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はじめに

 私たちは、日々、生産と消費を繰り返しながら生きている。それは最初、物質的な生産、消費から始まり、社会が経済的に発展するに従い、次第に文化的な生産、消費の割合を強めていく。そうして発展した経済社会に文化産業が花開く。いわゆるコンテンツ産業は、この文化産業のまさに核心である。

 経済発展によってヒト、モノ、カネの国境を越えた移動は増加し、それに従い文化もまた国境を越えて移動する。この文化の移動とはコンテンツ商品の貿易とコンテンツ産業の国際化であり、言い換えればコンテンツ市場の国際化に他ならない。コンテンツ産業は、文化発展と経済発展を相互に結びつけて双方のより強力な発展を生み出すメカニズムであるが、その市場統合によって、私たちは、ごく自然な形で国や地域の人々の相互理解を促進し、それを通じて地域の安定を維持し、かつ各国・地域内のコンテンツ産業は多様かつ魅力ある外来要素を得てさらに経済的・文化的発展を期待することができる。これがコンテンツ産業の国際化を促進する目的である。

 我が国のコンテンツ産業はアジア域内では比較的早く発展し、マンガやアニメ、アイドル、テレビゲームなど世界でもユニークな商品を多数生みだした。歴史を顧みれば、いわゆるアジアの雁行型経済発展の中で、すでに80年代以降その国際貿易は始まっていたことがわかる。しかし、各国・地域におけるコンテンツ産業システムの確立が遅れ、そして我が国コンテンツ産業の国際化が遅れたことでそれが海賊版という形になったことは、我が国のみならず、当該国・地域にとっても残念なことであった。

 経済的に発達し、すでに国境を越えた相互影響の時代に突入したアジアの各国・地域にとって、それぞれの市場でコンテンツ産業メカニズムを確立することは喫緊かつ共通の課題である。日本を含めた各国・地域当局、そして各市場の産業界は、すでにこの認識を共有している。

 では、アジア最大の市場を有する日本のコンテンツ産業は、その解決のために、如何なる具体的手段を講じることができるのか。それを実現するために、日本政府は如何なる具体的支援を行うべきなのだろうか。今、我が国自身の主体的な取り組みが問われている。

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