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文化審議会

2002/12/11 議事録
文化審議会著作権分科会司法救済制度小委員会(第9回)議事要旨

文化審議会著作権分科会司法救済制度小委員会
(第9回)議事要旨

  日時 平成14年12月11日(水)13時00分〜15時00分
     
  場所 経済産業省別館11階1111号会議室
     
  出席者     (委員)
潮見、高杉、道垣内、前田、松田、山口、山本の各委員
(文化庁)
丸山長官官房審議官、岡本著作権課長、吉尾国際課長、堀野著作権調査官ほか関係者

  配付資料
資料1   文化審議会著作権分科会司法救済制度小委員会(第8回)議事要旨
資料2   文化審議会著作権分科会司法救済制度小委員会審議経過の概要(案)

  概要
(1) 「司法救済制度小委員会審議経過の概要(案)」について
事務局から「司法救済制度小委員会審議経過の概要(案)」について説明が行われた。その後、以下のような意見交換が行われた。
(以下委員○、事務局△)

  (3ページ〜6ページについて)
○: 3ページの囲いの中の4「権利者が全部又は一部の数量を譲渡できない事情」に基づく損害額の減額の抗弁を侵害者に認める、という記述について、条文上は特許法102条1項は「抗弁」とは書いていないので、必ずしも「抗弁」とする必要はないのではないか。
   
○: しかし、割合的な事情を抗弁として出してきた場合でも、部分的認定ができるということにつながるのだから、「抗弁」で良いのではないか。
   
○: 解釈としてはそうだが、民法709条の例外が特許法102条なのであるから、条文上は、職権で割合的認定をしてはいけないとまでは言えないのではないか。特許法102条1項と同様の考え方なので、書き方も、102条1項と同様に書いておけば良い。
   
○: 「抗弁」という言葉を外して書くとすれば、損害額の減少を認めるというように書くことになるか。
   
○: 括弧の中に14まで書かれていて、134との関係を考えるときに、「抗弁」という言葉が入っていた方がわかりやすい。
   
○: どちらかというと、1から3までのところで、3の最後を「出来ることとする。」として、4で「ただし」と書いた方が、4が抗弁であることがはっきりして、わかりやすい。
   
○: 「抗弁」と書くと言いすぎではないか。むしろ、「余地」くらいにしておいた方が無難ではないか。
   
○: 特許法を改正するときに、「抗弁」と位置付けていたら、このままで、それがなかったら、抗弁を外して、いささか解釈の余地があるものを残すということで、任せてもらえないか。
   
○: 4の反証のことであるが、割合的認定がなされることになるという記述があるが、ゼロにすることは出来ないという趣旨か。また、「相当因果関係の立証」という言葉が気になる。相当性というのは評価であり、評価は立証の対象ではない。「因果関係を立証」で良いのではないか。
   
○: 全部の数量を立証できない場合があれば、ゼロになるということではあると思う。ただ、4については、反証ではなく、立証なのではないかと思う。
   
○: 抗弁であるから、被告側の反証ではない。それについては検討する。
   
○: 割合的な認定の前に、「でも」という言葉があるから、こういう議論になるので、その点、書き方を配慮した方が良い。
   
○: 相当因果関係のところについては、「損害額を推定する」で良いのではないか。
   
○: ここは、「相当因果関係」を「損害額」とすることで検討してはどうか。前の方の相当因果関係については「相当」は削るべきか。
   
○: 因果関係は推定されるが「相当性」を基礎付ける事実については別に立証が必要だと言うことになってしまうと立法趣旨とは違ってくる。そういう誤解を招かない書きぶりにしてもらうことは必要である。
   
○: この部分はもう一度書き直して、FAXを送らせてもらいたい。
   
○: 5ページの「三倍賠償制度」についてであるが、その前に出てくる、「侵害数量の推定」とは、別の論点である。(3)の「侵害の数量の推定」に関する議論と異なることを明確にするため、「三倍賠償制度」の見出しは、「懲罰的損害賠償制度」としてはどうか。
   
