1. |
検討事項(平成15年6月27日に司法救済制度小委員会で決定)
【損害賠償制度の見直し】
○ |
「法定賠償制度」 |
○ |
侵害の数量の推定規定 |
○ |
「三倍賠償制度」(懲罰的損害賠償制度) |
【権利侵害行為の見直し】
○ |
侵害とみなす行為の見直し |
○ |
間接侵害規定の導入の必要性 |
【差止請求制度の見直し】
【罰則の見直し】
○ |
罰金額の引き上げ |
○ |
懲役刑の引き上げ |
○ |
罰金刑と懲役刑の併科 |
【司法制度改革推進本部における検討事項】
○ |
弁護士費用の敗訴者負担の導入 |
○ |
裁判外紛争解決等の在り方等 |
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2. |
「司法救済制度小委員会」委員名簿
主査 |
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松田政行 |
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弁護士・弁理士 |
主査代理 |
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山口三惠子 |
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日本弁護士連合会知的所有権委員会委員,弁護士 |
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蘆立順美 |
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東北大学助教授 |
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大渕哲也 |
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東京大学教授 |
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久保田裕 |
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(社)コンピュータ・ソフトウェア著作権協会専務理事・事務局長 |
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後藤健郎 |
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(社)日本映像ソフト協会業務部長代理(法務担当) |
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潮見佳男 |
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京都大学教授 |
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高杉健二 |
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(社)日本レコード協会法務部部長代理 |
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橋元 淳 |
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(社)日本芸能実演家団体協議会実演家著作隣接権センター事務局長代行 |
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細川英幸 |
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(社)日本音楽著作権協会常務理事 |
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前田哲男 |
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弁護士 |
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光主清範 |
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(社)日本経済団体連合会産業技術委員会知的財産問題部会幹事 |
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三村量一 |
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東京地方裁判所判事 |
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山本隆司 |
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弁護士 |
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吉田 徹 |
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法務省民事局参事官室参事官 |
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(以上15名) |
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3. |
小委員会の開催状況
第1回 |
平成15年 6月6日 (自由討議)
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第2回 |
平成15年 6月27日
「損害賠償制度の見直し」 ・法定賠償制度 ・侵害の数量の推定規定
・三倍賠償制度 |
第3回 |
平成15年 7月23日
「損害賠償制度の見直し」(同上) |
第4回 |
平成15年 9月4日(木)
「損害賠償制度の見直し」(同上) |
第5回 |
平成15年9月29日(月)
「権利侵害行為の見直し」 ・間接侵害規定の導入の必要性 ・侵害とみなす行為の見直し
「差止請求制度の見直し」 |
第6回 |
平成15年10月6日(月)
「罰則の見直し」 ・罰金額の引き上げ ・懲役刑の引き上げ
・罰金刑と懲役刑の併科 |
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4. |
検討事項と主な意見の概要
(1) |
損害賠償制度の見直し
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法定賠償制度について
(積極意見)
○ |
