.デジタル対応ワーキングチーム
4.技術的保護手段の規定の見直しについて
(1) 問題の所在
近年のデジタル技術の発達・普及に伴い、高品質な違法複製や違法送信のおそれが高まっている。一方で、著作物等の複製等を技術的に防止する手段も開発・利用されている。このような環境の中、平成8(1996)年にWIPO新条約が採択され、「技術的手段(Technological Measures)」に関する規定が合意された。
我が国においても、WIPO新条約( 49)の採択を受けて、平成11(1999)年の著作権法改正において、「技術的保護手段」に関する規定が整備された。同改正法では、違法複製等を効果的に防止するため、技術的保護手段は著作権等を侵害する行為の防止又は抑止をする手段とし、その技術を、「機器が特定の反応をする信号」を「記録媒体に記録し、又は送信する方式」に限定している。技術的保護手段の回避に係る罰則についても、「専ら」技術的保護手段の回避を機能とする装置・プログラムの譲渡等に限定している。
しかしながら、コピーコントロール機能にアクセスコントロール機能を付加した技術など、著作物の違法な複製や流通を防止するための技術は進歩しており、立法当時の状況とは異なってきているため、現行著作権法の技術的保護手段に関する規定との適用関係を整理し、規定の見直しの必要性の有無について検討する必要がある。
(2) 課題に対する考察
「技術的保護手段」を巡る実態の変化
平成11(1999)年当時、技術的保護手段の対象であるコピーコントロールとしては、SCMS( 50)、CGMS( 51)、擬似シンクパルス方式( 52)が、一方、アクセスコントロールとしては、DVDなどに用いられているCSS( 53)が開発・利用されていた。これらの種類はごく少数であり、機能も限定されていた。
しかしながら、近年、これらの保護技術を組み合わせた技術が増加している。例えば、DVDにおいてCSSとCGMS等を重畳的に施したものや、DVD-Audioの保護技術であるCPPM( 54)、DVD-Recorderの保護技術であるCPRM( 55)、デジタルインターフェースの保護技術であるDTCP( 56)等が開発・利用されている。
以上のように、コピーコントロール機能にアクセスコントロール機能を付加するといった保護技術の複合化は、無反応機への対応や技術破りによる違法な著作物の流通等への対抗のために必要なものであり、このような保護技術の複合化は、今後さらに進むと考えられる。
( 49)著作権に関する世界知的所有権機関条約(WCT)、実演及びレコードに関する 世界知的所有権機関条約(WPPT)
( 50)Serial Copy Management System 音楽 CDなどに用いられている、デジタル方式の複製を一世代のみ可能とする技術
( 51)Copy Generation Management System 映画の DVDなどに用いられる、デジタル方式の複製を「複製禁止」「一世代のみ可能」「複製自由」の3通りに抑制する技術
( 52)いわゆるマクロビジョン方式(映画のビデオテープなどに用いられる、複製を しても鑑賞に堪えられないような乱れた画像とする技術)
( 53)Content Scramble Systemファイルデータを暗号化(スクランブル)し、暗号鍵を用いてスクランブルを解かなければ、再生を不可能とする技術暗号/復号鍵はライセンスを受けたライセンシ ーのみが利用できる
( 54)Content Protection for Prerecorded Media CSSを強化したもので、暗号システムの改良とハッキング対策が施されている
( 55)Content Protection for Recordable Media 記録・再生用の暗号化の仕組で、 CPPMの暗号システムをベースとしている
( 56)Digital Transmission Content Protection IEEE-1394等を使って接続した機器間で認証とデータの暗号化を行い、コンテンツの伝送を保護し、不正コピーを防止する技術CGMSと同様の複製制御情報機能もあり、複製の世代管理も可能
現行法制度の整理
現行制度上、著作物の保護技術については、著作権法と不正競争防止法により立法的措置がなされている。
著作権法では、著作権等を侵害する行為の防止又は抑止をする手段として技術的保護手段が規定されている(第2条第1項第20号)。また、私的使用を目的とする複製であっても、技術的保護手段の回避により可能となった複製を行うことは権利制限の例外とされる(第30条第1項第2号)。さらに、技術的保護手段の回避のための専用機能を有する装置・プログラムを公衆に譲渡等を行い、又は、公衆の求めに応じて業として技術的保護手段の回避を行った場合には、刑事罰が科せられる(第120条の2)。
したがって、現行著作権法では、コンテンツの無断複製を技術的に防ぐ手段(コピーコントロール)は技術的保護手段の対象となるが、放送のスクランブルなどコンテンツを暗号化し視聴を制限する手段(アクセスコントロール)は、視聴行為そのものはコンテンツの権利者に無断で行われたとしても「著作権等を侵害する行為」ではないので、技術的保護手段の対象外であると解されている。
一方、不正競争防止法では、「営業上用いられている技術的制限手段」の効果を妨げる機能を有する専用装置・プログラムの譲渡等を「不正競争」と規定し(第2条第1項第10号、第11号)、同行為に対する差止請求や損害賠償請求など民事的救済を定めている(第3条、第4条)。
