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短期的収入確保よりも長期的シェア拡大を重視した国際展開 |
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日本コンテンツの国際展開は、日本国内市場の占める比重が極めて高いことから、従来は副次的に行われてきたに過ぎなかったといえる。このため、長期的な事業計画に裏付けられたコンテンツの国際展開が図られてきたとは言いがたく短期的な収入の獲得が重視される傾向が強かった。 |
また、シェアの維持・拡大に取り組んでこなかったために、例えば日本のTVドラマがアジアでシェアを低下させている一方、韓国のTVドラマは弾力的に価格政策等を活用しながら、着実にアジア地域でシェアを高めている。 |
また、海外市場における日本コンテンツのシェアが安定的に確保されていれば、そうしたコンテンツを活用して、製造業等他産業事業者による広告マーケティング活動と連動を図っていくことも現在以上に容易なものとなり、コンテンツ産業のもたらす波及効果を拡大させていくことが期待できる。 |
アジア各地におけるコンテンツ市場の多くは形成の途上にあると考えられるため、今後は短期的収入確保ではなく長期的な視点にたったシェア拡大にこそ力をいれていくべきである。
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MG重視型とロイヤリティー重視型 |
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コンテンツの国際展開に伴うライセンス・ビジネスにおける収益確保の方法としては、ミニマム・ギャランティー(MG)とロイヤリティーという2つが主なものとしてあげられる。多くの場合、これら2つを組み合わせた契約が交わされることになる。
単純化していうならば、MGを重視するということは最初の段階でなるべく資金を回収してリスクを最小化しようとする姿勢の現れであり、現地の事業者にとっての負担は当然重くなる。これに対して、市場での売り上げにある程度連動して支払われるロイヤリティーを重視するということは、MGによる初期投資分をプロモーション費用に回すことが可能となり、よい長期的なマーケティング戦略を実行する余地が大きくなるといえる。また、ロイヤリティ重視型の方が、現地事業者のにみならずライセンスを付与する側も市場導入後のビジネスにより深いコミットメントを持つといえるだろう。
日系業者はMG重視型のビジネススタイルであるという意見は多数聞かれており、それによって現地事業者の強いられる負担が増加している側面がある。
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(2)提言 |
−提言  長期的視点からの資金回収−
○ |
短期的収入確保ではなく、長期的にシェアを維持・拡大していくことを念頭に置いた国際展開を図るべきである。 |
○ |
収益モデルに関しては、極端なミニマム・ギャランティー重視をあらため、ロイヤリティー収入を適宜活用した弾力的な姿勢が必要である。 |
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