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4契約利用ワーキングチーム

3 今後の検討

 これまでの検討に基づき、本ワーキングチームは、検討6項目について以下に示す方向でとりまとめを行うこととする。

 まず、著作権法と契約法の関係に関する、いわゆる契約による著作権法のオーバーライド問題に関しては、著作権法第30条以下の各制限規定の立法趣旨及び目的を踏まえつつ、本ワーキングチームにおいて引き続き検討し、立法による対応の必要性も含めて2007年を目途に結論を得る。

 第2に、著作権法第63条第2項の規定に定める、許諾に係る利用方法及び条件の範囲の解釈については、立法的対応の必要性は認められなかった。もともとこの問題は解釈問題でもあり、この領域における今後の判例及び学説の展開と蓄積を注視したい。

 第3に、著作権の譲渡契約の書面化については、契約自由の原則を採用する我が国の法体系の下で、直ちになんらかの立法的手当を正当化する緊急の必要性は認められなかった。もっとも、主要な先進国においては書面化を求める立法例が少なくないことから、渉外的な利用契約実務においては、書面が必須のものとなっている実態がある。また、国内における利用契約についても、書面による契約が常態化している取引領域も少なくないと思われることから、引き続き検討を行い、今後の方向性について判断することとしたい。

 第4に、著作権法第61条第1項に規定する、著作権等の一部譲渡における権利の細分化の限界の問題については、一部譲渡の禁止あるいは限界を示すべき立法上の対応をこの段階で行う必要性は認められなかった。
 この問題は、著作物等の利用許諾制度の在り方、さらにはこれと第三者対抗制度の在り方と密接に関係するところであり、他の知的財産制度における第三者対抗制度の議論の進展を踏まえつつ、ライセンシー保護の制度及び登録制度についての検討の中で、専用利用権制度を含む著作物の「利用権」に係る制度の創設も視野に入れた検討を行い、2007年を目途に結論を得るものとしたい。

 第5に、著作権法第61条第2項の規定については、積極的な存在理由に乏しく廃止の方向で検討を進めるが、この規定があることにより直ちに取引実態への混乱をもたらしているというものでもないことから、他の検討事項における結論が得られ、著作権法改正がなされる際にあわせて再度検討の上、最終的な立法措置について判断を行うものとする。

 最後に、利用契約における未知の利用方法の取り扱いであるが、契約全般に妥当する解釈原則による対応で当面足りるものと考える。この問題に関する裁判例において、契約全般に妥当する解釈原則では足りない法状況が認められれば、その段階で、著作権法においても特有な解釈規定を置くこと等について検討したい。


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