不正競争防止法では、アクセスコントロール、コピーコントロールのいずれも「技術的制限手段」の対象となる。なお、この「不正競争」については、民事的救済は可能であるが、刑事罰の適用はない。
コピーコントロール |
回避を伴う私的複製 |
差止請求権
(民法上の損害賠償請求権) |
なし(第119条第1号括弧書き) |
なし |
なし |
回避専用装置等の「譲渡等」※ |
(民法上の損害賠償請求権) |
3年以下の懲役
300万円以下の罰金(併科も可) |
差止請求権
損害賠償請求権 |
なし |
アクセスコントロール |
回避を伴う私的複製 |
なし |
なし |
なし |
なし |
回避専用機器等の「譲渡等」※ |
なし |
なし |
差止請求権
損害賠償請求権 |
なし |
(※)「譲渡等」著作権法においては、専用装置・プログラムの公衆への譲渡・貸与、公衆譲渡等目的の製造・輸入・所持、公衆供与、公衆送信、送信可能化、回避サービスの提供(第120条の2)
不正競争防止法においては、専用装置・プログラムの譲渡、引渡し、譲渡等目的の展示、輸出、輸入、送信(第2条第1項第11号)
条約上の要請の検証
条約上の要請としては、WCT、WPPTにおいて、「許諾」が必要な著作物等について「技術的手段」の法的な保護及び救済について措置を講じることが求められているが、その内容については、各国が判断することができる。
したがって、少なくとも「著作権等の支分権」に関して「法的保護」することが条約上の要請を充たすものと解される。さらに、条約上の要請を充たした上で、「技術的保護手段」の範囲及びその規制の対象を拡大することは、条約上許容され、各国の判断に任されている。
各国の法制度
欧州においては、EU著作権ディレクティブにおいて、技術的手段(Technological Measures)は、著作権もしくは著作権に関連する権利、又はsui generis権の権利者により権限を与えられていない行為を防止し又は禁止するよう意図された技術、装置、又は部品を意味しており、「効果のある」(effective)技術的手段の回避に対して、適切な法的保護を与えることとしている。アクセスコントロール、暗号化、スクランブル掛け、その他の信号改変、コピーコントロールのような保護方法等によって、権利者により著作物の利用が制御される場合は「効果がある」とみなす( 57)とされており、アクセスコントロール等の技術が著作権等の保護に効果がある場合は、法的保護を与えるべきと考えられるが、その範囲は必ずしも明らかではない。この指令を受け、イギリス( 58)、ドイツ( 59)においては、同様の規定をおいている。
米国においては、「技術的手段を回避する」とは、「著作権者の許諾なく、スクランブルがかかっている著作物のスクランブルを解除し、暗号化された著作物の暗号を解除し、又はその他技術的手段を回避し、迂回し、除去し、無効にもしくは損壊すること」とされている( 60)。同法の趣旨として、スカイリンク事件( 61)判決においては、(「アクセス権」といった)新たな権利を創出するものではなく、回避装置が著作権法上禁止されている行為を可能としていることを証明しなければならないという判断が示されている。なお、DeCSS(CSSの解除プログラム)をインターネット上で配布した行為の違法性について争ったDeCSS事件においては、CSSについて、アクセスコントロールであり、かつコピー防止技術でもあるという判断を示している( 62)。
( 57)Directive 2001/29/EC of the European Parliament and of the Council of 22 May 2001 on the Harmonization of Certain Aspects of Copyright and Related Rights in the Information Society 第6条
( 58)英国 1988年著作権・意匠・特許法(CDPA)第296ZF条
( 59)ドイツ著作権法第95a条
( 60)米国著作権法第1201条(a)(3)(A)
( 61)Chamberlain Group, Inc. v. Skylink Techs., Inc. No.04-1118 (CAFC. 2004);1201条(a)は、「著作権を侵害する、もしくは侵害を助長するようなアクセスを可能にする場合にのみ、「回避」を禁ずるもので、そもそも、同法は、(独立した「アクセス権」といった)新たな財産権を創設する法律ではなく、財産(著作権)の保有者に対しそれを守る新たな方法を提供するもの、すなわち著作権侵害責任を問う新たな訴因を提供するものに過ぎない。この場合、回避(又は不正売買)を主張する原告は、被告によるアクセスが著作権者の許諾を受けていないことを証明しなければならない。」と判示した。
( 62)Universal City Studios, Inc. v. Reimerdes, 111 F. Supp. 2d 294(S.D.N.Y.2000);“CSS, or Content Scramble System, is an access control and copy prevention system for DVDs developed by the motion picture companies, including plaintiffs.”
