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現実に映画の著作物と他の著作物との間には、保護期間のギャップがある。そのため20年の延長を要望することは、合理的な範囲内だと思うので提案に賛成である。
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映画監督の立場としては、きちんとした原版から、きちんとした絵と音を複製することを望んでいるが、保護期間の切れた状態になると映画作品の一場面を部分的に利用したり、切り刻んだりとするのではないかとの危惧がある。結論としては、保護期間を延長することに賛成する。また、映画の著作者が監督だということで合意できれば、保護期間の起算点を著作者の死後にすることも考えられるのではないか。
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今回の70年の要請について、同一性保持権を理由とする要望でないことを明確にする必要がある。むしろ、この要請によりどれだけの経済的利益が著作権者に帰属するのかを教えていただきたい。またその経済的利益をどのように使って映画産業を振興していくかのビジョンを示すことも必要である。そのためには3つの論点あげられる。1つは新しい映画人をどのように育てるかである。2つめは、古い著作物についての保護には、どれだけの費用が必要で、具体的施策としては何をするのかを示すことである。3つめは、ブロードバンド時代において、他の産業に影響が与えないかである。これら3つの論点についての考え方を示しておくことが、映画産業の復興だけでなく、映画だけを特別に70年に延長する措置の合理的な理由にもなると思う。
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映画の著作物と他の著作物との間で不均衡が生じているのは事実であり、基本的にはこの要望は妥当な要望でないか。
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「映画の著作物」と言えば、これまで映画会社が映画館で上映をするものを主に想定して公表後50年としていたが、「映画の著作物」の定義自体が今後いろいろな可能性を持っていることを考えると、他の著作物と同様の保護期間にしておく方が今後の新しいメディアの出現に対応できると思う。したがって、公表後70年とすることにより、今、不公平な状態を直しておいた方が妥当だと思う。
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映像ソフト協会として、ビデオの現場のことを申し上げると、いわゆる映画というのは、レコード店、レンタル店にただ並べるだけで売れたり借りられたりするわけではない。その作品についての説明、解説などを十分した上で、お客さんに見てもらっている。したがってそのような文化の振興に役立つような作品は、製作をした著作権者が正しく情報を伝え、資本も投下して文化の振興をしている。既にパブリックドメインのビデオを集めて販売している方もいるが、その商品は決して多くは見られない。映画人の育成の問題については、別途「映画の振興に関する懇談会」で検討している。
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映画が他の著作物と保護期間が不公平であることを理由に、70年に延長してほしいとの提案に差し支えないが、映画の保護期間だけを最終的に延長するにしても、他の保護期間との関係でリーズナブルなのかということは考える必要がある。また、著作権の保護期間が延長することで得られる利益がどう使われるかについて、この審議会で検討するのが良いのか否かという問題もある。
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著作権法は私権であるから著作権を持っている者が利益を得るのは当然であるが、それをどう使うかは自由であって、保護期間の延長をする際にその利益をどう使うかということを判断材料とすべきではない。権利の帰属を議論するならともかく、保護期間の延長を議論するのであれば、そこから生ずる利益が文化の振興に寄与するという前提で議論すべきである。
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得た利益について自由に任せればよいという意見はその通りだと思う。ただなぜ映画だけに保護期間の延長が必要なのかは、映画産業自体の問題としてあるのではないかということを考えていただきたい。
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現状では、他の著作物と差異があるのが一番の問題であるので、その差異を埋めるという論点はある。また映画人の育成などの映画産業の基盤強化といった観点から様々な議論はあるかと思うが、保護期間の延長には反対しない。
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保護期間の問題は、前回から引き続き議論がされてきたわけだが、保護期間の実質的な差異を解消する方策が必要であるのではないかとの一般的な方向性については、一応了解が得られたのではないか。
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現行法の映画の定義には、曖昧性があり、ゲームソフト等のマルチメディアが広がっていった場合、映画の解釈が広くなっていく可能性がある。また、団体名義の著作物の保護期間をどうするかを審議会としては同時に考えなくてはいけないのではないか。
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映画の保護期間延長に反対はしないが、法改正するにあたっては、全体の制度との関係について、合理的な説明は必要ではないか。
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新たな技術の発展によって、個人が映画のプロデューサーとなり、監督となる状況も現れる。そうした場合に個人が原作、脚本を書いて製作した映画については、映画だから公表後50年ということだと、同じ個人の作品についての保護期間について映画と脚本とでバランスがとれなくなるということも考慮する必要がある。
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団体著作との関係や映画の定義についても難しい問題があるとの発言がありましたが、このあたりは、何らかの形で今後の是正がかかるようにしたらよいと思う。
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映画の著作物の定義など、今のテクノロジーに基づいて定義を変える時期がきていると思うので、定義の見直しについて考えていただきたい。
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著作権法上のそれぞれの定義の概念が生まれてきた社会的な背景を洗い直して、更にその定義がテクノロジー技術の発達と共存できるようになっているか、そういう言葉と技術とのつきあわせが必要ではないか。
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著作権法でも同じような言葉で、違う意味のものもあると思うので、そこを学者の方々に整理していただきたい。
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音楽は固定物がないと人々には伝わらなかったのだが、近年のデジタル化によって、音楽の流通形態が変化しているので、これまでの権利のあり方はどうなるのかという視点で検討していただきたい。
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結局、経済的利益の保護なのか、文化の保護なのかというどちらに重点をおくのかを考えると、純粋に文化の保護であれば全て許諾権であれよいのに、対価請求権のみと規定しているのが数多くあることからも、いろいろな思想が入りこんでいるように思う。そもそも著作権法とは何かを考えていただきたい。
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全ての人がクリエーターに、全ての人がユーザーになるという時代なので、誰でもわかるわかりやすい法律を検討することが重要ではないか。著作権法の単純化にはいろいろな側面があるが、必要な協議、調整、条件整備を経て、できるところから法改正を行うという方向としては異議がなかったと考えている。
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今後この法制問題小委員会では、根本論について継続的に議論をしていただきたい。
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