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:略式起訴の場合には刑事訴訟法に基づいて現在、罰金の上限は50万円、かつては20万円であった。その結果略式起訴をするものについては20万円、50万円の罰金が多い。したがって、50万円を超える罰金額になるケースというのは、公判請求になったものが多い。著作権法による要因と言うよりは刑事訴訟法による要因によって罰金額が分布しているように思う。
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:法人重課を導入した場合に、略式起訴でなく、正式起訴が増えるという感触はあるか。
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:悪質なケースについては、個人の方に懲役刑が課されるのが通常であり、たまたま両罰規定が適用されるような場合には、法人も関係してくるが、法人重課と起訴の形は、あまり直接的には関係ないと思う。
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:刑事手続の中で公判に持ち込むのは難しいという状況があって、どうしても略式で終わってしまうものが多い。
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:この資料の中での事例は、音楽著作物の生演奏やカラオケパブについての事例がほとんどであり、通常は、違法行為の差止請求というような、民事で対応していく。刑事に持ち込む場合というのは、差止の仮処分執行がなされたあとも、引き続き侵害行為を続行するような悪質なケースであり、したがって、刑事告発のケースは民事に比べて少なくなる。また、訴える対象が小さい事業者である場合が多いということも、罰金額が小さいことの一因になっている。
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:資料の中に、専門学校生が、ファイル交換ソフトを利用した事例があるが、このとき犯罪の特定と容疑者の特定はどうやったのか。
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:犯罪の特定自体は、京都府警が先行して行っており、容疑者のハードディスクの中にいくつか音楽ファイルがあったということで、鑑定依頼が来た結果、鑑定、刑事告訴ということになった。
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:それは、誰かの、密告のようなものがあったのか。何もないと、ファイル交換ソフトの使用などわからないのではないか。どうやって、犯罪の事実を調べたのか。どういうきっかけで侵害行為が発覚したのか。また、法人重課の問題であるが、ネットの利用がこれだけ盛んになってくると、個人の侵害の場合が、被害額が小さいとは言えなくなってくるのではないか。
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:ファイル交換ソフトの使われ方の実態については、実際に、許諾なく音楽ファイルがアップロードされている様を目にすることは、日常的にあることなので、アップロード自体の把握は簡単にできる。
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:どのサーバーに、誰がアップロードしているのか、わかるのか。
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:権利者側は、容疑者の特定まではできないので、その点については警察に動いてもらう。
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:技術的保護の解除装置の製造や、権利管理情報の改ざんなどの行為については、個人より法人によるものの方が多いとも考えられるが、その点について法人重課はないが、この点についてはどうか。
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:神奈川県警の方で着手してもらったケースで、企業ぐるみで侵害行為を行っていたケースがある。そのような場合は、1億円の法人重課の規定が必要である。
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:資料の中にある、CD-Rの事例であるが、CD-Rコピー機を販売した事業者が、実際に複製物を販売する行為に比べたら、より間接的な行為であるが、企業について、実刑としては重い方である150万円の罰金、代表者が懲役1年、執行猶予3年となったケースがある。119条の2号の侵害行為についても、同じような法人重課の規定があると良いのではないか。
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:他の犯罪類型とのバランスもあるので、ただ、けしからんということで、罰金額をそれほど上げても良いものか。もう少し資料が必要なのではないか。また、法人重課でどこまでできるのかという相場があると思うので、それを踏まえることも必要である。また、1億円ということになった場合、それは実際払えているのか。法人なので、結局は倒産ということになると思うが、倒産させるほど、関係者は損害を被っていない場合もある。個人を罰しないと、抑止効果にならないのではないか。
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:法人の場合は通常、まず、警告する。それでも侵害行為をやめない場合を刑事告発する。決して可罰性がないわけではない。罰金をきちんと払えているのかについてはわからない。
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:コピープロテクションの回避や、権利管理情報の改ざんについては、今2件しか事例を知らないが、最近の実際の侵害行為の事例が増えているか減っているのか。また、著作者人格権について、法人に関わるような侵害事例が実際にあるのか。
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:すぐに思い浮かぶのはコナミのゲームソフトの改変ツールの事例である。これは、まさに法人が開発して、法人が販売している例である。
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:コピーガードの件については、かなり全国の警察から、映像ソフト協会に情報が届いているという事実はある。当時、侵害行為は一気になくなったが、最近はスタビライザーという名称で販売しているケースがあり、それが専らの機器と言えるのか問題があり、事件化は留保している。
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:先程、指摘のあった、他の一般的な法人重課の実情と言うのは、あるとすれば、独禁法などか、そういう他の法令との関係でバランスを失しているというものはあるか。
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:個人の侵害行為については懲役か、罰金かということになる。可罰性が高いものについては懲役が課されて、低いものについては、罰金ですむという段階的なものである。しかし、法人については、可罰性が高いものについても、罰金刑しかないという点でバランスを失しているのではないか。
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