(3)現行法の適用関係
現行の著作権法における「技術的保護手段」の「回避」に係る規制の範囲については、次の要件により対象が限定されている。
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定義(著作権法第2条第1項第20号) |
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・「電磁的方法」により、 |
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・著作権等を侵害する行為の防止又は抑止をする手段であって、 |
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・機器が特定の反応をする信号を、 |
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・音若しくは影像とともに、 |
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・記録媒体に記録し、又は送信する方式 |
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私的使用のための複製(著作権法第30条第1項第2号) |
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・回避(信号の除去又は改変) |
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罰則(著作権法第120条の2) |
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・回避を行うことを「専ら」その機能とする |
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・装置・プログラムの |
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・譲渡、貸与、製造、輸入、所持、公衆への提供、公衆送信、送信可能化 |
〜 の要件を充たし、現行著作権法において規制の対象になるものとして、SCMS、CGMS、擬似シンクパルス方式(マクロビジョン方式)といったコピーコントロールに対する回避専用装置・プログラムが挙げられる。
また、CPPM、CPRM、DTCP、VCPS等のコピーコントロール機能にアクセスコントロール機能を加えた技術に対する回避専用装置・プログラムについては、解体・分解して、コピーコントロールの回避以外に実用的な意味のある機能を持たない部分がある場合はその部分は回避専用装置等として、現行法においても著作権法第120条の2により、規制の対象となると考えられる。なお、コピーコントロールの回避を行う過程と、アクセスコントロールの回避を行う過程が不可分である場合は、回避装置・プログラムについても、コピーコントロールの回避を専用として行う部分とは認められないことも考えられ、規制が及ばないという考え方もできる。しかしながら、現在のところ、そのような回避専用装置・プログラムが出回る状況とはなっていない。
他方、CSS、CAS、HDCP等のアクセスコントロール機能のみの技術についてそれを回避する装置・プログラムに関しては、現行の著作権法における規制の対象とはならない。しかし、現在では、DVDビデオにおいて、CSSだけではなくCGMSやマクロビジョンを付加することで、コピーコントロール機能の付加を行っている例もある。そのような場合には、コピーコントロールの回避に関しては、著作権法における技術的保護手段の規制が及ぶと解すべきである。
(4)基本的な対応の必要性
デジタル化・ネットワーク化に伴う権利侵害の危険性の増大に対応し、著作権保護をより強固にするためにコピーコントロールとアクセスコントロールを重畳的に施すような技術の複合化が進められているが、コピーコントロールに対する現行著作権法の規制の範囲が技術の複合化による影響を受けるものではない。
ただし、リッピングソフトを用いて暗号を解除し、DVDの内容をPCに読み出すことによって、コピーコントロールを無効化する場合もあるため、アクセスコントロール技術そのものについても、結果的に複製を抑止する効果があるという観点から、回避装置等について著作権法の規制の対象とすべきという意見もあった。しかし、著作権法の支分権の対象ではない「単なる視聴行為」をコントロールする技術的手段の回避を制度的に防止することは、実質的には視聴等の行為に関する新たな権利の創設にも等しい効果をもたらすという意見もあり、著作権法の趣旨、不正競争防止法における民事的措置の実効性、国際的な議論の動向、技術・法律・契約が相互補完的に機能すべき領域等について十分な検討が必要である。
したがって、現時点では、現行著作権法の技術的保護手段に関する規定を直ちに改正すべきという結論には至らなかったが、今後も技術動向に注視しつつ引き続き慎重に検討し、平成19(2007)年を目途に結論を得るべきものとした。
【参照条文】
1.機器利用時・通信過程における一時的固定
○著作権法(昭和45年法律第48号)(抄)
(定義)
第2条
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
十五 複製 印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製することをいい、次に掲げるものについては、それぞれ次に掲げる行為を含むものとする。
(以下省略)
○情報社会における著作権および関連権の一定の側面のハーモナイゼーションに関する欧州議会およびEU理事会のディレクティブ2001/29/EC(抄)
【(社団法人著作権情報センター、2001年)〔原田文夫 訳〕37、39、41頁】
第2条 複製権
加盟国は、次のものに関し、その全体または一部を、あらゆる手段および形式により、直接または間接、一時的または恒久的に複製することを許諾しまたは禁止する排他的権利を規定しなければならない。
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(a) |
著作者について、その著作物 |
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(b) |
実演家について、その実演の固定物 |
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(c) |
レコード製作者について、そのレコード |
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(d) |
映画の最初の固定物の製作者について、その映画の原作品および複製物 |
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(e) |
放送機関について、ケーブルまたは衛星によるものを含み、有線または無線により送信されるその放送の固定物 |
第5条 例外および制限
1. |
過渡的または付随的で、技術的プロセスの不可欠で主要な部分であり、かつ、著作物その他の目的物に行われるもっぱら次のことを可能にするための第2条に掲げる一時的複製行為で、独自の経済的重要性を持たないものは、第2条に規定する複製権から免除されるものとする。 |
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(a) |
媒介者による第三者間のネットワークにおける送信、または、 |