無断インターネット送信については、侵害の回数(ダウンロード回数)の把握が困難であるため、送信可能化権侵害については、そもそも損害がない、あるいは損害が逸失利益と直接結びつかない可能性があるため、現行規定では権利の実効性が十分に担保できないことから、10万円の損害額を法定すべき。 |
(慎重意見)
○ |
法定する額の根拠が明らかでない。送信可能化権侵害の場合に「損害」の立証が困難であるということが導入議論の前提であるから、導入にあたっては、根拠となる「損害」が何なのかを明確にすべき。
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○ |
著作物の種類による「損害額」の違いを「法定額」にどのように反映させるか慎重に検討すべき。 |
(その他)
○ |
複製権等他の著作権侵害にも法定賠償制度を導入する必要はないか。 |
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侵害の数量の推定規定について
(積極意見)
○ |
侵害者による販売数量の把握・立証が困難であるため、原告が立証できた数量の2倍の数量を推定して賠償請求を認めるべき。このようにすれば、被告側も原告が立証した数量と同量の立証(反証)責任を負うため、公平である。
|
○ |
侵害者が立証できない場合には損害の2倍を払う可能性があり、許諾を取った者と取っていない者との公平性の観点を確保できる。 |
(慎重意見)
○ |
少なくとも立証された部分を上回る損害があるのではないかと疑わしい状況であることを要するべき。
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○ |
統計的数字を根拠とするのではなく、「公平」の観点から「2倍」とすることについて検討が必要。 |
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3倍賠償制度について
(積極意見)
○ |
権利者側における侵害行為対策費用は膨大であり、損害賠償額として通常の使用料相当額の請求だけでは、その損失を補填することができないことから、通常の3倍の賠償請求を認めるべき。
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○ |
著作権侵害の量は飛躍的に増加しており、現行の刑事罰規定だけで十分な抑止効果が働いていないことから2倍の賠償請求を認めるべき。
|
○ |
事前に許諾を取る者と侵害した者が同額を支払うのは公平ではない。侵害者は正規のライセンス料より多く支払うべきであり、2倍又は3倍の賠償請求を認めるべき。 |
(慎重意見)
○ |
侵害対策費用のような恒常的費用は損害賠償で補填すべきものではない。
|
○ |
違法行為の抑止は刑事罰で対応するべきという我が国の法制と相容れない。刑事面にどのような問題点があるかを精査し、その改善ないし運用強化によって対応すべき。
|
○ |
懲罰的損害賠償制度を認める外国判決の承認・執行における影響を考慮すべき。
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○ |
抑止のために科した金額が権利者に支払われる理由が不明である。 |
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損害賠償制度の見直しとして、これらのほか、権利侵害者が得た利益を権利者に還元させるために、不当利得や準事務管理の考え方を用いることを、著作権法第114条第2項(旧第1項)との関係に留意しつつ検討すべき、という意見もあった。
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(2) |
権利侵害行為の見直しについて
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間接侵害規定の導入の必要性
(積極意見)
○ |
演奏会場提供事業者、音源提供事業者、カラオケ機器のリース業者、CDのプレス事業者など、著作権侵害に間接的に関与する者に対して、侵害を予防するための協力を得るため、このような者も侵害者と認める規定を確認的に導入すべき。 |
(慎重意見)
○ |
損害賠償については、判例によって、間接的に関与する者に対して共同不法行為責任が認められており、現行規定で対応可能である。
|
○ |
差止請求については、不法行為に基づく請求権が認められていないため、制度改正が必要かもしれないが、その場合でも対象を限定する必要がある。
|
○ |
CDのプレス事業者や書籍の印刷業者など、業務にあたり著作物の内容まで把握しない事業者まで著作権侵害者と認めるのは適切ではないので、主観的要件を求めるなど、対象を限定すべき。
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○ |
表現手段の提供を予め制限することになると、「表現の自由」や「検閲の禁止」など憲法上の権利との関係も問題となるので、その点も踏まえて検討すべき。 |
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侵害とみなす行為の見直し
○ |
「侵害とみなす行為(著作権法第113条第1項)」の要件である「頒布の目的をもつて」「情を知つて」の主観要件については、立証が困難なために警察や検察が動かなかったり、裁判所の認定が厳しく、訴訟に時間がかかることなどから、これらの主観要件を削除するべき。 |
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(3) |
差止請求制度の見直しについて
○ |
著作権侵害の差止請求について、起訴後に侵害を停止したとしても、「侵害するおそれがある者」とみなす規定を設けるべき。 |
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(4) |
罰則の強化について
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懲役刑・罰金刑の引き上げについて |
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懲役と罰金の併科について |
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(※本日の議論を踏まえ、記載) |
5. |
今後の検討予定について
第7回 |
平成15年10月24日(金)
「司法制度改革推進本部における検討事項」 ・弁護士費用の敗訴者負担の導入 ・裁判外紛争解決等の在り方等
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第8回 |
平成15年11月12日(水) ・その他
・小委員会の審議のまとめ案 |
第9回 |
平成15年11月27日(木) ・小委員会の審議のまとめ |
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