する権利は留保しつつも、それらに直接言及してないというのが実演家の立場だと思います。
 それから演奏家、バックのミュージシャンに関しては、ここでも書いてありますとおり、演奏時点で何ら法的に有効な契約等はありませんので、しかも、そのビジネスモデルがマルチユースを前提とした時代のものではありませんので、やはりこういった権利は一切移転してないというふうに考えます。ただ、行使はしていないということだと思います。

【生野】 実演家の権利が移転しているのか移転していないのかというところで、1の2のアで、フューチャードアーティスト、メインのアーティストに関しては一般的にはレコード製作者に実演家の権利は移転しているが、イのバックミュージシャンの演奏契約に関してどうかということなのですが、確かに文書契約は一般的にない。これはほかの業界でもいろいろあるところだと思います。
 メインのアーティストとバックミュージシャンの契約の仕方、文書があるないにかかわらず、基本的にレコード製作者は、自由で円滑な利用ができるために投資を行なって原盤の制作を行うわけで、それが個々の利用に当たってこれはいい悪いと言われていたらこれはもうビジネスにならないわけですね。これまでも長年の慣行として、我々としてはバックミュージシャンに関してもその権利譲渡はされていると理解しておりますし、仮に譲渡がされてないとしても、利用に関する権利はレコード製作者が所有しており、利用はできると理解しているところです。以上です。

【中山】 そうすると椎名委員とは考えがかなり違うわけですか。

【椎名】 こういう状況が一番嫌だったのですけれども。演奏家に関する権利の買い取っているという解釈ですよね。録音されたものが当初告知されていたものと異なる目的に使用される場合には、追加の報酬が支払われることが業界の慣習としてありますので、演奏の時点で演奏家からすべての権利を買い取っているという主張にはちょっと無理があると思います。
 また、スタジオミュージシャンなど演奏家5,000人が加盟するMPNという権利処理機構がありますけれども、ここでは2003年に、演奏時に告知された目的以外の利用に関するすべての権利は譲渡も放棄もしていない旨の意思表示を、レコード会社さんにしています。繰り返しになるのですけど、ここに書いてある演奏契約というもの自体がワンソースマルチユースを想定していない時代のビジネスモデルであって、これまでにマルチユースとなったので演奏契約を変更しましょうなんていう話があったことは一度もありません。むしろCDが売れないから演奏料を安くしてくれなんていうことはあるのですけれども、そういう形で行われている演奏契約というか演奏慣行でございますので、そこは法的に見ても移転しているとは考えられないと思います。

【中山】 そうすると、今ここで議論になっているのは保護技術との関係ですけれども、椎名委員の考えですと権利者の意思がないから、30条の保護技術の問題はそもそもないということになるわけですか。

【椎名】 いや、違います。それは前段で申し上げたとおり、現状では、補償金制度というものがある。例えば配信から複製される場合も、課金されているメディアに複製されたりするわけですよね、そうじゃない場合もあるのだろうけれども。だから補償金制度があるということを前提にそのことは議論にはなっていないということであって、そこに直接アクセスはしていないし、ましてや演奏家がアクセスできる立場にもありませんので。

【中山】 いや、だから法的にはレコード会社に保護技術についてはゆだねているとふうに解釈をしてもよろしいですかと。

【椎名】 言及していないからそういうことですよね。

【中山】 それでよろしいのですね。

【椎名】 ええ。ただ、裁量権が移転しているという話に関して言うと、すべての二次利用の権利を移転しているから云々の話になってしまうと、それはそうと言わざるを得ない。

【中山】 ここはちょっと二次利用のあれじゃなくて、保護技術の面についての権利者の意思がどうかという、そういう議論なのですけれども。どうぞ、華頂委員。

【華頂】 保護技術と補償金制度の問題なのですけれども、コピーネバーを権利者側が選択できる保護技術であれば、当然、補償金はいらないと思うのですね。ただ、コピーネバーを選択できない保護技術、例えばEPNとかコピーワンス、これはコピーが行われるわけですから、これについては補償金は存続するべきであるというふうに考えています。
 それから、佐野委員が先ほどおっしゃいましたけれども、家庭内での複製ですね。これは要するに30条があって複製する方は私的複製をする権利が当然あるのですけれども、権利者側はすべて公表したコンテンツを複製できる環境に置く義務はないので、ですから複製の対価が徴収できないのであれば、権利者はコピーネバーというふうな極端なことに考えがいってしまい非常に混乱するというふうには思うのですけれども。

【中山】 ほかに。どうぞ、椎名委員。

【椎名】 さきほどの先生のご質問に補足なのですが、要するに、ここでは技術的保護手段というものがある種補償金制度に代替し得るというような文脈の中で論じられているというふうに思いますので、そういう意味では、あくまで補償金制度が前提となって、技術的保護手段に関する裁量権については行使してないという意味で申し上げたわけです。

【佐野】 コピーネバーのことなのですが、前回申し上げなかったのですけれども、私は特に放送の場合はなぜコピーネバーなのかというのがよくわからないのです。というのは、ごく限られたケースかもしれませんけれど、家族や知人がテレビに出演したときにコピーができないというのはやはりおかしなことだと思います。それを複製して、例えばおじいちゃんおばあちゃんにあげることもできないというのはひどいのではないかなと思いまして、私はすべてのコピーをコピーネバーにすることには賛成できません。