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(b) |
適法な使用 |
○イギリス著作権法(1988年の著作権、意匠及び特許法)(抄)(2003年改正法 事務局仮訳)
第28A条 コンピュータプログラム若しくはデータベースを除く言語著作物の著作権、又は演劇著作物、音楽著作物若しくは美術著作物、発行された版の組版面、録音物若しくは映画の著作権は、過渡的又は付随的な一時的複製であり、技術的過程の切り離すことのできない不可欠な部分を構成し、以下を可能とすることのみを目的とし、かつ独立した経済的重要性を有さないものによっては、侵害されないものとする。
(a)ネットワークにおいて仲介者により行われる第三者間での著作物の伝送
(b)著作物の合法的な使用
○ドイツ著作権法(1965年9月5日の著作権及び著作隣接権に関する法律)(抄)(2003年改正法 事務局仮訳)
第44a条 一時的複製行為
次のような一時的複製行為は許容される。
過渡的もしくは付随的であり、また技術的過程の不可欠かつ主要な部分であり、またその唯一の目的が、著作物もしくはその他の保護目的の
1. 仲介者を通じたネットワーク上での第三者間の伝送、または
2. 適法な利用
を可能にするものであり、かつ独立した経済的重要性を持たないもの
○イタリア著作権法(著作権とその行使に関する諸権利の保護に関する法律(1941年4月22日の法律第633号)(抄)(2003年改正法 事務局仮訳)
第68条の2
1.電子商取引を規定する法律に記載されている仲介を行うサービスプロバイダの法的責任に関する条項に抵触しなければ、独自の経済的重要性を持たず、過渡的または付随的で、技術的プロセスの不可欠で主要な部分であり、もっぱら媒介者による第三者間のネットワークにおける送信、または著作物その他の目的物の適法な使用を可能とすることをその目的とする一時的複製行為は複製権から免除する。
○アメリカ合衆国著作権法(合衆国法典表題17)(抄)
【『外国著作権法令集(29)−アメリカ編−』(社団法人著作権情報センター、2000年)〔山本隆司 増田雅子 共訳〕(1999年改正)2〜3頁、89〜90頁、160〜174頁】
第101条 定義
本編において、以下の用語およびその活用形は、本編に別段の定めある場合を除きそれぞれ以下の意味を有する。
「コピー」とは、現在知られている方法または将来開発される方法によって著作物を固定した有体物(レコードを除く)であって、これにより当該著作物を直接または機械もしくは装置を使用して覚知し、複製しまたは伝達することができるものをいう。「コピー」には著作物を最初に固定した有体物(レコードを除く)を含む。
著作物は、著作者がまたはその許諾を得て、通過的期間以上の期間にわたって著作物を覚知し、複製し、または伝達することが可能な程度に永続的または安定的に、著作物をコピーまたはレコードに収録したときに、有形的表現媒体に「固定」される。本編において、送信される音声、映像またはその両者からなる著作物は、送信と同時に固定されている場合には「固定」されている。
第117条 排他的権利の制限:コンピュータ・プログラム
(a) |
コピーの所有者による追加的コピーまたは翻案物の作成−第106条の規定にかかわらず、コンピュータ・プログラムのコピーの所有者が、当該コンピュータ・プログラムの新たなコピーまたは翻案物を作成しまたはこれを許諾することは、以下の場合には侵害とならない。 |
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(1) |
かかる新たなコピーもしくは翻案物が、機械によるコンピュータ・プログラムの利用に不可欠な段階として作成され、かつ、他の方法では一切使用されない場合、または |
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(2) |
かかる新たなコピーもしくは翻案物が、資料保存目的のみのものであり、かつ、コンピュータ・プログラムの占有を継続することが適法でなくなった場合には全ての保存用コピーが廃棄される場合。 |
(b) |
追加的コピーまたは翻案物の貸与、販売その他の移転−本条の規定に従って作成されたいかなる正確なコピーも、その元になったコピーと共に、当該プログラムに対する全ての権利の貸与、販売その他の移転の一部としてのみ、これを貸与し、販売しその他移転することができる。同様に作成された翻案物は、著作権者の許諾がある場合にのみ移転することができる。 |
第512条 オンライン素材に関する責任の制限
(a) |
通過的デジタル・ネットワーク通信−サービス・プロバイダが管理しもしくは運営するシステムまたはネットワークを通じて素材を送信し、転送しもしくは接続を提供したことによって、または、送信、転送もしくは接続の提供の過程で素材を中間的かつ一時的に蓄積したことによって、著作権の侵害を生じた場合、当該サービス・プロバイダは、以下の全ての条件をみたす場合には、著作権の侵害に関して金銭的救済または第(j)節に定める場合を除き差止命令その他の衡平法上の救済について責任を負わない。 |
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(1) |
素材の送信が、当該サービス・プロバイダ以外の者によってまたはその者の指示によって開始されたこと。 |
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(2) |
送信、転送、接続の提供または蓄積が、当該サービス・プロバイダによる素材の選択なく自動的な技術的プロセスによって行われること。 |
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(3) |
当該サービス・プロバイダが、他の者の求めに対する自動的な応答の場合を除き、素材の受信者を選択しないこと。 |
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(4) |
当該サービス・プロバイダが中間的または一時的な蓄積の過程において作成する素材のコピーが、予定される受信者以外の者が通常アクセス可能な方法ではシステムまたはネットワーク上に保存されておらず、かつ、予定される受信者が送信、転送または接続の提供に合理的に必要な時間以上に通常アクセス可能な方法でシステムまたはネットワーク上に保存されていないこと。 |
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(5) |
素材の内容が改変されることなくシステムまたはネットワークを通じて送信されること。 |
(b) |
システム・キャッシングー |
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(1) |
責任の制限−サービス・プロバイダが管理しまたは運営するシステムまたはネットワーク上に素材を中間的かつ一時的に蓄積したことによって、著作権の侵害を生じた場合、当該サービス・プロバイダは、以下の全ての条件をみたし、かつ、第(2)項に定める条件をみたす場合には、著作権の侵害に関して金銭的救済または第(j)節に定める場合を除き差止命令その他の衡平法上の救済について責任を負わない。 |
|
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(A) |
当該サービス・プロバイダ以外の者が、素材をオンラインで提供すること。 |
(B) |
