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資料  4

平成14年8月23日

損害賠償制度の強化について

後  藤  健  郎

. 現状の問題として
(1)従来著作権侵害に対しては、刑事手続を前提に権利行使を講じてきた。
  例) 映画の著作権者1985〜2001年間における刑事告訴件数は、1,563件。
侵害者に対する抑止効果として絶大な効果をあげた。
しかし、刑事手続により権利行使できるのは権利侵害全体の氷山の一角にすぎない。
(2) 今後さらに刑事手続では対処しきれない侵害が多発し増加することが予想される。
インターネット等の急速な普及に伴い、著作権侵害が多様化している。
  ◎組織犯罪から個人犯罪  ◎顕在から潜在化へ  ◎犯罪の広域化
(3)このような環境のなか権利者は権利保護のため権利行使の手段を民事手続によって強化していく必要が生じている。

. 損害賠償制度の強化として
  ◎「侵害のし得」からの脱却
  ◎侵害に対する抑止機能の強化
の観点より現行法に下記を追加して、侵害によって権利行使を選択できるものとする。
(1)法定賠償
権利侵害に迅速的に対応する
114条の4での対応に比べ法定額の下限が設定されれば、訴訟外でも解決可能
(114条の4では、裁判の結果がでるまで額の予測がつかない)
法定額の検討(海外の実例)
(2)3倍賠償
故意または重過失の悪質な事犯に限定する。
114条2項で認められる額の3倍「受けるべき金銭の額の三倍に相当する額」
(3)侵害の量の推定としては、
業として侵害行為を行っているものが、侵害の量を明らかにする資料等を保存していない場合には、権利者が立証した侵害の量の3倍の量の侵害があったものと推定する。
但し、侵害者がそれだけの量がなかったことを反証することができる。

 

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