○: 「三倍賠償制度」は、あくまで、懲罰的賠償を念頭に置いた記述であり、そのことがはっきりしていた方が良いのではないかと思う。
   
○: (5)は、所謂という意味でカギ括弧付きの「三倍賠償」になっている。かっこ内にいれるのは良いと思うが、「三倍賠償」という言葉自体を削ってしまうのは、かえって位置付けがわからなくなる。
   
○: 「三倍賠償制度」(懲罰的損害賠償制度)という記載で良いのではないか。
   
  (7ページ〜9ページ)
○: 9ページの「を不要にしなければ侵害の有無の判断」は削除して良いのではないか。また、「困難な場合が多い」以後の文章は「困難な場合が多く、その判断を誤ると訴訟にさらされるおそれがあるので」という文章に変えてはどうか。
   
○: そのように修正すると、プロバイダによる著作権侵害の判断は困難な場合が多いのは確かであるが、だからこそプロバイダ責任法が定められたという経緯があるので、この文章だと、プロバイダ責任法の意義がなくなってしまうような印象を与えてしまうのではないか。
   
○: プロバイダ責任法では過失責任にしたため、その判断に過失があれば責任が生じてしまう。そうでなく、プロバイダが何も判断しなくてもいいように、通知が来たら判断無しに削除する、あるいは、通知が来ても削除してないという形にしないといけないという問題意識である。プロバイダ責任法により責任が軽減されてはいるが不十分だという認識である。
   
○: 7ページ目の、「同条第2項」は「113条1項第2号」の誤りではないか。
   
○: 8ページ目に、「司法の場において一定の規範形成が行われているところであるが」とあるが、「規範形成」という表現が適切かどうか疑問があるので、「司法の場において判例が蓄積されつつある。」という表現に変えてはどうか。
   
○: 「弁護士費用の敗訴者負担」についてであるが、第2パラグラフの部分は、「著作権等の侵害について特有の事情を検討したところ、現在の弁護士報酬は」となっており、著作権訴訟についても敗訴者負担導入が決まっているようにも読めるが、敗訴者負担を導入する訴訟の範囲に著作権を含めることには反対という声も聞くので、その点について配慮した記述にすべきではないか。
   
○: 「特有の事情があるということを現在検討中である。」と一度切った上で、「額の決め方」についての意見と、「敗訴者負担を導入する訴訟の範囲」についての意見を分けて書けば良いのではないか。
   
○: 敗訴者負担を導入する訴訟の範囲に著作権訴訟を含むことについては反対意見もあるので、慎重な検討が必要であるという意見があったという記述としてはどうか。
   
  (9ページ〜11ページについて)
○: 11ページであるが、3行目に「全国的に」は削除した方が良いのではないか。また、8行目に「全国どこでも裁判を受けることができる」、とあるが、それはさすがに難しいので、管轄集中をすべきではないという趣旨であることに誤解がないようにすべきではないか。
   
○: 「すべきとの意見」という言葉は「すべきであるという意見」に統一して欲しい。
   
○: 「三倍賠償制度」のところで、「加害者に対する制裁や、将来における同様の行為の抑止、すなわち一般予防というものを目的とするものではない。」という記述の後に「というのが一般的である。」という趣旨を追加して欲しい。
   
○: 11ページの専属管轄にするかという問題であるが、管轄集中を避けるべきであるという議論になっているということで良いのか。プログラム以外のものは全て「一般の著作物」なのか。
   
△: プログラムについては、現在競合管轄で出せることになっているが、今の流れとしては、現在競合管轄のものが、専属管轄になるという議論が進んでいる。それ以外の著作物については競合管轄として、東京、大阪でも、全国各地の裁判所でも選べるという方向で議論が行われているようである。
   
○: それだったら、「一般の著作物」は「プログラム以外の著作物」にした方が良いかもしれない。
   
○: プログラム著作物については専門性の要請があるから、専属管轄にするという話になるのか。
   
△: そういうことである。知財についての裁判では、専門的な知識が必要だから専属管轄にした方が良いという一般的な考えがある中で、著作権については特有の事情があるということをここでは示している。

  閉会
  事務局から、意見を踏まえて修文して、最後は主査に一任するということで閉会となった。


(文化庁長官官房著作権課)

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