第(A)号に掲げる者以外の者の指示によってこの者に対して、第(A)号に掲げる者から当該システムまたはネットワークを通じて、素材が送信されること。 |
(C) |
第(B)号に掲げるとおり素材が送信された後に、第(A)号に掲げる者からの素材へのアクセスを求める当該システムまたはネットワークの使用者に対して素材を提供するために、自動的な技術的プロセスを通じて蓄積が行われること。 |
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(2) |
条件−第(1)項に掲げる条件とは以下の全てをいう。 |
|
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(A) |
第(1)項(A)に掲げる者から素材が送信された方法ないし内容が改変されることなく、第(1)項に掲げる素材が、第(1)項(C)に掲げるその後の使用者に対して送信されること。 |
(B) |
素材をオンラインに提供する者が素材を提供するシステムまたはネットワークにおいて広く認められた業界標準データ通信プロトコルに従って素材を特定する場合に、第(1)項に掲げるサービス・プロバイダが素材のリフレッシュ、リロードその他更新に関する規定に従うこと。ただし、本号は、第(1)項(A)に掲げる者が本項の適用を受ける中間的な蓄積を妨害しまたは不合理に阻害するために上記規定を使用しない場合にのみ適用される。 |
(C) |
第(1)項(C)に掲げるその後の使用者が第(1)項(A)に掲げる者から直接素材を取得したならば当該者に入手可能となるはずの情報を当該者に対して返信する技術が素材に結合されている場合において、サービス・プロバイダがかかる技術の機能を阻害しないこと。ただし、本号は、当該技術が以下の条件をみたす場合にのみ適用される。 |
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( ) |
当該技術が、当該プロバイダのシステムもしくはネットワークの機能または素材の中間的な蓄積を著しく阻害しないこと。 |
( ) |
当該技術が、広く認められた業界標準通信プロトコルに合致すること。 |
( ) |
当該技術が、当該プロバイダのシステムまたはネットワークから、第(1)項(A)に掲げる者からその後の使用者が直接素材へのアクセスを得た場合に当該者に入手可能となる情報以外の情報を引き出すものでないこと。 |
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(D) |
第(1)項(A)に掲げる者が、料金の支払またはパスワードその他の情報の提供を条件とする等、素材へのアクセスを行う前に事実上条件を課す場合、サービス・プロバイダがそのシステムまたはネットワークの使用者のうちかかる条件をみたす者にのみ、かつ、かかる条件に従ってのみ、蓄積された素材の重要な部分へのアクセスを認めること。 |
(E) |
第(1)項(A)に掲げる者が素材の著作権者の許諾なく素材をオンラインに提供する場合、サービス・プロバイダが第(c)節(3)に定める著作権侵害主張の通知を受けて、侵害にあたるとされる素材を除去しまたはアクセスを解除すべく速やかに対応すること。ただし、本号は、以下の条件をみたす場合にのみ適用される。 |
|
( ) |
当該素材が前に発信サイトから除去されもしくはアクセスが解除されていること、または、裁判所が素材を発信サイトから除去しもしくはアクセスを解除することを命じていること、および |
( ) |
通知を行う者が、素材が前に発信サイトから除去されもしくはアクセスを解除されていることまたは裁判所が素材を発信サイトから除去しもしくはアクセスを解除することを命じていることを確認する陳述を当該通知に記載していること。 |
|
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(c)〜(n)(略) |
2.デジタル機器の保守・修理時における一時的固定
○アメリカ合衆国著作権法(合衆国法典表題17)(抄)
【『外国著作権法令集(29)―アメリカ編―』(社団法人著作権情報センター、2000年)〔山本隆司 増田雅子 共訳〕(1999年改正法)90頁】
第117条 排他的権利の制限:コンピュータ・プログラム
(c) |
機械の保守または修理−第106条の規定にかかわらず、機械の所有者または借主がコンピュータ・プログラムのコピーを作成しまたは作成させることは、当該機械の保守または修理のみを目的とし、当該コンピュータ・プログラムの適法なコピーを合法的に含む機械の作動によってのみ作成される場合であって、かつ、以下の条件を全てみたす場合には、侵害とはならない。 |
|
(1) |
新たなコピーが他のいかなる方法でも使用されず、かつ、保守または修理の完了後直ちに廃棄されること。 |
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(2) |
当該機械が作動するために必要でないコンピュータ・プログラムまたはその一部に関しては、当該プログラムまたはその一部が、当該機械の作動によって新たなコピーを作成する以外にアクセスされまたは使用されないこと。 |
(d) |
定義−本条において− |
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(1) |
機械の「保守」とは、当初の仕様および当該機械につき許諾を受けた仕様への変更に従って機械を機能させるために調整することをいう。 |
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(2) |
機械の「修理」とは、当初の仕様および当該機械につき許諾を受けた仕様への変更に従って機械の機能を復元することをいう。 |
○ドイツ著作権法(1965年9月5日の著作権及び著作隣接権に関する法律)(抄)(2003年改正法 事務局仮訳)
第56条 事業体における複製および公衆への提示
1 |
録画媒体もしくは録音媒体の製作または再生、無線送信の受信または電子的データ処理に用いられる器具が販売もしくは修理される事業体においては、録画媒体、録音媒体もしくはデータ記憶媒体への著作物の収録、録画媒体、録音媒体もしくはデータ記憶媒体を用いた著作物の公衆への知覚可能化ならびに無線送信の公衆への知覚可能化および著作物を公衆に使用可能にすることは許容される。ただしこれは、これらの器具を顧客に展示し、もしくは修理する必要がある場合に限られる。 |
2 |
第1項の規定に従って製作された録画媒体、録音媒体もしくはデータ記憶媒体は、遅滞なく、これを消去しなければならない。 |
3.技術的保護手段の規定の見直し
○著作権法(昭和45年法律第48号)(抄)
(定義)
第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
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二十 |
技術的保護手段 電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法(次号において「電磁的方法」という。)により、第17条第1項に規定する著作者人格権若しくは著作権又は第89条第1項に規定する実演家人格権若しくは同条第6項に規定する著作隣接権(以下この号において「著作権等」という。)を侵害する行為の防止又は抑止(著作権等を侵害する行為の結果に著しい障害を生じさせることによる当該行為の抑止をいう。第30条第1項第2号において同じ。)をする手段(著作権等を有する者の意思に基づくことなく用いられているものを除く。)であつて、著作物、実演、レコード、放送又は有線放送(次号において「著作物等」という。)の利用(著作者又は実演家の同意を得ないで行つたとしたならば著作者人格権又は実演家人格権の侵害となるべき行為を含む。)に際しこれに用いられる機器が特定の反応をする信号を著作物、実演、レコード又は放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像とともに記録媒体に記録し、又は送信する方式によるものをいう。 |
