資料3

「契約」に関わる法制の改正について

○文化審議会著作権分科会審議経過の概要(平成13年12月)
  
  著作権法制に関する基本的課題について

3  実際の実務を踏まえて検討することが適当な事項(P9)
   ○  契約秩序の構築と著作権法の役割

    著作者等の権利を保護しつつ著作物等の円滑な流通を促進し、権利者・利用者双方の利益を増進させるためには、権利の付与が既に国際的な水準に達した今日、むしろ「契約システム」の構築が最も重要な課題の一つとなっている。
  このような「契約システム」の構築は、基本的には、本来当事者同士の努力に委ねられるべきものであるが、例えば「著作権等管理事業法」などの場合は、法律による契約秩序の構築が図られている。
  さらに著作権法にも、例えば、第61条第2項のような契約に関する特別の規定や、「指定団体」等を通じた権利行使を義務づける規定などがあるが、著作物・利用形態の急速な多様化等に対応するため、契約による自助努力や「選択と自己責任」の考え方が普及されていく中で、契約関係に関わる法律の規定の在り方について検討を行う必要があるのではないか。

  現行法において契約に関する特別な規律を行っている規定に関し、明確な契約を交わす慣行を定着させることによる著作物等の利用秩序づくりが進みつつあることを踏まえ、例えば次のようなものについて、存続の必要性を見直す必要があると思われる。
・第61条第2項(翻案権、二次的著作物の利用に関する権利の留保推定)
       当事者同士の契約に任せることとすべきではないか否か。
(著作権の譲渡)
六十一条  著作権は、その全部又は一部を譲渡することができる。
  著作権を譲渡する契約において、第二十七条又は第二十八条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定する。


・第15条(職務上作成する著作物の著作者)
       著作権に関する契約がないことを前提とした規定は契約慣行の定着の妨げになる可能性があり検討すべきではないか。
(職務上作成する著作物の著作者)
十五条  法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。
  法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。

・第44条(放送事業者等による一時的固定)
・第93条(放送のための固定)
・第94条(放送のための固定物等による放送)
       放送に関する許諾を得る際に固定についても契約できるはずであるので、この規定は廃止すべきではないか否か。
(放送事業者等による一時的固定)
四十四条  放送事業者は、第二十三条第一項に規定する権利を害することなく放送することができる著作物を、自己の放送のために、自己の手段又は当該著作物を同じく放送することができる他の放送事業者の手段により、一時的に録音し、又は録画することができる。
  有線放送事業者は、第二十三条第一項に規定する権利を害することなく有線放送することができる著作物を、自己の有線放送(放送を受信して行うものを除く。)のために、自己の手段により、一時的に録音し、又は録画することができる。
  前二項の規定により作成された録音物又は録画物は、録音又は録画の後六月(その期間内に当該録音物又は録画物を用いてする放送又は有線放送があつたときは、その放送又は有線放送の後六月)を超えて保存することができない。ただし、政令で定めるところにより公的な記録保存所において保存する場合は、この限りでない。

(放送のための固定)
九十三条  実演の放送について第九十二条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得た放送事業者は、その実演を放送のために録音し、又は録画することができる。ただし、契約に別段の定めがある場合及び当該許諾に係る放送番組と異なる内容の放送番組に使用する目的で録音し、又は録画する場合は、この限りでない。
  次に掲げる者は、第九十一条第一項の録音又は録画を行なつたものとみなす。
  前項の規定により作成された録音物又は録画物を放送の目的以外の目的又は同項ただし書に規定する目的のために使用し、又は提供した者
  前項の規定により作成された録音物又は録画物の提供を受けた放送事業者で、これらをさらに他の放送事業者の放送のために提供したもの

(放送のための固定物等による放送)
九十四条  第九十二条第一項に規定する権利を有する者がその実演の放送を許諾したときは、契約に別段の定めがない限り、当該実演は、当該許諾に係る放送のほか、次に掲げる放送において放送することができる。
  当該許諾を得た放送事業者が前条第一項の規定により作成した録音物又は録画物を用いてする放送
  当該許諾を得た放送事業者からその者が前条第一項の規定により作成した録音物又は録画物の提供を受けてする放送
  当該許諾を得た放送事業者から当該許諾に係る放送番組の供給を受けてする放送(前号の放送を除く。)
  前項の場合において、同項各号に掲げる放送において実演が放送されたときは、当該各号に規定する放送事業者は、相当な額の報酬を当該実演に係る第九十二条第一項に規定する権利を有する者に支払わなければならない。


・その他


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