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本編 第4章 コンテンツをいかした文化創造国家づくり

1.デジタル・ネット時代に対応したコンテンツ大国を実現する

1.デジタル・ネット環境をいかした新しいビジネスへの挑戦を促進する

(1)動画配信ビジネスの成長を支援する

1コンテンツ共有サービスの法的環境等を整備する 大かっこP84]

 新たなメディアとして成長しつつある動画投稿サイト等により今後の新しいコンテンツ市場の創出が期待されるため、サービス事業者による権利者との著作物の利用に係る包括契約の締結や違法コンテンツを排除するための技術的手段等の活用などの自主的な取組を促進する。また、サービス事業者が萎縮しないよう、著作権の間接侵害について検討を行い、2008年度中に結論を得る。

(総務省、文部科学省、経済産業省)

(2)新しいビジネス展開に関わる法的課題を解決する

1通信と放送の垣根を越えた新たなサービスへ対応する 大かっこP85]

 通信・放送の法体系の見直しについては、コンテンツの生産・流通・消費を最大化する方向で検討を行い、2010年を目途に結論を得る。また、通信・放送の法体系の見直しの状況を踏まえ、新たなコンテンツの創作への寄与等を考慮しつつ、利用者からみたサービスの形態に応じた、権利関係の規定の見直しや著作隣接権の在り方の検討を2008年度から開始する。

(総務省、文部科学省、経済産業省)

2ネット検索サービス等に係る法的課題を解決する 大かっこP85]

 次世代をリードする情報の検索・解析・信憑性検証技術の開発・国際標準化による先進的な事業の出現を促進するとともに、ネット検索サービスが円滑に展開されるよう2008年度中に法的措置を講ずる。また、利用者に応じて、適した商品等の情報を提供するサービスが円滑に提供できるよう、利用者のプライバシーを保護しつつ利用者に関する情報を安心・安全に収集・蓄積・活用するための方策等について検討を行い、2008年度中に一定の結論を得る。

(総務省、文部科学省、経済産業省)

3コンテンツ配信に伴うサーバー上の複製行為等に係る法的課題を解決する 大かっこP85]

 コンテンツ配信の通信過程において端末やサーバー等で生じる一時的な蓄積について、通常の通信過程における機器の利用であって権利者の利益を不当に害しない場合は著作権法上権利を及ぼさない措置を導入するなど、一時的蓄積等に係る法的課題を解決するための検討を行い、2008年度中に法的措置を講ずる。

(文部科学省)

4研究開発における情報利用の円滑化に係る法的課題を解決する(再掲) 大かっこP86]

 ネット等を活用して膨大な情報を収集・解析することにより高度情報化社会の基盤的技術となる画像・音声・言語・ウェブ解析技術等の研究開発が促進されること等を踏まえ、これらの科学技術によるイノベーションの創出に関連する研究開発については、権利者の利益を不当に害さない場合において、必要な範囲での著作物の複製や翻案等を行うことができるよう2008年度中に法的措置を講ずる。

(文部科学省)

5リバース・エンジニアリングに係る法的課題を解決する 大かっこP86]

 革新的ソフトウェアの開発や情報セキュリティの確保に必要な範囲において、コンピュータ・ソフトウェアのリバース・エンジニアリングの過程で生じる複製・翻案を行うことができるよう2008年度中に法的措置を講ずる。

(文部科学省)

(3)デジタル・ネット時代に対応した知財制度を整備する 大かっこP86]

 デジタル・ネット時代に対応したコンテンツ産業の振興を図るため、新たなコンテンツの利用形態を視野に入れた流通促進の枠組み、包括的な権利制限規定の導入も含めて新たな技術進歩や利用形態等に柔軟に対応し得る知財制度の在り方、ネット上の違法な利用に対する対策強化等について早急に検討を行い、2008年度中に結論を得る。また、コンテンツ市場の拡大に向けて、既存のメディアにとらわれない新規事業の創出など、デジタル・ネット時代に対応した新たなビジネスモデルの構築に向けた取組を支援する。

(内閣官房、総務省、文部科学省、経済産業省)

2.世界に目を向け、グローバルなビジネス展開を支援する

(1)海外展開を促進する環境を整備する

1海外の動画共有サイトにおける違法コンテンツの排除を働き掛ける(再掲) 大かっこP87]

 海外の動画共有サイトに掲載されている我が国のコンテンツビジネスを阻害するような違法コンテンツを円滑に排除し、コンテンツの流通を促進するよう、2008年度において、日本のコンテンツ事業者が容易に排除を要求できる枠組みや技術的手段の導入などについて、官民挙げて対象国に要請するなどし、その結果を取りまとめる。

(内閣官房、総務省、外務省、文部科学省、経済産業省)

4国際的な著作権制度の調和を推進する 大かっこP88]