(私的使用のための複製)
第30条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
一(略) |
|
二 |
技術的保護手段の回避(技術的保護手段に用いられている信号の除去又は改変(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約による除去又は改変を除く。)を行うことにより、当該技術的保護手段によつて防止される行為を可能とし、又は当該技術的保護手段によつて抑止される行為の結果に障害を生じないようにすることをいう。第120条の2第1号及び第2号において同じ。)により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合 |
2(略) |
第120条の2
次の各号のいずれかに該当するものは、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 |
技術的保護手段の回避を行うことを専らその機能とする装置(当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものを含む。)若しくは技術的保護手段の回避を行うことを専らその機能とするプログラムの複製物を公衆に譲渡し、若しくは貸与し、公衆への譲渡若しくは貸与の目的をもって製造し、輸入し、若しくは所持し、若しくは公衆の使用に供し、又は当該プログラムを公衆送信し、若しくは送信可能化した者 |
二 |
業として公衆からの求めに応じて技術的保護手段の回避を行った者 |
三 |
(略) |
○不正競争防止法(平成5年法律第47号)(抄)
(定義)
第2条 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
|
十 |
営業上用いられている技術的制限手段(他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録をさせないために用いているものを除く。)により制限されている影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能のみを有する装置(当該装置を組み込んだ機器を含む。)若しくは当該機能のみを有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、又は当該機能のみを有するプログラムを電気通信回線を通じて提供する行為 |
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十一 |
他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録をさせないために営業上用いている技術的制限手段により制限されている影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能のみを有する装置(当該装置を組み込んだ機器を含む。)若しくは当該機能のみを有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を当該特定の者以外の者に譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、又は当該機能のみを有するプログラムを電気通信回線を通じて提供する行為 |
5 |
この法律において「技術的制限手段」とは、電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。)により影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録を制限する手段であって、視聴等機器(影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録のために用いられる機器をいう。以下同じ。)が特定の反応をする信号を影像、音若しくはプログラムとともに記録媒体に記録し、若しくは送信する方式又は視聴等機器が特定の変換を必要とするよう影像、音若しくはプログラムを変換して記録媒体に記録し、若しくは送信する方式によるものをいう。 |
(差止請求権)
第3条 不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 |
不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(侵害の行為により生じた物を含む。第5条第1項において同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができる。 |
(損害賠償)
第4条 故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、第8条の規定により同条に規定する権利が消滅した後にその営業秘密を使用する行為によって生じた損害については、この限りでない。
(適用除外等)
第12条 第3条から第8条まで、第14条(第1項第7号に係る部分を除く。)及び第15条の規定は、次の各号に掲げる不正競争の区分に応じて当該各号に定める行為については、適用しない。
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七 |
第2条第1項第10号及び第11号に掲げる不正競争 技術的制限手段の試験又は研究のために用いられる第2条第1項第10号及び第11号に規定する装置若しくはこれらの号に規定するプログラムを記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、又は当該プログラムを電気通信回線を通じて提供する行為 |
○著作権に関する世界知的所有権機関条約(抄)
第11条 技術的手段に関する義務
締約国は、著作者によつて許諾されておらず、かつ、法令で許容されていない行為がその著作物について実行されることを抑制するための効果的な技術的手段であつて、この条約又はベルヌ条約に基づく権利の行使に関連して当該著作者が用いるものに関し、そのような技術的手段の回避を防ぐための適当な法的保護及び効果的な法的救済について定める。
○実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約(抄)
第18条 技術的手段に関する義務
締約国は、実演家又はレコード製作者によって許諾されておらず、かつ、法令で許容されていない行為がその実演又はレコードについて実行されることを抑制するための効果的な技術的手段であって、この条約に基づく権利の行使に関連して当該実演家又はレコード製作者が用いるものに関し、そのような技術的手段の回避を防ぐための適当な法的保護及び効果的な法的救済について定める。
○情報社会における著作権および関連権の一定の側面のハーモナイゼーションに関する欧州議会およびEU理事会のディレクティブ2001/29/EC(抄)
【(社団法人著作権情報センター、2001年)〔原田文夫 訳〕47、49頁】
第6条 技術的手段に関する義務
1. |
