)閲覧
現行法では、図書館資料の原資料を閲覧させることについては、そもそも権利が及ばず、CDやDVDを館内視聴させることについては、非営利・無料の演奏、上映等として権利が制限されている(第38条第1項)。書籍等をデジタル化したものを端末機器の画面に映して閲覧させる場合も上映と同様に考えられ、権利者の許諾なく行うことができる。
また、国会図書館の東京本館、関西館、国際子ども図書館の間でデータを送信し、受信館において来館者に端末機器で視聴させるとすれば、それは公衆に対して直接受信させることを目的としたものではないと考えられるため公衆送信には当らず、(その過程に複製が介在しない、いわゆるストリーミング形式のようなものであれば)上記の上映と同様である。
なお、デジタル化された資料は、技術的には館内の複数の端末機器を用いて同時に複数の図書館利用者に対して閲覧させることもできる。そこで、デジタル化された資料は、原資料の代替物であると考えて、同時に同一のデジタル化された資料にアクセスができる人数は、国会図書館が所蔵する原資料の部数に限定する等の措置が考えられる。
)コピーサービス
現行法では、デジタル化された資料からのコピーサービスについても、原資料と同様に、図書館利用者の求めに応じ、その調査研究の用に供するために、公表された著作物の一部分の複製物を一人につき一部提供する場合には、権利者の許諾なく行うことができる。
なお、複製の方式については、実務上、書籍等の場合、紙への印刷によっているが、この点について規定上何らの限定もしておらず(注8)、デジタル化された資料からデジタル方式で複製物を作成して提供することについては、たとえ一部分であっても多様な目的での利用も可能になるという懸念が著作権者や出版者から示されている。このことについては、当面、関係者により具体的な解決策を協議することが適当である。
- (注8) 図書館資料として録音物が所蔵されている場合、著作物の一部分をテープに複製して提供することはあり得る。