 インターネット時代にふさわしい著作権制度の国際調和に向け、現在検討されている視聴覚的実演や放送機関に関する新条約の議論に積極的に貢献する。また、アジア諸国を中心に、「著作権に関する世界知的所有権機関条約」や「実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約」への早期加入を働き掛けるとともに、途上国における著作権制度の普及・整備を支援する。

(総務省、外務省、文部科学省)

(2)コンテンツ産業のグローバルなビジネス展開を促進する

2海外展開を支えるビジネス手法の確立を支援する 大かっこP88]
  • 1)国際市場におけるコンテンツビジネスを促進するため、製作段階における海外展開を前提とした契約を促し、そのための契約ルールや契約慣行の確立を支援する。

    (総務省、文部科学省、経済産業省)

3海外展開を目指すコンテンツ事業者を支援する 大かっこP89]
  • 1)事業者が海外展開を戦略的に進めることができるよう、JETRO等を通じて、海外の市場動向、政策動向、法制度、商慣習、海賊版被害実態、ビジネスの成功事例等の有用な情報をセミナーの開催やホームページでの公開等により提供するとともに、JETRO等の海外拠点における企業相談などを実施する。

    (総務省、外務省、文部科学省、経済産業省)

3.多様なメディアに対応したコンテンツの流通を促進する

(1)コンテンツの流通を拡大する法制度や契約ルールを整備する

1デジタルコンテンツの流通を促進する法制度等を整備する 大かっこP90]

 放送事業者と権利者団体間の契約ルールの策定やコンテンツ関連情報の集約化など2007年度中に一定の結論が得られた事項については実施に向けた取組を支援するとともに、権利処理の円滑化等のデジタルコンテンツの流通に関する課題や国際的枠組みについて引き続き検討を行い、最先端のデジタルコンテンツの流通を促進する法制度等を1年以内に整備し、クリエーターへの還元を進め、創作活動の活性化を図る。

(総務省、外務省、文部科学省、経済産業省)

2利用と保護のバランスに留意しつつ適正な国内制度を整備する 大かっこP90]
  • 1)コンテンツの利用を円滑化するため、次の事項について2008年度中に法的措置を講ずる。
    • a)権利者不明のコンテンツの利用を円滑に進めるための対策
    • b)違法複製されたコンテンツからの私的複製の許容範囲の見直し
    • c)障害者による著作物の利用促進のための権利制限規定の整備

     また、著作物のライセンシーの保護等の在り方、いわゆる間接侵害の明確化、法定損害賠償及び複数の権利者が関わるコンテンツに関する望ましい権利行使の在り方等について、2007年度の検討成果を踏まえてさらに検討を進め、2008年度中に結論を得る。

    (文部科学省)

  • 2)eラーニング推進のため、第三者が作成した著作物を学校の授業の過程で公衆送信により利用することについて、権利者・教育関係者間での権利処理の在り方などに係る教育関係者による具体的な提案を踏まえ、2008年度中に結論を得る。

    (文部科学省)

  • 3)医薬品等の製造販売業者が医薬品等の適正使用に必要な情報を医薬関係者へ提供することに関する著作権法上の課題について、国際的な状況、医療関係者の情報入手・情報提供システムの在り方、著作権の権利処理システムの整備状況等についての検討を踏まえ、2008年度中に結論を得る。

    (文部科学省、厚生労働省)

  • 4)著作物の保護期間の延長や戦時加算の取扱いなど保護期間の在り方について、保護と利用のバランスに留意した検討を行い、2008年度中に一定の結論を得る。

    (文部科学省)

3放送コンテンツの二次利用に関する契約締結を促進する 大かっこP91]

 2007年度に放送コンテンツの関係者間で合意された「放送番組における出演契約ガイドライン」が実際の制作現場において実効性を持って運用されるよう、関係業界における周知徹底を図るための取組を支援するとともに、マルチユースを進めるための関係者間の契約ルールづくりを促進する。

(総務省、文部科学省、経済産業省)

4私的録音録画補償金制度の見直しについて結論を得る 大かっこP91]

 2007年度における検討の成果を踏まえ、技術的保護手段の進展やコンテンツ流通の変化等を勘案しつつ見直しを進め、私的録音録画補償金制度の見直しについて2008年度中に結論を得る。

(文部科学省、経済産業省)

5技術革新のメリットを享受できるプロテクションシステムの採用を促す 大かっこP91]

 コンテンツの流通を促進するに当たり、技術革新のメリット・利便性を国民が最大限に享受できるようにするとの観点も踏まえ、視聴者利便の確保と著作権の適切な保護を図り、あわせてコンテンツビジネスが拡大するよう、バランスのとれたプロテクションシステムの策定・採用を促進するため、以下の取組を進める。

  • a)デジタル放送のコンテンツ保護に関するルール及びその担保手段の在り方について、権利者が安心してコンテンツを提供できる環境整備の観点や及びユーザーにとっての使いやすさへの配慮等を踏まえて検討を行い、2008年度中に一定の結論を得る。
  • b)民間事業者において動画配信サービス等のプロテクションシステムを検討する場合は、権利者が安心してコンテンツを提供できる環境や、ユーザーの使いやすさに配慮したルールの採用を奨励する。