加盟国は、関係する者が、その目的のためであることを知り、又は知るべき合理的な理由を有しながら行う、いずれかの効果のある技術的手段の回避に対して、適切な法的保護を与えるものとする。 |
2. |
加盟国は、次のものの製造、輸入、頒布、販売、貸与、販売若しくは貸与のための宣伝、又は装置、製品若しくは部品の商業目的の所持に対して、適切な法的保護を与えるものとする。 |
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(a) |
いずれかの効果がある技術的手段の回避の目的で宣伝され、広告され又は市場化されるもの、または、 |
|
(b) |
いずれかの効果がある技術的手段を回避する以外に商業的に重要な目的又は用途をもたないもの、
または、 |
|
(c) |
主としていずれかの効果がある技術的手段の回避を可能にし又は容易にする目的で設計され、制作され、調整され又は使用されるもの |
3. |
本ディレクティブの適用上、「技術的手段」という表現は、法律に規定されたいずれかの著作権若しくは著作権に関連する権利、またはディレクティブ96/9/EC第3章に規定されたsui generis権の権利者により権限を与えられていない、著作物その他の目的物に関する行為を、その通常の稼動において防止し又は禁止するよう意図されたいずれかの技術、装置又は部品を意味する。技術的手段は、アクセスコントロールもしくは暗号化、スクランブルがけのような保護方法又はその他の保護の目的を達成する著作物その他の目的物の変形の応用によって、保護のある著作物その他の目的物の利用が権利者により制御される場合は、「効果がある」とみなされる。 |
○イギリス著作権法(1988年の著作権、意匠及び特許法)(抄)(2003年改正法 事務局仮訳)
(複製防止を回避するための装置)
第296条
1 |
本条は以下の場合に適用される。 |
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(a) |
技術的装置がコンピュータプログラムに適用される場合、 及び |
|
(b) |
侵害複製物を作成するために利用されることを知り、又知るべき理由を有している者(A)が、 |
|
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( ) |
専ら技術的装置の無許諾の除去又は回避を容易にすることを目的とする方法を、販売若しくは貸与のための製造、頒布、販売、または貸与、販売若しくは貸与のための提供または陳列、販売若しくは貸与のための宣伝、又は商業目的の所持を行う場合
|
|
|
( ) |
技術的装置の除去又は回避を可能にし、又は補助することを目的とした情報を公表すること |
2 |
著作権侵害の観点から、以下の者は、Aに対し著作権者と同様の権利を有する。 |
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(a) |
技術的装置が適用されているコンピュータプログラムを |
|
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( ) |
その複製物を公に発行又は、 |
|
|
( ) |
公衆に伝達する者 |
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(b) |
(a)項で特定されない著作権者又はその排他的被許諾者 |
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(c) |
コンピュータプログラムに適用された技術的装置の知的財産権所有者又はその排他的被許諾者 |
3 |
(略) |
4 |
さらに、第2項に規定される者は、著作権者が侵害複製物に関して有するのと同様、コンピュータプログラムに適用している技術的装置の無許諾の除去又は回避を容易にするために使用する意図をもってある者が所有し、保管し、又は管理する第1項に規定するいずれかの手段に関し、第99条又は第100条(当該物品の引渡し及び押収)に基づく権利を有する。 |
5〜8(略) |
第296ZB条
1 |
以下の行為を行う者は、罪を犯す。
専ら効果的な技術的手段の回避を可能にし、又は容易にする目的で設計され、製造され、適用された装置、製品又は部品を |
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(a) |
販売又は貸与目的で製造し、 |
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(b) |
私的又は家庭内での使用以外の目的で輸入し、 |
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(c) |
商業の過程で、 |
|
|
( ) 販売又は貸与し、 |
|
|
( ) 販売又は貸与の目的で提供又は陳列し、 |
|
|
( ) 販売又は貸与の目的で宣伝し、 |
|
|
( ) 所持し、 |
|
|
( ) 頒布し、又は |
|
(d) |
商業以外の過程において、著作権者に不利益な影響を与える程度頒布する行為。 |
第296ZD条
1 |
本条は以下の場合に適用される。 |
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(a) |
効果的な技術的手段がコンピュータプログラム以外の著作物に適用され、かつ、 |
|
(b) |
ある人物(C)が、当該手段の |
|
|
( ) 回避するために促進し、宣伝し、又は市場に流通し、 |
|
|
( ) 回避以外の限定された商業的に重要な目的又は利用方法のみを有し、又は |
|
|
( ) 専ら回避を可能にし、又は容易にする目的で設計、製造、適用又は実演された |
|
|
装置、製品又は部品を製造し、輸入し、頒布し、販売し、貸与し、販売又は貸与目的で提供又は陳列し、又は商業目的で所持し、又はサービスを提供する場合 |
2 |
以下の者は著作権者が著作権侵害に関して有するのと同様の権利をCに対して有する。 |
|
(a) |
効果的な技術的手段が適用される著作物 |
|
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( ) の複製物を公に公表し、又は |
|
|
( ) 公衆に伝達する者 |
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(b) |
(a)項で特定されない著作権者又は排他的許諾を得た者 |
|
(c) |
著作物に適用された効果的な技術的手段における知的財産権の所有者又は排他的許諾を得た者 |
4 |
さらに、第2項に規定される者は、著作権者が侵害複製物に関して有するのと同様、効果的な技術的手段を回避するために利用されることを目的として所持、管理又は制御する装置、製品又は部品に関し、第99条又は第100条(当該物品の引渡し及び押収)に基づく権利を有する。 |
5〜9(略) |
第296ZF条
1 |
296ZA条から296ZE条において、「技術的手段」とは、その通常の操作の過程において、コンピュータプログラム以外の著作物を保護するために設計された技術、装置又は部品をいう。 |
2 |
著作物の利用が意図的な保護を達成するための以下の行為を通じて著作権者により制御されている場合、当該手段は「効果的」である。 |
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(a) |
暗号化、スクランブルその他著作物の変形といったアクセスコントロール又はプロテクションプロセス |