【中山】 ありがとうございました。ほかにご意見ございましたら。どうぞ、生野委員。

【生野】 資料7の実演家とレコード製作者の契約は先ほど述べたとおりであります。実演は原盤とは切っても切り離せない、それを独立した存在として利用はできないわけで、原盤の利用においては、これまでの契約慣行からして当事者の合理的な意思があって、レコード製作者が自由に利用できるというふうに理解しています。ただ、最後に著作者と書いてありますが、著作者の場合、実演家とレコード製作者の関係とは違って、これは独立した存在としてレコード製作者に委ねられているとは我々は理解しておりません。以上です。

【中山】 ほかに何かご意見ございますか。どうぞ、小六委員。

【小六】 今、生野委員のお考えで著作者のところで、これは言わずもがなかと思って黙っていました。ここでゆだねているというふうには著作者も考えていないということの確認でございます。
 それから、前の6でもよろしいでしょうか。2ページ目の最初の一番上のですけれども、著作権保護技術の導入により、著作権保護技術と補償制度は併存しないという考え方、複製の総体も受忍限度という言葉がありまして、これはあり得ないと。受忍限度という言葉がございまして、資料6の2ページの一番上です。これも我々の考えとしてはこういうことはあり得ないというふうに思っております。
 それから、これは確認ですけれども、その次の数字の2番の機器メーカーが一方的に定めた技術を権利者が選択する場合、権利者は、権利者自身の判断により、一定の複製を容認したと考えられるか。また、仮に容認したといえるかと書いてありますけれども、これももちろん容認はしませんということを確認しておきます。

【中山】 はい、わかりました。ほかに何かご意見は。生野委員。

【生野】 今の小六委員の最後のところのフォローなのですが、資料6の2ページ目の2のところです。アのところで、「複製を容認したと考えられる」と言い切っているのですが、これは容認したとは考えられないのではないかと思います。技術的な制約があって今はここまでしかできないだとか、もしくは禁止することに関して何らかの事情、ユーザーへの配慮ですとか、できない場合だとか、いろいろ事情があると思うので、「複製を容認したと考えられる」とここに書き切ってしまうのはどうなのかなと。それから、イに関しても同様に何かしらのそういう事情があってそうせざるを得ないという場合、それを容認したと言えるのかどうかと、同じような問題があるのかなと考えます。

【川瀬】 ここの趣旨は、これは前提条件がありまして、コンテンツの提供者、例えばレコード会社とか配信事業者の方が権利者そのものであったり、レコード製作者であるレコード会社が提供するということです。また配信事業者として提供する場合に、そのレコード製作者の権利者は例えば3回までのコピーにしてほしいという条件を出して許諾すれば、これは通常は3回までのコピーはオーケーですよと言って権利者みずからが判断して出しているわけです。
 ただ、次の段階にいって、それではこの場でもそうですし、別のいろいろなところでもそうですけれども、あなたたちがコピーを容認したのだからただでいいじゃないかと、当然無償でしょうというところまで本当に言えるかどうかというのが後段でして、複製はいいと言ったけれども、何人かの委員の方が言っておられますように、補償金を前提にしていいと言っているという可能性もあるのではないかなというのがここです。だから、このアは、それではそれに関与してないほかの権利者、例えば著作者とか実演家とかが仮に関与してなければ、その方はウに回るわけですね。ウのほうに回るので、それとの関連でコンテンツホルダーにそういうことも全部ゆだねているのか、それともそうじゃなくて、椎名委員がおっしゃるように、それば補償金を前提にして、特に自分たちは権限をゆだねてはいないが、黙示の了解みたいなことになっているのかというところが次の資料の7で、そこら辺をきちっと整理すると何か見えてくるような気がします。

【中山】 どうぞ、石井委員。

【石井】 今のところ、資料6の2枚目の1のところですけれども、これは容認という意味がなかなか難しいのですが、これ、例えば放送番組でコピーワンスをやったからといって、そのコピー1回は権利者側から許諾しているとか認めているとかそういうものではないと思うのです。それがあるということは、それは存在を認識しているといいますか認めているといいますか、そういうレベルではないかと。ですから、例えばコピー1回ですけれども、例えばその30条に入らない複製というのもあるかもしれません。そういうものは当然認めてないわけです。あくまでもその30条の存在があるということを前提として運用していると。それだけのことであるというように思います。

【中山】 ほかにご意見ございませんでしょうか。活発なご意見ありがとうございます。大分時間も超過いたしておりますので、今日の議論はこの程度でよろしゅうございましょうか。それでは30分ばかり過ぎましたけれども、本日の議論はこのくらいにしたいと思います。最後に次回以降の小委員会の内容も含めまして事務局から連絡事項がありましたらお願いいたします。

【川瀬】 次回11月15日水曜日でございますけれども、本日と同じく10時から12時、場所はこの場所、アルカディア市ヶ谷の6階の会議室で開催を予定しております。議事につきましては、引き続きこの課題に対する検討について議論を深めていただきたいと考えております。なお、お手元にお配りしました実態調査の報告書でございますけれども、これは事前にデータとして送っていますのと中身は同じでございます。今日お持ち帰りいただける方はお持ち帰りいただいて結構ですが、重うございますのでその場に置いていただければ後で郵送させていただきますのでよろしくお願いします。

【中山】 それでは、これをもちまして文化審議会著作権審議会の第6回の私的録音録画小委員会を終了させていただきます。次回もこの場所だそうですのでお間違いのないようにお願いをいたします。本日はありがとうございました。

〔了〕

(文化庁長官官房著作権課著作物流通推進室)


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