(総務省、文部科学省、経済産業省)

6違法コンテンツ配信の根絶に向けた取組を推進する(再掲) 大かっこP92]
  • 1)2008年度から、Winny等のファイル共有ソフトを用いて著作権を侵害してファイル等を送信していた者に対し、警告メールを送付するなど電気通信事業者と権利者団体が連携した侵害行為を排除する仕組みづくりを支援する。

    (警察庁、総務省、文部科学省)

  • 3)コンテンツ提供事業者に対し、適法配信サイト識別マークの付与や違法コンテンツ排除のための技術的手段の活用を促す。

    (総務省、文部科学省、経済産業省)

(2)市場の透明性を確保し、取引機会を拡大する

1コンテンツ関連情報を集約化する 大かっこP93]

 今後整備が予定されている権利者情報に関するデータベース(「創作者団体ポータルサイト」)及び放送コンテンツの権利情報に関するデータベースやコンテンツの作品情報に関するデータベース(「ジャパン・コンテンツ・ショーケース」)の内容の充実に向けた取組を支援するとともに、これらのデータベースが一体として機能するよう、2008年度中に関係者の連絡協議の場を設置し、データベース運用主体間の連携を図る。

(内閣官房、総務省、文部科学省、経済産業省)

2ジャパン・コンテンツ・ショーケースを支援する 大かっこP93]

 登録件数が少ない分野への協力を呼び掛けるとともに、サイトの利用状況等を検証し、大手コンテンツホルダー以外の者からも登録を働き掛けるなどその運用の拡大やその国際化を支援する。

(総務省、文部科学省、経済産業省)

4弾力的な価格設定など事業者による柔軟なビジネス展開を奨励する 大かっこP94]

 消費者利益の向上を図る観点から、事業者による書籍・雑誌・音楽用CD等における非再販品の発行流通の拡大及び価格設定の多様化に向けた取組を奨励し、その実績を公表する。

(公正取引委員会、文部科学省、経済産業省)

(3)スピーディーな権利処理を実現するための環境を整備する

1集中管理を拡大する 大かっこP94]

 権利者に対し利用実態に応じた適正な利益を還元する著作権等管理事業者の取組を支援するとともに、権利委任者の拡大・対象となる権利の範囲拡大による集中管理事業の拡大を支援する。

(文部科学省)

2グローバルな流通に対応したコード付与を促進する 大かっこP94]

 コンテンツのグローバルな流通を促進するため、既存の国際標準化されたコンテンツIDの普及やコンテンツIDの新たなコード体系の策定・普及に向けた関係者の自主的な取組を促進する。

(総務省、文部科学省、経済産業省)

3音楽のネット配信に対応した権利処理を改善する 大かっこP94]

 音楽のネット配信市場の拡大に伴い急激に増加した権利処理手続が効率的に行われるよう、楽曲コードの付与作業や照合作業等に必要な作業を集中的に処理する第三者機関が2008年度中に設立されるよう支援する。

(総務省、文部科学省、経済産業省)

(4)国立国会図書館のデジタルアーカイブ化と図書館資料の利用を進める 大かっこP95]

 国立国会図書館において行われている貴重な図書等のデジタル化やインターネット情報資源等を収集保存し、ネット上で一般ユーザーの利用に供する取組について、その促進が図られるよう一層の連携を進める。
 このため、権利者の経済的利益や出版ビジネスとの関係を考慮しつつ、国立国会図書館における蔵書のデジタル化の推進に必要な法的措置を2008年度中に講ずるとともに、国立国会図書館と他の図書館等との連携や図書館等利用者への資料提供の在り方については、関係者間の協議を促進し、2008年度中に一定の結論を得る。

(文部科学省、関係府省)

4.世界中のクリエーターの目標となり得る創作環境を整備する

(3)一億総クリエーター時代に対応した創作活動を支援する

1ユーザーの自由な創作・発表の場の提供を促進する 大かっこP97]

 個人の創作の範囲を広げ優れたコンテンツの萌芽を育てるため、2008年から、例えば背景音楽等についてコンテンツを公表する場を提供するサービス事業者が権利者団体等との間であらかじめ包括的な契約を行うことのほか、効率的な権利処理を可能とする技術開発を進める等、個人の自由な創作を支援する自主的な取組を促進する。

(総務省、文部科学省)

2ネット上での意思表示システムを構築する 大かっこP97]

 インターネット上における著作物の自由な創作・発信を促すため、意思表示システムの改善普及を行うとともに、民間における活動を促進する。また、自由利用の範囲を超えた商業利用等に対する課金処理等の権利処理スキームの在り方についての関係業界の検討を促進する。

(総務省、文部科学省、経済産業省)