|
(b) |
コピーコントロールメカニズム |
3 |
本条において、 |
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(a) |
著作物の保護とは、著作権者により許諾されず、著作権により制限されている行為の防止又は制限をいう。 |
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(b) |
著作物の利用は、著作権により制限される行為の範囲外の著作物の利用に拡大されない。 |
4 |
本法第1章の目的で定義された296ZA条から296ZE条において用いられる表現は当該章と同様の意味を有する。 |
○ドイツ著作権法(1965年9月5日の著作権及び著作隣接権に関する法律)(抄)(2003年改正法 事務局仮訳)
第95a条 技術的措置の保護
1 |
この法律によって保護されている著作物もしくはこの法律によって保護されているその他の保護目的の保護のために有効な技術的措置は、権利者の同意がない限り、これを解除してはならない。ただしこれは、そのような著作物もしくは保護目的へのアクセス又はそれらの利用を可能にするために解除が行われることを行為者が知っている場合、もしくは状況に基づいて知っているはずである場合に限られる。 |
2 |
この法律の意味における技術的措置とは、保護されている著作物もしくはこの法律によって保護されているその他の保護目的に影響を及ぼす、権利者によって許可されていない行為の防止もしくは制限のために通常の運営において用いられることが定められているテクノロジー、装置及び部品をいう。技術的措置は、それによって、保護されている著作物もしくはこの法律によって保護されているその他の保護目的の権利者による利用が、保護目的の達成を保証する物理的アクセスコントロール、暗号化、歪曲もしくはその他の変換のような保護機構又は複製を制御するための機構を通じて管理されている場合に有効であるとされる。 |
3 |
次のような装置、製品若しくは部品の製造、輸入、頒布、販売、使用賃貸、販売、若しくは使用賃貸に関する宣伝及び営利目的に役立つ占有並びにサービスの提供は禁じられる。 |
|
(1) |
有効な技術的措置の解除を目的とした販売促進、宣伝もしくは販売活動の対象であるもの |
|
(2) |
有効な技術的措置の解除以外に、限定的な経済的目的を一つしか有しないもの |
|
(3) |
技術的措置の解除を可能若しくは容易にするために、特に設計され、製造され、調整され、若しくは提供されるもの |
4 |
公共の安全若しくは刑事司法の保護を目的とした公共機関の任務及び権限は、第1項及び第3項の禁止による影響を受けない。 |
○アメリカ合衆国著作権法(合衆国法典表題17)(抄)
【『外国著作権法令集(29)―アメリカ編―』(社団法人著作権情報センター、2000年)〔山本隆司 増田雅子 共訳〕(1999年改正法)236〜250頁】
第1201条 著作権保護システムの回避
(a) |
技術的手段の回避にかかる違反− |
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(1) |
(A)何人も、本編に基づき保護される著作物へのアクセスを効果的にコントロールする技術的手段を回避してはならない。第1段に掲げる禁止は、本章の制定日に始まる2年間の終了時に発効する。 |
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(2) |
何人も、以下のいずれかに該当するいかなる技術、製品、サービス、装置、部品またはそれらの一部分を製造し、輸入し、公衆に提供し、供給しまたはその他の取引を行ってはならない。 |
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(A) |
主として、本編に基づき保護される著作物へのアクセスを効果的にコントロールする技術的手段を回避することを目的として設計されまたは製造されるもの。 |
|
|
(B) |
本編に基づき保護される著作物へのアクセスを効果的にコントロールする技術的手段を回避する以外には、商業的に限られた目的または用法しか有しないもの。 |
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(C) |
本編に基づき保護される著作物へのアクセスを効果的にコントロールする技術的手段を回避するために使用することを知っている者またはこれに協力する者によって販売されるもの。 |
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(3) |
本節において− |
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(A) |
「技術的手段を回避する」とは、著作権者の許諾なく、スクランブルがかかっている著作物のスクランブルを解除し、暗号化された著作物の暗号を解除し、またはその他技術的手段を回避し、迂回し、除去し、無効にしもしくは損壊することをいう。 |
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(B) |
技術的手段が「著作物へのアクセスを効果的にコントロールする」とは、当該技術的手段がその動作の通常の過程において著作物へのアクセスを行うには、著作権者の許諾を得て情報を入力しまたは手続もしくは処理を行うことを必要とする場合をいう。 |
(b) |
補足的違反行為−(1)何人も、以下のいずれかに該当するいかなる技術、製品、サービス、装置、部品またはそれらの一部を製造し、輸入し、公衆に提供し、供給しまたはその他の取引を行ってはならない。 |
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(A) |
主として、著作物またはその一部分に対する本編に基づく著作権者の権利を効果的に保護する技術的手段により施される保護を回避することを目的として設計されまたは製造されるもの。 |
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(B) |
著作物またはその一部に対する本編に基づく著作権者の権利を効果的に保護する技術的手段により施される保護を回避する以外には、商業的に限られた目的または用法しか有しないもの。 |
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(C) |
著作物またはその一部に対する本編に基づく著作権者の権利を効果的に保護する技術的手段により施される保護を回避するために使用することを知っている者またはこれに協力する者によって販売されるもの。 |
|
(2) |
本節において− |
|
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(A) |
「技術的手段により施される保護を回避する」とは、技術的手段を回避し、迂回し、除去し、無効にしまたはその他損壊することをいう。 |
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(B) |
技術的手段が「本編に基づく著作権者の権利を効果的に保護する」とは、当該技術的手段がその動作の通常の過程において、本編に基づく著作権者の権利の行使を妨害し、限定しまたはその他制限する場合をいう。 |
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